2002-09-16 日本に居られなくなりました
2002-08-28 「恐怖の居酒屋」の甘い罠
2002-08-13 東京でもＰＡＯってる
2002-08-02 極楽
2002-07-30 水浴する若き女性の誘惑
2002-07-20 恐怖のトルコ土産�A
2002-07-20 恐怖のトルコ土産�@
2002-07-16 土産考
2002-07-03 恐怖の居酒屋体験�A
2002-07-01 恐怖の居酒屋体験�@

というわけで、2週間後に出発します。

先頭 表紙

覚えておられるだろうか。あの恐怖の居酒屋のことを・・・・。
「恐怖の居酒屋体験」�@�A
先日前を通りがかって何気なく見たら新たな立て看板が立っていた。

「お客様へ　お帰りは車でお送りします」（写真）

大きな居酒屋であれば、人数が集まれば送迎バスを出してくれるというのは
良くある話であるが、ここは小さな居酒屋でしかもスタッフが2名だけなのである。
1名はオーナー兼調理担当でもう一人はその娘でドリンク＆フロア担当。
送迎できるような余裕はまったくないはずだ。
これはひょっとして『送って欲しい人は閉店時間まで待っててね』ということなんだろうか。
まあ確かにほとんど客が入っている気配のないこの店では、客が帰るときが閉店時間であるのかもしれない。
でも例えばグループ客なんかだったら一人一人ちゃんと送ってくれるのだろうか。
もしかしてそのとき家を覚えておいて、何日かして、店員が誘いにくるという作戦かもしれない。

「ごめんくださーい！居酒屋●△です。お迎えに上がりました」
「はあ？」
「あのー、最近来ていただけないんでお迎えに上がったんですが。」
「いやー、今日はちょっと・・・」
「そんなこといわれてもこっちにも都合があって、春に仕込んだおでんのたまごが早く食べないと溶けてしまうんです。もうかなりにおいがきついし、こんにゃくと厚揚げの区別もつかなくなってきてるんですから。」
「ぎゃーー＝＝！！」
これはかなり恐怖である。

あるいは、送ってくれるふりをして車に乗せられてどこかへ連れ去られてしまうかもしれない。

「あのー、家とはちょっと方向が違うような気がするんですけど。」
「ふぉふぉふぉふぉ。まあお客さんしばらく私の家で寝泊りしてくださいよー、３食つけて一日８００円にしておきますから。」
「でも私は仕事が・・・」
「そしたらうちの店で働いてもらってかまわないですよ。給料は払えませんが・・・」
「降ろせー！！降ろしてクレー！！」

これもかなり怖い話だ。

しかしこの看板を見て思ったのだが、この店は必死である。必死で客を呼ぼうとしている。
この前は「１周年記念中ジョッキ３００円」という企画をやっていた。
次の作戦は何か少し楽しみですらある。店内もどんなことになっているのやらちょっと覗いてみたい気がする。

う・・・いけない。この店の作戦にまんまと乗ってしまうところであった。

先頭 表紙

8/10から12日まで2泊3日で東京で酒のみツアーに行ってました。
皆さん楽しい時を過ごせましたありがとう！

さて2日目の昼間は全く予定を入れていなかったので（行き当たりばったりの行動が好きというか、まあ結局事前にプランを立てるのが気ぜわしく面倒なだけなのかもしれないが・・・）当日の朝、ホテルの地下にある書店で情報誌を購入し、パラパラとめくってみた。
いくつかの魅力的な催しのなかで私の目にとまったのが「横尾忠則　森羅万象展」であった。
普通の芸術家と違い商業ベースに乗った仕事も若い時から精力的にこなしており、学生の時から彼の作品を目にする機会はたくさんあったのだが、そのパワフルで独特の作風は常に気になる存在であった。
今回その彼の作品が約400点展示されるということで、この機会を見逃す手はないと思い、手早く身繕いをしホテルの部屋を出て地下鉄に乗って、東京都現代美術館を目指した。

地下鉄の中で、わたしは今回の「横尾忠則展」との出会いが単なる偶然ではないのではないかと思い始めていた。
なぜかというと今回わたしのＪＡＬの飛行機代とＨＯＴＥＬ代はポイントが貯まっていたおかげでタダなのである。
下の文字を見ていただきたいのだが「よこお　ただのり」に「り」が「つく」と「りよこお　ただのり」　　そう！「旅行ただ乗り」になっているのだ。
なに？「旅行」は「りょこお」じゃなくって「りょこう」だろうって？　　うるさいうるさい！酔っ払って旨く言えないだけなんだよー！
さて「りつく」を離して書いてあるので鋭い皆さんは、この日記が「つ」「く」「り」「はなし」と勘ぐるかもしれないがそんなことはない。
「り」も「く」も「つ」も縦に真っ直ぐ書いてあるから「りくつ」の筋はちゃんと通っているのである。
こんなことばの「とりっく」が嫌いだとおっしゃるあなた、『「とりつく」しまもない』ようなこといわないでください。私は恥ずかしくてシラフではやってられないので「とっくり」でも傾けることにします。


とまあ話が脱線してしまったが、地下鉄は脱線せず無事「木場」駅に到着。そこから炎天下の中、1キロ余り歩いてようやく辿りついた先は展示室ではなく美術館のレストラン。ビールと昼飯を摂取して（下の画像がそうです）やっと展示室へ。

テーマ別に分けられた作品群に想像以上に私の意識はぐいぐい惹きこまれていった。
特に時代を超えたグローバルな宗教感を持った作品はどろどろした人間臭さが溢れているにもかかわらず、そんなものを一切合財包括したまま宇宙まで放り投げてしまうほどのスピード感と懐の深さを持ったもので、圧倒されてしまった。

最後の展示室では一転、穏やかな三叉路の何気ない町の風景画が並んでいる。
しかしいくつもの三叉路を見ているうちにこれも「横尾」風の世界観の表現方法ではないかと思うに至った。
今まで歩いてきた一本の道が2本に分かれている。今立っているのがちょうどその交差点。先に伸びるどちらの道も変哲のない道のようでもあり、寂しげでもあり、希望が潜んでいるようにも見える。でも歩いて行けるのはその内のひとつだけ。そして後戻りもできないし、自分が選ばなかったもうひとつの道がどこへ繋がっていたか知ることすらできない。
そしてまたその内に別の分かれ道が現れる。
私は今までいくつの三叉路を通ってきたのだろう。

（あ、っこれは全くの私見に過ぎないので、皆さんもし行かれても自分なりに楽しんでください。）

「横尾忠則　森羅万象展」　東京都現代美術館　　8/10〜10/27

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昨夕、ギリシャ人たちを連れてビアガーデンへ行った。
そこは私の好きな場所で、よくあるようなビルの屋上にあるのではなくホテルの裏庭の芝生にゆったりとテ-ブルを配しているところだ。
飲み始めた頃はまだ外も明るく風も昼間の強烈な太陽の余韻が残っていたが、２杯、3杯とジョッキを重ね、気がついた時は気持のいい夕暮れの風にかわっていた。

ギリシャ人たちも久しぶりの外での食事に大喜びで（彼らは寒い季節以外はレストランへ行っても外のテーブルに座るのが当たり前のことらしい）ジョッキが次から次へと空になっていった。

ビアガーデンを出て2軒目に選んだのは小さなビーチに面した海辺のバーである。
いつものジョギングコースの途中にある店で、前は幾度となく走っているがここで飲むのは今日がはじめて。アジアの雰囲気が溢れる店でビーチに座ってグラスを傾ける。

波の音がほかの客の声を打ち消し、砂に潮が吸い込まれる音もすぐ近くに聞こえる。
日頃の煩事も全て忘れ、気がつけばギリシャの男たちも（いつもは議論とジョーク好きで賑やかなのだが）黙って海を見つめてグラスを傾けている。
日本へ来てすでに4週間、家族のことでも考えているのだろうか、少し寂しげながらもみんないい表情をしている。

彼らをホテルへ送り届けたあと、私はひとり仕上げに近くの閉店間際の馴染みの店「和彩あきら」でビールを1本だけ飲むことにする。

すぐ帰るつもりがカウンターの隣に座っていた若い実業家と意気投合しビジネスの話から、家庭の話、いろんな国の話から地域経済の話、草野球チームの話等々マスターもまきこんでおおいに盛りあがり、気がつけば午前2時前。閉店時間を4時間も過ぎている。

酒のみにとっては非常に嬉しい夜だった。（今日の仕事はいささか辛かったが・・・・）

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先日ジョギングしていたときのこと。前日深酒し過ぎたので、土曜日の朝起きるのが遅くなってしまった。
この季節、日が高くなってから走りたくはないのだがジョギングが終わるまではビールを飲めないので10時過ぎから走り出した。
その日のコースはどんどん山道を登って行って、中間点あたりで海岸線まで一挙に下ってそのまま海沿いを帰ってくるという1番好きなコースである。
30分ばかり走ったところでもう汗だくであった。しかしいつもの自動販売機のところまではもうちょっとがんばらないといけない。

そのときある家のベランダでビニールプールを出して水浴びしている女の子がいるのが見えた。
その時、その幼稚園児くらいの女の子がこちらに向かって手を振って叫んだ「おっちゃんも一緒に入ってええよー！」
わたしはすごく暖かい気持ちになって「ありがとー！」と手を振り返した。
きっと女の子は私がとても暑そうなのをみて、思わず声をかけてくれたのだろう。
小さいけどあったかい心を持った子供に会って、わたしは心がほんのりやわらかになった。

でもおじさんはお言葉に甘えて一緒にプールへ入るわけにはいけない。
この汗まみれの男がいきなり「ハア、ハア」言いながら玄関から入ってきたらまずたいていの人は驚くであろう。


「ど、どなたですか？」
「いや、別に怪しいもんじゃありません、ちょっとベランダに行ってきます」（怪しい、どう考えても怪しすぎる。）
「は？あなた誰なんですか！」
「名乗るほどのものではないんですが、通りがかりにお嬢さんにプールに誘われたんです。」
「警察呼びますよ！」
となってしまうのは明らかである。

ではどうすればよいか。いきなり玄関から入って行くからびっくりするのだ。
他人の家にお邪魔するときは、そう、電話でアポイントをとらなければならない。

「もしもし。わたくしPAOと申します。はじめまして」
「はい？」
「PAOと申します」
「パオ？」
「ピーエーオーでPAOです。パレスチナ　アナーキズム　オーガナイゼイションというようなややこしいもんではなく、またペンギン　アシカ　オットセイ同好会なんていう海の動物好き好きクラブでもありません。昔中学生のときPAOPAO族というのを仲間と結成してまして、その時酋長をやっていたので・・・」
「ガチャン（電話を切る音）」
「もしもしー！もしもーし！！」
という展開になってしまう。

どう考えても私が無事ベランダのプールまでたどり着ける確率はほとんど0に等しい。
こうして私は若き（といっても少々若すぎるが）女性とプールで夏のひと時を過ごす夢は脆くも崩れ去ったのであった。
今年の夏はおじさんは諦めるから、あと２０年ほどしてもし出会ったら今度はビニールプールじゃなく夏の海にでも誘っておくれ。（60のじじいでよかったら）


下の画像は日曜日に友人たちとBBQを楽しんだ富田川。

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次の瞬間私は恐ろしい光景を見てしまった。セズギンの秘書が彼女の上半身が隠れてしまうほどの大きな包みを持ってこちらに近づいてくるのだ。
私は作り笑顔を続ける気力も失せていた。恐怖に引きつる顔がさらに歪むのがわかった。
私は初めて知った。恐怖の顔をさらに歪ませるととびっきりの笑顔に限りなく近づくということを・・・。
セズギンは私に向かって言った。「喜んでくれているみたいでよかったよ。実はちょっと大き過ぎやしないかと心配してたんだ。」
十分だとも、十分すぎるほど大きいとも。そしてあなたの表現も的確であった。まさしく「ＢＩＧ」としか言いようがない。私は人類の進化の度合いがもう少し早くなって、あと2本ほど腕が生えてこないかと待っていたが、出てくるのはため息ばかりであった。
セズギンは言葉を続けた。「これは古城の絵なんだ。きっと気に入ってくれると思う。」
まあ実物の古城でなかっただけでもありがたく思うことにしよう。
しかしこの荷物　縦６０ＣＭ横８０ＣＭ厚さ１０ＣＭはある。しかも紐もかかっていない。どうやって持っていくんだよう。私はせめて紐ぐらいはかけてくれるよう頼み、同時に日本までの道のりの遠さを呪った。
しかしそこでまだ不幸は終わっていなかった。別のスタッフであるヤシンが包みを持ってきた。
さすがに彼は私の身に降りかかっている不幸な状況にうすうす気づき始めたらしく遠慮がちに言った。「もし荷物になるようだったら送るけど、感謝の気持ちなんだ。」
もう私は開き直っていた。もう来るもの拒まずだ。こうなったら世界一荷物が多い男としてギネスに申請してやる。しかしせっかくいただいたお土産を「荷物」と言ってしまってはさすがに申し訳ないので丁寧に「お」をつけて「お荷物」と言っておこう。

今日の格言１　「感謝の気持ちを、土産の大きさで表現してはいけない。」
今日の格言2　「恐怖の顔をさらに歪ませると、大喜びしている顔に限りなく近づく。」

後日談
ようやく日本の我が家にたどり着き、筋肉痛で震える腕で包装を解いてみると、それはただの絵ではなくて、立派な額縁に入った金属でできた古城のレリーフであった。道理で重かったはずだ。そのせっかくの土産も家にはかけておくスペースがなく、生家の物置で今も静かに眠っている。

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土産ものに関する話第2弾。

先月シリア人にいただいたのが画像のドライフルーツの詰め合わせである。
これもなかなかポップな彩りが楽しくて、嬉しかったのだがよくこんな重くてかさばるものを遠路はるばる持って来る気になったものだ。
私は、海外に行くときはできるだけ荷物を減らしたいので、土産も和紙のコースターや塗り箸、あるいはハンカチといった軽量でしかもかさばらないものが多い。

さて土産に関する話でどうしても忘れられないエピソードがひとつある。
私は自慢ではないが、記憶消去能力が人に比べてずば抜けて高い。失礼な奴は「おまえは記憶力が悪い」というが、私の場合記憶力はすばらしいのである。しかし記憶消去能力のほうがさらに秀でているのである。まあ、凡人には私の偉大さは分かるまい。
その私が忘れ得ないくらいだから、いかにこの体験が強烈だったか想像していただけるだろう。

さてそのエピソードであるが2年余り前にトルコへ行ったときのことである。
2ヶ月弱の仕事を終えイスタンブールに戻った私は前夜荷造りも終え、あとはエージェントのスタッフに挨拶をしたら空港へ向かうだけであった。
荷物もできるだけ軽量化するために重い資料は処分し、衣料や雑貨類も古いものは思い切って捨ててきた。それでも仕事関係のファイルやデータあるいは友人たちへの土産等で大き目のスーツケースもサブバッグもほとんどスペースがない。
エージェントで現地スタッフたちに別れの挨拶をする。ほとんどの人間は英語がしゃべれるが中には片言しか話せない者もいる。でも2ヶ月の大仕事を終えた私にみんなまなざしはやさしく、別れを惜しむ気持ちは十二分に伝わってくる。
そのとき私が一番信頼をおいて仕事をともにしてきたメメットが私に言った。
「酒は何本持ってる？」
私は答えた「ラク（現地の酒）一本だけ土産に買ってきた」
メメット「それじゃあと2本あげるよ」
課税されるのは4本目からなので確かにあと2本は余裕があるが、持ち運ぶのは私でありもう荷物は増やしたくない。
でもせっかくの好意を無にするのも申し訳なく、わたしはいただくことにした。
そろそろ出発しようと思っていたら、今度はメメットのボスのセズギンが私のほうにやってきた。
「今回は本当にご苦労様でした。お礼にスタッフみんなからビッグなギフトがあるんだ。昨日セキュレタリーの女性が一所懸命考えて買ってきたんだ。」
私は笑顔を絶やさないように気をつけながらも心中はかなり波立っていた。『なにい。ビッグなギフトだぁ？』しかしセズギンはあまり英語は流暢なほうではないのでスバラシイというのを「ビッグ」と表現したのかもしれない。

つづく
　　　　　　　　

先頭 表紙

このところ私は土産づいている。
少し前のシリア人からの土産の数々をはじめ今月は３グループから嬉しい土産をいただいた。

土産というのは難しいものでいくら一所懸命選んでくれたものでもそれが私にとって必要でないものであれば、少しがっかりするというのが正直な気持だ。（気持はもちろんありがたいし嬉しいが。）

私は仕事の関係上、海外の人々から土産をいただく機会が多いのであるが、同様に海外に日本から土産を持っていくことも少なからずあるので、今回土産選定の基準について考察してみることにした。
へへ、考察なんて書いてみるとビールでふやけた頭でぼんやり考えてるだけなんだけど、なにか賢くなったような気分になるなあ。
もう一杯ビールおかわりっと。

正しい土産の条件�@　　　《その土地、国ならではのもの》
　といってもインドの土産にインド象を連れて来られたりしても困る。
なぜならば日本のペットショップに象用の首輪は売ってないであろうし、えさを確保するために毎日草刈をしなければならない。
２ヶ月に１回の狭い庭の草引きですら苦痛である私に、そんなことができるわけがない。
でもよく考えてみたら普通の人は生き物は贈らないか。・・・でも死んだ象だったらもっといやだ。

正しい土産の条件�A　　　《装飾品あるいは民芸品であればセンスのいいもの》
　注：「センスのいいもの」とは「物のいい扇子」という意味ではない！よいこの皆さんはくれぐれも扇子を送ってこないように。
この「センスがいい」というところがキーポイントで、人によって物の感じ方が違う限り、全ての人にとってセンスのいいものなんてこの世には存在しない。
特に私に限っていえば「おまえは変ってる」とよく人に言われるので、常人がフツーの感覚で選んだものは多分私の好みには合わないであろうが、かといって「私にヘンなものをください」なんて言ったら、イタチの頭蓋骨で作ったランプシェードとかトカゲの皮で作った猪追い用の大うちわなんて本当にヘンなものばかり集まって来そうな気がする。
だからセンスのいいものというより、私の感性に合うものといったほうが正しいのかもしれない。
しかし人の感性なんてなかなか簡単にわかるものではない。半年ほど一緒に住めばおおよその感性も分かり合えるだろうが、土産をもらうためだけに、ごっつい体格の異国人のオヤジと半年も一緒に住むのはまっぴらだ。

正しい土産の条件�B　　　《それが万が一気に入らないものだった時気軽に捨てられるもの》
　特に困るのが宗教がらみの物や、人形等でなかなかポイッと捨てられない。
それがまだ日本のものであれば、神社なんかへ持って行けば始末できそうだが、異宗教のものをそんなことしたらますます話がこじれていきそうである。
実際私の同僚はマリア様の顔がない石像を貰って途方にくれていた。家にももって帰れず、１０年近く経つ今でも仕事場のキャビネットの上においてある。職場の引越しの時でさえ捨てられなかったものだから、これからもずーーーっとその場所に居続けるのであろう。（誰か要りませんか？このマリア像）


さて今回いただいたものが、画像の品々である。
�@エジプトの酒「ウゾ」（アニス系の個性の強い酒なのだ、日本人で好きだという人は少ないが、私は好きです。）
�AＵＳＡのナッツの詰め合わせ（日本でこれだけの量が入ってると、いくらとられることやら。）
�BこれまたＵＳＡのビーフジャーキー（肉厚で柔らかなのだ）
全部別々の人にいただいたのだが、酒のみの私のツボにぴったしはまる大満足の土産でした。

先頭 表紙

何はともあれ回らない首を回して壁張りメニューをチェックしていると、店主が「あのうTV消しておきましょうか？」と私に尋ねた。
みるとノイズだらけの画面にかろうじて人らしきものが映っているのが見えた。しかしこの見づらいテレビも消してしまうと、この暗い店の雰囲気に押しつぶされてしまいそうになるので、「あっ、そのままにしておいてください。」と答えた。
店主が店員に「やっぱりNHKはきれいに映るなあ。」と言うのが聞こえた。これが一番調子のいい局らしい。とすると民放各局は何も映っていないんではないだろうか。それは普通はテレビとはいわない。巨大なラジオである。
その巨大ラジオの隣に四角いおでん鍋が置かれtれいるのが見えた。おでんなら味の当たり外れは少ないであろう。私は店主に尋ねた。「おでんありますよね？」
店主はなぜか目を宙に泳がせて答えた。「はい何しましょう？」。私は何か悪いことでも聞いてしまったような気まずい雰囲気に戸惑いながら、「牛スジと、玉子と大根ください。」と言った。店員はすまなさそうに「牛スジ、溶けてしまうんで入れてないんです。」と答えた。あの煮込めば煮込むほどいい味が出て柔らかくなる牛スジを溶かしてしまうほどの客の入りの悪さ！敵は私の予想をはるかに越えるほど手ごわいのかも知れない。
牛スジの代わりに私は厚揚げを注文した。店員は答えた。「はい、温めますね。」
え＝＝！温めますって、おでんが冷めてるんかいな。常にぐつぐつあったまってるのがおでんじゃないのかー！でももう後戻りはできない。もう完全に私は相手のペースにはまってしまってる。店員は私の注文した玉子、大根、厚揚げを皿に取り分け上からスープをかける。まさかまさか・・・まさかとは思うけどチンするんじゃないだろうな・・・と思うまもなく電子レンジに彼らは入れられてしまった。
もういい。わかった。完敗だ。ああ完敗だとも。私が悪かった。やはり自分の手で晩御飯を作ればよかったんだ。これだったら居酒屋の厨房を借りて自分で作ったほうがずっとまともなものが食える。
そのときあらぬ妄想が私の頭に浮かんできた。
このオヤジももともとはここの客であまりもの不味さに「自分で作ったほうがましだ。」とつぶやいてしまったばっかりに厨房に入れられ作らされているのではなかろうか？そして次に同じようにつぶやく客が来るのを待っていたのである。待っていーたーのーであーーる〜〜。
半分朦朧とした意識の中で、「チン」と音がするのが聞こえ、おでんが私の前に出された。気を取り直して厚揚げにかぶりつく。中のほうが妙に冷たい。最悪。悲しい気持ちで玉子を見る。そしてだしが染み込みすぎて真っ黒になった玉子も悲しげに私のほうを見る。そんな玉子と私を悲しそうに店主が見つめる。ああ悲しみのおでんトライアングル。何か救いを求めるような店主の目である。

客が入らない⇒材料がはけず古くなる⇒料理が不味くなる⇒ますます客が入らない　　　という恐怖の閑古鳥スパイラルに陥ってしまった店を救う方法は私は知らない。

作家の中嶋らも氏はかなり変わっていて、思いっきり不味い店に巡り合うと飛び上がって喜んでしまうほどの「不味い店フリーク」なのだが、そんな人はこの世にはめったにいない。


何はともあれこの貴重な体験を皆様にぜひ聞いていただきたかったのである。そして私のテリトリーでオフ会を開く際にはこの店をオプションとして用意しておくからお気軽にリクエストしてください。（でも私は絶対に行きませんが。）

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少し前の話であるが、仕事を終えたのが10時過ぎで、その時間から帰って夕食の用意をする気にもならなかったので、その日は軽く居酒屋で飲むことにした。
その日は馴染みの居酒屋は定休日でわざわざ回り道をするのも面倒で、帰り道にある初めての店に寄ることにした。
店構えはあまりぱっとせず、多分そんなに美味いところではないだろうという気はしたが、まあ当り障りのないものを2、3品つまみながら冷えたビールを飲めればよかった。

しかし店に入ったとたん私はこの選択が失敗だったことを悟った。誰も客がおらず、その店の店主と思しき初老の男と店員らしき女性が客席で差し向かいで夕飯を食べていたのだった。
その店内は居酒屋失格度満点の雰囲気が蔓延していた。その時点で私はまた元通りそっと戸を閉めて何事もなかったように立ち去りたかった。しかし戸を閉めかけたとき、店主と店員がこちらのほうを見て「いらっしゃいませ」と陰気に言った。もう遅い時間だったので、私は多少の期待を込めて閉店時間を聞いた。もし閉店間際であればそれを口実に立ち去ることができるからだ。
店主はにわかに慌てた口調で言った。「な、何時まででも。」
「何時まででも」って何やその答えは・・・・明らかに、「久しぶりの客は逃がせへんで〜」という執念が感じられる。
しかしそのあと女店員が慌てて「でも本当は12時までなんです。」と付け足した。
もし強引に逃げようとしてもたぶん後から「におい少なめ超小粒納豆」を「まきびし」のように投げつけられて逃がしてはくれないだろうなあという確信に似たものがあったので、私はここはおとなしく店内に入ることにした。
カウンターに座ろうとした私は思わず後ずさりした。カウンターの上が置きっぱなしの雑誌や新聞で埋まっていたのだ。私は半分開き直ってブルドーザーのように手で私の着席をかたくなに拒んでいる障害物たちを「ががーー」っと端のほうへ寄せ自分のスペースを確保した。
とりあえず飲み物を注文しよう。こういう店では瓶ビールに限る。生ビールはサーバーの管理が面倒で洗浄の手を抜くとすぐに味やにおいが悪くなる。この店にそういう管理ができているはずがない。

さて食べ物を何か注文しようと、店内をぐるりと360度見回してみる。・・・といっても私の首が360度回転するわけではない。そんなことができればこれから夏祭りや秋祭りのシーズンにかけて一儲けできるであろう。
しかし残念ながら体が固い私の首は実際には左に90度右に97度くらいにしか回らない。なぜ右のほうが余分に7度回るかというと、家でPCに向かっているときTVは右のほうにあり、TVを見るとき首を右にぐいっと振らなければならないのだ。
習慣とは恐ろしいもので毎日首を右に動かしていると、ストレッチ効果でよく曲がるようになるのである。この調子で毎日TVの置き場所を変え、右向きにTVを見る日、左向きの日。つま先立ちしてみる日、前屈して股の間から見る日等々日替わりメニューを組んでおけば、1年ぐらい経てば私はかなり柔軟な体になるであろう。 つづく
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

先頭 表紙