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ポロのお話の部屋

作曲家とむりんせんせいの助手で、猫の星のポロが繰り広げるファンタジーワールドです。
ぜひ、感想をお願いしますね。

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2004-04-03 ポロの日記 2004年3月27日(岩曜日) メダカ救出作戦 その5
2004-04-02 ポロの日記 2004年3月27日(岩曜日) メダカ救出作戦 その6
2004-04-01 ポロの日記 2004年3月27日(岩曜日) メダカ救出作戦 その7
2004-03-31 ポロの日記 2004年3月27日(岩曜日) メダカ救出作戦 その8
2004-03-30 ポロの日記 2004年3月27日(岩曜日) メダカ救出作戦 その9
2004-03-29 ポロの日記 2004年3月27日(岩曜日) メダカ救出作戦 その10
2004-03-28 たろちゃんとマルチェロ  その1
2004-03-27 たろちゃんとマルチェロ  その2
2004-03-26 ポロの日記 2004年3月26日(電曜日) ポロのすてきなカメラ
2004-03-25 ポロの日記 2004年3月25日(草曜日) せんせいのオンボロ写真機


2004-04-03 ポロの日記 2004年3月27日(岩曜日) メダカ救出作戦 その5

メダカ救出作戦 その5


是「大丈夫ですか? こいつ客船と違ってワイルドな味付けでしてね」
ポ「ううん、カッコいいよ」
是「宇宙は初めてですか」
ポ「ポロは2度目だよ。サンタさんのドレッドノート号に乗せてもらったの」
是「そりゃすごい! 伝説の宇宙船だ」
ア「是輔さん、宇宙は危なくないの?」
是「今まで、砂つぶくらいの小さな流れ星に当たって船倉に穴が開いたことが1回だけありやすがね、あとはクルマより安全ですよ」
ア「それを聞いて安心ね、ポロちゃん」
ポ「そだね」
是「おや、何だろう?」
ポ「どしたの?」
是「レーダーのノイズかなあ。同じ距離を置いてついてくる光点があるでしょ。ほらここ」
ポロ「ついてくるっていうより、近づいてるみたい」
是「まずい!」
ポ「どうしたの?」
是「海賊船だ。それも、これは異様な速さからみて、たぶん伝説のブラックパールだ」
ア「えっ、でもポロちゃんがブラックパールをやっつけたって言ってたじゃない」
ポ「えっと、えっと、海賊のやつ、また新しい船を作ったんだよ」
是「どうして、この広い宇宙で、たった一隻しかないブラックパールと出会っちまうんだ。あいつらから逃げおおせた船はありやせんぜ、ポロさん。覚悟してください」
ポ「光子魚雷Mk.125とか積んでないの?」
是「軍用艦じゃあるまいし、そんなもの・・・・、あれ。なんだこのコントロールパネルは。こんなもの今朝はなかったぞ」
ポ「どうしたの?」
是「これは、たぶんMk.125の火器管制コンピュータ端末ですぜ。ポロさん、今日、桜のお茶飲みませんでしたか?」
ポ「そういえば、飲んだよ」
是「まさか、ブラックパールに出会うように祈ったりしませんでしたか?」
ア「あ、ポロちゃん、お茶飲んだあとでブラックパールと光子魚雷撃ちあったって自慢してたじゃない!」
ポ「そ、そ、それは・・・」
是「それでわかりやした。こりゃ海賊も魚雷も、どっちも本物だ。Mk.125ぶっぱなせるだけぶっぱなして、全速力で逃げやしょう。つかまっててくださいよ」
ポ「わー、是輔さん、お願い。頑張ってね、ポロ、もうホラ話なんかしないから」

 そういう間もなく、ブラックパールから停船信号が送られてきました。

<ノストロモのくそったれども、さっさと停船しろ。そうすれば命だけは助けてやる>

 是輔さんは、すぐに返信をしましたが、翻訳機の設定が営業用のままだったのでホントの気持ちは伝わらなかったかも。

<ご自分のお尻でもお舐めになったらいかがでしょうか>

「てめえのケツでも舐めてろってんだ、ブラックパールの海賊ども。三河屋の是輔さんを甘く見てもらっちゃ困るぜ。ポロさん、アンジュさん、ちょっときついですが死ぬよりはマシだと思ってください」

 是輔さんは、ありったけの光子魚雷を一気にブラックパールめがけて発射すると、四菱製ハイパーダイン3型アフターバーナを全開にしました。

 どびゅ〜〜〜〜〜〜〜ん!

ポ「うわ〜〜〜〜〜〜〜!」
ア「きゃ〜〜〜〜〜〜〜!」
是「うお〜〜〜〜〜〜〜!」

 あまりの加速度に全員がのびちゃって、目が覚めたのはノストロモ号がぜんぜん知らない恒星系の近くに到達したときでした。

つづく

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2004-04-02 ポロの日記 2004年3月27日(岩曜日) メダカ救出作戦 その6

メダカ救出作戦 その6


是「ぽ、ポロさん、アンジュさん、大丈夫でやすか?」
ポ「う〜ん、気持ち悪い!」
ア「あたしも」
是「でも、なんとかやつらをまいたみたいですぜ。ざまーみろってもんです」
ポ「ここどこ?」
是「ちょっと待ってくださいよ、えっと、ここは。一応銀河円盤のどこかってことは分かるんですが、えっと、おや?」
ポ「どしたの?」
是「一難去ってまた一難ってやつですぜ」
ポ「ブラックパールが追いついてきたの?」
是「もっと悪い。コズミックストームだ。宇宙嵐ってやつですぜ。それもとびきりでかい。こんなの見たことありませんぜ」
ア「是輔さん、もしかしてF7っていう・・・・」
是「ど、どうしてそんな専門的なこと知ってるんでやすか。そのとおり」
ア「だって、ポロちゃんが言ってたから」
是「たはっ。これも桜のお茶のせいですか。たまんねーな、こりゃ」
ポ「ご、ゴメなさい」
是「いいですよいいですよ。こうなったらなんでも来いだ。とにかく何とかしやしょう」
ア「どうして宇宙嵐は怖いの?」
是「ヤツに接触すると宇宙船なんか粉々でさあ。おまけに、あいつらいきなりワープするんですよ」
ア「どういうこと?」
是「逃げようと思って反対方向に進み始めると、いつの間にか正面にいたりするのが宇宙嵐なんでさ。だからスピード出してると方向を変える間もなく突っ込んじまう。かといってゆっくり進んでいると追いつかれちまう。えらいやっかいなヤツってえわけです。おまけに今目の前にいるヤツは、一番でかくて一番動きを予測しにくいタイプってわけだ」
ポ「是輔さん、がんばってね」
是「まかしてください。腕がなるぜ!」

 それからノストロモ号は是輔さんの勘を頼りにジグザグに飛び回って、船内は大揺れに揺れました。ポロは、船酔いしてゲロゲロになってしまいました。

「うわ〜、死ぬ〜! 気持ち悪くて死にそうだ〜!」
「ポロさん、弱音吐かないで頑張ってください、もう少しだ。アンジュさんだってけなげに耐えてるじゃありませんか」

 横を見ると、アンジュちゃんはまた気絶していました。ポロだって気絶しちゃえば楽なのに。あ、是輔さんは気絶しないでね。
 宇宙嵐は、まるでノストロモ号の動きを知っているかのように、行く手に立ちふさがりました。宇宙嵐をよけきれなくて、嵐のはじっこでもに船体が近づこうものならノストロモ号はグルグルと回転してしまうほどでした。

「わ〜! スクリューコースターだ〜!」
「ポロさん、スクリューコースターがタダですぜ。得したと思わなくちゃ! ほいさ、どっこいしょ」

 是輔さんは、どこまでも前向きです。
 それでも、小1時間ほどで宇宙嵐の魔の手から逃れることができました。

是「ふ〜、なんとかやりすごしましたぜ」
ポ「すごい、すごいよ、是輔さん。銀河系いちの宇宙船乗りだ!」
是「いやあ、まいったなあ。隠してたのにバレちまった。はっはっはっは!」

 そのとき、船内に緊急警報が鳴り響きました。
 モニタを確認した是輔さんは真顔で言いました。

是「ポロさん、これでお終いでしょうね」
ポ「どしたの?」
是「コスモドラゴンですぜ。勘弁してくださいよ」
ポ「お、おしまいだよ。もう、ホラ話はそれでおしまい」
是「あいつは、宇宙船とエサの区別がつないんでさ。36計逃げるが勝ち」

 お腹をすかせたコスモドラゴンはノストロモ号を見つけると、さっそく、うれしそうに追いかけてきました。

つづく

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ゑ゛!?(笑) / ミタ・ソウヤ ( 2004-04-03 11:07 )
ミタさん、つっこみアリガト。このあと、いよいよミタさん登場です! / ポロ ( 2004-04-03 10:52 )
ポロさん…ホラ話、後悔先に立たずってやつですね〜(笑)でも、お茶を飲んだ時に、何か願い事しなかったのですか?(^^) / ミタ・ソウヤ ( 2004-04-03 09:37 )

2004-04-01 ポロの日記 2004年3月27日(岩曜日) メダカ救出作戦 その7

メダカ救出作戦 その7


是「なんて速いんだ、ヤツは」
ポ「何か弱点はないの?」
是「ヤツに出あった宇宙船は、みんな食われちまうんでデータが残らないんですよ」
ポ「じゃ、ポロたちが助かったら歴史上最初ってこと?」
是「そうかも知れやせんね。ま、やってみなきゃ分かりません」
ポ「そういえばさ、地球にコスモドラゴンて来たことがないよね」
是「あれ、たしかアンギ○スっていうのが来たと思うけど」
ポ「それってさ、特撮怪獣映画だよ」
是「そ、そでしたね」
ポ「だからさ、どっかの惑星に逃げ込むってどう?」
是「それ、それっすよ。真空中に住んでるから、あいつは多分大気に弱いんだ。大気のある惑星なら大丈夫かも知れない」
ポ「ポロがレーダーで探すから待ってて。あ、もう見つかった。ここから10億キロぐらい先だよ」
是「よし、行きやしょう!」

 ポロたちが降り立った惑星は、メタンの大気に硫酸の霧がたなびく、あまり居心地のよい星ではありませんでした。でも、そのおかげでコスモドラゴンはどこかに行ってしまいました。

是「さあ、コスモドラゴンもいなくなったし、これ以上長居すると今度はノストロモ号が錆びちまいます」

ポロは、チタン・イリジウム合金の船体が錆びるわけないと思いましたが、とにかく出発には賛成でした。

ポ「ねえ、是輔さん、メダカたちはどこ?」
是「そうですねえ、今どこにいるかがよく分からないんでなんとも言えやせんが、太陽系から銀河系外縁部に向かっていることだけは確かでさあ」

 是輔さんは、銀河系立体恒星図と現在の周囲の星々の同定作業を繰り返して、ついにノストロモ号の銀緯・銀経を求めました。航法コンピュータにデータを入れると是輔さんは元気よく言いました。

「行きますぜ!」

 ごごごごごごごごごごごごご!

 名も知らぬ惑星のメタンの大気を押しのけてノストロモ号が上昇していきます。航法コンピュータが女の人の声で高度や対気速度を読み上げていきます。
 アンジュちゃんも目を覚ましました。

ア「ここ、どこ?」
是「あっしたちが、人類最初に到達した名もなき惑星ってとこです」
ポ「アンジュちゃん、ダイじょぶ? いま、ポロたちメダカのところに向かうためにこの惑星から飛び立つところなんだ」
ア「名前がないなんてかわいそうなお星さま」
ポ「そっか。じゃさ、ポロの好きなイモようかんとアンジュちゃんの名前を合わせて、ここは惑星“イモージュ”ってことにしよう!」
ア「名前のいわれは変だけど、なんだかステキな名前ねえ」
是「あっしも気に入りやしたぜ」

 ノストロモ号は天の川を目ざして、それからしばらく航海を続けました。


つづく

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2004-03-31 ポロの日記 2004年3月27日(岩曜日) メダカ救出作戦 その8

メダカ救出作戦 その8


ポ「ねえ、是輔さんは天の川に行ったことあるの?」
是「ありやすよ。お届ものにも行きやす。銀河ステーションの助役さんが、夜食用のお弁当をよく注文なさいます」
ア「銀河ステーションて、銀河鉄道の夜に出てくる駅?」
是「そうでやす。宮沢賢治さんは、取材で全線お乗りになられたとか・・」
ポ「ぎょえ〜。あれは実話をもとにしているのか」
是「今、太陽系からまっすぐ天の川へ向かうとプリオシン海岸の近くへ出やすからね。メダカはそこを目指していることでしょう。あっしらもそこへ向かってるところです」
ア「わあ、プリオシン海岸だって。たしか物語では水晶のように透明な水だったよね、ポロちゃん」
ポ「アンジュちゃんも読んだの? 銀河鉄道」
ア「うん。なんだか怖いけどステキなお話だった」
是「今、その舞台の実物をお見せしますよ」
ア「楽しみねえ、ポロちゃん」
ポ「うん。ところでさあ、是輔さん」
是「なんでござんしょ」
ポ「メダカたちは、天の川へ行くとどうなるの?」
是「それはもう、きれいなところですからね、喜んで泳ぎ回ることでしょう」
ポ「え〜。喜んじゃうの?」
是「間違いありやせん」
ポ「じゃあ、メダカたちはヨシコおばあちゃんの水槽に戻りたくないかなあ」
是「さあ、どうでしょう。あっしはメダカじゃないんでちょっと分かりやせん」
ア「メダカの気持ちが分かればいいのにねえ」
是「あ、思い出した。そう言えば積み荷に“メダカ・リンガル”があったはずだ。ちょっと届け先を調べてみよう」

 是輔さんは貨物庫から小さな包みをひとつ持ってきました。

是「えっと、日本の人だ。ミタ・ソウヤさんて人ですぜ」
ポ「わ! ミタさんだ!」
是「お知り合いですか?」
ポ「うん、ちょっとね。何でも知ってる蘊蓄(うんちく)大魔王みたいな人。な〜るほど、こういうもので蘊蓄を集めていたのか」
是「でも、メダカの気持ちまで知りたがるとは、ちょっとアブナイ気もします。ま、連絡を取って許しがもらえれば使わせてもらえるかも知れませんぜ」
ポ「ミタさんならきっといいって言うよ」

 ポロが是輔さんからアンシブル(宇宙電話)を借りてミタさんにお願いすると、ミタさんは、すぐにメダカ・リンガルの使用をこころよくOKしてくれました。

ポ「よし、これでメダカに直接話を聞けるぞ」

 天の川が目の前に迫ってきたころ、レーダーの魚群探知システムに光の点が現れました。

是「見つけましたぜ。たぶんあれです」

 是輔さんは、メダカの群れとノストロモ号を並走させました。左舷の船窓から外を見ると、半透明に光り輝くメダカの魂たちが力いっぱい宇宙を泳いでいました。

ポ「スティクス川に比べるとずいぶん遠いところまで来るんだなあ、メダカたち」
ア「きらきら光ってきれい!」
是「さ、メダカ・リンガルで話しかけてください」
ポ「じゃ、やるよ」

 是輔さんとアンジュちゃんが固唾をのんで見守る中、ポロはメダカたちに話しかけました。


つづく

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あはは〜、メダカ・リンガルがお役に立って良かった…ソロモンの指輪が我が家のブラックホールに落ちたらしくて、どこかに行っちゃって(笑) / ミタ・ソウヤ ( 2004-04-03 11:12 )

2004-03-30 ポロの日記 2004年3月27日(岩曜日) メダカ救出作戦 その9

メダカ救出作戦 その9


ポ「君たち、ヨシコおばあちゃんのメダカたちかい?」
メ「そうですけど、あなたは誰?」
ポ「ポロだよ。ヨシコおばあちゃんちの猫」
メ「まあ、ホントだわ。こんなところまで追いかけてきて私たちを食べる気?」
ポ「ち、ちあうよちあうよ」
ア「ポロちゃん悪いことしてたんじゃないの?」
ポ「し、してないよ、ちょっとしか」
ア「あたしが話すわ、メダカ・リンガル貸して」
ポ「うん」
ア「メダカさん、あたしアンジュよ。分かる? いつもレッスンのかえりにあなたたちのところへ寄っていったでしょ」
メ「あ、アンジュちゃん!」
ア「聞きたいことがあるの」
メ「なんですか?」
ア「あたしたちねえ、あなたたちを助けようと思ってここまで来たんだけど、ひょっとしたら、あなたたちは天の川へ行きたいんじゃないかっていう気もするの。あなたたちの気持ちを教えてほしいの」
メ「ヨシコおばあちゃんには、本当によくしてもらいました。私たちも幸せに暮らしてきましたが、メダカにも寿命があります。今は天の川で次の生まれ変わりに備えてゆっくりしたいと思います」
ア「分かったわ。私たちは何もしないで帰るから」
メ「ありがとう。ヨシコおばあちゃんに、くれぐれもよろしくお伝えください」
ア「ええ、伝えるわ」

 アンジュちゃんは、ちょっとため息をついてから言いました。

ア「ヨシコおばあちゃんも、メダカの幸せを喜ぶはずよ」
ポ「そだね。連れて帰らなくても、きっとこのほうが喜んでくれる」
ア「ねえ、ポロちゃん」
ポ「なあに?」
ア「メダカの幸せって何だろうね」
是「横レス、失礼しますよ。メダカだって、あっしたちと一緒ですよ」
ポ「ポロもそう思うな」

 目の前にプリオシン海岸が迫っていました。是輔さんはノストロモ号を減速させました。メダカたちは小さくなって姿が見えなくなりましたが、天の川に飛び込んだらしいことは、その近くの水面がキラキラと光ったので分かりました。

 是輔さんは、銀河鉄道プリオシン海岸駅近くの広場にノストロモ号を着陸させました。

是「え〜、皆様。これより15分間の休憩を取らせていただきます。お時間になりましたら遅れぬようお戻りください」

 是輔さんはツアーコンダクターのマネをして言いました。
 ポロたち3人は、プリオシン海岸に降り立ちました。水辺まで行くと、ホントに水晶のように透明な水が流れていました。少し歩くと立て札がありました。

<ジョヴァンニとカンパネルラが水に手を入れた場所>

ポ「わあ、観光名所になってる」
是「宇宙、どこへ行ってもこんなもんです。あの駅のキオスクでは「ジョバンニもなか」や「カンパネルラまんじゅう」を売ってますよ」
ポ「わあ、食べたい食べたい!」
是「じゃ、買って帰りやしょう。帰りの船の中でお茶タイムだ。それから、ひとつはミタさんにお礼」

 ポロたちが駅のキオスクで買い物をしていると、向いのホームに銀河鉄道が入ってきました。蒸気機関車だと思っていたら、なんとそれは山陽新幹線500系そっくりでした。

ポ「わ、カッコいい」
是「今でも蒸気機関車だと思いましたか?」
ポ「うん」
ア「あたしも」
是「どこだって時代は変わるんです。これは、たしか日本の新幹線のモデルになった車両です」
ポ「じゃ、設計者の誰かがここに来たの?」
是「そうかも知れないですねえ」
ポ「へえ〜、せんせい、500系のファンだからここに来たら喜ぶだろうなあ」
是「さあ、そろそろ行きやしょう」


つづく

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2004-03-29 ポロの日記 2004年3月27日(岩曜日) メダカ救出作戦 その10

メダカ救出作戦 その10


 ノストロモ号が上昇を始めると、駅にいた人たちが気づいて手を振ってくれました。三河屋デリバリーサービスはどこでも有名みたいです。アンジュちゃんとポロも舷側の窓にはりついて力いっぱい手を振りました。

「ばいば〜い!」

 最初はプリオシン海岸駅の駅舎が遠くなり、次に線路が遠くなり、見えるのは天の川だけになりました。それから天の川もだんだん遠く離れていき、とうとうただの光の帯になりました。

ア「宇宙ってきれいねえ」
是「ええ、まったくそのとおり。さあ、お茶にしましょうや」
ア「あたしがお茶いれるわ」

 一緒に危険を乗り越えたポロたちは、昔からの知り合いみたいに、すっかり打ち解けて仲良く楽しいティータイムを過ごしました。

ア「そういえば、修士さんもお茶を用意して待っていてくれるって言ってた」
ポ「ポロは、お茶なら何回でもいいな」
是「じゃ、船のスピードを調節して、神田に午後3時につくようにしやしょう」
ポ「だって午後3時なんてとっくに過ぎてるよ。そんなことできるの?」
是「なあに、相対論てやつです」

 途中で、クリューガー60の近くを通りました。

ポ「ねえねえ、是輔さん、あれってクランベリーヒルの太陽でしょ」
是「そうですよ。クランベリーヒルのあるP3は、あの2つの星の周りを回ってやす。昔はよく行ったなあ。とむりんせんせいんちのロケットさんのとこ」
ポ「わあ、クランベリーヒルの話、聞きたいなあ」
是「どんなことがいいですか?」
ポ「そだな。あのさ、干し草の注文の話」
是「ああ、あれか。よく覚えてますぜ。いきなり五つ星の干し草の注文が来やしてね。発注部門が協議した結果、地球のニュージーランド産がいいってことになりやしてね。仕入れも、あっしが行ったんでさあ」

 それからノストロモ号は地球に到達、太平洋上空300キロを巡る周回軌道に入りました。ちょうど国際宇宙ステーションのフリーダムが近くを通る時刻だったので、見つからないように少し時間をずらして軌道に入りました。ポロとアンジュちゃんは是輔さんにお礼を言ってシュデンガンガー商会のシャトルに乗り込みました。

是「あとは自動操縦ですから安心して乗っててください」
ポ「是輔さん、ホントにアリガト!」
ア「是輔さん、ありがとう。またね!」
是「アンジュさん、今度はデートにお誘いしますぜ」
ア「じゃ、火星に連れてって!」
是「お安い御用です」

 ノストロモ号から射出されたシャトルは、宇宙のジェットコースターとなって神田淡路町に向けて降下していきました。
次の日の新聞には、東京神田周辺でUFOの目撃情報が相次いだという記事が紙面をにぎわせたのは言うまでもありません。


おしまい


 ここは「野村茎一作曲工房HP」に付属する「ポロのお話の部屋」です。HPへは、こちらからどうぞ。

野村茎一作曲工房

先頭 表紙

いいなぁ。私も銀河鉄道見たいな〜・・・ / ミタ・ソウヤ ( 2004-04-04 00:09 )

2004-03-28 たろちゃんとマルチェロ  その1

たろちゃんとマルチェロ  その1

たろ「ねえ、マルチェロ」
マル「なに?」
たろ「くたびれたから横にならない」
マル「そうしようと思ってたとこ」
たろ「そう・・・・」
マル「・・・・・・」

つづく


先頭 表紙

2004-03-27 たろちゃんとマルチェロ  その2

たろちゃんとマルチェロ  その2

たろ「ねえ、マルチェロ」
マル「え?」
たろ「田村正和ってカッコいいと思う?」
マル「人間のことは、よく分かんない」
たろ「そう・・・・」
マル「・・・・・・」


 ポロが、野村家に来る少し前のできごとでした。

おしまい


ここは「野村茎一作曲工房HP」に付属する「ポロのお話の部屋」です。HPへは、こちらからどうぞ。

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先頭 表紙

2004-03-26 ポロの日記 2004年3月26日(電曜日) ポロのすてきなカメラ

ポロは指カメラのほかに、キョロちゃんのレアものカメラだって持ってます。


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これは…名器と言うより…(一部の)コレクターを魅了する力を…カメラコレクターではないかも知れないけど(笑) / みた・そうや ( 2004-03-26 12:00 )

2004-03-25 ポロの日記 2004年3月25日(草曜日) せんせいのオンボロ写真機

せんせいのオンボロ写真機

「うわ! 何、せんせい、そのオンボロな物体は」
「古いがオンボロではない」
「もしかしてカメラ?」
「写真機と言ったほうが似合うかな」
「やだな、歳とると古いものばっかりアリガタがって」
「これは1948年に発売されたオリンパス35だ」
「性能悪そう」
「そうでもないぞ。名機という人もいるくらいだ」
「ポロのカメラなんて、これだよ」
「なんだ、チョコボールのオマケか?」
「あ、ひどいよ、これは森永のキョロちゃんカメラでレアものなんだから」
「狙ってシャッターボタンを押すだけだな」
「そだよ、ぜんぜん失敗しないんだから。せんせいのは?」
「これはなかなか面倒なカメラだ。まず、ピント合わせが難題だ。距離計と連動していないどころか、距離計がついていない」
「うわ、ヘボっちい。じゃ、どうするの?」
「目測式と言って、被写体まで5メートルだなと思ったらレンズのこのリングの目盛りを5メートルに合わせる」
「すっごいいいかげん。間違ってたらどうするの?」
「ピンボケになる」
「ひっどーい! 無責任なカメラだな」
「そうだろうか。このカメラを使っていると距離に敏感になる。訓練すると人はかなり正確な距離感を持てるようになるものだ。炊飯ジャーでご飯を炊いていると、薪とお釜で炊く感覚を失ったりするのと同じだ」
「もしかして露出も?」
「そうだ。露出計と連動していないどころか、露出計さえない」
「それも訓練?」
「手持ちの露出計を使うこともあるが、なるべく露出感覚を鍛えたいものだ」
「シャッター速度もだよね」
「そうだ。露出というのは絞り径とシャッター速度の相関のことを言う。シャッターはコパル製の200分の1秒のものが装備されている。こういうカメラを使っているとその場の明るさに敏感になる」
「なんだかオンボロに見えなくなってきた。ポロも欲しい」
「何十年も前に製造中止になっているから誰もが手に入れられるものではないが、クラシックカメラの専門店に行けば手に入る可能性がある」
「高い?」
「ものによるね。こういう機械式カメラは半導体を使っていないから手入れさえ怠らなければ寿命が長い。極端な話、半永久と言ってもよいほどだ。だから、もともとの性能がしっかりしていれば、古くならない」
「わ、ますます欲しくなってきた」
「全自動カメラは、いわばCDプレイヤーのようなものだ。誰でも名演奏を聴くことができる。それに対してこういうカメラはピアノにたとえることができる。練習して自分で弾かなくてはならない。中途半端な気持ちでは持てない」
「そっか。そだね。でも、それを見てたら挑戦する気持ちに火がついたぞ。オンボロどころか、りりしいお姿って感じに見えてきた」
「道具は人を鍛える」
「そ、それだよ。ポロは、その誘惑によわいんだなあ」
「それなら、まずピアノに鍛えてもらえばいいじゃないか」
「あ、あ、あ、それは言わない約束だよ」
「そんな約束をした覚えはない」
「あ゛〜、いぢわるだいぢわるだ、せんせいはいぢわるだ〜」



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おお、古き良き時代…って感じですね〜。名器と呼ばれる物は、人を魅了する『何か』を持っていますね。 / みた・そうや ( 2004-03-26 11:58 )

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