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口車版「雑学の泉」

 
なんで,こんなにいろいろなどーでもよいこと,知っているのでしょうかねぇ。



口車筆無精乃介、IT業界を語る  口車大王「旅のおもひで」

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目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2000-08-20 [書評]『食材図典』小学館 / 小学館 これはほんとにすごい。
2000-08-19 [近況]口車、「TAXI 2」を見る
2000-08-19 [書評]『部長島耕作』弘兼憲史 / 講談社 ぶっちょーと言ったら、やっぱこれでしょう。
2000-08-18 [書評]『OL進化論』秋月りす / 講談社
2000-08-18 [書評]『C級さらりーまん講座』山科けいすけ / 小学館 − ぶっちょーでも大違い
2000-08-17 [書評]『星の王子さま』サン=テグジュペリ/内藤 濯訳 / 岩波少年文庫/岩波書店
2000-08-17 [書評]『古今東西噺家紳士録/The Bilbe of Japanese Rakugo』エーピーピーカンパニー/小島豊美 / 丸善
2000-08-16 [書評]『電波少年 懸賞日記』なすび / 日本テレビ
2000-08-16 [書評]『閔妃暗殺』角田房子 / 新潮文庫/新潮社
2000-08-15 [書評]『恨ミシュラン』西原理恵子/神足裕司 / 朝日新聞社


2000-08-20 [書評]『食材図典』小学館 / 小学館 これはほんとにすごい。

 帯に「プロも知らない食品素材のすべて」ときた。この本はそう言い切るだけのすごい本である。

 例えば、外国人を寿司屋に連れていくとしよう。「ウニ」を英語でなんと言う?「コチ」をなんと説明する?「タイ」をなんと説明する?「コハダ」は?環八もとい「カンパチ」は?これ、勘八って書くのね。食用になるクラゲも、初めてどれだか知っただよ。

 おお、みんな私の好きなネタだな、はは。これらの英語表記はわかるし、さらに、ものによっちゃあ、おフランス語やドイツ語やイタリー語、中国語の表記も書いてある。これだけでもすごい。しかも、それぞれの魚の詳細な説明があって、マグロの種類とかどこで獲れるとか、良くわかる。さらに、さらに、旬の時期まで書いてあると来た。1テーマ見開きで見やすいし。

 さらにお魚さんに、こだわらせていただこう。

 日本列島、皆さんご存知のように縦に長い。それで以外と皆知らないのだけれど、日本近海の魚って、場所によってかなり違う。この魚の説明が、種類別とは別に、その場所によって分類されて説明されているのである。これ読むと、「江戸前」って一発でわかる。今や、世界中ありとあらゆるところから入ってくる食材を食わされている我々にとって、本来の地の食材は何なのか知る手がかりとして、貴重な資料である。

 ここで、口車のワンポイント蘊蓄。

 「江戸前寿司」とは、本来江戸前、すなわち東京湾で獲れる魚を使って握ったものである。であるから、それ以外の食材では、本来「江戸前寿司」ではなく、「江戸前風寿司」なのである。マグロは「づけ」、アワビは「煮アワビ」が本来のもの。を、てことは、マグロ捕れたんだ。それと寿司屋の発祥は屋台なので板場を持たなかった。だから、寿司屋行って「板前」と言うのは間違い。「寿司職人」が正解。それから客が帰るときに、「おあいそ」なんて、野暮なこと言わないこと。「お勘定」がよろしい。

 野菜や果物もすごい。白菜なんて一種類だと思っていたでしょ。とんでもない。

 さらに駄目押しで、食品の保存方法や、郷土料理の写真や、なんと、食品成分表までついているときやがった。てやんでぃ、持ってけどろぼう!

 索引もすごいね。和文、英文に、漢字字画数だよ。いたれり、つくせり。小学館が総力を上げてと言っても、過言はないでしょう。高いけれど、すごいよ。絶対お買い得。

初出 1995年3月20日
本体 5,631円(定価 5,800円)
ISBN4-09-526081-5

先頭 表紙

オーテマチエンヌさん、夜更かし大魔王の私の勝ちのようですな。ふっふっふ。ささやかな勝利の余韻。 / こすもぽたりん ( 2000-08-21 14:39 )
ふっふっふ、「そこ」の話を書く、前ふりです。あのタイトルではちょっとね。 / 口車大王 ( 2000-08-21 09:27 )
↓私も同じつっこみを入れようと思ったのに。。。 / オーテマチエンヌ ( 2000-08-21 08:36 )
あ、いつの間にかタイトルが変わってる。しかも20%増量だ。 / こすもぽたりん ( 2000-08-21 03:43 )
この本は確かにすごい。食べ物や料理に興味のある人は必携。高いけど、絶対にそれだけの価値はある。 / こすもぽたりん ( 2000-08-20 03:09 )

2000-08-19 [近況]口車、「TAXI 2」を見る

 みなさん、コンニショワー

 昨日、不肖口車、TAXI 2(ストーリーは読まないでね)を見に行ってまいりました。渋谷の映画館に行ったのが失敗、JCBカード出しても割引していませんでした。東京で映画見るなら、やっぱ日比谷ですね。

 さて、2年前に「TAXI」を見に行ってはまってしまい、今回も早速見に行ってまいりました。前回以上に笑えました。映画見ながら声出して大笑いしたの、久しぶりでありました。

 冒頭パリ・ダカの王者、ジャンルイ・シュレッサー運転のプジョー306のラリーカーが、観光客の運転するちんたら車の扱い。いきなりかましてくれます。しかも今回作の敵役が「ミツビシ」ときてる。「ミツビシ」はパリ・ダカのおかげで、フランスで最も有名な日本車ですからねぇ。「プジョー対ミツビシ」というだけで、おフランス人にはどわっと来てしまうわけ。さらに、ランサーのナンバープレートまで、笑えてしまいます。日本人にしかわからないギャグも、てんこ盛り。

 しかしほんとに、製作と脚本のリュック・ベッソンは日本が大好きですね。「うーむ、ちょっと。」というシーンもありますが、御愛嬌。まさか、おっフランス映画に、ショッカーが登場するとは思わなんだ。

先頭 表紙

口車様、コンニショワー。貴兄ご推奨の掲題作品、小職も今晩見て参りました。激ワラいました。ニンジャー! / ほにゃらら ( 2000-08-26 03:16 )

2000-08-19 [書評]『部長島耕作』弘兼憲史 / 講談社 ぶっちょーと言ったら、やっぱこれでしょう。

 さてと、

 皆さんご存知のように、これは「課長島耕作」の続編である。「課長島耕作」は、主人公が部長に昇進するところで終わる。そして作者は、インタビューに答えて、「私は部長になったことがないので、部長というものがわかりません。だから『部長島耕作』は描きません。」と言っていた。

 ところが、描いてしまったんですねぇ。最初は、不定期に単発もので発表されていたが、ついに連載化してしまった。まあ、ブレーンを得たというところでしょう。

 「課長島耕作」がベストセラーになったのは、「そんなうまくいくわけないだろ。」と思いつつ、ひょっとしたらこれくらいのことは自分でもあるのではないかと思わせる、ほんのちょっと背伸びしたサクセスストーリーと、だれでも上司の言いなりにはならないぞと、日頃実行はできないが思っていることをくすぐり、しかしながらビジネスエリートと言えどバツイチとなり、決してストレートなサクセスストーリーとして展開させずに、「くさみ」を取ってしまった妙であろう。

 現在、初期の第1巻から読み直しているが、現在の「部長島耕作」の物語の起点となる部分であり、大変面白い。また、松下電器産業の広報部門に在籍していた作者の、1985年時点の、日米の広告に対する比較論をさりげなく展開していて、それがまた、現在の経済状態が大逆転した日米関係と照らし合わせて、面白い。漫画も読み返してみるものである。

 さて、「部長島耕作」であるが、連載開始の最初の話は、子会社に出向して、ワインのビンテージ物を発掘するストーリーである。こりゃちと作者の手に余るんではないのと思ったら、ワインビジネスにある程度目鼻がついたところで、出向先が別の子会社のレコード会社に変わってしまった。そうか、こういう手があったか。おそらく編集者の知恵であろうが、なかなかずるいぞ!

 現在の物語のレコード会社は、完璧に東芝EMIがモデルになっている。物語の中でで、専務として出向した島耕作は、大リストラを敢行するのであるが、なんかほんとの東芝EMIのような感じである。風聞によれば、現実の東芝EMIも、数年前に大リストラを敢行したと聞く。そして駄目押しは、現在売り出し中のNyaccoである。かしこい皆さんは、もうわかりましたね。そう、宇多田ヒカルがモデルである。ところが、作者は単にモデルとしておらず、「Nyacco出生の秘密」というひねりを入れている。詳しくこの顛末を知るには、是非「課長島耕作」第2巻を読むことをお勧めする。
(あのころ、私はタイの田舎にいたんだねぇ。早いもんだ。)

 さあ、島耕作はどこまで行くのであろうか。

先頭 表紙

2000-08-18 [書評]『OL進化論』秋月りす / 講談社

 ふつうのOLよ、萬歳!

 さらりーまんときたら、やっぱおーえるである。四コマ漫画の場合、いかに「気がつく」かということが最重要テーマであると私は考えるが、秋月りす氏も、よくぞまあうまく捉えるものですなぁと感心してしまう作者の一人である。

 登場人物はC級さらりーまんのように脂ぎっていない、どこにでもいるふつうのOLや、上司、家族、恋人といった周辺の人達である。にもかかわらず、毎週おもわず、「ぷぷぷぷっ。」となってしまうのである。私は特に、「35歳で独身で」シリーズが大好きである。

 これから就職を考えている学生諸君、男も女もくだらん面接ハウツウもの読むより、よっぽど役に立つぞ、本書は。

 それからこの際、ついでに言わしていただこう。

 就職活動にいそしんでいる女子学生諸君、ああいう、就職したら絶対着ないような、没個性の「リクルートスーツ」なるものを、このくそ厚いのに着るのはやめなさい。これだけ就職が大変なときに、どうやってうまく自分を目立たせるのかが重要なのに、没個性になってどうするんだぁ!ではどうすればよいか、それは自分で考えなさい。だれがただで教えるか。

先頭 表紙

2000-08-18 [書評]『C級さらりーまん講座』山科けいすけ / 小学館 − ぶっちょーでも大違い

 デフォルメの傑作

 私がかつてサラリーマンをやっていた頃、いろいろいましたなぁ。だれが一番ひどかったかというと、2番目に勤めた某製鉄会社の、私が在籍した、結果として吹きだまり部門の、私の上司の部長かなぁ。ちなみにどんな会社でも、新規事業の部門というのは、たいていの場合、本業で使い物にならない連中の吹きだまりと化すのである。時系列的に、当初の理想の高さに反比例して。これは教育機関も一緒で、その後勤めた某大学の新規開店キャンパスにおいても、やはり吹きだまりができていたです、はい。

 件の部長、わたしがいろいろばんばんやるものだから、部下である私に焼きもち妬いてしまったのである。で、私をどんどん隅っこに追いやったつもりでいるのであるが、悲しいかな、彼と私では生息している宇宙のサイズが違うのである。彼は自分の周囲、半径2.5mの範囲しか考えられないが、私にはそんなものは、大銀河宇宙の中の太陽系の、星の王子様に出てくるちっぽけな小惑星以下でしかない。後にも先にも、辞表をぱっと差し出して、「あんたみたいなバカ、見たことない。」と面と向かってやったのは、彼だけであろうか。山嵐先生と一緒に卵はぶつけなかったけれど、ああ、気持ち良かった。ちなみに、その前に勤めていた会社を辞めたときは、前の日まで上司だった部長といっしょに飲み、

「おまえなんで辞めたんだ。」

「実は、、、」

なんてやっていたのである。

注意:こういうことをやるには、頭来ているのは特定の個人であるので、くれぐれも、所属している部門の同僚に八つ当たりしないように。引き継ぎ作業を徹底的にやってから、けんかすること。おかげで、盛大な送別会をやっていただきました。もっとも、大学っていうところは、事務部門にも「引き継ぎ」という概念がないんだよね。

 知っている人は知っていると思うが、ビジネスショウのようなところに出展して、実際にお仕事に結びつくのは、もらった名刺1000枚に対して、3件あれば良いほうである。それを、口車が展示内容を考え、やっとの思いで、某製油所の構内LAN敷設の3億円規模の引合いを営業の後輩が取ってきたら、「そんな仕事はやらんでよろし。」と来た。3億円で、「失敗したらどうしょ。」とびびってしまったのである、この部長は。同じ会社の、部門の違う製鉄所に右から左に品物を移して、それだけで「売り上げが立ちました」と喜んでいる御仁である。なんぢゃそりゃ。会社も会社で、それで「売り上げ」としてカウントすること認めるようなことをやっているから、事業ひとつぶっ潰すのである。そんなこんなをぐさぐさ指摘しまくったら、嫌われた嫌われた。

 そういや、ちょっとでももめると、自分の経歴に傷がつくと思って、絶対はんこを押さないおっさんもいたなぁ。

 C級さらりーまん講座に登場するあそこまでこてこての登場人物は、現実には存在するわけがない。ところが、あそこまで極端でなくても、前述したようにかなり「いいせん」いっているおっさんは存在する。それが、あんだけ極端な漫画を読まされても、「をを、こんなのいるよなぁ。」と、にたぁとしてしまうことにつながるのであろう。するどい作者の洞察力の勝利である。

追伸 書評というよりは、これは口車の愚痴だわな。

先頭 表紙

2000-08-17 [書評]『星の王子さま』サン=テグジュペリ/内藤 濯訳 / 岩波少年文庫/岩波書店

 私が、この本を初めて読んだのは中学生の時である。おそらく、その後の人生におけるものの考えかたについて、決定的な影響を与えたであろう一冊である。

 あっと思ったのは、冒頭の「象を飲みこんだうわばみの絵」である。中学生にして「うーん」と思ってしまった。世の中、表面的なことだけで捉えてはいけないのだと。もっともその考えが効果を発揮してくるのは、25歳過ぎであったが。それまでの間は、「うわばみ」から影響を受けたと言っても、全く別のほうに行ってしまっていた(オヤジギャグ)。

 「子供はこうでなくてはならない。」という説教臭さがないのがいい。そして大人の視線で子供を見下ろさず、作者自身の体験として「大人ってどうして理解してくれないのだろう。」という、子供と同じ視線での語りかけが、読者を物語にどんどん引きずり込んでいく。

 IT、ITとはしゃぎ回るのは良いけれど、それで金もうけしようと思ったら、柔軟な想像力がなければ無理。その最も必要とされている想像力について、簡潔にして明確に語りかけている。また、子供が勉強するということはどういうことなのか、その根本もさりげなく明示している。知恵は、動き回ることによって身に付く。がつがつ決めつけて焦ってみたところでだめなのよという、作者のしなやかだが力強いメッセージ。

 児童書ではあるが、子供の教育に悩んでいる親御さんが読むと吉。

 なお、本書はつい最近復刻されたようである。

◇ 本体 640円
◇ 2000年6月16日 発行
◇ ISBN4-00-114001-2 C8397

 また何種類か本が出ているが、CD-ROMブックも出版されている。

岩波CD−ROMブック  星の王子さま
ロマン・ビクトール=プジュベ 脚色演出
山崎 庸一郎 フランス語監修
牧瀬 里穂,野沢 那智,川原 亜矢子 声の出演
内藤 濯 訳
◇ 体裁=CD−ROM+特装本
◇ 本体 5,700円
◇ 1998年6月26日 発行
◇ ISBN4-00-250101-9 C0898

先頭 表紙

『アルケミスト』はよいですね。私、パウロ・コエーリョは結構好きです。 / 七鴫偲煮蔀雫爵蕊こと、まりあ ( 2000-08-19 02:12 )
みりあさま、ども。御推薦の本、読んだことないです。角川文庫からでていますね。ISBN404275001X。しかし、よまなくっちゃ本がこれでいったい何冊になったんだ。 / 口車大王 ( 2000-08-18 07:20 )
お邪魔します^^「-夢を旅した少年-アルケミスト」って本お読みになった事おありですか?薦められたときには、「スピリチュアル気合は入り系」かなと、少々躊躇しましたが、なかなか楽しいお話でした。 / みりあ専業主婦 ( 2000-08-18 02:48 )
はは、ばればしたか。あれ見ていて、そういや書きためたやつがあったなと。ちなみに、翻訳者の内藤濯(あろう)さんは、わたしの父親の学生時代の同級生のお父上です。 / 口車大王 ( 2000-08-17 22:58 )
さっきNHKで特集してましたね。もしかして見てらっしゃいました? / オーテマチエンヌ ( 2000-08-17 22:32 )

2000-08-17 [書評]『古今東西噺家紳士録/The Bilbe of Japanese Rakugo』エーピーピーカンパニー/小島豊美 / 丸善

 ぢつは、本書はCD-ROMである。もっとも、CD-ROMとともに、別冊で「寄席150年」小島貞二著という解説本がついているから、まあ、ここに書評をのっけても良いでしょう。

 作者の小島豊美氏は、「寄席150年」の小島貞二氏のご子息である。小島貞二氏と言ったら、演芸評論家の第一人者である。かつてテレビ朝日で新宿末広亭から中継をやっていたとき、アナウンサーの隣に解説者として座っていたお方である。ちなみに小島豊美氏は、かつて「泳げ鯛焼き君」をヒットさせたプロデューサー(のはず)である。そういう、「濃い」人達が作り上げた、"The Bible"という名に恥じない内容である。

 まずCD-ROMであるが、これがすごい。師弟関係の系譜図、改名の記録、物故者の落語の録音、出囃子(もちろん音付)、録音されたSPレコードのレーベル、それらが検索できる。本職の落語家が、「私だって知らないですよ、ここまで。」と言わしめる代物である。まずめったに聞けないような音源もあり、落語ファンにはたまらない内容である。このデータベースで知って驚いたのだが、桂文楽はなんと青森の出身である。あたしゃ、てっきり東京下町出身だと思っていたね。

 続いて解説書の「寄席150年」であるが、読んでみると、昭和30年代から40年代にかけて、いかに落語の黄金期であったかが、改めてよくわかる。そして、リアルタイムで文楽、志ん生、圓生、三平(若い人にはこぶ平の父と行ったほうが通じるか)等の落語に接することのできた口車は、今にして思えばなんと幸せなことよ。全てとは言わないが(爆笑問題なんかは許容範囲)、「若手お笑いタレント」と称する連中の、ペラペラな芸に笑い転げている、若いおにぃちゃん、おねぇちゃん達を見ていると、心底「かわいそうに」と思うのである。特にテレビでの三平の持ちネタは、現在の「若手お笑いタレント」につながるものがあり、「本物」を見てしまった私は、ペラペラなものを見せられても、ちっとも面白くないのである。さらに、「シャボン玉ホリデー」とか「8時だよ、全員集合!」という、練りに練った笑いも経験しているからなぁ。 「ゲバゲバ90分」もあったっけ。

 ついでに言わせていただくと、「東京オリンピック」と「大阪万国博」と「札幌オリンピック」を知らないのは、日本人として不幸だね。あの、一点集中、日本中が能天気に盛り上がるなんて一体感は、その後の長野オリンピックでもなかったね。若い人達に向かって、「ざまぁみろ」と、ここでおぢさんの逆襲をやってみるのである。はっはっは(もちろん姿勢は、腰に手!)。

 おせっきょじみるが、テレビに登場するペラペラの「若手お笑いタレント」ばかりを追っかけている皆さん、たまには寄席に行ってみましょう。ただし、本当の笑いを得ようと思ったら、「教養」が必要だけれどね。「パロディ」というのは、その「元ネタ」を理解できないと、面白くないの。あ、だからペラペラの「若手お笑いタレント」でないと、笑えないのか。

 近ごろ、日本の社会は新しい「階級」ができていると思っている私だが、「寄席」に行って落語を聞いて面白いと思えるか思えないか、どちらの階級に属するのか、「寄席」は、正に「踏み絵」でもある。「踏み絵」になってしまっているから、落語にかつての勢いがないのかもしれない。

追伸 年がばれたか。


国会図書館 Web-OPAC データ
古今東西噺家紳士録 寄席一五〇年  小島貞二‖著
エーピーピーカンパニー/丸善出版事業部
2000.1
12,800円
CD-ROM1枚(12cm)
ISBN: 4998082000

先頭 表紙

ただ今「寄席文字」修行中です。 / ねむり猫 ( 2000-08-17 19:03 )
あ、mishikaさんだ。お久しぶりです、ぽた公です。誰も知りたくないぽた公の謎を公開。ぽた公は高校時代落研の部長であった。 / こすもぽたりん ( 2000-08-17 14:32 )
をを、mishikaさまだ。最近ここでとどまってしまっていますが、いずれまた、あちらで。 / 口車大王 ( 2000-08-17 12:49 )
やっと突っ込み方が分かりました(自爆)初体験みたいなもんだな、これは。 / mishika ( 2000-08-17 12:28 )

2000-08-16 [書評]『電波少年 懸賞日記』なすび / 日本テレビ

 「すでに過去のことですか。」

 日本テレビ「進ぬ!電波少年」の、人気コーナーである「なすびの懸賞日記」が終わって1年以上が経過した。すでに、はるか彼方昔の出来事のようである。そして、番組と並行して出版された「懸賞日記」はベストセラーとなり、いかに多くの人が見ていたかを物語っている。そして、人気番組の内幕本というだけでは、ここまでベストセラーにならないぞという、内容の濃さも持っている。

 番組の中で登場するなすび君の日記の内容は、なんというか、実に彼の心情をうまく表現していて、映像の面白さに加えて、番組の中身を濃いものにしていた。思わず、日記が出版されたら買うぞと心に決め、全巻を購入読破した。内容は期待以上、ほんとに面白い。

 とにかく、まずその文体は、なすび君がただ者でないことを匂わせる。「よくこんな言い回し、知っているなぁ。」と感心する表現連発である。彼の教養の高さを物語っている。教養の高いやつがコメディアンをやるとめっちゃくちゃ面白いのは、「古今東西噺家紳士録」でも触れたが、彼は正にその人そのものである。そして、ゴールが近づくに従って、聖人君子の風貌に近づくとともに、彼の日記の内容も、非常に人生の示唆に富むものとなっていく。考えさせられるのである。

 それにしてもと思うのは、土屋敏男プロデューサーの感性のすごさである。現代日本にもっとも欠けているものをすっぱり切り取り、人工的に「欠けている」環境を作り上げる。そしてその中に強制的に今どきの若い人達を放り込んだらどうなるか、バラエティ仕立てにしてお気楽に見せてしまうのである。でもその裏にあるものは、ずしんと重たい。「懸賞日記」の彼のあとがきを読んでいると、彼はとことんまじめな人間であるということが良くわかる。そして彼は、萩原欣一につながる、実は日本のコメディの王道を歩いている。まじめで面白いのだから、こりゃ当分すごいですな。


国会図書館 Web-OPAC データ

懸賞日記 電波少年 1
日本テレビ放送網
1998.4
952円
ISBN 4820396889

懸賞日記 電波少年 2
1998.6
1000円
ISBN 4820396935

懸賞日記 電波少年 3
1998.9
1000円
ISBN 482039701X


懸賞日記 電波少年 4
1998.12
1000円
ISBN 4820397117

懸賞日記in Korea 電波少年  第1巻
1999.3
1000円
ISBN 4820397206

懸賞日記in Korea 電波少年  第2巻
1999.4
1000円
ISBN 4820397230

先頭 表紙

そのようで。郡山か福島みたい。 / くっちー ( 2000-08-17 16:31 )
ほほう、「推薦」ですか。彼は確か福島の生まれでしたっけね? / こすもぽたりん ( 2000-08-17 14:30 )
をを、なすびも色紙にサインするんだ。彼は専修大学に「推薦」で入学したのだそうな。 / 口車大王 ( 2000-08-17 11:40 )
浜松の駅前の鰻やで「なすび」のサイン色紙を見かけました。 / マイケル ( 2000-08-17 09:27 )
Tプロデューサーに拉致されたとき、なすび君は専修大学法学部の学生であったそうです。解放後、無事復学したとか(スポーツ紙の受け売り)。 / こすもぽたりん ( 2000-08-16 22:51 )

2000-08-16 [書評]『閔妃暗殺』角田房子 / 新潮文庫/新潮社

 この事件を知らないのは、日本人として恥である。

 ということで「閔妃暗殺」

 閔妃とは、「みんび」と読む。本書は、この人物が暗殺された事件の顛末を書いたものである。さて閔妃とは、いったいだれのことであろうか。

 この本を読む前に、私はひょんなことから韓国の原子力工学の第一人者の先生が書かれた、「徒然草(とぜんそう)」という自費出版のエッセーを読む機会が、6年前にあった。先生は朝鮮が日本の植民地だった時代に、青春を過ごした世代である。当然日本の教育を受けている。エッセーはおだやかな文体の中に、痛烈な日本への皮肉を込めていて、本のタイトルにも現れている。そのあたりのことについては、また別途この本の書評にゆだねよう。

 さて、この本の中で以下のような意味の一文があった。

 もしも、皇居に武装した外国人がなだれ込み、無抵抗の女官を切り刻み、あげくのはてに皇后を惨殺したとしたら、日本人はどう思いますか。同じことを日本人は、朝鮮王朝においてやったのです。

 これが「閔妃暗殺」の概要である。そしてその後、本書を知り、「閔妃暗殺」の顛末を詳しく知ることとなった。1910年日韓併合という事実は知っていても、そこに至る顛末を知る日本人はほとんどいないのではあるまいか。「閔妃暗殺」はその端緒となった事件でもある。

 閔妃は時の朝鮮王の王妃である。1896年、日本国公使の手引きにより、一部の軍人、警察官、民間人が暴徒と化して王宮になだれ込み、王妃を惨殺した。さらに、著者は「女性として、とても書けない。」と本書の中で記述しているが、暴徒は王妃の死体に「屍姦」という、信じられないような破廉恥な行為をし、さらに死体に火をつけ灰をその辺にぶちまけている。朝鮮では、火葬は遺体を傷つける行為として、行わないのである。すなわち、日本人は、朝鮮民族の民族としての象徴を、これ以上のことはないという方法で、著しく汚したのである。

 しかも国際的批判を浴びて、日本は広島において裁判を行っているが、これは形ばかりで、主犯は全員「嫌疑不十分」で無罪となっている。すなわち、日本は、国家として関与していないとはいえ、ある国家の体面を著しく汚す犯罪行為を行った同胞に対して、きちんと「けじめ」をつけなかったのである。最低である。

 確かに閔妃は大変問題のある人物で、朝鮮王朝を私物化し、国家を未曾有の大混乱に陥れていた。また日本の国益に危機をもたらすようなことも行っていた。しかしだからと言って、やっていいことと悪いことがある。

 原子力工学の先生も書かれていたが、今、韓国人の日本に対する怒りの原点はここにある。しかも、大方の日本人は、この事実を知らない。韓国の若者は、皆当然のことながら知っているのである。だから余計韓国人は怒るのである。

 日本の国際化とか、かっこいいことを言う前に、我々日本人の祖先はいったい何をしてきたか、面と向き合って自覚すべきである。それがあって初めて、日本人は国際社会からの信頼を得られるのである。我々日本人の、依って立つべき所を考えさせられる一冊である。


国会図書館Web-OPAC資料

閔妃暗殺 朝鮮王朝末期の国母
新潮社
1988.01
1,500円
ISBN 4103258063


閔妃暗殺 朝鮮王朝末期の国母
新潮社/新潮文庫
1993.07
560円
ISBN 4101308047

先頭 表紙

2000-08-15 [書評]『恨ミシュラン』西原理恵子/神足裕司 / 朝日新聞社

  すでに古典の域か。

 「恨ミシュラン」が週刊朝日に連載されていたのは、1992年9月25日号から、1994年11月11日号までである。もう5年以上の歳月が経ってしまった。単行本が出版されてからも(第3弾)、5年が経っている。その間、本書に登場している飲食店のうち、どれくらいが残っているのであろうか。

 当然であるが、作者の二人は、その後二度と行っていない店が半分以上あるそうな。そして連載も、「いずれまた再開」と宣言したまま、現在に至る。二人とも顔が知れてしまって、入店拒否が続出したそうな。今だったらホームページなんてものがあるから、この手の話はやりやすいのだろうし、事実「レストランガイド」とかいうサイトも存在している。しかし、この「恨ミシュラン」ほど、ぎったぎったに突っ込みまくり、日頃我々がガイドブックから受けていた「うそばっかし」という不満を解消しまくった、痛快なガイドは見当たらない。あの「大朝日」がここまでやるかという意外性と、やはり書き手の感性によるところが大きい。

 ところで、恨ミシュランの中で、1店だけ「恨み星」が全くついていない店がある。すなわち、「恨ミシュラン」の中で最高に評価の良い店である。それは、恵比寿のイル・ボッカローネである(03-3449-1430)。ただし、これは1992年当時のことであり、お店というのは従業員によって大きく変わるので、その点をお忘れなく。

 ところで、作者の神足裕司氏であるが、私よりずっと年上と思っていたら、なんと私の高校の後輩であることが、あるときわかってしまった。とってもびっくり!


いちどは行きたい恨ミシュラン
史上最強のグルメガイド
定価(税込): \ 1,050
1993
ISBN 4022566884

それでも行きたい恨ミシュラン
史上最強のグルメガイド2
定価(税込): \ 1,050
1994
ISBN 4022568011

やっぱり行きたい恨ミシュラン
史上最強のグルメガイド3
定価(税込): \ 1,020
1995
ISBN 4022568992


恨ミシュラン 上
定価(税込): \ 735
1997
ISBN 4022612142

恨ミシュラン 下
定価(税込): \ 735
1997
ISBN 4022612150

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