2002-06-14 ウォーター・ダンス　〜ヒロ・ヤマガタについて思ったこと
2002-06-13 きってもきれない　こころとからだ
2002-06-12 悪夢×２
2002-06-09 ブラック　ストーン
2002-06-08 （１）
2002-06-08 （２）
2002-06-08 （３）
2002-06-07 見られた
2002-06-06 もうねる
2002-06-06 駒あつめ

先日、美術板＠２ちゃんねるにて偶然目にした噂。
画家のヒロ・ヤマガタって、お金にまったく執着のない人で
自分の絵（版画）の売り方も人任せ、ほとんど頓着しないんだって。

あの、「なぜここまで？」と思えるほどの、彼の絵の販売形態には、
そういう事情があったのか……と思いました。

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この春、富士銀行は　みずほ銀行と名前が変わったのだけれど
わたしは、いまだに富士銀のカードと通帳を持っている。
というのは、ヒロ・ヤマガタの絵がデザインされた
そのカードと通帳が気に入っているから。
（みずほ銀行のカードもシンプルで高級感があり、かなり格好いいので、
　ちょっと心揺らいだけど……(笑)）

２ちゃんねるで例の噂を読んでから、
わたしは、ヒロ・ヤマガタの絵に対して、
「俗っぽい」という、刷り込まれたに等しいイメージしか
持っていなかったのかもしれないと思った。

でも、そういえば通帳のあの絵は好きだな　と思い出して
絵のタイトルを調べてみた。

はたして、「アースリー・パラダイス」という連作の中の
”ウォーター・ダンス”という作品だということが、判明。
地上の楽園、と名付けられたそのシリーズは、どれも、
カラフルな、いろんな模様がペイントされたクラシックベンツ、が描かれている。
例えば、”サファリ”のベンツには、しまうまが。
”シェル”には、貝殻が。
”バタフライ”には、羽ばたくちょうちょの群れが。
ネット上で、いくつか見てみたが、どれもかなりどぎつい。
はっきり言って、悪趣味！（笑）

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去年の11月、チェコ映画『オテサーネク』の公開初日。
雨の降る、渋谷の画廊の入り口で、
わたしは”ウォーター・ダンス”を見かけた。
「あの通帳の絵だ！」と思った。
”ウォーター・ダンス”のベンツは、深い、鮮やかな紺色の地に、色とりどりの花々。
その車体の紺と、背景の白のコントラストが、凛として、とても美しかった。

ネット上の画像でもいいから、もう一度見てみたい。
そう思って何回も検索をかけたのだけれど、画像は見つからなかった。残念。
仕方がないので通帳とカードで我慢することにする。

それにしても、ヒロ・ヤマガタの創作にかけるパワーはすごいな。
ネット画廊にＵＰされている膨大な作品リストと、作品の画像を見て、そう思った。

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これもヒロ・ヤマガタ関連。こんなニュースはご存知でした？

http://www.hiro-yamagata.net/

先頭 表紙

自分で休日の申請をするのを忘れただけなのに
昨夜はなぜそれくらいで落ちこんだんだろ。
駄々をこねる子供みたいだなあ。
今日、できれば休みをもらいたいと上司に話したら
検討をしてもらえるとのこと。ああ、ありがたや……。

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憂鬱になったり、気分が乗らなかったり、イライラしたりする時は
けっきょく、体調がよくない時が多いみたい。
このごろ、そういう心と身体の因果関係に、ようやく気づいたので
精神的に調子が悪いときは、真っ先に体を疑うことにした。
主なチェックポイントは３点。

（１）薬 or アルコールを飲んでいないか
（２）体力が落ちていないか（風邪気味でないか）
（３）生理前でないか

（１）
薬もアルコールも、悪い方に効くときはとことん効く。
先日、勤務時間中にひどい無気力に陥り、ほとんど仕事に手がつかなくなって困った。
よく考えたら、そのしばらく前に、いつもは飲まない風邪薬を飲んでいた。
あと、旅行帰りの飛行機の中で強烈な憂鬱に襲われたことがあるのだけれど
その直後に吐いた。しばらく立てないくらい気持ち悪くて、すごかった。
疲れているのに、行きと同じ調子で機内食のワインを空けたせい。
憂鬱になったのは、単なる悪酔いだったらしい。(^^;

（２）
わたしの場合、体力が落ちてくると、歯茎の腫れ・頭痛・
皮膚炎のどれかが必ず出てくる。
そういう時は、「あー、身体が疲れたってサイン出してる〜」と思って
我慢せずにさっさと飲みつけの薬を飲むのだ。
職場の机にも頭痛薬を常備しております。(^-^)v

（３）
つくづく面白いなあと思うんだけど、わたしの場合、生理の影響というのは
生理の間はそれほど起こらなくて、始まる前の方がずっと大きい。
他人から見て顕著かどうかはわからないけど
やっぱり、普段よりは確実に憂鬱になりやすくなる。
それが、生理が始まった途端、鬱々としていた気分が
すぱこーーーんと晴れるんだよね。不思議。
ホルモンバランスが崩れるということなんだろうけど
身体がどれだけ頑張っているのかということがよくわかる。
こればかりは病気ではないので、薬は飲まずに放っておく。
ただ、普段よりお腹が痛かったりする時は
何か特別なストレスを受けていないか、考えてみる。

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あとは

（４）睡眠と食事は足りているか
（５）暑すぎたり、寒すぎたりしないか

……かなあ。
憂鬱なときに、この５つをチェックしてみると、
だいたいどれかに当てはまります。（ちなみに昨夜は�D。暑かった……）
純粋に純粋に憂鬱になることなんて、実はそれほどないのかもしれない。
落ちこんだときに、あえて「まあ、身体のせいだからしょーがないや」と考えれば、
すこしは楽な気分でいられそうだと思う。
本当は、体調日記をつけるのが一番いいのだけれど
なかなか実行に踏み切れなくて今日に至ります。

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ちょこっと実家に帰っていました。ただいま。

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夏に行こうと思っているロック・フェスの最終日の日程を調べて、ショックを受ける。
……休日出勤の日に重なってる……。
しかも、休日出勤の調整は今月10日までだった。もう駄目じゃん（涙）
小学生じゃあるまいし、今からシフト変えてくださいなんて言えない……よねえ……。
最終日前日（土曜）に行ければいいんだけど、それも休めるかどうか微妙。
なんでもっと早く日程を確認しなかったんだろう。
１年前から楽しみにしてたのに。わたしのバカバカ（；_；）

というわけで微妙にブルーです。
今の職場を辞める時が来たら、次は完全土日休みの職場を狙おう……。

こんなことを言っているから私は仕事人じゃないんですね。

一昨日あたり、夢を見ました。
私は、今の職場ではない、別のところで働いていて
そこで、上司らしき人から「あんたは無能だからもう来なくていい」と言われました。
私をフォローしてくれる人は一切おらず、場の全員がそういう風に思っているみたいでした。
悪夢でした。

先頭 表紙

職場に、アルバイトのＮ君という人がいる。
仕事中、話をすることはほとんどないのだけれど、Ｎ君はたまににっこり笑って、
スーツの内ポケットに入れた煙草を見せてくれる。

初めての時は、女の子が吸うような、細くてながい、きれいな煙草を。
２度目は、レモンとメンソールの匂いのする、まるでラムネみたいな煙草を。
そして今日は、Ｎ君もわたしも好きな、ある漫画の登場人物が
その物語の中で吸っている煙草を、見せてくれた。
まるでチョコレートでも入っていそうな、きれいなパッケージ。
面白い煙草ばかり。どこで買ってくるんだろう。

仕事が終わって向かった、2150の駅で、
改札の向こうを見つめながら、立っているＮ君を見つけた。
スーツの上下（バイト用）に、黒くてちょっと長い髪をひとつに束ねて、
かといって水商売風でもないし、つくづく不思議な雰囲気。

「待ち合わせ？」　
「ええ、友達ですけどね。」
友達とわざわざことわるところがなんかいいっすね（笑）
年上の彼女と熱愛ちうの彼。
その手には、コーヒーウェハースみたいな色をした、例の煙草。
煙草の匂いに混じって、ベリーみたいな、甘い香りがする。
「吸ってみます？」
「うん、」
煙草に口を近づけてから、初めて、
煙草がまだ相手の手の中にあることに気づき、慌てて自分の手に持ち直した。
他人の手から吸いさしの煙草を吸うのって、すごく、やらしい感じがするよね。なんとなく。
「肺に入れちゃダメですよ、」
入れちゃダメって言われたら入れるわな。それに、煙草って、肺で吸うもんなんでしょ？
「……ぶっちゃけ、まずいですね。」
そーか、これは、まずいのか。
もともと、煙草は吸わないから、よくわからない。

けど、電車に乗って、それから20分くらいは、ずっと口の中が苦かった。
たった一口なのに、ニコチンとタールが少し回った。
あと10歳若かったら、これだけですごくドキドキしたね、きっと。

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そして向かった先は新宿のカラオケボックス。

夢樂堂さんはしっとりと落ちついた演歌を。大人。
パンドラさんの歌声は、あの文章そのままのように優しかった。
ガス欠コインさんの選曲、実はわたし好みかも（^^ゞ
ワインレッドの心、良かったです。
あややさんは、ソロの歌声ももちろんながら、ハモリの美しさがすごい！　さすが。
そしてHideyさんはジュリーと化して女性陣を悩殺。いやほんと（笑）
みかりんさん、電話できて嬉しかったです。
いつか会いたいなあ。会えるよね？（笑）

短い時間でしたが、みなさんのステキな歌声を聴けてよかった♪
また是非、お会いしたいです。

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　他人とは、自分の感覚器官の一つではないかしら、とふと思うことがある。

　例えば、わたしは誰かと一緒に映画を見に行ったりする。それは、自分から誘ったり、向こうから誘ってくれたり。ただ映画を楽しみたいなら、一人で行ってもいい。要は観たあとに、お互いに感想を話し合ったりすることが、多かれ少なかれ楽しみだから、一緒に行く。

　それは映画だけに限った話ではなく、人間が、お互いにそれぞれ接触しながら生きていくようにできているのは、やはり情報交換の意味が大きいのではないか、と思う。それぞれがそれぞれの経験をして、それを各自のやり方で処理して、他人に伝える。伝えられた方は、それをまた自分の感覚で受け止める。人は、他人を通して、間接的に、よりたくさんの情報や経験を手に入れることができる。

　例えば自分の手が何かに触れた時、手が得た情報は神経を伝わって脳に送られる。その伝達経路がちょっと複雑になるだけだと思えば、他人とは、自分にとってのリモートな感覚器官であるとは言えないだろうか。

　そして、それはまた、自分である程度、選ぶことのできる器官でもある。誰でも、自分にとって魅力的と思える感性を持った人と、親しくなりたいはずだと思う。そうでない人よりは。

（下へ続く）

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（上より続き）

　わたしの大好きな小説の話をしてみる。

　夢枕獏の書いた、『瑠璃の方船』というその作品は、彼の半自伝的小説であるそうだ。その小説の主人公は、”ぼく”であり、小説家を志す”ぼく”のペンネームは、”夢枕獏”という。
　”ぼく”には、河野という親友がいる。河野は、真剣士と呼ばれる、賭け将棋で身を立てるアンダーグラウンドの棋士。たまに連絡を寄越すとき以外は、どこに暮らしているのかも判然としない。彼は、良く切れるナイフの刃先のような男として描かれる。常に眼光をぎらぎらさせて、時にはきわどい賭けもこなしながら、徹底的に自分の自由に生きるように、いや、徹底的に自分に正直に生きるように。

　例えば、小説家として安定し、妻子を持った”ぼく”に、「結婚してから好きになった女はいなかったのか」と河野は問う。「いる」と”ぼく”が答えると、「それならば、なぜその女と堕ちなかった？！」と、河野は”ぼく”をなじる。

　”ぼく”が河野に初めて逢ったとき、河野は「きみも文学をやるんだって？」と”ぼく”に話しかけた。河野は、「俺も今、凄いものを書いている」と”ぼく”に再三言うのだが、それを見せることは決してない。しかし、それから、おそらくは二十年か、それ以上の歳月が流れて行きついた物語のラストで、”ぼく”は河野の書いたものを目の当たりにする。そのとき、”ぼく”は思う。
　河野はもう一人の自分なのだ、と。

　自分が強烈に憧れた、しかし自分には不可能な生き方をした河野のことを、”ぼく”はそのように思うのである。

（いま手元に本がないこともあって、なんかようわからん説明で申し訳ないっス...）

（下へ続く）

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(上より続き)

　自分の憧れる生き方、けれど、自分には不可能な生き方。

　たしかに道はいっぱいある。最近聴いた　BUMP OF CHICKEN　の曲の歌詞に例えるなら、「君が立つ　地面は　ホラ／360度　全て　道なんだ」ってところ？
　その気になればどこにでもいけることは、もうわかっている、と思う。自分という檻の中に入っていると思うことと、どこにでもいけると思うことは、決して矛盾はしない。
　でも、悲しいかな、身体と心はひとつしかない。360度どちらへでも進めるからといって、自分がありとあらゆる場所にいけるというわけではない。

　そう思ったら、自分には不可能な人生を誰かに託したり、反対に託されたりするのも悪くないかもしれんと思った。自分が他人にはなれない以上、それだけの相手に値すると自分が判断した人の、その生き方をすべてその人に、任せて、わたしは、その人の得ることのできない、生き方を、その人の肩代わり（！）をするつもりで、やってみたら、どうだろうか。自分が憧れる人の、その人がどこかで求めながら、得るわけにもいかないものを、あえて自分が追いかける。あなたが南に行くならば、わたしは南を目指さず、かといって北でもなく、たとえば北北東あたりへ。（←鬼門？）　そうして、わたしが、その人の、その人から遠く離れた感覚器官となり、その人がわたしの、わたしから遠く離れた感覚器官になると思うことは、どうだろうか。
　
　そういう風に考えたら、わたし自身の、「自分で自分をどうしたらいいのかよくわからん感じ」がほんのちょっと軽減されたような気がした。そして、すこし安心して、すこし淋しくなった。ほげげ。……風呂でも入って寝よ。

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授業が終わった後、生徒がどっとやってきて、受付のカウンターが全部ふさがってしまったので
カウンターのそばで「ご用の方は聞きますよ。どうぞ。」と声をかける。

そこで、Ｔ君と目が合い、にっこりされた。ん？　何か用？
Ｔ君はいつもよくわからない笑顔を浮かべているほんわか君である。
最初に友達と一緒に入学の説明を聞きに来た時、
彼はなぜか、ニコニコと説明を聞きながらつーっとイスで後ろに後ずさっていくので、
「そんなにさがらないでよ」と笑ってツッコミ入れた覚えがある。

「用はないんですけど、今日、モ○バーガーで食べてましたね」

おお、少年！　君だったか！　あそこでウチの教材を広げて勉強していた感心な生徒は。
ご指摘の通り、今日のわたしの夕飯はモ○バーガーだった。
もちろん制服だったから、気づかれただろうなあ、とは思っていたけどね。

「こういう食べ方するんだー、と思って、チラチラ見てました」
うげげ（汗）
一人で、無防備に食事しているところを観察されていたとは。
さぞ品のない食べ方をしていただろうね。何といってもわたし、育ちは良くないから。
「食べてるもの見て、おお、お金持ちだーと思いました」
いや、モ○のセットメニュー・700円弱は、確かに高いとわたしも思うよ。量が少ないわりに。
社会人３年目のわたしでさえそう思うんだから、高校生の君にはさぞ高いだろうな。

ああ恥ずかしい。
あまりに恥ずかしいので、「今度見かけたら声かけてよ！」と言っときました。

ちょいまて、もう社会人４年目だった……（汗）

先頭 表紙

今日は疲れました。
やることが大量にあってハードでした。
わたしの仕事が終わらないと上司が帰れないので
上司には迷惑かけました。

いまごろ新橋ではひまじんのみんな飲んでるのかなー。
いきたかったよー。

珍しく零時前にダウンです。
もう寝る。
みなさんつっこみ有難う。
また明日。


P.S.
ちるどれん、とか、ちきん、とかいう単語を
立て続けに間違えていたことにきづく。
ああはずかしい。すいません。＜英語力最低。

先頭 表紙

　アイデンティティという言葉を辞書でひいて、「自己同一性」という説明にいきあたり、何が何だかわからず、がっかりした昔の思い出。

　時間がねじれたものであると思ったのは小学生のとき。学校がえりにグラウンドを横切りながら「今こうして話している同じ瞬間にわたしはもう死んでいるんだよ。」と友達に向かって力説した。見上げた空は、曇天で、気味が悪くなるくらいのエメラルドグリーンだった。

　自分の身体、感覚というものが閉じた一個の宇宙であると知ったのは中学生のとき。常時痺れた手の感覚は、自分が訴えないかぎり、他の誰にも察知できない。

　これから先、自分はずっと一人で、他の誰も自分の肩代わりをしてはくれないのだとようやく気がついたのは高校生のとき。踏み切りの向こうに溶けて落ちてゆく太陽はオレンジ色でとても大きかった。

　友達に誘われてMr.Childrenのコンサートに行ったのは大学生のとき。今も昔も、わたしは彼らの音楽にとくべつ心酔はしないのだけれど、そのとき聴いた『名も無き詩』という曲は、心に痛くひびいた。

あるがままの心で生きられぬ弱さを
誰かのせいにしてすごしてる
知らぬ間に築いてた自分らしさの檻の中で
もがいてるなら僕だってそうなんだ　

　檻という言葉にはマイナスのイメージがつきまとう。しかし、これを一度逆手にとってしまえば、これ以上楽なこともない。もし、自分が常に「自分という檻」に閉じ込められた存在だとするならば、どこに居ても、誰と居ても、何をしても、どんな立場に立っても、どんな身なりをしても、どこまで行っても、自分は自分でしかありえない。例えば、気でもくるって、自分を自分と思うことができなくならないかぎり、檻が壊れないかぎり、わたしはわたしでいられる。
　その感覚は満員電車の中の感じにひどく似ている。ぎゅうぎゅうに詰め込まれて、もはや自分で自分を支える必要がない。バランスを失って倒れる余地もない。見知らぬ他人どうしが互いに互いを支えあっている。

　なにか違和感を感じたとき、不愉快なことがあったとき、なぜ自分がそう感じたのかを考える。自分にもきちんと輪郭があるらしい、と気づく。その輪郭はいったいどんな形をしているのか。何かにぶつかるたびに手探りする。いつもいつも気体のようにはすりぬけられない。檻は檻だけに頑丈だったりもする。

　そんなことをなんとなく考えながら、駒の揃う日を待っている。たぶん一生揃うことはないだろうと思うのだけれど、絶対に揃わないという気も、また、しない。いつかこの世からいなくなるときが来たら、そのときは忘れずに、その時点であつまった、すべての駒を持っていこう。

先頭 表紙