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ポロのお話の部屋

作曲家とむりんせんせいの助手で、猫の星のポロが繰り広げるファンタジーワールドです。
ぜひ、感想をお願いしますね。

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2004-11-26 ポロの日記 2004年11月28日(風曜日)ポロの京都 その3
2004-11-18 ポロの日記 2004年11月17日(波曜日)とっても大きなマルエツ その1
2004-11-17 ポロの日記 2004年11月17日(波曜日)とっても大きなマルエツ その2
2004-11-15 ポロの日記 2004年11月14日(風曜日)ポロのどん底“夢”日記 その1
2004-11-14 ポロの日記 2004年11月14日(風曜日)ポロのどん底“夢”日記 その2
2004-11-04 ポロの日記 2004年11月04日(草曜日)ポロの恩返し その1
2004-11-03 ポロの日記 2004年11月04日(草曜日)ポロの恩返し その2
2004-11-02 ポロの日記 2004年11月1日(光曜日)期間限定 ポロのどん底日記 その1
2004-11-01 ポロの日記 2004年11月1日(光曜日)期間限定 ポロのどん底日記 その2
2004-10-24 ポロの日記 2004年10月22日(電曜日)ポロのミラクルワールド その1


2004-11-26 ポロの日記 2004年11月28日(風曜日)ポロの京都 その3

ポロの京都 その3


「おお〜!」

 今度はせんせいが感激しました。
 ピアノの物陰からコビト星人のテレビクルーがドキュメンタリーを撮影していましたが、誰も気がつきませんでした。
 そうこうしているうちに、帰る時刻になりました。あ・・、おちゃめさんが登場してなかったけど、おちゃめさんは感動しっぱなしだったので一言も言えませんでした。
 せんせい一行は、森田ピアノ工房の皆さんにていねいにお礼を述べると、待っていた牛車に乗り込みました。
 帰りの牛車をコビト星人のテレビ中継用UFOが追跡していましたが、やはり誰も気がつきませんでした。
 夕方の京都駅前は、朝にも増して物売りやら通行人が増えて、それはそれは賑やかでした。西の空には江戸時代の浮世絵のオレンジ色の夕日がかかっていました。
 新幹線の自動改札を抜けると平安時代とはお別れです。
 ホームに500系タイムマシン新幹線がすべりこんで来ました。せんせいは庶民なので2等客車です。2等客車は畳敷きの座席です。せんせいたちは車内販売の伏見のお酒を買って、あぐらをかいて酒盛りを始めました。酔いが回ると、せんせいの口三味線が始まります。曲は十八番(おはこ)のシェーンベルクの管弦楽のための変奏曲op.31と、忍者部隊月光のテーマでした。
 その様子も、全部コビト星人のテレビクルーが撮影していたので、後日、足立区あたりで放送されるかも知れません。

 ぴんぽーん!
 夜9時ころ、せんせいが作曲工房に帰ってきました。ポロは走っていって玄関にせんせいを出迎えました。

「せんせい、おかえり〜!」
「ああ、ただいま」
「ねえ、せんせい。おみやげのイモようかん!」
「なんだ、そんなものはないぞ」
「え〜、ポロ知ってるんだから。森田さんから残りのイモようかんもらったってこと」
「???・・・・」
「ホントだよ。ポロ、知ってるんだから、せんせいがもらったイモようかん」
「おみやげはあるけど、千枚漬けだよ」
「あ、駅前のイモようかんと千枚漬け交換所で取り換えてきちゃったんでしょ」
「なんだそりゃ?」
「分かった! それじゃさ、せんせい、帰りの新幹線でお酒なんか飲むからどっかに置いてきちゃったんでしょ」
「ここしばらく、お酒なんか飲んでないぞ」
「ウソだ〜。せんせい、お酒飲んでシェーンベルクと忍者部隊のテーマ歌ったもん」
「歌ったけど、しらふだったし曲もミヨーとジャングル大帝だったぞ」
「あ〜、せんせいのアルコール性健忘症もここまで来たか・・・!」

 自分がお酒を飲んだことも忘れてしまったせんせいを禁酒させなくちゃ、とポロは心に誓ったのでした。

 ポロ注:作中に登場する人物・団体・場所などのうち、せんせい以外は全部ポロの想像です。京都駅前は平安時代じゃないので信じたりしないでね。


 ここは「野村茎一作曲工房HP」に付属する「ポロのお話の部屋」です。HPへは、こちらからどうぞ。

野村茎一作曲工房

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せんせい、森田ピアノの素晴らしさとアルコールで記憶が飛んでしまったのですね。でも、小人星人のドキュメンタリー放送を見れば真実が…(笑) / みた・そうや ( 2004-11-30 15:52 )

2004-11-18 ポロの日記 2004年11月17日(波曜日)とっても大きなマルエツ その1

とっても大きなマルエツ その1


「ポロちゃん、お買い物に行くけど一緒にどう?」
「うん、行く行く」

 ポロは、奥さんと一緒に秋晴れの空の下、タドタド駅のほうに向かって歩き始めました。

「あれ、奥さん。いつものマルエツも、大きなマルエツもこっちじゃないよ」
「今日ね、新しいお店が開店するのよ」
「へえ、お店がグルグル回るのか〜」
「違うわよ。オープンするの」
「わあ、新しいお店か。楽しみだなあ」

 タドタド駅を越えて、もう少し歩くと目的のお店がありました。ポロには、まるで火星のオリンポス火山のように大きく見えました。

「うわ〜〜〜〜! とっても大きなマルエツだねえ。大きなマルエツもかなわないかも!」
「そうね、とっても大きなお店ね」
「まるで買い物要塞都市だ〜!」

 ポロは、いつものように奥さんの買い物バッグにするりと入り込みました。入り口では、お姉さんが店内案内の立派なパンフレットを配っていました。

「わあ、奥さん、見て見て見て見て見て見て!」
「まあ、おいしそうなケーキねえ」

 店内に入ってすぐのところに大きなケーキ屋さんがありました。どのケーキもたくさんのフルーツがあしらってあって、芸術品みたいでした。

「ねえ、奥さん」
「なに、ポロちゃん」
「今日からさ、ポロ、洋菓子に宗旨替えすることにしたよ」
「おいしそうね。でも、ここにはまだまだ数えきれないくらいのお店が入ってるのよ」

 奥さんは、どんどん歩いていきました。

「ここはね、専門店とジャスコにエリアが分かれている総合ショッピングセンターなの」
「どっちもマルエツ?」
「そうじゃないわ。ジャスコがスーパーだから、マルエツみたいなものね」
「デパートじゃないよね」
「営業形態で言うと違うわね」
「ふ〜ん。どこにもフクザツな世界があるんだなあ」

 インテリアのお店では、せんせいが欲しがりそうなステキな掛け時計がありました。ファッションのお店は、どこもオープン特価でお客を誘っていました。宝石やアクセサリーのお店は、普通はひとがまばらなのに、今日はたくさんの人がショーウィンドウを眺めていました。全部のお店と売り場が分かる人なんているんでしょか。
 店内は人がたくさん歩いていましたが、売り場と売り場の間の通路がとても広いので混雑しているようには見えませんでした。

「ねえ奥さん、もうずいぶん歩いたね、西に進んできたからもう山梨県くらいかな?」
「いくらなんでもそんなに大きなお店はないわよ」
「でも、日本地図に載っていそうな大きさだねえ。ポロ、もうどこにいるのか分かんなくなっちゃったよ」
「じゃあ、ヨシコおばあちゃんに頼まれた買い物を済ませたら何か食べましょうか」
「わ。うれしいな!」

 奥さんは家電品売り場でいくつかの買い物を済ませると、まわりをハンバーガーショップやカレーショップなどの飲食店に囲まれたカフェテリアのようなところに連れていってくれました。ここなら、仲間同士で食べ物の意見が分かれてもみんな同じところで食べられます。

「大きなレストランだねえ」
「ポロちゃんをバッグから出すわけにはいかないから、テイクアウトして外で食べましょう」
「うん、ポロ、何がいいかな」
「なんでもいいわよ」
「ポロは、やっぱりハンバーガーだな!」
「せっかく、こんなにいろんなお店があるのに」
「コアラなんか、ここに来たってユーカリをたべると思うな」
「そうね」


つづく

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2004-11-17 ポロの日記 2004年11月17日(波曜日)とっても大きなマルエツ その2

とっても大きなマルエツ その2


 結局奥さんもポロと同じものを買いました。ポロたちはお店の外のベンチで一緒にお昼ご飯を食べました。

「おいしいねえ」
「そうね。いい天気だからなおさらよ」
「でもさ、どうしてこんなに大きなお店をつくったのかなあ」
「ポロは、全部のお店を覚える自信がないなあ」
「集客力を高めるためかしらね。買い物って言ったら、あ、あの店に行けば全部済んじゃうみたいな感じ」
「そっか。最初に思いつくのがこのお店ならいいんだね」
「物を売るって、どういうことかな」
「どういうこと? 買い物そのものが楽しい人たちも多いわ」
「ポロさ、モノを作るっていうのは感覚的に分かるんだけど、それを売るっていうセンスがないんだよな〜、たぶん」
「小売業っていうのは、ひょっとしたら経済の中では一番重要な要素のひとつかも知れないわよ。だっていくらモノを作っても、それが欲しい人の手に渡らなくては意味がないんだから」
「そっか。せんせいもそのセンスに欠けてるんだな。曲ばっかり作ってる」
「そうね。あたしも売るセンスがないから手伝えないわ」
「うわあ。おちゃめさんとシロちゃんとか、作曲工房の人たちはみんなセンスないかも」
「作る人たちって、そんなものかも知れないわよ」
「じゃ、すっと後の時代になってせんせいの曲で誰かが儲けたりするのかな〜。モーツァルトの曲みたいに」
「もし、あの人の曲を求める人たちがいるのならね」
「いるよ〜、百おく万人くらいいるよ〜」
「誰が儲けようと、自分の曲が喜んでもらえるんならそれだけで嬉しいと思うわ」
「そんなとこだけドビュッシーのマネなんかしなくてもいいのに〜」
「なんで、儲けることにこだわるの?」
「あのさ、さっきのケーキ屋さんのケーキだけどさ、奥さん、いつかは全部食べてみたくない?」
「まあ、そんな理由?」
「そんなじゃないよ。これは人生の大問題だと思うな」
「分かったわ。今月はちょっと節約しなくちゃならないんだけど、ひとつだけ買って帰りましょう」

 それから、奥さんは生鮮食料品のエリアで夕ご飯の買い物を買い物を済ませると、ケーキ屋さんで、フルーツがたくさん乗ったタルトを買ってくれました。

 作曲工房に帰ってから、せんせいにとっても大きなマルエツの話をしましたが、せんせいには大きさがうまく伝わりません。それで、ポロはカエルのお父さんのように思いっきり息を吸い込んでお腹を膨らませて「こ、このくらい・・いや、もっと・・大きかったんだよ」って身体を張って説明しましたが、せんせいはヤレヤレという表情をしただけでした。


おしまい


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あはは。新しいマルエツ、楽しそうですね。私も売るセンスは無いのは分かっているので、中学生の頃、進路から外しました。 / みた・そうや ( 2004-11-17 19:31 )

2004-11-15 ポロの日記 2004年11月14日(風曜日)ポロのどん底“夢”日記 その1

ポロのどん底“夢”日記 その1


1日目 ある日の前の前の日の夢

 どういうわけかポロは作曲工房を追いだされてしまいました。しかたがないので、自分のホームページを立ち上げました。
すると、みるみるうちにカウンタがまわり始め、1000、2000、3000と増えていきます。ポロは小躍りして大喜びしました。

「なんだ〜。ポロはこんなに人気があるんじゃないか〜。疫病神は作曲工房だったんだ〜」

 その日の晩のこと、ポロが春日公園に行くと、古い桜の木のウロ(幹の根元の穴)から淡い光が漏れていました。覗き込むと、その地下ではたくさんのアルマジロたちが何十台ものパソコンに向かってせっせと作業をしていました。どんな仕事をしているのかと思ったら、ポロのサイトにアクセスしては接続を切り、またアクセスしてみんなでカウンタを回していました。


2日目 ある日の前の日の夢

 ビジネス最前線で働く企業ねこ戦士のポロは、今朝もスーツに着替えるとトーストを一枚くわえて、出勤するために外へとびだしました。のんびり食事などしているヒマはないんだ〜。ところがタドタド駅につくと、いつもと様子が違いました。高架駅のはずの駅舎がありません。近くへ行くといつの間にかJR最強線は深い谷底にありました。

「わ、一晩で突貫工事したのかな」

 タドタド駅入り口を見つけました。
 蔦のような植物が生い茂る数百メートルの絶壁を鉄製の非常階段のようなところを降りていく道でした。雨上がりらしく、どこも濡れています。50メートルほど降りたところで錆びついた鉄製階段が一部脱落していました。下に見える残った階段までの距離は5メートルくらい。企業戦士のポロは、こんなところでグズグズしてはいられないので、ぴょーんと飛び降りました。見事に下の階段にたどり着きました。また50メートルほど降りると、今度は10メートルくらい下まで階段が脱落していました。ポロは猫の能力を生かして、わずかに見えている残った階段めがけて飛び移りました。見事、成功。ところが、また50メートル降りると、今度は100メートル下のホームまで階段がありませんでした。もう、飛び降りることはできません。戻ろうにも、今降りてきた階段は10メートルも上でした。
 ポロは出社することができず、とうとうクビになってしまいました。


3日目 ある日の夢

(歴史のおさらい)その昔、猫がクーデターを起こして人間社会を制圧しました。以後、人間たちは猫のしもべとなって、せっせと働いて猫たちのごはんを用意するようになりました。

 朝、ポロが近所の春日公園に行くと、ミニミニUFOが降りてきてブランコのとなりに着陸しました。
中から降りてきた小さな宇宙人がポロに武器を突きつけて言いました。

「我々の得た情報では、おまえはこの星の支配生物だな。指導者のところへ連れていけ」

 ポロは指導者の意味がよく分からなかったので、ピアノ指導者のせんせいのところへ案内しました。

「せんせい、変なの連れてきた」

 せんせいは「今忙しいんだ」と言って、宇宙人をつまんで窓の外へポイっと出してしまいました。

「せんせい、今の宇宙人だよ」
「なんだ、虫じゃなかったのか?」

 すぐに外を探しましたが、どこにも宇宙人はいませんでした。


つづく

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2004-11-14 ポロの日記 2004年11月14日(風曜日)ポロのどん底“夢”日記 その2

ポロのどん底“夢”日記 その2


4日目 ある日の次の日の夢

 ポロが道を歩いていると、向こうからお月さまがやってくるのが見えました。なんと冥王星のお月さまのカロンでした。お月さまは、おヘソを狙って追いかけてきたりするので、ポロは、すぐに近くの交差点を右に曲がってカロンと鉢合わせしないようにしました。少し歩くと、また見慣れないお月さまが歩いてきました。あ、あれは木星のお月さまのガニメデだ。ポロは、次の交差点を左に折れてガニメデを避けました。ところが正面にはヒペリオンという土星のお月さまがいました。反対側に向かうと、こんどはウンブリエルという天王星のお月さまがやって来ました。ポロは、交差点の中央で安全な道をさがすために4方向をぐるりと見渡しました。後ろにはヒペリオン、前にはウンブリエル、左には火星のお月さまのダイモス、右には海王星のお月さまのネレイドがいて、とうとうどこにも逃げられないことがわかりました。絶望のあまり空を仰ぐと、そこには薄笑いを浮かべた地球のお月さまが、上唇をぺろりと舐めながらポロを眺めて輝いていました。


5日目 ある日の次の次の日

 ポロが散歩していると、いきなり八百屋さんのにんじんが攻めてきました。

「わ、なにをするんだ!」

 するとにんじんが言いました。

「にんじんだもの!」
「そんなの理由になるか〜」

 八百屋のおかみさんも、にんじんに体当たりされてよろけていました。ポロは走って作曲工房に逃げ帰りました。

「た〜いま〜! せんせい、大変だよ!」
「こっちも大変なんだ」

 せんせいは冷蔵庫の前でにんじんと格闘していました。奥さんがキッチンから日本橋木屋の包丁を持ちだして、にんじんに切りかかりました。にんじんは乱切りにされておとなしくなりました。

「はあ、はあ。カレーに入れて食べてやるわ!」

 奥さんは息を切らしながら乱切りにんじんに向かって言いました。
 テレビでは緊急ニュースが流れていました。

「緊急ニュースです。日本各地でにんじんが蜂起しました。どこから現れたのか、無数のにんじんが街を襲っています。すでに壊滅した都市もあるという情報が入ってきています。うわ、うわ〜〜〜!」

 テレビ局のスタジオにもたくさんのにんじんが押し入ってきて、アナウンサーやディレクターを襲い始めました。

「ポロ、窓の外を見てみろ!」

 せんせいの声でポロが外を見ると、無数のにんじんが近所中に溢れて、窓ガラスを割ったり人間を追い回していました。それから間もなく作曲工房の窓という窓のガラスが割れる音がしました。


6日目 その朝のできごと
 

 ポロは、目が覚めるとすぐにキッチンへ行って、冷蔵庫の野菜室からにんじんを取りだすと、ゴミ収集所に出してしまいました。意気揚々と工房へ戻ると、奥さんがコワイ顔で「傷んでもいないにんじんを捨てちゃうなんてどういうつもり?」と言いました。
 ポロはにんじんの危険性を必死に訴えましたが、奥さんのひざに乗せられると、おしりを10回もペンペンされてしまったのでした。
 それからというもの、信用を失ったポロはどん底の毎日を送ることになりました。

 皆さんのおうちのにんじんはダイじょぶですか?


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先頭 表紙

う〜ん、なかなかシュールな夢ですね〜。でも、せっかくニンジンから家族を守ったのに、怒られてしまって残念でしたね。(^^) / みた・そうや ( 2004-11-17 10:45 )

2004-11-04 ポロの日記 2004年11月04日(草曜日)ポロの恩返し その1

ポロの恩返し その1


登場人物

風 風太郎。せんせいの長男19歳、専門学校生
海 海次郎。せんせいの次男16歳、高校生
ぴ たろぴ。せんせいの長女14歳 中学生
ポ ポロ。せんせいの助手。猫
しおさん 謎のおじさん


海「ポロ、しけた顔してんなよ」
ポ「どうせポロは、しけてますよ〜だ」
風「あれ、なんかポロの様子が変じゃないか?」
ぴ「やだなあ、ふう兄ちゃん今ごろ気がついてんの?」
海「コイツここんとこ元気ないんだ」
ポ「元気じゃないか〜、こんなに・・」
ぴ「ど〜こが元気なのよ!」
ポ「全身てゆ〜か、ヒゲの先までっつ〜か」
風「ま、そのうち元気になるよ。今日バイトだからさ、ビッグバーガー持ってきてやるよ」
ポ「わ、元気でたかも!」
ぴ「あ、あのさ、あたしにアップルパイも」
ポ「え、マックってアップルパイもあるの? ひょっとしてやっぱりパソコンの会社がやってるの?」
海「・・・・???」
風「えっ? あ、そ、そうだよ、そうに決まってるじゃないか」
海「くっくっく。そうだよ、ポロ、そんなことも知らなかったのかよ〜」
ポ「ぜんぜん知らなかったよ〜! そっか〜、言われてみればそのとおりだな〜」
風「それより、しおさんのサイト見た?」
海「あ〜、見た見た。たろぴの部屋に拷問道具がいっぱいあるって書いてあった」
ぴ「え〜、あたし知らないよ、そんなこと書いてあったの?」
海「ドアを見ただけで想像しちゃったらしい」
ポ「ポロも読んだよ。なかなか具体的だったと思うな」
風「分かった。たろぴの部屋にはホントに拷問道具があるよ。ほら、数学とか英語とか書いてあるやつ」
ぴ「うわあ。教科書か〜。あれは確かに拷問道具かも」
ポ「地球の中学校は拷問で教育するところなのか〜。ポロは猫の星でよかったなあ」
ぴ「ポロ、信じないでよね、こんなこと」
ポ「ポロは信じやすい猫なんだよ〜」
風「信じる者は足元をすくわれるんだぞ」
ポ「え゛〜! その格言て、そういう意味だったのか〜」
ぴ「ダメだよ、ふう兄ちゃん、ポロをだましちゃ」
風「とむりんのほうがポロにいっぱい変なこと吹き込んでるよ」
ポ「もう慣れた。ホントとウソの区別はばっちりだよ、百発百中!」
海「くっくっく・・・」
風「じゃあ、ポロ質問に答えろ」
ポ「うん、何でも聞いて」
風「太陽は地球の周りを回っている。○か×か」
ポ「マル!」
風「ほら見ろ、へんなふうに覚えちゃってるじゃないか」
ぴ「あのさ、ふう兄ちゃん。あたしだってそんな問題出されたらウザいからマルって言うに決まってるでしょ」
風「そうか。ちょっと当たり前すぎたな」
ぽ「あのさ、しおさんの風邪ってさ、せんせいからもらっちゃったんじゃないかなあ」
ぴ「わ、それは大変、お詫びしなくっちゃ」
風「そうだ、お詫びどころじゃないぞ。しおさんにはとむりんがいろいろとお世話になってるに違いないから恩返しのレベルだな。たろぴ、肩もみして差し上げろ」
海「肩もみよりさ、しおさんて拷問されるのが好きなんじゃないかなあ」
ぴ「まさか〜」
風「たしかに、しおさんの日記を読むと潜在意識のどこかで拷問されたいのかも知れないって言う気がするな」
海「じゃ、しおさんの願いを叶えよう」
た「何を?」
海「拷問」
ポ「しおさん、喜ぶかな」
風「それはもう大喜びだよ」
ぴ「まさか〜!」
海「ま、表向きは拷問なんかやだって言うだろうな、普通。でもしおさんの日記を読むと、実は拷問されるのが大好きだ〜って訴えているのは間違いない」
ポ「ポロも、そんな気がしてきた。拷問だ拷問だ〜、ポロの恩返しだ〜」

つづく

先頭 表紙

ミタさん、しおさんに読まれちゃったよ。計画バレバレだ〜! / ポロ ( 2004-11-06 00:22 )
そうそう、しおさんの日記をキチンと読めば、しおさんの本当の心が見えてきます。イヤだと書いているのは、彼なりのテレ隠しなのです。(笑) / みた・そうや ( 2004-11-05 23:55 )

2004-11-03 ポロの日記 2004年11月04日(草曜日)ポロの恩返し その2

ポロの恩返し その2


風「よし、善は急げ、実行だ」
海「でも、肝心の拷問道具がないぞ」
ポ「せんせいが持ってるピアノ用の毛ばたきはどうかな〜。ポロ、あんなのでくすぐられたら悶絶しちゃうな〜」
風「いいぞ、ポロ。グッドアイディアだ。ちょっと迫力に欠けるきらいはあるが、アイアン・メイデンとか用意できないしな」
海「よし、拷問の内容は決まった。後は、次のレッスンの時にしおさんが階段上がってきたらレッスン室じゃなくて左に曲がらせればいいんだな」
ポ「ポロ、その方法知ってるよ」
風「どんな方法だ?」
ポ「えっと、ドアノブに五月みどりさんの写真ぶら下げとけばダイじょぶ」
海「それだと、とむりんが入ってきちゃうよ」
ポ「そっか〜」
ぴ「中年おじさんて似てるのね〜」
風「ま、いい。とむりんがレッスン室に入ったあとで写真を用意すればいいよ。よし、さっそく準備にかかろう」

 風にいちゃんが五月みどりさんのファンサイトから、写真を選んでプリントしました。ついでに、はしのえみさんの写真もプリントしました。海にいちゃんは、レッスン室からピアノ用の毛ばたきを持ってきました。たろちゃんは、しおさんに見立てた大きなぬいぐるみ、チンパンジーのブレンディーを持ってきました。

 それから、ポロたちは役割を決めてリハーサルを始めました。
 ぴんぽーん! ドアチャイムが鳴ります。すぐに五月みどりさんの写真をドアに下げます。3階に昇りきる直前の階段ステップに左矢印つきの“はしのえみ”さんの写真も貼ります。すぐに海にいちゃんと風にいちゃんがドアの陰に隠れて待ちます。たろちゃんが、黒子になって、しおさんに見立てたブレンディーを両手に持って階段を上がってきて左に折れます。

ぴ「あ、こんなところに大好きな五月みどりさんが! 中に入ってみよう」

 チンパンジーの“ブレンディー”がドアを開けてたろちゃんの部屋に入ると、待ちかまえていたお兄ちゃんたちが一斉に飛びかかってブレンディーを押さえ込みます。そして、ポロがすかさず毛ばたきでブレンディーをコチョコチョとくすぐる作戦です。

ポ「どのくらい、くすぐればいいかな」
風「大サービスで3分間だな」
ポ「うひゃあ、ポロだったら気絶しちゃうかも」
海「大喜びして小遣いくれるかもしれないぜ」
ポ「ホント! ポロ、もっとくすぐっちゃお〜」

 夜遅く、ようやくリハーサルは終了しました。

ポ「人に喜ばれることをするっていい気持ちだなあ! ポロ、ついでに自慢のしっぽでもくすぐっちゃおうかなあ」
風「さあ、あしたも早いから寝よう」
海「寝るか」
ぴ「ホントにしおさん喜んでくれるのかなあ」
ポ「間違いないって!」
ぴ「ふ〜ん、そう。じゃね、ポロお休み」
ポ「おやすみ、たろちゃん!」

 びっくりさせるんだから、しおさんにはナイショだよ。
 ポロは、今度のしおさんのレッスンが待ち遠しくてしかたありません。


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しおさんも、きっと大喜びですね♪せんせいのご家族は、みんないい人だ〜! / みた・そうや ( 2004-11-05 17:38 )

2004-11-02 ポロの日記 2004年11月1日(光曜日)期間限定 ポロのどん底日記 その1

期間限定 ポロのどん底日記 その1



 ポロが何もしないでゴロゴロしていたら、せんせいが声をかけてきました。

「ポロ、お昼に食べたいものあるか?」
「あ、せんせい、ポロが元気ないからって気をつかってんでしょ」
「当たり前じゃないか」
「同情なんかしなくていいよ!」
「はいよ、今月の1200円」
「わ、せんせい、同情するならカネっていうのはもう古くて使えない手だよ!」
「手でもなんでもないよ。今日は朔日(ついたち)だからポロの正当な受け取り分だよ」
「そ、そうか〜。今日から11月か。それはいい日だなあ〜」
「勝手に昼メシ作るから文句言わないでくれよ」

 せんせいは、キッチンのカウンターの向こう側に行って料理を始めました。

「うん、ポロは根がお越しプーでマダムだからダイじょぶだよ」
「なに、言ってるんだ?」
「うん、ちょっとね。元気が出るおまじないっていうヤツだよ」
「そんなまじないがあるのか」
「うん、しおさんの掲示板に出てた」
「ポロ。CIAや総理府だけじゃなくて、しおさんのサイトまでチェックしてるのか」
「そだよ。金が棚田な〜っていうくらいで、ノーイェイもう伝言なんだから」
「さっぱり分からん」
「分からなくっていいんだよ。でもさ、これ読んでる人は今ごろニヤニヤしてるかも」
「なんだ。私だけ仲間はずれか」
「まあね。せんせいはソナタ形式には詳しくても、もうひとつの大事なソナタのことは知らないってことさ」
「なんだか意味深な言い方だな」
「そりゃ、色気は無駄シャバだし、羽振りは異種ダコだからね」
「もうポロとは話さん」
「いいも〜んだ。目が〜うすうす今晩こ〜♪」
「なんだか聴いたことがあるようなメロディーだな」
「ソナタの第一主題さっ!」

 せんせいがスイス・スプリング社のぴかぴかのソテーパンを持ってダイニングテーブルにやってきました。フタを取ると、それは、あのお子様ランチのスパゲティーでした。

「わ、せんせいも作れるの?」
「チョロイぜ」
「たろちゃんに聞いたんでしょ?」
「まあね。さあ、冷めないうちに食べてくれよ」

 せんせいがパスタ皿に盛りつけてくれた“かけスパ”をポロは、さっそくおソバのようにたぐりました。


つづく

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2004-11-01 ポロの日記 2004年11月1日(光曜日)期間限定 ポロのどん底日記 その2

期間限定 ポロのどん底日記 その2


「ん、んんんんんんんんんんん、んまい! んまいんまいんまいんまいんまいんまいんまいんまい! たろちゃんのかけスパと同じものとは思えない。別物だ〜。びっくりしたぞ。一皿いちおく万円だ〜。いったいどんな材料を使ったの?」
「ああ、たろぴと全く同じ材料だよ」
「ど、ど〜いうこと〜!?」
「ポロ、作曲するときにモーツァルトやベートーヴェンと全く同じ音階使ってないか? それともピアノ弾くときにピアニストと同じピアノ使ったらうまく弾けるかい?」
「う、ううううううううううう・・・・。わん!」
「そういうことだ」
「世の中のすべてのことは、そういうことだったのか〜。そんなこと、言葉では知ってたのに、今はじめて理解したよ〜」
「そうだね。頭で理解するのと身体で感じるのは全く異なる体験だね」
「でもさでもさ、どこが違うのかちょっとだけ教えてよ、せんせい」
「そうだな。まず、たろぴはパスタを指定の茹で時間全部使って茹でてしまっただろう」
「そんなの当然じゃないか〜。それとも茹でちゃいけないの?」
「最後にフライパンで加熱する時間を差し引くくらいがちょうどいいはずだ」
「でも、茹でるのとソースをからめるために炒めるのとは意味が違うよ」
「だから、茹で上がった時の湯きりが重要なんだ。あまり湯をきらないようにしてフライパンの加熱時にも茹でが進むようにする。そうすれば決してボソボソしない」
「そ・・、そうか〜、材料が同じでも、そんなことで結果はこんなに変わるんだ〜」
「とくに、ソースをからめる時間は火がついているだけに微妙にして絶妙な判断が必要だ」
「せんせいはどうしてそういうことが分かるようになったの?」

 せんせいは少し考えてから、遠くを見るような目で言いました。

「・・・・・。冬の日本海を臨む断崖に立って、来る日も来る日も風に向かって・・・」
「あ゛、分かったわかった。訊ねたポロがいけなかったな。観察力と洞察力に決まってるよね」
「それからもうひとつ。いつもだったら扱いのやさしいフッ素加工のフライパンを使うんだが今日は違った。演出を考えて、おしゃれなぴっかぴかソテーパンから、テーブルで直接盛りつけた」
「まいった。まいったよ〜。要するにポロも、たろちゃんもまだまだ修業が全然足りないっていうことだ〜」
「歳の功だよ」
「いや、違うと思うね。せんせいとポロは、もともと出来が違うんだよ〜。あ〜、よけい落ち込んだよ〜。ポロは、もうダメだ〜。ダメだけど、せんせいおかわり〜!」


おしまい


↓ポロの元気が出るおまじないの出典

参考

※このお話は数日で削除されます


 ここは「野村茎一作曲工房HP」に付属する「ポロのお話の部屋」です。HPへは、こちらからどうぞ。

野村茎一作曲工房

ポロの掲示板はここ。
ポロのひみつの部屋

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mokoさん、読んでくれてアリガト。なんだか、人気が出てきちゃったのでもう少し置いておくかも。 / ポロ ( 2004-11-06 00:23 )
ポロさん、残しててくれてありがとう♪面白かったです〜しおさんのHPも見られないのが残念です・・・ / moko ( 2004-11-02 16:56 )

2004-10-24 ポロの日記 2004年10月22日(電曜日)ポロのミラクルワールド その1

ポロのミラクルワールド その1


 今日はポロのエッセイです。
 ポロが日記形式のお話を書くことにしたとき、せんせいが言いました。

「何があったかを書くより、何が起これば面白いかを書いたほうが断然面白い」

 ポロは“これだ!”と思いました。だって、毎日おもしろいことが起こるとはかぎらないもんね。
 せんせいの言葉は続きます。

「発想には作家の個性としての共通点がなければならないが、個々のストーリーの発想の出どころが同じだと、たちまち退屈になる」

 そう、これが問題です。誰にも予測できないような発想で、しかも前からの関連性や連続性のある話。だから、ポロは毎日いろいろな事を考えます。書いてるよりも、考えてる時間のほうがずっと長いかも。ポロがステキな発想を思いついても、せんせいはまだ無理難題をふっかけてきます。

「発想なんて、ほんの数行で書き尽くしてしまうが、伏線があれば物語になる」

 そうです。伏線こそが物語を進める力。ポロはテーマが決まったら伏線になりそうなことをノートに書きつけます。そして、大切なのが物語りの出口。それが決まると、あとはそこへ向かってまっしぐらに書いてきます。経由地は伏線です。
 それから、ポロには資料集というアイディアノートがあります。これから使う地名、人名などが書きつけてあります。これには凝って凝って凝りまくります。名前だけでお話にふくらみが出ることもあるからです。

 なんて、簡単そうに書いたけどホントはとっても大変です。その日のできごとなら見たまま書けばいいけど、そうじゃないときは想像だけでは書けないので、たくさんの調べものをすることもあります。違和感なく実際にあった出来事のように書くには、具体性が必要だからです。本当にあることのように感じる世界を、せんせいは虚構と言っていました。そうか、それが虚構っていうのかって思いました。
 せんせいが面白い例を話してくれました。

・なんの説明もなくウサギがしゃべったらおとぎ話。
・人工知能と人工声帯を移植したウサギがしゃべればSF.
・うさぎというコードネームを持つ謎の人物と、不可解な事件に巻き込まれればミステリー。
・誰かの霊がうさぎに乗り移って、真夜中にやって来ればオカルト小説。
・ペットのウサギと想像で会話を交わすだけなら普通の小説。

 ね、面白いでしょ。要するにそれぞれ理由が必要なわけ。その理由しだいでジャンルも違ってきます。


つづく

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