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口車版「雑学の泉」

 
なんで,こんなにいろいろなどーでもよいこと,知っているのでしょうかねぇ。



口車筆無精乃介、IT業界を語る  口車大王「旅のおもひで」

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2000-08-16 [書評]『閔妃暗殺』角田房子 / 新潮文庫/新潮社
2000-08-15 [書評]『恨ミシュラン』西原理恵子/神足裕司 / 朝日新聞社
2000-08-15 [近況]改訂版 口車、パソコン直す
2000-08-15 [書評]『家族シネマ』柳 美里/講談社
2000-08-14 [昔話]口車、キャビアを横流しされる。
2000-08-13 [昔話]口車、ポーランド語わからずに仕事する
2000-08-13 [近況]口車、ばかなことをする
2000-08-11 [書評]『西銀座ものがたり』吉成庸子/かまくら春秋社
2000-08-10 [書評]『八丁堀ものがたり』吉成庸子/かまくら春秋社
2000-08-09 [昔話]口車、酔いつぶれる − 外国語上達の最短コース


2000-08-16 [書評]『閔妃暗殺』角田房子 / 新潮文庫/新潮社

 この事件を知らないのは、日本人として恥である。

 ということで「閔妃暗殺」

 閔妃とは、「みんび」と読む。本書は、この人物が暗殺された事件の顛末を書いたものである。さて閔妃とは、いったいだれのことであろうか。

 この本を読む前に、私はひょんなことから韓国の原子力工学の第一人者の先生が書かれた、「徒然草(とぜんそう)」という自費出版のエッセーを読む機会が、6年前にあった。先生は朝鮮が日本の植民地だった時代に、青春を過ごした世代である。当然日本の教育を受けている。エッセーはおだやかな文体の中に、痛烈な日本への皮肉を込めていて、本のタイトルにも現れている。そのあたりのことについては、また別途この本の書評にゆだねよう。

 さて、この本の中で以下のような意味の一文があった。

 もしも、皇居に武装した外国人がなだれ込み、無抵抗の女官を切り刻み、あげくのはてに皇后を惨殺したとしたら、日本人はどう思いますか。同じことを日本人は、朝鮮王朝においてやったのです。

 これが「閔妃暗殺」の概要である。そしてその後、本書を知り、「閔妃暗殺」の顛末を詳しく知ることとなった。1910年日韓併合という事実は知っていても、そこに至る顛末を知る日本人はほとんどいないのではあるまいか。「閔妃暗殺」はその端緒となった事件でもある。

 閔妃は時の朝鮮王の王妃である。1896年、日本国公使の手引きにより、一部の軍人、警察官、民間人が暴徒と化して王宮になだれ込み、王妃を惨殺した。さらに、著者は「女性として、とても書けない。」と本書の中で記述しているが、暴徒は王妃の死体に「屍姦」という、信じられないような破廉恥な行為をし、さらに死体に火をつけ灰をその辺にぶちまけている。朝鮮では、火葬は遺体を傷つける行為として、行わないのである。すなわち、日本人は、朝鮮民族の民族としての象徴を、これ以上のことはないという方法で、著しく汚したのである。

 しかも国際的批判を浴びて、日本は広島において裁判を行っているが、これは形ばかりで、主犯は全員「嫌疑不十分」で無罪となっている。すなわち、日本は、国家として関与していないとはいえ、ある国家の体面を著しく汚す犯罪行為を行った同胞に対して、きちんと「けじめ」をつけなかったのである。最低である。

 確かに閔妃は大変問題のある人物で、朝鮮王朝を私物化し、国家を未曾有の大混乱に陥れていた。また日本の国益に危機をもたらすようなことも行っていた。しかしだからと言って、やっていいことと悪いことがある。

 原子力工学の先生も書かれていたが、今、韓国人の日本に対する怒りの原点はここにある。しかも、大方の日本人は、この事実を知らない。韓国の若者は、皆当然のことながら知っているのである。だから余計韓国人は怒るのである。

 日本の国際化とか、かっこいいことを言う前に、我々日本人の祖先はいったい何をしてきたか、面と向き合って自覚すべきである。それがあって初めて、日本人は国際社会からの信頼を得られるのである。我々日本人の、依って立つべき所を考えさせられる一冊である。


国会図書館Web-OPAC資料

閔妃暗殺 朝鮮王朝末期の国母
新潮社
1988.01
1,500円
ISBN 4103258063


閔妃暗殺 朝鮮王朝末期の国母
新潮社/新潮文庫
1993.07
560円
ISBN 4101308047

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2000-08-15 [書評]『恨ミシュラン』西原理恵子/神足裕司 / 朝日新聞社

  すでに古典の域か。

 「恨ミシュラン」が週刊朝日に連載されていたのは、1992年9月25日号から、1994年11月11日号までである。もう5年以上の歳月が経ってしまった。単行本が出版されてからも(第3弾)、5年が経っている。その間、本書に登場している飲食店のうち、どれくらいが残っているのであろうか。

 当然であるが、作者の二人は、その後二度と行っていない店が半分以上あるそうな。そして連載も、「いずれまた再開」と宣言したまま、現在に至る。二人とも顔が知れてしまって、入店拒否が続出したそうな。今だったらホームページなんてものがあるから、この手の話はやりやすいのだろうし、事実「レストランガイド」とかいうサイトも存在している。しかし、この「恨ミシュラン」ほど、ぎったぎったに突っ込みまくり、日頃我々がガイドブックから受けていた「うそばっかし」という不満を解消しまくった、痛快なガイドは見当たらない。あの「大朝日」がここまでやるかという意外性と、やはり書き手の感性によるところが大きい。

 ところで、恨ミシュランの中で、1店だけ「恨み星」が全くついていない店がある。すなわち、「恨ミシュラン」の中で最高に評価の良い店である。それは、恵比寿のイル・ボッカローネである(03-3449-1430)。ただし、これは1992年当時のことであり、お店というのは従業員によって大きく変わるので、その点をお忘れなく。

 ところで、作者の神足裕司氏であるが、私よりずっと年上と思っていたら、なんと私の高校の後輩であることが、あるときわかってしまった。とってもびっくり!


いちどは行きたい恨ミシュラン
史上最強のグルメガイド
定価(税込): \ 1,050
1993
ISBN 4022566884

それでも行きたい恨ミシュラン
史上最強のグルメガイド2
定価(税込): \ 1,050
1994
ISBN 4022568011

やっぱり行きたい恨ミシュラン
史上最強のグルメガイド3
定価(税込): \ 1,020
1995
ISBN 4022568992


恨ミシュラン 上
定価(税込): \ 735
1997
ISBN 4022612142

恨ミシュラン 下
定価(税込): \ 735
1997
ISBN 4022612150

先頭 表紙

2000-08-15 [近況]改訂版 口車、パソコン直す

 皆さま今日は。今回は本日午前中、わが愛機ぱわーぶっく1400君のACアダプタのコネクタがおかしくなってしまったので、修理したことについてお伝えいたしましょう。

 2ヶ月前ほど、ぱわーぶっく君につながったACアダプタに足を引っかけてしまい、あわやぱわーぶっく君を机から落とすということをやってしまいました。どうもその時にコネクタを傷めたようで、時々充電してくれない。最初はアダプタがおかしくなったのかと思いましたが、アダプタを交換してもらってもおかしい。コネクタにつながれたプラグを、いじくり回してつながったりつながらなかったりという状態。そしてついに今朝方、全く充電してくれなくなってしまいました。

 そこで、保証期間が切れたぱわーぶっく君、自分でばらして修理することと、相成りました。CPUとハードディスクとメモリの増設はやったことはあったのと、以前ボード交換で修理に持っていったことがあるので、見様見まねでばらばらにばらしてみました。ACアダプタのコネクタのところにたどり着くまでが、もう大変。結局、底の板1枚と相成り、コネクタの足にハンダをてんこ盛りに。どうも、コネクタがプリント基板からはがれかかっていたみたい。

 外すの簡単、つけるの大変ということで、トラックパッドのリボンケーブル差すのに、5分もかかってしまいました。そしてディスプレイをつけて、コネクタにケーブル差したら、スリープ時に点滅する緑色のLEDがつきっぱなし。いやーな予感。バッテリはずしているのだけれど、バックアップのリチウム電池があったか(古い機種はみなついている)、コンデンサの電気が放電したか。しかし、いやーな緑色であります。

 そして無事、ねじを一本も余らさずに組立完了。しかーし、キーボード右上の電源キーを押しても運とも寸とも言わず。ああ、壊しちゃったのかしら。しかし、アダプタのコネクタの足ハンダ付けしただけで、どこかショートさせた覚えもないし、緑色のLEDは相変わらず点灯したままで、電源キーは無反応。まづい!

 しばしぱわーぶっく君とにらめっこし、そういや背面にもうひとつ電源キーがあったっけ。ということでこいつを2、3回押してやるとLEDは消え、「じゃーん」と起動音がするでわありませんか!この音さえすればハードウェアのチェックはOKなので(でないと、情けない音とともに「泣き顔マック君」が登場)、一安心。無事、ぱわーぶっく君は復活したのでした。背面の電源キーは、リセットも兼ねているようです。


 ということで、こうして、投稿しておる次第でございます。

おしまい

追伸
 写真撮るの、忘れた。。。

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2000-08-15 [書評]『家族シネマ』柳 美里/講談社


  さてと、第116回(1997年)芥川賞受賞作である。

 確かに、すっと読めたが、芥川賞というのは、こういう感じの小説が受賞するのかというのが、率直な感想である。なんというか、「さすが芥川受賞作!」という、ありがたがって読むような感じを受けないのである。もっとも、何を書いているのか訳のわからない小説やエッセイを読まされることを思うと、ずっとましであるが。肩ひじ張っていないのは良いのだが、受賞作と落選作の「差」が、よくわからないのである。まあ、「○○賞」とか、「○○勲章」なんていうものは、こんなものかもしれない。

 それにしても、在日韓国人が受賞したからって、脅迫されるというのはいったいどういうことなんでしょうね。在日韓国人で若い女性が受賞したということで、悪質な「ねたみ」でしかないのだろう。変なことで有名になってしまった。

 本編の内容は、ぐちゃぐちゃで複雑な家庭の様子を、軽妙なタッチで描いている。面白いといえば面白いのだが、受賞後の脅迫騒ぎと重なって、消化不良を起こしそうな内容である。家庭崩壊の原因となるものを、これでもかこれでもかとつぎ込んで、その崩壊した家庭から主人公が自立していく過程を描いている。しかし、あまりすっきりした終わり方とは言えず、読後の爽快感というのはまったくなかった。そういうのを良しとする人もいるから芥川賞を受賞したのであろうが(あ、そういうことか)、私は正直言っていやである。

 人の不幸をのぞき込んで、「あ、わたしよりこんなに不幸!」と、自分を納得させるのには良い小説なのかもしれない。


講談社
1997.1
159p
1,236円
ISBN-4-0620-8607-7

講談社/講談社文庫
出版年月:1999.9
178p
448円
ISBN-4-0626-4668-4

先頭 表紙

2000-08-14 [昔話]口車、キャビアを横流しされる。


 ここのところ、巷で話題となっているキャビアについて、私もポーランドの昔話を書きましょう。

 実は、貞操の危機に直面した時、当時学生であった弟が夏休みを利用してポーランドに遊びに来るので、その下見のためにワルシャワに出ていて遅くなったのでした。それで泊まるところがなくなってしまって、危機一髪と相成ったわけ。

 で、弟がやってきて、ある晩Hotel Forum Inter-Continentalのレストランで、二人で食事をしました。そうです、資本主義の権化、Inter-Continentalグループのホテルはワルシャワに二つあり、一つはVictoria、もうひとつはこのForumです。これは「ふぉーらむ」と読んではいけません。「ふぉるむ」です。ま、ワルシャワではトップクラスのちょー高級ホテルなわけです。

 ほんでもって、メインディッシュに取りかかったあたりでしょうか。ウェイターのお兄さんがそっと寄ってきて、口車に、「ちょっと、よろしいかな。」と声をかける。「はい。」と答えると、おもむろに、「キャビア買わないか。」と来たわけです。

 まあ、想像してみてください。東京の帝国ホテルやホテルオークラやホテルニューオータニで食事しているときに、ウェイターがそっと寄ってきて「キャビア、買わねぇか。」と来る。日本では考えられないことが起きるわけです。

 さて、口車はこりゃ面白いと思い、「いくら?」と聞きました。ここで「キャビア?」とは聞かなかったわけですね。そうするとウェイター氏、「質のいいキャビアで、量もたっぷり250g。これで25ドルなんだけれど、どう?」とのたまう。当時のレートは1ドル200円弱でしたから、だいたい5000円見当。それで、最高級のキャビアが直径10cmの缶入りで買えると相成ったわけです。だいたいその1/4でそれくらいの値段はしましたから、良い買い物であったわけです。

 なんでこんなに安く売ってくれたかって?それはそれ、「闇ドル」のマジックなわけです。

 しかし不思議なのは、我々が食事しているすぐ斜め前に、やはり日本人のおじさんたちが食事していたのですが、彼らのところには最初から全く交渉しにも行かない。どうも口車、ポーランド人から「こいつは安心だ。」と思われたようです。

 いいことなのか、悪いことなのか。。。

おしまい

先頭 表紙

あ、思い出した。ブランド思い出せなかったのだけれど、ベルーガの青缶でした。 / 口車大王 ( 2000-08-15 00:28 )
不肖ぽたりん、「死ぬまでに一度でいいから山盛りベルーガキャビアを食べたい!」と思い、ヒースロー空港のキャビア屋で、手持ちのポンドをはたいてかなり大きい缶を買い、寮で一人でもさもさ食いました。結果、「キャビアはちょっと食べるからおいしい」ということに気付きました。ちゃんちゃん。 / こすもぽたりん ( 2000-08-15 00:23 )

2000-08-13 [昔話]口車、ポーランド語わからずに仕事する

 さて、本題にまいりませう。再び、ポーランド昔話でございます。

 前回、不肖口車、酔いつぶれてポーランド語を完璧に理解したというお話を書きましたが、その宴会のきっかけとなったお仕事について、今回は書いてみたいと思います。外国語を覚えるということはどういうことか、その本質について論じさせていただきます。今回は、非常にまじめなお話ですね。

 私、ポーランドにはプラント建設のお仕事で行っておりました。着任して2か月、私の上司が一時帰国することになり、突然、私がボイラー給水のための純水製造装置の試運転と、客先オペレータのトレーニングをやらされることになりました。日本から来たメーカーのおっちゃんはいますが、ま、取りまとめは私が中心です。

 ポーランドに来て2か月、当然口車のポーランド語はサバイバルレベルです。他にできる外国語といったら、英語くらいでしょうか。しかし、教える相手のポーランド人は、なんたってワルシャワ条約機構軍の国ですから、第一外国語はロシア語。お互い通じる言葉がございません。通訳さんはいますが一人しかおらず、私共のトレーニングにつきっきりでいてもらうというわけにはいきません。

 さあ、口車困った。

 ここで口車、考えました。まず、2時間の講習会を開き、ここには通訳さんについてもらって、逐次通訳してもらう。続いて、いよいよ試運転を始めるとき、最初だけ来てもらって、今後どのような手順で作業を行うか、説明してもらうことにしました。この試運転とトレーニングは、言葉の通じない同士でどうやって意志疎通を図り、情報の伝達が図れるのか、はからずもその本質を知ることとなりました。

 さて講習会です。ここでお互い同じ知識基盤を持ち、同じ目標に向けて仕事をしているとき、すなわち興味の対象が同じであるとき、意志疎通が図れてしまうということに気づかされました。専門用語になると、通訳さんだって右から左に通訳できるわけはない。ところが、ポーランド語で単語を言われても、だいたいの語感はいっしょですから、通じてしまう。考えてみれば、英語でテレビのニュースを聞いても、なかなか理解できませんが、自分に関わりのあることで英語で会話するとなんとか通じてしまう。そんなところでしょうか。

 いよいよ試運転とトレーニングの開始です。制御室に集まったポーランド人オペレータに、通訳さんから黒板を持ってきてもらうように頼みました。そして、最初は我々もどのようにプラントが動くのかわからないので、ちゃんと動くまでは我々日本人だけで操作すること、そして少しずつバルブ操作とかやってもらうから、ちゃんと見ててね、と伝えました。そして、今何やっているか、逐次黒板に書いていったのです。

 この、これから何をするか、これをきちっと伝えたのが正解でした。ポーランド人オペレータのモラルは下がらず、2週間のトレーニングで、ポーランド人だけで完璧に操作できるようになりました。

 以上、口車の、「ぢつは自慢話!」でした。

おしまい

http://www.petrochemia.pl/english/pkn/index.html

先頭 表紙

やはりロシア語なのですね。セミパラチンスクいる先輩方は、お星様になってしまったかしら・・・? / SENRI ( 2000-08-16 02:08 )
 カザフはロシア語圏ですね。なんたって、バイコヌールはあるわ、パラチンスクはあるわで、USSRの最重要軍事拠点でした。なお、不肖口車、ポーランドから帰ってきて4ヶ月後、もうちょっとでシベリアに島流しになるところでした。 / 口車大王 ( 2000-08-15 15:05 )
わたくし以前は某メーカーで同じく建設業に携わっておりました。あやうくカザフスタンというところで退社。カザフもロシア語? / SENRI ( 2000-08-15 09:03 )

2000-08-13 [近況]口車、ばかなことをする

 ここのところ、ごぶさたでございます。昨日は、朝9時からお台場に向かい、買い出しの上、東京湾花火大会の場所とりなるものをやりまして、炎天下寝ッころがっておりましたら、太ももがひいひりでございます。家に帰り着いたのが夜の11時ですから、たかが1時間半の花火に、14時間も費やしたわけでございますねぇ。我ながら、ばかなことをやっているものでございます。

いやはや

先頭 表紙

2000-08-11 [書評]『西銀座ものがたり』吉成庸子/かまくら春秋社

 またまた泣けます

 本書は、いわゆる「秋さんもの」、「八丁堀ものがたり」の続編である。「八丁堀ものがたり」で、著者が料亭とともに銀座の高級クラブを経営していることが、話として登場するが、なぜ銀座のクラブを経営することになったのか、その顛末は「謎」であった。本書でその謎が解き明かされる。ちなみに店の名前は「昴」といい、当時の有名店である。現在も「昴」という看板の店は、銀座に存在するのだが、著者が経営していた店との関連はわからない。稼いだら、一度確認に行ってみよう。はてさて、いつのことになることやら。

 それにしても、華やかに見える銀座のホステスは、なんて悲しい存在なのだろう。この本を読んで、ホステスさんと粋につきあえるか、単なるイヤミな説教オヤヂに成り下がるか、踏み絵となる本でもある。銀座で飲む「粋」とは何か、垣間見ることができる。

 それにしても悲しい。そして、経営者として人を雇うことのむづかしさを、しみじみ教えられる。

 さて本書は、泣ける話がたくさんあるのだが、中でも「ちょっといい夜」は本当に泣けてしまう。私なんか、何度読んでもぼろぼろ涙が出てきてしまう。本当は、東京の人って、田舎もんにやさしいのです。田舎もんをばかにするのは、東京にいる田舎もんなのです。

 まあ、読んでみてください。銀座のクラブで飲むために、「りすとら部長」の日記を読んで本書を読めば、へたなハウツウもの読むより、よほど勉強になります。そして、泣いてください。

吉成 庸子 著
ヨシナリ ヨウコ
4-6 339頁
本体価格:\1,500
C-CODE 0095
1998年11月
ISBN 4-7740-0107-4
かまくら春秋社

先頭 表紙

2000-08-10 [書評]『八丁堀ものがたり』吉成庸子/かまくら春秋社

 ほんとうのやさしさは、せつなさの中にある。

 この本を手に取ったきっかけは、三越本店の書籍売り場を、駐車場に向かうため通り抜けたときである。売り場に大量に平積みされた本書は、妙に人を引きつける「引力」を持っていた。どちらかというと、小さい出版社の自費出版に近いような本を、平積みにしていたのである。「本屋の個性」とは、こういうところに現れるのだなと思う。

 ところで、今回書評を書くに当たって本書を手に取り、巻頭言を読んでぶっとんでしまった。ただいま巷で話題の、そごうグループ代表の水島廣雄が、「友として一言」という一文を書いているではありませんか。この内容と、巷間あつかましさをふりまいている経営者としての悪いイメージのギャップは、いったいなんなのだろうか。人間、ゆめゆめ「俺以外、だれができる。」などと思わないことである。晩節をけがすだけである。

 さて、本題。

 本書は、著者がひょんなことから、女子大生であった20歳の時に、八丁堀の料亭の女将を継ぐことになり、それから十数年、切り盛りして閉店させるまでの物語である。途中、西銀座にあることがきっかけで、高級クラブを開くことにもなる。

#リストラ元部長、おとくいのところね。

 経営者とはどうあるべきか、トラブルに遭ったときにどう対処するか、接客の基本とは何か、商売の基本をきっちりと再認識させられる。 そして人間、一人で生きているのではないと。

 最後の、女中頭の秋さんとの別れは、本当に泣けてくる。いまこの文章を書いていても、涙腺がうるるしてきてしまうのである。秋さんは、どこに行ってしまったのだろう。このシーンを読んで、西部劇映画の「シェーン」の最後のシーンを思い浮かべるのは、私だけではないだろう。

 せつないけれど、かっこいいねぇ。


吉成 庸子 著
ヨシナリ ヨウコ
4-6 249頁
本体価格(税別):\1,456
C-CODE 0095
1996年
ISBN 4-7740-0054-X
かまくら春秋社

先頭 表紙

2000-08-09 [昔話]口車、酔いつぶれる − 外国語上達の最短コース


 またまたポーランドでございます。

 考えてみますと、強姦されそになったのも、雲助タクシーも、本日のお話も、ん年前の7月なんでございますねぇ、今振り返ってみますと。

 さて一仕事終わり、お客主催で「打ち上げパーティー」を開いていただけることと相成りました。パーティーとなったら、お約束は「乾杯」です。ポーランドで乾杯と言ったら、これしかない!そうですウォッカですね。これをシングルショットのグラスになみなみと注いで目の高さに持っていき、「ナズ、ドロービエ」の声とともに一気にのどに流し込む。これでございますよ。

 今回のパーティは、私が主賓みたいなものですから、グラスを空にするとお客が次から次へと、「まあ、飲め。」と来る。ほんでもって、口車も嫌いなほうではないですから、「ほいほい」っと飲んじまう。んで、気がついたら、30分で500ミリリットルのボトル1本、一人で飲んじゃっていました。トータルでは43度のウォッカ、2時間で1リットル以上は飲んでいたでしょう。

 で、打ち上げと言ったら、二次会です。河岸を変えて我々日本人が宿泊しているホテルに移動し、レストランで二次会となりました。その最中、口車はなんか気持ち悪いというかだるくなりまして、「夜風に当たってくる。」と言い置き、ホテルから外へ出て行きました。そして、漆黒の闇の彼方へと消えていきます。


 ん?あれ?だれだ体をゆすっているのわ!まったくうっとうしいなぁと、夢か現実かわからないでいると(0.5秒)、突然、ポーランド語でまくし立てているおばちゃんの声が、耳に飛び込んできました。

「あんた、こんなところで寝ていると、警察につれていかれちゃうわよ。さっさと起きなさい!」

 ん?あれ?ここわどこ?私わだれ?状態から、だんだん口車の意識はもどってきます。そうです。通りがかりの見ず知らずのおばちゃんが、口車を漆黒の闇の彼方から連れ戻したのでした。気がつくと、口車はホテル駐車場の、会社のチェコスロバキア製ぼろぼろシコダのボンネットの上で大の字になっているでわありませんか!夏だからよいのですが、冬場にこおいうことやると、即、仏様と相成りますので、酔いつぶれがいると、警察がすぐ連れていってしまうんですね。それで親切にも、通りがかりのおばちゃんが起こしてくれたのでした。

 で、口車はどうしたかって?眠くなると絶対その場で寝てしまう口車は、「ボンネットはいかんのか。」ということで、運転席のドアを開け、運転席でそのまま夜中の2時過ぎまで寝ていたのでした。ああ、情けな。

 さて翌日、冷静になって二日酔いの頭で、ポーランドに来て2か月、ろくにポーランド語もわからないのに、なぜおばちゃんの言ったことは完ぺきに理解できたのだろうかと、はたと考えてしまいました。脳細胞にすっと入ってきて何の違和感もない。ぢゃ、それをポーランド語でなんと言っていたのかというと、警察を意味する「ミリツィア」くらいは出てくるけれど、あとは全然思い出せない。でも、言いたかったことは完ぺきにわかったから、ボンネットから運転席に移動したのですね。ひぇー。

 で、ここにひとつの真理を発見したのでした。外国語上達するには、酔っぱらうに限ると。確かに、その後も酔っぱらっていたほうが、滑らかに単語は出るし、文法も間違わないし、ということに何度も遭遇したのでした。

 ということで、よいこの皆さん、外国語上達しようと思ったら、酔っ払いましょうね。

おしまい

先頭 表紙

はは、さすがは大王様お見通しで。私、会社のアメリカ人に、「お前、オーストラリア人の秘書から英語習っただろう」と言われてしまいました。ほぼアタリ。 / こすもぽたりん ( 2000-08-14 18:51 )
わたくしも、酔っ払って喋り捲って覚えたくちでございます。 / ねむり猫 ( 2000-08-11 12:40 )
まあ、上達の道としてそういう手もございます。基本は「飲む、打つ、買う」でございましょうか。Long Haired Dictionary なんてのもございますし。ただし、致命的な欠点がございまして、覚える言葉が「女言葉」になっちまうのですね。この辺は、おいおいまた。。。。 / くっちー ( 2000-08-10 14:10 )
私の場合、先生が美人だったので上達しました。 / こすもぽたりん ( 2000-08-09 22:45 )

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