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夢樂堂月彦の『元祖 図鑑・即熱、玩具匣』

やっぱり、ひとりよりふたりだよね。

次の満月は9月8日、新月は9月22日です。
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2000-08-16 八百屋の本分
2000-08-14 墓参りにかえて
2000-08-13 あこぎな人々
2000-08-11 酒は涙かため息か
2000-08-09 それでも好きだぜ北海道


2000-08-16 八百屋の本分

◆ボクは某業界誌の編集記者ということになっているが、情報にコストがかからず、電話一本かけさえすれば無料で入手できると思っている人が多いのには驚かされる。始発か次の電車に乗って、朝6時半ごろから仕事をするのがボクの生活パターン、他の社員が出社してくる朝10時を過ぎる頃には一仕事終えているのが自慢でもある。朝6時半から10時までがボクの勝負時間、なのに、時として変な電話がかかってきて、ペースが大きく狂わされることがある。
◆もう数週間前になるが、朝の7時半ごろにぶしつけな電話がかかってきた。
「お宅の誌面に新聞記事の紹介がしてあったんだけどさ、大至急ファックスで送ってよ。それがないと困るんだよね」
朝7時半に電話をするくらいだから、もちろん相手は口のききかたを知らない常識知らずだ。最初に名前も会社名も名乗らない。こんな奴をまともに構ってやるほど、ボクもヒマではないし、また、お説教をしてやるほど酔狂ではない。
「お名前と会社名は?」
わざとらしく尋ねると、
「●●社の●●だけど・・・。それより、今からいう電話番号にファックスで送ってよ」
不機嫌そうに答えてきた。
「ファックスで送るのはいいけど、スクラップを探すのに時間もかかる。規定の料金を請求させていただくけど、それでもよいですか?」
そういうと
「新聞のスクラップを送ってもらうのに何故カネがかかるのか」と抵抗してきた。
そういう展開になるとボクの勝ちになる。
◆というのも、大先輩に教えられた殺し文句があるからだ。このセリフは「八百屋では野菜、魚屋では魚介類、本屋では本を売って生活費を稼ぐ。当社は、情報を売って生活しているんです。情報料を払いたくなければ、自分で調べてください」というものだが、大概の人はそこまでいうと引き下がってくれる。もちろん、情報を交換している人には報酬を求めないし、積極的に情報を交換していく。不思議なことに情報の価値を知っている人ほど、無理な注文はしてこない。
◆また、簡単に調べられるものでも、何も考えずに聞いてくる傾向があるのには閉口する。辞書も事典もある。ネットだってある。数年前と比べると格段に良質な情報を集められるはずだ。そういう努力を怠る人間には、どんな情報も猫に小判だ。名前を名乗らないような輩には「そういうサービスをしていない」、そう答えてもバチはあたるまい。

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2000-08-14 墓参りにかえて

●お盆、それはボクが9歳の冬に亡くなった母を偲ぶ日でもある。体が弱いのに、仕事と曾祖母の介護に明け暮れた35歳の短い人生。思えば、葬式の日。母が埋葬されるのを見るのが嫌で、野辺送りの列から家に駆け戻って、母が臨終を迎えた部屋で一人ぼんやりしていたことを覚えている。母の墓参り、思えば、もう20年近くも行っていない。せめて、今日は、以前、ボクが書いた詩をここに載せて、静かに偲ぼうと思う。

 泣き顔

かあさん、ごめんなさい。
ぼくの夢の中にあなたが数えきれないほど出てきても 、
かあさんの笑い声を思い出すことはできません。
両目を閉じて浮かべることができるのはあなたの泣き顔だけです。

かあさんが泣くと、父さんはよく怒ったけれど、
でも、ぼくはあなたの泣いた顔がとても好きでした。

かあさん ぼくを怒るときは、悲しい顔で大粒の涙を流しましたね 。
ぼくをほめるときは、顔をじっと見つめながら涙を浮かべていましたね。
大事な人が死んだときには、大きな声をあげて泣きましたね 。
うれしいときには着物の袖で泣き顔を隠して、ぼくを抱きしめてくれましたね。

こんなかあさんのこどもだから、
康坊は泣き虫のまま大人になりました。
かあさんの泣き顔が大好きだったから、
みんなの前で泣いても恥ずかしくない大人になりました。
かあさんの泣き顔、
今でも、ぼくの大事な宝物です 。

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2000-08-13 あこぎな人々

■2000/08/13 (日) あこぎな人たち

●ボクが主宰しているウェブ・マガジン『夢楽堂ストリート』に中島みゆき関連のコンテンツがある。そこで話題になるのが、夜会の熾烈なチケット争奪戦だ。シアターコクーンで11月下旬から12月に行われる20公演、総計1万5000席の夜会のチケットをゲットする方法は@東急BUNKAMURAの先行予約(葉書抽選)、Aウェブ上での実質的ファンクラブ・でじなみの先行予約(葉書抽選)、B公認ファンクラブ・なみふくの先行予約(葉書抽選)、Cぴあなどの電話申し込み…の4つだ。ところが、ファンクラブに入っていても、正直いって入手できない。みゆきファンなのに『夜会』を鑑賞することができない人たちが多い、こんな不幸な状態が当たり前なのである。
●抽選に外れたのならあきらめもつく。来年は頑張ろう、そんな気にもなる.チケットを取れなかったことも、ある意味では思い出話になる。ところが『夜会』の公演日になると、シアターコクーンの前にダフ屋が出没する。1万3000円のチケットを5万円とか10万円とか法外な価格で売りつけてくる。まあ、ダフ屋はアウトサイダー、決して許せることではないが、警察が取り締まることもできる。やる気になれば壊滅もできないことはない。
●許せないのがチケット屋だ。公演日が近づくと、2枚5万円、場合によっては2枚15万円なるプラチナチケットを陳列してくる。本来、ディスカウントが本分のチケット屋が正規価格の数倍で販売する。チケット屋がダフ屋化している。数年前、法外な価格でチケットを売ったとの理由で、某チケットショップが警察の捜査を受け、チケットを高値で売るのは不当販売ということになったはずだが、今はどうなったのか。詳しいことは知らないが、チケット屋やチケット代行業(もちろん、ダフ屋も…)の中には、電話予約の際にすぐにつながる機器を作って大量入手しているそうだ。これでは一般ファンは泣きを見る。
●最近、新手のチケット高額販売をする連中が出てきた。ファンサイトの掲示板に参入して、メールで高額チケットの購入の誘いをするという。奴らにしても、早くチケットが売れるにこしたことはない。ダフ屋も電脳時代に入ったということか。いずれにしても、人気チケット争奪戦におけるダフ屋とチケットショップの暗躍を、どうにかして排除して欲しいものだ。

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2000-08-11 酒は涙かため息か

●ここに日記を書きだして数日しか経っていないのに、思わぬ反響に驚いている。ボクが保有しているホームページの常連さんなら、いざ知らず、初対面の人から、早速、ファンメールなるものを頂戴した。そのなかで、なぜタイトル名が“おでんと塩辛の日々”なのか、塩辛というタイトルがついている以上はきっと酒飲みに違いない…てな質問があったので、自己紹介がてら返答させていただこう。
●まず、ボクが酒飲みかどうかだが、全くの下戸といってよいだろう。なのに、ボクはどうも酒飲みに見えるらしく、旅に出ている時でもコップ酒とか茶碗酒を気安く振舞っくれる人が多い。でも、実際のところ、お猪口で2、3杯も飲んだら、世界中の酒を飲み干したような顔になってしまう。『そんなにお弱いならビールでも、…」などと、コップに注がれでもしたら最悪なのある。ビールはいかん、絶対にいかん。ビールをコップ1杯以上飲むと、気持ち悪くなるだけでなく、腸から出血してタール便が出てくる、場合によっては翌日は医者に点滴を売ってもらう破目になりかねない。どうしても飲まなければならない時は、時間をかけてチビチビ飲れる日本酒かウィスキーを飲むことにしている。
●断っておくが、酒はほとんど飲めなくても、決して酒席は嫌いではない。中には、酒に合わせて作る料理もあるし、酒があったほうが弾む話もある。酒が入ることで、楽しい話はより楽しく、悲しい話をより悲しく感じることが出来れば、これほど良いことはない。もともと、我が家系は大酒のみの家系、祖母は毎日1升が晩酌だったし、親父は米兵とウォッカの飲み比べをし柔道ごっこまでして、急性アルコール中毒にかかった。心臓バクバクで死ぬと確信したのだろう。兄弟3人を夜中に起こして遺言を残した前科がある。ボクに4歳の時に映画のい手ほどきをしてくれた叔父は、小学校6年生の時、コップ酒を1杯、飲み干さないと学校にいかなかった。祖母の直接の血を引いた叔母4人は我が親父の喜寿の祝いの温泉旅行でウィスキー6本をカラにした。なぜ、ボクが下戸なのか、祖母と親父の兄弟姉妹がボクの飲む分まで飲み干してしまったからなんだと思う。
 おでんと塩辛に関しては後日ということでご容赦ということで…。

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2000-08-09 それでも好きだぜ北海道

●8月21日から北海道へ行くことになった。十勝平野に中心地、中島みゆき教のメッカ・帯広から上川、富良野、そして石狩に抜ける5泊6日のコース、50人乗りの大型バスに随行17人、観光地へ向けて走っていく『赤い風船』などの観光バスを尻目にひたすら畑を回る。参加するメンバーには『観光が楽しめる。カニが食える。酒も飲める、温泉にも入れる!』てな、おいしいことをシャーシャーといってのけるが、観光は単なる移動のついでなのである。かわいそうに、バスのなかではボクの駄洒落つきのレクチャーが待っているのだ。いい忘れた。ボクたちの目的は、北海道の畑に実際に入って、その年の農作物の作柄を判断するものだ。ボクの主な仕事は、他のメンバーが畑のなかに入って実測をしている最中に、農家や農協の人たちを取材し、最終的には実測の値をベースにして、その年の作物事情をレポートするのが仕事になる。それ以外に自分の会社用の原稿を起こさなければならない。従って、3時間も眠れば良いほうだ。
●取材といえば聞こえがよい。しかし、実際のところは体力仕事なのだ。まず、農家から畑に入っていいかどうかの許可を得なければならないのだが、北海道は畑と農家の距離がかなり離れていることが少なくない。てなわけで、長い距離を必然的に走らなければならない。いや、走るだけなら、少しはラクチンかも知れない。肝心なのは息切れをしないで、農家のもとへ足を運ばなくてはならないことである。汗だらだら、息ぜいぜいでは農家から話はとれない。取材なんて受けたことのない農家の人たちの緊張を高めてしまう。とにかく気を使う仕事で心身ともにくたくたになる。
●だったら、北海道なんか行かなければいいじゃないか! そう思う人は少なくないはずだ。でも、毎年、同じ時期に北海道の畑を見ていると、行くたびに農作物が違う顔を見せていることに気がつく。自分がいつの間にか農産物と対話していることに気がつく。農家が丹精な仕事をすれば、それだけ立派な作物が生まれることもよく分かった。1年に1回だけしか会わないのに歓待してくれる人もいる。ボクが取材にくるのを待っている農家もいる。体はあんなにきついのに北海道にやっぱり行きたい。壮大な畑が、農家がどんな顔をしてボクを待っているか、何だか楽しみになってきた。

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