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ポロのお話の部屋

作曲家とむりんせんせいの助手で、猫の星のポロが繰り広げるファンタジーワールドです。
ぜひ、感想をお願いしますね。

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2005-05-10 ポロの日記 2005年5月10日(熱曜日)今日のお昼ごはん その1
2005-05-09 ポロの日記 2005年5月10日(熱曜日)今日のお昼ごはん その2
2005-05-08 ポロの日記 2005年5月8日(風曜日)100まん年ピクニック解決編 その1
2005-05-07 ポロの日記 2005年5月8日(風曜日)100まん年ピクニック解決編 その2
2005-05-06 ポロの日記 2005年5月8日(風曜日)100まん年ピクニック解決編 その3
2005-05-05 ポロの日記 2005年5月5日(草曜日)100まん年ピクニック その1
2005-05-04 ポロの日記 2005年5月5日(草曜日)100まん年ピクニック その2
2005-05-03 ポロの日記 2005年5月3日(熱曜日)捕竜はんたい!
2005-04-24 ポロの日記 2005年4月24日(風曜日)ポロ、アンデルセン公園に行く その1
2005-04-23 ポロの日記 2005年4月24日(風曜日)ポロ、アンデルセン公園に行く その2


2005-05-10 ポロの日記 2005年5月10日(熱曜日)今日のお昼ごはん その1

今日のお昼ごはん その1


「ただいま」
「わ、せんせいお帰り、どこ行ってきたの?」
「銀行とかね、いろいろ用事を済ませてきた。ついでにお昼の買い物してきたから食べよう」
「わあ、今日はなあに?」
「今日はお蕎麦だよ」
「ポロは手打ちじゃなくちゃいやだなあ」
「ぜいたく言うんじゃない。一応、今日は生(なま)蕎麦だよ」
「そうか〜、それは楽しみだね〜」

 それからせんせいは、わざわざ東京消防庁で買ってきた防炎かっぽう着を着てお昼のしたくを始めました。
できあがるまで、ポロはテーブルで、読みかけの“サルでも分かる相対論”を読み始めました。

 ・・・・マイケルソンとモーリーは、極めて精密な実験を行なった結果、全ての方向からやってくる光の速度がすべて同じであるという結論に達しました・・・。

でも、サルには分かっても猫にはちょっと難しいかも・・・。

「さあできたぞ。食べよう」

 せんせいは、茹でたてのお蕎麦とおつゆ、それから薬味をテーブルに置きました。

ポ「いたーきま〜す!」

 ぞぞぞぞぞぞ!

ポ「ぶっ!」
せ「どうした、つっかえたか?」
ポ「・・・・ん・・・・、んまい! んますぎるよ、せんせい!」
せ「そうか、それはよかった」
ポ「よかったとか、そんな問題じゃないよ」
せ「じゃ、どんな問題なんだ」
ポ「これは電気羊市の蕎麦処“大上段”よりもおいしい!」
せ「だろ?」
ポ「だろって、せんせいどうしてこのお蕎麦知ってるの? いったいどこのお蕎麦なの」
せ「あ、パッケージはキッチンのダストボックスだ」

 ポロは、すぐにパッケージを持ってきてラベルで製造元を調べました。

ポ「えっと、長野のT製麺ていう有限会社だよ。無限会社ってあるのかな?」
せ「いや、ないよ。有限会社は小さな会社が多いね。まあ、個人企業みたいな感じだよ」
ポ「そうか、じゃあ、小さな会社でそこの社長さんだか、職人さんだかが気合い入れて作ってるんだね」

 ぞぞぞぞ〜!

ポ「んまい! やっぱ、んまい!」
せ「ああ。これだけのものだからね、相当な思い入れがあるだろうね」
ポ「でもさ、せんせい。これって、高かったでしょ?」
せ「いや、2人前で100円ちょっとだ」
ポ「ぶはっ! “大上段”のセイロなんて一枚1200円もするんだぞ〜、どういうことだ〜」
せ「価値と価格は必ずしも一致しないのは知っているだろう」
ポ「そだけどさ、ポロだったらこのお蕎麦にならお金払うよ〜」
せ「同じ売り場に、有名大手のなま蕎麦もあるんだが、そちらは高い」
ポ「せんせい、そっちは食べたことある?」
せ「あるよ。普通のなま蕎麦だ。以上でも以下でもない」
ポ「でもさ、せんせい。このお蕎麦は手打ちだって言われたら、ポロあっさり信じるよ」


つづく

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2005-05-09 ポロの日記 2005年5月10日(熱曜日)今日のお昼ごはん その2

今日のお昼ごはん その2


せ「ちょっとした小ワザがあるんだ。こういうナマ蕎麦は入荷したらその日が“買い”の日なんだ。賞味期限ぎりぎりで食べるより、さらにおいしい。今日は、まさに入荷したてだったんだ」
ポ「そっか」
せ「薬味も使ってごらん」
ポ「わ、このワサビ、なんだか色が薄いじゃないか〜」
せ「生ワサビだよ」
ポ「わ、せんせい。そういうぜいたくするから工房は貧乏なんだよ〜。ぷんすかぷんすか!」
せ「まあ、いいから食べてごらん」
ポ「わ゛〜〜!! んまい! このワサビはなんておいしいんだ〜。ポロ、このワサビとお醤油があれば、いくらでもご飯食べられちゃうよ! せんせい、高かったでしょ」
せ「いや、高くないよ。色が薄いのはワサビのせいじゃないんだ。わさびの中心部の黄色いところだけをおろしたんだよ。安い生ワサビはごつごつしていて、結局中心部を使うことになるから都合がいいんだ」
ポ「ふ〜ん、そういうワザがあるのか」
せ「まだ2/3は残っているからね。夕ご飯のときも食べられるよ」
ポ「わ、せんせい、この薬味のネギもいい匂いがして、すごくおいしいよ!」
せ「よく気がついたね。和風エシャレットを一束買ってきて、その中の小さな1本を刻んで長ねぎに混ぜたんだ」
ポ「そっか〜。タマネギ型じゃないほうのエシャレットだね〜。刻みネギにちょっと混ぜるとこんなに香り立つのか〜。今日はせんせいの小さなワザの積み重ねでこんなにおいしくなったわけか〜」
せ「それより何より、小さな製麺所の心意気かな」
ポ「そだね〜。ところで、せんせい。今日いったいいくら使っちゃったの? 明日もお昼食べられるだけお金、残してある?」
せ「ああ、大丈夫だ。今日は2人分で345円だよ」
ポ「え゛〜〜〜〜〜、ひとり170円ちょっとじゃないか〜! 安すぎるね〜。売値でそれなら、いったい作ってる人たちはいくらで卸してるんだ〜!」
せ「私ももう少し払いたいと思うよ。製麺所にもワサビ農家にもエシャレット農家にもね」
ポ「そういう人たちが、正当な対価を得られるようになるといいね〜」
せ「対価を支払うのは消費者だからね。まず、我々が認識を改めないとね」
ポ「ポロ、もうあらためちゃったよ」


おしまい


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2005-05-08 ポロの日記 2005年5月8日(風曜日)100まん年ピクニック解決編 その1

100まん年ピクニック解決編 その1


ピクニックから帰った晩、ポロは夢を見ました。

 ポロは、ぜんまい商店街の福引で一等賞を当てて観光宇宙旅行に来ていました。ここ数年やっと表世界でも宇宙旅行が一般的になってきたのです。今日は大洗宇宙基地から、イバラ危険宇宙観公社の第一はまなす丸に乗って宇宙へ出たところでした。ポロは小さな円窓にかじりついて外に広がる宇宙に目をこらしていました。
 ポロの前には、ぜんまい商店街の魚政のおやじさんもいました。

魚政の政二郎「おお、さすが宇宙だね〜。お月さまがあんなに大きく見えるよ」

 たった数百キロ近づいただけなのでまさかと思いましたが、ホントにお月さまが大きく見えました。

ポ「わ、M31もあんなにおっきいよ」
政「お、あれが有名なアンドロイドの大星雲ていうやつか。長生きはするもんだねえ」

 でも、よく見ると、それらはどれも観光客を当て込んだ歓楽街のネオンでした。

<居酒屋 満月>
<パブ・アンドロメダ>

 まもなく高度500キロの折り返し点というところで、船体に大きな衝撃がありました。反対側の窓の席に座っていた商店街の八百八(やおはち)のおカミさんが叫びました。

おカミ「まあ、事故だわよ! あの宇宙船にぶつかったんだわ〜」

 すぐに船内放送が流れました。

船長「皆様にお知らせいたします。ただいま、本船とほかの観光宇宙船が接触事故を起こしました。相手の船はナガサ危険宇宙観光公社のグラバー2号の模様です。グラバー2号も本船の被害もごく軽微で、安全上問題はありませんからご安心ください。

 ぼかん!

 そのとき、いきなりグラバー2号が爆発しました。

乗客たち「きゃあ〜!」

 バラバラバラ、カンカンカン!

 グラバー2号の破片が第一はまなす丸に降り注いで音を立てました。

 ぷしゅー!

 へんな音に気づいて音のするほうをみると、第一はまなす丸の壁に外がわから金属製のフォークがささっていました。きっとグラバー号でお昼を食べていた乗客が使っていたものでしょう。

おカミ「まあ、大変。穴が空いて空気が抜けちゃうわ! 船頭さんなんとかしてよ」
魚政「船頭じゃないよ、船長さんだよ」

 魚政さんは座席の下に用意されたファーストエイドキットから傷テープを出すと、ささったフォークを押し戻して、空いた小穴に貼りつけました。

 すると再び船内放送がありました。

船長「皆さん、落ち着いてください。私は東京大学を一番の成績で卒業したから大丈夫です」

 ぱちぱちぱちぱち!

 船内から一斉に拍手が沸きおこりました。


つづく

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2005-05-07 ポロの日記 2005年5月8日(風曜日)100まん年ピクニック解決編 その2

100まん年ピクニック解決編 その2


「念のために、乗船前のご説明どおりに宇宙服をご着用ください」

 客席ごとに設けられた天井のドアから宇宙服が出てきました。たしかに説明は受けましたが、誰も真面目に聞いていなかったので、着かたが分かりませんでした。となりに座っている東山寝具店のご隠居が老眼なので、魚政さんが大きな声で説明書を読み始めました。

・・・・どれどれ、えーと。大池屋の宇宙服をご利用いただきありがとうございました。弊社ではポテトチップの鮮度を保つためのパッケージの気密技術をもとに、大変使いやすい宇宙服の開発に成功いたしました。以下の説明をよくお読みになって楽しい宇宙旅行をどうぞ。
ご注意:
・宇宙旅行以外の用途にはご使用にならないでください。
・気密用ジェリーパッキンは必ず弊社指定のものをご使用ください。それ以外のものをご使用になった場合の安全の保証はいたしかねます。
・・・・なんだか、もう読むのが面倒くさくなってきたなあ、まず、着てみましょうや。

 ところが宇宙服は完全に閉じていて、どこを開けるかも分かりません。気密ファスナーのようなものがあったので、力いっぱい引っ張ってみました。

 びりびり〜!

「あ、破けちゃったよ、参ったなあ」

 そのときでした。ガクンという衝撃とともに、はまなす号が急速に落下しはじめました。

乗客「きゃ〜!」

 無重力だった船内に重力が戻り始めました。
 身動きできなくなる前に、ポロは魚政さんと一緒に操縦室に向かいました。
 操縦席では、まだ若い船長が青くなって操縦桿を握ってふるえていました。

船長「ダメだ、どうすればいいか分からない!」
魚政「あんた東大でてんだろ。なんとかしろや」
ポロ「とにかく降下を食い止めないと。今、どのあたりなの? 地上まで何分ぐらい?」
船長「今、ホームラン圏を通過して来々圏に入るところです。地上までなんて持たないよ。さいたま圏を過ぎたら、あとは地獄の熱圏だ」
ポロ「そうか、スペースシャトルが燃えながら降りてくるのは熱圏のせいだったのか〜。ホントだったんだ。風にいちゃんの勝ちじゃないか」
船長「いったいどうすればいいんだ!」
魚政「ちょっと、どいてみな!」

 政二郎さんは船長さんをどかすと、操縦席に座って、こんなのオートマチックじゃねえかと言いながら船体を逆向きにして船尾から降下するようにしました。


つづく

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2005-05-06 ポロの日記 2005年5月8日(風曜日)100まん年ピクニック解決編 その3

100まん年ピクニック解決編 その3


魚政「おい、猫の兄ちゃん。全部のエンジンを最大出力で噴射するから、いっせーのせっていう合図で、その赤いボタン4つ押してみてくれ」
ポロ「うん、やろう!」
魚政「いっせーのせ!」

 ポロはタイミングを合わせて緊急用のエンジン噴射ボタンを押しました。

 ゴ〜〜〜〜〜〜〜〜!

 エンジンは無事噴射しましたが、もう第一はまなす丸のスピードが速すぎて降下速度はほとんど落ちませんでした。第一はまなす丸は、徐々に炎に包まれ始めました。
 それにつれて、どんどん船内の温度が上がってきました。

ポロ「うわ〜! 助けて〜熱いよ〜! 死む〜死む〜!」

 ぽんぽん、ぽぽん、ぽんぽぽん・・・・

 そしてやっと、そこにあの神田丸の力強いエンジン音が聞こえてきたのでした。

ポロ「ふ〜、助かった・・・・」

 書庫のベッドでポロは汗びっしょりになって目を覚ましました。

 朝ご飯を食べながら、ポロは風にいちゃんに言いました。

ポ「風にいちゃん」
風「なんだポロ?」
ポ「あのさ、熱圏てホントにあるんだね。ポロ、焼け死ぬところだったよ」
風「なに言ってるんだ。別に熱くなんかないだろ?」
ポ「だって、風にいちゃんが2000度だって言ったじゃないか」
風「そうだよ。2000度あるけど、熱くないんだ」
ポ「またまたそんなデタラメ言って、風にいちゃんは、どこまでポロをダマせば気がすむっていうんだ〜! 兄ちゃんなんかキライだ〜!」

 ポロは、そのまま工房を飛びだすと、泣きながらあじさい亭に行きました。

ポロ「え〜んえん!」
女神さま「どうしたのポロちゃん」

 女神さまは、まだ店の仕込みが始まる前だったので、ポロをひざに乗せてやさしくなでてくれました。

ポ「え〜んえん!」
め「そうだったの。ねえ、ポロちゃん、あたしのハートなんて50000度もあるのにポロちゃんヤケドしないでしょ。それと同じなのよ」
ポ「え〜んえん!」

 ポロは、もうどうでもよかったんだけど、女神さまのひざの上にいたかったので、もう少し泣いていることにしたのでした。みなさんは、ちゃんと熱圏のことを調べてください。


おしまい

 
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先頭 表紙

ミタさん、いいでしょ! / ポロ ( 2005-05-08 23:29 )
そうかぁ…女神様のハートは熱いのですね(笑)。いいなぁ、女神様のひざ枕! / みた・そうや ( 2005-05-08 20:57 )

2005-05-05 ポロの日記 2005年5月5日(草曜日)100まん年ピクニック その1

100まん年ピクニック その1


奥「連休、どこにも行かなかったからお弁当持って秋ケ瀬公園でも行きましょうよ」
ポ「わ〜、うれしいな、行こういこう!」
風「別にいいけど」
せ「早くフルートソナタ書かなくちゃ」
奥「どうせ、ウンウンうなってるだけでしょ。さあ、おむすび作るから手伝って」

 今日は海にいちゃんとたろちゃんがいないので、せんせいと奥さん、風にいちゃんとポロで、おとなりの電気羊市を流れる荒川河川敷にある秋ケ瀬公園に行くことになりました。ずっと前に、せんせいと一緒にお弁当を持って行ったことがあります。

せ「エンジンかかるかなあ」

 せんせいの放りっぱなしの愛車(?)ユードラは、ほこりにまみれて眠っていました。

 きゅるる・・・きゅるるる・・・・ぶりりりりりりり・・ぶおん!

ポ「わ、かかった! これで行けるね」
せ「さあ、乗って」
ポ「せんせい、運転のしかた覚えてる?」
せ「うん、まあ何とかね」
ポ「せんせい、クルマは左側通行だよ。思いだした?」
せ「ああ、いま思いだしたよ」

 ユードラは文句を言うでもなく、ちゃんと道路を走り始めました。

ポ「せんせい、フェラーリみたいな高級外車じゃなくてよかったね。国産車はジョーブだなあ」
せ「3年で3000キロしか走ってないクルマだ。10万キロはラクラク走るっていうから、このぶんだと100年は持つな」
風「とむりん、ちょっと意味が違うよ」
ポ「あはは、100年乗ってギネスブック入りするんだ〜」

 連休中だと言うのに、道路はすいていてガラガラでした。

ポ「連休なのにすいてるねえ」
風「みんな行楽地とかへ出かけてるんじゃないのかな」
ポ「そっか。どこも行かないポロたちが正解だね」

 快適に走ってきたので、ユードラはたちまち秋ケ瀬公園の駐車場に到着しました。それでも、さすがに公園駐車場はクルマでいっぱいでした。
ポロたちはあまり人のいない、はずれの林のなかの静かな木陰にレジャーシートを広げてお弁当を食べ始めました。

奥「ここは人が少なくていいわね」
せ「暑くないし、木がいっぱいあって実にいい気持ちだ」
風「こんなところに家が建ってたら、休日の昼ご飯はいつもテラスだね」
奥「いいわねえ。あなた、がんばってもう一軒建ててよ」
せ「ぶっ! げほげほげほ。今の家のローンだって払い終わるかどうか分からないのに、無理言っちゃいけないよ」
奥「そうかしら。ヒット曲書けばいいのよ」
せ「クラシック系の現代音楽ではヒットしてやっと温泉旅行っていうところだよ」
奥「じゃあ、それでいいわ。早くヒット曲書いて温泉行きましょうよ」
せ「毎日がんばってるんだが、どういうのがヒットするのか全然わからない。だから自分の好きな曲を書くしかないんだ」
奥「あら、泳げたいやき君みたいの書けばいいのよ」
せ「それは奇跡を待つしかないよ」
奥「な〜んだ、そうなの」
風「そうだよ、かあちゃん、ヒット曲なんてそう簡単に書けるもんじゃないよ」
ポ「ポロてきには、せんせいの曲は全部大ヒットなんだけどなあ」
風「ポロにヒットしても儲からないじゃないか」
ポ「そっか〜」

 それから、ポロたちはお弁当を全部たいらげると、ゴロリと空を仰いで寝転がりました。


つづく

先頭 表紙

2005-05-04 ポロの日記 2005年5月5日(草曜日)100まん年ピクニック その2

100まん年ピクニック その2


ポ「わあ、きれいな空だなあ」
風「そうだね、吸い込まれるみたいだ」
ポ「ずっと上のほうに行くと涼しいんだろうね〜」
風「でもね、大気圏の中層以上のところまでいくと温度がどんどん上がって2000度kくらいになるんだぞ」
ポ「ふふふ。風にいちゃん、ポロはもう騙されないからね。そんなに熱かったら宇宙飛行士は宇宙に行く前に丸焼けになっちゃうじゃないか」
風「本当だよ。熱圏ていう熱い層があるんだ」
ポ「ポロをなめちゃいけないよ。100メートル高くなるごとに気温は0.6度下ずつがるのさ」
風「それは対流圏の話だよ。その上に成層圏があって中間圏があって熱圏があるんだ」
ポ「はいはい、その上が埼玉圏で、その上が来々(らいらい)圏で、そのまた上がホームラン圏でしょ」
せ「ポロ、これはとても面白い問題だ。温度の話じゃないぞ。何を信じるかという話だ。ポロは今まで風太郎にかつがれ続けてきたから経験上、信用できないという判断をしたわけだ」
ポ「そだよ。第一、言ってることの中身が変じゃないか。全地球表面の平均温度はたしか15度Cくらいだったよね。それで、宇宙の温度はマイナス270度Cだよ。この数字にはちょっと自信があるんだ。だから大気の温度は、どこをとってもその中間のはずじゃないか。2000度kっていったら、だいたい1700度Cくらいだよ。もしそんなに温度の高いところがあったらポロたちだって暑くていられないはずだよ。風にいちゃんはダマす相手を間違えたのさ、ふふふふ」
せ「答えは言わないが、工房に戻ったら調べてみるといいよ。またまた教訓を学べることだろう」
ポ「や、やだな。せんせいまで風にいちゃんと一緒にポロをかつごうとしてるみたいだ」
せ「そうだ。ポロは逆の意味でかつがれているのかも知れないよ。いやあ、なりゆきが実に興味深いよ」
奥「あたしはどっちだか分からないわ」
ポ「え〜、奥さん2000度なんていうペテンが見抜けないの?」
奥「だって、すごく高い所はもう密度が低いから2000度でもそんなに熱くない気がするんだけど・・・。ほら、200度のオーブンに手を入れてもしばらく大丈夫よね。あんな感じじゃないかしら」
ポ「わ〜、ポロに味方はいないのか〜!」
奥「敵とか味方とかじゃないわよ。どっちなのかしらねえって思ったのよ」
ポ「ガ、ガリレオだって一人でがんばったんだ。ポロは信念を曲げないぞ〜」
せ「それはいいことだ。だが、いろいろ調べてたり、よく考えたりして信念を固めるべきだよ」
風「さあ、ポロ。どっちだろうね。ポロの本当の答えが楽しみだなあ」
ポ「ねえ奥さん、せんせい。早く帰ろうよ。ポロ、ちゃんと調べて風にいちゃんのことぎゃふんて言わせてやるんだ」
風「ぎゃふ〜ん♪」
ポ「まだ、言っちゃダメだよ。ポロが勝利宣言したらだからね」
風「うん、そうするよ」
奥「ポロちゃん、せっかく来たんだからもう少しゆっくりしましょう」
ポ「それもそだね」

近くの野鳥がきれいな声で鳴いたので、ポロも、もう少しのんびりしてもいいかなと思い直したのでした。


つづく


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久しぶりにみんなを乗せて走れてユードラ君も嬉しかったでしょうね。 / みた・そうや ( 2005-05-05 19:12 )

2005-05-03 ポロの日記 2005年5月3日(熱曜日)捕竜はんたい!

捕竜はんたい!


 風にいちゃんは20歳になったので、裏神田捕竜監視機構に就職しました。

風「レヴィヤタンとベヒーモスっていう竜は、乱獲と密猟で絶滅しちゃったんだ」
ポ「聞いたことがない竜だなあ」
風「ほかのいい方ではリヴァイアサンとかバハムートとも言うよ」
ポ「わ、それなら聞いたことあるよ。でも、どうして密猟されちゃったの?」
風「聖書によると、世界が滅びた後も生き残る竜だから、生き残った人たちはこの竜を食料にすることになってるんだ」
ポ「おいしいのかな、ぺろり!」
風「ポロだってそう思うだろ? みんなもそう思ったんだ」
ポ「それで密猟されちゃったのか〜。残念だなあ」
風「だから、そういうことが2度と起こらないように裏神田捕竜監視機構があるんだ」
ポ「風にいちゃんはどんなお仕事なの?」
風「監視船に乗ってるんだ。竜を驚かしたりしないようにソーラーセイルで走る宇宙帆船なんだよ。でも、密漁者たちの船を見つけたとたん、光子エンジンとイオンエンジンを組み合わせたハイブリッド機関で全力で追跡するんだ」
ポ「撃ち合いもする?」
風「するよ、攻撃用の光子魚雷と防御用のデコイっていうオトリ魚雷の応酬だよ」
ポ「ドキドキする?」
風「するさあ、すぐ近くで魚雷が爆発したらポロなんかおしっこチビっちゃうぞ〜」
ポ「きゃー、チビっちゃうかも〜!」
奥「あらまあ、楽しそうね」
ポ「ねえねえ奥さん。風にいちゃんてね、裏神田捕竜監視機構の密猟監視船に乗って、密猟者たちと光子魚雷の撃ち合いをするんだよ〜!」
奥「・・・。ポロちゃん、まただまされたの?」
ポ「え゛〜〜〜! またダマされたのか〜!」
風「こっちだって、どんどんレベルが上がってるからね」
ポ「わ〜〜〜、くやしくやしくやしくやし〜!」
風「ポロ、修業が足りないぜ」

 ポロは、もう2度とダマされないぞと心に誓ったのでした。



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ポロのひみつの部屋

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そっか〜。ホントはポロはダマされてないんだね! でも結局ダマされたってことか・・・。 / ポロ ( 2005-05-05 13:52 )
いやいや、密猟者から狙われないように『ウソ』と言うことにしているだけでしょ〜。(笑) / みた・そうや ( 2005-05-05 07:47 )

2005-04-24 ポロの日記 2005年4月24日(風曜日)ポロ、アンデルセン公園に行く その1

ポロ、アンデルセン公園に行く その1


「たろちゃん、日曜日っていうのは退屈だねえ」
「あたし別に退屈じゃないけど」
「ちょっとくらい共感してくれてもいいじゃないか〜」
「だって退屈じゃないもん」
「せんせいは退屈はチャンスだって言ってたな。だから今はチャンスなんだな」
「ポロはチャンスだと思う?」
「ううん、退屈はつまんないかも」
「じゃ、チャンスなんかじゃないわよ」
「だってせんせいが言ってたもん」
「あんたホントにとむりんの弟子なの?」
「弟子だよ〜。それも高位の弟子なんだ。なんでもナナちゃんが1番でポロが2番だって」
「それって、ど〜〜いう順序なの? ポロ自身がチャンスだって思わないかぎり、退屈はチャンスじゃないよ」
「そっか・・!!」
「分かった?」
「そ〜だ! いつもせんせいが言ってるじゃないか。理解するまではただの言葉だって。でも、いったいどうして退屈はチャンスなんだ〜?」
「あたしだったら退屈だと何をしようかって考えるから、新しいことを思いついたりするけどね」
「何かを思いつけばいいんだな。それなら何か考えよう。そだ。たろちゃん」
「なに?」
「アンデルセン公園に連れてってよ」
「どこにあるのよ〜。デンマークまでなんて行けないからね」
「千葉県だよ」
「あたしにとっては千葉もデンマークもおんなじくらい遠いわよ」
「でも、行きたいよ〜」
「荒川遊園が限界ね」
「アンデルセン公園の方がカッコいいよ〜」
「うん、やっぱり連れていってあげる」
「わ〜い! 早く行こういこう!」
「ちょっと準備してからね」

 たろちゃんは小さなバスケットに何かを入れて準備していました。きっとお弁当に違いない。

「さあ、行くわよ」
「うん。あれ、でもタドタド駅は反対方向だよ」
「いいの、歩いていくから」
「わ、千葉県まで歩いていったら1時間くらいかかっちゃうよ」
「1時間でつくわけないでしょ。電車に乗ったって1時間以上よ」
「じゃあ、どうやって行くの?」
「いいからついてくればいいの。魔法で5分でつくから」

 ポロたちは、よく晴れた午後の空の下を緑の葉っぱを眺めながら歩いていきました。

「ねえ、たろちゃん」
「なあに?」
「緑がきれいだねえ」
「そうね。アンデルセン公園もきっときれいよ」
「あのさ、マルエツってそれぞれに名前がついてたの知ってる?」
「北町店とか?」
「そじゃなくてさ、イトーヨーカドーとかさ、ジャスコとかさ、名前があるらしいよ」
「やっと区別がついたの?」
「え゛〜〜! たろちゃん、前から知ってたの?」
「あたりまえじゃない。知ってるとかじゃなくて、区別がつかないなんて信じられないわよ」
「じゃさじゃさ、いつものマルエツは?」
「あれはマルエツよ」
「じゃさ、ゼンマイ駅に行ったときに行くマルエツは?」
「マルエツよ」
「じゃさ、まんなか病院に行くときにとおるマルエツは?」
「マルエツよ」
「じゃさ、“ド糸”ホームセンターに行くときに寄るマルエツは?」
「マルエツよ」
「ひみつのマルエツは?」
「マルエツよ」
「な〜んだ、たろちゃんだって区別ついてないじゃないか〜」
「だってポロが言ったの、ぜんぶホントのマルエツだもん」


つづく

先頭 表紙

2005-04-23 ポロの日記 2005年4月24日(風曜日)ポロ、アンデルセン公園に行く その2

ポロ、アンデルセン公園に行く その2


「マルエツって日本のスーパーのシェア100パーセントだな」
「違うわよ。ポロが大きなマルエツって言ってるのがイトーヨーカ堂」
「あれはマルエツじゃないのか〜。どおりで、マルエツが束になってかかってもかなわない大きさだもんな〜」
「それでね、ポロがとっても大きなマルエツって言ってるのがイオンショッピングセンター。このへんの人はジャスコって呼んでるけど」
「あれがジャスコか〜。あそこはポロ、何度も遭難しかけたからな〜。とくにカフェテリアに行くと根っこが生えて遭難しやすいんだ」
「それから新しくできたタドタド駅のところのマルエツは“マルヤ”っていうの。となりの“ホントのタド駅”と“公園駅”のマルエツは“サミット”」
「ダメだ。やっぱりポロは覚えきれないかも。マルエツはマルエツだ〜」
「ほら、ついたわよ」
「なんだ、春日公園じゃないか〜」
「違うわよ、今日は特別にアンデルセン公園なの」
「だ、だましたな〜!」
「だましてなんかないよ。まあ、いいからベンチに座って」
「ここは、ぜったい春日公園だよ。ポロ、マルエツは区別つかないけど、公園の区別はばっちりだからね」

 たろちゃんはバスケットから何を出すのかと思ったらおまんじゅうを出しました。

「わ〜、バスケットにおまんじゅうなんて似合わないな〜」
「いいの。ちょっと見てて」

 たろちゃんは竹ようじで、おまんじゅうにまっすぐな切れ込みを入れました。

「ポロちゃん、この切れ込みの線の両側を押してみて」
「こ、こうかな・・・・。わ、あんこが出てきちゃったよ」
「餡・出る・線」
「・・・・。わ〜、つまんないつまんないさぶいよ〜〜〜〜!」
「そう。あたし一人で食べるからいいのよ、別に」
「わわわわわ。ははは。面白いよ、とっても面白い」
「ねえ、ポロちゃん。ここはどこ?」
「かすがこう・・・」
「え、そうだっけ?」
「ぷるぷるぷるぷる、ち、ちあうよちあうよ。ここはアンデルセン公園だよ」
「そう、よくできたわ〜。お茶も持ってきたわよ」

 それからしばらくの間、ポロたちは“どこでもアンデルセン公園”で楽しいティータイムを過ごしたのでした。


おしまい


 ここは「野村茎一作曲工房HP」に付属する「ポロのお話の部屋」です。HPへは、こちらからどうぞ。

野村茎一作曲工房

ポロの掲示板はここ。
ポロのひみつの部屋

先頭 表紙

ミタさん、たろちゃんはいつでも強引だよ〜! / ポロ ( 2005-04-27 23:58 )
あはは、たろちゃんも強引ですねー。でも気は持ちようで、この方法ならご近所の公園も新鮮ですね。 / ミタ・ソウヤ ( 2005-04-25 08:37 )
マチルダさん、たろちゃんに伝えとくよ〜! / ポロ ( 2005-04-24 21:02 )
たろちゃんに惚れました・・・。 / マチルダ ( 2005-04-24 20:08 )

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