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ポロのお話の部屋

作曲家とむりんせんせいの助手で、猫の星のポロが繰り広げるファンタジーワールドです。
ぜひ、感想をお願いしますね。

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2003-02-17 猫の星の歴史教科書第1回 「セロ弾きジョーンズ」その3
2003-02-16 ポロでーす!


2003-02-17 猫の星の歴史教科書第1回 「セロ弾きジョーンズ」その3

 とむりんは、今日も発表するあてのない曲を作っていました。
ジョーンズは、それを聞き漏らすまいと耳を澄ましていました。今日の曲は、特に気に入りました。きっと我を忘れて演奏してしまうでしょう。練習を続けているうちに、曲もすぐに覚えられるようになったジョーンズは、心の中で繰り返し歌いました。

 とむりんは、最近畑の作物がよく育つので自分の腕前が上がったのだと思いました。しかし、よく気をつけて見ればわかるのですが、とむりんを慕うモグラは雑草を抜き、鳥たちは虫を食べ、野うさぎや鹿たちは、とむりんの畑の野菜だけは食べませんでした。
 ジョーンズは相変わらず居眠りばかりしていました。
とむりんは、ジョーンズも驚くほどの素晴らしい曲をいくつも書きましたが、それを発表するために街へ下りることはありませんでした。

 10年ほど経ったある日、すでにチェロの老名人となったジョーンズは、居眠りの最中に煙のように息を引き取りました。
 しかし、やはり年老いたとむりんはそれを知りませんでした。ちょうど同じころ、麦畑で人知れず倒れたのです。とむりんは、いままでとむりんを生かしてくれた麦に恩返しすることになりました。麦たちは、とむりんを麦に変えました。


 その晩、街ではUFOを見たと言う人たちが新聞記者から取材を受けていました。
 「ええ、あれは葉巻型母船です。細長く光輝いて空高く昇っていきました。本当です本当。間違いありません。あれがUFOじゃなかったら一体何だって言うんです?」

 ジョーンズととむりんの魂を送る動物たちの葬列は長く長く続きました。彼等の灯す明かりが、遠くからもおぼろげながら見えました。山の頂までは、けものたちが。そこから天までは鳥たちが見送りました。
 その年、動物たちの世話するとむりんの麦畑はいつもよりもよく育ちましたが、刈り取る人は誰もいませんでした。


おしまい

これは「野村茎一作曲工房HP」に付属する「ポロのお話の部屋」です。HPへは、こちらからどうぞ。
野村茎一作曲工房


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2003-02-16 ポロでーす!

とむりんせんせいのファンのみなさん。ポロがどうしてとむりんせんせいのところに来ることになったか、きょうこそお話します。
みなさんは、パラレルワールドって知ってますか? たとえば、ポロが今お茶を飲もうか、紅茶を飲もうか迷ったとします。それで、お茶を飲みながらイモようかん食べることにしたんだけど、紅茶を飲みながらクッキーを食べた世界もあるわけ。それがパラレル・ワールドっていうの。ポロが、もうお茶でイモようかん食べちゃったってことは変えられないけど、でもね、昔に戻ってイモようかん食べる前なら、ポロは紅茶を飲んでクッキーを食べることができます。
ポロの生まれた猫の星では、せんせいはとてもゆうめいです。でも、それはせんせいの音楽のせいじゃなくて、英雄ジョーンズの飼い主としてなのです。猫の星に伝わる歴史は、せんせいにとってあまりよいものではありません。だから、ぼくは歴史を変えるために、過去に戻ってオリンピア66号に乗って地球にきました。オリンピア号の歴史については、いずれお話します。
では、最初のお話は歴史の最後に伝えられた、とむりんせんせいの末路です。ポロは、これを読むたびに泣きそうになってしまいます。これを読んで立ち上がらない人はいないと思います。さあ、ポロといっしょに歴史を変えましょう。
いつになくまじめで、使命かんにもえたポロでした。
下の写真は、ありし日の「野村ジョーンズ」の雄姿です。

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