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ポロのお話の部屋

作曲家とむりんせんせいの助手で、猫の星のポロが繰り広げるファンタジーワールドです。
ぜひ、感想をお願いしますね。

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2005-05-04 ポロの日記 2005年5月5日(草曜日)100まん年ピクニック その2
2005-05-03 ポロの日記 2005年5月3日(熱曜日)捕竜はんたい!
2005-04-24 ポロの日記 2005年4月24日(風曜日)ポロ、アンデルセン公園に行く その1
2005-04-23 ポロの日記 2005年4月24日(風曜日)ポロ、アンデルセン公園に行く その2
2005-02-28 ポロの日記 2005年2月26日(岩曜日)お話のつくだ煮 その1
2005-02-27 ポロの日記 2005年2月26日(岩曜日)お話のつくだ煮 その2
2005-02-26 ポロの日記 2005年2月26日(岩曜日)お話のつくだ煮 その3
2005-02-25 ポロの日記 2005年2月26日(岩曜日)お話のつくだ煮 その4
2005-02-24 ポロの日記 2005年2月15日(熱曜日)夕焼け救助隊 その1
2005-02-23 ポロの日記 2005年2月15日(熱曜日)夕焼け救助隊 その2


2005-05-04 ポロの日記 2005年5月5日(草曜日)100まん年ピクニック その2

100まん年ピクニック その2


ポ「わあ、きれいな空だなあ」
風「そうだね、吸い込まれるみたいだ」
ポ「ずっと上のほうに行くと涼しいんだろうね〜」
風「でもね、大気圏の中層以上のところまでいくと温度がどんどん上がって2000度kくらいになるんだぞ」
ポ「ふふふ。風にいちゃん、ポロはもう騙されないからね。そんなに熱かったら宇宙飛行士は宇宙に行く前に丸焼けになっちゃうじゃないか」
風「本当だよ。熱圏ていう熱い層があるんだ」
ポ「ポロをなめちゃいけないよ。100メートル高くなるごとに気温は0.6度下ずつがるのさ」
風「それは対流圏の話だよ。その上に成層圏があって中間圏があって熱圏があるんだ」
ポ「はいはい、その上が埼玉圏で、その上が来々(らいらい)圏で、そのまた上がホームラン圏でしょ」
せ「ポロ、これはとても面白い問題だ。温度の話じゃないぞ。何を信じるかという話だ。ポロは今まで風太郎にかつがれ続けてきたから経験上、信用できないという判断をしたわけだ」
ポ「そだよ。第一、言ってることの中身が変じゃないか。全地球表面の平均温度はたしか15度Cくらいだったよね。それで、宇宙の温度はマイナス270度Cだよ。この数字にはちょっと自信があるんだ。だから大気の温度は、どこをとってもその中間のはずじゃないか。2000度kっていったら、だいたい1700度Cくらいだよ。もしそんなに温度の高いところがあったらポロたちだって暑くていられないはずだよ。風にいちゃんはダマす相手を間違えたのさ、ふふふふ」
せ「答えは言わないが、工房に戻ったら調べてみるといいよ。またまた教訓を学べることだろう」
ポ「や、やだな。せんせいまで風にいちゃんと一緒にポロをかつごうとしてるみたいだ」
せ「そうだ。ポロは逆の意味でかつがれているのかも知れないよ。いやあ、なりゆきが実に興味深いよ」
奥「あたしはどっちだか分からないわ」
ポ「え〜、奥さん2000度なんていうペテンが見抜けないの?」
奥「だって、すごく高い所はもう密度が低いから2000度でもそんなに熱くない気がするんだけど・・・。ほら、200度のオーブンに手を入れてもしばらく大丈夫よね。あんな感じじゃないかしら」
ポ「わ〜、ポロに味方はいないのか〜!」
奥「敵とか味方とかじゃないわよ。どっちなのかしらねえって思ったのよ」
ポ「ガ、ガリレオだって一人でがんばったんだ。ポロは信念を曲げないぞ〜」
せ「それはいいことだ。だが、いろいろ調べてたり、よく考えたりして信念を固めるべきだよ」
風「さあ、ポロ。どっちだろうね。ポロの本当の答えが楽しみだなあ」
ポ「ねえ奥さん、せんせい。早く帰ろうよ。ポロ、ちゃんと調べて風にいちゃんのことぎゃふんて言わせてやるんだ」
風「ぎゃふ〜ん♪」
ポ「まだ、言っちゃダメだよ。ポロが勝利宣言したらだからね」
風「うん、そうするよ」
奥「ポロちゃん、せっかく来たんだからもう少しゆっくりしましょう」
ポ「それもそだね」

近くの野鳥がきれいな声で鳴いたので、ポロも、もう少しのんびりしてもいいかなと思い直したのでした。


つづく


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ポロの道場

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久しぶりにみんなを乗せて走れてユードラ君も嬉しかったでしょうね。 / みた・そうや ( 2005-05-05 19:12 )

2005-05-03 ポロの日記 2005年5月3日(熱曜日)捕竜はんたい!

捕竜はんたい!


 風にいちゃんは20歳になったので、裏神田捕竜監視機構に就職しました。

風「レヴィヤタンとベヒーモスっていう竜は、乱獲と密猟で絶滅しちゃったんだ」
ポ「聞いたことがない竜だなあ」
風「ほかのいい方ではリヴァイアサンとかバハムートとも言うよ」
ポ「わ、それなら聞いたことあるよ。でも、どうして密猟されちゃったの?」
風「聖書によると、世界が滅びた後も生き残る竜だから、生き残った人たちはこの竜を食料にすることになってるんだ」
ポ「おいしいのかな、ぺろり!」
風「ポロだってそう思うだろ? みんなもそう思ったんだ」
ポ「それで密猟されちゃったのか〜。残念だなあ」
風「だから、そういうことが2度と起こらないように裏神田捕竜監視機構があるんだ」
ポ「風にいちゃんはどんなお仕事なの?」
風「監視船に乗ってるんだ。竜を驚かしたりしないようにソーラーセイルで走る宇宙帆船なんだよ。でも、密漁者たちの船を見つけたとたん、光子エンジンとイオンエンジンを組み合わせたハイブリッド機関で全力で追跡するんだ」
ポ「撃ち合いもする?」
風「するよ、攻撃用の光子魚雷と防御用のデコイっていうオトリ魚雷の応酬だよ」
ポ「ドキドキする?」
風「するさあ、すぐ近くで魚雷が爆発したらポロなんかおしっこチビっちゃうぞ〜」
ポ「きゃー、チビっちゃうかも〜!」
奥「あらまあ、楽しそうね」
ポ「ねえねえ奥さん。風にいちゃんてね、裏神田捕竜監視機構の密猟監視船に乗って、密猟者たちと光子魚雷の撃ち合いをするんだよ〜!」
奥「・・・。ポロちゃん、まただまされたの?」
ポ「え゛〜〜〜! またダマされたのか〜!」
風「こっちだって、どんどんレベルが上がってるからね」
ポ「わ〜〜〜、くやしくやしくやしくやし〜!」
風「ポロ、修業が足りないぜ」

 ポロは、もう2度とダマされないぞと心に誓ったのでした。



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ポロのひみつの部屋

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そっか〜。ホントはポロはダマされてないんだね! でも結局ダマされたってことか・・・。 / ポロ ( 2005-05-05 13:52 )
いやいや、密猟者から狙われないように『ウソ』と言うことにしているだけでしょ〜。(笑) / みた・そうや ( 2005-05-05 07:47 )

2005-04-24 ポロの日記 2005年4月24日(風曜日)ポロ、アンデルセン公園に行く その1

ポロ、アンデルセン公園に行く その1


「たろちゃん、日曜日っていうのは退屈だねえ」
「あたし別に退屈じゃないけど」
「ちょっとくらい共感してくれてもいいじゃないか〜」
「だって退屈じゃないもん」
「せんせいは退屈はチャンスだって言ってたな。だから今はチャンスなんだな」
「ポロはチャンスだと思う?」
「ううん、退屈はつまんないかも」
「じゃ、チャンスなんかじゃないわよ」
「だってせんせいが言ってたもん」
「あんたホントにとむりんの弟子なの?」
「弟子だよ〜。それも高位の弟子なんだ。なんでもナナちゃんが1番でポロが2番だって」
「それって、ど〜〜いう順序なの? ポロ自身がチャンスだって思わないかぎり、退屈はチャンスじゃないよ」
「そっか・・!!」
「分かった?」
「そ〜だ! いつもせんせいが言ってるじゃないか。理解するまではただの言葉だって。でも、いったいどうして退屈はチャンスなんだ〜?」
「あたしだったら退屈だと何をしようかって考えるから、新しいことを思いついたりするけどね」
「何かを思いつけばいいんだな。それなら何か考えよう。そだ。たろちゃん」
「なに?」
「アンデルセン公園に連れてってよ」
「どこにあるのよ〜。デンマークまでなんて行けないからね」
「千葉県だよ」
「あたしにとっては千葉もデンマークもおんなじくらい遠いわよ」
「でも、行きたいよ〜」
「荒川遊園が限界ね」
「アンデルセン公園の方がカッコいいよ〜」
「うん、やっぱり連れていってあげる」
「わ〜い! 早く行こういこう!」
「ちょっと準備してからね」

 たろちゃんは小さなバスケットに何かを入れて準備していました。きっとお弁当に違いない。

「さあ、行くわよ」
「うん。あれ、でもタドタド駅は反対方向だよ」
「いいの、歩いていくから」
「わ、千葉県まで歩いていったら1時間くらいかかっちゃうよ」
「1時間でつくわけないでしょ。電車に乗ったって1時間以上よ」
「じゃあ、どうやって行くの?」
「いいからついてくればいいの。魔法で5分でつくから」

 ポロたちは、よく晴れた午後の空の下を緑の葉っぱを眺めながら歩いていきました。

「ねえ、たろちゃん」
「なあに?」
「緑がきれいだねえ」
「そうね。アンデルセン公園もきっときれいよ」
「あのさ、マルエツってそれぞれに名前がついてたの知ってる?」
「北町店とか?」
「そじゃなくてさ、イトーヨーカドーとかさ、ジャスコとかさ、名前があるらしいよ」
「やっと区別がついたの?」
「え゛〜〜! たろちゃん、前から知ってたの?」
「あたりまえじゃない。知ってるとかじゃなくて、区別がつかないなんて信じられないわよ」
「じゃさじゃさ、いつものマルエツは?」
「あれはマルエツよ」
「じゃさ、ゼンマイ駅に行ったときに行くマルエツは?」
「マルエツよ」
「じゃさ、まんなか病院に行くときにとおるマルエツは?」
「マルエツよ」
「じゃさ、“ド糸”ホームセンターに行くときに寄るマルエツは?」
「マルエツよ」
「ひみつのマルエツは?」
「マルエツよ」
「な〜んだ、たろちゃんだって区別ついてないじゃないか〜」
「だってポロが言ったの、ぜんぶホントのマルエツだもん」


つづく

先頭 表紙

2005-04-23 ポロの日記 2005年4月24日(風曜日)ポロ、アンデルセン公園に行く その2

ポロ、アンデルセン公園に行く その2


「マルエツって日本のスーパーのシェア100パーセントだな」
「違うわよ。ポロが大きなマルエツって言ってるのがイトーヨーカ堂」
「あれはマルエツじゃないのか〜。どおりで、マルエツが束になってかかってもかなわない大きさだもんな〜」
「それでね、ポロがとっても大きなマルエツって言ってるのがイオンショッピングセンター。このへんの人はジャスコって呼んでるけど」
「あれがジャスコか〜。あそこはポロ、何度も遭難しかけたからな〜。とくにカフェテリアに行くと根っこが生えて遭難しやすいんだ」
「それから新しくできたタドタド駅のところのマルエツは“マルヤ”っていうの。となりの“ホントのタド駅”と“公園駅”のマルエツは“サミット”」
「ダメだ。やっぱりポロは覚えきれないかも。マルエツはマルエツだ〜」
「ほら、ついたわよ」
「なんだ、春日公園じゃないか〜」
「違うわよ、今日は特別にアンデルセン公園なの」
「だ、だましたな〜!」
「だましてなんかないよ。まあ、いいからベンチに座って」
「ここは、ぜったい春日公園だよ。ポロ、マルエツは区別つかないけど、公園の区別はばっちりだからね」

 たろちゃんはバスケットから何を出すのかと思ったらおまんじゅうを出しました。

「わ〜、バスケットにおまんじゅうなんて似合わないな〜」
「いいの。ちょっと見てて」

 たろちゃんは竹ようじで、おまんじゅうにまっすぐな切れ込みを入れました。

「ポロちゃん、この切れ込みの線の両側を押してみて」
「こ、こうかな・・・・。わ、あんこが出てきちゃったよ」
「餡・出る・線」
「・・・・。わ〜、つまんないつまんないさぶいよ〜〜〜〜!」
「そう。あたし一人で食べるからいいのよ、別に」
「わわわわわ。ははは。面白いよ、とっても面白い」
「ねえ、ポロちゃん。ここはどこ?」
「かすがこう・・・」
「え、そうだっけ?」
「ぷるぷるぷるぷる、ち、ちあうよちあうよ。ここはアンデルセン公園だよ」
「そう、よくできたわ〜。お茶も持ってきたわよ」

 それからしばらくの間、ポロたちは“どこでもアンデルセン公園”で楽しいティータイムを過ごしたのでした。


おしまい


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ミタさん、たろちゃんはいつでも強引だよ〜! / ポロ ( 2005-04-27 23:58 )
あはは、たろちゃんも強引ですねー。でも気は持ちようで、この方法ならご近所の公園も新鮮ですね。 / ミタ・ソウヤ ( 2005-04-25 08:37 )
マチルダさん、たろちゃんに伝えとくよ〜! / ポロ ( 2005-04-24 21:02 )
たろちゃんに惚れました・・・。 / マチルダ ( 2005-04-24 20:08 )

2005-02-28 ポロの日記 2005年2月26日(岩曜日)お話のつくだ煮 その1

お話のつくだ煮 その1


 今日は2004年11月の後半から12月までのポロのお話の解説をしちゃいます。
ポロは10月の終わりごろから11月半ばまで疾風怒涛(しっぷうどとう)のスランプでした。どのくらいのどん底だったかと言うと「どん底夢日記」くらいです。
どん底っていうのは、なんだかやる気がなくなっちゃうときのことで、ダラダラすごしちゃいます。
 それでも空とか眺めていると、また元気になってくるので、お話を書き始めます。お話を書き始めると寝ずにがんばっちゃたりして、くたびれてまたどん底になっちゃいます。ポロには、ちょうどいいっていうことができません。
では、そんなポロの「お話のつくだ煮」のはじまりはじまり〜!

 「どん底夢日記」(2004.11.14-15アップ)は、ちょっとだけホントの夢日記です。自分の夢を、せんせいが楽譜の校訂をするみたいに手を加えてみました。ここで初めてアルマジロたちが登場します。アルマジロたちは、その後もお話に登場することになる重要なキャラクターとなりました。

 書くのが楽しかったのは「弾丸列車京都へ」(2004.11.29-12.3アップ)です。最新型の新幹線が蒸気機関車になっちゃった世界のお話です。もしポロが仕事をするんだったら、一所懸命に働くことができて、それが報われる仕事がいいなあと思います。ポロはこのお話を書きながら力いっぱい石炭をくべました。書いていてホントに腕が折れそうなくらいがんばりました。時速400キロになった時には、感激して「やった〜、やったぞ〜!」って画面に向かって大声で叫んじゃいました。
 一番好きだったのは、ポロとミタさんが、京都駅でススだらけになりながらも何事もなかったかのように敬礼して、のぞみ41号の乗務を次の人たちに引き継ぐシーンです。書いてるほうのポロは、ここで泣きそうでした。

 「みんじん世界の逆襲」(2004.12.4-7アップ)は、いっぱいアイディアを練って書いたお話です。アイディア帳は伏線でいっぱいになってしまって全部使い切れませんでした。ホントは古代エジプト展に忍び込んでミタさんミイラを盗み出す場面もあったのですが、それだけでひとつのお話になってしまいそうだったので別の機会にとっておくことにしました。一見すると別々の話が最後にぜんぶつながるようにするためには、お話の設計図みたいなものが必要です。ポロは、このお話を書いてソナタを書くっていうのはこういうことなのかなって思いました。こういうお話は最初から順番に書いていくわけではないので、とっても頭を使いました。くたびれた〜!

 「公然のひみつ」(2004.12.8-9アップ)は、読んだ人に「そうか、ホントは猫はしゃべるのか〜」と気づかせる目的で書きました。今、読み返すと、もっとうまくかけたかもって思います。

つづく

先頭 表紙

2005-02-27 ポロの日記 2005年2月26日(岩曜日)お話のつくだ煮 その2

お話のつくだ煮 その2


 「あじさい亭繁盛記」(2004.12.10-13アップ)は、ちょっと好きな話です。shinさんが掲示板に書き込んでくれた「パップラドンカルメ」(知らない人はググってね)という言葉がきっかけで書こうと思いたちました。だからといって「パップラ丼軽め」を主題にしてしまうとお話の膨らみが足りなくなる気がしたので、もっとほかの視点から書くために、せんせい式のKJ法で発想をまとめる作業からやりました。過去の、一見無関係な情報を並べて、それをずっと眺め続けて関連性を見つけ出していきます。
 「パップラ丼」というメニューから「あじさい亭」。あじさい亭の食材調達は「三河屋」。それを注文する宇宙人1個中隊(新しいアイディア)。調理場には「アルマジロの摩擦式ヒーター」。女神さまがでてくるシーンがみんじん世界の逆襲にあったので、そことつなげること。場所は裏神田を思わせる神田淡路町。パップラの思いがけない正体。小道具の名前、たとば“レギュラス錦”“デネボラ正宗”(どちらも白鳥座の星の名前)。「おまえたちは銀河の猛者か〜!」っていうシーンは映画「エイリアン2」のスラコ号船内でのアポーン軍曹の言葉からアイディアをもらいました。
 そういう準備が整ってから一気にお話としてまとめていきます。ひとつだけのアイディアでお話を書き始めると薄っぺらになってしまうというのは、せんせいの教えです。

 「ライバル店出現」(2004.12.14-15アップ)は、しおさんのサイト「エンターテイメントトークショー」の日記にあった“ラッキー酒場”がヒントです。あじさい亭と関係があるようでいて、ぜんぜん違う話にしなければポロ風ではないので、またまたアイディアを練りました。
 せんせい式KJ法によってひっぱり出した関連事項。「デーモン族の店」「ラーメン屋さんには必ずある“謎のテレビ”」(アイディアノートのメモから)→「そこには何の番組が一番面白いか」→「ずっと前に見たプロレスラーの舞台裏」→「そのタイトルは“ロード・オブ・ザ・リング”のリングにかけて“労働・オブ・ザ・リング”にする」
 書いているうちに、せんせいのピアノ曲「赤いスカートの踊り」(試聴室には入っていません)を思いだしたので、エピソードとして加えることにしました。
ポロは、番組に登場するフロドが“プロ”のレスラーであることを描きたいと思いました。それで、ちょっと好きな話になりました。

 「マグロ救出作戦」(2004.12.16アップ)は、ゲームの攻略本の「魔建ビルディング」という魔剣のだじゃれで作られた武器の説明の近くに「チルド・ツナ」という凍ったマグロで敵を叩くという武器が出ていて、そこに「不治の病にかかったマグロが治療可能な未来を信じて冷凍冬眠している姿」と書いてあったのがきっかけです。ポロは、冷凍マグロを「遠い星へコールドスリープして向かう途中の姿」に見立ててみました。

つづく

先頭 表紙

2005-02-26 ポロの日記 2005年2月26日(岩曜日)お話のつくだ煮 その3

お話のつくだ煮 その3


 「作曲工房のひみつ」(2004.12.17-18アップ)は、そろそろ違った視点から物語を書かないとせんせいから指導が入りそうだったので(うそ。指導が入ってしまったので)、ずっと前からアイディアを練っていたお話です。せんせいの指導内容を要約すると「読み手は誰も想像もしていなかったのに、実は、これが読みたかったと思わせる話」ということです。せんせいも、この方針で曲を書くそうです。でも、言うは易しく行なうは難(かた)し。こういうことを心の片隅においてずっと毎日過ごしていると、あるとき急にアイディアのしっぽが見えてきたりします。リンゴなんて昔から何万回も落ちているのに、はじめてニュートンが重力に気づいたのと似ています。電話だって毎日鳴っているのに、ポロは急に面白い電話ばっかりかかってきたらどうだろうと思い立ったわけです。でも面白い電話の内容がなかなか思いつきません。それでも、そんな日がずっと続くうちにひとつずつエピソードを集めていったのが、このお話です。たぶん、成功したと思います。みなさんはどう思われましたか?

 「作曲工房の午後」(2004.12.19-20アップ)は「作曲工房のひみつ」で語りきれなかった部分を補うために書きました。両方あわせて、やっとひとつのお話になりました。こんなことではダメです。

 次は「クリスマスイヴ2004」(2004.12.21-23アップ)です。ポロのお話ではサンタさんは重要人物です。去年(2003年)のクリスマスのお話は、ポロてきにけっ作だったと思います。だから、それに引きずられてアイディアが二番煎じにならないために毎日毎日ウンウンうなってしまいました。
 「よく、いろんなお話が書けますね〜」っていうお便りをもらいますが、それは、ポロが毎日ウンウンうなっているからです。ポロも前は、ものを考え続けることができませんでした。お話を書いている期間中でも、本当に考えるのは書いているときだけでした。でも今は違います。朝起きてから夜寝るまで(夢の中でも)、ずっと頭の片隅にお話のことが常駐している部分ができたので、何を見ても何を聞いても、それがお話と関連するかどうか考えるようになりました。これは、せんせいがピアノや作曲が上達するための基本的な姿勢だと言っていることと同じじゃないかと思います。ピアノの練習をしようと思ってピアノに向かうときには、すでにどのように弾けばよいかというイメージがなくてはならないっていうやつです。言いかえると、ピアノに向かうときには、すでに練習の80パーセントは終わっているということです。だから、ポロがパソコンに向かうときには、もう何を書けばいいのか分かっています(かなりウソかも。分からないことだらけ)。
 で、そのパソコンに向かう前のアイディアに苦しんだのがこのお話です。きっかけは、どうしてサンタさんはタダでプレゼントを配っているのかということでした。普通のアイディアなら、お金持ちの酔狂というところで落ち着くかもしれませんが、ポロの語り部だましいは、もっと違う視点を探し求めていました。そして、とうとう“生命を見守る使命”を持つサンタさん像に思いいたったのでした。
これは、ちょっと好きな話になりました。

つづく

先頭 表紙

2005-02-25 ポロの日記 2005年2月26日(岩曜日)お話のつくだ煮 その4

お話のつくだ煮 その4


 「雪の大みそか」は、ポロの大好きなお出かけシリーズです。2004年1月の「スリッパを買いに」から始まったお出かけシリーズは、ホントの日記ふうに書けるので、書いていていい気持ちです。「大きなマルエツに行く」(同2月)「ポロ、銀行へ行く」「おちゃめさんと散歩」「春宵一刻値千金」(3月)「夏のおでかけ」(8月)「商店街へ行こう」「楽譜を買いに」(9月)「ないしょのマルエツ」(10月)「とっても大きなマルエツ」(11月)と、こんなにたくさん書いてしまいました。
ポロが地球にやってきて最初に行ったスーパーがマルエツだったので、スーパーならなんでもマルエツという名前で呼んでいます(ホントに)。首都圏以外の人はマルエツを知らないかも知れないので、なんのことだろうと思うことでしょう。マルエツ発祥の地が埼玉県蕨市(お話では「ぜんまい市」としても出てきます)なので、マルエツは重要なお店です。
 「雪の大みそか」は「アナタワ粉」シリーズの前触れとして書きました。その後、裏神田でも禁制品となっている「アナタワ粉」にまつわるお話をいくつか書きましたが、直すところだけのような気がしてひとつもアップしていないので、エピソードが浮いてしまっています。いつかアップするかも知れないので、種明かしはしないでおきます。

 それから内緒だけど、ホントは12月にアップしようと思って長編の大作も書いていました。宇宙が危機に瀕するというものすごいお話です。でも、危機に立ち向かった松戸博士とロケット号がどうしても助からないのでアップできませんでした。いつか、お話の部屋を閉じるような時が来たらアップするかも知れません。

 これからもポロのお話をよろしくね〜!

おしまい

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ポロのひみつの部屋

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そうか〜。だからロケット号も宇宙と一体化して居たんだぁ(「ポロ、山里に暮らす」参照)…その大作を読みたい!でも、その時はお話の部屋が閉じるとき…なんてのはもっと悲しすぎます… / みた・そうや ( 2005-02-27 11:29 )

2005-02-24 ポロの日記 2005年2月15日(熱曜日)夕焼け救助隊 その1

夕焼け救助隊 その1


「ねえ、たろちゃん」
「なあに?」
「夕焼けがきれいだよ。すっごいきれい」
「そう」
「写真にとろうよ」
「写真に撮っても目で見たように写らないよ」
「そうか。でもさ、あの夕焼けもったいないよ〜」
「じゃあ、絵に描けばいい」
「わ〜、たろちゃんが描いてくれるの?」
「違うよ、ポロが描くの」
「ぽ、ポロ描けないよ〜!」
「でも、ポロが夕焼けを残したいんでしょ。だったらポロが描かなくちゃだめなの」
「そんなの無理だよ〜」
「あたしはね、ウダウダ言う猫はきらいなの」

 そういうと、たろちゃんはポロを抱き上げて、さっさと工房の屋上に上がっていきました。
 大きな太陽電池パネルの裏が見える屋上の北西側に座って、たろちゃんはスケッチブックを広げてポロに鉛筆を渡しました。

「さあ、描いてみて」
「だって、この鉛筆オレンジ色じゃないよ」
「色なんて小さなことなの。よく見れば夕焼け空には線だってないはずよ」
「うわ、それを線で描くのか。こんなことやらせるなんてイジメだ〜」

 ゴツン !

「わあ、ゲンコツでぶった! ホントのイジメだ〜!」
「あたしはね、本気で怒ってるの。見て。夕焼けはどんどん消えちゃうの。待ってなんかくれないんだから」
「わ〜、大変だ〜!」
「ポロは、あの夕焼けを残したいんでしょ。ポロは夕焼け救助隊なのよ。夕焼けの命がかかってるんだから」
「描くよ、描くよ〜」

 ポロが線を引くと、たろちゃんがスケッチブックを取り上げて、そこに別の線を描き込みました。

「ポロ、あんた、あの夕焼けを残したんだったら、自分の思い込みじゃなくて、あの夕焼けを描きなさい!」
「わ〜、無理だよ〜」
「無理じゃないわ。心をカラにして、あの夕焼けだけを取り込むの。心に思い込みがあると、それを描いちゃうわよ」
「あ〜、ピアノの子ども弾きみたいなものかなあ」
「そう、それ」

 夕焼けは、どんどん暗くなってきました。

「焦らなくてもいいわ。あの夕焼けの本当の姿を見るのよ」
「うん」

 ポロは夕焼けを描いては本物の空と見比べて、自分がどういうふうに間違って見ていたかを確かめていきました。


つづく

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2005-02-23 ポロの日記 2005年2月15日(熱曜日)夕焼け救助隊 その2

夕焼け救助隊 その2


「そう。そんな感じ」
「うん、だんだん見えてきた。でも、絵がヘタだよ〜」
「そんなことはいいの」
「夕焼けってこんなだったんだね〜、ポロ、何も見てなかったかも」
「そう、それに気づくのが大事なの」

 そうこうしているうちに、とうとう夕焼けは消えてしまいました。

「たろちゃん、間に合わなかったよ」
「そうでもないよ」
「どうして?」
「ポロは、ちゃんと夕焼けを見てあげたじゃない」
「どういうこと?」
「もし、写真に撮ってたら、それでもう安心しちゃって、こんなに一生懸命夕焼けなんか見なかったはずよ。見るのは写真だけ。それもちょこっと」
「そっか〜。絵を描くってそういうことか」
「そう。ピアノ弾くのも一緒でしょ? 聴いてるだけより練習するほうがずっと深くその曲と付きあうんじゃないの?」
「そ、そだ〜!」
「絵を描くっていいでしょ。ポロは今日の夕焼けを一生忘れないはずだよ」
「うん、そうかも。こんなにちゃんと夕焼けを見たのは初めてだよ。もう心に深く刻み込まれたな」
「でしょ?」
「ポロ、絵の練習することにした」
「その決意が変わらないといいけどね。ピアノだって絵だって、続けるのは大変なんだから」
「う・・、そう言われると自信がないかも」
「あのね、それって生き方なの。生き方にしないと続かないの」
「ポロは、そうやって生きるって決めた!」
「決めてもね、それはただの言葉」
「ちがわいちがわい、もう決めた!」
「じゃあ、がんばってね」

 ポロたちは気がつきませんでしたが、空には、とっくに星たちがまたたき始めていたのでした。


おしまい


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ポロのひみつの部屋

先頭 表紙

ミタさん。たろちゃんはね、ゲンコツでたたいたんだよ。微笑ましくなんかないよ〜! / ポロ ( 2005-02-25 23:52 )
夕日を一生懸命に見つめるポロちゃんとたろちゃん。微笑ましいです。(^^) / みた・そうや ( 2005-02-24 18:03 )

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