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読書日乗/閑人編

茨城県民の読書日乗
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2003-10-01 六本木
2003-09-14 「YMOコンプレックス」円堂都司昭 平凡社
2003-09-13 「ウルトラマン創世期」桜井浩子 小学館
2003-09-08 『「世界」とはいやなものである』関川夏央 NHK出版
2003-08-30 雑草
2003-08-28 「ブルーホール」星野之宣 講談社漫画文庫
2003-08-25 「日本の怪獣・幻獣を探せ!」宇留島進 広済堂文庫
2003-08-23 家族な一日
2003-08-22 「オープンソースワールド」川崎和哉編著 翔泳社
2003-08-11 「会社はこれからどうなるのか」岩井克人 平凡社


2003-10-01 六本木

仕事で六本木へ行く。
会社の同僚に打合せで六本木に行くといっても笑いながら、どこへ飲みにいくのか、と聞かれる。
そういう街なのである。
早めに着いてコーヒーショップに入ると、怪しげな外国人が多い。
流暢な日本語で日本人の若者になにやら売りつけているフランス人が隣席にいる。
仕事でも時々、外国人と商談をすることもある。
そんな時に浮かんでくるのが、関川夏央の言葉だ。
「得体の知れない人々と競合共存しなければ生きられないのだという不安」
にかられることが、最近多くなった。

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2003-09-14 「YMOコンプレックス」円堂都司昭 平凡社

YMOについて書かれたエッセイ集だが、どうも視点が定まらないところが仇になって
、面白さがいまひとつ。

今日は教会に行った後、暑いのでショッピングセンターに避難。
お昼を食べ、買い物をして家に帰る。
なにもないふつうの日曜日のすごし方である。
夜は涼しくなり、ビールがおいしいのであった。

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2003-09-13 「ウルトラマン創世期」桜井浩子 小学館

ウルトラマンの科特隊にいた女性隊員が書いたウルトラマン撮影時の思い出書きのよう
な本だ。思ったほど面白くないもので、楽しめたのは毒蝮三太夫らが出席した座談会の
模様ぐらいか。この毒蝮という人は芸能界でも不思議な存在ですね。

今日は家族で遠出する予定だったが、昨夜酔っパライであった私の不覚のために中止。
図書館に行き、ショッピングセンターに行くだけという、普通の一日で終わってしまっ
た。反省。

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2003-09-08 『「世界」とはいやなものである』関川夏央 NHK出版

サブタイトルに「極東発、世紀をまたぐ視線」とある。

「大正に軍を軽蔑して、昭和に日本は軍に滅ぼされた。昭和戦後に政治をばかにして、
平成に政治の貧困のために日本が滅びるのは天の報いだが、政治を軽んじても船が航行
し得た時代はバブル経済直前にすでに終焉していたことだけは、よくよく知っておく必
要がある。」
そんな本だ。

私たちの社会はあきらかに煮つまっていることを、堂々としかも近代から現代に渡る東
洋の歴史を総局に把握しながら、相対的に語り継ぐ文章の数々は最近の政治を語る不毛
な言葉たちを補って余りあるものだと思う。

「それにしても世界とはつくづくいやなところである。あのハイテクのかたまりのよう
な旅客機がカッターナイフでハイジャックされ、それが七千人の死につながったとは、
虚を衝かれすぎて言葉もない。歴史とは結局進歩しないのである。」
ほんとに、その通りであると思う。

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2003-08-30 雑草

土曜日の朝はけだるかった。
昨夜、友人たちと酒を飲んだせいである。それ自体は楽しかったのだが、体が根をあげ
ているのだった。
今週は火曜日に仕事の打ち上げで不用意に飲んでしまっているので、週二回の外酒なの
が原因だ。
四十歳を越えた体には週二回の外酒はきついということなのだが、世の中にはそんなこ
とにはなんの障害にもならない人もいる。
別にうらやましい訳ではないが、午前中を居間でふせって終わる休日は情けない、と自
分に言いたいだけのことである。
午後はかみさんが作ってくれたミソラーメンで復調し、少しばかり遠目の公園に子供と
もども出かける。
すでに秋風と言えるような空気の中で、人工の山に登り、花火をくずが残るその辺を散
歩するのは、まあまあ気持ちがいいことだ。
子供たちはミミズの死骸を見つけて喜んだり、シオカラトンボを追いかけたりしている

人工的ではあれ、雑草が繁る自然で過ごすのは、精神的にも良いことだ。

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2003-08-28 「ブルーホール」星野之宣 講談社漫画文庫

マンガを読むのは久しぶりだ。
これはむちゃくちゃなSFで、現代と中世代白亜期が繋がっているミステリーホールが
見つかり、恐竜が生息している世界に迷い込んだ人間が巻き起こす、ジュラシックパー
クみたいな話だ。
それでも強引に読ませてしまうのはこのマンガ家の実力で、一気に読んで寝不足になっ
てしまいました。

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2003-08-25 「日本の怪獣・幻獣を探せ!」宇留島進 広済堂文庫

実にくだらない本なのである。
知る人ぞ知るヒバゴンとかヤマゴンとかクイゴンといった獣人とか、イッシーとかクッ
シーとかトッシーとかモッシーといった怪竜とか、ツチノコやカッパのとの遭遇事件を
集めたものである。
ウルトラQ世代はこういう本に抵抗力がないのである。

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2003-08-23 家族な一日

ようやく夏らしくなった初めての土曜日。
近場のレジャーランドであるポティロンへ行く。
とにかく暑い。
思ったより人出は少なく、みんな海かプールにでもいったのだろう。
こちらはまだ幼児組なので底の浅いじゃぶじゃぶ池というところで水遊びをさせていた。
そのあとはかみさんの作ったお弁当を食べ、小動物と遊び、乗り物に乗せたりと、家族な一日でした。
今日は家に帰ってトドのように眠りました。

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2003-08-22 「オープンソースワールド」川崎和哉編著 翔泳社

今ごろになって、ですが、オープンソースの基本文献であるレイモンドの三部作を読みました。
これはウェブとかインターネットに関わっている人とか、それを生業にしている人には必読の論文で、読んだことがない人は素人といわれても仕方がないものです。
かの山形浩生訳の「伽藍とバザール」「ノウアスフィアの開墾」「魔法のおなべ」を中心として、オープンソースの関係者のインタビューなどをまとめた本です。
よくインターネット革命という表現をする人がいるけれども、もしかしたらそれほど大げさではない、と思わせられたりもする。
これはインターネットを支えているウェブサーバとかメールとかオペレーションシステムを無料で開発し、無料で提供している人たちの思考や行動をまとめた、マニフェストとも読めるからだ。
マニフェストと言えば、ダダやシュールレアリズムの宣言が有名だけど、そうした運動が一般にまで影響が及ぶことはなかったと思う。
しかし今のインターネットはテレビ並みの普及に向かいつつあるからだ。
まあいま、インフラの水道や電気の仕組みを知りたいとういう人は少ないと思うけれど、インターネットと同時代に生きる私たちには知っておいて損はない、ハッカーの文化圏がまさにリアルタイムで描かれているのだ。
実際ここに載っている論文はインターネットで無償で読むことができる。
それを印刷した本で読むというのも個人が選ぶひとつの選択肢なのである。
ここにはお金の価値が絶対値ではない、思考と行動の実践がたくさん詰まっている。

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2003-08-11 「会社はこれからどうなるのか」岩井克人 平凡社

日本人でノーベル経済賞を取るとしたら、この人しかいないと言われている経済学者の
一般人向けの本だ。
内容はこれからの日本と経済、その中で揺れ動いている会社というシステムについて平
明に書かれている、わかりやすくて刺激的な本である。
どうして今の日本経済の低迷があるのか、果たして日本の「会社」というのはどのよう
な存在でどんな仕組みで動いているのか、私たち労働者というものはどのようにこの会
社や日本経済と関わっているのか、そしてこれからどんな役割を私たちと会社は担おう
としているのか。
こうしたことをくっきりとした輪郭を明示しながら、推論を進めていく筆致はまさしく
プロだと思える論考となっている。
根底的な資本主義とは何か、といった議論にも紙幅を割いているので、いまの世界が物
事や思考の「差異」を追求していくしかない複雑化した怪物のような様相となっている
ことを何度も諭さられる仕組みともなっている。
そして論考はさらに未来に及び、資本主義の未来としては経済活動はどんどん細分化し
ていって、いづれNPOや個人業態が主流となるだろうと結んでいる。
私がとても感じ入ったのは、冒頭の次の文章でした。

アメリカ型の株主主権論がこれからの会社のあり方のグローバル標準とはなりえない、
とわたしが言うことの第二の根拠は、まさにその二十一世紀の資本主義において、おカ
ネ(資金)の重要性がますます失われていくということにあります。
株主とは、会社にたいする究極的なおカネ(資金)の供給者ですが、このおカネの供給
者の力がこれからの会社のなかのバランス・オブ・パワーにおいて、ますます軽くなっ
ていくはずであると論じようと思っているのです。
その意味で、未来に向けて繁栄していく会社の姿は、かならずしも株主主権的な会社で
はないはずであるのです。

リストラといった今の日本の現況を含め、自分の身の回りの経済を考えるのにはとても
良いテキストであり、アメリカ型の経済にもその答えはないとする論旨にはとても頷け
るものがありました。

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