雪の降る日は、大音量でブランキージェットシティを聴く事にしている。近所迷惑なんか考えずに、ただひたすら、がんがん聴き続ける。
そして、少し昔の事を思い出す。
物事の全てに理由があるように、もちろんこれにも理由がある。俺はその理由について、今まで誰かに説明した事はなかった。するつもりもなかった。これからもずっとそうだろうな、なんて思っていた。
だけど、今日に限ってどういうわけか、聴いているうちに涙が出てきてしまって、俺はこれを書こうと決めた。
6年前の事だ。俺はとある大阪市内の居酒屋でバイトをしていた。そのころ俺は19歳で、一言で言うならば、若かった。傲慢で向こう見ずで、自分と意見の合わない人間を見下していた。そして、やたらと一人になりたがっていた。自分は優れた人間だと、勘違いをしていた。
そして、当たり前のように、バイト先では俺は孤立していた。誰にも話し掛けず、誰からも話し掛けられず、それでも俺は一人黙々と働いていた。
その当時の俺は、半年事にバイト先を変えていたが、どこの職場でもその状況は変わらなかった。変えようともしない自分がそこにいたのだ。それも当然だろう。ただ、その居酒屋では、一つだけ、他と違うところがあった。それが、ユキだ。
ノウエユキ。漢字は分からない。そう呼ばれていたし、名前を聞いたとき、そう名乗ったのだから、それが彼女の名前である事は確かだ。今となってはどういう漢字だったのか、なんて瑣末な事はどうでもいい。ただ、俺は彼女とであったのだ。
と言っても、出会った当初はユキも、俺にとってはバイト先のその他大勢の一人でしかなかった。会話をしたこともなければ、向こうはホール、こっちは厨房と働く場所も違い、目を合わせることすらほとんど皆無だった。 |