himajin top
口車版「雑学の泉」

 
なんで,こんなにいろいろなどーでもよいこと,知っているのでしょうかねぇ。



口車筆無精乃介、IT業界を語る  口車大王「旅のおもひで」

ふぁんレターはこちら

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2000-09-16 [近況]口車、ピーンチ! その1 アムステルダム経由ストックホルムの荷物
2000-09-16 [近況]ストックホルム、とっておきの一枚
2000-09-14 [近況]口車、ストックホルムにて
2000-09-11 [書評]『国際標準が日本を包囲する なぜ自らルールを作らないのか』藤田昌宏/河原雄三 / 日本経済新聞社
2000-09-10 [書評]『ホワッツ・マイケル』小林まこと / 講談社
2000-09-09 [昔話]口車、闇ドルについて語る 後編
2000-09-09 [昔話]口車、闇ドルについて語る 前編
2000-09-08 [書評]『日本語練習帳』大野 晋 / 岩波新書/岩波書店
2000-09-07 [書評]『ポーランド』ジェイムズ・A.ミッチェナー/ 工藤幸雄訳/ 文藝春秋
2000-09-06 [昔話]口車、「そこ」について語る その8 完結編


2000-09-16 [近況]口車、ピーンチ! その1 アムステルダム経由ストックホルムの荷物


 皆さま、お待たせいたしました。12日に日本を発って以来、本日でスウェーデン5日目を迎えました。会議があったりとか、アクセス時間に制限があるとかでなかなか日記をアップできませんでしたが、まとめてお送りいたします。

 今回、なかなか大変でございました。

 朝5時まで寝込んでしまって、そこからまだがたがたパソコンに向かい、やっと7時半に家を出て箱崎に行ったら、「もうチェックインここでできないから、空港へ行ってくれ。」と言われてしまいました。くそ。それでもすぐ出るバスに飛び乗り、成田の第一ターミナルへ。空港のチェックインカウンタでは、私が最後から3人目でござんした。そして、待ち行列の最中にカウンタの上の掲示板を見ると、10時25分発が11時に遅延。あうぅ。いよいよチェックイン。開口一番係の人が、「アムステルダムでの乗り継ぎ、間に合わないかもしれません。」と言われてしまいます。あうぅぅ。さらに、「非常口の前の席があいている。」という、普通真っ先にふさがる席が空いているという、信じられない座席のあきかたでそこを押さえましたが、乗ってみて納得。ドアのカバーががばっと前に出ていて、足がちゃんと延ばせない。ま、それでも目の前は広いし、すっちー対面席で退屈しないし、ギャレーのすぐ脇なので便利ではありましたけれど、ここで足に負担がかかったのが、後々の災難につながるとわ。

 実際の出発はさらに遅れて11時10分。実に45分遅れたことになり、アムステルダムでの乗り継ぎ時間が1時間10分だったのが25分に。これではとても間に合いません。出発してから機長が、「がんばってばん回する」なんて、ほんまかいなみたいなことを言っていましたが、ほんとに頑張って到着は15時10分の予定が15時25分に。なんと、15分遅れで済みました。

 さて、これで人間様は16時20分出発ですから間に合うとして、到着直前、機内アナウンスで、「フランスのトラック組合のストライキの影響で、到着してから実際に飛行機降りられるまでに、時間がかかるかもしれない。」なんてことを言い出します。ということは、通常乗り継ぎ便の荷物積み替えには50分かかると離陸の時にスッチーが言っていたので、荷物が間に合うか微妙なところ。なんで、フランスのストライキがベルギー飛び越してオランダに波及するのか、よう理解できません。国境が陸続きの、日本では理解できない現象です。

 ところで、成田からアムステルダムへの飛行機、ストックホルム上空を通るんですよ。往復、3時間も時間無駄にするわけ。くっそー。

 しかしまあ、スキポール空港はなんて広いのでしょうか。間に合うとは言え、微妙な時間なので、小走りに乗り換え便の搭乗口に向かいます。空港の地図見ると、普通に歩いて、なんと20分かかるとなっているではありませんか。とんでもない空港です。

 案の定ストックホルムについてみると、荷物取りのところでいきなりアナウンスあり。やはり荷物は間に合いませんでした。あとから届けるから連絡先教えろと言われる。しかし、13日からは予約してあるが、到着日の12日の宿は決まっていないので、連絡先を教えてもらって、預かり証をもらいました。

先頭 表紙

2000-09-16 [近況]ストックホルム、とっておきの一枚


.
 口車でございます。皆さんの日記を読んでいるだけで、本日のビジネスセンター店じまいの時間を迎えてしまいました。

 ということで、ストックホルムとっておきの一枚です。

先頭 表紙

旦那、なんか写真が急にでかくなっちまいましたぜい。 / お久しぶりのぽた公 ( 2000-09-16 21:26 )
口車、7年ぶりのヨーロッパです。飯はうまいし、ねーちゃんはきれいだし。スウェーデン最高!! / 口車大王 ( 2000-09-16 18:04 )
泊まっているホテルの食堂で撮った写真です。後方後ろ向きTシャツ姿が、パパです。 / 口車大王 ( 2000-09-16 18:01 )
ポーランドは今までの海外旅行の中で一番異国情緒が味わえました(英語が通じなかったので)。アウシュビッツに再び行く勇気はありませんが。次は北欧と思ってたら子供が生まれ、以来海外旅行ナシ歴6年です。ストックホルム続報楽しみにしています。 / たら子母 ( 2000-09-16 12:59 )
かわいいですねえ。お仕事の合間にお疲れ様です。 / よちみ ( 2000-09-16 01:13 )
続き待ってます! このカワイイ子供達、レストランで撮ったんですか?? / こっこ ( 2000-09-16 00:41 )
本日は17時でおしまいなんですね。あしたも一応開けているようなので、続きはあした。 / 口車大王 ( 2000-09-16 00:00 )

2000-09-14 [近況]口車、ストックホルムにて

 皆さま、口車ただいまストックホルムにおります。ようやくインターネットに接続できました。

 いやー、今回ここにたどり着くまで、大変でございました。

 本日は、ビジネスセンターが20時でしまりますので、ここまでとさせていただきます。

 それではまた。

先頭 表紙

うわぁ、ストックホルムかぁ。近況報告、楽しみにしてま〜す。 / あろう ( 2000-09-14 08:40 )
食べ物は何が美味しいのでしょうか。期待して待ってます。 / こすもぽたりん ( 2000-09-14 07:14 )
近況楽しみに待ってます!! / こっこ ( 2000-09-14 04:51 )

2000-09-11 [書評]『国際標準が日本を包囲する なぜ自らルールを作らないのか』藤田昌宏/河原雄三 / 日本経済新聞社

 「ほんとうにごもっともでございます。」

 本書は、泣く子も黙る、現役の通産省機械情報産業局産業機械課長と、元時事通信記者にしてフリーランスの、ばりばりのライターが書いた本である。

 実は口車、この10年間、IEC(国際電気標準会議)の「ドキュメンテーションと図記号」という技術委員会の委員をやっている。最近制定された規格では、JIS C 0617「電気用図記号」というのが、この委員会と直接関係する規格である。また、例えばビデオデッキの「再生」や「早送り」といった、電気製品で見かけるさまざまな記号は、当委員会で制定している規格である。

 このような、いろいろな分野に横断的な規格を審議する委員会では、ことさら企業は見向きもしない。この10年間、本書で指摘されているような「後ろ向き」の対応との格闘だったと言っても過言ではない。しかし、10年前はIECの中でも隅っこの方にあった委員会が、気がついたら電子商取引に不可欠な、重要な規格を審議している委員会になっていた。残念ながら、欧米諸国は10年以上にその重要性に気がついていたが、日本国内で自覚され始めたのは、せいぜいこの3年である。それでも、まだ良しとしなければならないことは、本書を読んでみると改めてわかる。

 もうひとつ、国際規格で重要なのは、国と国との利害のぶつかり合いばかりでなく、本書にも書いてあるが、企業あるいは個人として積極的に規格制定に関わって、当然その規格の裏事情に詳しくなる。そして、それによりビジネスチャンスが発生するのである。さすがにそこまで本書には書いていないが、ISO9000やISO14000の認証団体が民間企業であるということを見てみれば、理解できると思う。そこに気がついたら、もうちょっと日本の企業は積極的にかかわっても良いのではないか。

 いずれにせよ、日本企業がいかに損をしているか、そのあたりのからくりを、本書によって知ることができる。 グローバル・スタンダードの名のもとに、無理矢理国際規格に合わせることにより、いかにコストアップになっているか。日本企業の国際競争力を削いでいる、実は大変大きな要因なのである。

 ということで、口車、明日(2000年9月12日)より13日間、IECの大会に出席するため、ストックホルムに行ってまいるのでござる。なお、現地会場ではインターネットにアクセスできるので、ひまじんネットを覗くことはできるであろう。

 それでは、また。


国会図書館 Web-OPAC データ

国際標準が日本を包囲する なぜ自らルールを作らないのか  藤田昌宏,河原雄三‖著

出版地 :東京
出版者 :日本経済新聞社
出版年月:1998.8
資料形態:234p  19cm  1400円
件名  : 工業規格
ISBN:4532146755
NDLC: M361
NDC : 509.13
請求記号:M361−G237

先頭 表紙

かれこれ国際規格の現場と付き合うようになって10年になりますが、「うちは、人の作ったものにただ乗りさせてもらう。」という、あさましい魂胆の企業がなんと多いことか。日本は独自性がないといいますが、こういうところに現れています。情報化社会では、Give & Takeが前提ですから、「自分さえよければ」という考え方は通用しない。それが結局現在の日本経済の停滞の最大の原因ともなっています。なんだかんだ問題は抱えていますが、近頃の若いもんの方が国際感覚も備わってその点もわかっていますから、以前よりだいぶましにはなっています。 / 口車大王 ( 2000-09-16 18:09 )
何やら難しそうなお話です。"自分がルール"と大見得をはるアメリカ人や米国企業と違って、日本人や日本企業はそこんとこは謙虚なのでしょうね。また、あえて国際規格に低コストで挑戦するぞ、とある種職人的気質で臨む技術者もまだ日本には存在しているのでしょうね。その外圧+パワーが日本企業の国際競争力を最終的に高めていく仕組みとなっているのでしょうか。ストックホルムですか、何回か行きました。福祉の面や人間としての生き方など、いろいろお勉強になる国ですよね。もう寒いでしょうね。お気をつけていってらっしゃいませ。 / おとじろう ( 2000-09-12 09:22 )
お気をつけて。僕は週末、北海道です。不登校の子どもたちを全国から受け入れてる高校も見学に行きます。 / mishika ( 2000-09-12 07:41 )
ストックホルム・レポートを期待しています。 / ぽたりん ( 2000-09-12 01:15 )

2000-09-10 [書評]『ホワッツ・マイケル』小林まこと / 講談社

 猫のこと、よく見ているなぁ

 今から10年ほど前であろうか、講談社モーニングに連載されていて、唐突に終わった漫画である。その前に愛読していた「1,2の三四郎」と猫が、どうつながるのであろうか。しかし、画のタッチはまがうかたなき小林まことである。

 作者は、本当に猫が好きなようである。でなければ、一筋縄で行かない猫を、せりふの吹きだしなしで、あそこまで的確に表現できないぞ。猫がかわいいかって?けっ、じょうだんぢゃないや。

 連載当時、一大ブームを起こした漫画であるが、最近あんまり単行本を見ないなぁ。でも、講談社英語文庫から出ていたな。

 かわいい猫を追及したいのなら、ビッグコミックオリジナルを毎号購入して、表紙にほほをすりすりしましょう。

先頭 表紙

暴力団組員が猫好き、そんなシーンがあった。組員じゃないけれど「そんな風」な人で猫好きって結構いる。 / ねむり ( 2000-09-14 09:51 )
んー、なんかそんなシーンあったなぁ。 / 口車大王 ( 2000-09-11 00:10 )
親指にバターかなんかつけて 舌つかむんでしたよね?確か(笑) / ひちゃの ( 2000-09-10 23:49 )
をを、御無沙汰しております。OL旭1号様。また、明るい話に戻ったですよ。 / 口車大王 ( 2000-09-10 22:52 )
ぶちゃいくなネコをみると、「あ、ニャジラだー」と言ってしまいます。 / 美人OL旭1号 ( 2000-09-10 21:35 )

2000-09-09 [昔話]口車、闇ドルについて語る 後編

 さて、後編ではどうやって闇ドルレートで交換し、普段使っていたかについて説明しましょう。

 当時、ポーランドに入国すると、強制的に現地通貨に両替しなければならなくなっていました。一般で 1日15ドル、学生で1日7ドルということになっていました。また、日数分の両替を行ったという証明がないと出国できず、現地通貨持ちだし禁止ですから、必ず正規レートで両替し、使わなければならなかった、というのが一般の人 & 学生です。

 ところが、我々はポーランドでの労働許可証を持っていたので、その必要なし。ホテルの支払いなど、本来両替証明書を見せて、正規のレートで両替したズウォチであることを証明しなければならないか、ドルで支払うしかないのですが、労働許可証を見せればOK。がんがん闇で交換したズウォチを使えたのでした。

 さて、闇レートとの交換ですが、もう時効ですから書きますが、口車が勤めていた会社のアドミニストレーション、すなわち「総務」でやっていました。アドミがポーランド人とコネをつけ、両替してくれました。これが大変レートが良く、最高で120ズウォチ、後半だんだん悪くなってきても112ズウォチでした。たいてい、これで両替していました。

 時々ワルシャワで、手持ちのズウォチがなくなります。そんなときは、宿泊しているホテルで両替していました。食事中にウェイターに、「両替したいんだけれど。」と小声で言い、短く言葉を交わしてレートの交渉。「お盆の上に乗っけてね。」と言われたらドル紙幣を出し、ウェイター君はナプキンで隠して厨房に下がっていきます。5分もするとズウォチをを持ってきてくれて、交換終了。レートは、だいたい110ズウォチでした。どんな高級なホテルでも、やってくれました。なんたって、キャビアを横流しするくらいですから。

 ワルシャワの街頭で Change money? と言い寄ってくる奴等もいます。しかし、こいつらはレートが悪いし、騙そうとするし、警察のおとりの可能性もあるので、無視しておりました。ほんとに取り締まっているところを、一回も見たことないのですが、だからと言って、危険に自ら飛び込むこともありません。

 ドルに関しては、もうひとつ面白いものがありました。

 ドルショップでお買い物すると、小銭の代りにおつりに渡されるのはドル紙幣ではなく、ボンと呼ばれていた、子供銀行のお金ようなちゃちでよれよれの紙幣のようなものでした。ポーランドでしか使えないから、「ずるい!」と思ったものです。

 それから当時、ワルシャワのドルショップで、唯一使えたクレジットカードがありました。なんと、ダイナースクラブ。まわりの日本人から注文取ってワルシャワに買い出しに行き、カードで買い物して現金でもらい、随分「ジェローネ」をかき集めたものです。

(参考文献)Japoland 掲示板「ワルサワ・クラコの80年代のポーランド 」

先頭 表紙

そう、あれは驚きました。インターコンチネンタル系列のビクトリアホテルにあったドルショップで、ダイナースカードのみが使えました。たまたま父親名義のカードの家族カードを作って持っていたので、大変助かりました。当時ジェローネ持っていると、大名旅行ができましたね。 / 口車大王 ( 2000-09-11 00:13 )
闇ドルの話、すごく興味深いです。ポーランドでもそういうことがあったんですね。唯一使えたクレジットカードが、ダイナースクラブ!というのも面白いです。。 / こっこ ( 2000-09-10 23:47 )

2000-09-09 [昔話]口車、闇ドルについて語る 前編

 読者の皆さま、「そこ」についてのお話におつき合いいただき、ありがとうございました。

 さて、「そこ」についてのお話の中で、口車、ポーランド国内をタクシーで旅行しているのにお気づきになったと思います。口車のいたプォーツクからクラコフまで、300キロほどあるのですが、ずっとタクシーで旅行したわけです。日本の常識で言うと、これはとんでもない贅沢なのですが、当時のポーランドでは、決して贅沢ではなかったのですね、我々日本人には。

 そのからくりについて、今回は説明いたしましょう。

 弟が遊びに来ることになって、クラコフおよび「そこ」への旅行を計画しました。そこで、まず、レンタカーを借りることを考え、費用を調べてみました。そうすると、約250USDかかることがわかりました。

 一方、その1か月前に、お仕事仲間の日本人同士で、タクシーを2台チャーターして、グダンスクまで一泊二日の旅行をしていました。このタクシー1台のチャーター費用が、100USDでした。

 なんと、レンタカー借りるより、タクシーチャーターした方が、全然安いのです。ガイド兼運転手付きでレンタカーより安い!どっちにするか、考えることもないですね。

 なんでこういうことになるかというと、闇ドルの存在があります。当時、1USDはポーランド通貨に対して、公式レートで32ズウォチでした。ところが、非合法の闇レートというのが存在していて、これが最高で120ズウォチでした。すなわち、約4倍の差がありました。

 この闇ドルの存在に対して、当時、ドル紙幣のことをジェローネ(緑)と呼んでいました。

 レンタカーは外国人用に、ドルの支払いで正規レートが適用されています。ところが、実際の経済では闇ドルレートで流通しています。すなわち、タクシーのチャーター代は個人同士の取引であり、闇ドルレートでいきます。それで、レンタカーよりタクシーの方が安くなってしまうのですね。

 すごいことです。

 この闇ドルレートは当然非合法ですが、ふざけたことに、ポーランド政府はこの存在を暗に認めていて、クラコフでホテルに泊まったとき、ポーランド人の宿泊費は外国人の1/4なんですね。それから、ワルシャワで、外国人用ホテルのコーヒーショップでコーヒー飲むのと、街中の「旧市街」の喫茶店でコーヒー飲むのとで、やはり価格の差が4倍。「敵も、やるのぉ。」と思ってしまいました。

 タクシーは、家族帯同でポーランドに来ていた人の、下宿先のおっちゃんがタクシードライバーで、このおっちゃんにお願いしました。おっちゃん、キャッシュで100ドルもの臨時収入。もう、にっこにこでした。

 一般の、外国旅行もしないポーランド人に、なんでドルが必要なのかというとですね、本来外国人用ののドルショップ、ソ連や他の共産圏諸国では、きびしくパスポートチェックされて、現地人は買い物できないのに、なんとポーランド国内ではポーランド人も買い物できてしまうのですね。特に、ポーランド人にとって必需品のヴォトカは、一般のスーパーマーケットで買うより、ドルショップの方が安い。口車が宿泊していたホテルの向かいのドルショップは、いつもポーランド人で長蛇の列ができていました。

 それと、いざというときに備えて、ドルの「タンス預金」も、皆さんやっていたと想像されます。また、ズウォチに交換してしまえば、かなりの高額です。

 「この国、こんなんでは、長続きしないな。」と、当時思ったものです。そしてその予感は、すぐ的中することになります。

続く

先頭 表紙

2000-09-08 [書評]『日本語練習帳』大野 晋 / 岩波新書/岩波書店

 目から鱗

 ご存知、大ベストセラーである。なぜ大ベストセラーになったか、読んでみるとわかるような気がする。普段我々が接している日本語の、素朴な疑問に対して、単純明快、実に分かりやすく解説している。文章を書いている私たちが、一度は目を通すべき書であろう。

 助詞の「は」と「が」の違いなんて、目から鱗である。それから、日本は欧米に比べて「契約」の概念が希薄であると言われているが、「契約書」の文体は、英語より日本語の方が洗練されているなんて解説も、それこそ目から鱗が落ちまくりなのである。言われてみれば、「甲」と「乙」なんていう表現、英語にないですわ。

 さらに、「ら」抜き表現に対して、なぜそうなっていくのか、「当然の成り行き」としてあっさり説明し、敬語の乱れについても「階級が日本から消えてしまったのだから、あたりまえでしょ。」と実に明快。そして「ら」抜き表現に対して、「私は使わないけれどね。」と矜持をさらっとお保ちになられる。さすが江戸っ子でございます。

 大野先生、つい最近も日本語とスリランカ語の関連についての大著を著し、御歳80にしてなんとお元気なのでしょう。私の父も同い年であるが、この世代、太平洋戦争真っ盛りの頃に大学を卒業し、「学徒出陣」とか「特攻隊」なんてものも経験している。何にもないところから、戦後高度経済成長をひっぱったのもこの世代である。そして今も、落ち込んでいる日本に、いろいろな面から喝を入れているのである。というか、死線を乗り越えた分、人生を楽しんでいて、それが結果的に私たち若いもんに、元気を与えているということでしょうか。

 書評の最後に、「筆をとる前に」という、本書の中で大野先生が触れられている心構えについて記しておく。

1. まず頭の中にある事柄を、思いつくまま秩序なしにばらばらに白紙に書きつけてみる。

2. それをできるだけ細かく書く。雑多なその項目表を眺めて、どれを最初に、次に何をと見定め、項目に番号を打っていく。

3. その途中で、ある項目についての準備の不足・知識の不足が、ここかしこに見えてくる。それの手当てとして、不足な材料を集める、調べる、考える。

4. 書き上げた内容のまずいところを修正する。次に、自分で内容の要点を項目として順に書き上げて並べてみる。すると、順序が逆になっている、あるいは錯綜していることに気づく。それを整える。

4の作業は、作品を書き上げて、半月ぐらい箱に入れておいた後でするといい。


国会図書館 Web-OPAC データ

日本語練習帳  大野晋‖著
出版地 :東京
出版者 :岩波書店
出版年月:1999.1
資料形態:215p  18cm  660円
シリーズ名: 岩波新書  
件名  : 日本語―研究・指導
ISBN:4004305969
NDLC: KF31
NDC : 810.7
請求記号:KF31−G88

先頭 表紙

最大限の賛辞、恐縮でございます。外国語を覚える基本、わかっていらっしゃいますから、大丈夫でございますよ。 / 口車大王 ( 2000-09-09 09:19 )
口車大王 さま 「日本語練習帳」を手に取ってみたくなるような書評に感動!! こっこもこんな書評を書けるようになりたいです。 / こっこ ( 2000-09-09 01:55 )
最近、どういうときにヒット数が延びるか、読めませんなぁ。「日本語練習帳」でベストテン入りするとは、思わなんだ。 / 口車大王 ( 2000-09-08 23:50 )
おとじろうさま、書評を書いた甲斐があるというものですわ。 / 口車大王 ( 2000-09-08 12:58 )
「い、痛い!」痛いところを衝かれた。日記を書き始めた私に今一番必要なものは、まさにこれ。PCはその次だわ。ありがとうございます。さっそく入手します。 / おとじろう ( 2000-09-08 11:07 )
それにしても、14時間で日記一覧から消えてなくなるようになるとは。 / 口車大王 ( 2000-09-08 03:24 )

2000-09-07 [書評]『ポーランド』ジェイムズ・A.ミッチェナー/ 工藤幸雄訳/ 文藝春秋

 長々と「そこ」の話にお付き合いいただき、ありがとうございました。「完結編」と書きましたら、急にヒット数もあがったようで。

 さて、本日は時間もございませんので、簡単に「そこ」の話の参考資料にした本を紹介しておきたいと思います。

 本書は、小説仕立てで、ポーランドの歴史をずっと追っかけたもので、10世紀頃から1980年代半ばまでのことを書いております。著者はアメリカのジャーナリスト、訳者はポーランド在留日本人の間では、非常に知られた文学者です。

 本書のあとがきでも書かれていますが、共産党政権ができてからの内容は、当然執筆に当たっての協力者がいるのですが、匿名で協力しています。名前がばれたら、どのような危害が及ぶかわからないからです。今では信じられないようなことですが、ほんの10年少々前までの社会情勢が、本書にも現れています。

 ポーランドのこと知るなら、この二冊。ただし、どうも絶版となってしまっているようで、図書館に行ってみて下され。


国会図書館OPAC情報

ポーランド  上巻  ジェイムズ・A.ミッチェナー‖著  工藤幸雄‖訳
出版地 :東京
出版者 :文芸春秋
出版年月:1989.12
資料形態:520p  20cm  2000円
原書名 :Poland.
ISBN:4163114602
NDLC: KS164
NDC : 933
請求記号:KS164−E247

ポーランド  下巻  ジェイムズ・A.ミッチェナー‖著  工藤幸雄‖訳
出版地 :東京
出版者 :文芸春秋
出版年月:1989.12
資料形態:482p  20cm  2000円
原書名 :Poland.
ISBN:416311470X
NDLC: KS164
NDC : 933
請求記号:KS164−E247

先頭 表紙

をを、読者がいた。こんなかたい本、読む人まずいないだろなと思っておりました。 / 口車大王 ( 2000-09-08 23:02 )
これ結構感動モンですよね、僕も一応読んで見ました。 / mishika ( 2000-09-08 13:33 )

2000-09-06 [昔話]口車、「そこ」について語る その8 完結編


 さて、こうしてアウシュビッツ・ビルケナウ博物館の訪問は終わりました。その日の夜はクラコフに泊まりましたが、その晩どこで食事をし、何を食べたか、全く覚えていないのです。3人でひたすら押し黙っていたような記憶が残っています。

 ヒトラーの若いころの人生を見てみると、それは挫折の連続です。それがなぜ、強大な権力を手にすることができたのか、私にはどうしてもわからないのですが、彼が、強い劣等感をかかえて権力者になったことはたしかです。そして、彼が考える理想の世界を作ろうとし、そこからはずれるものは、すべて抹殺しようとした。ですから、ナチスドイツが抹殺しようとしたのはユダヤ人ばかりでなく、自国民も含まれています。敵対者はもちろん、身体障害者や知的障害者、同性愛者も殺しています。いずれは、年寄りも殺していたのではないでしょうか。

 結果として、いたわりも思いやりもない、そんな社会を目指していたのがナチスドイツです。いたわりも思いやりもない社会では、いつ自分がやられるかという、恐怖の社会に変容していきます。劣等感を抱えた人間が権力を持ったらいかに恐ろしいか、ヒトラーがその典型です。

 歴史上、あそこまで徹底的に「殺人工場」を作り上げ、ジェノサイドを行ったのは、ナチスドイツのみです。アウシュビッツだけで、じつに一日に千人は、ガス室で殺しています。一気に千人も殺すということはどれだけ大変か、添付した写真でもわかります。しかし、程度の差こそあれ、虐殺は日本人もやっていることなのです。

 劣等感を抱えて思い上がった人間ほど、とんでもないことをする。アウシュビッツは、その明確な、歴史の証人でもあります。

先頭 表紙

親衛隊は精神的にもひどいことをしまして、「協力したらおまえの命を助けてやる。」なんてことをやっています。ですから生きるために親衛隊に協力的だった者ばかりか、密告者もいたはずなのです。口車思うに、ここでのそのようなノウハウが、戦後の東ドイツの密告制度に反映されたのではないかと、思っています。 / 口車大王 ( 2000-09-07 10:47 )
救出された生存者の中には,ナチに協力的だった者(通訳,死体運搬など)がいるわけで,その人物の解放後の心理を小学館の少女マンガ誌で(それも何度も)描いたのが「くるくる」で紹介した樹村みのりです。今なら企画段階で没だろうなぁ。……いずれにしても,お疲れさまでした。ありがとうございました。 > 大王様 / 烏丸 ( 2000-09-06 17:12 )
連載ありがとうございました。さすが大王様。 / ぽたりん ( 2000-09-06 14:29 )
後編の写真、ひとつ付け加えました。選別されてこれから殺される人達の不安な表情と、憔悴しきってはいるが、安堵感漂う生存者の表情の違いが、はっきりわかります。特に子供の表情が。 / 口車大王 ( 2000-09-06 11:54 )

[次の10件を表示] (総目次)