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ポロのお話の部屋

作曲家とむりんせんせいの助手で、猫の星のポロが繰り広げるファンタジーワールドです。
ぜひ、感想をお願いしますね。

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2003-12-21 ポロのクリスマス その5
2003-12-20 ポロのクリスマス その6
2003-12-19 ポロのクリスマス その7
2003-12-18 ポロのクリスマス その8
2003-12-17 せんせい熱をだす その1
2003-12-16 せんせい熱をだす その2
2003-12-15 12月14日第1回作曲工房ポチヲ亭オフ会報告
2003-12-09 ポロの肖像
2003-12-08 ポロ、波動エンジンを作るの巻 その1
2003-12-07 ポロ、波動エンジンを作るの巻 その2


2003-12-21 ポロのクリスマス その5

「ポロ、カジノでの賭け方を伝授しよう」
「絶対、勝つ方法なの?」
「ああ、そうじゃ」
「すっごーい! 教えて教えて。ポロね、借金王なの。500まんえん」
「そりゃ、大変だ。よく聞くんじゃぞ」
「うんうん!」
「まずはルーレットだ。ここでは赤か黒に掛けることにしよう。当たれば2倍になって返ってくるルールだ」
「うん」
「みんな、次は赤なのか黒なのか予想して賭けるが、ワシは違う。赤か黒、どちらかだけに賭け続けるのじゃ」
「どうして? だって、それじゃ半分しか当たらないから儲からないよ」
「まあ、聞きなさい」
「最初、赤に100ベリー賭ける。ベリーというのはここの通貨単位じゃ」
「うん」
「外れたとする。損をしたのは100ベリーじゃ。次に、また赤に200ベリーを賭ける」
「うん」
「また、はずれたとする。損をしたのは300ベリーじゃ。今度は400ベリーを賭ける」
「うん」
「またハズれるかな?」
「うーん、黒がそんなに続くわけないから、そろそろ当たるかも」
「もし勝てば800ベリーが戻ってくる。投資した額が合計700ベリーだから100ベリーの勝ちというわけだ」
「わ、これを繰り返せば絶対損しないね、せんせいに教えてあげようっと」
「ほぼ、損はしないと言ってもよいだろう。だが、非常に低い確率じゃが、一度も当たらないうちに全財産を使い果たすとパーになる。だから、こういう方法を使ってもギャンブルはギャンブルじゃ」
 ポロは、その日、博士から10000ベリー借りてルーレットに挑戦しました。しめて1000ベリーの儲け。すごいなあ博士。でも1ベリーは、だいたい1円なので、ポロの借金を返すのはまだまだ大変です。
 地下のカジノから外へ出ると、もう暗くなっていました。
「大変だ、博士。サンタさんが来ちゃうよ」
「ははは、大丈夫」
 カーリーに乗り込むと博士が訊ねました。
「サンタは今どこじゃ?」
「少々お待ちを、博士」
「サンタさんからメールが届いています。読み上げますか?」
「そうしてくれ」
「松戸博士、今年も一晩お世話になります。そこにいるワシを生け捕りにしようという不届きな猫に成敗するから覚悟せい、とお伝え下され」
「わ、なんで知ってるの? 誰が言ったの?」
「ははは、サンタは何でも知っておるのじゃ。だから生け捕りキットなどでは捕まらん」
「ポロ、懲らしめられちゃうかなあ。やだなあやだなあ」
「ジョークじゃよ、ジョーク。サンタはそういう人なんじゃ」


つづく

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2003-12-20 ポロのクリスマス その6

 カーリーが博士の家に到着してしばらくすると、降るような星空にホーキ星のようなものが現れました。ポロたちは空を見上げました。
「あれがサンタのドレッドノート号じゃよ。白く曳いた尾は力場の生みだすフィールドじゃ。ピーターパンも同じ理由で飛ぶ」
「ふーん、きれいだねえ」
 ドレッドノート号が接地すると、淡く白い光が消えてその姿がはっきりと見えました。
「わ、安っぽい」
 まるで、むかしの遊園地の乗り物のような作りのトナカイの人形とソリでした。
「お待ちしていましたぞ、サンタ卿」
「お世話になりますぞ、博士」
「ぽ、ポロです。ば、バイエル59番も弾けるようになりました!」
 本物のサンタを前に緊張したポロは、またまたあらぬことを口走ってしまいました。
「おう、ポロどんか」
「ひゃっ、ポロをどんぶりにしてもおいしくないと思います。保証します」
「はっはっは。食べたりせんよ。松戸博士のところに来たということは見事ワシを生け捕りにしたようなもんじゃ。とむりんせんせいや家族のみんなは元気かね」
「あ、みんな元気です」
「それは、よかった」

 ポロは、それから盛明おじいちゃんが修理したというドレッドノート号のグラヴィトン・コンバータの支柱を見せてもらったり、せんせいのこども時代の話を聞かせてもらったりして楽しい夜を過ごしました。

 次の朝、ポロはサンタさんに地球まで送ってもらうことになりました。
「博士、カーリー、お世話になりました」
「おお、そうじゃ、これを持ってくとよい」
博士は小さな箱をくれました。
「これなあに?」
「はっはっは。玉手箱じゃよ。不用意に開けるでないぞ」
「わあ、こわいなあ」

「ドレッディ、ディーンドライブ起動じゃ」
「ディーンドライブ起動します」
一番後ろのトナカイが答えると、ポロのまわりに淡い白い光が広がりました。
 ドレッドノート号はゆっくりと地面を離れて上昇を始めました。博士が手を振っています。ポロもソリから身を乗り出して両手もしっぽも振り続けました。
「さよならー、博士ー、また来るねー!」
 ディーンドライブの駆動音が大きくなってソリに小さな振動も伝わるようになると、ドレッドノート号は一気に高度を上げました。博士の家とタバコ畑がだんだん小さくなっていきます。オンディー沼もよく見えます。まるでおもちゃの家が並んでいるようなオラクルベリーの町並みも見えてきました。
 空は青からウルトラマリン、そして暗くなってきました。
「成層圏飛行中、間もなく熱圏との境界面を通過します。通過」
 トナカイがいろいろな事を報告してくれます。2つの恒星の連星系のクリューガー60AとBがまぶしく輝いています。まだ、太陽は見えません。


つづく

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2003-12-19 ポロのクリスマス その7

「重力圏離脱、ディーンドライブを停止、ワープ8で太陽系を目指します」
「ポロ、スターボウは知っているかの?」
「あ、猫の星で習ったよ。亜高速で進む宇宙船から見える虹のこと?」
「そうじゃ。光速を超えるまでの少しの間だけじゃが、きれいなもんじゃ」
 サンタさんがそういうと、星ぼしの光が直線になって前のほうに集まり始めました。
「わあ、青くて丸い光の輪だ!」
 でも、それも一瞬で終わると、まわりは何も見えなくなりました。
「ワープ8、太陽圏到達まで8時間です」
「ポロどん、メリークリスマスじゃ! さあ、ワシからのプレゼントはこれじゃ」
「わあ、アリガト!」
 サンタさんがくれたのは、なんとヒケール一箱でした。包み紙には北極星のマーク。
「この間、大切なヒケールを風邪薬と間違えて使ってしまったじゃろ」
「サンタさんて、なんでも知ってるんだね」
「マエストロタイプが6錠、最近開発されたヴィルトゥオーゾタイプが6錠入っておる。名演奏でみんなを一泡ふかせてやるんじゃろ?」
「うーん、たのしみだなあ!」
「ヴィルトゥオーゾタイプは、アルカンやソラブジが演奏できるようになったとドーラメディコの広報誌に書いてあった」
「へえ、アルカンとかソラブジなんて知らないや」
「ワシも知らん。わっはっは」
 サンタさんは、おいしい紅茶とおイモのケーキで小さなパーティーを開いてくれました。ドレッドノート号も仲間に入ってトランプもやりました。神経衰弱はドレッドノート号が勝って、7並べはサンタさんが勝ちました。ウスノロマヌケという変なゲームは、ポロが勝ちました。
「今日は、ポロどんがいてくれるから実に楽しい!」
「そういえば、サンタさんはいつもひとり?」
「ドレッディと一緒というところかな。星から星への旅ガラスじゃよ」
「ほかの星にもクリスマスがあるの?」
「もちろん、そうじゃ」
 楽しく過ごす間に、太陽系が近づきました。
「減速します。ワープ7、6、5、4、3、2、1。火星近傍で亜光速になります」
 いきなり、スターボウが現れ、すぐあとに星空がもどって来ました。
「わあ、火星だね、あれ三日月みたい」
「そうじゃ」
「今年の夏に、せんせいに望遠鏡で見せてもらったよ、ポロ」
「そうか、きれいじゃったろう」
「うん、でも、そばで見るともっとすごいね」
「荒涼としておるが、何やら迫力のある星じゃ」
 ドレッドノート号は、さらに速度を落として地球に近づきました。
「地球周回軌道に入ります。ステルスモードに移行します」
「よし、ダミーを放出じゃ」
 ピカピカ光るドレッドノート号の模型が発射されました。
「あれなあに?」
「ああ、あれはノーラッドの追跡をかわすためのダミーだよ。ノーラッドはワシらを捕捉しようと躍起になっておる。じゃが、追いかけるのは見えやすいダミーじゃ。さあ、ワシらは仕事じゃ」
「プレゼント配るの?」
「そうじゃ。地球を担当しておるサンタは数が多い。ワシは日本担当じゃ。ドレッディ、高度を下げてくれ」
「ラジャー」


つづく

先頭 表紙

2003-12-18 ポロのクリスマス その8

「サンタさん、プレゼントってどんなもの?」
「モノをプレゼントするのは、特別な場合だけじゃ。ワシ以外には誰もプレゼントできないものじゃ」
「え〜、なんだろう?」
「さあ、ポロどん、手伝ってくれるかな」
「うん、いいよ」
 ポロが渡されたのは、例のたっぷり膨らんだしろい布の袋でした。
「中身を手ですくって空に撒くんじゃ」
 ポロが袋に手を入れると、銀色の光の粉がふわふわと舞い始めました。
「わあ、きれい!」
「どんどん撒いていいぞ」
 粉は光りながら地上に向けて降っていきます。粉といっても、触っても何もありません。あるのは光だけでした。
「ねえ、サンタさん、これなあに?」
「ははは、ポロどん、今どんな感じじゃ?」
「うん、なんだか、とっても幸せな感じだよ〜!」
「それじゃよ、それ」
「え〜、幸せのもとなの?」
「そんなようなもんじゃ。効果は1回、期限は1年じゃ」
「それって、どういうこと?」
「この光を浴びたものは、何かのきっかけで幸福感にひたることができるのじゃ。ただし一回、そのきっかけも1年以内にないと効果がなくなる」
「じゃあさ、たとえば、秋に神田明神の境内でゆで立ての塩エンドウ食べて、おいしいなあって思ったことがきっかけで幸せになることある?」
「複雑な状況設定じゃが、もちろん、あり得るじゃろう」
「ふーん、ポロ納得しちゃったよ〜。いいなあ、北極星印、幸せのもと!」
「さあ、北海道は終わった。次は東北じゃ」
「東北って、福島県があるとこ?」
「そうじゃ。福島県にはいっぱい撒きたいのかの? たくさん撒いたからといって余計幸せになるというものでもないのじゃ」
「いいの」
 ポロは、福島県に光の粉をじゃんじゃん撒きました。埼玉県にもじゃんじゃん撒きました。東京なんて、もう力の限り撒きました。静岡県も同じくらい撒きました。岐阜県には、袋を逆さまにしちゃうほど撒きました。京都にもいっぱいいっぱい撒きました。広島県では袋の中に入り込んで、後ろ足で砂をかける要領でじゃんじゃんまきました。
「何をむきになって撒いとるんじゃ?」
「掲示板にね、書き込んでくれる人の住んでるとこにはいっぱい撒いたの」
「ひとつまみ撒けば、効果は公平なんじゃが、まあ、ポロどんの思いが伝わるということもあるじゃろう」
「そうだよ。いまね、岐阜県でね、お茶漬け食べて幸せだなあって思った人がいるに違いないんだから」
 最後に光の粉を撒いたのは波照間島でした。その頃には、ポロはすっかり光の粉にやられて、笑いが止まらなくなっていました。
「わははは。サンタさん、終わったよ、わはははは」
「おお、ポロどん、よかったのう。わはは」
 サンタさんも光にやられちゃったみたいです。わはは。わははは。
 それから、ドレッドノート号は作曲工房の近くの小学校にふわりと降りました。
「わはは。じゃあね、サンタさん。ドレッディ、乗せてくれてアリガト」
「うおっほっほっほ、ポロどん、また来年。あっはっは!」
「わはは。ごきげんよう、ポロさん。わはは。わはは」
 ドレッディまでが笑っていました。ポロたちは大笑いしながら別れました。スレーベルの音と笑い声が一緒になって空に消えていきました。

 作曲工房に帰ると、せんせいたちが笑っていました。
「わはは、せんせい、ただいま!」
「わはは、ポロ、どこ行ってたんだ!」
「そうよ、ポロ、どこいってのよ、あっはっは!」

 その頃、ポロが光の粉を撒きすぎてしまった地方では、みんなが笑い転げていたのでした。ゴメなさい、みんなポロのせいでした。

おしまい

先頭 表紙

ポロさん、ありがとう!お陰で幸せな気分になりました♪サンタさんからのプレゼントも来たし♪ / ミタ・ソウヤ ( 2003-12-26 12:56 )
みなさん、読んでくれてアリガトございます! / ポロ ( 2003-12-26 12:46 )
広島にも勢い良くまいてくれてありがとう。ポロちゃんのかっこうを想像するとクスッて笑ってしまいました。お陰でとっても心穏やかに過ごすことが出来たクリスマスでした。私はイブより25日の方が奥ゆかしくて好きです。 / のりちゃん ( 2003-12-26 11:07 )
東京にも横浜にもたくさんまいてくれてありがとう♪ 星を見ながら「なんかしあわせだなぁ〜」と思って帰宅したら本当に嬉しいプレゼントがあったの。いいお話をありがとう☆ / とねちゃん ( 2003-12-26 01:19 )
京都にもいっぱいいっぱい撒いてくれて、ありがとう。今日はとってもうれしい日でした。笑うと幸せになれるね。きっと森田さんも笑ってたと思います。 / こすもす ( 2003-12-25 22:38 )
福島県にも、粉をたくさんまいてくれてありがとう♪読んだら、やっぱり一人で笑い転げちゃいました(*^_^*) / moko ( 2003-12-25 20:44 )

2003-12-17 せんせい熱をだす その1

 その日の午後は演奏活動もしている美人のS先生のレッスンでした。せんせいはS先生の前では、いつもカッコつけてます。
「せんせいは、お風邪をひいたりなさいませんか?」
「はっはっは。この5年間風邪知らずですよ。気合いでがんばっています。風邪なんかひきません」
 せんせいは絶大な自信で答えました。
 その少しあと、たろちゃん(長女/中1/省略形は「ぴ」)の担任のせんせいから電話がかかってきました。
「たろちゃんが具合悪くて保健室で寝ています。迎えに来ていただけるでしょうか」
 ちょうど、試験中で早く家に帰ってきていたゴマのお兄ちゃん(長男/高3/省略形は「ふ」)が、迎えに行きました。
 たろちゃんは、熱とともに吐き気があって、ゴマのお兄ちゃんが看病に当たりました。
 たろちゃんの熱を測ってから、なんとなく足元のふらつくせんせいも熱をはかってみました。38.4度。
「がび〜ん!」
 じぶんの体温を知ったとたん、せんせいは立っていることもできなくなってしまいました。日頃から体温の低いせんせいですから、ふつうの人だったら39度くらいの感じです。ああ、天井がぐるぐる回っています。そういえば、食欲がなくて朝から何も食べていなかったっけなあ。そんなことを考えながら、ほんの1,2時間前のせんせいの健康に対する自信がガラガラと音を立てて崩れていったのでした。

 それから奥さんが仕事から帰ってきて、なぜか居間で仲良く寝ている2人を見て言いました。
奥「あら、2人ともどうしたの?」
せ「○△○※、〒◇〜!」
せんせいは、言葉にならない言葉を発しましたが、奥さんの目は、たろちゃんにだけ向けられていました。
奥「まあ、たろちゃん大丈夫? 水分とった?」
ぴ「うん、気持ち悪い」
奥「まあ、かわいそうに」
せ「■×▼★〜!」
せんせいも、必死に不調をうったえました。
奥「あなたはね、不摂生しているんだから当然の報いです。少しは反省しなさい」

つづく

先頭 表紙

2003-12-16 せんせい熱をだす その2

 夕食の準備の時間、せんせいは水分補給のためにダイニングに来てテーブルにつきました。ゴマのお兄ちゃんがキッチンを手伝っています。夕方の戦場です。そんな中でも猫のポロは、まだ地球語がとくいではないので、ダイニングテーブルに向かって大きな声で音読の練習をしていました。
ポ「キグチコヘイハ シンデモ クチカラ ラッパヲ ハナシマセンデシタ!」
奥「誰! そんなへんな本をポロに渡したのは?」
ふ「すぴ〜♪」
 ゴマのお兄ちゃんは知らん顔をして口笛を吹きながら炒め物をしています。
奥「ポロ、せんせいに風邪薬わたしてあげて」
ポ「はーい!」
 ポロは、第1格納庫(せんせいのおうちは収納にそれぞれ名前がついています)の薬箱から風邪薬をさがしましたが、見当たらなかったのでポロの風邪薬のカプセルを渡しました。ドーラ・メディコ製のヴォツェックというおクスリです。猫用だけど、ま、いいや。
ポ「せんせい、はい、かぜぐすり」
せ「あ、ありがとう。ポロ、おまえは親切だなあ」
ポ「気弱なときって、人のしんせつが身にしみるんだよ、せんせい」
 せんせいは、黄色いカプセルを麦茶でごくりと飲み込みました。黄色いカプセル。ポロはハッとしました。黄色いカプセルはヒケールじゃないか〜。
ポ「せんせい、たいへん。それヒケールだった! それもマエストロタイプ」
せ「うわっ、なんてこった」
ポ「5秒たつと効果が」
 と言っているうちにせんせいは鍵盤に見立てたテーブルをすごい勢いで叩き始めました。
せ「わあ、目まいがしてるのに指が動く」
ポ「せんせい、スタッカートばっかりの曲だね。曲を指定しなかったから、それって初期設定の曲だよ。何の曲だか分かる?」
せ「バラキレフのイスラメイだ! 一生弾くことはないと思っていた」
ポ「せんせい、なんだかカッコいいよ!」
ぴ「ねえ、とむりんがへんなことやってるよ」
その言葉で奥さんが気づきました。
奥「あなた、熱があるのに何ふざけてるのよ!」
せ「ち、違うんだ。止まらない!」
ポ「奥さん、ゴメなさい! ポロがおくすり間違えちゃったの」

 せんせいは、まるで世界的な大ピアニストのように演奏を続けました。ピアノの音が出ていないのに、ポロにはすてきな音楽が鳴りひびいているように聴こえたのでした。
 さわぎを聞きつけて、イチマルのお兄ちゃん(次男/中3/「海」)もやってきました。
 家族全員とポロが見守る中、音のない演奏会は続きました。だれもが、なんだか素晴らしいコンサートホールにいるような気がしていました。
 演奏が終わると、みんなから拍手が起こりました。でも、せんせいは立ち上がってその拍手にこたえることができませんでした。
 体力を使いきったせんせいはベッドに倒れ込んで、朝まで起きてきませんでした。

おしまい

先頭 表紙

2003-12-15 12月14日第1回作曲工房ポチヲ亭オフ会報告

 ポロでーす。ポロはオフ会に行けませんでしたが(shinさんは、音楽コラムをふかく研究しているので、真実はどこに、と、それをうたがっているとききました。さすがshinさん!)聞きかじった様子を詳しく(?)ご報告します。

 まず、皆さんがポチヲ亭にそろいました。たぶんせんせいは、お気に入りのシェフのポチ緒さん(せんせいがきのう命名)のお姿をしげしげと眺めて、幸せだなあっていう表情で席に着いたと思います(ポロてきに確信)。
 席順は、壁側が奥から甘夏さん♀、ミタ・ソウヤさん♂、せんせい♂、TackMさん♂、たまりんさん♀。通路側が奥からしおさん♂、shinさん♂、みわちゃんさん♀、o2kさん♂、おちゃめさん♀でした。せんせいは、両側とも男性だったのできっとがっかりだっとポロてきに思います。ミタ・ソウヤさんとTackMさんがそれぞれ隣と場所を交換すれば♂♀♂♀♂と並んで、せんせいにっこりです(ホント言うと、たぶん、せんせいはそういうことどうでもいい人です。というかセンスありません)。
 最初はせんせいの提案で他者紹介です。自分のことは言ってはいけません。適当にあることないこと何を言ってもOKです。shinさんなんて全員初めて会う人ばかりなので、きっと困ると思ったら、今日、ポロが人の姿で来てるかも知れないからとポロのことを話してくれたそうです。shinさんはポロのことなんて言ったのかなあ。せんせいの言ってる事って信用できないからポロしりたいなあ。ちなみにせんせいは「ポロさんは何も知らないふりをして、実は深いことを言っている。本当はすごい猫なんじゃないかと思います」と教えてくれました。ホントかなあ。ホントならうれしいなあ。shinさんていい人だなあ。誰かレスして教えてください。ポロってほめられるの大好き!
 それから、せんせいが徹夜で作った(うそ)記念曲集をみなさんに配って、きっと「バラードが入ってるから貴重品である、おのおのがた、くれぐれも大事にするのだぞ」と偉そうなことを言ったに違いありません。それから、せんせいが撮影した絵葉書3枚セットも配って、またきっと自慢したと思います。「はっはっは、篠山紀信かとむりんか、というくらいですよ。はっはっは!」 こんなところだと思います。
 ひとりひとりの発言内容もポロは聞きましたけど、ゴメなさい。長くなりすぎるのでほかの人のオフ会報告をお読みください。
 ポロがくやしいのは、shinさんの住んでる場所が当たらなかったことです。ポロはshinさんはきっと名古屋の近くの熱田神宮の近くの人だと思っていました。理由はポロの野生の勘です。でも岐阜県の人だそうです。ちょっと近かったかな。
 帰りにポチ緒さんが手作りのクッキーをおみやげにくれました。いい人だなあ。


先頭 表紙

そういえば、shinはイモようかんを食べたことがありませぬ〜 普通のようかんならモノリスちっくでしょうか(薄っ…)。 / shin ( 2003-12-16 22:47 )
shinさん。「ぽろ」ってニュートリノほとばしるイモようかんみたいなものでしょか? / ポロ ( 2003-12-16 10:54 )
岐阜県では、「韜晦」と書いて「ポロ」と呼びます。ホントです。ニュートリノもホトバシるくらいホントです。 / shin ( 2003-12-15 23:01 )

2003-12-09 ポロの肖像

文豪を終えて、疲れて眠るポロ。


先頭 表紙

いや〜、私も甘夏さんに「席を替わろうか?」って聞いたんですけどねぇ…甘夏さんが「惚れちゃいそうだからダ・メ・」って…後半はウソですけど(笑) / ミタ・ソウヤ ( 2003-12-15 12:44 )
おはなが…お口が…かわいい…(笑) / ミタ・ソウヤ ( 2003-12-15 12:39 )
ステキ!惚れた! / おちゃみ ( 2003-12-09 00:41 )

2003-12-08 ポロ、波動エンジンを作るの巻 その1

〜ポロさん、即席で波動エンジンを作ってください〜

 こんな、緊急の連絡が入ったのでポロはせんせいに相談しました。
「ねえ、せんせい波動エンジンてなあに?」
「なんだ、いきなり。波動エンジンというのは深宇宙に行く宇宙船のエンジンだ。移動距離は?」
「えっと420万光年」
「そりゃ、遠いな。もう少し近ければ身近な材料で自作できるが、それだとシュレーディンガー商会に行かないとダメだな」
「そのシュデンガンガーってお店どこにあるの?」
「神田淡路町の駅から歩いてすぐだ。神田警察のそば」
「けーさつー!」
「あ、ポロ、土浦警察でしぼられたんだっけな。はーっはっは」
「笑わなくたっていいじゃないか〜!」
「大丈夫。警察の前を通らなくても行ける。それより店の営業時間が変わっていて、毎週風曜日だけだ」
「風曜日ってなんだ〜?」
「曜日には火とか水とか土、金属があるのに空気がない。これは、一週間を決めるときに風曜日を日曜日と曜日担当官がミスタイプをしたものだ。ポロ、日曜日という名前を見て変だと思わなかったか?」
「そ、そー言われてみれば、日曜日だけすっごく変だー。わ、変に見えてきた。ヘンだヘンだヘンだヘンだ」
「風には太陽風の意味もあるから、日を太陽と考えれば日曜日もあながち間違いではない。月曜日は月光なので、本当は光曜日だが、こちらもミスタイプで月曜日になってしまった」
「せんせい、すごいねー、なんでこんなこと知っているの?」
「ははは、全部作り話だ」
「ひ、ひどいよー、全部信じちゃったじゃないかー!」

 ポロは夜になると、全財産の1200円を持って、神田淡路町を目指しました。地下鉄は猫を乗せてくれないので、ポロは信号待ちしていたホロ付きトラックに飛び乗りました。目が覚めると朝になっていました。信号で止まったトラックから飛び降りると、近くにあった電柱で場所を確かめました。丸の内1丁目って書いてあります。さっそくせんせいに電話して聞きました。
「あ、せんせい、ポロだよ。今ね、丸の内1丁目っていうところにいるの・・・。うん、そう・・・。えっ、もう近いの? ふっふっふ。ポロの野生の勘てやつさ、まいったか、せんせい・・・。うん、えっと、新丸ビル? どれだろ・・・。えっと近くに大きな建物があるよ。甲府市役所って書いてあるみたい。えっ、住所をもう一度見るの? えっとねえ、甲府市丸の内1丁目。わ、大きい声出さないでよ、びっくりするじゃない。えっ、ここじゃないの? え゛〜!! 山梨県てどこなの。せんせい、迎えに来てよ〜、ポロ迷子になっちゃったよ〜、びえ〜」

つづく

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2003-12-07 ポロ、波動エンジンを作るの巻 その2

 それから5時間後、せんせいは甲府市役所まで愛車ユードラに乗ってポロを迎えに来てくれました。あたりまえだけど、せんせい機嫌最悪。帰りはものすごい渋滞で、東京についたときには夜になってしまいました。
「夜になっちゃったことだし、せっかくだからシュレーディンガー商会によって行こう」
「えっ、せんせい、ホント! ありがと。もう、ポロと一生口きいてくれないかと思ってたよ」
「作曲してたんだ。1曲できた」
「なーんだ、機嫌悪いのかと思ってた。へ〜、どんなのどんなの?」
「機嫌悪いさ〜、最悪だぞ〜!」
「なんで機嫌悪い人がニコニコしてんのさ〜」
「いい曲書けたからだよ」
 そうこうしているうちに、東京しびれ大学と神田警察署が見えてきました。先生は真っ暗な路地裏のコインパーキングにユードラを停めると盗難防止装置を作動させて、スタスタと歩き始めました。路地から路地を抜けていくと怪しげなお店がありました。ここがシュデンガンガーっていうお店に違いありません。
 薄暗い店内には、太陽系の模型や木星儀、両極に大きな黒点のあるシリウス儀などがありました。カウンターの奥からいかにも商人ぽいおじさんが出てきました。
「これはこれは、とむりん様、お久しゅうございます」
「こちらこそご無沙汰しています。これはポロと言います。猫の星から来ました。ポロ、ご挨拶なさい。シュレーディンガー商会のご主人の松戸さんだ。松戸博士の弟さんだ」
「ポ、ポロです。バイエル58番なら弾けます」
 ポロは、緊張のあまり、あらぬことを口走ってしまいました。
「ほう、猫の星からですか。ところで、今日は何がご入り用でしょうか」
「えっと、えっと、波動エンジンです。420万光年タイプ。往復できるのがいいです」
「あ、それなら、その右の棚にキットがございます」
「わ、すごい!ホントだ。波動エンジンキットD型って書いてある。これでも中距離なんだ。一番遠くまでいけるのはどれですか?」
「その奥の方にZ型という距離無制限、つまり130億光年用がご用意してあるはずですが」
「これって、いくらですか?」
「はい、130億円でございます」
「ひゃあ! たか〜〜〜い!」
「そうでございましょうか。スペースシャトルやH2Aロケットよりもだいぶお買い得ではないかと存じますが」
「D型はいくらですか?」
「500万円でございます」
「やっす〜い! ねえ、せんせい、買おうよ」
「130億円て聞いたから安く感じただけだ。ポロ500万円も持っているのか?」
「ううん、1200えん」
「それじゃあ、ポロさんの出世払いということでいですよ」
「ポロ、買うよ、買う!」
 ポロは契約書にハンコがわりに朱肉をつけた肉球をぺたんと押しました。
「あ、そだ。インスタント波動エンジンが欲しいんだった!」
「それなら、わたくしの弟がやっているディラック商会で、真空乾燥させてやればお湯で戻す即席タイプになります。湯戻し3分です」
「よし、それでばっちり。せんせい、帰ってさっそく組み立てようよ!」
「もう眠いからポロ勝手にやりなさい。では、お世話になりました」
「どうぞ、またいらしてください」
 ポロが、古びたドアを閉じて看板をもう一度見ると、そこには営業日は風曜日のみと書いてありました。
「風曜日って、ホントじゃん」
「そうだ。作り話と言ったが、実は本当のことだ」
「え、どっちなの?」
「それはポロが決めることだ。真実はひとつ。人の言葉の中にあるとは限らない。ポロの真実を探る力だけが答えを知っている」
「まーた、いじわるなんだから」

つづく

先頭 表紙


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