段々、段々と、自分でも気がつかないくらいゆっくりと、俺は人を怒れなくなってきてる。
昔はこんなんではなかった。人生記見たらわかるように、見ず知らずのおっさんにキレて殺すぞ!!と難波のひっかけ橋で叫ぶぐらいだ。今だって大阪では10分に1回は殺すとは言っている。
言ってはいるものの、その殺すは、完全な冗談であって、怒りによる物ではない。
3〜4年前では許せなかったはずの出来事が、今となってはあっさりと受け流してしまえる。
はいはい、お前はそうやってりゃええよ。俺はお前には一切関知しない。ただ、俺は俺でやっていくし、その上でお前のフォローをするし、そのことで感謝されようとも思わんし、どうでもいい。好きにすればいいよ。
となってしまう。足を引っ張る奴は、俺の一番嫌いなものの一つやった。今だってそうだ。足を引っ張る奴は、本当に我慢がならん。でも、怒らない。怒れない。
俺がこいつを怒ったところで、どうなるんだ?別に、俺がこいつに嫌われたとしてもそんなのはどうでもいい。でも、こいつと言う人間の本性は変わらん。俺の怒りは、俺の言葉は、こいつにとどくのか?伝わるのか?
そんな不確定要素に賭けるより、俺ができる最大限の力で頑張って、そいつの未熟をカバーしてしまえばいいんじゃないか、どうせ言っても無駄なら2人で嫌な思いするより、俺だけいやな思いしたほうがいいんじゃないか、となってしまう。
姉ちゃんと喧嘩になった時、大概は姉ちゃんがぎゃいぎゃいわめくだけなんやけど、たまになんで何も言い返さんの?あんたは何も言いたい事がないの?何で気持ちを吐き出そうとせんの?と問われたりした。
俺のことは一切気にせんといてくれ。文句があれば全て言えばいい。要求があれば何でも言えばいい。俺はそれに合わすだけや。俺は決まってそう答えてた。
そんなんじゃ、あんたいつか破裂するで。姉ちゃんはそう言った。
俺は、いつか破裂するんだろうか。自分では、そんな感覚、まったくない。完全にない。っていうか、この程度で人間は壊れるものなんだろうか?そんなあほな、としか言いようがない。
まあ、そんなことを酒飲みながらふと思った。 |