土曜日
前夜から泊めてもらった友だちが高円寺でライブを見るので、始まる時間までいっしょにぷらぷらしようよ、と言うのでつきあうことにした。
なかなか、街を歩くって楽しい。
”オオカミの桃”というめっちゃおいしいトマトジュースが単品で売っていた店があった。
これって、ネットでしか確か買えなかったし、買えてもダース売りだったと思う。
1本1リットルで800円とかする。
それが単品で798円だった。安くはなってないが、1本で買えるだけでラッキー。
買って帰ってきた。
七夕の笹の葉と短冊を置いてある喫茶店の前を通った。
旧七夕が8月7日なのだそうだ。
友だちが短冊に願いを書いた。
”あのバカから連絡が来ますように”
私も書いた。
”THさんとデートできますように”
そんなことしてる自分に動揺して、少しコケる。
だって、デートしたいんだもん。夏の間に一度だけ。
いいじゃない。178cmと街を歩いてみたってさ。
思うの。
そんなに、そんなに好きなのかな?って。
最近営業マンのことより、全然、全然考えてる。
ほんとに心変わりしちゃったのかな?って。
そんなに、そんなに、本当にキミのことが好きなのかな?
キミの声が好き。仕事中もうっとりする。キミがどこかに電話をかけてる声がじんじんくる。
それで密かに元気になる。
その独特なリズムは何処で得たものなのかな?
パーテーションで区切られているから、悦に入っている私のことはキミには絶対ばれたりしない。
キミの立ち姿も好き。でもそれは見惚れると流石にヤバイので、我慢する。
ああ、キミに中身なんかなければな。
こんなにきっと気に入ったりなんか、しないで済んだのに。
ってやっぱり、こんなに気に入ってるってどっかで認めてるってこと?
YSは、”彼なんかとつきあってもつまんないよ”と言う。
大概の女からして、いい男には思えないつまんない男だと言う。
そんな男すら振り向かせられないんだから、情けないよな、といじわる言う。
だったら誰とも結ばれなくてもいい。
だったらもういい。
デートだけしたいな。ダメかな?
嫌いじゃないよね?でもデートとか誘ったら途端に引かれるのかな。
同じ会社じゃ、ぎこちなくなってしまうかな。
でも29歳は大人でしょう?
ああ、忘れちゃいけないんだ、5つ年上だってこと。
今は、半年近くは、6つ年上だけど。
普段話してて、年なんか意識したことない。ないけど、キミは
”年上だから範囲外”って欠片もそういう風には視線に入れてないのかな。
”合コン行ったらいいじゃないですか”とか言ってたしな。
もう、いいよ。
キミ以外の男に興味ないもん。
・・・ないの? やっぱそうなの?
まだ今なら、他に私に合う素敵な人がいるなら、そっちでもいいんじゃないの?
うまく行きそうだと思える相手でも、それでもうまく行かないんだってもうわかったじゃない。
年下もダメだって、わかったじゃない。
179cmの28歳の男はダメだった。でしょ。
178cmの29歳の男だってダメよ。でしょ?
思い知らせて、神様。私の望みはダメだって。
私だってイヤだよ。どうしてよ。どうして幸せにしてくれる人、
私が幸せにしてあげていい人に巡り合わせてくれないの?
私がまだまだだから?
まだ成長しなくちゃいけないってことね?
お願い。手を取って。
隣りに居て。ずっとよ。ずっと。
愛なんてなくていいから、
彼の代わりじゃなくて
キミ自身が。
隣りに居てよ、お願い。 |