2週間ぶりに帰ってきた長女。
食べる、ということにトラウマのある彼女。
家に居た頃から、最近は夕食を一緒にする事はなかった。
バランスよく、少量摂りなさい、
と随分気を配ったつもりだったけれど
私が言えば言うほど、ストレスになるのだと思い
最近はほっておくことにした。
そのほうが私のストレスも少なくなるし
もう小さな子どもではないのだから
そこまで私が仕切ることもないのだと思うことにした。
これも、子離れと言えるのだろうか?
それでも、久しぶりに夕食時に揃うのだから
食べる?と声を掛けると
食卓に座った。
デザートに梨を剥いたのだけれど
大皿に入れて出すと
長女が、いくつ?と聞く。
末っ子が、もうそんな事決めてないよ、と答える。
そういえば、最近そんな事を言わなくなったなあ。
久しぶりに聞いた言葉。
何時から言わなくなったのだろう?
子供たちが小さかった頃
お菓子でも、果物でも、多分好きなおかずでも
取り合いでけんかにならないように
一人いくつずつ、と決めていた。
りんごや梨などは、八割りにして四個ずつ
と相場が決まっていた。
それでも、六人だから
毎回三個は剥かなくてはならない。
小さい子供たち四人の面倒を見ながら
ご飯の支度をするのだから
三個の果物を剥くのは結構大変だった。
買ってくるのも楽ではなかったけれど。
年齢の違う子どもたちに
同じ数と言うのは、果たして公平だったのかな?
体が大きかったし
その頃から食べる事に貪欲だった彼女は
多分いつもこっそり余計に食べて
怒られていたんだと思う。
私や夫は、いつも自分の分を
足りなくて泣いている子にあげたり
もっと欲しがる子に分けてあげたりしていた。
それでも彼女は、満ち足りない思いを抱いていたのだろうか?
それが彼女に食に対するトラウマを与えてしまったのかな?
いくつ?という言葉に
懐かしい思いと
もしかしたらそれが原因のひとつなのかな?
という思いと
複雑な感じを抱く。
口に含んだ梨は
ほのかな甘さの中に
なんだかほろ苦い味がした。 |