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ポロのお話の部屋

作曲家とむりんせんせいの助手で、猫の星のポロが繰り広げるファンタジーワールドです。
ぜひ、感想をお願いしますね。

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2004-09-20 ポロの日記 2004年9月14日(熱曜日)ロボット変身キット
2004-09-19 ポロの日記 2004年9月13日(光曜日)お弁当を持って その1
2004-09-18 ポロの日記 2004年9月13日(光曜日)お弁当を持って その2
2004-09-17 ポロの日記 2004年9月12日(風曜日)ポロのお弁当 その1
2004-09-16 ポロの日記 2004年9月12日(風曜日)ポロのお弁当 その2
2004-09-15 ポロの日記 2004年9月12日(風曜日)ポロのお弁当 その3
2004-09-14 ポロの日記 2004年9月5日(風曜日)真夜中の語り部 その1
2004-09-13 ポロの日記 2004年9月5日(風曜日)真夜中の語り部 その2
2004-09-12 ポロの日記 2004年9月5日(風曜日)真夜中の語り部 その3
2004-09-11 ポロの日記 2004年9月5日(風曜日)真夜中の語り部 その4


2004-09-20 ポロの日記 2004年9月14日(熱曜日)ロボット変身キット

ロボット変身キット


 ついにポロもロボット変身キットを手に入れました。

--その1----------

「ねえ、せんせい。実はポロ、ロボットなんだ」

 がしゃ、がしゃがしゃ・・・・がしゃ、がしゃ。

「あれ、ひっかかっちゃったぞ。えっと、このフタはどうやって開くんだったっけな」
「なんだ、練習不足か?」
「せ、せ、せんせいなんかきらいだ〜!」


--その2----------

 ポロは猛練習を積んで上手に変身できるようになったので、今度はナマズのポン吉くんのところで試すことにしました。

「ポン吉くん」
「なあに、ポロ?」
「実はポロ、ロボットだったんだ」

 がしゃん!

「じゃあ、もう僕に悪さできないんだね」
「え、どうして?」
「君は、もうロボット工学3原則によって行動が規制されているんだ」
「??????」
「そんなことも分からないんじゃ、にせ者だな!」
「わ〜、どうしてバレたんだ〜」


--その3---------

「ねえねえたろちゃん。ポロさ、ホントはロボットだったんだ」

 がしゃん! 
 がしゃん!

「ほら、あたしの方が変身が早かった〜。あたしの勝ち〜」
「わ、なんでたろちゃんもロボット変身キット持ってるの?」
「風にいちゃんから借りて練習したのよ〜♪」
「ぐ、ぐれてやる、ぐれてやる〜」


--その4---------

 ポロは宿敵の豆柴ゴロを脅かしてやろうと、ゴロの小屋の前へ行きました。

「ゴロ、これでどうだ!」

 がしゃん!

「わわわわわわわわんわんわんわんわんわん!」
「きゃあ〜、ぜんぜん驚かないじゃないか〜!」

 ポロは一目散で逃げ出しました。


--その5----------

 あ、TackMさんが遊びに来てる。チャンス! 脅かしてやれ。

「TackMさん。実はねポロ、ロボットだったんだ」

 がしゃん!
 
 ばたっ!

 ポロがロボットに変身すると、びっくりしたTackMさんが床に倒れてしまいました。TackMさんは苦しみもがいて、おまけに顔からはみるみる血の気が失せていきました。

「きゃあ、大変だ〜。ポロが驚かしたせいだ〜! せんせい、救急車だよ、救急車!」
「驚いた?」

 TackMさんは、にやにや笑いながら何事もなかったかのように立ち上がりました。

「僕もね、死体変身キットを買って練習したんだよ」
「ホントに心配しちゃったじゃないか。TackMさんのばかばかばかばかばか〜」
「最初にだまそうとしたのはポロちゃんじゃないか〜」
「びえ〜〜〜〜〜」

 ポロは、泣きながら部屋の外に走りでました。


--その6----------

 ポロはロボット変身キットなんかいらないやと思ったので、ネットオークションに出品しました。何日か後、競り落とした人からメールが届きました。アドレスを見たらミタ・ソウヤさんでした。


おしまい


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先頭 表紙

shinさん、そーだったのか〜! / ポロ ( 2004-09-19 00:37 )
(3円の差で落札できなかったなんて、恥ずかしくて言えやしない・・・) / shin ( 2004-09-16 00:48 )
ミタさん、がんばってみんなを驚かせてね。 / ポロ ( 2004-09-15 10:32 )
いやー、この前のお話を見たら欲しくなっちゃって。(笑) / みた・そうや ( 2004-09-15 06:45 )

2004-09-19 ポロの日記 2004年9月13日(光曜日)お弁当を持って その1

お弁当を持って その1


 お昼過ぎ、ポロがお話のアップを済ませてホッと一息ついてついていると、せんせいもリビングにやってきました。

「せんせい、お疲れ。ポロね、今、お話をアップしたところだよ」
「そうか。私も音楽コラムをアップしたところだ」
「あのさ、せんせい。今日ポロのお昼ご飯いらないよ。奥さんがお弁当つくってくれたの」
「それでだったのか」
「なにが?」
「私にもお弁当がある」
「え〜〜! ホント? じゃさじゃさ、一緒にどっかに行って食べようよ」
「天気はいいし、たまにはそうしようか」
「わーい!」

 せんせいは愛車ユードラに積もった埃を払うと、エンジンかかるといいなあ、なんて言いながらキーを差し込んで回しました。

 ぶりりりり、ぶりりりり、ぶおんぶおん!

 ユードラは、ちょっとすねて見せてから目を覚ましました。

「エンジンかかってよかったね〜」
「まったくだ。さあ、行こう」
「どこ行くの?」
「そうだな。秋ケ瀬公園がいいかな」
「わ〜い。そうしようそうしよう」

 秋ケ瀬公園は荒川の河川敷の自然をそのまま残した森と広場の公園です。大きさは南北に何キロもあって、園内には県花サクラソウの自生地もあります。
 ユードラは地元の人しか使わない裏道を快調に走って秋ケ瀬公園を目指しました。ポロは助手席の背もたれのてっぺんに乗っかって、ヘッドレストをつかんでまわりの景色を眺めていました。

「せんせい、今日は世界がまぶしく光ってるね」
「うん、天気がいいからね」
「秋っていいねえ」
「そうだね」
「でもさ、せんせいって全部の季節が好きなんでしょ」
「そうだよ。四季折々、おまけにどんな天気でも最高だ」
「お得だね〜」

 秋ケ瀬橋の手前の分岐を折れて、ユードラは秋ケ瀬公園へと入っていきました。

「ねえねえ、お弁当どこで食べるの?」
「もう少し行くと、森に囲まれた小さな広場があるんだ。今日は平日だし、穴場だと思うよ」

 せんせいはユードラを公園内にいくつもある駐車場のひとつに停めて、レジャーシートやウーロン茶のペットボトルを小振りのトートバッグに入れると、肩から提げて歩き始めました。ポロも4本足で、せんせいの前になったり後ろになったりしながら歩いていきました。
 少し歩くと本当に森に囲まれた誰もいない小さな広場に出ました。

「ここだよ」
「せんせい、ばっちりだよ!」

 せんせいはレジャーシートを広げて、ポロたちの臨時の基地を設営しました。
 ポロは、汚れてしまった肉球をおしぼりで拭いて、お弁当を開けました。


つづく

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2004-09-18 ポロの日記 2004年9月13日(光曜日)お弁当を持って その2

お弁当を持って その2


「じゃじゃじゃーん! わあ、おいしそう!」
「うん、おいしそうだ」
「このイカリングさ、ポロのリクエストなんだよ。このソースをさ、ピュッとかけてたべると、んまいんだなあ!」
「ソースは、たっぷりだろ」
「そそ。そ〜なんだよ」
「このスパゲティもいけるぞ」
「それね、お弁当用の冷凍ひとくちナポリタンだよ」
「冷凍なのか」
「それでね、これは無塩せきハムっていうんだよ」
「いろいろ覚えたな」

 ポロたちは、あっという間にお弁当を食べ終わってしまいました。

「んまかったなあ。明日もお弁当がいいな〜。奥さん作ってくれるかなあ」
「頼めば作ってくれるよ」

 せんせいがレジャーシートにゴロリと仰向けになったので、ポロもそうしました。

「わー、猫背が伸びる〜」

 すると、どこからかラッパの音が聞えてきました。

「あ、せんせい、誰かがトランペットを吹いてるよ」
「うん、なかなか練習場所がないから、こういうところで吹いているんだろうね」
「キグチコヘイさんかなあ」
「そればっかりだなあ」
「だって、風のお兄ちゃんもコヘイさんのファンなんだよ。ラッパが大好きで大好きで、死んでも口から離さなかったんだ」
「軍務に忠実だったんだ」
「だからさ、そこは関係ないの。ポロたちのコヘイさんは、とにかくラッパが好きだったんだ。何かを好きになるのは才能だよ、せんせい」
「そうだね」
「だから、コヘイさんは風にいちゃんとポロの英雄なんだ」

 秋ケ瀬公園のコヘイさんは、バルブのポジションを変えながら倍音を順番に吹いていきました。いつまでもいつまでも倍音ばかり吹いていました。

「なんか、曲らしいのを吹いてくれないかな、秋ケ瀬コヘイさん。競馬の時のファンファーレとかさ」
「きちんと基礎練習をしているなんて、なかなかいいじゃないか」
「ピアノの練習と一緒だね。あ〜空が青いよ、せんせい」
「よし、あと20分したら帰るぞ」
「は〜い」

 ポロは空を眺めて、森の空気を吸って、トランペットの基礎練習を聞いて、すっかりリフレッシュしたのでした。


おしまい


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先頭 表紙

mokoさん、つっこみアリガト! 今日は、お弁当じゃなかったの。でも、せんせいがおいしい焼きそば作ってくれた。 / ポロ ( 2004-09-14 23:30 )
momoも「お弁当用ナポリタン」、好きですよ♪基礎練習って、聴いてる人にとってはつまらないでしょうね〜演奏してる本人もそう感じる時がありますものね^_^;大学時代、あちこちから色々な楽器の基礎練習の音が聴こえたのを思い出しました〜 / moko ( 2004-09-14 21:18 )

2004-09-17 ポロの日記 2004年9月12日(風曜日)ポロのお弁当 その1

ポロのお弁当 その1


「ポロちゃん、お買い物に行くけど一緒に行く?」
「うん、行く行く!」

 ポロは日曜日の午後に奥さんと生協というマルエツに行きました。奥さんの自転車はキャベツ丸二世号(キャベツ丸II)と言います。一世号を風のお兄ちゃんが保育園時代に命名したので、買い替えてもそのまま二世号になりました。お兄ちゃんたちは略して“キャベ・ツー”と言っています。キャベツ丸IIは、灯をつけてもペダルが重くならないハブ内蔵の発電機や、とても効き味のよい特別な後輪ブレーキを装備していてちょっと高級です。特別高価な自転車というわけではないけれど、せんせいと奥さんが、まいにち貯金箱に“使ったつもり貯金”をしてお金をためて買ったそうです。
 ポロはキャベツIIの前カゴに乗って、よく晴れた景色の中を気持ちよい風を受けながら生協に向かいました。
 生協は“いつものマルエツ”よりも大きくて“大きなマルエツ”よりも小さなお店です。ポロは、奥さんが肩から下げた保冷買い物バッグに入りました。


ポ「今日は、何を買うの?」
奥「明日から5日分のお弁当のおかずよ」
ポ「いいなあ、お弁当」
奥「そう。じゃ、ポロちゃんの分も作ってあげようかしら」
ポ「え、ホント! うれしいなあ。そしたらさ、ポロ、どっかに出かけて食べるんだ。どこがいいかなあ。春日公園にしよっかな。でも、あそこはお月さまが出るしなあ」
奥「どこでもいいわ。好きなところで食べて」

 奥さんは、とっても色の悪いハムを手に取りました。

ポ「わ、奥さん、それ傷んでるよ」
奥「違うのよ。これは“無塩せきハム”っていうの」
ポ「うわあ、どうしてそんなにまずそうなものを買う人がいるの?」
奥「これはね、亜硝酸塩のような発色剤として使われる塩類が使われていないの」
ポ「亜硝酸なんちゃらって身体に悪いの?」
奥「そう考えている人もいるわ。あたしはよく分からないけど、子どもたちには安全なものを食べさせたいと思ってるの」
ポ「わ、そんな大事なことなのか。急においしそうに見えてきた。ハムの会社はどうして全部無塩せきハムにしないんだろう」
奥「ピンク色でおいしそうなほうが売れるからよ」
ポ「だって、身体に悪いかも知れないんでしょ」
奥「そうだけど、気にしない人にとっては、それは問題じゃないの」
ポ「え゛〜〜! どういうこと?」
奥「たとえばね、タバコは身体に悪いわよ。あたしはタバコを吸うことには賛成じゃないわ。でもね、それで寿命が縮むことを何とも思わなければ、タバコは身体に悪いということはどうでもいいことよ」
ポ「ポロには分かんないよ〜」


つづく

先頭 表紙

2004-09-16 ポロの日記 2004年9月12日(風曜日)ポロのお弁当 その2

ポロのお弁当 その2


奥「誰でも生まれれば、いつかは死ぬでしょ」
ポ「あ、キルケゴールっていう人が書いてたな、そんなこと」
奥「ポロちゃん勉強家ね。一生懸命食べたいものや楽しみを我慢して健康のために生きてきた人が、突然交通事故で亡くなることもあるわ」
ポ「それじゃ、なんのために健康を守ってきたんだか分からないよ〜」
奥「そう思った人は、不確実な明日よりも今が大切と思うかも知れないわ」
ポ「そ〜なのか。あ、イカリングのフライ、ポロ好きだな」
奥「これね、はい。だから、ハムの会社も無塩せきハムを消費者に押し付けたりしないの。みんなが欲しがるものを作っているのよ。でも、無塩せきハムを欲しい人もいるから、こうやって作ってる会社もあるの」
ポ「な〜るほど。奥さんもサイトにコラムを書いたほうがいいと思うな、ポロてきに」
奥「あたしは、そういうことしないの」
ポ「でも、みんな読みたがると思うな」
奥「人それぞれ違った考えを持って生きてるのが世の中なのに、どうして自分の意見を声高に主張しなければならないのかあたしには分からないわ」
ポ「うわっ! そういう考えかたもあったのか〜」
奥「誰もが、もっと自由でいいと思っているわ」
ポ「せんせいが音楽コラムを書いてるのと正反対だねえ」
奥「そうよ。夫婦だから同じだっていうわけじゃないわ」
ポ「ポロって奥さんのこと、ちっとも知らないかも」
奥「人を理解するなんていうことがそもそも無理なの。だから、見たままでいいのよ。ポロの思ったままで」
ポ「そ、それも初めての考え方だ〜!」
奥「ポロは、せんせいの考え方にハマりすぎてるだけよ」
ポ「そうだったのか〜。あ、きんとんだ、きんとん」
奥「はいはい。そうね。たとえば、あの人は時間が足りないと思い込んでるわ。そんなの当たり前なのよ。人の想像力に対して実際の人生なんて短いに決まってるの」
ポ「そだ。ホントにそだ。奥さんはポロの人生の師かも知れない」
奥「大げさね、ポロちゃんは。世界はね、神さまがいると信じる人も、そうじゃない人も一緒に暮らしてるのよ」
ポ「ポロ、神さまっていると思うな」
奥「じゃ、そう思うような体験をしたのね」
ポ「そ、そだよ。女神さまと一緒にタキオンになったときにね、神さまを感じたの」
奥「なんだか分からないけど、すごい体験ね。それはポロちゃんがそういう体験をしたからで、そうじゃない人には、そうは思えないかも知れないわ。あたしはね、そういうことって説明できないと思ってるの」
ポ「・・・・・・! ポロ、説明できるつもりでいたかも。言われてみれば、そのとおりだよ」
奥「世界中の人、それぞれ誰もが違う人生を体験して生きているの。だから、知っていることも考えていることも学んだこともみんな違うの」


つづく

先頭 表紙

2004-09-15 ポロの日記 2004年9月12日(風曜日)ポロのお弁当 その3

ポロのお弁当 その3


ポ「そっか〜、ポロは視野が広くなった感じがするなあ」
奥「同じテレビを見たって、同じ本を読んだって受け取り方は人それぞれだから同じ体験にはならないのよ」
ポ「だから、ポロのお話を面白いって言ってくれる人とそうじゃない人がいるんだね〜」
奥「そうよ」
ポ「ポロ、人の話を聞くのって、すごく面白いんだ。今、気がついたんだけど、せんせいと奥さんの話が一番奥が深くて、やっぱり年の功を感じるなあ。あ、別に歳だって言ってるんじゃないよ」
奥「いいのよ。あたしは歳をとることは誇りだと思ってるから。若いころは経験も考えも足りなくて馬鹿だったから戻りたくないもの」
ポ「そうなのか〜。ポロもそう言えるようになりたいなあ。それでさ、次が風のお兄ちゃんでさ、次が海のお兄ちゃんでさ、やっぱりたろちゃんが一番人生経験足りないよ」
奥「年齢順に、そう感じてもらえてよかったわ。逆転してたらつらいわよね」

 話しているうちに、買い物がだんだん終わりに近づいてきました。

ポ「ところでさ、変なこと聞くけど、奥さんてホントに風のお兄ちゃんのこと産んだ?」
奥「間違いなく産んだわよ。ラマーズ法で」
ポ「あのさ。言いにくいんだけど、お兄ちゃんはカウス・アウス・トラリスっていう星で作られたロボットらしいよ」
奥「まあ、ポロちゃんたらまんまと担がれたのね」
ポ「かつがれてなんかないよ〜。ホントに見たもん。お兄ちゃんの身体のフタがパカッと開いて中の機械が見えたもん!」
奥「あれってね、あの子がどこかで買ってきたロボット変身手品のタネなのよ」
ポ「え゛〜〜〜〜〜〜! ポロともあろうものがダマされた〜〜〜! ぐやじ〜!」
奥「あたしたちが育てた子どもとやりあうには、まだ修業が足りないわよ、ポロちゃん」

 ポロが、とってもくやしがっていたので、奥さんはポロに秋のケーキのモンブランを買ってくれました。ポロの機嫌は一発で直ってしまいました。

ポ「奥さん、見てよ〜! 空が高いよ」
奥「そうね、あれじゃ手が届かないわね」
ポ「わ〜、しょっぱすぎ〜そのコメント!」
奥「ポロちゃん、歩いて帰ってもいいのよ」
ポ「わ〜、やっぱ面白かったかも〜!(たろちゃんにそっくりだ〜)」

 帰りのキャベツIIの前カゴで、ポロは明日のお弁当のことを思うと、何だか嬉しくって待ち遠しくっていっぱいはしゃいでしまいました。


おしまい


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ポロのひみつの部屋

先頭 表紙

2004-09-14 ポロの日記 2004年9月5日(風曜日)真夜中の語り部 その1

真夜中の語り部 その1


 地震のあった夜、夜中の12時を過ぎてからリビングに集まった風、海、たろちゃん三兄妹とポロは、コワくて眠れなくなってしまいました。
 たろちゃんが、おいしい紅茶をいれてくれました。海のおにいちゃんは、とっておきのスナック菓子をどこかから持ってきました。たちまちリビングは深夜のパーティー会場に。
 すると、風のお兄ちゃんがお話をしてくれました。


 ひとつめのお話

風:今から何百年も昔のことだ。射手座エプシロンをめぐる地球型惑星から一隻のUFOが地球に来て、金の鉱脈を探していたんだ。どうして地球なんかで探していたかというと、金は宇宙でも絶対量が少なくて、もう枯渇寸前だったからだ。素粒子加速器を使えば他の金属から金を作ることはできたんだけど、材料となる金属が、金と同じくらい希少元素だったので・・・
海:難しい話は飛ばして、面白いとこだけ話してよ。
風:そっか。じゃ、先にいくぞ。特殊な探知器で金を探していたらついに金脈が見つかった。それも純金レベルのものすごい鉱脈だ。探知器が発見を知らせるアラームを鳴らすと、いきなり犬が吠えかかってきた。調査隊は大急ぎで避難した。ポチが吠えるので様子を見にやって来た村人が不思議に思ってそこを掘ってみると、見事な金の鉱脈があった。“おお、これは小判がザクザクと出てきたようなものだ”と言った。
ポロ:あ、それがここ掘れワンワンのお話になったんだね。
風:そうだよ。これには続きがあるんだ。
たろ:どんなの?
風:その時、掘り当てた金脈に味をしめて、今でも射手座エプシロンから調査隊が来ているんだ。それで、地表近くの金鉱脈は探り終えてしまった今では、地中深く10キロくらいのところに爆薬をしかけて金を探したり掘ったりしているんだ。地球では、そのたびに地震が起こっているんだ。
ポロ:わ、そーだったのか〜。
たろ:いい迷惑よね。あったま来ちゃう!


つづく

先頭 表紙

2004-09-13 ポロの日記 2004年9月5日(風曜日)真夜中の語り部 その2

真夜中の語り部 その2


 ふたつめのお話

風:こういう話も伝えられている。ずっと昔のことだ。エリダヌス座のゼータ星をめぐる地球型惑星から希少金属のイリジウムを求めてやってきた宇宙船がいたんだ。
海:ぐ〜すかぐ〜すか。
ポロ:あ、海のお兄ちゃん寝ちゃった。
たろ:タオルケットかけといてあげよう。
風:その宇宙船は波動エンジンを装備していなかったので、地球への航海には数百年を要したんだ。だから船の乗組員は、なんと人工子宮に収められた受精卵だった。乗組員は地球到着後に誕生し、全自動教育プログラムでイリジウム鉱脈調査員に育て上げるというものだった。
ポロ:でもさ、生まれた子どもがオペラ歌手になりたがったらどうするんだろう。
たろ:いいから聞いて。
風:ところが、地球の大気圏に突入するときに宇宙船は事故を起こして山肌に激突、そこに山崩れが起きて、宇宙船は地中に埋まってしまったんだ。
ポロ:ごくり。
風:宇宙船の機能の大半は失われてしまったものの、人工子宮だけは無事だった。それが射手座エプシロンの金鉱探し調査隊が仕掛けた爆発で地滑りが起きた。それが原因で人工子宮は地表に現れたばかりか、作動を開始した。ちょうど子どもが誕生するころに降った大雨で、お尻のかたちをした人工子宮は山から川の流れに乗って里にまで降りてきた。
それをちょうど川に来ていたおばあさんが見つけて、大きな桃と勘違いして河原に引っぱり上げておじいさんに知らせたというわけだ。
ポロ:それが伝わって桃太郎のお話になったのか〜!
風:これにも、まだ続きがあるんだ。その頃、金鉱脈が見つからなくて焦っていた射手座エプシロン調査隊は、村人の持っているわずかな小判を略奪したりしていた。宇宙服に身を包んで粒子ビームガンを持っていた彼らを、村人たちは“トゲ付きこん棒を持った鬼に小判を奪われた”と後世に伝えた。明らかに地球人ではなかった桃太郎は、村人に乞われて、一緒に人工子宮にセットされていた彼らの家畜動物の受精卵から育った犬に似た獣、猿に似た獣、雉に似た鳥類を引き連れて、エプシロン調査隊の前進基地に征伐にでかけたということだ。
ポロ:昔話には、やっぱり根拠があるんだねえ。ノアの洪水も本当にあったって言われてるよね。


つづく

先頭 表紙

そうそう、桃太郎も原作では『桃のような』ものから生まれたという話しも。でもまあ、時代と共に話は変わり、明治の頃、今の形になったとか?http://www.syakaijin.com/momotaro/02.html / みた・そうや ( 2004-09-12 00:11 )

2004-09-12 ポロの日記 2004年9月5日(風曜日)真夜中の語り部 その3

真夜中の語り部 その3


 3つ目のお話

風:そうだよ。ノアの洪水には、すごい話があるんだ。
ポロ:どんなの、どんなの?
たろ:す〜や、す〜や。
ポロ:あ、たろちゃんも寝ちゃった。タオルケットかけといてあげよう。
風:ポロ、その昔、地球には海がなかったんだ。砂漠もなかった。
ポロ:へえ〜、そーなのか。
風:ずっと昔のことだ。宇宙空間を、巨大な水のかたまりのような小惑星が太陽系に向かって突き進んでいた。表面近くは厚い氷に覆われていたが、内部では小さな地核の周りを対流する水が熱を発して、決して凍ることはなかった。水の対流は地核に含まれる大量の砂粒を巻き上げるので、水はいつも濁っていた。ポロ、南極や北極を離れて漂流する氷山を監視する船を知っているかい?
ポロ:あ、聞いたことあるよ。氷山が溶けてなくなるまで近くにいて、他の船が衝突しないようにしてるんでしょ。
風:そうそうそれだよ。宇宙にはね、こういう恒星から恒星へと渡り歩く危険な小惑星を監視する宇宙船もいるんだ。その星にも監視船が着いていた。そうこうするうちに氷惑星は太陽系にやって来た。そして第3惑星とニアミスすることが分かった。普通だったら、ここで氷惑星の軌道を変えるか破壊するかという手段をとるんだけど、その頃、地球には原始人しかいなくて文明の痕跡がなかったんだ。それで監視船は、むしろ地球と衝突させて氷惑星を消滅させて宇宙の安全を図ろうとしたわけだ。それで、地球にいるかも知れない各惑星の調査隊向けに警報を発しただけで、そのまま何もせずに監視を続けた。
ポロ:困ったもんだねえ。
風:それで、いよいよ氷惑星は地球との接触が近づいた。
ポロ:ノアって、いたの?
風:いたよ。でも地球人じゃなかった。金鉱脈やイリジウム鉱脈なんかを探しに来ていた何十という星の調査、発掘隊員たちだ。氷惑星接触の警報を受信したものの、彼らを運んできた宇宙船は母星を往復するシャトル便であることが多くて、今ある宇宙船だけでは全員を避難させることができなかった。それで彼らはみんなで協力して、残った宇宙船や機材を全てつなげて避難船を建造したというわけだ。宇宙人たちは人間型の生物ばかりではなかった。彼らが避難船に乗り込む様子を見ていた原始人たちには、さまざまな動物たちが乗り込むように見えたらしい。
ポロ:すごい! それが真実なのか〜。
風:そして、ついに接触の日が来た。接触と言っても衝突したわけじゃない。第一接触は日本のすぐ北西側だった。今のモンゴルと中国との国境付近にその中心点があったと考えられている。ロッシュの限界を超えて接近した氷惑星の表面の氷は重力の干渉で破壊され、中から砂混じりの温熱水が飛沫のように噴き出した。
ポロ:ごくり。
風:毎秒数十キロという猛烈な対気速度を持つ温熱水の先頭はたちまち蒸発して地球大気に広がっていった。しかし、その奥の熱流水の本体は大量の飛沫として西南西方向に向かって帯状に地表に注いだ。しかし、地球の自転の影響で、アラビア半島からアフリカに到達した頃には、ほとんど西向きになっていた。本流とは別に、第一接触時にバウンドした飛沫は、北アメリカ大陸南部に降り注いだ。これが第2接触だ。ところで、第一接触と第二接触の話を聞いて何かに気づかなかったか?
ポロ:コワいな〜と思った。
風:砂混じりの温熱水が降り注いだところは、すべて砂漠になったんだ。


つづく

先頭 表紙

ちなみに聖書によると洪水はノアが600歳の頃。ノアの寿命は950歳だったとか。アダムも930歳とか?そんなに長い間黄金やイリジウムを探していたのですね?(笑) / みた・そうや ( 2004-09-12 00:21 )

2004-09-11 ポロの日記 2004年9月5日(風曜日)真夜中の語り部 その4

真夜中の語り部 その4


ポロ:・・・・! す・ご・い! すご過ぎるよ。そうか、どうして砂漠にはあんなにたくさんの砂があるんだろうと思っていたけど、それで分かったぞ! ポロ、興奮して今夜は眠れないよ。
風:その頃、すでに氷惑星は地球のそばを通りすぎて離れようとしていた。でも地球の重力に後ろ髪を引かれるように水の帯を引っ張っていた。それがプツンと切れて地球に落ちてきたのが第三接触だ。このはじっこがオーストラリアにかかって、また砂漠ができた。大気中で蒸発した水は、すべて雨雲となって全地表を覆って大雨を降らせた。一時は高地を除いたほとんどの陸地が沈んでしまったほどだ。
ポロ:じゃさ、水はどこに引いたの?
風:極地方だよ。地球には海がなかったけれども、極地方は今と同じように厳寒の地だった。極地方は徐々に凍って、そこに降る雨や雪が氷の山脈を形成していくと、世界の水位はどんどん下がっていった。
ポロ:箱船の宇宙人たちはどうなったの?
風:アララト山の頂上付近で氷に閉じこめられてしまって、全員が絶望視されているよ。
ポロ:気の毒だなあ。
風:それに、彼らが鉱脈調査をしていた基地やポイントは、その多くが海底に沈んでしまったので地球での鉱脈探しはかなり縮小されてしまったんだ。一番大きかった巨嘴鳥座デルタ星人のアトランティス基地もその時に沈んだ。
ポロ:あ、その名前なら聞いたことあるよ。
風:これがノアの洪水のもとになった話だ。
ポロ:これって、ホントのことだよね。
風:そうだよ。これが真実だ。
ポロ:どうして、教科書に載ってないんだろう。
風:確固たる証拠がないからじゃないかな。
ポロ:でもさ、世界地図を見ればさ、砂漠の分布が確かに砂混じりの水が飛び散ったみたいに帯になってるよ。
風:そうだよね。それにさ、アララト山から箱船が掘り出されれば動かぬ証拠になるよ。
ポロ:どうして風のお兄ちゃんは、こういうことを知ってるの?
風:知りたいか?
ポロ:うん。

 風のお兄ちゃんはパジャマの上着を脱ぐと、頭や上半身にあるメンテナンスリッドを全部、一度にパカッと開けました。そこには複雑な機械が収められていました。

ポロ:あわわわわわ! お兄ちゃん、ロボットだったのか!
風:ソウダ。カウス・アウス・トラリス製ノ航法アシストロボット、θ24225型ダ。
センセイ ガ チチュウ カラ 掘リ出シテ 松戸博士ガ 直シテ クレタ。

 がちゃ。

 メンテナンスリッドが閉じられると、また普通のお兄ちゃんに戻りました。

風:驚いたか? もうすぐ裏神田教育省の歴史教科書編纂室に行って、当時のことを証言することになってるんだ。裏神田じゃ、教科書に載る日も近いよ。
ポロ:猫の星の教科書にも載せて欲しいな。
風:うん、今に載るよ。

 ポロは、お兄ちゃんに今夜のことは黙ってるよと約束したので黙ったままPCに打ち込みました。みなさんも黙っててください。約束だよ。


おしまい


 ここは「野村茎一作曲工房HP」に付属する「ポロのお話の部屋」です。HPへは、こちらからどうぞ。

野村茎一作曲工房

ポロの掲示板はここ。
ポロのひみつの部屋

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ちなみにノアの箱船・・・http://x51.org/x/04/04/2707.php / みた・そうや ( 2004-09-12 00:25 )

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