近未来、東京・・・・・。
こう始まると、SFの要素がすごく織り交ぜられてる気がします。
ネオンだらけの高層ビルの隙間を縫うようにして、新しい乗り物が飛び交い、かといってダウンタウンでは身なりの貧しい人間達がひしめき、下水溝では追っかけられてる少年と少女が・・・・・。
みたいな想像がどんどん湧き出てきます。
が。
これが、”近未来、富良野”だったらどうであろう・・・・・。
・・・・・。
ヨボヨボの田中邦衛ぐらいしか、思い浮かばねえよ。
ということで、無理矢理”SFキタのクニから”やってみよう。
近未来、フラノ。
ここから物語は始まる。
冬・・・・・。
雪は木々の枝に重くのしかかっていて、まるでそれは木肌に直接、冷気を触れさせないようにも見える。
むしろ暖かささえ感じられる。
ロクゴウの森の中、ゆっくりとした一定のリズムで何かを叩く音が聞こえてくる。
トーン・・・・・・・・・トーン・・・・・・・・・トーン・・・・・
背中の曲がった老人が薪を割っている。
力を入れてるわけでもないのだが、上手に木の目に沿って割られている。
その老人は木を割るコツを熟知していた。
トーン パカッ・・・・・トーン パカッ・・・・・トーン パカッ・・・
老人は少し疲れたのか、薪割台の上へ腰をおろす。
「ふぅ・・・・・。」
額に滲む汗を軍手をした手の甲で拭う。
この老人の名前は、クロイタ ゴロウ。
「これだけへぇ、わればぁ、もぅ、この冬はこせるなはぁ〜。」
そう呟くと、割った薪を粗末なソリに乗せ家の中へと運び込む。
「おとぉーーーさぁーーーん!」
遠くから声が聞こえた。
ゴロウは聞き覚えのあるその声に振り向いた。
超電導スキーに乗った中年の女性が猛スピードでやってくる。
ウィーーーーーーンッ ズバババババーーー!!!
ゴロウの目の前で九十度板を滑らせて止まる。
瞬間、ゴロウの体は板で削り取られた雪に覆われる。
慌てて、顔の部分だけ雪を払うと、怒りもせず、愛嬌のある笑顔で迎える。
「ホォッタルゥ〜〜〜!」
そう呼ばれた女性はゴロウの長女である。
「あっ、ごめん。・・・・・お父さん・・・・・。」
「なんも、なんも、寒かったしょ、は、はやく家にあがってあたたまりなはぁ〜。」
「はい・・・・。」
ゴロウの家の中、二人は湯のみを両手で持ち、薪ストーブにあたっている。
「どうしたんだはぁ〜、な、なんの用事でここまできたんだはぁ〜・・・・・。」
「やだ、父さん。今日は何の日だか忘れちゃったの?」
「・・・・・。」
「今日は父さんの誕生日じゃ・・・ない。」
「・・・こ、この年になりゃぁ、自分がいくつだなんてぇ、数えるのも忘れたはぁ。」
「もうそろそろ、お兄ちゃんもくるよ・・・。」
「ジュンも来るのかはぁ〜。」
・・・・・。 |