2005-03-06 香港中国報告５「中国ホテル事情　その1」
2005-01-30 香港中国報告４「中国までの遥かなる道　　その２」
2005-01-30 香港中国報告４「中国までの遥かなる道　　その１」
2004-11-27 香港報告３「広東語に関する考察」
2004-11-23 香港報告2「香港看板事情」
2004-11-21 PAO香港報告１「五香牛●麺」
2004-03-15 「地球人を救えキャンペーン」その１３「拳銃を持つ男」（ミラノ編）
2004-03-08 「地球人を救えキャンペーン」その１2「ミラノ支部開設のお知らせ」
2004-01-18 「地球人を救えキャンペーン」その１1「道路界」
2003-10-26 最新技術に関する考察と実験

さて中国へ我々を運んでくれる車も無事見つかり、ジョーと私は中国へ向った。
香港が中国に返還されたとはいえ行政特区の香港から出るときには出国書類
に記入してパスポートに沿えて手続きをうけ、中国へ入るときには再び同様の入国
手続きが必要となる。また国境では我々は中国側の車に乗り換えないと行けない。
運転手の指示にしたがって我々は滞りなく中国側に無事移動し、車に乗り込む
ことができた。ジョーさえ何もしなければ全てうまくことが運ぶようである。果たして
こいつは何のためにいるのか。一応案内役兼通訳兼助手ということだが、どうも私を
トラブルの方へ一直線に案内してくれているだけのような気がする。
あるいはヒマジンネタをコンスタントに提供してくれる有能な助手ということか。

無事客先に到着し、その日の仕事をすませた我々は夕食後ホテルに到着した。
チェックインの際、インターネットが部屋で使えるか訊いてみると、使いたいときに
フロントに電話を入れれば、チャージはかかるがアクセス番号とパスワードが発行され
ネットワークを通じて繋げる様にできるとのこと。
部屋に案内されたあと私は早速フロントに電話をした。

私　　　　　　　　「インターネットを使いたいんですけど。」
ホテルスタッフＡ「あ、○△♯♭×英語わかる人に代わります。」
ホテルスタッフＢ「お電話代わりました。」
私　　　　　　　　「インターネットを使いたいんですけど。」
ホテルスタッフＢ「あ、え？あ、もっと英語わかる人に代わります。」
ホテルスタッフＣ「はい、失礼しました。ご用件は？」
私　　　　　　　　　「インターネットを使いたいんですけど。」　
ホテルスタッフＣ「えーと、インターネット使っていただいていいですけど。」
私　　　　　　　　「先ほどフロントでパスワードとアクセス番号発行してもらえると
　　　　　　　　　聞いたんですけど。」
ホテルスタッフＣ「あ、そ、そうですねえ。そうですけど私インターネットのことわか
　　　　　　　　　らないのです、コンピューターのことわかる人に代わります。」
私　　　　　　　　「・・・」
ホテルスタッフＤ「インターネットの接続ですね。アクセス番号はエス・ケイ・
　　　　　　　　　スリー・ツェー・ファー・・・・」

かなり中国語訛りが入っている。ところでツェー、ファーってなんだ？
数字か？アルファベットか？この人はコンピューターはわかるが英語はちょっと苦手ら
しい。

私　　　　　　　　　「Ｓ・Ｋ・３のあとがわからないんですけど」
ホテルスタッフＤ　「エス・ケイ・スリー・チョ−・ホェー・・・・」

う・・・さっきとちょっと違ってるし・・・

私はかなり消耗してきた、もうインターネットなんかどうでもよくなってきた。

私　　　　　　　　　「あ、もういいです。またフロントへ行ったときお尋ねします。」
ホテルスタッフＤ　「え？ダメです。エス・ケイ・スリー・チィー・フェー・・・・」
私　　　　　　　　　「・・・・」
ホテルスタッフＤ「紙に書いて部屋にお持ちします。」

５分後わたしの部屋をノックする音がした。ドアを開けるとそこにはひょろりとした
ホテルマンがメモを手に立っていた。そのホテルマンはお笑いの「カラテカ」の
矢部太郎（ああ−地味）が眼鏡をかけたような実直で頼りなさそうな青年であった。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく

先頭 表紙

下の日記のつづき

地下鉄駅に降りて彼について行った。地下通路の十字路でいきなり彼は立ち止まり全く
動かなくなった。2分ほどあちこち見まわし、考えた挙句結局ジョーは近くにいた駅員に
道を尋ねた。そして少し表情を引き締め、先ほどよりもかなり早足で歩き出した。
おいおいもう大丈夫なんじゃなかったのか？
私はその時、ジョーはかなりの方向音痴であることを悟った。熱が引いたとはいえ私は
まだインフルエンザから立ち直っていない身であり、荷物を抱えての早歩きはかなり辛い。
しかしそんなことも言ってはいられないので、汗をかきながらジョーの後をついていった。
そんなこんなでようやく目的のホームへたどり着くことができ、先方との待ち合わせの
地の駅へ到着したのである。約束の時間は９時。あと１５分くらい時間はある。
改札を出ていきなりまたジョーが立ち止まった。そして左へ行くか右へ行くか悩み出した。
考えてみたらさっきから分岐点では必ず迷っている。この様子から見ると彼は今まで生
きてきた中で、彼の時間の30パーセントくらいは、迷っていたり、道を探す時間に費や
してきたのではないだろうか。今度は彼は携帯電話を取り出してどこかに電話をして
道を訊いて「多分もう大丈夫です」と私に向って言った。彼の不安そうな表情を見て
私は即座に、「多分まだ大丈夫ではない」ということを確信した。
彼は駅から表へ出て、通りを反対側に渡って遠くの方を見つめて「ほら、あれが我々の
迎えの車です。」と言った。彼の視線の先には１台のミニバンが停まってあった。
時間は待ち合わせの9時まであと3分。やれやれ間に合った、と思ったその時ジョーは
言った。「朝ご飯食べていいですか？」私が「え？でももうすぐ9時だから時間がないで
しょう？」と言い終わる前に彼は目の前にあった食堂に入って行き「あ、さっきの電話で
少し遅れるって言っときました。」こういうところには抜け目のないジョーであった。

食堂から出た我々は、先ほどのミニバン目指して歩き始めた。その時そのミニバンの
運転手が降りてきて後の扉を開けた。私は我が目を疑った。車内に豚がびっしり吊り下
げられているのが見えた。
私は中国までの4時間あの荷室に薄目を開けた豚と一緒に吊り下げられて揺られていか
ないといけないのか？そういえばエージェントのフランキーが私に中国の仕事を頼みに
来たときなんとなく申し訳なさそうな顔をしていたのはこういう訳だったのか？
ジョーはつぶやいた「あれじゃない…」
わかっとるわい！
ジョーと私はまた汗をかきながら、本当の送迎車を探すために歩き始めた。
この旅またしてもハプニングが待ちうけてそうである。

先頭 表紙

香港での仕事にようやく慣れてきたころ、エージェントのスタッフであるフランキーが
私に近づいてきて申し訳なさそうにこう言った。
「中国へ行ってもらいたいんだけど大丈夫？」
群馬出張中にボスから香港に行ってくれと言われ、さらに中国へ。どんどん西へ行く私は
どこまで行ってしまうのか。このままでいくとタイを通過しインドを抜け行きつく先は
ヨーロッパかアフリカか…（うん、それはそれで魅力的かもしれない。）
というわけで香港から陸路中国広東省恵州へ入ることになった。
その日の朝、ホテルのロビーで私は中国へ同行してくれることになっている若手のエー
ジェントスタッフであるジョーを待っていた。実は数日前から体調を崩し前日医者で
インフルエンザとの診断を下されたのであるが処方された薬のおかげでひと晩で熱は下
がり、なんとか中国ヘの移動にも耐えられそうである。

待ち合わせの朝７時30分になってもジョーは来ない。ま,海外ではよくあることである。
しかしさらにあと30分待っても姿を見せないので、さすがに心配になってきた。客先との
待ち合わせの時間に遅れるわけにはいかない。この地での携帯を持っていない私は
ジョーと連絡すらとることができない。ロビーには公衆電話はなくホテル側と交渉した
ものの規約があるらしくホテルの電話は貸してくれないということだ。
私はのろしの上げ方を学んでなかったことを悔やんだ。しかし例えのろしを上げたとし
てもジョーが解読できる可能性は極めて低いし、放火罪で捕まってしまうのが関の山で
あろう。
ホテルの外へ出てジョーが来るであろう方向を見つめていた時、遠くの方に彼に似た男
が走って来るのが見えた。私は少しほっとして彼の方に歩いていこうとした時、彼は
いきなり違うホテルの中に入ってしまった。私はそのホテルに走っていきロビーに駆け
込んで彼の姿を探した。しかし彼の姿はどこにもなかった。その時ホテルの従業員が近
づいてきて「何かご用でしょうか？」とわたしに声をかけた。私は「今、若い男が入っ
て来ませんでしたか？」と聞いたが、従業員は「さあ、気がつきませんでしたが…」と
首を横に振った。彼は裏口から出ていったに違いない。私は彼を追ってまたホテルを走
り出た。
私は香港でこんな朝っぱらから何をしてるんだろうか。忙しいのに探偵ごっこなどしてる
場合ではないのである。再び私は待ち合わせのホテルへ戻ろうとした時、今度は確実に
こっちに向って歩いてくるジョーの姿を認めた。彼はメモらしいものを見ながら、かな
り焦りながら足早に歩いて来る。少し余裕が出た私はもう少しこのまま彼の様子を見てい
たい衝動に駆られたが、もう1度彼を取り逃してしまったら今度こそカーチェイスや
銃撃戦や略奪や袋叩きをくぐりぬけないと再びジョーを捕まえることはできないという
気がしたので素直に彼に声をかけた。「やあ、おはようジョー」
彼は安堵と疲れの入り混じった表情で「あーー！PAOさん。おはようございます。すみ
ません、地下鉄降りてホテルいこうとしたら………」ま、とにかく会えればOK。
何はともあれ我々は地下鉄駅目指して歩き出した。私は時間が心配だったので少し足早に
歩こうとするとジョーは「PAOさん、もう大丈夫ですよ。余裕持ってスケジュール組んで
るんで、ゆっくり行きましょう。」といった。・…つづく

先頭 表紙

香港で使っている漢字は日本語の漢字とかなり共通する部分がある。
だから文章の意味をすべては理解できないにしてもなんとなく雰囲気
はつかめたりする。しかし日本語と同じ表記でも意味が少し違ってい
たりするので、そのずれが私の「笑いツボ」にいきなりガーンとはま
ることがある。だから街を歩いていても全く飽きることがない。

こちらに来てよく目にするのが「小心」ということば。
日本語であれば「小心者」で表されるように気が小さい、とか度胸が
無いという意味である。
しかしこちらではどうやら違った使われ方がされているようで、どうも
「注意」とか「気を付けて（CAUTION）」という意味のようである。
地下鉄のホームの壁で見かけたこの表示「小心窒息」
なんか小心者の私なんか、みているだけで息が詰まってくる。

２つめの標識も面白い「地面不平　請小心」これは「地面が平らで
ないので気を付けて」とかいう意味なんだろうけど。地面がぶつぶつ
不平を言っているようで面白い。

「あ痛！畜生、みんなみんな平気で踏んでいきやがって、ごめんの一言
ぐらい言うたらどうやねん！何でわし香港みたいな人の多いとこへ生ま
れてきたんやろ。どうせやったらこんな駅の通路やのうて、もっと広々
としたとこの方がええのに。あつぅー！　誰や吸殻捨てんのは！火ぃつ
いたままやいうねん。といって吸殻の火、靴のつま先でグニグニ消され
るんも痛熱いから嫌いやけどな。なんでこんなマゾみたいな生活我慢せ
なあかんねん。いつまで続くんやろ。そやけどこのすぐ上のラーメン屋
の横の路地裏の地面はもっとひどい言うとったな。痰はかけられるし、
夜になったら小便やもんな。・・・あ、あかんあかん下見てたら一生こ
のままで終わるか、どんどん落ちていくだけや。やっぱり地面として生
まれてきたからには、もっと華やかなところで仕事したいなあ。運の
ええやつは、ファッションショーのステージやってるもんな。わしと
えらいちがいや。あいつら楽しいやろうな。スタイルのええネエちゃん
がツーーーっと歩いてきて、くるりっと回るらしいで。そんなんやった
らワシなんぼ踏まれても我慢できると思うわ。それとかサッカーのスタ
ジアムとかもええわな。　みんなの注目の的やもんな、綺麗に手入れも
してくれるし。ワシなんか機械の硬い回転ブラシでガーーーいうて擦ら
れるだけやもんな。あれ結構痛いねん。わかってんのかいな。動かんと
じーーっとしてるだけもあんまりつらいんで、この前ちょっと体動かし
たらみんなどえらいびっくりしとったで。「ぎゃーー」いうてたもんな。
あれちょっとおもろかったな。おっさん一人こけとったもんな。あれ以
来や、なんか変な標識立ったんは。　なんて書いてるんやろ。
ン？「地面不平」やて、意味わからんわ。」

先頭 表紙

香港は漢字で溢れている。

日本語であればほど良いバランスで漢字にひらがなが混ざっているのだが
（注：私の場合特に最近漢字のど忘れが激しく、コンピューターの
助けを借りてこそ、こうやってまともに漢字の入った文章が打てるが、
手書きの場合はひらがなの中にたまーーーに、漢字が入ってる、
あるいは無理して漢字で書こうとすると今まで見たことのない文字
を発明してしまうかのどっちかだ。）

漢字だけで文章を構成すると、文章の主張の度合いが3倍ぐらいになる。
看板という看板が全部私の方に向かってワイワイ主張してくる感じだ。
しかも看板がばかでかいしその上派手だ。
多分最初はもっと小さな看板であったに違いない。ところが誰かが
みんなより少し大きくしたら、負けるものかとどんどん競争になって
常識では考えられないほどのばかでかさになったのである。
普通であればこんな非常識な大きさになる前に誰かがおかしいと気づき
止める人が一人ぐらいはいそうなものである。
しかしこの国には誰も止める者がいなかったのであろう。
それに看板が全部大きく派手なものだから、一つ一つの看板の注目度は
小さい看板しかない街のそれと変わらないのである。

一回道頓堀のグリコの看板を香港につれてきて、このど派手な看板群を
見せてやりたい。
派手さでは誰にも負けないという自負が簡単に粉砕されて、今まで威張って
観光客のカメラに収まってた自分が恥ずかしくなってきっと曇った顔で
中国の誰もいない山奥に両手をあげたまま走り去ってしまうに違いない。
でも、同じく道頓堀在住のかに道楽の「動くかに」なら勝てるかもしれない。
私の見る限り香港では「動きもの」は少ないようである。
しかしそれも街のいたるところにある「上海蟹屋」に見つかってしまったら
「派手看板大好き、コピーもぱくりも気にしない」香港人のことだから。
１００匹ぐらいの蟹を一斉に動かしてしまうことぐらいはするであろう。
わたしは１００匹の巨大蟹がワシャワシャ足を動かす香港の街はあまり歩きたくない。
皆さん蟹屋のオヤジには「動くかに」のことは口が裂けても教えないように。

先頭 表紙

御無沙汰しておりました。群馬に４週間の予定で出張していたところ、
急に会社から「来週から香港行けますか？」と連絡はいる。
週末急遽家に帰り、荷物を海外バージョンに入れ替えて気がつけば香港。

こちらでは土曜は半日仕事があるため、今日は初めての休日。
朝昼兼用でホテルの近くの食堂に出かけメニューをみるが
分かるような分からんような。
結局たのんだのがこれ「五香牛●麺」
伏字は文字コードが対応していないだけで決して人前で公表
出来ないような文字を使ってるからではありません。
「月南」こんな風な字です。

旨い！五香や八角でやわらかく煮込んだ牛すじが豪快に
のっかっている。
わたしはこれだけでビール２杯はいける。しかし残念なことに
この店にはビールはおいてなさそう。今まで見てきた麺粥屋では
あまりビールの置いている店はない。地元の香港人に聞けばライ
センスが要るのでなかなか置けないらしい。まあしかたない。
麺は細麺でレタスもたっぷり入っている。
それからスープがまた旨い。あっさりしてるが肉の旨みがよく
でていて胃にしみわたる。
これで５００円弱　　う、、やすい。

天気が良いので海まで散歩して今ホテルへ帰ってきた。
こちらはまだ歩いているとTシャツ一枚だけでも汗ばむくらい。
迷わず冷蔵庫開けてなぜか買い置きのサンミゲルビール。

先頭 表紙

ミラノへきて早いもので1ヶ月が経過。
飲み食いに専念していたので、すっかりこちらの報告が
滞ったままになってしまっていた。

またトイレネタなのである。どうも品性を疑われてしまいそうだが
そこにネタがあるんだから仕方ない。

これは私の仕事場のトイレのドアの男性用のプレートである。
トイレに行くたびに毎回このおじさんの顔を見るわけである。
何で拳銃もってかっこつけてんの？
顔は濃いししかも胸毛まで生やして。
寛ぎたいひとときであるにもかかわらず、この姿を見ると
妙に落ち着かないのである。
しかしもっと恐れているのは、街でこの手の顔を見るたびに
条件反射で催してしまうのではということである。
（結構この手の顔多いんですイタリアには・・・）

そしてもうひとつ私を落ち着かなくさせている原因は、
このおっさん明らかに宙に浮かんでいるのである。

うう、私は日本での発見物をいろいろ検証してきたが、
この物件に関してはもうまったくお手上げ状態である。
さすがイタリア。

では明日早朝からドイツに行ってきます。（早起きつらいよう・・・）

先頭 表紙

今まで日本で活動を続けてまいりましたが、
このたび「地球人を救え」ミラノ支部を
開設する運びとなりました。
こちらに来て早くも３週間地道にイタリアの
街角を探索した結果、この地においても地球人
の救済に繋がるであろう数々のメッセージ
が遍在することがわかりました。
４月の中旬までの間、欧州からの報告
をお送りしてまいります・・・といったところで
今までのペースからすればあと１回？

先頭 表紙

あけまして・…い，いやなんでもありません。季刊「たこのつぶやき」冬号です。
「道路界」。「地球人を救えキャンペーン」その１０でアップした「境界」と同種の
ものとしてカテゴライズできるであろう標識を発見。大阪道頓堀近くの飲み屋が密集
する街の道端にあった。前の「境界」に関しては言葉そのものはごく一般的なもの
でありすんなり頭に入ってくる語感であったが、今回の「道路界」、全く聞いたことの
ない変な言葉である。まさに地球人の使いそうな言葉を真似ようとした侵略者の
造語のようなアヤシサを感じる。

「道路界」。ひょっとして「芸能界」と並ぶ憧れの世界ではないのだろうか？
高校の進路指導のヒトコマ。
平山（教師）「富島さん。あなたのこの成績では、大学に進むのはちょっと難しいと思うが。」
富島（生徒）「先生、私進学するつもりありません。」
平山　　　「そうか…といっても、この就職難の時に何かあてでもあるのか？」
富島　　　「私、実は道路界を目指しているんです。」
平山　　　「え？道路界？そんないちかばちかの賭けみたいな選択やめときなさ
い。それに一人前の道路人になるのは下積みも大変らしいぞ。」
富島　　　「でも小さい頃からの夢だったし、ちゃんとレッスンも受けているんで
す。」
平山　　　「それじゃなおさら厳しさはわかるだろう。確かにトップクラスの道路
人は収入もあるし、一生食うに困らないだろう。でも２流３流の道路人はみんな生
活のためにアルバイトしてるんだぞ。」
富島　　　「覚悟してます。でも今行ってる道路スクールで私、“中央分離帯コー
ス”で成績が良かったんで“一方通行特進コース”へ編入できそうなんです。」
平山　　　「そうか…。富島がそこまで真剣なら夢に賭けてみるのもいいかもしれ
ないな。でもひとつだけアドバイスしておこう。この厳しい道路界で最初少々ちや
ほやされても結局生き残っていけるかどうかは、自分だけにしかできない道路技を
持ってるかどうかなんだ。」
富島　　　「はい！先生。私きっと得意技の“点滅信号スペシャル”を完成させ
て、一流の道路人になって見せます。」　

うーむ、なんなんだろう道路界って．
あるいは、文字通り道路とそうでないところの境界という意味かもしれない。
このあたりは大阪のいわゆる「ミナミ」と呼ばれているところで、私が通りがかった時は
昼の１時過ぎでひっそりしていたが、夜になれば酒の入ったオニイサン、オネエサン
たちで湧きかえる場所である。特にこの辺は、コワイ人たちの比率が他の繁華街に比べて、
非常に多い場所である。どれくらいコワイ人が多いかというと、コンビニに「ハジキの
コーナー」があったり、「スペアの指」が売ってたりするという噂があるほどである。
そういう人が多い街にあって大阪府警もしくは大阪市は一般人が間違って道を踏み外さ
ないように「ここまでが人の道ですよ。」と親切に教えてくれているのではないだろうか。
しかし不思議なことに現実は、道を踏み外した人たちが肩をいからせて、道の真中を
堂々と歩き、まっとうな道を歩んでいる人がそういう人を避けて道の端っこを遠慮がち
に歩くのだ。
ま、道端にしゃがみ込んでこんな写真を撮ってる私もすでにまともな人の道を大きく
踏み外している人間のひとりかもしれないが。
　　　　　　　

先頭 表紙

空気清浄機を購入した。
少々値は張ったけど最新機能を備えた高性能のものだ。
一応店員に話を聞いたが清浄の仕組みの核心部に来るとなにや
ら化学の授業のイオンやら分子構造の話を聞いていたときのよ
うに、頭脳が考えることを放棄して店員のホクロの方とかに気
が行ってしまうので、結局どういう仕組みで空気がきれいにな
るのか分かっていない。
なんとか分かったのは、空気がきれいなときはインディケータ
ーが青く発光し、清浄の動作が小さくスローになり、空気が汚
れてくると、インディケーターが汚れ具合によって微妙に青か
ら赤みがかってきて、清浄のパワーも自動的に増すということ
である。
ずっと仕事が猛烈に忙しかったので、清浄機が家に届いてから
ゆっくり眺めてみる間もなかったが、今日仕事も休みで余裕が
あったのではじめてまじまじと眺めていた。インディケーター
はきれいな青に光り、静かに運転をしている。そのとき私は思
い出した。電気屋の店員さんがふっと息を吹きかけて（私の耳
にではない念のため）「ほら、青から赤に変わっていくでしょ。
」と見せてくれたのを。私もやってみようと思って息を吹きか
けた。するとやはり青から次第に赤く色が変わって行き清浄機
のモードが弱から中に変わり音も少し大きくなった。一瞬私の
心に「ワシの息、汚いちゅうんかい？え？」と清浄機にからみ
たい気持ちが生まれたが、まあ状況の変化に敏感に対応してい
る機械を見るのは何か楽しくもあり、私の買い物は間違ってい
なかったという確信も生まれてきたので許してやることにした。
しばらくしてまた運転は弱に戻った。

気持ちが緩んだのか、そのとき私は不覚にも放屁をしてしまっ
た。すみません下品な言葉使ってしまって。お食事中の方や彼
あるいは彼女とロマンチックなムードに浸りながらひまじんを
見ている方には申し訳ないので、今後「放屁」のかわりに（２
回も言うなって！）「トカチェフ」と言う言葉で代用させてい
ただきます（別にトカチェフにした深い意味はありませんが）。
ちなみにロマンチックなムードに浸りたいなら私の日記を見
るのは明らかに間違ってます。
その日私はマラソンのレースを走ったばかりで、たぶん腸の働
きが活発になっていたのだと思う。

さて私がトカチェフを放って正確に５秒後清浄機のインディケ
ーターの青が急速に赤に変わって行き運転ランプが「弱」から
「中」にまた変わりさらに「急速」になってしまった。しかも
運転音もブーンとうなりを立て始めた。
明らかに清浄機は怒っていた。真っ赤になって怒っていた。
私は自分のトカチェフの威力に驚くと同時に清浄機に対して少
しすまなく思った。しかし凄いもんである。私はトカチェフを
直接吹きかけたわけではない。私は清浄機と正対していたので、
トカチェフは後ろから回り込んできてこれだけの威力を発揮し
たのである。しかも今日のトカチェフは臭気もほとんど感じら
れないくらいなのである。
もしこれが強烈なトカチェフであり直接吹きかけたなら間違い
なく「急速」のさらに上の「ターボ」が働くであろう。
私はその日が来るのを心待ちにしている。そのときこそ私と清
浄機の命がけの戦いの火蓋が切られるのであろう。

先頭 表紙