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ポロのお話の部屋

作曲家とむりんせんせいの助手で、猫の星のポロが繰り広げるファンタジーワールドです。
ぜひ、感想をお願いしますね。

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2005-01-28 ポロの日記 2005年1月30日(風曜日)マチルダ・エンジン その3
2005-01-23 ポロの日記 2005年1月23日(風曜日)物語救助隊創設記 その1
2005-01-22 ポロの日記 2005年1月23日(風曜日)物語救助隊創設記 その2
2005-01-21 ポロの日記 2005年1月23日(風曜日)物語救助隊創設記 その3
2005-01-20 ポロの日記 2005年1月23日(風曜日)物語救助隊創設記 その4
2005-01-07 ポロの日記 2005年1月4日(熱曜日)ポロ病気になる その1
2005-01-06 ポロの日記 2005年1月4日(熱曜日)ポロ病気になる その2
2005-01-05 永久おせち その1 セット
2005-01-04 永久おせち その2 一の重
2005-01-03 永久おせち その3 二の重


2005-01-28 ポロの日記 2005年1月30日(風曜日)マチルダ・エンジン その3

マチルダ・エンジン その3


 小さなダルマ船のようなデザインの神田丸に訓練を積んだバクの精鋭たちが乗り込むと、カベソン救助隊長がハッチ閉鎖を命じました。

隊員A「閉鎖確認!」
ソナー「夢ソナーで悪夢を捕捉、悲鳴が聞えます。急行しましょう」
隊長 「よし、エンジン始動!」

 ぽんぽんぽんぽん、ぽぽんぽんぽん、ぽぽぽんぽんぽん!

 裏神田世界最初の悪夢救助船神田丸は、焼き玉エンジンの音も高らかに夢世界へ消えていきました。

 神田丸がたどりついたのは、巨大生物の世界でした。人も建物の普通の数倍の大きさがありました。それとも神田丸が小さくなったのでしょうか。すぐ近くを馬のように大きな犬がウロウロしています。

夢ソナー係「隊長、ここは捨てられた子猫の夢の中であります。それで周囲のものがすべて大きく見えるのだと思われます。昼間に犬に出くわしたことが恐怖の記憶となっているようです」
カベソン「よし、突撃隊は重武装で船外に出て初仕事だ。現実の犬ではないから容赦するな」
隊員たち「アイアイサー!」

 カベソン隊長と5人の突撃隊員たちが、高エネルギー銃で一斉射撃すると、夢の犬はあとかたもなく消え去りました。

隊長「よし、帰還する。」

 隊員たちが乗り込むと、再びぽんぽんぽぽんというエンジン音とともに神田丸は現実世界に戻っていきました。

 裏隅田川シップヤードに戻った神田丸は、建造に携わった人々から拍手で迎えられました。
 マチルダのとなりで、神田丸の実体化を見ていたダマスクロース博士が言いました。

「マチルダくん。あのエンジンはマチルダエンジンと名づけよう」
「光栄ですわ、ダマスクロース先生」

 この日以来、バクが人々を悪夢から解放するまでの時間が従来の半分以下になったと言われています。
 いつの間にか、皆さんも怖い夢を見る時間が減ったことにお気づきですか。そんなとき、夢の中でマチルダ・エンジンのぽんぽんぽぽん・・という音が聞こえたりしてはいないでしょうか?


おしまい


 ここは「野村茎一作曲工房HP」に付属する「ポロのお話の部屋」です。HPへは、こちらからどうぞ。

野村茎一作曲工房

ポロの掲示板はここ。
ポロのひみつの部屋

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マチルダさんアリガト! ポロも、このお話がとっても気に入ってるんだ〜♪ / ポロ ( 2005-01-31 14:34 )
この話は私の宝ものにします。どうもありがとう。 / マチルダ ( 2005-01-31 13:49 )

2005-01-23 ポロの日記 2005年1月23日(風曜日)物語救助隊創設記 その1

物語救助隊創設記 その1


 ポロが“猫だらり”病でダラダラしているのをみかねて、アルマジロの有馬次郎くんが工房を訪ねてきてくれました。

 ピンポ〜ン♪

 奥さんがインターフォンに出ました。

奥「は〜い、どなた?」
次郎「あ、ポロちゃんの知りあいの有馬次郎と言います。ポロちゃんの具合はいかがですか」
奥「まあ、ありがとう。どうぞお入りください」
次郎「失礼します」

 玄関に出迎えた奥さんは、アルマジロを間近に見るのは初めてだったのでびっくりしました。

奥「まあ・・・・・・! 猫だってしゃべるんだからあなたみたいな人がいても不思議はないわよね・・」
次郎「驚かせて申し訳ありません。ここは大丈夫だってポロちゃんに聞いたものですから」
奥「そ、そうよ。驚いたりしてこちらこそゴメンナサイね」

 リビングにやってきた次郎君は、ポロのだらけた様子を見て、すぐに外に出るように忠告してくれました。奥さんも「そうよ、ポロちゃん、少しは外に出てみたら」と言うので、ポロはいやいやながらも次郎くんと外にでました。
 次郎君は作曲工房のバックヤードにポロを連れていきました。
 そこにあったのは、なんと小型ジェットモグラでした。

次「ポロちゃん乗って」
ポ「ど、どこへ行くの?」
次「ぼくんちだ」

 ポロたちが乗り込むとジェットモグラは60度の角度で立ち上がり、ドリルを回して地中深く進み始めました。

 ガリガリガリガリ!

ポ「次郎くんちってどこにあるの?」
次「もうすぐだよ」

急にドリル音が小さくなって空回りしているような音がしました。

次「地底湖だ。この先で浮上する」

 ジェットモグラが水面に浮かび上がると、そのまま前進して陸地に上陸したようでした。
 ポロがハッチを開けて外に出ると、うすぼんやりとした青い光の中に大きな建物が見えます。

次「あれが“アルマ城”(あるまじろ)だよ」
ポ「・・・・・!」

 ポロは、自分の置かれた状況が理解できなくて、なんの言葉も発することができませんでした。

 ポロたちが近づくと、城門の両側の衛兵が剣を捧げて敬礼しました。次郎くんが王族級の地位にあることはこれではっきりしました。ドーラ城の衛兵も相当訓練されていましたが、ここの衛兵はさらに上を行っています。ポロがドアを通るときも、決して礼を失することはありませんでしたが、もし、ポロがここで急に武器をとりだしても彼らが剣でポロを串刺しにするほうが早いでしょう。それほど彼らにはスキがありませんでした。忘れていた緊張感がよみがえると、猫だらりは全快したように思えました。ポロは、早く王に会ってみたいと思いました。


つづく

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2005-01-22 ポロの日記 2005年1月23日(風曜日)物語救助隊創設記 その2

物語救助隊創設記 その2


 最初に通されたのは、意外にも王の間でした。

 近衛兵がポロに近づき、丁寧なしぐさで武器の有無を確認しました。側近が近づいてきて、王がアルマ624世であることを教えてくれました。
 それからポロは王座の前に出ました。

王「よく来てくださった。ポロ殿のおうわさは第2王子の次郎からかねがね伺っておる。次郎はポロ殿が高貴な方であると言っておったが、どうやら彼の目に狂いはないようだ」
ポ「おそれいります。ドーラ王朝アメン第1王子、アルマ王にお会いできて光栄に存じます」
王「初対面の王子に、このような話をせねばならんのも恥ずかしい話じゃが、今、アルマジロ一族は凋落の一途をたどっておる。くだけた話、ジリ貧というヤツじゃ」
ポ「お言葉ですが、衛兵を始め家臣の全てが一流であると感じいりました。とてもそのようには思えません」
王「しかし、事実じゃ。このあと、ほかの王子たちも戻ってくる。ぜひ王室会議に出席していただきたいのじゃ」
ポ「お言葉とあらば喜んで」
王「そうか、かたじけない」

 その後、ポロは別室でおいしい紅茶とシフォンケーキのもてなしを受けてから会議室へ案内されました。
 会議室にはドーナツ型のどこかで見たことがあるようなテーブルがありましたが、どこで見たのか、どうしても思い出せませんでした。
 まもなく全員が着席して会議が始まりました。最初の議題は一郎第一王子からの報告でした。

一郎「我が王国の主力産業である家具の流通について、地上世界で調べて参りました・・・・」

第一王子の報告の要旨は次のとおりです。

 まず、家具の安売り堂インテリア本舗に入社、経営会議にも参加してきました。家具業界は我が王国同様ジリ貧に見えました。経営陣は、それを値下げと豊富な品ぞろえで乗りきろうとしましたが、ついに倒産しました。次に手作り家具の熱心堂家具商会に入社しました。ここでは家具業界はまだまだ未開拓でこれからの伸びが期待できるという正反対の印象を受けました。品ぞろえなど数えるほどしかなく、価格も安くありません。要するに安売り堂の経営者であったなら最もよからぬ状況であるにも関わらず、顧客は熱心堂の家具が欲しくて、そのために働いていると言っても過言ではないほどでした。安売り堂では買いやすさで顧客にアピールしていましたが、熱心堂では違っていました。熱心堂では、顧客に家具が生活に占める位置づけから考えさせ、それが長年にわたって人生を支えるということを気づかせていました。そのために家具職人がどのような技術を磨き、どのくらい心を込めて製作しているかも公開していました。


つづく

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2005-01-21 ポロの日記 2005年1月23日(風曜日)物語救助隊創設記 その3

物語救助隊創設記 その3


 いよいよ第2王子の次郎くんの番です。その要旨は次のようなものでした。

 わたくしは、アルマ情報軍の1個中隊とともに、コンピュータ技術習得のためにホームページカウンタ早回しサービスを始めました。アルマジロの勤勉さが買われて、裏神田にある女神さまの店“あじさい亭”、名前こそ“味最低”ですが、ここの“パップラ丼軽め”は絶品でありました、で無公害摩擦式ヒーターを任されました。
 その働きぶりが女神さまに評価され、アルマジロは“稀に見る優秀な種族”とおっしゃってくださいました。そして、王子であるとは知らされずに“ポロちゃん”を紹介されたのです。アルマジロ一族再生の鍵は彼が握っているということでした。

 報告が終わると、ポロにみんなの目が向きました。ポロは、ちょっとドギマギしました。だって、なんのアイディアもなかったからです。

 最後は第3王子の報告でした。

 わたくしは獏(ばく)王朝の“特命 悪夢救助隊”に訓練生として参加してまいりました。
 悪夢救助隊というのは、その名のとおり、人々ならずすべての生き物の悪夢の中に入っていって、追いかけてくる怪物や得体の知れない恐怖を退治するものです。夢は非現実ですが、救助隊が夢の中に入れば魔物や怪物は現実であります。救助隊はまさに命がけでそれらと戦います。わたくしも何度か命の危険を感じましたが、なんとかしのぎました。漠という種族は驚くほど勇敢で、殉職者もあとを断ちません。それでも志願者は多く、救助隊の志気は高く、彼らは誇りとともに生きています。

 全ての報告が終わると、王が言いました。

王「3人とも、ご苦労であった。本当によくやってくれた。どれもみな素晴らしい報告じゃ。しかし、余には解決策が思いつかん。そこにヒントがあることは分かるが、どうすればよいか分からん。アメン殿、ご意見をお願いしたい」

 ポロは何も思いつかない緊張と焦りのために、急にのぼせて頭がぼーっとなってしまいました。

ポ「あ、あのあの。えっと・・・・」

 ポロは言葉に詰まりながらも、半分出まかせ混じりに話し始めました。

 ・・・・第1王子の報告からはアルマジロ一族の洞察力の高さを感じました。第2王子の報告からは勤勉さ、第3王子の報告からは勇敢さ。これだけあればダイじょぶです。(なにがダイじょぶなんだポロ!) とにかく、ダイじょぶです。(時間稼ぎするなポロ) これだけ優秀なアルマジロなら物語救助隊が務まるんじゃないでしょか。

第3王子「物語救助隊!? それは、どのようなものですか?」


つづく

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2005-01-20 ポロの日記 2005年1月23日(風曜日)物語救助隊創設記 その4

物語救助隊創設記 その4


ポ「えっと、悲しいお話やつらいお話の中に入っていって、たとえばマッチ売りの少女に温かいレーション(どこでも食べられるように工夫された軍隊の野戦食)を届けたり、防寒着をとどけたりするのです。そうやって、同時に、物語を読んで悲しい気持ちになっている読者も救うのです」

 ポロは、話しているうちにだんだん気持ちが大きくなってきて雄弁になってきました。

王「どのようにして物語の中に入っていけばよいのじゃ?」
ポ「そ、それは、裏神田にあるシュデンガンガー商会に相談するといいと思います」
次「あじさい亭の近くにありましたから、その店なら知っています。本当はシュレーディンガー商会といって、摩訶不思議な仕掛けやカラクリの施された道具類を扱っております」
ポ「店主の修士さんなら、きっとなんとかしてくれるよ」

 口調まで、いつもの調子になってきました。

王「よし。では、プロジェクトチームを作って可能性を探るのじゃ。海兵隊突撃班を自由に使ってよい。トップは一郎王子、お前が勤めよ。それからアメン王子、顧問をお願いできるじゃろか。アルマジロの盛衰は、これにかかっておるのじゃ」
ポ「は、ハイ・・・」

 ポロは成り行き上、ハイと返事をするしかありませんでした。一族の盛衰を任せられ、一気に現実に戻ったポロの心の中は重圧による不安でいっぱいでした。
 次郎くんは、またジェットモグラでポロを作曲工房まで送ってくれました。

次「じゃあ、アメン王子。よろしくお願いします」
ポ「う、うん。ケーキおいしかったって料理長に言っといてね」
次「じゃ、また」

 そういうと、ジェットモグラはガリガリと音をたてて地中に戻っていきました。

奥「あら、ポロちゃん、外の空気はどうだった? 少しは元気が出た?」
ポ「うん・・・・」

 ポロは書庫にある自分の段ボールのベッドに行きました。今夜は眠れそうにありません。どうして、あんなテキトーなことを言ってしまったのでしょか。ホントに、物語の中になんて入っていけるのでしょか。第一、いくらシュデンガンガー商会でも、そんなもの売ってるのでしょか。

 ぽんぽんぽんぽんぽんぽん、ぽぽんぽんぽん、ぽぽんぽんぽんぽん!

 けたたましい焼き玉エンジンの音が書庫に響き渡ると、目の前に見知らぬ強襲艦が実体化しました。


 風雲急を告げる次の話につづく(かも)! 乞うご期待!!


 ここは「野村茎一作曲工房HP」に付属する「ポロのお話の部屋」です。HPへは、こちらからどうぞ。

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先頭 表紙

Pりんさん、はじめまして。作曲工房以外の人で読んでくれてる人がいるなんて光栄です。HPは持ってないけど、掲示板ならあります。さっぱりわけのわからない掲示板だけど、ぜひ遊びにきてください。ポロてきに人魚姫はトラウマになっているので、なんとかしたいと思ってます。 / ポロ ( 2005-01-30 16:06 )
ミタさん、ショックだよ〜。物語救助隊の初仕事はネロとパトラッシュを助けることだったんだ〜。それで2番目が人魚姫。先に言われちゃったな〜。ということは、たとえ先出しされちゃっても負けないくらいのアイディアで書けばいいんだな。よし! / ポロ ( 2005-01-30 15:55 )
はじめまして(^‐^) ボロ君のお話し、楽しかったです♪ わたし的には「人魚姫」をハッピーエンドにして欲しいです。  / Pりん@勝手にリクエスト☆  ( 2005-01-29 00:09 )
物語救助隊…むむ、ハッピーエンドにすると言う事は、浦島太郎で亀が苛められる前に助けてはいけない訳ですね?と、なると、私的には『フランダースの犬』でネロが家を出るのを引き留め、そして誤解が解けた後にルーベンスの絵を見せてあげたいな〜。そうすればネロもパトラッシュも幸せに… / みた・そうや ( 2005-01-28 23:28 )

2005-01-07 ポロの日記 2005年1月4日(熱曜日)ポロ病気になる その1

ポロ病気になる その1


 新年早々ポロは病気になってしまいました。なにをするのも面倒くさくて、ポロはどうして生きてるんだろう、なんて考えはじめちゃうほどやる気が出ません。あさからダラダラしていたら、奥さんが近所の「ミタ・犬猫ワニ猿ペンギン病院」に連れていってくれました。
 ミタ先生は、名前のとおり、犬・猫・ワニ・猿・ペンギンの病気や怪我を治してくれます。でも、それ以外の動物は専門外だそうです。そういえば、ときどき近所のペンギンが通ってきてるっていうウワサだな。でも、そんなこと、今のポロにとってはどうでもいいことだな。

ミタ先生「やあ、ポロちゃん久しぶりだねえ。いつか風邪ひいたとき以来かな。で、どうしましたか」
奥「せんせい、お正月から元気がなくて」
ポロ「だらり〜〜」
ミ「お、こりゃ“ねこだらり”だ」
奥「なんですか、ねこだらりって?」
ポ「だらり〜」
ミ「昔はネズミを獲らなくなったりして、家人が気づいたりしたもんですが、今はネズミなんか捕まえないし、まあ、このまま放っておいても命に別状はありません。そのうちよくなります」
奥「少しでも早く良くなって欲しいんですけど」
ミ「じゃ、よく効くお薬を出しておきましょう。“ニューカイテキZ”という特効薬です」

 ポロは、すっごい効きそうな名前のクスリだなあと思いましたが、それも一瞬で、あとはどうでもよくなりました。だらり〜。

ミ「しずかさ〜ん! ポロちゃんにニューカイテキZ処方お願いしま〜す!」

 看護婦さんだか薬剤師さんはしずかさんというのかな。それにしてもミタせんせい、大声だな。すると、白衣を着たやさしそうなおばあさんが診察室にクスリの包みを持ってきてくれました。

しずか「はいはい。この猫ちゃんですか? ねこだらりなんてかわいそうにねえ。このお薬が効きますからね、じきに良くなりますよ」
奥「ありがとうございます」
ミ「午前中を担当していただいているのでしずかさんて呼んでるんですよ」
奥「まあ、すてきなこと」

 ポロは、どうして午前中にしずかさんて呼ぶとステキなのかなと思いましたが、それも一瞬で、あとはどうでもよくなってしまいました。

奥「さあ、ポロちゃん帰るわよ」
ポ「ポロ、帰るのめんどくさいから、ここに住む」
奥「ダメよ、帰るの」

 ポロは反論するのはもっと面倒くさいので帰ることにしました。
 奥さんが手から下げた小さなトートバッグの底、風にいちゃんがポロのために作ってくれた箱形ベッドに横になったまま、ポロは、ゆ〜らゆら揺れながら家路につきました。

ポ「奥さん、息するのも面倒くさくなっちゃったよ」
奥「しょうがないわねえ。面倒なら息なんかしなくてもいいわよ」
ポ「うん、そうするよ」
奥「・・・・・・・・」
ポ「プハッ! く、苦しい〜! 息止めてるのはもっと面倒くさいよ〜」
奥「でしょ」
ポ「生きていくのは何て大変なんだ〜」

 歩道のない狭い道だったので、ポロたちのすぐわきを自動車が通りすぎて行きました。

ポ「奥さん、自動車を作る人がいるなんて信じられないね。よく面倒くさくなかったもんだね〜」
奥「ホント、信じられないわね。あたしなんかプラモデルだって面倒くさくて作れないわよ」


つづく

先頭 表紙

2005-01-06 ポロの日記 2005年1月4日(熱曜日)ポロ病気になる その2

ポロ病気になる その2


ポ「わあ、奥さんもひょっとしたら“奥さんだらり”かも〜」
奥「あら、あたしなんて昔からそうよ。面倒なことなんか一切しないことにしてるの」
ポ「そうか、それがこの病気との付きあい方なのか〜。らくちんでいい病気だなあ」
奥「でも、まわりに流されちゃダメよ」
ポ「どういうこと?」
奥「怠け者って思われようがなんだろうが、気にしないの」
ポ「そっか。それは大事だなあ」
奥「それさえできれば快適よ」
ポ「ポロ、いい病気にかかったなあ〜」
奥「そうよ。猫だらりの特権なんだから」
ポ「ははは。気が軽くなったなあ〜」
奥「ホームページなんか更新しなくたって死にはしないわ」
ポ「そだ〜!」
奥「ピアノ弾かなくたって別に問題ないじゃない」
ポ「あっはっは〜! そ〜だ〜!」
奥「そうじなんて、どうしてもゴミやホコリが気になったらやればいいわ」
ポ「そっだ〜!」
奥「よく考えてみて。欲しいものなんてある?」
ポ「ううん、何にもいらないかも〜」
奥「欲しいものがないんなら、必要以上に働くこともないわ」
ポ「すっご〜い! それはすごい真理だ〜! ポロは今まで文明のしがらみにがんじがらめになっていたかも〜」
奥「あら、ポロちゃん、ずいぶん元気になったじゃない」
ポ「奥さん、ポロはいつだって元気だよ〜」
奥「さっきまで息するのも面倒とか言ってたじゃない」
ポ「あれ、そーだったっけ?」

 ポロは、トートバッグからぴょんと道路に飛び降りると、奥さんの足元を並んで歩き始めました。

奥「まあ、歩くの面倒くさくないの?」
ポ「寝てるのが面倒くさくなったんだよ。もう、面倒くさいことはしないことにしたから」
奥「そう。いいことだわ。じゃあ、まっすぐ帰るの面倒くさいから、途中でお昼ご飯の買い物していきましょう」
ポ「うん、そだね。まっすぐ帰るなんて面倒くさくてやってらんないよね」
奥「ポロちゃん、お昼なに食べたい?」
ポ「ポロさ、もう、お節料理食べるの面倒くさいからさ、普通のごはんがいいな」
奥「せんせいにスパゲティ作ってもらおうか」
ポ「わ、それがいいよ。それならポロたち面倒くさくないし〜」
奥「何のスパゲティにする?」
ポ「えっとね、えっとね。オリーブオイルで和えたバジリコとニンニクのスパゲティーにね、エビとムール貝と牡蛎のソテーが乗ってるやつ!」
奥「まあ、豪華ね」
ポ「ポ、ポロはね、食べるのにそれが一番面倒くさくないんだよ〜」
奥「そうね、お正月だし、あたしもそれが一番面倒くさくないわ」
ポ「そだよ。せんせいも、それ作るのが一番面倒くさくないと思うな」
奥「それじゃ、大きなマルエツに行かなくちゃ」
ポ「うん、行こうよ」

 冷たい風の吹く真冬の陽射しの中を、ポロたちは、ここからちょっと離れた大きなマルエツに行くために、少しも面倒くさがらずに、今来た道を引き返し始めたのでした。


おしまい


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せんせいが教えてくれたとき冗談かと思ったら、ホントにあるんだもんな〜。びっくりだぞニューカイテキZ! / ポロ ( 2005-01-04 22:34 )
うん、やはり『ニューカイテキZ』は効くな〜!(笑) / みた・そうや ( 2005-01-04 19:59 )

2005-01-05 永久おせち その1 セット

 みなさん、明けましてオメデトございます。

 下の写真はポロが三河屋さんに注文した「永久おせち」です。配達用宇宙船のノストロモ号は地球に着陸できないので、あじさい亭に転送してもらって、それをポロが受け取ってきました。
 食べられないのが難点と言えば難点だけど、一辺が6センチのお重にちりめんのぬいぐるみおせちが詰まっています。いったいどんな人が作ったのでしょか。
 一億万円もするので、ポロみたいなお金持ちじゃないと買えません。


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2005-01-04 永久おせち その2 一の重

おいしそう!


先頭 表紙

2005-01-03 永久おせち その3 二の重

これもおいしそう!


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