右向いて(以下、右):おい、定公、手ぇ休めて一服するかい。
左向いて(以下、左):へぃ、親方。
右:じゃ、茶、入れてくれい。
左:へぃ。
煙管(きせる)に火を付ける親方。
・・・・・。
左:お待たせいたしやした、どぞ・・・・・。
右:おぅ、わりぃな。
左:ズ・ズ・ズ・ズゥ〜・・・・・。
右:あのぅ、親方、ちょっと気にくわねぇことがあるんですよ。
左:おぅ、なんでも言ってみろ。
右:へぃ。あっしはね、この墨壷ってやつが、どうも好きになれねぇ。
左:おぅ、そりゃぁなんでだい?
右:腹黒いって言うか、長いものを巻いてるっていうかぁ・・・・・・偉そうじゃないですか。
左:ばっけやろぃ!たとえ、それが偉そうでもなぁ、そういう事は使いこなして一端の腕を持ってから言うもんでぃ。
右:はぁ、おっしゃる通りですが・・・。
左:がぁ? が、なんでぃ。
右:へぃ。・・・・ですがね、こいつは、墨を入れないと使えない。
左:あたりめぇだ、墨壷って言うくらいだからな。
右:仮にですよ、仮にぃ・・・・・。
左:おぅ。
右:墨でなく小便を入れて使ってみたら、どうなるのかと思ったんですよ。
左:ケッ!ずいぶんと汚ねぇ想像をするもんだねぇ、墨でなく小便とは。
右:で、昨夜、仕事終わってから実際やってみたんです。
左:職人の風上にもおけない野郎だな、おめぇは。
右:・・・・・親方ので。
左:うんうん、なんだか今日は、ずいぶん滲むなぁ・・・・・って、わしのでか!!!
右:へい、すいません。
左:ま、まあいい。そのくらいのことじゃぁ、わしゃぁビクともしねえ・・・。
右:ところがですよ、小便は出だしたら、止まるものじゃありません。
左:うむ、わしは最近、残尿感があるけどな。
右:こんな小さなものじゃ、収まりきれません。
左:そりゃ、そうだろ。
右:で、あっしは、何か入れ物はないか、桶でもないかと、探したんです。
左:まさか、おめぇ・・・・・墨に桶ない、とかっていうオチじゃあるめぇな・・・。
右:あっ・・・・・。
バキッ!!!!!
題:定、親方に殴られるの図 作:りゅ〜ぢ
絵オチかよ! |