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ねむり猫の福だより ふくとねむりの近況報告

ふくは元気!飼い主ねむりは大衆芸能鑑賞にはまってます!

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2000-08-27 飼い主の寝付けない夜
2000-08-23 番外編 [饅頭猫]
2000-08-21 ふく、真夏の災難
2000-08-18 猫飼いの至福のとき ?
2000-08-16 福物語いつの間に桟敷席 飼い主池波調継続なるか?
2000-08-14 [ふく]の近況 1000 hits達成記念、チョットだけ [ふく]公開!
2000-08-13 番外編ふく物語 調子に乗ってR・チャンドラー調 Part2
2000-08-13 番外編ふく物語 飼い主調子に乗ってR・チャンドラー調
2000-08-10 番外編 ふく物語 (いま一度だけ池波調)
2000-08-09 番外編 「ふく物語」 池波正太郎調


2000-08-27 飼い主の寝付けない夜

飼い主、いつもは寝入りがすこぶる良い。
たまに寝付けないことがあっても、それは月曜には勤めに行かねばならぬと思いながら、ついつい最後までF-1を観てしまった時くらいである。

しかし、昨晩は例外だ。
ふくの寝息がすこぶる[大きく]、[気持ちよさそう]だったので眠れなかったのだ。経験はないだろうか、自分より先にトナリの誰かが気持ちよさそうに寝息を立てると寝付けなくなってしまうこと…。

敗因は解っている。普段勝手なところで寝ていて朝方になってベットに昇って来るふくを、昨夜「無理矢理」ベットに連れてきて満足しながら床についたのは他なら飼い主なのだ。「フハァー」「フスゥー」とか「ムニュー」とか部屋中に響くような大きな寝息をたてて爆睡する猫を横目に見ながら、八月も終わり近づいてもまだ寝苦しさ続く夜に、飼い主は右へ左へと寝返りを打つ。

昔、授業中に睡魔に襲われるた時、自分以外で寝ていたり眠そうだったりする友人を見つけると[急に目が冴える]なんてことが良くあった。長いときを経ても、かたちを換えてコレは飼い主にとって真実だったこと気がついた。

先頭 表紙

ねむり様、3,000ヒット達成おめでとうございます。 / こすもぽたりん ( 2000-08-28 13:20 )

2000-08-23 番外編 [饅頭猫]

[8月9日 番外編 ふく物語 池波正太郎調の続き]

盆もとうに過ぎたというのにまだずいぶんと蒸し暑い。あたりで法師蝉が鳴いている。

この日、女房はあまりの暑さから亭主の好きな[冷や汁]をこさえ井戸で冷やし込み、それに刻んで入れようかと、縁側から少し離れた塀際から三つばかり茗荷と採ってきた。
そこへ唐傘屋の徳次郎が「為八つぁんは、帰って来たかい」とひょいと表口から顔を出した。
「おや、徳さん。うちの人はまだだけど、そうそう今日は千駄ヶ谷のおたきさんからもらった瓜が井戸にあるから、ちょっと食べていっておくれ」と、徳次郎の話も聞かずにふいと出ていった。

すこしして、亭主の為八が戻ってきて家に入るなり、
「お〜い、おめぇ、今日面白いものを見かけたぜ」と言いかけるや徳次郎を見つけ、「なんだ徳さん来ていたか。おや、うちのやつは?」と訪ねた。
「為さん邪魔しているよ。おみねさん、今、瓜を取りに井戸口へちょいと…」と言いかけたところで女房のおみねが、種がついた長瓜を細長いまま櫛形に切り込み、そのまままな板に載せて運んできて、
「あれ、おまえさんも帰ったのかい。ちょうど、暑いからおたきばあさんからもらった[うり]を切ったところだよ」と、話しながらいつのまにか縁側に座り込んでいる二人の間に置いた。
「で、為さん、帰ってくるなり、[面白いもの]とは一体なんだい?」と徳次郎、瓜の種を縁側から飛ばしながらたずねる。
「そうそう、覚えているかいこの間の三毛猫の[ふく]?」
「ああ、あの饅頭猫だろう?」となにやら身を乗り出して答える。

実はあの夕立の日、[ふく]と呼ばれたあの三毛猫は、女房の好きな佐野六の饅頭を二つも[ペロリ]と平らげて、いつの間にかどこかへ消えたのだった。

「そうさ、今朝ね、神楽坂は本多伊豆守様のお邸の塀の上に、例の猫が身繕いをしているのを見かけたのさ」と亭主の為八、やや興奮気味に話して聞かせた。すると徳次郎も、
「いや、実は私もね、一刻(二時間)程前に本多様のお邸の横を通ったら、あの饅頭猫が塀の上を歩いている。で、[おい、ねこ、ねこ!]って声をかけたんだが、こっちの顔を見たんだが知らん振りし、ひょいと塀の内側に飛び降りちまってね」と続ける。
二人の話しを聞いていた女房のおみね、
「猫があれぽっちのことでおまえさんの顔を覚えている理由はないじゃないの」。
亭主は目を細めて思い出すように「いや、それにしても言われてみればなんとなく上品な猫だったような…」といい、徳次郎は徳次郎で「いやぁ、場合によっちゃぁ、私たちよりもずっと[ましな]ものを食っているかも知れねぇなぁ」としみじみと言う。

そこへ女房のおみね、瓜の最後の一固まりを口に押し込むや
「それにしてもたかが猫一匹、大のおとこが二人で、まるで昔の女にばったりと会ったように興奮して、おかしな話しだよ」とうそぶいた。

先頭 表紙

で、旦那、次の池正はいつ頃になりやすかねい? / こすもぽたりん ( 2000-08-25 17:57 )
霊障はないと思われますのでご安心ください。 / 泉木 ( 2000-08-25 16:33 )
旦那、『泉坂百物語』も今回、お猫様モノですぜい。 / こすもぽたりん ( 2000-08-24 15:41 )
とことんさん、それだとチャンドラーの方が合うかもねぇ。 / ねむり ( 2000-08-24 10:10 )
せみが鳴いて、縁側の風鈴がチリンチリンなってる情景が目に浮かぶぅ。やっぱり日本語はいいねぇ。しみじみしちゃう。 / ミーシャ ( 2000-08-23 21:13 )
いやいや まことに結構でござんす。 めす猫の色気は人間の男をも迷わすのか??次回はふくの色気にはまったおろかな男が殺人を犯すってのはどうです? / とことん ( 2000-08-23 13:34 )
いやあ、いいですなあ。 / こすもぽたりん ( 2000-08-23 11:29 )

2000-08-21 ふく、真夏の災難

コスモポタリン先生、やはり嫁と子供とペットの自慢話はお嫌いのようだ。しかしそれとわかると、疲れて萎えていた気力を振り絞っても「何としても福日記を書かねば」と、どこまでも天の邪鬼な飼い主である。

飼い主、今年はやぶ入りの休みも夏らしい水遊びもこの旧盆過ぎまで一切ない。貧乏暇なしとは飼い主のことだ。しかし夏ならば[舟遊び]。一日くらいは日ごろの憂さを忘れて羽目を外してもお天道様は許してくれるだろう、ということで、その日は朝から沼津へ繰り出して、久しぶりの[舟遊び]としゃれ込んだ。

ふく、朝早くからバタバタ準備に励む飼い主の様子を見て、既に不信感でいっぱいの様子だ。前の日も大して真剣に遊びの相手をしなかったのに飼い主がまたもや出かけようとしているだから「…ったく、たまの[おなら]位でブツブツ言われるのはこっちが割に合わない」くらいのことは思っていたに違いない。飼い主それでも餌をあげるなり家を出た。

久しぶりの舟遊び、富士山こそは夏雲に隠れて見えないが、天気といい風といい、舟遊び日和とはああいう日を言うのだ。波に揺られてうたた寝したり泳いだりと、したたか遊んで、さて帰ろうかという時、おりしも風は南風、帆を揚げて舟はのんびりと船着き場を目指す。岸が近づくころになると、海面にウミネコが漂ったり「ミャーミャー」啼きながら飛んでいた。ミャーミャー…ウミネコ…猫…ふく…?。飼い主、一瞬嫌なことを思い出してしまった。この好天東京はさぞ熱いだろうが、クーラーを付け忘れてきたような…。いやいや、まだ決まったわけではない、ちゃんと点けている可能性もあるはある…とかいろいろ気を紛らわせなたがら。しかし、本当ならふくは[怒りで仁王立ち]しているに違いない。

気にしながらも、ついついだらだら過ごし、家に着いたのはK-1も準決勝と佳境に入った時間。ドアを開けるなり熱気がムッと体をつつむ。ふくは[仁王立ち]どころか、疲れて元気もでないといった具合だ(否、もしかすると爆眠のし過ぎか)。ともかく見ると室温30度。昼間はさぞ暑かったに違いない。飼い主心に疾しいことがある時の癖で、ひたすらふくの肩をもみながら謝る。「悪かったふく、他意は無い…」。意外に素直なふくであった。なぜ?

先頭 表紙

いやいや、ペットの話に興味はありませんが、今日こそまた池正かと思うとつい足が向きますんです、はい。 / こすもぽたりん ( 2000-08-22 13:31 )
それにつけても、読んでくれてありがとう。 / ねむり猫 ( 2000-08-22 08:53 )
私が嫌いなのは、他人が見た夢の話。これほど聞いていてつまらないものはない(でも、一応聞いてはいる)。で、嫁、子供、ペット話は、話すら聞いていないのです。始まったとたんに、「まただよ〜」と耳を塞いでしまうのです。親バカにつけるクスリ無しというか、なんというか。「ねえ、本当にうちの子って、カワイイでしょ〜」とか言われたって、返す言葉がないでしょ。聞こえない振り、聞こえない振り。何にせよ、自慢話は、嫌いです。 / こすもぽたりん ( 2000-08-22 01:26 )

2000-08-18 猫飼いの至福のとき ?

飼い主、忙しさにかまけて福日記をサボっていた。それでも「忙しいのかHimajinなのか、はっきりしろ!」と自分に言い聞かせながら、奉公途中に気分を紛らわすために別の日記は読みまくっていた。

さて、ふくである。
今朝は、猫飼いが猫飼いである幸せを[存分]に実感できた幸せな目覚めだった。午前4時53分ほどの地震で一瞬ビクっとし、そのあと再び寝入った飼い主は、7時前に自然と目が覚めた。
うつ伏せで顔を左に向けて寝ていた飼い主が目を開けると、15センチほど前に同じく頭の下に両の手をいれて[うつ伏せ]でこちらを向いて寝ているふくを見つけた。少し開いたカーテン入ってくる明るさが白いシーツとふくを包み込み、あたりは神々しいまでの雰囲気だ。

「なんと、穏やかな寝顔!」飼い主、朝から興奮気味だ。「うっ、これはシャッターチャンス!」と、最近入手したレンジファインダーのカメラでこの[ふくという女神]を撮りたかった飼い主だが、同時にこの野暮な行為でふくが目覚めては勿体無い、しかもこのふくの居る生活は既に日常なのだ、と自分に言い聞かせてカメラのことを頭から振り払う。

そっと手を伸ばし手のひらを下にしてふくの顔の横にそっと置くと、ふくはほとんど目を閉じたまま頭を手の甲にのせる。猫バカ(オヤバカ)には[たまらない]瞬間だ。このまま時間が止まれば、と思ったほどだ。

一瞬ふくがちょっと動いた。人間ならば、朝の光の眩しさが気になりながらもちょと寝返りして「うっ〜ン」てなものだろう。

「ふくは可愛いなぁ」と思った1秒後に飼い主は愕然とする。
ふくはおならをしていたのだ。少しだけ体を動かしたりしてまるで人間だ。
「ったく、このデブ猫!」

先頭 表紙

ニンゲン以外の動物って、みんな「すかしッ屁」なのだろうか?少なくともふくの「音」は聞いたことが無い。 / ねむり猫 ( 2000-08-21 23:54 )
アー!解るなぁ。至福のときですよねぇ。今朝私は最愛の息子マフ(♂猫)にペロペロされて起こされて、うれしいような痛いような。。。でも起きられなかった・・・。おならの落ちが、最高だ!!! / ミーシャ ( 2000-08-19 15:00 )
犬がおならをする事は知ってましたが猫もするんですね。(ウサギもするのかな) / イナホ ( 2000-08-18 23:01 )

2000-08-16 福物語いつの間に桟敷席 飼い主池波調継続なるか?

世間が「やぶ入り」であちらこちら閑散としている中、いち奉公人に過ぎない飼い主は奉公先で休みも許されず異常に忙しくしている。疲れきって泥のように眠ってしまった翌日、久久に日記を開けるや「ねむり猫の福日記」は特別席に置かれているではないか!しかも池波正太郎云々と…、あれほど「そうは書けません」と告白しているにもかかわらず、である。日記管理人の無言のプレッシャーを感じている飼い主であ〜る。その辺のところは、書けるとき自由な気持ちで[それ風]に書いてみようという心づもりだ。

実は、池波調、書いたはよいが「登場人物名、そっくり同じなのはまずいのでは?」と小心者の飼い主、実は大変心配している。おいおい、人物名をこっそり変換してみるつもりだ。
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それで、[ふく]である。若干池波調を混ぜ込んで書けば、
ふくは、飼い主と暮らして丸二ヶ月。最初突っ張ったお嬢さんだったふくも、どうやら真剣に飼い主を[好いてきた]ようだ。

「飼い主が両の手でふくの肩口をつかんで、顔を見据えるや熱い息と一緒にうわごとのように[ふくはかわいいねえぇ]とささやきを吹き込みつつ、いつの間にか、右手でふくの首筋から背中を撫でまわす。ふくは、はじめのうちは少しばかり嫌がるそぶりもみせたが、飼い主にからだのどこをどうされたのか、それもわからぬままにいつの間にか、うっとりしていた……」という風だ。

飼い主のほうも、なにせ太った猫が好き。仔猫はかわいいが、どうしても、
「よしやがれぇ、すきで抱いているやせ猫じゃねぇ。肌触りは悪くぁねえが、なにしろ忠吾、細くて小さくて、あれじゃあまるで玩具(てあそび)をいじっているようで、おもしろくもなんともねぇ」となる。
そうなると、しつこいようだが、
「あのでっぷりした[ふく]の、むっちりした肉置き(ししおき)とたっぷりした太股を擦りあわせりように歩くうしろ姿が[どうもたまらねぇ]ということになるのだ」。

牛蒡のような女を好んで[呼んだ]茶屋の客は江戸の時代にはおそらく数えるほどだったろう。それが今の世の中、牛蒡のような細い身の女に熱を上げている若ぇ者のほうが多いのは間違いあるまい。

先頭 表紙

美鈴よ、何処へ。いざ参らん、六本木Chick。 / チャーリー ( 2000-08-20 12:01 )
↓美鈴とか? / クジラのおじさん ( 2000-08-17 21:11 )
あたしゃ、牛蒡系の女性にゃ、ちとうるさいんでやんす。(150センチ以下希望 / お気楽なチャーリー ( 2000-08-17 17:57 )
とことんさん、おそらく「いの一番」にリストラ部長を読んでいるせいなのであーる。チャーリーさんは、牛蒡女系? / ねむり猫 ( 2000-08-17 12:54 )
今度は鬼平犯科帳の『牛蒡女』ですかい?いいですねえ。 / 飲みすぎのチャーリー ( 2000-08-17 12:09 )
眠り猫様 特別席へのアップグレードおめでとうございます。これでますますヒット数を更新できると良いですねえ。でも時々文調がリストラ部長っぽいのはなぜ? / とことん ( 2000-08-17 09:22 )

2000-08-14 [ふく]の近況 1000 hits達成記念、チョットだけ [ふく]公開!

飼い主がしばらく本題を離れているうちに、身近な方々から[今のふくの様子]について質問をいただいた。「フィクションもいいが、デブのふくはどうしている?」と。

実は、ふくの生活には大きな変化が起こっていた。番外編チャンドラー調をもしもあなたが最後まで読んだなら察しがついているかもしれないが、飼い主、とうとう[ふくに屈して]えさをグレードアップしてしまったのだ。

いままでの[フリスキー]のレギュラー缶だって、ミックスとかマグロの血合いっぽい缶以外は、飼い主が見てもなかなか[おいしそう]だったのだ。しかし、夏バテかと心配したあの食欲の無さは、他に悪いところの無かったふくには、やはり[食への不満]以外の何モノでもなかったのだ。エサ換えてから、喜んで食べること食べること…。Marine Clubのキャネット、モンプチ・ゴールド、CIAOなど小型で[だし]が良く効いていそうなものが今の好みらしい。

おかげで、フリスキー時代は175g程度の一缶を朝夕に分けて与えれば良かったものを(乾燥タイプは別として)、今は75gから85gくらいの小型缶を起き抜けに一缶開けると、飼い主が仕事に出かけるまでの間に食べきってしまうのだ。日中のことを考えるともう一缶開けてあげて(それをふくは日中何回にも分けて食す)、帰って一缶、計一日三缶。明らかに以前より沢山食べる。しかし、ふくのいたって健康そうな様子(最近は良く遊びたがる)と元気な啼き声、そして色艶よいたっぷりのウンチを見ると三缶はむしろちょうど良いようだ。

一度格上げされたエサの格下げは猫の世界では不可能だ。くやしいから一度、飼い主も食して報告してみたい。噂では可也[いける]らしい…。どうでもいいが、池波正太郎調2編目文中で思い付きで書いた[ねこまんま]も多分美味しい筈である。


先頭 表紙

よっかたですね。これからも頑張って。 / ニャンコ先生 ( 2000-08-16 16:48 )
俯瞰でのお姿、背中に色気があっていいですねえ。是非今度は正面から見据えてみたい。フリスキー・モンプチは大変おいしそうなので試してみてください。特に海老の。 / ちび ( 2000-08-15 10:32 )
トップ10入りおめでたう。やはり猫人気はすごい。それとも池正人気か? / ぽたりん ( 2000-08-15 10:29 )

2000-08-13 番外編ふく物語 調子に乗ってR・チャンドラー調 Part2

--なぜこんな長くなったの、で続きです--



「いや、お気遣いなく」。マーロウは喉の渇きを覚えていたが、このフロリアンにとびきりのドライ・マティーニをお願いする気にはなれなかった。
「で、お話は何なの?探偵さん」
「マーロウで結構です。では本題にはいります。ジェームス・マロイをご存知ですね」
「ええ。また何か彼はあたしに言えないことがあるの?」

「実は、あなたが今のシェフ、フリスキーを首にして、ロデオ・ドライブのレストラン[Marine Club]のキャネットか[Mont Petite]のゴールドに変えてくれないか、という件なのですが…」
「ああ、マロイったら、これ以上シェフをとっかえ引っ返しないで、今のシェフで満足してくれないかってことなのね」
「まぁ、簡単に言えば彼の要求はそういうことです、フロリアンさん」。
「確かに、彼は私に何不自由無い暮らしをさせてくれるているわ。だけど、普段あたしはこの邸で一人ぼっちに暮らしているのよ。食べ物位、いつでもあたしの好きなものに代えてくれたって、それはわがままじゃないと思うわ!どうお思いになる、えぇ~と」
「マーロウです」
「そう、マーロウさん」といいながら、女は体を起こして一直線上を歩くように腰をくねらせながらバーカウンターに向かい、クーラーから開いている冷えた白ワインを取り出して、グラスに注ぐと一口飲んだ。

私は基本的に女、それも飛び切り美人には滅法弱い。ここは一時間100ドルの探偵料を頂戴し、プラス75ドルの成功報酬はなかったことにしよう。
オフィスに戻って電灯のスイッチをひねり、デスクの引き出しからオールド・テイラーのハーフボトルを引き出し、ぐっと一口のみ、下の上でウィスキーを転がした。そして電話を引き寄せ、マロイのダイヤルをまわした。


先頭 表紙

ミーシャさん、チャンドラーここの所読んでないのだけれど、マーロウって「美人に滅法弱い」んでしたっけねぇ?書いてて忘れちゃって・・。 / ねむり猫 ( 2000-08-14 23:20 )
いい!いい!!私も大好きだった。チャンドラー!今度はアガサクリスティーでお願いしますぅ。今度マルハの金缶お届けします。。。うちのこ急にいやだ!いうのです・・・。 / ミーシャ ( 2000-08-14 21:39 )
頑張れ「ふく」、もうすぐトップ10入りじゃん! 1,000ヒットも達成したし。 / こすもぽたりん ( 2000-08-14 19:20 )

2000-08-13 番外編ふく物語 飼い主調子に乗ってR・チャンドラー調

池波正太郎調二編書いただけでこのヒット数の増加は何だ!私の敬愛する池正の新作はもう世に出ることはないわけで、新しい作品に[触れてみたい]気持ちを多くの皆さんがお持ちなのか…。しかしながら、書き続けることでその作品を汚すわけにもいかないので、それは又勉強し直すとして、こうなったら楽しむしかないと腹をくくった飼い主であ~る。今度は思いっきり雰囲気を変えてレイモンド・チャンドラー調でいってみる(チャンドラーって今も読まれつづけている?)。果たして何人最後まで読むか。ちょっと楽しみである。

-----諸般の事情により登場人物名変更しました-------


(ご存知) フリップ・マーロウ ………私立探偵
フロリアン (なぜか日本名[ふく])………猫のような女、マロイの愛人
ジェームス・マロイ………今回の依頼人、美術商。金に物を言わせてフロリアンに何不自由内暮らしをさせているが大変な小心者。

公園に沿った道を北に進み200ヤード程走ったところにその邸はあった。
ビッド・バレーの西の端、ビッグマウンテン10526番地。
玄関へのアプローチ沿いに真っ赤な花をつけた大きなザクロの木が、南カリフォルニアの抜けるような青空に映えている。
呼び鈴を押したが、人の出てくるけはいはない。ノブに手を描けると果たして鍵は掛っていなかった。そのステンドグラスの組み込まれたど背の高いドアを手前に引き、邸に足を踏み入れる。夏の日差しに慣れた目で邸内の様子を把握するのに少し時間がかかったが、きりっと冷えた室温は心地よかった。
あたりは静まりかえっていた。磨き込まれた大理石の広々としたロビイの向こうは天井まで大きなガラス窓で覆われていいて、ガラス越しに手入れの行き届いた芝生の庭が見えた。パームツリーがそよぐでもなくそれを取り囲んでいる。

庭を右手に見ながらガラスづたいに進むとそこは大きなリビングだった。ふと人影が動き私は足を止めた。抜ける様な白い肌を持つ飛び切り美人のブロンドの女が12フィートはあろうかと言う大きな革張りのソファで横になっていた。
「失礼、ドアが開いていたもので」
「あなたは?」腕を伸ばし頭だけ持ち上げて女が聞く。
「マーロウ、フリップ・マーロウ。私立探偵です。あなたがフロリアンさんですね」
「そうだとしたら、何の様?ハンサムな探偵さん。……それより何かお飲みになる?」女は警戒するでもなくどこまでも猫のように優雅にしなやかに体を起こした。

-------何、長すぎる?では、この続きは次号へ!-------

先頭 表紙

2000-08-10 番外編 ふく物語 (いま一度だけ池波調)

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諸般の事情により、登場人物名に変更があります
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梅按はその日、品川台町の家を出ておもとを訪ねて浅草・橋場の料理屋[井筒]に向かう途中、大川べりでまできて駕籠を降りた。
「今年は長い夏になりそうだ」と、仰いだ空から大川へと目を移したまさにその時、十間ほど先の道端で、どこかの無頼者が太刀を引き抜きなにやら小さなものに切りかかろうとしている。見やるとそこには逃げようとしてすくみ上がっている三毛猫が一匹。梅按すかさず、
「旦那さま」と声をかけ、一瞬、無頼者がひるんだところで「よろしければその猫をわたしにゆずってはもらえないでしょうか」と声をかけた。梅按、ことばは丁寧だが、黄八丈に身を包んだその六尺はあろうかという立派な体格に無頼者はすくみ上がり、
「勝手にしやがれ」とその猫に手をかけずに立ち去った。

長いこと締め切った長屋の中で楊子つくりをしていた彦二郎のもとに、
「彦さん、悪いがこいつに何か美味いものでも食わしてやってくれないか」。
と梅按がその大きな手に器用に三毛猫を抱え込んでやってきたのはそれから一刻ほどしてからだ。

三毛猫を置くや「すまんがたのむ」と、ふいと立ち去った梅按を気にするでもなく、彦二郎は立ち上がり猫の飯の支度にかかる。
魚売りが置いていったかつおの、端っこの身を細かく切りこんで冷や飯と一緒にたたき、それにほんのすこしばかり夕べの残りのだし汁を[さっとかけまわし]を自分のめし茶碗に盛りつけ、彦二郎は土間口に置いた。
こんな支度はひとりのながい彦二郎には[わけも無い]ことなのだが、この「客」しばらく部屋の隅にでじっとして彦二郎の動きをじっと見詰めたまま、せっかくの[かつおめし]に飛びつこうともしない。

[なんだか愛想のねぇ猫だなぁ]と彦二郎が思ったとき、すっくと立ちあがった猫は一旦腰を丸めて両の手から肩伸ばしてからゆっくりと土間口に向かった。良く見るとふっくらとしたその三毛猫の、むっちりしたしし置きと、たっぷりした太股を擦りあわせるように歩くその後ろ姿を見るとも無しに見ていた彦二郎は
「おっといけねぇ」と、勝手口にむかいや瓶から水をすくって一口に飲んだ。

先頭 表紙

そうですねえ、テレ朝通りと言わないと解らない人ばかりになってしまいましたが、あそこは材木町。IBMがあるあたりは箪笥町ですねえ。麻布のあたりに行きますと、永坂町やら狸穴町やらが残っていて、嬉しいですねえ。というわけでねむり猫氏、これだけ読者の期待を集めてしまっては、やはり池正ワールドでもう少し走らねばなりませんなあ(プレッシャー) / こすもぽたりん ( 2000-08-11 14:08 )
この池波ワールド本当によござんす。そういえば亡き池波先生のエッセイの中でストーリーを書き終えるきっかけを作ってくれた愛猫に御褒美として甘海老のお刺身をあげたっていうくだりがあったなと思い出しました。今日帰ったら読んじゃおうっと。 / とことん ( 2000-08-11 13:39 )
力量不足だなんて、御謙遜を。あっしなんかも、どうも、田村町とか霞町とか言わないとだめなくちなもんで。あっし、思うんですがね、首都高速道路公団、とってもえらいと思うんですよ。え、なぜって、高樹町なんていう、粋な名前を残しているぢゃぁありませんか。西麻布なんて、願い下げでございますよ。 / 口車大王 ( 2000-08-11 12:11 )
ほんとうに、私、池波先生続けるには力量不足、勉強して又出直します。それにしても、猫とは色っぽい生き物です。 / ねむり猫 ( 2000-08-11 08:52 )
いいですねえ、いいですねえ。 / こすもぽたりん ( 2000-08-11 03:09 )

2000-08-09 番外編 「ふく物語」 池波正太郎調

あちらこちら(こすもぽたりんさん8/9、烏丸さん8/9)で池波正太郎の話が続いたので、福物語も今日は気分を変えて・・・。
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諸般の事情で、登場人物の名前がかわりました
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この日も蒸し暑く、夕暮れになるといつの間にか曇ってきて「あら嫌な、またひと雨…」女は大通りから路地をまわり小走りにいそぐ。時折遠くで稲光がはしっている。

その牝の三毛猫はある日突然やってきた。
女が、昼過ぎに麻布本村町の遍照寺の門前にある[佐野六]という茶店に出かけ、名物の佐野六饅頭を買い求めて家に戻ると、降り始めの雨も気にせず、女の亭主は、四谷見附の弥七と唐傘屋の徳次郎と縁側の縁に座って酒を呑んでいる。

おそらく雨をさけ、塀づたいを歩いているうちにまぎれたらしく、いつの間にかその三毛猫は三人の男が何やらにこやかに話しているのを凝(じぃ)と静かに見ている。
亭主がとっさに「ふくや、おいで」と声をかけると、ふくと呼ばれたその猫は腹でも空いていたのかゆっくりと近づいてきて五尺ほどのところで立ち止まり、下から伺うように三人の顔を眺める。徳次郎が
「ふくの顔は憂い顔でございますねぇ」と言ったと同時に、ふくはひょいと縁側に上って近づいてきた。近寄ったところを亭主がひょいと抱き上げると、三毛猫は逆らいもせずおとなしく抱かれている。

女房が買ってきたばかりの佐野六饅頭を契って[ふく]に与えると、はじめは珍しそうにしながらもその一片を咥えたまま亭主の膝からするりと降り、一旦縁側に饅頭をおいてから味わうように嘗め回してぺろりとたいらげ、いま少し欲しそうに目で女房を追う。亭主が
「ほう、甘いもんも好きかぇ、やっぱり女だなぁ」、と話しかけると、ふくがかすかに啼いた。

<この物語はフィクションです>

先頭 表紙

うちのモカは洋菓子派。。。う〜ん、さすがだは!今度は。。。ハードボイルドタッチをきたいしちゃおう / ミーシャ ( 2000-08-10 21:37 )
続けられれば続けてみたいが、センセイ方の前ではなかなかそううまくもいくまい。 / むり猫 ( 2000-08-10 12:32 )
いいねぇ〜。にゃんこといえば、ぜひ谷崎調でもやってみて! / 武州 ( 2000-08-10 12:08 )
飼い主様お見事。池正ファンとしましては格別の喜びです。次回は白砂糖をふりかけただけの冷やし白玉を食べるシーンをぜひ取り入れて頂きたいもの。ふくの反応を期待します。 / とことん ( 2000-08-10 11:50 )
おお、よろしゅうございますな。当面、池波正太郎調をお続けになってはいかがでしょうか。期待しておりまする。 / こすもぽたりん ( 2000-08-10 09:03 )

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