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ポロのお話の部屋

作曲家とむりんせんせいの助手で、猫の星のポロが繰り広げるファンタジーワールドです。
ぜひ、感想をお願いしますね。

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2004-11-15 ポロの日記 2004年11月14日(風曜日)ポロのどん底“夢”日記 その1
2004-11-14 ポロの日記 2004年11月14日(風曜日)ポロのどん底“夢”日記 その2
2004-11-04 ポロの日記 2004年11月04日(草曜日)ポロの恩返し その1
2004-11-03 ポロの日記 2004年11月04日(草曜日)ポロの恩返し その2
2004-11-02 ポロの日記 2004年11月1日(光曜日)期間限定 ポロのどん底日記 その1
2004-11-01 ポロの日記 2004年11月1日(光曜日)期間限定 ポロのどん底日記 その2
2004-10-24 ポロの日記 2004年10月22日(電曜日)ポロのミラクルワールド その1
2004-10-23 ポロの日記 2004年10月22日(電曜日)ポロのミラクルワールド その2
2004-10-22 ポロの日記 2004年10月18日(光曜日)女神さまといっしょ
2004-10-21 ポロの日記 2004年10月16日(岩曜日)王 その1


2004-11-15 ポロの日記 2004年11月14日(風曜日)ポロのどん底“夢”日記 その1

ポロのどん底“夢”日記 その1


1日目 ある日の前の前の日の夢

 どういうわけかポロは作曲工房を追いだされてしまいました。しかたがないので、自分のホームページを立ち上げました。
すると、みるみるうちにカウンタがまわり始め、1000、2000、3000と増えていきます。ポロは小躍りして大喜びしました。

「なんだ〜。ポロはこんなに人気があるんじゃないか〜。疫病神は作曲工房だったんだ〜」

 その日の晩のこと、ポロが春日公園に行くと、古い桜の木のウロ(幹の根元の穴)から淡い光が漏れていました。覗き込むと、その地下ではたくさんのアルマジロたちが何十台ものパソコンに向かってせっせと作業をしていました。どんな仕事をしているのかと思ったら、ポロのサイトにアクセスしては接続を切り、またアクセスしてみんなでカウンタを回していました。


2日目 ある日の前の日の夢

 ビジネス最前線で働く企業ねこ戦士のポロは、今朝もスーツに着替えるとトーストを一枚くわえて、出勤するために外へとびだしました。のんびり食事などしているヒマはないんだ〜。ところがタドタド駅につくと、いつもと様子が違いました。高架駅のはずの駅舎がありません。近くへ行くといつの間にかJR最強線は深い谷底にありました。

「わ、一晩で突貫工事したのかな」

 タドタド駅入り口を見つけました。
 蔦のような植物が生い茂る数百メートルの絶壁を鉄製の非常階段のようなところを降りていく道でした。雨上がりらしく、どこも濡れています。50メートルほど降りたところで錆びついた鉄製階段が一部脱落していました。下に見える残った階段までの距離は5メートルくらい。企業戦士のポロは、こんなところでグズグズしてはいられないので、ぴょーんと飛び降りました。見事に下の階段にたどり着きました。また50メートルほど降りると、今度は10メートルくらい下まで階段が脱落していました。ポロは猫の能力を生かして、わずかに見えている残った階段めがけて飛び移りました。見事、成功。ところが、また50メートル降りると、今度は100メートル下のホームまで階段がありませんでした。もう、飛び降りることはできません。戻ろうにも、今降りてきた階段は10メートルも上でした。
 ポロは出社することができず、とうとうクビになってしまいました。


3日目 ある日の夢

(歴史のおさらい)その昔、猫がクーデターを起こして人間社会を制圧しました。以後、人間たちは猫のしもべとなって、せっせと働いて猫たちのごはんを用意するようになりました。

 朝、ポロが近所の春日公園に行くと、ミニミニUFOが降りてきてブランコのとなりに着陸しました。
中から降りてきた小さな宇宙人がポロに武器を突きつけて言いました。

「我々の得た情報では、おまえはこの星の支配生物だな。指導者のところへ連れていけ」

 ポロは指導者の意味がよく分からなかったので、ピアノ指導者のせんせいのところへ案内しました。

「せんせい、変なの連れてきた」

 せんせいは「今忙しいんだ」と言って、宇宙人をつまんで窓の外へポイっと出してしまいました。

「せんせい、今の宇宙人だよ」
「なんだ、虫じゃなかったのか?」

 すぐに外を探しましたが、どこにも宇宙人はいませんでした。


つづく

先頭 表紙

2004-11-14 ポロの日記 2004年11月14日(風曜日)ポロのどん底“夢”日記 その2

ポロのどん底“夢”日記 その2


4日目 ある日の次の日の夢

 ポロが道を歩いていると、向こうからお月さまがやってくるのが見えました。なんと冥王星のお月さまのカロンでした。お月さまは、おヘソを狙って追いかけてきたりするので、ポロは、すぐに近くの交差点を右に曲がってカロンと鉢合わせしないようにしました。少し歩くと、また見慣れないお月さまが歩いてきました。あ、あれは木星のお月さまのガニメデだ。ポロは、次の交差点を左に折れてガニメデを避けました。ところが正面にはヒペリオンという土星のお月さまがいました。反対側に向かうと、こんどはウンブリエルという天王星のお月さまがやって来ました。ポロは、交差点の中央で安全な道をさがすために4方向をぐるりと見渡しました。後ろにはヒペリオン、前にはウンブリエル、左には火星のお月さまのダイモス、右には海王星のお月さまのネレイドがいて、とうとうどこにも逃げられないことがわかりました。絶望のあまり空を仰ぐと、そこには薄笑いを浮かべた地球のお月さまが、上唇をぺろりと舐めながらポロを眺めて輝いていました。


5日目 ある日の次の次の日

 ポロが散歩していると、いきなり八百屋さんのにんじんが攻めてきました。

「わ、なにをするんだ!」

 するとにんじんが言いました。

「にんじんだもの!」
「そんなの理由になるか〜」

 八百屋のおかみさんも、にんじんに体当たりされてよろけていました。ポロは走って作曲工房に逃げ帰りました。

「た〜いま〜! せんせい、大変だよ!」
「こっちも大変なんだ」

 せんせいは冷蔵庫の前でにんじんと格闘していました。奥さんがキッチンから日本橋木屋の包丁を持ちだして、にんじんに切りかかりました。にんじんは乱切りにされておとなしくなりました。

「はあ、はあ。カレーに入れて食べてやるわ!」

 奥さんは息を切らしながら乱切りにんじんに向かって言いました。
 テレビでは緊急ニュースが流れていました。

「緊急ニュースです。日本各地でにんじんが蜂起しました。どこから現れたのか、無数のにんじんが街を襲っています。すでに壊滅した都市もあるという情報が入ってきています。うわ、うわ〜〜〜!」

 テレビ局のスタジオにもたくさんのにんじんが押し入ってきて、アナウンサーやディレクターを襲い始めました。

「ポロ、窓の外を見てみろ!」

 せんせいの声でポロが外を見ると、無数のにんじんが近所中に溢れて、窓ガラスを割ったり人間を追い回していました。それから間もなく作曲工房の窓という窓のガラスが割れる音がしました。


6日目 その朝のできごと
 

 ポロは、目が覚めるとすぐにキッチンへ行って、冷蔵庫の野菜室からにんじんを取りだすと、ゴミ収集所に出してしまいました。意気揚々と工房へ戻ると、奥さんがコワイ顔で「傷んでもいないにんじんを捨てちゃうなんてどういうつもり?」と言いました。
 ポロはにんじんの危険性を必死に訴えましたが、奥さんのひざに乗せられると、おしりを10回もペンペンされてしまったのでした。
 それからというもの、信用を失ったポロはどん底の毎日を送ることになりました。

 皆さんのおうちのにんじんはダイじょぶですか?


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先頭 表紙

う〜ん、なかなかシュールな夢ですね〜。でも、せっかくニンジンから家族を守ったのに、怒られてしまって残念でしたね。(^^) / みた・そうや ( 2004-11-17 10:45 )

2004-11-04 ポロの日記 2004年11月04日(草曜日)ポロの恩返し その1

ポロの恩返し その1


登場人物

風 風太郎。せんせいの長男19歳、専門学校生
海 海次郎。せんせいの次男16歳、高校生
ぴ たろぴ。せんせいの長女14歳 中学生
ポ ポロ。せんせいの助手。猫
しおさん 謎のおじさん


海「ポロ、しけた顔してんなよ」
ポ「どうせポロは、しけてますよ〜だ」
風「あれ、なんかポロの様子が変じゃないか?」
ぴ「やだなあ、ふう兄ちゃん今ごろ気がついてんの?」
海「コイツここんとこ元気ないんだ」
ポ「元気じゃないか〜、こんなに・・」
ぴ「ど〜こが元気なのよ!」
ポ「全身てゆ〜か、ヒゲの先までっつ〜か」
風「ま、そのうち元気になるよ。今日バイトだからさ、ビッグバーガー持ってきてやるよ」
ポ「わ、元気でたかも!」
ぴ「あ、あのさ、あたしにアップルパイも」
ポ「え、マックってアップルパイもあるの? ひょっとしてやっぱりパソコンの会社がやってるの?」
海「・・・・???」
風「えっ? あ、そ、そうだよ、そうに決まってるじゃないか」
海「くっくっく。そうだよ、ポロ、そんなことも知らなかったのかよ〜」
ポ「ぜんぜん知らなかったよ〜! そっか〜、言われてみればそのとおりだな〜」
風「それより、しおさんのサイト見た?」
海「あ〜、見た見た。たろぴの部屋に拷問道具がいっぱいあるって書いてあった」
ぴ「え〜、あたし知らないよ、そんなこと書いてあったの?」
海「ドアを見ただけで想像しちゃったらしい」
ポ「ポロも読んだよ。なかなか具体的だったと思うな」
風「分かった。たろぴの部屋にはホントに拷問道具があるよ。ほら、数学とか英語とか書いてあるやつ」
ぴ「うわあ。教科書か〜。あれは確かに拷問道具かも」
ポ「地球の中学校は拷問で教育するところなのか〜。ポロは猫の星でよかったなあ」
ぴ「ポロ、信じないでよね、こんなこと」
ポ「ポロは信じやすい猫なんだよ〜」
風「信じる者は足元をすくわれるんだぞ」
ポ「え゛〜! その格言て、そういう意味だったのか〜」
ぴ「ダメだよ、ふう兄ちゃん、ポロをだましちゃ」
風「とむりんのほうがポロにいっぱい変なこと吹き込んでるよ」
ポ「もう慣れた。ホントとウソの区別はばっちりだよ、百発百中!」
海「くっくっく・・・」
風「じゃあ、ポロ質問に答えろ」
ポ「うん、何でも聞いて」
風「太陽は地球の周りを回っている。○か×か」
ポ「マル!」
風「ほら見ろ、へんなふうに覚えちゃってるじゃないか」
ぴ「あのさ、ふう兄ちゃん。あたしだってそんな問題出されたらウザいからマルって言うに決まってるでしょ」
風「そうか。ちょっと当たり前すぎたな」
ぽ「あのさ、しおさんの風邪ってさ、せんせいからもらっちゃったんじゃないかなあ」
ぴ「わ、それは大変、お詫びしなくっちゃ」
風「そうだ、お詫びどころじゃないぞ。しおさんにはとむりんがいろいろとお世話になってるに違いないから恩返しのレベルだな。たろぴ、肩もみして差し上げろ」
海「肩もみよりさ、しおさんて拷問されるのが好きなんじゃないかなあ」
ぴ「まさか〜」
風「たしかに、しおさんの日記を読むと潜在意識のどこかで拷問されたいのかも知れないって言う気がするな」
海「じゃ、しおさんの願いを叶えよう」
た「何を?」
海「拷問」
ポ「しおさん、喜ぶかな」
風「それはもう大喜びだよ」
ぴ「まさか〜!」
海「ま、表向きは拷問なんかやだって言うだろうな、普通。でもしおさんの日記を読むと、実は拷問されるのが大好きだ〜って訴えているのは間違いない」
ポ「ポロも、そんな気がしてきた。拷問だ拷問だ〜、ポロの恩返しだ〜」

つづく

先頭 表紙

ミタさん、しおさんに読まれちゃったよ。計画バレバレだ〜! / ポロ ( 2004-11-06 00:22 )
そうそう、しおさんの日記をキチンと読めば、しおさんの本当の心が見えてきます。イヤだと書いているのは、彼なりのテレ隠しなのです。(笑) / みた・そうや ( 2004-11-05 23:55 )

2004-11-03 ポロの日記 2004年11月04日(草曜日)ポロの恩返し その2

ポロの恩返し その2


風「よし、善は急げ、実行だ」
海「でも、肝心の拷問道具がないぞ」
ポ「せんせいが持ってるピアノ用の毛ばたきはどうかな〜。ポロ、あんなのでくすぐられたら悶絶しちゃうな〜」
風「いいぞ、ポロ。グッドアイディアだ。ちょっと迫力に欠けるきらいはあるが、アイアン・メイデンとか用意できないしな」
海「よし、拷問の内容は決まった。後は、次のレッスンの時にしおさんが階段上がってきたらレッスン室じゃなくて左に曲がらせればいいんだな」
ポ「ポロ、その方法知ってるよ」
風「どんな方法だ?」
ポ「えっと、ドアノブに五月みどりさんの写真ぶら下げとけばダイじょぶ」
海「それだと、とむりんが入ってきちゃうよ」
ポ「そっか〜」
ぴ「中年おじさんて似てるのね〜」
風「ま、いい。とむりんがレッスン室に入ったあとで写真を用意すればいいよ。よし、さっそく準備にかかろう」

 風にいちゃんが五月みどりさんのファンサイトから、写真を選んでプリントしました。ついでに、はしのえみさんの写真もプリントしました。海にいちゃんは、レッスン室からピアノ用の毛ばたきを持ってきました。たろちゃんは、しおさんに見立てた大きなぬいぐるみ、チンパンジーのブレンディーを持ってきました。

 それから、ポロたちは役割を決めてリハーサルを始めました。
 ぴんぽーん! ドアチャイムが鳴ります。すぐに五月みどりさんの写真をドアに下げます。3階に昇りきる直前の階段ステップに左矢印つきの“はしのえみ”さんの写真も貼ります。すぐに海にいちゃんと風にいちゃんがドアの陰に隠れて待ちます。たろちゃんが、黒子になって、しおさんに見立てたブレンディーを両手に持って階段を上がってきて左に折れます。

ぴ「あ、こんなところに大好きな五月みどりさんが! 中に入ってみよう」

 チンパンジーの“ブレンディー”がドアを開けてたろちゃんの部屋に入ると、待ちかまえていたお兄ちゃんたちが一斉に飛びかかってブレンディーを押さえ込みます。そして、ポロがすかさず毛ばたきでブレンディーをコチョコチョとくすぐる作戦です。

ポ「どのくらい、くすぐればいいかな」
風「大サービスで3分間だな」
ポ「うひゃあ、ポロだったら気絶しちゃうかも」
海「大喜びして小遣いくれるかもしれないぜ」
ポ「ホント! ポロ、もっとくすぐっちゃお〜」

 夜遅く、ようやくリハーサルは終了しました。

ポ「人に喜ばれることをするっていい気持ちだなあ! ポロ、ついでに自慢のしっぽでもくすぐっちゃおうかなあ」
風「さあ、あしたも早いから寝よう」
海「寝るか」
ぴ「ホントにしおさん喜んでくれるのかなあ」
ポ「間違いないって!」
ぴ「ふ〜ん、そう。じゃね、ポロお休み」
ポ「おやすみ、たろちゃん!」

 びっくりさせるんだから、しおさんにはナイショだよ。
 ポロは、今度のしおさんのレッスンが待ち遠しくてしかたありません。


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先頭 表紙

しおさんも、きっと大喜びですね♪せんせいのご家族は、みんないい人だ〜! / みた・そうや ( 2004-11-05 17:38 )

2004-11-02 ポロの日記 2004年11月1日(光曜日)期間限定 ポロのどん底日記 その1

期間限定 ポロのどん底日記 その1



 ポロが何もしないでゴロゴロしていたら、せんせいが声をかけてきました。

「ポロ、お昼に食べたいものあるか?」
「あ、せんせい、ポロが元気ないからって気をつかってんでしょ」
「当たり前じゃないか」
「同情なんかしなくていいよ!」
「はいよ、今月の1200円」
「わ、せんせい、同情するならカネっていうのはもう古くて使えない手だよ!」
「手でもなんでもないよ。今日は朔日(ついたち)だからポロの正当な受け取り分だよ」
「そ、そうか〜。今日から11月か。それはいい日だなあ〜」
「勝手に昼メシ作るから文句言わないでくれよ」

 せんせいは、キッチンのカウンターの向こう側に行って料理を始めました。

「うん、ポロは根がお越しプーでマダムだからダイじょぶだよ」
「なに、言ってるんだ?」
「うん、ちょっとね。元気が出るおまじないっていうヤツだよ」
「そんなまじないがあるのか」
「うん、しおさんの掲示板に出てた」
「ポロ。CIAや総理府だけじゃなくて、しおさんのサイトまでチェックしてるのか」
「そだよ。金が棚田な〜っていうくらいで、ノーイェイもう伝言なんだから」
「さっぱり分からん」
「分からなくっていいんだよ。でもさ、これ読んでる人は今ごろニヤニヤしてるかも」
「なんだ。私だけ仲間はずれか」
「まあね。せんせいはソナタ形式には詳しくても、もうひとつの大事なソナタのことは知らないってことさ」
「なんだか意味深な言い方だな」
「そりゃ、色気は無駄シャバだし、羽振りは異種ダコだからね」
「もうポロとは話さん」
「いいも〜んだ。目が〜うすうす今晩こ〜♪」
「なんだか聴いたことがあるようなメロディーだな」
「ソナタの第一主題さっ!」

 せんせいがスイス・スプリング社のぴかぴかのソテーパンを持ってダイニングテーブルにやってきました。フタを取ると、それは、あのお子様ランチのスパゲティーでした。

「わ、せんせいも作れるの?」
「チョロイぜ」
「たろちゃんに聞いたんでしょ?」
「まあね。さあ、冷めないうちに食べてくれよ」

 せんせいがパスタ皿に盛りつけてくれた“かけスパ”をポロは、さっそくおソバのようにたぐりました。


つづく

先頭 表紙

2004-11-01 ポロの日記 2004年11月1日(光曜日)期間限定 ポロのどん底日記 その2

期間限定 ポロのどん底日記 その2


「ん、んんんんんんんんんんん、んまい! んまいんまいんまいんまいんまいんまいんまいんまい! たろちゃんのかけスパと同じものとは思えない。別物だ〜。びっくりしたぞ。一皿いちおく万円だ〜。いったいどんな材料を使ったの?」
「ああ、たろぴと全く同じ材料だよ」
「ど、ど〜いうこと〜!?」
「ポロ、作曲するときにモーツァルトやベートーヴェンと全く同じ音階使ってないか? それともピアノ弾くときにピアニストと同じピアノ使ったらうまく弾けるかい?」
「う、ううううううううううう・・・・。わん!」
「そういうことだ」
「世の中のすべてのことは、そういうことだったのか〜。そんなこと、言葉では知ってたのに、今はじめて理解したよ〜」
「そうだね。頭で理解するのと身体で感じるのは全く異なる体験だね」
「でもさでもさ、どこが違うのかちょっとだけ教えてよ、せんせい」
「そうだな。まず、たろぴはパスタを指定の茹で時間全部使って茹でてしまっただろう」
「そんなの当然じゃないか〜。それとも茹でちゃいけないの?」
「最後にフライパンで加熱する時間を差し引くくらいがちょうどいいはずだ」
「でも、茹でるのとソースをからめるために炒めるのとは意味が違うよ」
「だから、茹で上がった時の湯きりが重要なんだ。あまり湯をきらないようにしてフライパンの加熱時にも茹でが進むようにする。そうすれば決してボソボソしない」
「そ・・、そうか〜、材料が同じでも、そんなことで結果はこんなに変わるんだ〜」
「とくに、ソースをからめる時間は火がついているだけに微妙にして絶妙な判断が必要だ」
「せんせいはどうしてそういうことが分かるようになったの?」

 せんせいは少し考えてから、遠くを見るような目で言いました。

「・・・・・。冬の日本海を臨む断崖に立って、来る日も来る日も風に向かって・・・」
「あ゛、分かったわかった。訊ねたポロがいけなかったな。観察力と洞察力に決まってるよね」
「それからもうひとつ。いつもだったら扱いのやさしいフッ素加工のフライパンを使うんだが今日は違った。演出を考えて、おしゃれなぴっかぴかソテーパンから、テーブルで直接盛りつけた」
「まいった。まいったよ〜。要するにポロも、たろちゃんもまだまだ修業が全然足りないっていうことだ〜」
「歳の功だよ」
「いや、違うと思うね。せんせいとポロは、もともと出来が違うんだよ〜。あ〜、よけい落ち込んだよ〜。ポロは、もうダメだ〜。ダメだけど、せんせいおかわり〜!」


おしまい


↓ポロの元気が出るおまじないの出典

参考

※このお話は数日で削除されます


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先頭 表紙

mokoさん、読んでくれてアリガト。なんだか、人気が出てきちゃったのでもう少し置いておくかも。 / ポロ ( 2004-11-06 00:23 )
ポロさん、残しててくれてありがとう♪面白かったです〜しおさんのHPも見られないのが残念です・・・ / moko ( 2004-11-02 16:56 )

2004-10-24 ポロの日記 2004年10月22日(電曜日)ポロのミラクルワールド その1

ポロのミラクルワールド その1


 今日はポロのエッセイです。
 ポロが日記形式のお話を書くことにしたとき、せんせいが言いました。

「何があったかを書くより、何が起これば面白いかを書いたほうが断然面白い」

 ポロは“これだ!”と思いました。だって、毎日おもしろいことが起こるとはかぎらないもんね。
 せんせいの言葉は続きます。

「発想には作家の個性としての共通点がなければならないが、個々のストーリーの発想の出どころが同じだと、たちまち退屈になる」

 そう、これが問題です。誰にも予測できないような発想で、しかも前からの関連性や連続性のある話。だから、ポロは毎日いろいろな事を考えます。書いてるよりも、考えてる時間のほうがずっと長いかも。ポロがステキな発想を思いついても、せんせいはまだ無理難題をふっかけてきます。

「発想なんて、ほんの数行で書き尽くしてしまうが、伏線があれば物語になる」

 そうです。伏線こそが物語を進める力。ポロはテーマが決まったら伏線になりそうなことをノートに書きつけます。そして、大切なのが物語りの出口。それが決まると、あとはそこへ向かってまっしぐらに書いてきます。経由地は伏線です。
 それから、ポロには資料集というアイディアノートがあります。これから使う地名、人名などが書きつけてあります。これには凝って凝って凝りまくります。名前だけでお話にふくらみが出ることもあるからです。

 なんて、簡単そうに書いたけどホントはとっても大変です。その日のできごとなら見たまま書けばいいけど、そうじゃないときは想像だけでは書けないので、たくさんの調べものをすることもあります。違和感なく実際にあった出来事のように書くには、具体性が必要だからです。本当にあることのように感じる世界を、せんせいは虚構と言っていました。そうか、それが虚構っていうのかって思いました。
 せんせいが面白い例を話してくれました。

・なんの説明もなくウサギがしゃべったらおとぎ話。
・人工知能と人工声帯を移植したウサギがしゃべればSF.
・うさぎというコードネームを持つ謎の人物と、不可解な事件に巻き込まれればミステリー。
・誰かの霊がうさぎに乗り移って、真夜中にやって来ればオカルト小説。
・ペットのウサギと想像で会話を交わすだけなら普通の小説。

 ね、面白いでしょ。要するにそれぞれ理由が必要なわけ。その理由しだいでジャンルも違ってきます。


つづく

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2004-10-23 ポロの日記 2004年10月22日(電曜日)ポロのミラクルワールド その2

ポロのミラクルワールド その2


「でも、そのくらいで面白い話が書けるのなら世界中が作家で埋まる」

 せんせいはポロに追い討ちをかけます。作曲のレッスンを受けている人ならよっくご存知のとおり。ここからが書き手の正念場です。せんせいが書き手に求めることは次の3つです。

(1)誰もが欲していたのに自分では気づかなかったこと。
(2)比較する対象がないこと。
(3)すぐに作者が誰だか分かること。

 (1)は、たとえば音楽CDのようなものです。メディア自体の雑音が少なくて、何回聴いてもすり減らないなんて、LPレコードやカセットテープしか知らない人たちにとってはビックリだったと思います。売り出されて初めて「そうそう、こういうのが欲しかったんだ!」って思ったんじゃないかな〜って。
 (2)は、ドビュッシーのような感じ。そこまでいかなくても「だれだれみたい」って言われないこと。
 (3)は、「あ、これってポロが書いたんでしょ!」って分かること。すぐれた芸術家は、必ずこういう個性を持っています。

 このうち、うんうん唸って絞り出すアイディアは(1)です。ポロは、このために月の下を池をめぐりて夜もすがらなのです。(2)と(3)は、うんうん唸ってもダメです。これは毎日の積み重ねの中で醸し出されてくるからです。
 そして、最後のかくし味があります。

「次の話が予測できないこと」

 どうです。このエッセイを予測した人はいましたか。えっ、こう来ると思ってたって!
 だとしたらポロの負けだ〜!

おしまい


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2004-10-22 ポロの日記 2004年10月18日(光曜日)女神さまといっしょ

女神さまといっしょ


 その1 映画好き

め「ねえ、ポロちゃんは“シャイン”ていう映画見たことあるかしら?」
ポ「社員?」


 **

その2 トラの威を借るキツネ

ポ「ねえ、女神さま」
め「なあにポロちゃん」
ポ「トラノイっていう草を知ってる?」
め「知らないわ」
ポ「ほら、キツネが刈るやつだよ」
め「・・・・・?」
ポ「有名だってば〜」


 ***

 その3 生産向上月間

め「荒城の月っていいわね」
ポ「そだね。とっても前向きだね」
め「ポロちゃんは、あの歌を前向きって感じるのね」
ポ「“向上の月”だもん、とっても前向きなスローガンだと思うな」

 ****

 その4

十五夜

め「ポロちゃん、あの月にはウサちゃんがいるのよ」
ポ「その言い伝えはU.S.A.(ウサ)のアポロ宇宙船が到達するっていう予言だったのか〜」

 *****

 その5

最低と最高

め「ポロちゃん」
ポ「なあに、女神さま」
め「今度和風レストランを開こうと思うの。“あじさい亭”っていうんだけどどうかしら?」
ポ「やめたほうがいいと思うな。せめて“あじさい侯の店”とかにしたほうがいいよ。ポロのしんみな忠告だよ」
め「????」

 ******

 その6

凝った名前

め「ポロちゃん、このお話の主人公“愛飢男”(あいうえお)っていうのよ。面白い名前ねえ」
ポ「こっちの小説には“江菱出家藤”(えびしでいえふじ/ABCDEFG)っていう人が出てくるよ」
め「まあ!」

 *******

 その7

雨の日

め「ポロちゃん、お出かけしましょうよ」
ポ「雨だからヤだな」
め「あたしたち地球にいたことなんてないじゃない」
ポ「あ、そだった。行く行く」

 ********

 その8

月におしおき

ポ「女神さま」
め「なあにポロちゃん」
ポ「お月さまのヤツ、アタマに来ちゃうんだ。懲らしめてよ」
め「どうしたいの?」
ポ「えっとね、ぶっとばしてね、蹴っとばしてね、折りたたんで、それから天の川の向こうに放り投げる!」
め「そう、気が済んだ?」
ポ「うん、もうどうでもよくなった」

おしまい


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2004-10-21 ポロの日記 2004年10月16日(岩曜日)王 その1

王 その1


 これは、今年の夏にポロが書いて自分で没にした「熊野発想修業道場」というお話の中でポロが書いた課題作品です。本編は長くなりすぎてまとまらず、おまけにアイディアも足りない感じがしたのでいつか出直します。
では、ポロの力作「王」をどうぞ。





 数千年の昔、砂漠と隣りあってはいるものの、かろうじて草原と森を有する一帯に、隣り合う焔(えん)と巌(がん)と2つの王国があった。2つの国は広さも民の数も兵力もほぼ同じだった。互いに敵対していたものの、互いの勢力が同等のために力の均衡が保たれていた。
 2つの王国は時を同じくして王位が次代へと引き継がれた。
 父親から冠を譲り受けた新しい焔王は生まれながらにして王にふさわしい力を持ち、魔法で未来を知り、心眼で巌国の情勢を探ることができた。姿も見るからに凛々しく、焔の民は新国王に期待を寄せた。
 巌国も、また新しい王となった。なんの変哲もない普通の男だった。父である前王の王道教育を受け、立ち居振る舞いに王の貫録だけは感じたが、巌の民は隣国の焔の国王に見劣りする新王に肩を落とした。
 これは、その巌王の物語である。

 巌王は父が自分に対して行なった王たるべき教育の旧態依然とした中身に不足を感じていた。しかし親に楯突くことは許されない。自らが王となるまでじっと耐えていたのだった。上に立つ者としての品格の育成を重んじた王道教育では、立ち居振る舞いこそ王に見えるようにはなっても真の力は身につかないと感じていた。
 王となった巌王は王宮の慣例を破って誰よりも早く目覚めた。目覚めてしばし瞑想すると、これまた慣例を破って庭に出て慣れない剣に励んだ。衛兵たちは戦うのは自分たちの仕事であるし、素人丸出しの王の剣を見て、ますます王が頼りなく見えた。そんな王の風評は巌国の巷間にもすぐに伝わった。
 折しも、焔国の民の噂話も巌国の民に伝わってきた。それは、焔王の巌国が滅びるという予言だった。巌の民の中には深夜密かに国境を越えて焔国に入る者もあった。
 王位に就いてからも巌王は政治らしい政治を行なわなかった。しかし、しばしば国内を回った。街並み、田畑のみならず、草原や山野にも足しげく通った。家臣達は巌王の道楽と思ったが、しぶしぶ従った。


つづく

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