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読書日乗/閑人編

茨城県民の読書日乗
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2004-04-29 「笑犬樓よりの眺望」筒井康隆 新潮社
2004-04-28 「お父さんは時代小説が大好き」吉野朔実 角川文庫
2004-04-27 「学ぶとは何だろうか」鶴見俊輔座談 晶文社
2004-04-25 「青春の光と影」戦後短篇小説再発見 講談社文芸文庫
2004-04-18 「血と砂」イバーニェス 岩波文庫
2004-04-17 『ラテン音楽名曲名演名唱ベスト100』竹村淳 講談社
2004-04-16 『神の子どもたちはみな踊る』村上春樹 新潮文庫
2004-04-15 『サウンドトラック』古川日出男 集英社
2004-04-14 『地球の裏のマヨネーズ』椎名誠 文藝春秋
2004-04-13 『偽書作家列伝』種村季弘 学研M文庫


2004-04-29 「笑犬樓よりの眺望」筒井康隆 新潮社

廃刊となった「噂の真相」に連載していた、けっこう毒舌なエッセイで、読んでいて小気味好い。
今日は天気が良く、久しぶりに子供と川縁りを散歩する。
気が晴れるというのはこういうことをいうのだろうなあ、と思いたくなる気候である。
世の中は連休モードに入ったのか、景色がいくぶん静かに見える。
今年は事情により長野に帰れないのが寂しい。
休みが仕事で縛られるのも寂しい。
なんとなく何をしていても寂しい。
秋じゃねーぞ。

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2004-04-28 「お父さんは時代小説が大好き」吉野朔実 角川文庫

今日も胃が痛い会議をこなし、日がな会社を辞めることを考えていたのであった。
今年に入ってから一日が長い。
嫌なことが多いからである。
明日が休みだと生きた心地がしてくる。
しかし連休の何日かは仕事なのであった。
はあ。
本を題材にしたこの漫画。
けっこう胃には好い。

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2004-04-27 「学ぶとは何だろうか」鶴見俊輔座談 晶文社

「6、70十年前は戦争へ行って国土をひろげるのが国体だったんですが、いまは経済ですね。」
「金をもっていなきゃだめだ、金を稼ぐために努力するのはあたりまえじゃないか、これが新しい国体ですよ。いま日本を支配している国体ってそういうものなんですよ。」
いまどきの絶対的な価値観はお金以外にない。それより価値があるものはこの世にない。
その通りなのである。
この価値観から自律的に、客観的に物事を見るためには、宗教的な価値観しかないだろう。

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2004-04-25 「青春の光と影」戦後短篇小説再発見 講談社文芸文庫

このださいタイトルが今日では、とても心地よい。
しかもそれぞれの短篇がとても刺激的なのである。
いまとなると時代の刻印が目立つ大江健三郎や金井美恵子より、思想性が希薄な石原慎太郎や丸山健二の方が面白い。

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2004-04-18 「血と砂」イバーニェス 岩波文庫

闘牛という文化がスペインの世界帝国の没落とともに栄えたという、著者が登場人物に語らせる論旨はとても納得できる。
現実の血生臭い戦争から劇場で行われる戦争へと暴力を変化させることで人間性を保とうとしたのだと思う。
代理戦争と呼ばれるオリンピックやサッカーのようなものだ。
日本の戦後の繁栄もプロレスや野球、やくざ映画といったカタルシスがかなり大きな緩衝装置として働いていたのだろう。
そして消費尽くされたそれらはこの小説の主人公である闘牛士の最後のように哀れなものなのである。

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2004-04-17 『ラテン音楽名曲名演名唱ベスト100』竹村淳 講談社

お休みである。
今日はかみさんが髪を切りに行くので、子供達を連れて農業講演に遊びに行く。
暑いぐらいに天気がよく、遊覧するには丁度よい気候であった。
いつもこんなおおらかな気持ちで生活できればいいんだけど。

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2004-04-16 『神の子どもたちはみな踊る』村上春樹 新潮文庫

再読である。
仕事が忙しい最中に村上春樹を読むと体に利く時がある。
いつもとは違う体のさざめきがふるふると肌に伝わってくるのだ。
精神というものは体から独立したものだという日常意識があるのだけれど、こういう本を読むことで体の底の方で何かを感じている自分を知ることができる。
それはあくまで身体的な感情なのだ。

「かえるくん、東京を救う」に登場するサラリーマンのように、人知れず世の中の人々のために尽くすというのは、生活が精神を形成するみたいな感じで、他人を信じていこうという謙譲な気持ちにさせてくれる。

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2004-04-15 『サウンドトラック』古川日出男 集英社

熱帯化した東京を舞台に、奇矯な兄妹の成長を描いた長編である。
骨子は村上龍の「コインロッカーベイビーズ」のようである。
前半はかなりひきこまれるテンポのよい筆致だが、後半はアイディアが拡散しすぎて収拾がつかなくなった感じだ。
おしいなあ。

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2004-04-14 『地球の裏のマヨネーズ』椎名誠 文藝春秋

だんだんと説教くさくなってきた椎名誠のエッセイである。
しかし読んでいる私も共感できてしまうのだから、おじさんの感慨なのか、めっきり世の中は味気なくなってきているのかのどっちかだ。
未来というかいまの地球に明るさがないのは、歴史的に見ると危険な情况なのだろうな。
あるいは種としての日本人だけの固有なものなのか。
長い不況が続く経済は軟着陸できたのかもしれないが、閉塞感という壁はまるで万里の長城のようである。

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2004-04-13 『偽書作家列伝』種村季弘 学研M文庫

久しぶりに種村さんを読む。
相変わらず面白い。
比べるまでもないのかも知れないが、昭和のマニアな物書きと平成のオタクな物書きは、洋食屋と吉野屋ぐらいの開きがある。
まあこういう比べ方自体、発想が貧困なのだが、視線の奥行きがかなり違うと思うんだよな。
子供の学力低下と無関係ではないとも思ったりする。
凡庸という言葉をして、蓮見重彦がワールドカップ決勝戦の後、日本の若者がスタジアムを掃除していたのを見て激怒したという噂は、どこか不安を掻き立てられるお話だと思う。

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