himajin top
あるまじろの「まるまり日記U」

イツデモコンナフウニスギテイクナラ、
ソレハソレデヘイワナマイニチ。。。

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2008-08-31 そして九月が始まる
2008-08-21 燦々
2008-08-20 夏を追いかけて
2008-08-19 落雷
2008-08-18 帰国
2008-08-17 He said that he would see again
2008-08-16 Night market
2008-08-15 A national flag of Canada
2008-08-14 The aged fisherman said to me
2008-08-13 The mother country the distance apart


2008-08-31 そして九月が始まる

八月が終わった。

とても暑かった今年の夏の終わりを告げるように、
時折、広がった空にはうっすらと秋の雲が見えた。
夏の初めに作り始めた芝居が季節が変わる頃に少しずつ形になっていく。

昨日まで泊まり込みで芝居を作って、
その人たちが居ない今日も、また別の人と芝居を作っている。
自分の中で芝居に対する情熱が翳らないように、
心に気合いを入れ直して稽古場に入る。

八月に積み上げたものを九月に台無しにしないよう、
慎重に大胆に気持ちに熱を持ち続けたい。

髪を切った。
伸び放題だった髭も剃って貰った。
「すごい、伸びてましたよ」年老いた理髪師が僕に笑いかける。
さっぱりして少し気持ちが浮き浮きした。

心の中ではまだ定まらないものが、ゆっくりと雲のように渦巻いている。
答えを急がない。
たとえそれがもう、半ば出ていると心の片隅で自覚していても。


先頭 表紙

母さんへ。そりゃあ食べてますよ。カナダから帰って食べた明太子とごはんは美味しかったな。 / あるまじろ ( 2008-09-03 22:48 )
みーさんへ。「焦り」は誰でもあるのでしょう、もちろん僕にも。でもそれも抱えて明日に望みたい。 / あるまじろ ( 2008-09-03 22:47 )
くれぐれも身体に気をつけてね。食事をしっかり取るように! / 母より ( 2008-09-02 10:07 )
このごろね、なんだかわけのわからない「焦り」に困ってるの。「答えを急がない。」そう自分に言い聞かせてはいるのだけれど。 / みー ( 2008-09-01 22:46 )

2008-08-21 燦々

打ち上げじゃなくて、手で持つ花火。
そういう花火を始めるときに漂うあの感じ。

まだ始まってもいないのにもう終わっている感じ。
いや、けして嫌じゃないんだけれど、
最初からそういう空気を感じとってしまう。
いつもそう思う。

火をつける。
一瞬、闇を照らす煌めき。
浮かびあがる人の顔が楽しそうなら嬉しい。
本当はそれだけで充分なんだろう。


先頭 表紙

みーさんへ。夏の終わりの雨が毎日続きますね。夏の日差しを懐かしく思います。 / あるまじろ ( 2008-09-01 01:40 )
うんうん、その通りですね。言葉の選び方、さすがです。 / みー ( 2008-08-31 01:18 )
みーさんへ。春は過ぎていくけれど、夏は失われていく感じがします。 / あるまじろ ( 2008-08-30 22:53 )
夏が盛りを過ぎていって秋の気配を感じてくるこの期間ってなんだかいいですよね。去っていく切なさが甘酸っぱいというかちょっとキュンってなる感じ? / みー@ボキャブラリー欠如(^^; ( 2008-08-30 00:50 )

2008-08-20 夏を追いかけて

今年も海を見に行きたいと思った。
夏がまだ翳らないうちに。
僕にとってたくさんの思い出があるあの海。

父も母も親戚の叔母さん達もまだ若く、
夏はただ僕達を真っ黒に日焼けさせるためだけに輝いていた。
あの遠い夏が懐かしい。

波打ち際にやけに大きな砂の城を作って、
それがやがて打ち寄せる波に崩れていくのを、
傾く太陽の中で見つめていたあの遠い夏。

逃げていく夏にただ手を伸ばす。
背中で騒ぐ潮騒が微かなささやきもかき消していく。

どこまでもどこまでも続く砂の道。
崩れ去る前に日が暮れなければいいのだけれど。


先頭 表紙

2008-08-19 落雷

今年は暑くて、夕立と雷が多かった。
そういう意味では夏らしい夏だったのかも。

雷鳴が響いてその次の降ってくる大粒の雨。
それが届けるアスファルトが潤う時の匂いは嫌いじゃない。

自分の賭けるものに自信を持ちたかったから、
こつこつ勉強もしたし、プライドを捨てて人に頭を下げた。
それができなきゃ手にいられないほど難しいものだから、
手に入れる価値があるんじゃないかな?
なんとなく、とか、感覚、とかじゃなくて、
全てのことに理由があるのが見えるようになるまで、
どれだけ何をすればいいのだろうか。

心の中に落雷が落ちるように、
ふっと閃くものがある。
そんな日常の一瞬にいつまでも囚われている。


先頭 表紙

2008-08-18 帰国

バンクーバーから7時間半、日付変更線を越えて昨日から日本へ帰国。
機内ではずっと映画を観ていた。そして泣いてた。気持ちが乱れてる。
ありきたりのハッピーエンドの映画でも、
人が自分を取り戻して、それを見つけてくれる人がいて、幸せになる話は泣ける。

自分自身をもう一度見つけること。
それはこの旅のテーマだった。
そして見つけることはできたのか?
それは分からない。
でもまたたくさんの人に僕をみつけてもらった。
それは幸せな一つの物語の結末にちがいない。

成田に着くと熱気がお出迎え。
埼玉に帰り着く頃には夕立になった。

自分の故郷に帰ってきても目線は異邦人、そんな感覚が胸に残っていた。
そして帰ってきたこの国が自分の国だ、と変な責任感を勝手に抱いたりして。

人と出会うこと、人と別れること。
それを繰り返して今の自分を見失わないこと。

さようなら、とりあえずね。
でも、また会おうよ。
こうして出会えた僕たちさ。
空はずうっとどこまでも続いてるからさ。


先頭 表紙

2008-08-17 He said that he would see again

こうしてあっという間にカナダでの滞在期間は過ぎた。
どこかに行く、とか、観光をする、とかはあまり重要視せず、
ホストファミリーとの時間や人との出会いとその人と過ごす時間を大切にした。

僕がエイミと遊び疲れて帰宅するとブランドンは僕の部屋にイタズラを仕掛けていた。
スプラッタなお面をスコップの柄にかぶせてトイレに立たせていたのだ。
ドアを開けるとスプラッタな彼が立っている、という仕掛けだ。
僕は僕に仕掛けてくれたこのイタズラに驚くよりも嬉しい気持ちの方がまず沸いた。
僕が帰ってくる最後の晩に彼が僕にしてくれた彼なりの「おもてなし」だ。
メルはちゃんとビールを残して置いてくれたし、
デイビッドも僕が帰るまで待っていてくれたようだった。

みんなさりげなく僕のバンクーバーでの最後の夜に気を遣ってくれていた。
それがなんとも嬉しかった。
翌朝も朝から一緒に食事をして、
一人一人、僕との時間を作ってくれた。

僕はこの遠い地に住む人々に愛されている実感を強く感じることができた。
それ以上のことが必要だろうか?

メルが僕を空港まで送ってくれた。
空港は大変な混雑でチェックインにはだいぶ掛かりそうだった。

「ごめんなさい、休日の朝にこれ以上つき合わなくて良いです。
 ゆっくり家で寝てられるような時間に見送ってくれてとても嬉しい」
そう告げると彼は言った。
「その英語は間違ってるよ、Sorryは何か間違ったことをしたときに言う言葉さ。
 きみは何も間違っていないし、私はここに居たいんだ。」

泣きそうになった。
でも彼が「また逢おう」と言ったから、
それを我慢することができたんだ。


先頭 表紙

みーさんへ。この写真は近所の通り。何気ない風景なのだけれど僕には懐かしい風景。 / あるまじろ ( 2008-08-26 03:18 )
泣けるね。素敵!ちゃんとあなたを愛してくれる人がいる。距離なんて問題じゃない。最高に素敵!(^-^) / みー ( 2008-08-25 23:03 )

2008-08-16 Night market

夕方、ホームステイをしていたアヤカと、
その家庭教師だったという女性(名前を忘れた)の3人で、
リッチモンドのナイトマーケットに出掛けた。

ナイトマーケットは二年前に行った時とほとんど様子は変わらなかった。
懐かしい感じがした。

アヤカはカナダ留学を半年ばかり続けていてすっかり現地に慣れているようだった。
羨ましいね、一年間もここに居られるというのは。
なかなかたくましいが、ちょっと生意気な感じが留学中という感じだった。

家庭教師だったという女性(名前を忘れた)は、少し変わった方だったが良い人だった。
いきなり日本の政治のことや教育のことの議論を持ち出されるのには、やや閉口したが。
真面目な人だ。

でもこうしてカナダに来ている日本人に会うといつも思う。
どうしてもっとカナダの人と話をしないのだろう、と。
下手な英語でも幾らでも通じる。
なぜなら相手が分かろうとしてくれるからだ。

そして話をすると彼らがなぜ日本人である自分とこうしているか、
その理由がはっきりしてくる。

彼らは僕のような知らない人間との出会いを大切にしているのだ。
在るか無きかのこの人との縁を重要だと考えているのだ。

知らない文化に触れることは面白い。
海外だと日本の日常に縛られない分、楽しく過ごせるだろう。
でももっと大事なものがすぐ隣にあることを僕はいつも気づかされる。

ナイトマーケットは人いきれでものすごい熱気。
この空気の中に居ること。
それはきっと誰にとっても幸せな感じなんだなって伝わってくる。
その幸せを分かち合って僕等は生きてるんだと思う。

売ってるものがとてもエスニックな感じをのぞけば、
日本の縁日の屋台とそう変わらない雰囲気。


先頭 表紙

2008-08-15 A national flag of Canada

道端に落ちていた。
カナダだな、やっぱりここ。
って思った。


先頭 表紙

2008-08-14 The aged fisherman said to me

バンクーバー郊外のリッチモンドの40%は日系人だという。
日系人のエイミは70歳を越えているというのに元気だ。
僕と一緒にフィッシュ&チップスを頬張り、ジンジャーエールをがぶ飲みする。

そのエイミと一緒にサチエというお婆ちゃんのうちに遊びに行った。
サチエさんの旦那さんのカルロは以前、漁師だった。
カルロは僕を彼のクルーザーに乗せてくれた。
ちなみにカルロのクルーザーの名前は「SACHIE」だ。

僕がコーヒーが好きだ、というとカルロは「これが世界一だ」と言いながら、
キューバのコーヒーを淹れてくれた。
僕が釣りに興味がある、と言ったら百年前の本を引っ張り出してきて、
サーモンの種類や生息域とか漁法とか詳しく説明してくれた。

「いいか、サーモンはサッカイがベストなんだ。」
「今度、来たらうちに泊まるといい。部屋なら幾らでもある。」
「そうなんだ、こういう当たりがキングサーモンの特徴なんだよ。」

老人の話は熱く、僕が質問するととても丁寧に応えてくれた。
後で聞くとカルロは今年の一月に喉頭ガンの手術をして生死をさまよったそうだ。

「必ずもう一度逢おう。」
カルロが握手をしてくれたその手はとても力強かった。
まさにフィッシャーマンというごつごつした手だった。
僕はたぶんカルロと話を交わした、
この美しい夕方の数時間のことを一生忘れないだろう。

必ず、もう一度。


先頭 表紙

2008-08-13 The mother country the distance apart

バンクーバーで一番良い時間は夕方。
夜九時過ぎにやっと日が暮れるため四時頃から長い長い黄昏となる。
暮れないね、なかなか暮れないよ。

この時間やることは一つ。
黄昏の風に吹かれてメルと二人、
静かに男同士でビールを傾ける。

普段、僕は酒はほとんど飲まない。
けれどカナダでは飲むのが楽しかった。
一言二言、これまでのこと、これからのこと。
一つ一つ話を交わして、風に吹かれて。

日本から遠く遠く離れた風の中で僕は夏の終わりを肴に、
異国の黄昏に酔っていた。


先頭 表紙


[次の10件を表示] (総目次)