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ポロのお話の部屋

作曲家とむりんせんせいの助手で、猫の星のポロが繰り広げるファンタジーワールドです。
ぜひ、感想をお願いしますね。

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2007-02-12 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第10回 第3幸栄丸 その2
2007-02-12 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第10回 第3幸栄丸 その3
2007-02-12 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第10回 第3幸栄丸 その4
2007-01-31 ポロの日記 2007年1月31日(波曜日)ポロ、珍念さんに入門する その1
2007-01-31 ポロの日記 2007年1月31日(波曜日)ポロ、珍念さんに入門する その2
2007-01-31 ポロの日記 2007年1月31日(波曜日)ポロ、珍念さんに入門する その3
2007-01-31 ポロの日記 2007年1月31日(波曜日)ポロ、珍念さんに入門する その4
2007-01-28 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第9回 銀婚式のプレゼント A
2007-01-28 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第9回 銀婚式のプレゼント Β
2007-01-28 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第9回 銀婚式のプレゼント Γ


2007-02-12 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第10回 第3幸栄丸 その2

 第3幸栄丸 外伝 その2

 (2)二酸化炭素運搬船第3幸栄丸出航準備

是輔「液体メタンがたりないようですぜ」
司令官「うむ。牛の糞の発酵を急がせよう」
是「酸素の液化も急いでくだせえ」
司「それは、間に合うから安心したまえ」

 是輔がパイロットを務める第3幸栄丸は、100隻以上あるプレコ王国の宇宙船のひとつでした。
 ドライアイス運搬船は、鉄と銅、そして柔らかい性質を利用して金と水銀、気密を保つための天然ゴムでできていました。燃料は家畜の糞から作られるメタンとドライアイスを作る時の副産物である酸素でした。まだメタンハイドレート(海底にある結晶化したメタンと水分子)が発見される前だったのでバイオ燃料だけで飛んでいました。遠い将来、バイオ燃料が脚光を浴びるなどとは、是輔たちには知るよしもありませんでした。
 

 (3)海面冷却技術

ぽん吉「船長、そろそろ高温海面領域に到着です」
船長「よし、漕ぎ方やめ。ドライアイスを浮かべるんだ」
船員たち「へい!」

 プレコ王国の神官たちは太平洋の海面温度の変化が作物の豊作・不作に影響を与えることに気づいていました。そのために、海面温度が上がると作りためたドライアイスの一部を海に浮かべて海面温度を調節していました。プレコ文明が滅びると海面温度が上下したために陸地では嵐が荒れ狂ったり日照りになったりしました。それで海面温度の上下は後にエルニーニョとかラニーニャと呼ばれて恐れられるようになりました。しかし、ぽん吉たちには知るよしもありませんでした。


 (4)第3幸栄丸発進

是「こちら第3幸栄丸。発進を許可願います」

 是輔はテレパシーで管制塔に呼びかけました。

管制官「こちら管制塔。第3幸栄丸、発進を許可します。よい旅を」
是「じゃあ、ちょっくら行ってきやす」

 どどどどどどどどどど〜〜〜〜!

 第3幸栄丸は、自らの生み出す推力に加えて、地球が自転する角速度を利用してプレコの空に舞い上がっていきました。ずっと将来、多くの宇宙基地が赤道近くに作られるようになるとは是輔たちには知るよしもありませんでした。

つづく

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2007-02-12 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第10回 第3幸栄丸 その3

 第3幸栄丸 その3

 (5)木星第5衛星“アマルテア放送局”

アナ「ヘイ、宇宙のトラック野郎たち! 元気でやってるか?」
是「もち!」
アナ「おう、今、なんだか返事があったような気がするぜ。いいか、お前ら絶対に周波数変えるなよ。ライバルのタイタン南銀座放送局なんかに合わせやがったらタダじゃおかねえぞ」

 第3幸栄丸は電波の受信設備を持ちませんでしたが、是輔のテレパシー能力はアマルテア放送局の名物アナウンサーの精神波を捉えるには充分でした。

アナ「よ〜し、今日もお話の時間だ。今回はSF未来活劇だ。楽しみにしてろよ」

 間もなく女性アナウンサーの声で朗読が始まりました。

 * * * * * * *

 ものの数分でラジェンドラは影との接触に成功した。それは、やはりドーラ2の脱出ポッドだった。脱出ポッドと接舷後、ドッキング。がっちりとつながった共通規格のドッキングポートから出てきたのは、正真正銘のドーラの王位継承権第1位アメン王子だった。

「アメン王子、ご無事で。お怪我はありませんか!」
「ありがとう、かすり傷だ。君の名前は?」
「ドーラ防衛軍宇宙航空隊、第3哨戒機甲師団、第3哨戒部隊所属タブタ2等空士であります!」

 タブタは雲の上の存在である第1王子を目の前に緊張した。

 * * * * * * *

是「カックいいなあ〜!」

 * * * * * * *

タブタが主操縦席を王子に譲ろうとすると、王子は「この船では君が正パイロットだ」と言って副操縦席についた。

「愛称は?」
「はっ?」
「この船の愛称だよ」
「はっ、ラジェンドラであります」
「いい名前だ。よし、ラジェンドラ発進を発進させたまえ」
「アイアイサー!」

(2005-09-27 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第5回「空飛ぶタブタ」より)

 * * * * * * *

 是輔には、遠い将来、自分の子孫が宇宙船パイロットになってアマルテア放送局のファンになるなどとは知るよしもありませんでした。

つづく

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2007-02-12 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第10回 第3幸栄丸 その4

 第3幸栄丸 その4
 
 (6)ドライアイス投棄

 やがて第3幸栄丸は海王星軌道を越えた太陽系外縁部に到達しました。

「よし、船倉ドアのロックを解除。これが済んだら帰れるぜ。どっこいしょ」

 そうつぶやくと是輔はドライアイスの大きな塊を宇宙空間に放ちました。ところが、ちょっとした力の加減で、このドライアイスは予定の軌道速度に達せず、徐々に太陽に向けて落下しはじめました。のちにC/2006 P1という符号があたえられてマックノート彗星という名前で呼ばれ、地球から雄大な尾を曳く姿が目撃されることになりますが、是輔には知るよしもありませんでした。


 (7)地球帰還

 第3幸栄丸が地球に近づくと、地上の管制官とテレパシーで交信して着陸許可を求めました。

管制官「第3幸栄丸。今回は進路をハチドリに設定して着陸してください。第3幸栄丸の10分前に第14幸栄丸がサル進路で着陸する予定です」
是「了解しやした」

 是輔はナスカにある地上目標であるハチドリに進路を定めて着陸態勢に入りました。これらの地上目標が、将来「ナスカの地上絵」として有名になるとは、是輔には知るよしもありませんでした。

 (7)黄金ジェット発見

 それから何千年もが過ぎました。
 コロンビアの古い遺跡から発掘された第3幸栄丸の模型を考古学者たちは魚であると結論づけました。一部の超考古学マニアたちが古代のジェット機であると主張したために、よりインパクトの強い「黄金ジェット」の名で知られるようになりましたが、真相に誰も気づかないなど、古代プレコ人には知るよしもありませんでした。




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2007-01-31 ポロの日記 2007年1月31日(波曜日)ポロ、珍念さんに入門する その1

 ポロ、珍念さんに入門する その1

 せんせいに弟子入りしてたった1年もたってないけど、珍念さんは何だかスゴそうだと感じていました。そして、ついにポロはおとうと弟子の珍念さんに弟子入りすることにしました。どうしてかっていうと、珍念さんを見ていたら、何かを学ぶというのは時間をかければよいというものではないことが分かったからです。本当に大事なことが何かを見抜く力があれば、真実にたどりつくのはあっという間かも。珍念さんは、そんな力の持ち主に思えたからでした。

ポロ「珍念さん」
珍念「これはポロ兄さま、どのようなご用でございましょうか」
ポ「今日からポロ、珍念さんに弟子入りしちゃうから」
珍「兄弟子さまに、そのように仰(おっしゃ)られても拙僧は戸惑うばかりでございます」
ポ「じゃ、勝手に弟子入りするからいいよ」
珍「勝手とおっしゃいましても・・・」
ポ「迷惑はかけないからさ」
珍「ではどうぞ、お好きなようになさってください。しかし、拙僧、まだまだ弟子などとれるほど悟ってはおりませぬ」
ポ「いいよ、ポロ勝手についてまわって勉強しちゃうから」
珍「いやあ、しかし、拙僧これから買い物に参ります。日用品の買い物ですから何も参考にならないかと・・・・」
ポ「うわあ、勉強になりそうだよ〜!」
珍「そうでございますか」

 珍念さんは背筋をぴんと伸ばしたまま、美しい歩き姿で出かけました。ポロはその袈裟姿にちょっと惚れてしまいました。

ポ「珍念さん、カッコいい〜!」
珍「ひやかさないでください」
ポ「ホントだよ〜! ポロ、猫背なおそっと!」
珍「ポロ兄はせっかく猫なのでございますから、猫らしく自然に振る舞うのが一番かと存じます」
ポ「そうか〜。でも。袈裟が欲しいなあ。どこで売ってるの?」
珍「猫用の袈裟は存じておりません」
ポ「よし、ポロが縫うぞ」
珍「・・・・・・。何ごとも修業でございます」

 珍念さんは近所のマルエツにやってきました。

ポ「へえ、お坊さんもマルエツに行くのか〜」
珍「まさか、お山のタヌキ商店で買い物をするなどと思っておいででは?」
ポ「そ、そのとおり。ホントにそう思ってたよ。ポロ、タヌキ商店の場所教えてもらおうかと思ってたもん」

 猫はマルエツに入れないので、ポロは珍念さんの手提げ袋に隠れました。
 珍念さんは、食料品の賞味期限を調べて一番古いものを選んでは買い進めていきました。

つづく

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2007-01-31 ポロの日記 2007年1月31日(波曜日)ポロ、珍念さんに入門する その2

 ポロ、珍念さんに入門する その2

ポ「どうして、古いのなんか買うの? ポロだったら新しいのから買うけどな」
珍「毎日毎日、日本では300万人分相当に及ぶ食品が賞味期限内に販売しきれずに廃棄処分されているとせんせいから伺いました。なるほど、新しいもののほうがよいような気がしますが、拙僧は今日の食材を求めに参ったのでございます。賞味期限内であれば古くて充分。期限切れであっても、食べられるかどうかくらい判断できるつもりでございます」
ポ「す、すごい! ポロもそうするよ」
珍「はい、そうなさってください。せんせいも、そのようになさっておられます。無益な賞味期限信仰などによって食べ物が無駄にされなければ世界で300万人の人々が餓えから救われる事になります」
ポ「そうだね、日本の食べ物の多くが輸入品だもんね。これは世界に影響する問題だよ。ポロは珍念さんに弟子入りしてよかったなあ」
珍「ワタクシではなく、せんせいの教えでございます」
ポ「うん。ポロも、その話きいたけどさ、実感したのは珍念さんのおかげだよ」
珍「あに弟子なのでございますから、そのようなことはおっしゃらずに・・・」
ポ「こ、これがポロの実力さ」

 珍念さんはマルエツを出ると、近くの春日公園に行ってベンチに座りました。

珍「さあさ、ポロ兄さまもどうぞおかけください」
ポ「でもさ、ここって時々お月さまが出てわるさをするんだよ」
珍「ああ、妖怪“満月もどき”でございますね」
ポ「あれは妖怪だったのか〜。ポロ、もともと雷さまにおへそ取られちゃったから平気だったけど、おへそを狙って襲ってくるんだよ」
珍「大丈夫。もしあやつが出て参りましたら拙僧が退治いたしましょう」
ポ「すごい、珍念さんは法力もあるのか〜」
珍「いえいえそうではございませぬ。あやつは殺虫剤でイチコロでございます」
ポ「なんだ、虫みたいなやつだったのか〜」
珍「虫とは言っても昆虫という意味の虫ではございませぬ。虫を3つ書く蟲でございます」
ポ「わあ、ポロ、それ蟲師っていうアニメで見たよ」
珍「さようでございましたか」
ポ「でも、殺虫剤でイチコロとはびっくりだなあ」
珍「殺虫剤と聞くと“虫専用”という感じがいたしますが、実際には命を根こそぎにしてしまいます。当然のことながら人だって死に至ることがあります」
ポ「そ、そういえばそうだった〜」
珍「それを警告したのがレイチェル・カーソン女史の“沈黙の春”でございます」
ポ「ポロもせんせいにすすめられてちょっとだけ読んだよ」
珍「というわけで、拙僧も化学系殺虫剤は緊急時だけ使い、いつもはホウ酸ダンゴや曼珠沙華の根の抽出液などを使います。今までに何十匹も退治しております」
ポ「わはは。お月さまがホウ酸ダンゴに弱いなんて笑っちゃうなあ。ちっともコワくなくなってきたぞ〜!」
珍「まずは敵を知ることです。事実の確認と把握こそが基本でございます」
ポ「分かってるけど、ポロ、ちっとも分かってないんだよ〜」
珍「・・・・・・・」

つづく

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2007-01-31 ポロの日記 2007年1月31日(波曜日)ポロ、珍念さんに入門する その3

 ポロ、珍念さんに入門する その3

ポ「そういえば、満月もどきはいっぱいいるんだよ。ずっと前だったけど、秋田県に電話しても神奈川県に電話しても、どこにでも満月が出てたもんなあ」
珍「それはおそらく本物でございます。晴れてさえいれば月はどこでも照らします。月は本来清浄で美しいものでございます。その光には不思議な力があって、ベートーヴェンやドビュッシーにすばらしい音楽を書かせたりもしました」
ポ「うん、ポロも月の光でお酒作ったよ」
珍「し〜、そのようなことはもっと小さなお声で。月光密造酒は違法にございます。銀河警察密造酒Gメンは、いつどこで聞き耳を立てているか分かりませぬぞ」
ポ「そうだったのか〜。ポロはアルマジロたちと一緒に宴会やっちゃたよ〜」
珍「捕まらなくてなによりでしたがご法度(はっと)ですぞ、お気をつけくださいますように」
ポ「うん、そうするよ」
珍「ところで、ここに参ったのはほかでもありません」
ポ「なあに?」
珍「ポロ兄さまは、せんせいの教えをどのようにお受け取りでしょうか?」
ポ「ふふふ、そう来たか。まかせてよ。ポロの音楽コラムは分かりやすいって評判なんだ」
珍「そうでございますか。それを聞いて安心いたしました」
ポ「珍念さんはどうなの?」
珍「はい。拙僧は、せんせいの教えを“よく見よ、よく聴け、よく感じよ”と受け取っております」
ポ「ポロもそう思うな」
珍「恐れ入ります。たとえば生きるという事はどういうことでしょうか」
ポ「えっと、ご飯を食べたり息を吸ったり吐いたりすることだよ」
珍「さすが、まさにそのとおりでございます。生きると言うことは命を守ることでございます」
ポ「そ、そだよ。そうに決まってるじゃないか。この世で一番大切なのは命だよ」
珍「言葉では分かりますが、拙僧、仏に仕える実でありながら真に実感いたしますまでには時間がかかりました」
ポ「ポロなんか一瞬で分かっちゃったもんね」
珍「さすがでございます。空飛ぶ鳥、泳ぐ魚、野に咲く花はもちろん、木目ひとつがなぜ美しいのか、それが生命のデザインであることに気づいたのは、せんせいのお話を伺ってからずいぶん経ってのことでした。仏教でいうところの“草木国土悉皆成仏”(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)と、あい通ずる教えでございます」
ポ「すごいなあ、せんせいは仏教の勉強もしてるのか〜」
珍「仏教の勉強もなさっておいでかも知れませんが、今の言葉、といいますかは概念と申しますか、それは拙僧が修業中に覚えた仏の教えにございます。高い山とて、どのような登山道から登っても頂上にたどりつけば、そこからの視界は同じでございます。せんせいはせんせいとして独自に頂上に立っておいでです」
ポ「そうかも。なにしろせんせいは人の言う事なんか聞いてないからなあ」
珍「というわけで、せんせいの教えを簡単にまとめれば、すべて何を見、聴き、感じ、悟ったかにあります」
ポ「メモメモ」

つづく

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2007-01-31 ポロの日記 2007年1月31日(波曜日)ポロ、珍念さんに入門する その4

 ポロ、珍念さんに入門する その4

珍「されど、これでは長編小説のジャンルを答えたようなもので、“海の話”と聞いただけで“海底2万マイル”を全文想像力だけで構成・復元できるわけがないように、意味のないまとめでもあります」
ポ「なるほど、分かってるだけに通じるまとめなんだね。メモメモ」
珍「たとえば、料理と言えば“どこで火を止めるか”が分かるか、まさにピタリの“塩加減”が分かるかということを悟らねばなりません。それなしで100種類の料理を知っていても意味がありません」
ポ「うんうん。せんせいがいつも言ってるやつだね。それはポロもよく理解したつもりだよ」
珍「事業を興すと言えば、それは“人材の選択”つまり入社試験や人事こそが重要です。その合否判断には明確なビジョンが必要です。そのビジョンは事実の厳密な把握が基盤とならなければなりません」
ポ「うん、ポロも習ったけど、いまのほうが分かりやすいな。でもメモメモ」
珍「歴史といえば“人々の考え方の変化、分岐点”を捉えられるかどうかが問題であるわけです」
ポ「歴史の話はポロも感激したよ。年表を全部覚えたって歴史が分かったことにはならないんだよね〜、でもメモメモ」
珍「では、拙僧たちは、なにゆえ修業しているのでございましょうか」
ポ「それは、もちろんせんせいを超えるためだよ〜」

珍「喝〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
ポ「どっひゃ〜〜〜!」

 ごろりんごろりんごろりん

珍「し、失礼いたしました。あまりに意外なお答えでしたので、つい・・・」
ポ「はは、ははは、ジョークだよ、ジョーク・・・・」

 でも、ポロはホントにそう思ってたのでした。

おしまい

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ポロの道場

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2007-01-28 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第9回 銀婚式のプレゼント A

Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第9回

 銀婚式のプレゼント

 この話は最初にΑ章、最後にΚ章をお読みいただければ、ギリシャ文字で示された各章の順序は自由に変更できます。

   -Α(アルファ)-

 太陽系からほど近いバーナード星をめぐる惑星「ツル」にある小さな島国の、そのまた小さな村に中年夫婦が営む「八百松」という小さな青果店がありました。
 夫の松吉は実直一筋、年中無休で25年間店を守り続けてきました。女房の梅も店の立ち上げと同時に嫁入りして、年中無休で店を続ける夫を不思議にも思わず、25年間休まずに働いてきました。休んだのは結婚した翌年、娘の竹子が生まれる時の数週間だけでした。
 竹子はすくすくと育ち、隣町の高校を卒業して、もう何年も前に遠くの町の会社に就職して家を離れていました。
 そんなある日、竹子から封書が届きました。

 前略
 お父さん、お母さん、お元気でいらっしゃいますか?
先日、竹子はお父さんたちが今年銀婚式であることに気がつきました。それで、新婚旅行にも行っていないお父さんとお母さんに旅行をプレゼントしようと思い立ちました。勝手に旅館の予約もいれてしまいました。たった一泊二日ですが、ぜひ楽しんできてください。
 竹子

 同封の旅行パンフレットには、村からクルマで2時間ほどの海辺の温泉宿で過ごす“ゆったり湯けむりプラン”が書かれていました。

松「そうか、俺たちもう25年もたつのか」
梅「うれしいけど、あたしは他所で泊まるなんて、なんだか気が進みませんよ」

 松吉は、梅がほとんど村を出たことがないことに気がつきました。おそらく知らない場所が不安なのでしょう。休みもなく仕事を手伝わせて、女房が旅行を楽しみとも思えなくなってしまったのは自分のせいかも知れないと思い、松吉は竹子の優しさに報いるためにも店を休んで梅を旅に連れていこうと決心しました。

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2007-01-28 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第9回 銀婚式のプレゼント Β

 -Β(ベータ)-

ポロ「キャプテン・レンジャー」
レンジャー「なんだ?」

 ぷあお〜〜ん!

ポ「ちっとも釣れないじゃないか〜!」
レ「当たり前だ。この釣りざおには仕掛けも針もついてないよ。おもりと浮きだけだ」
ポ「か〜〜! あったま来た。そんなの釣りじゃないよ」

 ぷあお〜〜ん!

レ「まあ、そうカッカするな。天気はいいし海はきれいだし、俺たちはあと5時間はここにいなけりゃバイト代は貰えないんだぜ。それが契約だ」
ポ「でもさ、魚くらい釣ったっていいじゃないか〜」
レ「初めての海じゃ様子を見るもんだぜ。たしかマグロンとかいう凶暴なやつがいるんだったよな」
ポ「そういうのは海辺になんか来ないよ」
レ「じゃあ釣れよ。船に仕掛け付きの本格的なサオがあるからよ。でも俺は知らないぜ」

 ぷあお〜〜ん!

 ポロは、500メートルほど離れた岩場の向こう側の砂丘に着陸している三河屋デリバリーサービスの穀物運搬船ペンデレツキ号着陸船に向かいました。

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2007-01-28 Il Gatto Dello Sport提供 お話の森 第9回 銀婚式のプレゼント Γ

 -Γ(ガンマ)-

裏しびれ大学宇宙文明研究室。

ホリテッカン博士「今日、皆さんにお集まりいただいたのは危急の問題が持ち上がったからにほかなりません。宇宙文明研のドレイク博士からご説明いただきましょう」
ドレイク博士「ああ、うう・・、マチルダ博士からの報告がお手許のレジュメにあります。ご覧ください。マチルダ博士のご尽力によって太陽系文明が救われたことは大変喜ばしいことではありますが、その代わりバーナード星系の惑星が滅びるということは、断固あってはなりません。今日は、その解決策について皆さんのご意見をお聞きしたいと思っております」
ホリ博「ご質問がありましたらどうぞ」
是輔「はい!」
ホリ博「どうぞ」
是輔「あっしは三河屋デリバリーサービスの是輔(これすけ)でやす。バーナード星系まで配達に行ったことがありやすんで呼ばれました」
ドレ博「ええ、うう・・・。彼はわたくしが招聘いたしました。ああ、ええ・・、是輔さんは、地球ではもちろん、太陽系で唯一バーナード星系に到達した地球人です」
是輔「へい、あっしはバーナード星系の“ツル”ってえ星に配達に行っておりやす。地球そっくりの星で、みんないい人ばかりが住んでおりやす」
ホリ博「なぜ、いい人たちであるとお考えになるのですかな?」
是輔「へい、あっしが行くのは小さな島国なんですがね、ちょうど日本の田舎みたいなところでして、みなさん穏やかに静かに暮らしていらっしゃるんでさあ」
ホリ博「もう少し具体的にお話いただけませんか」
是輔「具体的って言われても、あっしは口下手なもんでうまく言えねえんですが、隠居するならあそこにしようかなって決めてるんでやす」
ドレ博「ああ、うう・・、要するに、うう・・仮に文明衝突が起こったとしても滅びさせてよいというものではない、ということですな」
是輔「そ、そうでやす!」
ホリ博「なるほど。しかし、このままでは惑星“ツル”はいずれ滅びる運命にあるということですな。マチルダ博士もそれを大変心配しておられる。なんとか救う方策を考えていただきたいと願っておられるようじゃ」
ドレ博「裏神田には深宇宙まで行ける宇宙船がない。三河屋デリバリー・サービスにお願いして調査団を派遣するとしよう」
是輔「へい。あっしが行けるように本部に話してみます」

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