2001-05-17 スペイン、ポルトガル報告３０「パンはポルトガル語でもパン」
2001-05-16 スペイン・ポルトガル報告２９「私はもひとつ胃が欲しい」
2001-05-12 スペイン、ポルトガル報告２８「バルセロナのキワモノ」
2001-05-05 スペイン・ポルトガル報告２７「カサ・ミラの廊下に浮かぶ月」
2001-05-01 スペイン、ポルトガル報告２６「わし眠たいねん」
2001-04-28 スペイン・ポルトガル報告２５「ポルトガルの海の男」
2001-04-22 スペイン・ポルトガル報告２４「カサ・ミラのおとぼけ煙突」
2001-04-14 スペイン・ポルトガル報告２３「ＩＴＡＭＥの板前」
2001-04-03 スペイン・ポルトガル報告２２「東京、大阪、名古屋 in JAPANESE RESTAURANT」
2001-03-31 スペイン・ポルトガル報告２１「サグラダ　ファミリアへの遥かなる道のり　その２」

ポルトガルのポルトにあるレストランで出てきたパンなのである。
ポルトガルのパンはかたくてずっしりしているものが多い。
味はたいていかすかな塩味がするだけなのだが、噛めば噛むほど素材の味がでてきてとても旨いのである。
　
むこう側の黒っぽいパンはとうもろこしパンでしっとりずっしり密度がとても高い。
これが私的には大ヒットで、ポルトのそれもごく限られた地域でしか手に入らないらしいのだが、これとオリーブとチーズを齧りながらワインを飲んでると、涙がじわーと出てくるほど感動的な旨さであった。

ふと思い出したのだがラ・フォンテーヌ寓話かなにかで
「この老夫婦はとても貧乏で食事にパンと少しのチーズとワインしか買うお金がありませんでした。」というくだりを読んで、こども心に「毎日パンとチーズを食ってワインまで飲んで何が貧乏やねん」と不思議に思っていた。
この歳になってやっとわかった。それがメインディッシュが買えない比喩であったことを。

なにはともあれポルトガルのパンは質実剛健（今や日本では消滅しつつある概念だが）なのである。

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ポルトガル人の昼飯にまともに付きあっていたら胃がいくつあっても足りない。

胃がひとつしかないというハンディを「食意地」という私の最大の武器で補って、
ポルトガル人と対等の勝負をしてきたのであるが、物事にはやはり限界というものがある。夕食まで毎日付き合っていたら間違いなく帰りのフライトでオーバーウエイト料金を徴収されるであろう。

夜仕事が終わって一人になった私は、いつも軽い目の食事で十分であったので、
ホテルの隣のスーパーで胃にもたれない程度の量り売りのお惣菜を買ってきて、安くて旨いワインとビールで軽く夕食を済ますということが常であった。

この日はシーフードのサラダと、エビのマリネ、それにオリーブをつまみに赤ワインとスーパーボックという私好みのビールなのである。

うーんしあわせ。

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バルセロナでわたしが泊まっていたすぐ近くの地下鉄駅「マリア　クリスティナ」入り口に貼ってあったポスターなのだが、広告主不明、広告対象不明（私にだけわからないのかもしれないが）、妙な居心地のワルさとインパクトだけあるのである。

いつも地下鉄に乗るたびにわたしは頭の上にいっぱい「？？？」マークをつけたまま階段を駆け下りていた。

何の広告だったのか今でも気になる。

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バルセロナ、ガウディの建築「カサ・ミラ」邸内は博物館になっている。
これはその廊下にある照明なのだ。


どことなく東洋風であるやわらかな絵に惹かれて思わずレンズを向けていた。

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ポルト、ドウロ川沿いのベンチに座ってうたた寝中の赤ら顔のオヤジ。
どんな夢見てるんだろう。

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天気がよかったのでその日は朝から散歩をしていた。
ホテルを出て歩いて40分ほどのところにある広大な公園でのんびりと本を1時間ほど読んだあと、海の方に足を伸ばした。
その日大西洋は波が高く、私の家のある和歌浦の穏やかな海には無い荒々しい表情は見ていて飽きなかった。
古城を背にその釣り師は黙々とキャスティングを繰り返していた。

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バルセロナといえばガウディ。ガウディといえばサントリーのＴＶＣＭ。
サントリーといえばビール。ああビールが旨い春の宵。ということで今日はビールの話を・・・あ、違った。ガウディなのだ。
ガウディの造形は独特であり時代を超越している。
作品を目の前にしたとたん我々は異次元に引きこまれてしまったような錯覚に陥る。
不安定な形のようで安定している。
繊細であり大胆で、寡黙であるのに饒舌である。

この写真は、カサ・ミラの屋上にある換気塔や煙突である。
すっとぼけた表情にこちらも心が和むのであった。

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ポルトの日本レストラン「ＩＴＡＭＡＥ」の板前ブラジル人エドソン君である。
彼は英語も日本語もすこーししか話せない。ところが困ったことに喋り好きなのだ。
だから私が何か話し掛けると調理の手を止めてことばをさがしはじめるのである。
そしてようやく思いつた片言のことばで喋っている間もずっと手はとまったままである。
おーーい！魚さばく時は手早さが命ちがうんかい！
ようやく調理を再開しても、私が料理の味をひとことでも誉めようもんなら今度は後の棚からボロボロになった「魚の捌き方と盛りつけ例」という分厚い写真入の料理解説本を取り出して、にこにこしながら見せてくれるのである。
プロの職人がこんなに簡単に手の内明かしてもええんかい！

何はともあれどこか憎めないエドソン君なのだ。

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私は海外でもどうしても日本食を食べないと気が済まないというタイプではない。
ポルトガル第２の都市オポルト（ポルトともいう）に前回来た時は一軒も日本料理屋がなかった。今回ホテルの部屋でなにげなくイエローページをめくっていると、なんと一軒日本料理屋の名前が登録されている。名前は「ITAMAE板前」あるとわかれば行ってみたくなるのが人情である。
しかも私には次の出張者のために、情報収集をしておく義務がある。アドレスを見ると幸い歩いていける距離にある。早速次の土曜日に出かけることにした。

アパート風の建物の小さい扉を押して中に入るとまだ木の香りが残っていそうなできたばかりの内装で、手前にカウンター、奥にはテーブルの部屋がある。まだ客はいない。
スタッフに日本人はいないようである。私はカウンターの席に座った。

板前さんはサンパウロで日本人が経営するすし屋で修行をつんだというブラジル人で、ポルトガル語の他には、挨拶程度の英語と日本語を話す。
メニューを受け取った私はしばらく食べていなかった刺身を注文することにした。
メニューには次のように記されていた。

刺身の盛り合わせ（東京、大阪、名古屋）

ん？「刺身の盛り合わせ」はわかるが東京とか大阪ってどういうこと？特上、上、並とか松、竹、梅とかと同じような意味なのだろうか。そうだとしたらもし名古屋人がこの店に来たら気分を害するのではないか？横浜とか札幌はどの辺に位置するのだろう。考えてもわかるわけがない。板前に聞いてみることにした。

「トウキョー、VERYたくさんね、オオサカちょっと少ないね、ナゴヤチョットチョットネ」
なるほど量がちがうのかー。わたしは久しぶりに食べる魚をたっぷり食べたかったので、東京にしようと思ったその時板前は私に言った。「アナタならオオサカでイイとオモイマスネ」
私は大阪に決めた。
出てきたのが写真のものである。なんと量が多い！日本であれば５人分はある。
これを一人で食えというのか。私はあまりの迫力に気持的には１０歩程あとずさってしまった。
ポルトガルの料理は量が多いとわかっていながら油断していた。大は小を兼ねるというが、料理に関してそれは当てはまらない。「適量」というのも食べ物のおいしさを左右する大きな要素だと気がついた。
過ぎたるは尚及ばざるが如しである。
例えばいくらビール好きの私でも目の前にビール瓶の入ったケースをどーーんと積まれると・・・・ウレシイ。トテモウレシイ。
例が適当でなかったようだ。
例えば私がいくら若くてピチピチした美女が好きだからといって、会社の社員が全員そんな人だったら・・・・ウレシイ。カナリウレシイ。土日出勤でもかまわない・・・。
うーむ。
何はともあれ「東京」をたのまなくてよかった・・と思う私であった。

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☆その１↓のつづきです。

無事回数券も機械を通り、ホッとしたのもつかの間、すぐに次の不安が私を襲ってきた。
サグラダ　ファミリアへ行くのにどこで降りていいのかわからないのだ。もちろん私も子供じゃないんだから、降りるバス停の名前ぐらいはちゃんと確認している。
困ったことに次に停まるバス停名の表示も車内放送もないのだ。だから窓の外の街並みを見て場所を判断しなければならない。たまたま道路標識やストリート名を書いたプレートが見つかればいいが、そうでなければ今どこ走ってるかなんて皆目見当がつかない。
しかし私はこの出張の前に同僚からバスでサグラダファミリアへ行く方法を聞いていたのを思い出した。
「サグラダファミリアへ行くのは、サグラダファミリア方面行きのバスに乗って、サグラダファミリアが見えてきたらそこで降りればいいのだ。」
私はバスに乗って初めてそのアドバイスがいかに意味がないものかということに気がついた。（もっと早く気がつけ！）これくらい誰にでもわかる。左右どっちを見れば見えてくればいいかわからんじゃないか！しかもどれくらい時間がたてば見えてくるのだ！
もう１０分くらい走っているが、まさか見逃したんじゃないだろうな。まだ１０分だからいいようなものの、このまま１時間走って何も見えてこなければ、わしゃどうすりゃいいのだ。２日も３日も走って何も見えてこなければどうしたらいいのだ。（エッフェル塔なんか見えてきても知らないからね。）
左右の窓の外を交互に見ていたが、首も目も疲れて来たので、左の窓だけ集中して見ることにした。その根拠はない。まったくの勘である。この時点で私がサグラダファミリアに行ける確率は２分の１になった。もうやけくそである。

私は運がよかった。しばらく行くとサグラダファミリアが左前方に見えてきた。どんどん近づいてくる。
その時いきなりバスは右に曲がった。
「え！そんなこと聞いてない！」
わたしは咄嗟に降車ブザーを押して、次のバス停で降りた。
近くまで来ていたと思っていたが、サグラダファミリアは想像以上に巨大であり、実際にはまだ遥か遠くなのであった。
ああバスよ行かないで・・・。

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