2001-05-27 「さびしい週末」
2001-05-25 「懐かしのちらし寿司」
2001-05-24 「病室の母親たち」
2001-05-23 「心と身体」
2001-05-22 「定期検診」
2001-05-21 「さあ、月曜日！」
2001-05-19 「いろんなことが起きる」
2001-05-18 「本当の気持ち」
2001-05-15 「落ち込み」
2001-05-14 「個々の事情」

みんな帰っちゃったね。

おまえだけの広い病室。

ふたりで、ベッドに寝転んで手をつないだ。

ママは、疲れてほんとに寝ちゃったけど

おまえは黙ってママの寝顔を見てたのかな？

「眠れるときにねておいてね」

そう言ってくれる優しいおまえが

ママは大好きだよ。

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今日、昼の仕事はたいしたことなかった。
夜の店（笑）の仕込みを手伝う、、と言っても
出ていた器を片付けたり、おしぼりを補充したり…
という程度。

「おまえ、いつも昼めしどうしてんのよ。」
とダンナが聞くので
「テキトー。腹が減っていれば食べていくし、
　そうじゃなかったら、病院の食堂で遅くなってから
　食べたり…って感じだよ。」

「今、食えるか？」
「うん、今日は空いてる。」

ポストに葉書を入れ、戻ってきたら
カウンターの上にそれはあった。

昔、つきあっていた頃、うちのがよく作ってくれた
ちらし寿司だった。

平目、すずきの白身、あじ、生しらす、シコイワシのヅケ
うに、海老（昔はボタン海老だったな〜）だし巻き玉子
…それに、キャビアもちょっと乗っかっていた。
飾り切りのきゅうりや、立体的な盛り付けは、
あの日のままだった。

一緒になって随分と月日は流れ、長い時間を共に過ごすうち
ささくれ立っていった、心と心…。

「わ〜、懐かしい〜。
　こんなに立派なちらし、何年ぶりだろう。
　ありがとう、ほんとに嬉しい。」

泣くと叱られて、またそこから喧嘩になるので我慢した。

かけ違えたボタンは、もうかけ直せないかも知れないけど、
ふたりが共有した想い出は、お互いの胸の中にまだ残っている。
それを小出しにしながら、なんとかやっていけるかもしれない。
…そんなことを思った今日の昼下がり。

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全部は話したわけじゃない。
だけど、ほぼ同じ事情でひとつ空間に集う。

あたしが、ベットサイドで舟をこいでると
おそらく１番年長？の人が「疲れたでしょう？
眠れるときに寝ておきなさい。」といたわってくれる。

「宝くじ買った？」とかお互いの子の治療の様子、
家事と病院とのやりくりとか、なんでもないように
話し合ったりする。

みんなといると、ホっとする。
みんなといると、元気になる。

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今のよっしーの友だちは、みんな病気と闘っているわけだけど、
自分が辛い治療に耐えながら「優しさ」や「思いやり」を
心の中で大きく育ててる、ってこと感じた。
心がまっすぐで健康な状態。辛くても頑張ろう！っていう強さもある。

逆に身体は健康でも心が病んでる子の多いこと…。
「一体、何が不足なの？」と聞きたくなる。
子どもを自分の足で歩かせていない親がいっぱいいて、
「それって、ただの甘やかしじゃない？」と感じることがある。

あたしのごくごく親しい友だちによっしーのこと打ち明けたとき
「学校では、生徒にどこまで話しているのか聞いておかないと。」と言う。
（その友だちの息子は、よっしーのクラスメイト）
「だって、うちの子だけよっしーの病気のこと知っててみんなが
　知らなかったら『みんなに隠し事してる』って悩むことになっちゃう、
　そんなことになったら、うちの子が可哀想でしょう。」
「……。」絶句だよ。絶命しそうだった、あたし。
この親は、オツムやられてます。バカなのは知ってたが、
シャレにもなりゃしない。退院するまで無視する。
あたしの精神衛生上、よろしくない人なので…。

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あたしの誕生日が５月なので、市役所の市民健康課から
がん検診の受診票が届いている。

あたしの母は子宮がんで亡くなっているので、
要注意なのだ。我が市では、30才になるとこの受診票が
送られてくる。

あたしは第３子を産み終えたのが、29才の直前。
その子が生後５ヶ月のとき、母が子宮がんだということがわかった。

その翌年、初めての受診票が届いてから欠かさず
子宮、乳がんの検診を受けている。

今、なにかあったらそれこそ大変だ。
月のものもすっかり終わった（あがったんじゃないよ！：爆）ので、
早速、行ってきます。

これ読んで「あ、あたしも！」と思い出した人、
すぐ受診しましょう。

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週の始めだ。土日越えると、あとちょっとで休みだ、と思う。
ここのところ、週末の忙しいこと、春の行楽シーズンってこと
なのだろう。本当に店がたて込む。ありがたいことだ。

今日はこれから買い出しに出かけよう。
うつ気味なちーぼーちゃんの誘い出しにも成功して、
モスで待ち合わせ。さてさて夕飯のおかず、何にしようかな？

今週のよっしーは、治療も入らず点滴は土曜日まで抜けてて気分が良さそうだ。
同室で同じ中２のMくんと一緒に楽しく授業を受けているらしい。
Mくんは穏やかだが、しっかりしたいい子だ。
病気に関してはよっしーの先輩なので、色々アドバイスをくれるらしい。

イヤなこともあるけれど、病気と闘ってるみんなに負けないように
あたしも頑張ろう。

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　昨日、あたしはいつも通り病院に行き、いろいろ考えつつ帰宅。
いつもより一時間も早く帰って、そのままちーぼーのところへ行った。
PC買ったはいいが、お気に入り登録してあげたあたしのHPに
ちっとも辿り着かない、と言うのだ。誰かと話していたかったので、
でかけた。…覚えられたかどうかは不明だが、大好きな犬の画像が
たくさん見られて、ちーぼーは御満悦だった。

「ちょっと、お茶飲んでいけば。」
いきつけ（笑）のリビングで、あたしは話し始めた。

よっしーの病院での生活は落ち着いてきたのに、
あたしは、いきなりダメになってきちゃったこと。。
いろんなことに対して、無気力になりつつあること。。
自分の気持ちに折り合いがつけにくくなってること。。

「ウツ入ってんな〜、おまえも！
　でも、ふつうだって、今までちょっとハイだったよ。
　あんた、とってもしっかりしててすごかったよ。
　あたしだったら、とっくに自分が病院行きだったって。
　平気でなんか、いられるわけないんだからさ。」

「ひきこもりにウツ呼ばわりされてるようじゃ、あたしも
　終わりだねえ。」なんて悪態つきながら、ちょっとおさまる。

家に戻ってメシ食って（食うことは忘れない）ひといきつくと、
「そうだ、よっしーの先生から電話があったんだ！」とダイが言う。

自宅にかけてみた。
先週の水曜日、地元の中学の懇談会があった。
お世話になってる、友子さんがそう言ってたので覚えてた。
その懇談会で、よっしーの長期欠席のことが
話題になったそうだ。クラスの子たちには
「キャンプは無理そう」と話してあるが、このままでは
済みそうもないので、入院が一年に及ぶこと、面会は
治療のため出来ないこと、をクラスの子たちに伝えてもいいか。
とのことだった。

「懇談会でネタか…」
なんで、そんなとこで話すんだろうな、ま、単なる好奇心だ。
「子どもが不安定だ、キチンとした説明を」なんて、
子どものせいにしてる、ただの野次馬だ。

この状況で、よその子どもの心のケアまで、
頭が回るわけね〜だろう！
なりたくてなったわけでもない病気と闘うために
学校に行けなくなってるのに「ご心配かけて、あいすみません」と
詫びろとでも言うのか？

あたしは先生に言った。
「私たちになんの”とが”があるのでしょう？
　なんで、ここまでキツイ思いをしている我々が
　なにごともなく過ごしている人たちのために
　不愉快な思いをしなければならないのでしょうか？」

子どものことを考えてのことなのか？
他であんなに親身になってくれていた先生なのに。。
ちょっとショックだったが、今日は悲しみが怒りに
変わっているので、少しラクみたい。
（週末の今日は、外泊の子が多かったので、
　よっしーと病棟の食堂でいろんな話をした。
　それも、とっても良かったんだと思う。）

怒っている間のあたしは、元気なのだ！（笑）

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ちょっと、おさまってきたよ。
でも、これからこの繰り返しかね？

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あたしは、ちっとも強くなんかない。

こないだまでのあたしは、非常事態から
自分を守るために、ハイテンションになっていたみたい。
自動的にそうなっていたようだ。

そして
「大丈夫、大丈夫。」
自分に言い聞かせてた。

強がってキレイごと並べて、
「こんなことになっても、あたしはこんなに頑張ってるし、
　ちゃんとしっかりしてて、周りも見てます。」
なんて、そんなだった自分がなんだかミジメに思える。

でも、あのとき子どもの前で泣き崩れてなんか
いられなかったもの。周囲の人たちの無遠慮な問いかけに
傷つかないように「しっかり者の母親」を無意識のうちに
演じていたのかもしれない。

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よっしーの顔を見たら、きっとまた回復するだろう。
でも、落ち込むのは初めてだから、これがふつうだと思う。
平静を保っていられないようなことが起こって、それでも
ここまで来た。強い治療の峠を越したので、ちょっと気が
ゆるんだのかもしれない。先は長いから自分を無理矢理
奮い立たせるのは、かえって良くない気もする。
店も忙しかったので、神経が立っているんだろうか？
生理中だってこともあるかな？心穏やかになりたい。。。

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近頃は、いろんな価値観があるので、
そのそれぞれに対応しようという風に世の中進んでいるらしい。
でも、その中身を聞いてみると単なるワガママ、身勝手としか
思えないものも多くある。

よっしーの病室（個室）の隣に大きな子（高校生？）が
入ってきた。よっしーが入っている病院は子ども専門である。
乳児から18才までの子がいるとのこと。
あくる日、友だちらしき子らが連れ立って面会にやってきた。
ここは、面会は原則として保護者のみ、それ以外の人に関しては
婦長に申請をし許可をとる、との旨、病棟の入り口に貼紙がある。
「どういうことなんだろう？」しかもうるさい。
コンビニの前にたむろしてるような連中が、ウロウロしてる。

図体のデカイ息子は、親をどやしつけているらしい。
…病室の外でビクついている母親。。
男の子の親がこうなったら、もう終わりである。
親が申請しなければ、友人など入れるわけがないのだ。
担当の看護婦さんに「どういうことなのでしょう？」と問う。

「婦長に話しますので、お返事は月曜までお待ちいただけますか？」

そして、今日婦長と話をした。
「なにが起きた、ということではありません。こちらの病棟に
　不特定多数の方が出入りすることに、不安を感じたということです。
　私どもにも、入院中の息子に会わせてやりたい人はいますが、
　私たちにとって必要でも、ここには他の患者さんも大勢いらっしゃいます。
　そういう方にとって、親以外の人間が出入りする状況は好ましくない、と
　思っています。ですから、外泊のときに会わせてやろう、と考え
　申請するつもりはありません。各自そういう配慮をすることで、
　入院させることの安心が保証されるのだと思います。」

「とても参考になる御意見をありがとうございました。
　おっしゃること、とてもよくわかります。『個々の事情』において
　お隣の面会も許可いたしましたが、今のお話を参考に検討させて
　いただきます。」

そして、今日学童内科病棟に空きベッドが出て、よっしーはそっちに移ることとなった。
婦長は、今のお話で病棟が変わることになった、と思われてしまうと
困ってしまうのですが…と付け加えた。

いや、これは入院当初から言われていたことで、今いるところは
緊急、短期入院者の病棟であり、いずれ空きが出たら移ることになるとの
ことだったのでそうは思わない。

私はコンビニ前の不安から解放されたが、申請をした「息子に怯える親」は、
どうにかした方がいいと思う。「個々の事情」を配慮される側の不見識を
正さなければならない。間違いが起こってからでは遅いのだ。

先頭 表紙