himajin top
セブン○レブン物語

バイトの話しを書いていこうと思ってます。
でもその前に書きかけのお話しを終わらせないと。。。(怒濤の汗)

目次 (総目次)   [最新の10件を表示]   表紙

2001-04-16 伝承異譚 −−−−発端−−−−


2001-04-16 伝承異譚 −−−−発端−−−−

深い森を背景に城が建っていた。
何代も続く名主がこの城の持ち主。
住んでいたのは跡継ぎに恵まれない、年老いた伯爵だった。
暖かな春風の吹く頃、
若い奥方に赤子が授かった。
伯爵のよろこびようといったらなく、
城は、明るい笑いに包まれるようになった。

寒さの厳しい冬。
暖炉の前で伯爵は赤子を上に放り上げてあやしている。
「おお!笑った、笑った!」
「ほらほら、そんなに振り上げたら危ないわよ。」

赤子はきゃっきやっと愛らしく声を立てる。
まさに目に入れても痛くないと言うほどのかわいがりようであった。

数年、経った頃・・
赤子は成長し、端正な顔立ちと愛らしい笑顔を備え持つ子供になった。
城はますます、栄え、賑やかなものになっていった。

蒸し暑い夏のことだった・・

「おや、どうしたのだ!?」
伯爵は、心配そうに尋ねる。
「ごめんなさい。引っかかれたの・・。」
と少年は痛そうに指を抑えながら答える。
森に遊びに行っては行けないと、
危ないからと言われていた少年は、
怒られると思い、傷を隠していた。

「見せてごらん。」

「何に引っかかれたのだ?」

「白くて、綺麗な小猿がいたの。・・・ずっと森の奥に・・。」

少年の透き通るような白い指先は、
既に赤黒く変色しており、ただのひっかき傷ではないとすぐに見て取れた。
医者を呼び、薬を処方して貰い、
治るかのように思われた。

だが、傷跡は広がり、両手の指先も数日経つうちに、にわかに紫に、
足の先端部分も変色していった。
そして、秋になり冬が近づく頃、全身にも、まるで毒でも回るように広がっていく。
やがては、歯茎からの出血、そして、鼻血の出血、耳からも・・・。
身体中の粘膜という粘膜からの出血は止まらず、
既に少年の顔には死の色が浮かんでいった。
医者からは、諦めるようにと・・。

伯爵は、魔女とも、賢者とも、呼ばれる老女の話しを思い出す。
以前、旅人から聞いて話。
どんな病気も治せると・・。
すぐに伯爵は旅立った。
風の強い吹雪の中を。
誰にも場所は告げずに、
すぐ、戻るとだけ告げて・・・。

−−数日後、伯爵はやっと帰って来た。
赤い液体の入った
小さな小瓶を持って・・。

伯爵は迷う。
この小瓶は、副作用があるという・・。
もし、身体にあわなければ、即座に命を落としてしまうと告げられていた。
でも、もはや、一刻の猶予もなく、
少年の息は、絶え絶えにとてもか細いもので、
生きているのが不思議なくらいの有様なのだ。

婦人の見守る中、
かすかに開いた少年の唇に、
一滴、一滴、注ぎました。

少年は、僅かにひきつったかと思うと、
呼吸は止まり、
心音は消えてしまった。

伯爵は大急ぎで息子を抱き、名前を呼ぶ。
でも、返事があるわけもなく・・、

伯爵は、大声をあげ、泣く。
母親は、泣く力もなく・・。

数分経った頃だった。
伯爵の抱く我が子から、かすかな寝息が漏れてくる。

やがて、それはしっかりした呼吸に変わっていく。
驚いた伯爵は少年を見つめる。
先程まで、死の影を落としていた紫色の顔は、うっすらとピンクに、
色を失った唇は花びらのように艶やかに。

「おお!!
神はお見捨てにはならなかった。」

彼の喜びはいかほどだったのか。
最愛の者を死の淵から呼び出す事が出来たのだから。

でも、
これが全ての始まり・・。


つづきはまた・・。

先頭 表紙

ありがとうございます。嬉しいです〜♪ / 星くず ( 2001-04-18 01:22 )
これからたのしみにしまぁ〜す / お@はじめまして ( 2001-04-17 06:08 )
初めてのお客様、ありがとうございます〜(^^ゞ / 星くず ( 2001-04-16 23:40 )
星くずさま、いらっしゃいませ。システム管理者です。今後とも宜しくお願いいたします。 / システム管理者5号 ( 2001-04-16 23:37 )
↓とても〜良いのです〜♪ / 仙川@はじめまして〜♪ ( 2001-04-16 23:03 )
こんなの書いて良かったかしら・・(^_^;) / 星くず ( 2001-04-16 11:24 )

[最新の10件を表示] (総目次)