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ポロのお話の部屋

作曲家とむりんせんせいの助手で、猫の星のポロが繰り広げるファンタジーワールドです。
ぜひ、感想をお願いしますね。

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2004-08-14 ポロの日記 2004年8月7日(岩曜日)決戦!ポロ会議 その1
2004-08-13 ポロの日記 2004年8月7日(岩曜日)決戦!ポロ会議 その2
2004-08-12 ポロの日記 2004年8月6日(電曜日)夏休みの工作 その1
2004-08-11 ポロの日記 2004年8月6日(電曜日)夏休みの工作 その2
2004-08-10 ポロの日記 2004年8月6日(電曜日)夏休みの工作 その3
2004-08-09 ポロの日記 2004年8月4日(波曜日)ポロの求人広告 その1
2004-08-08 ポロの日記 2004年8月4日(波曜日)ポロの求人広告 その2
2004-08-07 ポロの日記 2004年8月3日(熱曜日)ポロ、カルチャーセンターの講師を務める その1
2004-08-06 ポロの日記 2004年8月3日(熱曜日)ポロ、カルチャーセンターの講師を務める その2
2004-08-02 ポロの日記 2004年8月1日(風曜日)夏のおでかけ その1


2004-08-14 ポロの日記 2004年8月7日(岩曜日)決戦!ポロ会議 その1

決戦!ポロ会議 その1


ポロ「みんな集まったね」
ポロ「きょうこそ、にせポロをあばいてやろうと思って来たんだ」
ポロ「どうしてポロの真似なんかするんだ」
ポロ「ちょっと待って。それはポロのセリフだよ」
ポロ「ちょっと待った。真理の法廷に誓って本物は、このポロだけだよ」
ポロ「何を言ってるんだ。ポロだけが本物だよ」
ポロ「ちょっと待った。誰が誰だかこんがらがっちゃうから、このクジを引いて名前をつけようよ」
ポロ「よし、そうしよう」
ポロ「あ、ポロ2号だ」
ポロ「ポロは5号だ」
ポロ「4号!」
ポロ「1号」
ポロ「3号になった」
ポロ「6号だぞ」
ポロ「じゃ、ポロは残りの7号だね」
ポロ7「次のクジは議長選出だけど、意義ある?」
ポロ3「意義なし」
のこり「意義なし」
ポロ5「ポロが議長だよ。いいかい?」
みんな「いいよ」
ポロ5「じゃあね、誰が本当のポロなのか明らかにするために順番に知ってることを言いあおう。ポロ1号からだよ」
ポロ1「ポロが知ってることはね、せんせいのハンカチはペーズリー柄」
ポロ2「そんなのジョーシキだよ。せんせいはネクタイもペーズリーだし、サイフもペーズリーだよ」
ポロ3「なに言ってんだ。せんせいは傘だってペーズリーだよ」
ポロ4「それどころかパンツだってペーズリーだよ」
ポロ5「せんせいはペーズリー柄が大好きなんだから、そんなの何言ったって当たっちゃうよ。こんなんじゃ誰が本当のポロだか分かんないよ」
ポロ6「・・・・」
ポロ5「あ、ポロ6号、なにメモしてるんだい。え〜! “せんせいはパンツまでペーズリー柄”だって。お前、にせポロだなあ」
ポロ6「違うよ、本物だよ」
ポロ7「そうだ、ポロ6号は本物だ」
ポロ2「わー、変だ変だ! 本物のポロは自分以外は全部にせポロだと思ってるはずだ」
ポロ3「7号! お前も、にせポロだな」
ポロ5「あれ!? 女神さま」

 部屋の片隅に女神さまが現れました。
 ポロたちは、みんな一斉に振り向きました。

女神「あ〜ら、ポロちゃんたち。これだけ集まると壮観ね」
ポロ4「女神さまなら、本物が分かるでしょ」
女神「ええ、分かるわよ。この中の5人(5匹)が本物で、2人が本物以上よ。
ポロ3「わ〜、どういうことだ〜?」
女神「ごめんなさいね〜、ポロちゃんが、こんなに増えちゃったのは私のせいでもあるのよ」
みんな「え゛〜〜〜!」
女神「ポロちゃんと一緒にタキオン状態から再実体化したときに、微妙に時間がずれたのね。それが4回あったから、その都度、新しいポロちゃんが追加されちゃって5人に増えたというわけ」
ポロ1「それじゃ、どうするんだ〜」
女神「簡単よ。一度、その5人のポロちゃんとタキオン化して、もういちど最収束して実体化すればいいの。全員のアインザッツが揃えば、一人に戻るわ」

 女神さまは、1号から5号までを抱えてタキオン化すると、あっという間に再実体化しました。


つづく

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2004-08-13 ポロの日記 2004年8月7日(岩曜日)決戦!ポロ会議 その2

決戦!ポロ会議 その2


ポロ「あ〜! 一人になった。やっぱり、ポロが本物だったんだ!」
女神「そうね、きっとみんな、そう思っているわ」
ポロ「じゃ、この6号と7号がにせポロっていうわけだ。観念しろ!」
女神「ポロちゃん、事情はそう簡単じゃないのよ」
ポロ「え〜、だってにせ者じゃないか〜」
女神「ポロちゃん、最近どんなお話を書いたの? コラムは?」
ポロ「えっと、えっと、いろいろ書いてるよ。たぶん」
女神「はっきりしないわねえ・・・」
ポロ「えっとえっと」
女神「ポロちゃん、コラムやお話を読んで、なんとなく自分が書いたような気がしてるだけじゃないかしら?」
ポロ「ドキ! そ、そ〜かも・・・」
女神「あらためて紹介するわ。こちらがポロちゃんのサボりの穴を埋めてくれてるコラムポロのポロちゃんよ」
6号「コラム、面白いでしょ」
ポロ「し、しぇ〜!」
女神「そして、こちらがお話を書いてくれてるお話ポロのポロちゃんよ」
7号「ども! 今までに書いた話の中じゃ“女神さまの逆襲”が気に入ってるんだ、ポロ。本物の女神さまに会えてうれしいな」
女神「それは光栄だわ」
ポロ「し、しぇ〜!」
女神「ポロちゃん。よ〜く思いだしてね。ポロちゃんが地球に来た目的は何?」
ポロ「そういえば、せんせいが誰にも知られずに麦畑で麦になっちゃうのを食い止めるんだった。今、思いだしたよ。たしか“セロ弾きジョーンズ”に書いてあった」
女神「それで、ポロちゃん。その目的は達成できそう?」
ポロ「う〜ん、よく分かんない。できるかも知れないし、できないかも知れない」
女神「それを心配して組織されたのがポロプロジェクトらしいのよ」
ポロ「え゛〜〜〜! ポロプロジェクトができたのはポロのせいだったのか〜!」
女神「そうよ。ポロちゃん、しっかりしてよね」
ポロ「じゃ、ポロは、にせポロにお礼を言わなくちゃいけないくらいなんだね」
女神「だから、このポロちゃんたちを本物以上って言ったのよ」
ポロ「そっか、働きから見たらポロが“にせポロ”だったのか〜」
6号「最近、ポロたちのプロジェクト以外にも、もっと大がかりなことを企んでいる集団もあるみたいだから気をつけてね」
7号「そのグループは目的もよく分からないんだけど、もう活動を始めているらしいんだ。気をつけたほうがいいよ」
ポロ「え゛〜! ホント〜!」
6号「ポロたちは、そのグループのポロも捕まえたんだけど、あまり出来のよくないロボットでさ、防水性能が悪くて水鉄砲で撃ったら回路がショートして壊れちゃったんだ」
ポロ「じゃ、ポロも水鉄砲用意しとくよ」
7号「ところでさ、ポロたちが会って話したこと、うちの議長にはナイショだよ」
ポロ「うん、分かった」
6号「じゃさ、がんばってね、オリジナル」
ポロ「うん、アリガト。ポロもがんばるから。目的はせんせいの理解者を一人でも多くすることだ」
女神「そ〜よ〜、ポロちゃん。がんばってね〜」

 こうして、ポロプロジェクトの謎の女議長も知らない「ひみつのポロ会議」は終わったのでした。


おしまい

 ここは「野村茎一作曲工房HP」に付属する「ポロのお話の部屋」です。HPへは、こちらからどうぞ。
野村茎一作曲工房

ポロの掲示板はここだよ。
ポロのひみつの部屋

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2004-08-12 ポロの日記 2004年8月6日(電曜日)夏休みの工作 その1

夏休みの工作 その1


 ポロは、夏休み特別セールの案内を見て、久しぶりにシュデンガンガー商会に行きました。光曜日なのに特別営業です。

「ごめんくださ〜い!」
「これはポロ様、お待ちしておりました。きっと、今夜あたりおいでになられるだろうと思っておりました」

 すると、ひとりのおじさんが近づいてきてポロに声をかけました。

「もしかして、ポロさん?」
「はい、そ〜ですけど」
「ミタ・ソウヤです!」
「え゛〜、ミタさん! ポロ、とっても会いたかったんだ」
「私もですよ。ポロさん、今日は何を買いに?」
「ポロとか、ポロちゃんでいいよ〜」
「それじゃ、ポロちゃん」
「あのね〜。特別セールの案内を見たから来ただけ。なんか、面白いものないかな〜って」

 するとミタさんは奥の棚のほうに面白いものがあると言いました。ポロがミタさんの後をついていくと、そこにはケイバー・リット素材のブラインドがありました。

「うわ。ケイバーリットの本物だ!」
「さすが、ポロちゃん。これがなんだかすぐに分かったね」
「ううん、ちっとも分かんない。ポップに書いてあるのを読んだだけ」
「う〜ん、ポロちゃんがどういうキャラクターなのか分かってきたな」

 すると、店主の修士さんがやってきて言いました。

「ケイバーリットがお気に召されましたか?」
「うん、これって何?」
「これは、重力を遮断する性質を持った物質で作られたブラインドでございます。箱形の乗り物を作って、全ての面にこのブラインドを貼りつければ、ルーバーを開いた方向からだけ重力を受けることになって、そちらへ向かって自由落下を始めます」
「す、すご〜い! タダでどこへでも行けるね」
「これだけのサイズで6面ものケイバーリット・ブラインドが入荷したのは初めてでございます」
「じゃさ、じゃさ、これを地面に置いて上に乗ればずっと上まで昇っていける?」
「それは難しい問題です。浮かび上がって地面が見えてしまえば、そちらからの重力を受けることになりますし、風でも吹いて少しでも位置がずれれば落ちてしまうでしょう」
「そっか〜。やっぱり6面なくちゃダメなんだね〜」
「これください」
「え、全部買ったら高いよ」
「大人を見くびるんじゃないよ、ポロちゃん」
「わ〜、大人買いだ〜。ミタさんて、せんせいよりお金持ちだね〜」
「お金を使う方向の違いだと思うけどね」
「そっか〜。そう言えばポロは今川焼きに、有り金全部使っちゃったもんなあ」

 修士さんは、ミタさんから代金を受け取ると、ケイバーリットを持ちやすく束ねてくれました。

「すばらしい成果を上げられますようお祈りしています」
「ありがとうございます。NASAでさえ持っていない素材ですからね、すごいものを作ります。さあ行こう、ポロちゃん」
「どこへ?」
「知ってる工作室があるんだ」
「え゛〜、そんなところがあるの?」
「ひょっとしてダイソン工房でございましょうか?」
「あ、そうです」
「でしたら、当店の契約工房ですからこの割引券をお持ちください。当店の材料を使って工作する場合には、利用料が多少お安くなります」
「そんなものがあったんですか。助かります」

 お店は神田鍛冶町の裏路地にありました。
 古い畳屋さんのような店構えでしたが、レンタル工作室「ダイソン工房」という看板がありました。夜だけ営業というシュデンガンガー商会みたいなお店です。

「いらっしゃいませ」

 ポロたちを出迎えてくれたのは、初老のがっしりとした紳士でした。


つづく

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ポロちゃん、そうそう。わたくしの財力を見くびってはいけません。他にもうまい棒一袋大人買いとか!え?なんでそんなにお金があるのかって?そ、それは…神田のガード下で…五千円で…ゴニョゴニョ…(笑) / みた・そうや ( 2004-08-06 14:21 )

2004-08-11 ポロの日記 2004年8月6日(電曜日)夏休みの工作 その2

夏休みの工作 その2


「振馬さん、お願いします」
「はい、今日はどのようなご用でしょうか?」
「これを手に入れました」
「おお、ケイバーリットの6枚そろいですね。素晴らしい」
「ポロちゃん、こちらが振馬大尊(ふりま・だいそん)さんだよ」
「(うっひゃー、へんな名前)ポロと言います、よろしく。今日は割引券も持ってるんだよ」
「おお、お話ができるのですね。こちらこそよろしく」

 ダイソンさんは、ポロがしゃべっても大して驚きませんでした。
 ミタさんはダイソンさんと打ちあわせを始めました。ポロはそばで聞いていましたが、ケイバーリットは、気をつけないと宇宙へ行ってしまうこと、与圧室がないと生命に危険が及ぶことなどが分かりました。それで、あまり高くないところを浮上して進む現代版空飛ぶじゅうたんを作ることにしました。
 ダイソンさんとミタさんは、あっという間に設計図を書き上げ、ダイソンさんが工作機械を使って材料を切りだして行きました。
 明け方には硬式飛行じゅうたんが完成しました。

「アクリルのキャノピがカッコいいね〜」
「これは“流星号”にしようと思うんだ」
「わ、知ってるよ、その名前」

 流星号は、じゅうたんというよりも白木のイカダにアクリルのキャノピが乗ったような感じでした。キャノピの内側にはケイバーリット・ブラインドがあります。

「明るくなるとやっかいだから、今のうちに試験飛行をしよう」

 店の前の路地に流星号を出していると、新聞配達のお兄さんがソバを興味深そうに眺めながらとおりすぎました。なにしろ、木造の最新式飛行機械です。

「ダイソンさん、お世話になりました。試験飛行がてら、これで帰ります」
「じゃね〜、バイバイ、ダイソンさん!」
「お気をつけて」

 ポロたちが乗り込むと大変なことが分かりました。中は無重力だったのです。それでも、なんとか椅子に座ってシートベルトをしめるとカッコがつきました。
 ミタさんが真上のケイバーリットを開くと、遠くの星たちの引力を受けて流星号は風船のように上昇しました。同時に、ポロたちの重力を感じる方向もそちらの方向になって、頭に血が上りそうでした。椅子が全方向に向かって回転するようにしないと、かなりつらい乗り物です。

「重力で飛ぶっていうのは、こういうことだったのか」
「でも、とにかく離陸成功だよ! すごいよミタさん」
「ま、とりあえずやったね、ポロちゃん」

 それから、前のブラインドを開けると視界が開けて前進しはじめました

「でも、どうやって方向を変えるの?」
「う〜ん、それが問題だね」
「あ、簡単だよ、行きたい方向のブラインドを開ければいいだけだよ」
「お、コロンブスの卵!」

 実際には流星号は風に吹かれると勝手に回転したりして、そのたびに上下が分からなくなりました。向きが変わると、ブラインドを開ける方向も変えなければなりません。とにかく、地面に向いたブラインドだけはすぐに閉じないと墜落してしまいます。

「うわあ〜、ミタさん。忙しいね〜」
「うん、これは姿勢を制御するためのウェイトを積み込まなければならないね」
「でもさ、パイオニアってこういうことだよね」
「そうとも、この状況を楽しもう」
「わあ、ミタさん、前向きだなあ〜」

 流星号は墜落を避けるために高度を高くとって、上下左右にフラフラしながら作曲工房を目指しました。だんだん東の空が明るくなってきて、地上西側からみた流星号は黒いシルエットになっていることでしょう。


つづく

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2004-08-10 ポロの日記 2004年8月6日(電曜日)夏休みの工作 その3

夏休みの工作 その3


「ミタさん、今、頭の上に見えてるのが荒川じゃないかなあ」
「うん、ブルーシートで席取りしてあるところを見ると、戸田橋花火大会の会場の近くらしいね」
「あ、もう足の下になったよ。ミタさん、下のブラインド閉じないと」
「ポロちゃん、左側のブラインド開けて! 南に流されてるよ」
「うわ、ホントだ!」

 どこかの公園の上空を通った時には、ラジオ体操をしている子どもたちが流星号に気づいて大騒ぎになりました。もちろん、流星号の中のポロたちも大騒ぎです。

「ねえ、ミタさん。あそこが作曲工房だよ」
「ああ、とうとう着いたね」
「でもさ、どうやって着陸するの?」
「微妙な操作は難しいな」
「あのさ、機体の回転が止まればなんとかなるよね」
「どうやって?」
「ポロたちが、中でネズミみたいに回ればどうかな」
「こんな、せまいところじゃ難しいよ」
「じゃ、ポロがやってみる」

 ポロは、機体の回転方向と逆にキャノピを走って見ましたが、ブラインドを踏むたびにルーバーが開いたり閉じたりして、かえって複雑な動きにしてしまいました。

「ポロちゃん、全部のブラインドを少しだけ開ければいいんじゃないか?」
「あ〜、そうかも!」

 ポロたちはブラインドのルーバーを微妙に調節しながら開けてみました。すると流星号は徐々に降下を始めました。

「わ、うまくいったよ、ミタさん」
「よし、このまま工房の前の道に着陸だ」

 ところが、空の高いところにいたポロたちは流星号の降下速度の見積もりを間違えていました。地上30メートルくらいになったときに、初めて降下速度の想像以上の速さに気づきました。

「わ、ミタさん、これじゃ道路に激突するかも」

 ミタさんは、すぐに道路側のルーバーを閉じましたが、ちょっと遅すぎました。

 ガラガラガッシャーン!

 流星号は、アスファルトの道路で一瞬にしてスクラップになってしまいました。でも、こわれた機体が衝撃を和らげてくれたので、ポロたちは幸運にも怪我ひとつしませんでした。

 物音に気づいて、せんせいが外に出てきました。

「うわ、どうしたんだ。あれ、ミタさんじゃないですか」
「あ、とむりんせんせい、お早うございます」
「せんせい、これ、流星号っていうんだよ。壊れちゃったけど」
「二人とも怪我は?」
「大丈夫です」
「ポロもダイじょぶだよ」

 ミタさんは、残がいから無事だったケイバーリット2枚を回収して、あとはせんせいがゴミの日に出すことになりました。

 みんなで朝ご飯を食べて、ポロはミタさんをタドタド駅まで送っていきました。

「ミタさん、面白かったね」
「この夏、一番エキサイティングな出来事ってとこかな」
「またなんか作ろうね」
「うん、きっと」

 1番線のホームにVVVFインバータの音を高らかに響かせて、JR最強線に乗り入れている新木場直通のりんかい線の車両がやってきました。ミタさんを乗せて走り始めた電車に、ポロはいつまでも手を振りました。

 その日の夕刊を、お約束のUFO目撃の記事が賑わせたのは言うまでもありません。


ここは「野村茎一作曲工房HP」に付属する「ポロのお話の部屋」です。HPへは、こちらからどうぞ。

野村茎一作曲工房

先頭 表紙

ミタさん、また遊ぼうね! / ポロ ( 2004-08-06 22:44 )
う〜ん、残念!戸田橋花火大会を空の上の特等席から見ようと思ってたのに〜!でも、空中散歩楽しかったですね。(^^) / みた・そうや ( 2004-08-06 14:22 )

2004-08-09 ポロの日記 2004年8月4日(波曜日)ポロの求人広告 その1

ポロの求人広告 その1


「せんせい」
「なんだい?」
「きのう、ポロを募集してたから応募したら採用された」
「どういうことだい?」
「あのね、きのうネットの求人広告に“ポロ急募”って書いてあったの」
「どういうことなんだ?」
「“趣味と実益を兼ねたステキなお仕事です”の次に“簡単な適性テストの上採用いたします”って書いてあった」
「それで?」
「応募したら、すぐに適性テストのページが開いたから答えた」
「どんな問題だった?」
「こんなだった」

 ポロ適性テスト
・以下の問題に、あまり深く考えずに、思ったとおりに答えてください。

Q1 ヒマがあったら何をしますか?
A  イモようかんを食べる。

Q2 宇宙人はいると思いますか?
A  いる。もう何人も会った。

Q3 サンタクロースはいると思いますか?
A  たりめーのこんこんちき。おともだちだよ。

Q4 3次元は縦、横、高さの世界です。では4次元は?
A  最初は縦、横、高さ、低さかと思ったけど、ホントは縦、横、高さ、重さだと思う。

Q5 読書は好きですか? 好きと答えたばあい、お好きなジャンルは?
A  好き。毎日かかさず音読してる。好きなジャンルは日本の古典。

Q6 ピアノは弾けますか?
A  バイエル79番までならヒケールなしでも弾けちゃう。

Q7 座右の銘を教えてください。
A  棚からぼたもち

Q8 猫は好きですか? 猫になりたいと思ったことはありますか?
A   好き。この次も猫に生まれたい。

Q9 秘密は守れますか?
A  ポロにひみつはない。

Q8 では最後の質問です。次の3つの単語を使ってそれぞれ短い文章を書いてください。

 はからずも  やにわに  うってかわって

A ポロは距離をはからずも分かる。
A 家やにわに雨が降る。
A ポロは家屋敷をうってかわってしまった。


「こんな感じだった」
「よく採用されたな」
「7番目らしいよ、ポロ7号だって。ほかに6匹いるらしい」
「残りは人間だろう」
「じゃ、6人かも」
「採用の基準はどういうものなんだろう」
「うわさによると、前いたポロたちは一斉にいなくなっちゃったらしいんだ。だから誰でもいいから大急ぎで採用したんじゃないかなあ」
「事件でもあったのか?」
「そのへんは、よく分かんない」
「そうか」
「ポロの担当は木曜日らしいよ。さっそく明日から研修があるみたい」
「どんな内容なのか興味があるな」
「もうテキスト持ってるよ。これだよ」


 研修テキスト

1.はじめにポロ語を覚えましょう。

・オハヨございます
・コバワ
・アリガトございます
・コワい
・ポロてきに
・ダイじょぶ

2.ポロを取り巻く人脈を覚えましょう。

・せんせい 作曲家でポロの師匠。その割には、ポロはタメ口をきく。要注意。
・おちゃめ ホームページ管理の同僚。にせポロを見抜くとしたら、最も可能性の高い人物。要注意。
・ミタ・ソウヤ しばしばポロ関連ページに現れる謎の蘊蓄人。博識なので、にせポロを見抜く能力も高いと思われる。要注意。
・moko しばしばポロ関連ページに現れるピアノ愛好家。長期間に渡ってポロを知っているので、要注意。
・シロ ポロの弟子。現在ネット環境にないので現れる心配がないが、復帰してきたら要注意。
・他にも要注意人物あり。サイトで直接リサーチせよ。


つづく

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2004-08-08 ポロの日記 2004年8月4日(波曜日)ポロの求人広告 その2

ポロの求人広告 その2


「こんなだよ」
「どう考えても陰謀だな、これは」
「ポロなんかを巻き込んだって、たいした陰謀になんかならないよ」
「それはそうだが、誰かが何かの利益を得るようなことがあるのかも知れない」
「ま〜さか」

 研修中のポロの成績は抜群でした。あたりまえですけど。
 研修を終えると、ポロは“ポロ7号”として、配属されました。やってみると、なかなか面白い仕事でした。だって、ポロ2号とかが書いたデタラメな書き込みを削除して、ポロのホントの書き込みに変えればいいからです。
 作曲工房のサイトをよく見直すと、オリジナルが削除されて、にせポロの書き込みにお置き替えられているところがたくさんありました。日が建つにつれて、サイトはどんどんオリジナルに修復されていきました。


 どこかの会議室 定例ポロ会議

議長「この資料によるとポロワールドの書き換えが進んでいないようですが、その原因は何です?」
A子「はい。ポロ・ロボットが何者かによって捕獲されてしまったため、今回はポロを募集して応募者を適性検査の上、雇っています。やはりロボットに比べると効率が悪いのかも知れません」
B子「効率が悪いというようなことではなさそうです。よく調べてみると、にせ文書がオリジナルに置き換えられるという逆行現象が確認されています」
議長「それはどういうことですか?」
C太「それは、ひょっとしてにせポロのなかに、にせのにせポロが混ざっているということではありませんか?」
議長「適性検査のデータはありますか?」
D作「はい、ここに」
議長「見せてください」
D作「はい、どうぞ」
議長「・・・・。んんん、これです。見つけました。ポロ7号は、にせのにせポロです! こんなものも見抜けないとは、なんと言うていたらく!」
D作「申し訳ありません。ただちにポロ7号を解雇いたします」


「せんせい」
「なんだい?」
「ポロ、クビになった」
「どうしてだい?」
「適性検査が間違っていたって」
「そうか」
「そうかって、せんせい。作曲工房のサイトがにせのポロに勝手に書き換えられちゃうかも知れないんだよ」
「誰が何を書き込もうが、真理は変わらない」
「せんせい、そんな悠長なこと言ってられないよ」
「いいじゃないか。にせポロ軍団が何をしようとしているのか見てみようじゃないか」
「いいのかなあ」


 その後、事実ではない記事や書き込みが次から次へとアップロードされてきましたが、不思議なことに、作曲工房サイトには何の変化も影響もありませんでした。
 でも、ひとつだけ例外がありました。それは、にせポロの文章が上手になってきて、ポロにもどれがホントに自分が書いた記事なのか区別がつかなくなってしまったという事でした。

おしまい


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ポロも『ポロのそっくりさん大会』に出てみたいよ〜! / にせポロ ( 2004-08-06 00:18 )
かつてチャップリン自身が『チャップリンのそっくりさん大会』に出場した事があるそうです。結果はなんと二位。チャップリンもそうですけど、審査員もエスプリが効いていますね(^^)。ところで、ポロプロジェクトの議長さん…なんだか気になりますね〜? / みた・そうや ( 2004-08-04 22:45 )

2004-08-07 ポロの日記 2004年8月3日(熱曜日)ポロ、カルチャーセンターの講師を務める その1

ポロ、カルチャーセンターの講師を務める その1


 ポロは裏神田カルチャーセンターから講師として招かれて、宇宙開拓史について講演することになりました。
 裏神田カルチャーセンターは誰にでも門戸を開放している社会教育機関で、講演料も無料ですが受講料も無料です。神田錦町の裏路地にある古いビルの地下にたくさんの教室が並んでいて、ポロは、その中の一室に入っていきました。
 教室には、すでに多くの受講生が詰めかけていて熱気に溢れていました。最前列ではぬらりひょんが、その後ろには絶滅したはずのドードー鳥が、その隣にはタドタド駅のそばの猫工場のミーちゃんもいました。全部で40人くらい。こんなに大勢の前で話すのは、ポロは初めてでした。

「みなさん初めまして。本日、宇宙開拓史についてお話させていただく、作曲家(助手)のポロです。バイエル79番まで弾けます。おっほん」

 ぱちぱちぱちぱち!

 ポロは、まばらな拍手を受けて深々と礼をしました。顔を上げると、コビト星人のテレビクルーに気づきました。いったいどこで放送されるのでしょか。ポロは、さっそく講義を始めました。

「地球に関わる最初の宇宙船は、わたくしの出身母星である猫の星“ドーラ”で建造された“オリンピア号”であります・・」

 ポロは快調に講義を進めていきました。

 オリンピア1号は、ドーラの伝説的な技師ゴーヒャ・キージェによって建造された氷の宇宙船であります。極寒の星ドーラに太陽をもたらすためにオリンピア号に乗って決死の航海に出たのは、トラパティウス、ミケロディー、タマリウスという3匹の勇敢な若者でありました。しかし、太陽のかけらをすくい取ってオリンピア号を帰還軌道に乗せることには成功したものの、彼ら自身は、ついにドーラに戻ることはなかったのであります。その後、オリンピア2号が地球に着陸したオリンピア号の船外作業船を発見しました。彼らが地球に無事に到着したことは、いまだに猫の名前が彼らに因んでトラ、ミケ、タマなどと名づけられていることからも分かるのであります。
 その後もオリンピア号は76年に1回ずつ、太陽に向けてやってきており、わたくし、ポロはオリンピア66号で地球にやってきたのであります。
 さて、NASA、アメリカ航空宇宙局は1969年にアポロ11号を打ち上げて人類を月に送り込みました。これが人類初の月到達と言われていますが、実際は違うのであります。
 1960年に、メビウス・ジェネレータとグラヴィトン・コンバータを搭載したサンタクロースのソリが、東京都板橋区の氷川神社の森に不時着しました。途方にくれるサンタクロースのために、修理に協力した一人の男性からもたらされた情報によって、天才科学者、別名マッドサイエンティストの松戸博士が、メビウス・エンジンを実用化しました。彼は遊園地から払い下げられたロケット型遊具を改造して、数年をかけて地球初の宇宙船「氷川丸」を建造しました。1968年、アポロ11号に先駆けて氷川丸は試験飛行で月に到達。そこで驚くべき光景を目撃したのであります。それは月の極地方で朽ち果てた人類初の月到達者でありました。後の調査によって、それは、月表面が真空であることを知らずにテレポーテーションを行なった猿飛佐助という超能力を持った忍者であることが分かりました。いまから数百年の昔のことでありました。


つづく

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2004-08-06 ポロの日記 2004年8月3日(熱曜日)ポロ、カルチャーセンターの講師を務める その2

ポロ、カルチャーセンターの講師を務める その2


 メビウス・エンジンは、その後、世界征服をたくらむ、とある秘密結社に知られるところとなり、盗み出されたその技術情報によって、彼らの所有する水陸両用戦艦“轟天号”に搭載されたのでありました。しかし、資金不足のために、なかなか世界征服は進まず、今でもアルバイトとして轟天号を使った旅客輸送業を行なって機会をうかがっているようであります。
 その後、松戸博士は恒星間では効率の落ちるメビウス・ドライブに変わってディーン・ドライブの原理を発見しますが、完成は遅れたのでありました。なぜなら、全く理由の分からない波動エンジンが先に実用化されたからであります。波動エンジンは、博士がオーブンでパイを焼いているときに、部屋が散らかっていたために混入したダイオードやいくつかの金属片によって偶然現れた波動効果による推進装置で、きめ細かいコントロールには不向きなものの、遠距離を航行する宇宙船にはうってつけのものでありました。地球で最初にこれを装備したのが宇宙戦艦ヤマトでありました。そのキットは、近くのシュレーディンガー商会で入手することができます。
 さて、松戸博士はディーン・ドライブの研究を進め、ついに1989年にワゴン車型の宇宙船りんご丸を完成させたのでありました。処女航海でクリューガー60という恒星に向かった博士は、そこで地球型可住惑星p2を発見しました。研究資金の出資者の一人である、とある不動産業者のアイディアで、その惑星を整備してクランベリーヒルと名づけて売り出しました。博士は以後、研究資金には困らなくなりました。現在、博士は研究拠点をクランベリーヒルの猿雅荘に移しています。
 さて、この30年間の宇宙開発のテンポは極めて急速でありました。1947年にアメリカの実業家、ケネス・アーノルドがUFOを目撃したときには、異星人の進んだ科学に人類は太刀打ちできないかと思われておりました。しかし、今、アダムスキー型UFOをご覧ください。(ここで、ポロ、写真のフリップを提示)いかがでしょうか。いかにも旧式という感じであります。実際、旧式なのであります。彼らは未だにメビウス・ドライブを用いており、松戸博士のディーン・ドライブに比べると、性能は数段劣ると言わざるを得ません。
 NASAでは、宇宙探査機そのものの性能は素晴らしいものを作っていますが、未だに化学ロケットという線香花火の親戚のような推進原理に頼っています。これは、UFO以下であります。NASAが松戸博士の存在に気づけば地球の宇宙開発も激変するのでありましょうが、世の中には、自らの功績を発表することに興味がない人間もいるということを忘れてはなりません。
ご静聴、ありがとうございました。

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おしまい


 ここは「野村茎一作曲工房HP」に付属する「ポロのお話の部屋」です。HPへは、こちらからどうぞ。

野村茎一作曲工房

先頭 表紙

NASAの前に、日本政府が気づかないのが悲しい所です…でも公になってしまうと、心ない人達の手で、せっかくのランベリーヒルの美しい自然が破壊されてしまうかも?世界が松戸博士を知るのは、地球の自然と共存する事が出来るようになってからでも、決して遅くはないと思います。 / みた・そうや ( 2004-08-03 12:47 )

2004-08-02 ポロの日記 2004年8月1日(風曜日)夏のおでかけ その1

夏のおでかけ その1


 風曜日の午後、せんせいが買い物に行くというので、ポロも一緒に連れていってもらいました。いつもの駐車場にクルマを停めて、ポロとせんせいは空を仰いで深呼吸しました。

「せんせい、空が高いね」
「ああ、1億円くらいかな」
「しょっぱ〜い! ジョークの道は険しんだよ、せんせい」
「じゃあ、ポロだったらなんて言うんだい?」
「わあ、手が届かないよ〜!」
「・・・・・。それってジョークか?」
「・・・ジョークの道は険しいって言ったでしょ!」

 人ごみに向かうので、ポロは、せんせいのショルダーバッグに入りました。

「せんせい、スリッパ買いに行くの?」
「ああ、そういえばそろそろ新しいものに取り換えようか」
「せんせい、今日は和菓子屋さんも行くよね」
「行く予定はないよ」
「予定はなくても行くよね」
「どうして予定がなくても行くんだ?」
「それが和菓子の道っていうもんだからだよ〜、やだなあ、せんせい」
「じゃ、気が向いたら」
「わ〜い。ぜったい気が向くよね」

 駅前から続く大通りの並木のけやきが青々として、ポロはなんだか幸せな気持ちになりました。さくら草どおりに入ると、小さな人だかりができていました。ほんの20人くらいの人だかりの中心にはピエロのような派手なコスチュームの大道芸人が何かやっていました。

「あ、せんせい。あの人テレビで見たことあるよ」
「ああ。ピーター・フランクルさんていう数学者だよ」
「え゛〜〜! どうして数学者の人が大道芸やってるの〜?」
「大道芸人でもあるからだよ」
「え゛〜〜! どうして大道芸人が数学者やってるの〜?」
「両方の才能があって、両方に誇りを感じているからだよ」
「あ゛〜〜! あれはジャグリングっていうんだ。すごいすごい! 本物だあ〜!」
「ああ、すごいね」
「あ、せんせい、見て見て。数学の本並べて売ってる!」
「たとえ有名人でも、こうやって、こまめに稼ぐような気持ちがなくちゃいけないんだなあ」
「ハイ、ソコノ フクワジュツ ノ ヒト」
「え? 私ですか?」
「ワタシヨリ オモシロイコト ヤラナイデ〜!」
「あ、失礼しました」

 ピーターさんに話しかけられて、せんせいは“おお、しまった!”というような大げさな身振りでおどけてみせると人だかりから離れました。周囲からどっと笑い声が沸きおこりました。

「ポロ、声が大きいよ」
「でも、せんせい大ウケしてたからいいじゃないか〜」
「それとこれとは違うよ」
「それよりさ、せんせい」
「なんだい?」
「コビト星人のテレビクルーがさ、ピーターさんの芸をこっそり取材してたよ」
「なんだ、コビト星人て?」
「ホントの名前は知らないんだけどさ、テレビの中に入ってきてご当地ニュースを流す宇宙人なの」
「そんなのがいるのか?」
「うん、ポロも最近知ったの。みかんちゃんちのテレビの中にいた」
「どんな番組やるんだい?」
「ポロのニュースとか、町内の天気予報とか。あ、そだ。ポロのタバコ野原のリサイタルの録画を流してた」
「じゃ、今日のピーターさんの番組はどこで放送されるんだろうね」
「ポロの考えじゃ、ピーターさんちだね」
「いいテレビ局だなあ」
「でも、どうやって経営しているんだ。スポンサーはついているのか?」
「うん。いろんなマルエツがスポンサーやってるよ」
「マルエツは宇宙人と通じているのか」


つづく

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