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夢樂堂月彦の『元祖 図鑑・即熱、玩具匣』

やっぱり、ひとりよりふたりだよね。

次の満月は9月8日、新月は9月22日です。
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目次 (総目次)   [最新の10件を表示]   表紙

2000-09-05 もどきが本物に化ける(シロクマ紀行異聞A)
2000-08-28 農家をダメにする補助金(北海道ゴム長ツアーB
2000-08-28 農地を若者に渡せ
2000-08-27 後継者がいない(北海道ゴム長ツアー@)
2000-08-17 頑張れホームレス
2000-08-16 八百屋の本分
2000-08-14 墓参りにかえて
2000-08-13 あこぎな人々
2000-08-11 酒は涙かため息か
2000-08-09 それでも好きだぜ北海道


2000-09-05 もどきが本物に化ける(シロクマ紀行異聞A)

★焼酎の味が変わった。この理由の一つは、折からの焼酎ブームの影響を受けてで、大手メーカーはビジネスチャンスとばかりに、より売れる戦略を立ててきたからだ。大手メーカーの能書きには、「都会人の味に合うように芋の味を抑えて飲みやすくした薩摩焼酎」なんて書いてある。そういえば、非常に聞こえが良いが、より多くの利益を確保するために焼酎の味を変えたのだ。いやはや、なんともため息が出てしまう。薩摩焼酎の薩摩焼酎たる所以は、あの芋の匂いなのに…。都会人の嗜好に合わせた焼酎は、薩摩焼酎ではなく、芋が原料の薩摩焼酎風味の焼酎に過ぎないのだ。都会人は味が変えられたとも知らずに、薩摩焼酎もどきを薩摩焼酎と信じてしまう。これはある種の詐欺罪というものだ。薩摩っぽという言葉がまだ残り、薩摩焼酎という名をつけている以上は意地でも後輩が望んだ「本格芋摩焼酎」を追求して欲しい。本物で勝負する、これが薩摩っぽのど根性というものだ。子供の頃から焼酎を楽しんでいるタクシー・ドライバーは、年々、焼酎が焼酎らしくなくなっていると嘆いている。でも、ボクには単なる嘆きとは思えない。大げさにいえば、食文化に対する一種の抗議にも聞こえる。
★東京にいると「…もどき」を多く食わせられる。「…もどき」を挙げていたら、それだけで、この日記の1000字以内という制約に引っかかってしまうので、典型的な例を挙げる。これは博多ラーメンだ。東京に約20年前に博多ラーメンのチェーン「●ちゃん」が築地と渋谷に旗揚げをした。築地で最初に食べた博多ラーメンは福岡で食べたものと味はほとんど変わらず、思わず笑みが浮かんできた。何でもオープニングは食材、スタッフともども博多からやってきたそうで、本物に近い味が楽しめた。ところがどうだろう。渋谷の店に行ったらスープの味が明らかに変わっている。明太子、高菜、紅生姜入れ放題、その文句につられて、若者がたくさん集まってきたが、博多ラーメン風の単なる塩ラーメンに過ぎなかった。何年か経って、築地の「●ちゃん」を含めて、今は博多ラーメンが博多風東京ラーメンに成り下がった。福岡で博多ラーメンを食うと、東京の博多もどきラーメンが食えないという。それを知っていたら、東京でもまともな博多ラーメンを作ると思うのだが…。

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2000-08-28 農家をダメにする補助金(北海道ゴム長ツアーB

■2000/08/28 (月◇北海道の畑を20数年見ているが、稲作が少ない十勝地方はともかく、最近、農作物の質が落ちているような気がする。特に、十勝地方から上川にバスで移動したりすると、あきれるほど上川の農作物が貧弱に見える。この一番の原因は何か、それは稲作転換畑に対する補助金政策が農政の中心になっているからだ。たとえば、北海道の稲作地帯である上川支庁の稲作減反目標は水田の35%になっている。ここに小麦ないしは大豆を作付すると10アール当り最高7万3000円の補助金が給付される。豆類やビート(甜菜)でも最高4万3000円が給付される。とりあえず、種さえ撒けば、相応の補助金を手にすることができるシステムだ。
◇農協の職員が嘆いていたのは「何もしなくても転作しさえすれば、補助金がもらえるので、農家が良い農作物を作ろうとする意識に欠けている。これでは農業がダメになる」ということだった。今年、政府は小麦と大豆の自給率アップを促すために補助金をアップしているが、農家の中には補助金目当てに大豆と小麦を作付する輩が少なくない。補助金だけが目当てだから、多少畑が荒れていても放り離し、それでも補助金という保険が効いている。だから、一部の不心得な農家はろくすっぽ畑地の面倒も見ずに、雑草を抜くことすらしない。これで質の良い農作物が作れるのか。『悪貨は良貨を駆逐する』という格言があるが、質の悪い農産物が市場に出回れば価格が下落して、まじめに農業に従事している農家のやる気を削ぐことになりかねない。
◇確かに、農家の生産意欲を刺激するのに、補助金政策は必要な手段ではあるが、良い農作物を育てる意欲のない者にまで一律の補助金を与えるのは感心しない。そもそも、行き過ぎた補助金政策は農家に乞食根性を植え付け、農家自身の競争力を弱めるものだ。端的にいえば、異常気象が起こった年以外は不要だと思っている。日本の農業が危機に!!、そう叫んでも農家の質を悪くするだけの農政、今は質を高めるための何か、思想が必要なのだと思う。

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2000-08-28 農地を若者に渡せ

◇「後継者がいない」、「離農が進んでいる」、27日の日記で、そう嘆いたが、逆に北海道の農業が大発展するチャンスだ、と内心思っている。というのも、農家の老齢化が進む一方で、大型農業を夢見る若者たちが少なくないからだ。農業を捨てるのは簡単なことではない。農地を宅地にした場合はこれまでとは比べ物にならないほど税金がかかってくる。また、宅地にしても市街地から離れていてはおいそれと買ってはもらえない。一番効率の良い方法は農地を売るか貸すかなのだ。農地が増えれば、将来に希望を持ち、農家経営を安定させようと思っている農家はより効率の良い生産が出来るはずで、北海道が目指している欧米型農業を推進することができる良いチャンスなのではないか。農業に意欲を持っている若者たちに希望を与えるのではないか。
◇問題はやる気のある農家を誰がどのようにバックアップするかだ。つまり、誰がカネを出すかだ。いまや、他の金融機関同様、首の回らない農協は積極的な融資を控えている。だから、農協はあまり頼りにならない。複数の農家が組合を作って頑張るのもひとつのアイデアだが、これでは個々の農家のレベルアップにはつながらない。ここは農家融資をひとつの公共投資と考えて、やる気のある農家に大型農機具の貸与とか、農地購入資金の超低利融資などの制度を作ってはどうだろう。
◇農業が大型化し、生産効率が上がれば、農産物の価格は下がる。逆にいうと、農家は生産効率重視の農業をしていかないと農家は安定経営が出来ない。この仕組みを構築するには、それなりのカネがかかるが、農家・消費者ともにメリットを享受できるなら、農家への融資は一考の余地はあるはずだし、その資金は十分にあるはずだ。
◇十勝に数年前に有料道路ができた。原生林を開いて完成させたものだが、20キロほどのこの道路をバスで走っていて、いまだかつて対向車に出会ったことがない。この有料道路が札幌まで通じる幹線道路ならいざ知らず、地元民も利用しないゴーストロードで、無用の長物化している。多分、この道路を建設するには100億を超える資金が必要だったはずだ。このカネを十勝の中心産業になっている農業に振り分けたらどうか。やる気のある農家をもっとやる気にさせる政策を執らないと新しい農業の息吹を消すことになりかねない。

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2000-08-27 後継者がいない(北海道ゴム長ツアー@)

◇今回の北海道ツアーの目的は観光ではなく畑周り、夢楽堂の主な仕事は農家、農協、業者への取材とコメント作りだった。その中で一番楽しいのは農家への取材だが、実は今年48歳になる夢楽堂にとって一番きつい仕事でもある。畑に入るには農家の許可を得る必要がある。しかし、北海道の畑は内地のそれと比べるととてつもなく広い。すぐそばにあるように見えても、畑から農家への距離はかなり遠い。舗装道路を走る分には問題はなくても、でこぼこした「あぜ道」や「うね」を走ったり、用水路を駆け抜けたりする。大げさな言い方をすればクロスカントリー、しかも農家の取材をする時に息が切れていては話にならないから、息が切れないように走るといった高等技術を駆使しなければならない。一日に視察する畑が多ければ多いほど、体への負担はかかる。それでもスマイルスマイル、そうでないと初対面の農家からまともな話は聞けない。
◇農家から聞くのは「今年の農作物の出来不出来の具合はどうか」、「例年と比べて今年はどう違うのか」などだが、実をいうとこれらは東京で事前に関係者から取材してあるし、2、3件の農家や農業試験場の担当者の話を聞けば、その年の傾向は把握できる。だから、少し、余裕が出てくると、他のメンバーが実測調査をしている間に夢楽堂は農家の人と世間話を繰り広げることになる。今年、目立った話題が離農の話だ。最初に視察した十勝地方は北海道でも優秀な専業農家の多いところで、兼業農家の多い他の地区と比べると「十勝が大学生なら上川は小学生」(旭川を中心とした地区)といったたとえ話を聞いたことがあった。その大学生の十勝で異変が起きている。高齢化が進み、後継者がいない農家の間で離濃が進んでいるのだ。北海道の農業はカネがかかる。広い畑を耕作するのに農機具に依存しているため、コストがかかってしまう。「十勝地方は外車登録台数が多い」と同行した帯広畜産大の助手が話していたが、トラクターなどの農機具の多くが米国製で、乗用車と違って安売りなど存在しない。気前良くカネを農家に貸していた農協も他の金融機関同様貸し渋っている。もちろん、後継者のいない農家にカネなど貸すわけがない。肥えた土地が十分にあっても農業が続けられる環境が破壊されつつあるのは少し悲しい。

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2000-08-17 頑張れホームレス

◇ホームページを持ちたいけど、どうすればいいんだろう?
ボクがホームページを持っているのを知ってか、そんな質問を受けることが、最近多くなった。答は明瞭、技術的なことは教えられないが、ホームページを持つ意思と少しの勇気があれば、誰だってホームページを作ることができる。それはボク自身が一番よく知っているつもりだ。要は自分で自分自身の背中を押せるかどうかだ。ぐだぐだ考えることはない。
◇ボクのホームページは画像がいっぱいある。画像が動いたりもする。それを見て、ボクがHTMLに明るく、JAVAやMIDIの知識も十分に持っている。そう思っている人がいるが、実はそうではない。ボクはややこしいHTMLの知識もタグの知識もない。いまさら、数学の公式を覚えるように、HTMLなどの知識を頭に叩き込む気もさらさらない。それでもホームページはできる。だから、理数アレルギーの人には最初からHTMLやタグは捨てろといってある。ホームページはIBM・ホームページビルダー頼り、素材も市販のを使っているだけだ。オルゴールのMIDIは会員になって提供してもらった。お気に入りの素材を集め、試行錯誤しながら遊んでいるだけだ。遊ぶという気分になれば失敗も楽しい。
◇予断だが、ボクがホームページ作る準備をしたのが1998年9月。まず何を目玉にするかを決めて、ある程度、体裁が整うまではレンタルの掲示板にコンテンツを載せて蓄積し、公開する時を待った。題して「夢楽堂ストリート建築事務所」、出来上がる過程をネタにしてしまった。個人のホームページは何でも試せる。常識なんて、どこかにやって、いろいろなことにトライしたものが勝ちなんだと思う。
◇中身がお粗末で公開するのが恥ずかしい。皆にお見せできる技術がない。そういって、あきらめる人もいる。でも、あきらめないで欲しい。最初は誰でも初心者だ。少しぐらい体裁が悪くても誰も怒ったりはしない。その分、気持ちで頑張ればいい。その気持ちは訪問者に十分通じる。ボクはそう信じている。もう一度いう。心配は要らない。そのうちに、知らぬ間にいろいろなスキルをを覚えてきて、その人らしいホームページが出来あがる。自分で進化していく、その気持ちがあれば、きっと良いホームページを作ることが出来る。さあ〜、ホームレスから脱却だ。
*ちなみにホームレスはホームページを持たない人たちのことである。

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2000-08-16 八百屋の本分

◆ボクは某業界誌の編集記者ということになっているが、情報にコストがかからず、電話一本かけさえすれば無料で入手できると思っている人が多いのには驚かされる。始発か次の電車に乗って、朝6時半ごろから仕事をするのがボクの生活パターン、他の社員が出社してくる朝10時を過ぎる頃には一仕事終えているのが自慢でもある。朝6時半から10時までがボクの勝負時間、なのに、時として変な電話がかかってきて、ペースが大きく狂わされることがある。
◆もう数週間前になるが、朝の7時半ごろにぶしつけな電話がかかってきた。
「お宅の誌面に新聞記事の紹介がしてあったんだけどさ、大至急ファックスで送ってよ。それがないと困るんだよね」
朝7時半に電話をするくらいだから、もちろん相手は口のききかたを知らない常識知らずだ。最初に名前も会社名も名乗らない。こんな奴をまともに構ってやるほど、ボクもヒマではないし、また、お説教をしてやるほど酔狂ではない。
「お名前と会社名は?」
わざとらしく尋ねると、
「●●社の●●だけど・・・。それより、今からいう電話番号にファックスで送ってよ」
不機嫌そうに答えてきた。
「ファックスで送るのはいいけど、スクラップを探すのに時間もかかる。規定の料金を請求させていただくけど、それでもよいですか?」
そういうと
「新聞のスクラップを送ってもらうのに何故カネがかかるのか」と抵抗してきた。
そういう展開になるとボクの勝ちになる。
◆というのも、大先輩に教えられた殺し文句があるからだ。このセリフは「八百屋では野菜、魚屋では魚介類、本屋では本を売って生活費を稼ぐ。当社は、情報を売って生活しているんです。情報料を払いたくなければ、自分で調べてください」というものだが、大概の人はそこまでいうと引き下がってくれる。もちろん、情報を交換している人には報酬を求めないし、積極的に情報を交換していく。不思議なことに情報の価値を知っている人ほど、無理な注文はしてこない。
◆また、簡単に調べられるものでも、何も考えずに聞いてくる傾向があるのには閉口する。辞書も事典もある。ネットだってある。数年前と比べると格段に良質な情報を集められるはずだ。そういう努力を怠る人間には、どんな情報も猫に小判だ。名前を名乗らないような輩には「そういうサービスをしていない」、そう答えてもバチはあたるまい。

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2000-08-14 墓参りにかえて

●お盆、それはボクが9歳の冬に亡くなった母を偲ぶ日でもある。体が弱いのに、仕事と曾祖母の介護に明け暮れた35歳の短い人生。思えば、葬式の日。母が埋葬されるのを見るのが嫌で、野辺送りの列から家に駆け戻って、母が臨終を迎えた部屋で一人ぼんやりしていたことを覚えている。母の墓参り、思えば、もう20年近くも行っていない。せめて、今日は、以前、ボクが書いた詩をここに載せて、静かに偲ぼうと思う。

 泣き顔

かあさん、ごめんなさい。
ぼくの夢の中にあなたが数えきれないほど出てきても 、
かあさんの笑い声を思い出すことはできません。
両目を閉じて浮かべることができるのはあなたの泣き顔だけです。

かあさんが泣くと、父さんはよく怒ったけれど、
でも、ぼくはあなたの泣いた顔がとても好きでした。

かあさん ぼくを怒るときは、悲しい顔で大粒の涙を流しましたね 。
ぼくをほめるときは、顔をじっと見つめながら涙を浮かべていましたね。
大事な人が死んだときには、大きな声をあげて泣きましたね 。
うれしいときには着物の袖で泣き顔を隠して、ぼくを抱きしめてくれましたね。

こんなかあさんのこどもだから、
康坊は泣き虫のまま大人になりました。
かあさんの泣き顔が大好きだったから、
みんなの前で泣いても恥ずかしくない大人になりました。
かあさんの泣き顔、
今でも、ぼくの大事な宝物です 。

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2000-08-13 あこぎな人々

■2000/08/13 (日) あこぎな人たち

●ボクが主宰しているウェブ・マガジン『夢楽堂ストリート』に中島みゆき関連のコンテンツがある。そこで話題になるのが、夜会の熾烈なチケット争奪戦だ。シアターコクーンで11月下旬から12月に行われる20公演、総計1万5000席の夜会のチケットをゲットする方法は@東急BUNKAMURAの先行予約(葉書抽選)、Aウェブ上での実質的ファンクラブ・でじなみの先行予約(葉書抽選)、B公認ファンクラブ・なみふくの先行予約(葉書抽選)、Cぴあなどの電話申し込み…の4つだ。ところが、ファンクラブに入っていても、正直いって入手できない。みゆきファンなのに『夜会』を鑑賞することができない人たちが多い、こんな不幸な状態が当たり前なのである。
●抽選に外れたのならあきらめもつく。来年は頑張ろう、そんな気にもなる.チケットを取れなかったことも、ある意味では思い出話になる。ところが『夜会』の公演日になると、シアターコクーンの前にダフ屋が出没する。1万3000円のチケットを5万円とか10万円とか法外な価格で売りつけてくる。まあ、ダフ屋はアウトサイダー、決して許せることではないが、警察が取り締まることもできる。やる気になれば壊滅もできないことはない。
●許せないのがチケット屋だ。公演日が近づくと、2枚5万円、場合によっては2枚15万円なるプラチナチケットを陳列してくる。本来、ディスカウントが本分のチケット屋が正規価格の数倍で販売する。チケット屋がダフ屋化している。数年前、法外な価格でチケットを売ったとの理由で、某チケットショップが警察の捜査を受け、チケットを高値で売るのは不当販売ということになったはずだが、今はどうなったのか。詳しいことは知らないが、チケット屋やチケット代行業(もちろん、ダフ屋も…)の中には、電話予約の際にすぐにつながる機器を作って大量入手しているそうだ。これでは一般ファンは泣きを見る。
●最近、新手のチケット高額販売をする連中が出てきた。ファンサイトの掲示板に参入して、メールで高額チケットの購入の誘いをするという。奴らにしても、早くチケットが売れるにこしたことはない。ダフ屋も電脳時代に入ったということか。いずれにしても、人気チケット争奪戦におけるダフ屋とチケットショップの暗躍を、どうにかして排除して欲しいものだ。

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2000-08-11 酒は涙かため息か

●ここに日記を書きだして数日しか経っていないのに、思わぬ反響に驚いている。ボクが保有しているホームページの常連さんなら、いざ知らず、初対面の人から、早速、ファンメールなるものを頂戴した。そのなかで、なぜタイトル名が“おでんと塩辛の日々”なのか、塩辛というタイトルがついている以上はきっと酒飲みに違いない…てな質問があったので、自己紹介がてら返答させていただこう。
●まず、ボクが酒飲みかどうかだが、全くの下戸といってよいだろう。なのに、ボクはどうも酒飲みに見えるらしく、旅に出ている時でもコップ酒とか茶碗酒を気安く振舞っくれる人が多い。でも、実際のところ、お猪口で2、3杯も飲んだら、世界中の酒を飲み干したような顔になってしまう。『そんなにお弱いならビールでも、…」などと、コップに注がれでもしたら最悪なのある。ビールはいかん、絶対にいかん。ビールをコップ1杯以上飲むと、気持ち悪くなるだけでなく、腸から出血してタール便が出てくる、場合によっては翌日は医者に点滴を売ってもらう破目になりかねない。どうしても飲まなければならない時は、時間をかけてチビチビ飲れる日本酒かウィスキーを飲むことにしている。
●断っておくが、酒はほとんど飲めなくても、決して酒席は嫌いではない。中には、酒に合わせて作る料理もあるし、酒があったほうが弾む話もある。酒が入ることで、楽しい話はより楽しく、悲しい話をより悲しく感じることが出来れば、これほど良いことはない。もともと、我が家系は大酒のみの家系、祖母は毎日1升が晩酌だったし、親父は米兵とウォッカの飲み比べをし柔道ごっこまでして、急性アルコール中毒にかかった。心臓バクバクで死ぬと確信したのだろう。兄弟3人を夜中に起こして遺言を残した前科がある。ボクに4歳の時に映画のい手ほどきをしてくれた叔父は、小学校6年生の時、コップ酒を1杯、飲み干さないと学校にいかなかった。祖母の直接の血を引いた叔母4人は我が親父の喜寿の祝いの温泉旅行でウィスキー6本をカラにした。なぜ、ボクが下戸なのか、祖母と親父の兄弟姉妹がボクの飲む分まで飲み干してしまったからなんだと思う。
 おでんと塩辛に関しては後日ということでご容赦ということで…。

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2000-08-09 それでも好きだぜ北海道

●8月21日から北海道へ行くことになった。十勝平野に中心地、中島みゆき教のメッカ・帯広から上川、富良野、そして石狩に抜ける5泊6日のコース、50人乗りの大型バスに随行17人、観光地へ向けて走っていく『赤い風船』などの観光バスを尻目にひたすら畑を回る。参加するメンバーには『観光が楽しめる。カニが食える。酒も飲める、温泉にも入れる!』てな、おいしいことをシャーシャーといってのけるが、観光は単なる移動のついでなのである。かわいそうに、バスのなかではボクの駄洒落つきのレクチャーが待っているのだ。いい忘れた。ボクたちの目的は、北海道の畑に実際に入って、その年の農作物の作柄を判断するものだ。ボクの主な仕事は、他のメンバーが畑のなかに入って実測をしている最中に、農家や農協の人たちを取材し、最終的には実測の値をベースにして、その年の作物事情をレポートするのが仕事になる。それ以外に自分の会社用の原稿を起こさなければならない。従って、3時間も眠れば良いほうだ。
●取材といえば聞こえがよい。しかし、実際のところは体力仕事なのだ。まず、農家から畑に入っていいかどうかの許可を得なければならないのだが、北海道は畑と農家の距離がかなり離れていることが少なくない。てなわけで、長い距離を必然的に走らなければならない。いや、走るだけなら、少しはラクチンかも知れない。肝心なのは息切れをしないで、農家のもとへ足を運ばなくてはならないことである。汗だらだら、息ぜいぜいでは農家から話はとれない。取材なんて受けたことのない農家の人たちの緊張を高めてしまう。とにかく気を使う仕事で心身ともにくたくたになる。
●だったら、北海道なんか行かなければいいじゃないか! そう思う人は少なくないはずだ。でも、毎年、同じ時期に北海道の畑を見ていると、行くたびに農作物が違う顔を見せていることに気がつく。自分がいつの間にか農産物と対話していることに気がつく。農家が丹精な仕事をすれば、それだけ立派な作物が生まれることもよく分かった。1年に1回だけしか会わないのに歓待してくれる人もいる。ボクが取材にくるのを待っている農家もいる。体はあんなにきついのに北海道にやっぱり行きたい。壮大な畑が、農家がどんな顔をしてボクを待っているか、何だか楽しみになってきた。

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