ふくのトイレは飼い主のトイレの右隣にある(ペットルームの無い庶民の悲しさである)。並んでトイレ、何てこともあるのだ、いや本当の話。普段トイレの扉は閉まらないよう最新の注意を払って出掛ける飼い主は、昨晩帰宅後いつもより強めにパタンしてしまったらしい。もちろんカチャっと音がするまで閉めたわけではない。
本題に入る前に・・・、ふくは爪を立てたり、引っかいたり、無理矢理引っ張たり噛み付いたりという飼い主の困るようなことを[一切しない]かなり行儀のいい娘(こ)だ。過去の複雑な猫生から、猫なりに人間との共生の仕方を体得してきたのだろう。
さて、昨晩のふくである。飼い主はテレビを横目で見ながらソファで新聞を読んだりしていた。ふくはやたらとトイレ付近に行っては戻ってくる。最初はさして気にかけていなかったものの、3回目くらいになると流石にこちらも「アレっ?」という気になり、次の機会にそっと後ろからふくを見守ることにした。皆さん「ドラえもんの手」をご存知だと思う。ふくの手はまさしくそれ、手首に力が入ると白い手先に大き目の白玉をつけたようになるのだ。閉まりかけている2〜3センチ弱の隙間にその白玉状が太くて入らないらしい。手を近づはけて(なぜか頭も隙間に対して平行に傾ける)一旦下に降ろし、ためらい、もう一回隙間に近づけてみてはうつむく。そう、隙間に爪を引っかけて開けることに抵抗があるらしい。これがもしも飼い主の外出中の出来事なら、無理に開けてふくは[何かの殻を破る]ことが出来たのだろうか・・・?
ともあれ、トイレを我慢していたふくには大変悪いが飼い主はドアを全開するなりソファに戻り、[ドラえもんの手]を思い出して大爆笑した。砂を蹴る音がみょ〜に大きかった。 |