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ポロのお話の部屋

作曲家とむりんせんせいの助手で、猫の星のポロが繰り広げるファンタジーワールドです。
ぜひ、感想をお願いしますね。

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2008-07-18 ポロプロジェクト2提供 お話の森 第15回 プンクトとブンダマン その3
2007-12-21 ポロプロジェクト2提供 お話の森 第14回 ハトシェプスト・ポロ、はじめてのクリスマス その1
2007-12-21 ポロプロジェクト2提供 お話の森 第14回 ハトシェプスト・ポロ、はじめてのクリスマス その2
2007-12-08 ポロ(ハトシェプスト)の女王宣言
2007-10-22 ポロプロジェクト再組織のお知らせ
2007-06-12 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第13回 それ行けぽん吉! その1
2007-06-12 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第13回 それ行けぽん吉! その2
2007-06-12 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第13回 それ行けぽん吉! その3
2007-06-12 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第13回 それ行けぽん吉! その4
2007-06-04 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第12回 エレクトラ先生さいごの授業 その1


2008-07-18 ポロプロジェクト2提供 お話の森 第15回 プンクトとブンダマン その3

<<ドーラ宮殿 国王執務室>>

 ぺんぺんぺん!

「な、何をするのじゃ、おやぢ殿!」
「え〜い、お仕置きじゃ。勝手に情報局に入りおって。お尻ぺんぺんじゃ」

 ぺんぺんぺん!

「痛いではないか! 虐待で訴えてやる!」
「ほう、ここは王国じゃ。わしに訴えるというのか、懲りておらんようだな」

 ぺんぺんぺん!

「あの衛兵が漏らしたのだな」
「そんなわけあるまい。ハトが情報局に入ったことを知るのに苦労はしない。ブンダマンとかいう子どもを見つけてきたのはお前であることくらい誰にも分かるというものよ」
「す、凄いだろう、あいつは?」
「うむ。手柄じゃ。だが、情報局への無許可入構は許せん。国というのは、そういう小さな穴から崩れていったりするものじゃ。だから今のうちにお前を教育しておく」

 ぺんぺんぺん!

 ハトシェプストは、将来、何かあったら絶対誰でもお尻ぺんぺんしてやろうと心に誓ったのだった。



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2007-12-21 ポロプロジェクト2提供 お話の森 第14回 ハトシェプスト・ポロ、はじめてのクリスマス その1

 ハトシェプスト・ポロ、はじめてのクリスマス その1



たろ「ポロ、メリークリスマス! はいプレゼント」
ポロ「わらわはキリシタンではない」
た「いいの。日本のクリスマスは経済行為だから」
ポ「くだらん、まったく興味などないわ」
た「でも、買っちゃったからこれ受け取ってよ」
ポ「なんじゃ。ドーラ王女に向かってぬいぐるみか?」
た「ワトソン君人形。シャーロック・ホームズごっこができるわよ」
ポ「いらん! いらんといったらいらん!」
た「でもさ、ワトソン君は決して嘘をつかないし、間違ったことも言わないよ」
ポ「うう・・・・・」
た「ポロ好みでしょ?」
ポ「地球人の馬鹿どもを相手にするよりはマシじゃ!」
た「あ、それからね。この家にはサンタ・クロースが来るから。ポロは毎年いろいろ手伝わされるみたいよ。がんばってね」
ポ「サンタ・クロースなどいるわけがない」
た「いるんだってば。ほら」
サンタ「メリー・クリスマス! たろちゃん。今年もポロを借りていきますぞ」
た「わあ、いらっしゃい。どうぞ!」
サ「ポロどん。お・・・・、おぬし、ハトシェプストではないか。アメンはどうしたのじゃ?」
ポ「ふふふ。そんなことだろうと思っておったぞ。アシャドマン」
た「サンタさんと知りあいだったの、ポロ?」
ポ「まあ、そんなところじゃ」
サ「さあ、地球人の夢をこわさんうちに行きますぞ、ポロ姫」

 ポロを乗せてサンタ専用ソリのドレッド・ノート号は空高く舞い上がっていきました。

ポ「その袋の中身は向精神薬か?」
サ「そうじゃ。厳しい現実に直面しておる人々には必要なものじゃ」
ポ「何を言っておる。ラップランド・メディコ(サンタの国の製薬会社)の販促活動の一環だろうが。依存症が増えれば顧客も増える」
サ「誤解じゃ。これはサンタランドが無償で提供する一日だけの楽園なのじゃ」
ポ「わらわは認めん」
サ「じゃが、厳しい現実にくじけそうな人を助けておるのは事実じゃ」
ポ「わらわは認めん」
サ「見解の相違があるかもしれんが理解してくれ、ハト」
ポ「いや、認めん」


つづく

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2007-12-21 ポロプロジェクト2提供 お話の森 第14回 ハトシェプスト・ポロ、はじめてのクリスマス その2

 ハトシェプスト・ポロ、はじめてのクリスマス その2




ドレッドノート号「幸せの銀の粉、散布高度に達しました」

サ「たのむ、ハト」
ポ「ダメじゃ。こんなもの、こうしてくれるわ!」
サ「うわ、やめろ!」
ポ「むぎゅう・・、なんの・・・負けるか」
サ「わしこそ・・・むむむ・・・」

ド号「警告します。船内であばれないでください。飛行姿勢が乱れて危険です」

ポ「うるさい! だまれ。どったんばったんどったんばったんどったんばったんどったんばったんどったんばったんどったんばったんどったんばったん!」
サ「なんのこれしき! どったんばったんどったんばったんどったんばったんどったんばったんどったんばったん!」

ぱん!

 とうとう、銀の粉の入った袋が破裂してしまいました。ドレッドノート号の与圧キャビンは、もうもうと舞い散る銀の粉で満たされました。

サ「まずいぞ。息を止めろ」
ポ「もう、止めておる」

 ドレッドノート号の緊急換気システムが作動して、銀の粉を船外に排出しましたが2人には遅すぎました。

サ「あ〜っはっはっはっはっは! あ〜っはっはっはっはっは! あ〜っはっはっはっはっは! ポロどん、楽しいのう!」
ポ「か〜っかっかっかっかっか! か〜っかっかっかっかっか! か〜っかっかっかっかっか! 楽しいのうアシャドマン! しかし、お主はワルじゃ! か〜っかっかっかっかっか!」
サ「何を言うか。ワシは善行を積んでおるだけじゃ! あ〜っはっはっはっはっは!」

 船外に漏れでた銀の粉は徐々に地上に降り注ぎ、2007年のクリスマスも人々は笑顔で過ごしたのでした。


おしまい


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2007-12-08 ポロ(ハトシェプスト)の女王宣言

告 : ページが開いたら、まずうやうやしく一礼せよ 

 ポロ(ハトシェプスト王女)の御触書(おふれがき)であるぞ

2007年12月8日(岩曜日)

 ポロ(ハトシェプスト)の女王宣言

 ドーラの民、および、わらわの治世で暮らしたいと願う賢い地球の民よ、よく聞くがよい。
 わらわがドーラの女王に即位した暁には、ドーラを素晴らしい星にしてみせる。
 収穫の季節になると全ての作物が豊かに実り、あちらこちらの泉からは一年中おいしく澄んだ水が湧き出ていて、いつでも民の喉をうるおす。子供たちには自然の摂理を教え、野生動物にも負けないような賢さを身につけさせる。
 ドーラにそれ以外の何が必要であろうか。
 ドーラ宮廷内にも愚かな家臣が、他の星との競争に負けないように工業化を推し進めるべきなどと進言しておるようだが、競争とはなんじゃ? 作物が豊かに実って、おいしい水があるドーラが、それを理解しない他の星の愚かな文明と何を競えばよいのじゃ。民が自然の摂理を理解しておるのなら、科学も真の意味で理解されることじゃろう。自然(宇宙)の摂理を理解しておらん馬鹿者だらけの地球のような星だけで自然破壊や人為的な原因による温暖化が発生するのじゃ。
 真の科学は真理を知ることじゃ。だから本当の意味における科学は、いくら進歩してもためにはなっても害にはならぬものじゃ。民の上に立つ者なら誰もが心の底から理解しておると思っておった。
 地球にくるまではのう・・・・。
 驚いたものじゃ。銀河系に広く伝わる「愚かな民は愚かな王を担ぎ出す」という古い諺は本当であった。このままでは地球は遅かれ早かれ滅びるであろう。
 いずれ、わらわはドーラに戻って王位をこの手に収めるつもりじゃ。兄じゃのアメン王子には所詮無理な話であった。ドーラ国民になりたくば、まずは悔い改めるがよい。

 よいか、心しておけ。時は近いぞ。


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2007-10-22 ポロプロジェクト再組織のお知らせ

ポロのお話の部屋を愛読してくださっている皆様、ありがとうございます。

この度、ポロプロジェクトの執筆メンバーが一部入れ替わるために、ポロプロジェクト2と名称を変えて再組織することになりました。お話の投稿先が下記メールアドレスに変わりますので、アドレス帳の変更をお願いいたします。投稿はどなたでもできますので、ふるってご応募ください。なお、ご自分の著作権を強く主張なさりたい場合は投稿をご遠慮ください。著作権をないがしろにするわけではありませんが、お話の部屋の一貫性を保つために、たとえ秀作であったとしても採用されるとは限りませんし、勝手に一部、あるいは大部分を書き直しさせていただくなど、手ひどい(?)扱いをすることもあります。それでもかまわないという場合は、お話の部屋の趣旨をご理解いただいてご投稿ください。

ポロプロジェクト主幹 なぞの議長

新しいメールアドレス composer2002あっとexcite.co.jp
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2007-06-12 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第13回 それ行けぽん吉! その1

 それ行けぽん吉! その1

 
 な〜ま〜ず〜のがっこうは〜、か〜わ〜の〜なか〜♪
 
 ナマズの学校の音楽室からナマズの子どもたちの元気な歌声が響いてきました。
 でも、ナマズの学校でも陰湿なイジメがあったのでした。

 ぽん吉が量子力学のテストでちょっといい点を取ったことがきっかけで、ヒゲ太郎がぽん吉につらくあたるようになりました。すると、クラスのボス的存在であったヒゲ太郎に同調する雰囲気に乗せられて、クラス全体がぽん吉いじめに加担するようになりました。
 ぽん吉はみんなから無視されたり、持ち物を隠されたり、大事な連絡を教えてもらえなくなったりしました。

 学校に行くのがつらくなって、眠れぬ夜を過ごしていると、そこに猫のお化けが現れました。

ぽん吉「きゃあ〜〜〜〜〜!」
化け猫「こわがらないでよ。コワい顔してないでしょ」

 よく見ると、恨めしそうな顔をした化け猫ではなくて、ちょっと半透明ではあるものの、ちょっとお間抜けな感じの猫でした。

透明猫「ポロって言うんだ。でも、ここにはいないよ。3次元ホログラフィーだから。ドーラ・オプティカル・ダイナギア社製の最新型で3次元投影してるんだ」
ぽん吉「ハイテク機器の宣伝?」
ポロ「ちがうよ〜」
ぽん吉「じゃあ、なんで、こんなところに出てきたんだ?」
ポロ「女神さまからの頼みだよ。いじめられてるんだろ?」
ぽん吉「い、いじめられてなんかないよ!」
ポロ「ほらほら、それがいじめられている者の特徴的な答えだ」
ぽん吉「何でも知ってるみたいなエラそうな口をきくなよ・・」
ポロ「しょうがないよ。そういう性格だからさ」
ぽん吉「ぼくはこんなキモチわるい幽霊なんかに用はないよ」
ポロ「でも、こっちにはあるんだ。なにしろ女神さまからの頼みだからね」
ぽん吉「そういう仕事してるの?」
ポロ「仕事か〜。夢は、大ピアニストか大作曲家か、はたまた文豪なんだけどさ。いまは偉大な居候っていうところかな」
ぽん吉「居候がなんの用なんだ?」
ポロ「居候だっていいじゃないか。ポロは好きで居候やってるんだから。それより、いじめの解決に手を貸すよ」
ぽん吉「余計なお世話だよ。他人に手を貸してもらったって根本的な解決にはならないんだ。これはぼくの問題なんだ」
ポロ「もちろんポロは何もできないよ。だってホログラフィーだもん」
ぽん吉「じゃあ、どうやって手を貸してくれるっていうんだ?」
ポロ「君を鍛える」
ぽん吉「・・・・・やだ」
ポロ「悪い事言わないからさ」
ぽん吉「・・・・・ぼくは命令されるのはイヤだ」
ポロ「命令なんかしないよ〜」
ぽん吉「・・・・・じゃあどうするんだ」
ポロ「まず、いじめる奴らを徹底的に観察するんだ」

つづく

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2007-06-12 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第13回 それ行けぽん吉! その2

 それ行けぽん吉! その2

ぽん吉「・・・・・」
ポロ「みんなが同じわけないだろ。首謀者。自分もいじめられるのが怖くて同調してるヤツ。そして面白がって同調してるヤツ」
ぽん吉「・・・・・」
ポロ「この際、首謀者は放っておく。臆病で同調してるヤツも後回し。ぽん吉のつらさに気づかずに、ふざけてるだけだっていうつもりでイジめるヤツを見抜くんだ」
ぽん吉「それで、どうするんだ?」
ポロ「いまのぽん吉くんに言ってもムダだよ。なにしろ、まだレベル低いからね」
ぽん吉「・・・・君もぼくをいじめにきたのか?」
ポロ「ひがむなよ〜。いいから観察するんだ。観察するっていうことはいろんな事がわかるようになるっていうことだ。それでレベルの上がらないヤツはいないよ」

 それからポロのホログラフィーはユラリと揺れて消えました。

 次の日から、ぽん吉のクラスメート・ウォッチングが始まりました。毎日毎日一匹一匹をじっくりと観察しました。相変わらずイジメは続いていましたが、じっと観察していると、こちらが優位に立っているような気分でした。
 一週間後の夜、また枕元にポロが現れました。

ポロ「やあ、ぽん吉くん」
ぽん吉「あ、ポロちゃん」
ポロ「お、なれなれしくなったね。どうだった、この一週間は?」
ぽん吉「うん、いじめは続いてるけど、観察してるとこっちのほうが偉いような気がしてきたよ」
ポロ「でしょ。それでさ、ふざけてイジメやってるヤツは見つかった?」
ぽん吉「うん、5匹だね。それから、もうちょっと判断に時間がかかるのが2〜3匹」
ポロ「よし、その5匹のうち、だれかと2人きりになったときがチャンスだよ」
ぽん吉「どうして?」
ポロ「相手の目をじっと見つめて、思い詰めたような顔で言ってやるんだ」
ぽん吉「何て?」
ポロ「・・・・・遺書には、お前の名前だけ書いてやる・・・・・」
ぽん吉「ひゅうううう〜、コワ」
ポロ「これは大事なことなんだ。それを言うべき相手が誰だか確信するまでは言っちゃダメだよ。たぶん、そいつは、ほかの誰々だってイジめてるっていうはずだ」
ぽん吉「そうだね、きっと」
ポロ「その時に君の観察が役に立つだろう」
ぽん吉「どうして?」
ポロ「イジメに走るヤツには、それぞれ理由があるんだ。だから君はそういうヤツのこともきっと観察してるはずだよ。だから君の注意力に期待してるからね」
ぽん吉「よく分からないよ」
ポロ「ここから先を言っちゃうと、知識は持っても、君は“分かる”ようにはならないんだ。自分でたどりつくんだよ。じゃあね」

 ポロのホロフォグラフィー・イメージは、ふわっと消えました。

 つづく

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2007-06-12 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第13回 それ行けぽん吉! その3

 それ行けぽん吉! その3

 ぽん吉は、相変わらずイジメにあっていましたが、心は冷静でした。イジメの首謀者はクラスのボスのヒゲ太郎でした。でも、ヒゲ太郎の家の近くを通ったときにヒゲ太郎の両親がヒゲ太郎を叩いている音が聞こえてきました。ヒゲ太郎は親からつらい扱いを受けているのかも知れないと気づいたのでした。ヒゲ太郎は、弱いぽん吉をいじめることで自分の気持ちのバランスをとっているのかも知れませんでした。そう思うと、やさしい両親と暮らすぽん吉は、ヒゲ太郎が気の毒になってきて、ひとり静かに言いました。

「よし、許す」

 そんなある日、放課後の掃除中にナマ助がモップでぽん吉をつついて、からかってきました。ナマ助は、ぽん吉が「イジメ便乗派」と確信しているひとりでした。チャンスだと思ったぽん吉は、練習を重ねてきた一芝居を打つことにしました。ぽん吉は、なるべく静かに言いました。

ぽん吉「・・・イジめるのはやめろ。遺書にはお前の名前だけ書くつもりだ」

 びっくりしたナマ助は、あわてて言い返しました。

ナマ助「な、なに言ってんだ。ヒゲ太郎だっていじめてるじゃないか」
ぽん吉「ヒゲ太郎は、ぼくを憎んでる。あいつは面白半分でぼくをイジめてるんじゃないんだ。本気だ。だから、ぼくはヒゲ太郎のために敢えてイジメに耐えて、あいつの助けになろうと思ってるんだ。あいつが父ちゃんや母ちゃんから叩かれたりしてるの、お前だって知ってるだろ」
ナマ助「う・・・・」

ぽん吉「でもお前は違う。何の考えもなく、面白半分でヒゲ太郎の尻馬に乗ってるだけだ。だからお前は罪が重い。自分のしたことをよく考えてみろよ。ヒゲ太郎のどうしようもない気持ちから出たイジメは許す気にもなるし耐えられるけど、お前のふざけた気持ちは許せない。だから、遺書にはお前の名前だけ書く」
ナマ助「ま、待ってくれよ〜」

 ナマ助は予想だにしていなかったぽん吉の言葉にうろたえていました。
 ぽん吉は黙ってその場を立ち去りました。

 その夜、ナマ助はなかなか寝つけませんでした。ぽん吉が、本人にも気づかなかったナマ助の実の姿を見事に言い当てたのです。ナマ助は、自分のことが醜くみえてきました。

 「ああ、ぼくはなんてバカだったんだろう。ぽん吉が死んじゃう前に、ぼくが気がついたことを伝えて謝らなくちゃ」

つづく

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2007-06-12 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第13回 それ行けぽん吉! その4

 それ行けぽん吉! その4

 翌朝、ぽん吉が学校に行こうと外へ出ると、ナマ助が目を真っ赤にして待っていました。

ナマ助「ぽん吉くん・・・」
ぽん吉「いいんだよ、分かってくれれば・・・。分かってくれてうれしいよ。ぼくこそ、遺書に書くなんておどかしてゴメン」
ナマ助「でも、ぽん吉くんが、ぼくのことをそう思うのは当然だよ・・・」

 その数日後、ぽん吉の枕元にポロのホログラフィーが現れました。

ポロ「どうだい、進展はあったかい?」
ぽん吉「ああ、ポロちゃん。ホントにありがとう。あれから何人かの尻馬連中に遺書に書くって言ったら、一人残らず自分のやったことに気づいたんだ」
ポロ「それはスゴイね。普通は何人がの分からず屋がいるんだけどね」
ぽん吉「同調するヤツが減ってきたら、ヒゲ太郎のヤツ、なんだか感じが変わってきたんだ」
ポロ「みんながヒゲ太郎を見る時の表情に気づいたのかな?」
ぽん吉「うん。そうだと思うよ。いまはイジメにくい雰囲気っていうのかな。ヒゲ太郎がぼくをイジめても、はやしたてるヤツがいなくなっちゃったら、アイツやりにくいんだと思うよ。でも、アイツは家でつらい目にあってるのかと思うと気の毒だよ」
ポロ「ポロ、今度はヒゲ太郎の枕元に行くよ」
ぽん吉「うん、ぜひそうして。それからさ、学校には、ほかにもイジメがあるんだ。でも、ポロちゃんが解決策を教えてくれたから何とかなりそうな気がする」
ポロ「あのさ。イジメっていうのは無限にパターンがあるんだ。だから同じ方法で解決できるとは限らないんだ」
ぽん吉「そうなのか。でも、観察するのは同じだよね」
ポロ「そうだよ。観察することで解決策にたどりつかなくちゃならないんだ」
ぽん吉「ポロちゃん、ぼくは本当に感謝してるよ」
ポロ「それを女神さまに伝えておくよ」
ぽん吉「そうか、女神さまっているんだね。どんな人なの? あ、人じゃないか」
ポロ「あはは、裏神田の路地で小料理屋やってるよ。“あじさい亭”っていうんだ」
ぽん吉「味最低?」
ポロ「あははははは、ポロも反対したんだよ、あじさいてい。マズそうだよね」
ぽん吉「ぼくはポロちゃんにどうやってお礼すればいいか分からないよ」
ポロ「あはは。お礼なんていいよ。ま、ちょっと君のしっぽを味見させてもらおかな・・・なんちて、ウソだよウソ。じゃあね〜」

 こうして、ポロはスーパー・ヒーローとしての仕事を終えたのでした。

 おしまい


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2007-06-04 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第12回 エレクトラ先生さいごの授業 その1

エレクトラ先生さいごの授業 その1

 ポロがドーラ王立小学校6年生の3学期に、遠くの星へ転勤してしまうエレクトラ先生の最後の授業がありました。
 エレクトラ先生は、トラ柄の美しい毛並みの雌猫でした。ポロはアメン王子と呼ばれていましたが、ここでは分かりやすいようにポロで出てきます。


エ「地球には、ぶち猫ジョーンズ以外にもすばらしい生涯を送った人たちがいました。そう、猫ではなくて人だったのです」
ポロ「え〜! 人間て惑星にはびこるガン細胞みたいなものだって先生いったよ〜」
エ「そのとおりです。たしかに自らの宿主とも言える惑星を破滅に追いやって、自分たちもいずれは絶滅してしまうことでしょう。しかし、そうではない人もいたのです」
ポ「へえ、そうだったのか」
エ「そういう人たちは、たいてい無名でした。もちろん名前はあります。しかし、人々の注意を引くことがなかったということです」
ポ「地球の暦で紀元前と呼ばれる時代、ドーラで言えばほんの10公転ほど前のことですが地球では2000公転以上前のことになります。自転数で言えば730000自転以上前です」
他の児童1「先生! 地球人は目が回らないんですか?」
エ「ええ、大丈夫よ。地球人たちはずっと地球は公転どころか自転さえしていないと思っていたほどです」
児童2「鈍感だなあ」
エ「あなたたちだって地球に暮らしていたら地球人と同じように感じたかも知れませんよ。地球は大きいし、地球の古代人たちは地表は平面でどこまでも続いていると考えていました。地球には液体の水の海があって、海面も平面であると考えられていました。これは、小さなドーラに住んでいるあなたたちには想像しにくいことかも知れませんね」
児童2「ふーん、そうか〜」
エ「ドーラは地球に比べれば太陽系のずっと外側を公転していますから、太陽のまわりを回る惑星の運動を直接観察することができます。ちょっと想像力をたくましくすれば空に内惑星の軌道を思い描くことだって難しくありません。しかし、地球ではそうではありませんでした。太陽が地球のまわりを回っていると思っていたのです。これを天動説と言います」
ポ「へえ・・・」
エ「まさかと思うかも知れませんが、天動説が信じられていた時代に、それに異を唱えると罪になりました」
ポ「せんせい。地球人はバカだと思います」
エ「いいえ、そう思うのは後知恵というものよ。本当のことが分かるまでは誰もが霧の中にいるものです」
ポ「先生、ポロたちも霧の中にいますか?」
エ「そのとおりです。私たちもまだ霧の中にいるといってよいでしょう」
ポ「そうだったのか〜、くやしいなあ。ポロは霧から抜け出してやるぞ」
エ「ええ、ぜひそうなってくださいね。では、話をもとに戻します。地球の2000公転以上前のことです。地球のインドという地方に住む名も知られぬ人が“宇宙の根本原理”と“人間の根本原理”とがずれていることに気づきました。分かりやすく言うと、“真実”と“人間の思い込み”と言えばよいでしょうか。これがずれていると、人はいろいろなことが自分の思いどおりにならないと思うことでしょう」

つづく

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