2003-07-13 フラッパーを手に入れろ、その２。
2003-07-13 フラッパーを手に入れろ、その１。
2003-07-10 飛行機から飛び降りる、ふたたび。
2003-07-01 おすわり。
2003-06-23 可愛く撮ってね。
2003-06-16 リフレッシュ。
2003-05-26 毛玉、その２。
2003-05-26 毛玉、その１。
2003-05-17 深く息を。
2003-05-15 ボスと呼ばれる人。

つづき。

店の前のアーケードに駆け込むと、数秒間の間に見事に濡れたわたしをみて、雨宿りのおばちゃん達が嬉しそうに声をかけてくれた。


閉店間際のハードウェアショップに駆け込むと、当然、お客さんは誰もいず、帰り道の心配する店員さん達が、楽しそうに雑談していた。

「きゃー、濡れたの？」と、大喜びするおばちゃん。「これ、着てみたかったんだー、俺は濡れてでも外に出るぞ！」と、赤いビニールの大袋を被って（雨合羽の簡易版？）、店内を走り回る兄ちゃんに、「トイレットのフラッパー、どれがイチバンいいのかしら？」と尋ねると、あぁ、納得という顔をして、お店にある、イチバン上等のヤツ（それでも、＄４だったけど）を薦めてくれた。


そして、ついに、わたしはトイレのフラッパーを手に入れたのでした！


・・・ともあれ、そのまま、ついでに食料品の買い出しにまわったのですが、ストームは３０分ほどで通り過ぎ、街中をびしょ濡れにし、小さなストリートを川に買え、いくつかの信号をショートさせ（たぶん）、微かなパトカーのサイレンの音を遠くに聞きながら、しゃどう車は、ばしゃばしゃ、と、豪快に水たまりをかき分けながら、家路についた。


しゃどう猫は、しばらくそのまま夜遊びを続けていたようだけど、夜中近くに大騒ぎをしながら、帰ってきた。そういえば、ストームの真っ最中に外にいたのははじめて。怖くて脅えていたのかしら？ それとも、どきどきしておおはしゃぎしていたのかしら？ 毛皮はすっかり乾いていたけど、いつもより、少し興奮気味で、食事を済ませた後、ソファに転がるしゃどうの上に乗っかって、眠りに来た。

しばらく触っていたら、ふいっと、自分のお気に入りのベッドに向かって走っていった。

丸くなって、しっぽと脚をからめて穏やかに眠るしゃどう猫。

いつも、いったい、どんな夢をみているんだろうか？



フラッパーは、お兄さんが言っていたように、あっさり簡単に数分で取り替えることができた。

でも、これって、何年くらいもつものなんだろう？



９４ 　　自分と飼い猫で似ているところはありますか？

可愛いところ・・・じゃなかった、シャイなところ、かな？



しゃどう。

先頭 表紙

モンスーンがやってきた。

じわじわと雲が押し寄せ、空を覆う。街中が薄暗くなり、風が強くなる。まるで、映画や漫画でありがちな、大悪役が登場する場面のように、街中にはひとけがなくなり、塵交じりの風やゴミが、からんからん、と、道路の真ん中を駆け抜ける。

夕方７時ごろ、バスルームの方から、ちょろちょろと水の音がした。

トイレットを使ったのは、数十分以上前。それなのに、タンクに水を溜めきれないのか、ちょろちょろ、ちょろちょろ、と、水を出している音がする。蓋を開けてみると、flapper（黒いゴムの栓、使用後時にレバーを下げると、フラッパーが持ち上がって、トイレットの溜りの方に流れます）がずれている。

よくみると、ゴムの先っぽの方が、劣化して切れている。寿命のようだ。とりあえず、手でずらして応急処置をしてから（注、もちろん、流す前の水はきれいな水ですよ）、新しいのを買いに行く。Hardwareのお店は夕方８時までやっている。明日の朝まで待つのも嫌なので、まだ天気はもつかしら・・・？ と思いつつも、車を走らせる。

いつもと違う風の匂いに誘われたのか、しゃどう猫も、騒ぎながら外に散歩しに行った。

ひとつめの通りに入った瞬間、である。

ポタポタ、っと水滴が落ちてきて、それから豪快などしゃ降りになった。街は煙る、道は濡れる、激しい叩き付けるような水飛沫が、しゃどう車を叩き付ける。四方を囲む山の後ろでは、垂直に稲光が何本も何本も繰り返し走り、ゴロゴロ、ドドーン、と、豪快な雷の音。


それでも、わたしは走った。トイレットのフラッパー。わたしのフラッパー。


ゆっくりと、近所のショッピングセンターの駐車場に入り、お店の近くに車を停めた。

叩き付ける雨の音、ドドドドッ、すでに水溜りが水流になりはじめている。

店の外では、今年初のストームの到来を、嬉しそうに眺める雨宿りの人達。

意を決して、車の扉をあける。

走れ、しゃどう。・・・走るんだ！ フラッパーを手に入れるんだ！


そして、わたしは走った。トイレットのフラッパー。わたしのフラッパー。


つづく。



９３ 　　猫さん関連で欲しいものがあったら教えてください。

ダヤン関係の猫グッズ。全部欲しい。残念ながら、ＵＳから買える方法をまだ、見つけていません。オンラインショップを開いてくれないかなぁ？



しゃどう＠写真は、レモン山の山火事。もう数週間以上燃え続けています。今年のモンスーンは、例年以上に待ち遠しいものだったようです。

先頭 表紙

また、11、800フィートの上空の飛行機から飛び降りてきました。前回と比べると、更にボロボロの小さな飛行機。操縦席の隣に座り込んで、うっすら開いたドアの隙間から、地面がだんだん小さくなるのを見つめていた。燃料計をはじめとして、たくさんの計器があったのだけど、その半分くらいが壊れているのか、針が所在無しにフラフラと揺れていた。

インストラクターのお腹にガッチリとくっつけられ、ドアがバリっと開けられる。えーっ、と思った瞬間には、外に放り出されていた。最初の一秒間、くるりと回転してふわりと宙に浮く、奇妙な感覚。その後は、体の力を抜いて、ただただ、重力に引っ張られるのを楽しんでいた。パラシュートを開いてからは、空を漂い、体の向きを変えながら、くるくるまわったり。あっという間に地上に着いた。地上に近づくにつれ、数秒おきに気温が上がっていくのがわかった。


前日は、近くの山にある天文台の、Observation Program に参加してきた。月の光も強く鳴り始め、最近、長々と続く近所の山火事の影響で、空は薄く煙ってしまっていたけれど、１６インチの中型望遠鏡のあるドームの小さなソファーに座り、薄く煙る銀河や青や黄色に光る星に座標を合せてもらい、静かな音楽とインストラクターの説明を聞きながら、まどろみを誘うような風に当たり、雲の上から静かに沈んでいった夕日の名残を感じる。


翌日は、スカイダイビングの後、Arty Town、Tubac に出向き、熱さと闘いながらも、のんびりと、いろいろな種類の彫刻や、装飾品、飾り物、玩具などを見てまわった。お昼ご飯は、メキシカンバーで、メキシカンなツナサンドウィッチ、帰り間際、あまりに熱いので（日影で１１０Ｆ（４３℃）近くまであった）、レモン味のシャーベットを食べた。


日が傾きはじめた頃、サボテン公園に向かった。無造作に並んでいるサボテン達。数年経っても、数センチしかサイズはかわらないのに、いつ来ても、いつも違う顔で迎えてくれる。あまりの暑さに、観光シーズンからすっかり外れてしまった日曜日の夕方。周囲に走る車がまったくいなかったので、土装されただけの道の真ん中を、ものすごくゆっくりと走った。闇が訪れ、熱さから開放されるのが嬉しくてたまらないサボテン達が、突然迷い込んできた訪問者を、興味深げに眺めているような気がした。


夕食は、もちろん、カウボーイのお店の、カウガールステーキ（１ポンド）。柔らかくジューシーに豪快に焼き上げた牛肉。口の中でトロトロ蕩ける。長かった一日を思いながら、サイドのポテトとサラダをかじりっていたら、あっという間に皿の上から消えていった。大満足。


というのも、この週末、オクラホマからりぃなさんが遊びにきてくれたのです。バリバリに楽しみました。


どうもありがとね。



９２ 　　休日はどうやって過ごしますか？

俺は、別に、休日も平日も、気にしたことないけど。しゃどうが家にいる時は、後を追いかけたりして遊んであげています。 （ｂｙ しゃどう猫）



しゃどう＠写真は、気持ち良さそうに飛んでいるお兄さん。うっかり、白黒モードで撮影してしまったのですが、なかなかいい感じに写っているでしょう？

先頭 表紙

最近になって、初めて気がついたのだけど、犬、は、モノリンガル、のようだ。


先週、友達の家でパーティーがあった。熱さの衰えはじめる夕方頃から、庭で裸足になってバーベキューテーブルを囲み、（巨大な肉を丸焼きにして、バーガー風のブレッドで挟んでかじるのだ。）世間話をしながら、犬がはしゃぐのを眺めていた。

美味しいのだけど、あまりに巨大な肉の固まり。後で野菜を大量に食べないと・・・なんて考えながら、少しもてあまし気味でいると、三匹の犬と、目が合った。飼い主の友人が、ほーら、と、得意げに、Sit! Down! Beg! Hold! と芸を披露した少し後のこと。

犬はあんまり好きじゃないんだけど（真の猫派なので）・・・ちょっとくらい遊んでやるか・・・と、肉を小さく千切って用意した。とりあえず、試してごらん、と、言われたので、犬達に向かって、シット！ と、言ってみた。うろちょろする犬達。いうこと聞きやしない。なんだよ、聞こえなかったのかな？ シット！ シット！ シッーット！

犬はぽかんとしていて、まわりの人達もなぜか、嬉しそうに笑いつづけている・・・えっ、でもそこまでおかしいかな・・？ と、気がついてみたら、"SIT"ではなくて、Hのはいった、"S＃IT（一応、お上品な記事に保つために伏せ字）"と、犬に呼びかけ続けていたようだ。シットじゃなくて、スィットゥ、だよう・・・いや・・・わたしには同じに聞こえるんだけど・・・と、反論しながらも、気をつけて発音し直してみると、


・・・犬が座って上目遣いでわたしをみた。


犬には違いが分かるようだ。とりあえず、なんだか犬に負けたような気がしたので、その後、しばらく犬を相手に話し掛けていた。いいかぁ、言われたから、なにかやるっていう態度じゃまだまだ、犬だ。犬を超えたければ、肉が欲しければ、どうしたらいいか、自分で考えてなにか行動してごらん。


・・・しばらく何も言わずに困惑した顔でわたしの目をみていた犬は、

黙って後ろ足で立ち上がり、前足を上下に振って、おねだりをはじめた・・・。


・・・分かってやっていたんだろうか？

どっちにしろ、犬はやっぱり苦手です。


−−−

今日のお昼、日本の企業からトマトを訪問しに来たお客様に、フランス料理をご馳走してもらいました。食前のホワイトワイン、から機嫌上昇、蕩けるようなシーフードクレープに舌鼓をうち、アイスクリームシューに、上質の柔らかいチョコレートが乗っている甘くてひんやりしたデザートを。

もう、これ以上、食べきれないというほど食べた。ワインも、ほろ甘くて、上質で、美味しかった。かなりの上機嫌でラボに戻ったわたくし、週末に作ったエスプレッソケーキを同僚に振る舞い（朝食にしようと思って大量に作っておいたのだけど、全部食べられてしまった）、面白がってからかいに来るトマトには、いつのまにかものすごく面倒な仕事を押し付けられ、それでも上機嫌のまま、ふんふんと、歌を歌いながら、お仕事をしていました。


・・・旨いものを食べ、旨い酒を飲む。幸せに生きるコツ、なのよ！！！


夕食は、日本から持ってきたワカメ（乾燥しているやつ）と、キウイ、ホタルイカの沖漬け、だけで、軽くすませました。



９１ 　　ずばり、あなたにとって猫さんとは？

最愛のルームメイト。甘やかして、甘やかして、甘やかして育ててしまいました。今、ＰＣのマウスを乗っ取られてしまい、少し難儀しています。とりあえず、キーボードの上に乗らないようにしつけることはできたようですが・・・。


しゃどう＠写真は、昔の切手。新しいカメラで。

先頭 表紙

やっといつもの生活に戻ってきました。体調は、身心ともに好調。先週にいったマッサージのおばちゃんにも、"did you have a good month?"と、驚かれるほど。彼女に月に一度、全身マッサージをしてもらうようになってから、もうすぐ２年。体調も、精神状態も、そのまま無防備に体全体に現われるから、ほとんど言葉を交さなくても、自分の状態がそのまま伝わってしまう。そういうのがなんだか面白い。

この状態がながく続くように、食生活から生活習慣まで、なるべく見直すようにしている。まず、朝、早く起きるように、朝ご飯をたっぷり取るように、面倒でも食事は抜かない（でも、一日に二食の方が、調子がよいみたい）、野菜果物はたっぷり、睡眠時間はなるべく削らない、頭も体も、鈍った状態で生活しているのは気分が悪いのだ。


東京に滞在中、さっそく、自転車を走らせて向かった秋葉原。お目当てはデジタルカメラと、ＭＤプレイヤ−兼レコーダー。今まで使っていたカメラも、もう５年以上前のモデルだったので、バッテリーも弱いし、ズームもないし、接写のピントも甘かった。暗いところでの撮影は、至難の技。キラキラと店頭にならぶ魅力的な新製品を見て数分後、もう心は新しいカメラをどれにするか、しか考えることができなくなっていた。

悩んだ末に連れてかえることにしたのは、Fujifilm の Finepix F410。卸し売り店で、大幅に値引きしているのをみつけて、大喜びで購入。なんと、US価格の半額！ 手触りも、デザインも、使いごこちも、すっかりお気に入り。

キャッシュのみ、のお店だったので、出かける前に銀行に立ち寄ろうと思った。昔の通帳と、カードを持って、銀行に向かう。ピンクの通帳には、「さくら銀行」と書かれていた。ちゃんとは覚えてないけど、確かこの辺にあったはずの銀行・・・なんか変だ。三井住友（だっけ？）銀行・・・になっている。ぼけーっとしながら、銀行の中に入ってキョロキョロしていると、警備員のおじさんが、「なにかお探しですか？」と、尋ねてくれた。

「・・・あの・・・さくら銀行を探していたはずなんだけど・・・」

というと、おじさんは、ニヤリ笑いを懸命にこらえながら、丁寧に、合併して名称が変更したんですよ。と、教えてくれた。


そういえば、第一勧業銀行も、もう既に名前が変っているはずだけど・・・うーむ。

もう、時代の流れにはついていけないようだ。


帰ってきてからの、新デジタルカメラの初仕事は、トマトの研究室ホームページ用の顔写真撮影だった。仮にも教授様なのだから、やっぱり、見た瞬間、吹き出してしまうほど愉快な写真は載せるべきじゃない。以前、ゲラゲラ笑ってしまったお詫びも兼ねて、そこそこ素敵な写真を撮ってあげました。カメラがいいのかな？ 腕がいいのかな？ いや、両方だね？



９０ 　　猫さんを飼う前と今とで大きく変わったことはなんですか？

あの毛皮を毎日撫でられる幸せ、触るとみゅーっと鳴き声が聴ける幸せ、ゴロゴロの振動を味わえる幸せ。愛情を、惜しみなく与えられる幸せ。



しゃどう＠写真は古カメラで撮った MuirWood＠california です。


＃＃今日の夕食は、湯葉豆腐、トマト、ポテトサラダ、冷しゃぶ、ホタルイカ沖漬け、ごはん。

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少しご無沙汰。６月の前半に、１０日間だけ休みをとって、東京に里帰りしていたのです。慌ただしく決まって、慌ただしく飛び出して、慌ただしく過ごして、帰ってきた感じ、なんだけど、約３年半ぶりに足を踏み入れる東京、なんとなく他人事のような気がしていたけれど、実家の自転車を借り、ペダルを踏みながらかつて過ごした土地を走りだすと、やっぱり１５年間暮らしていただけあってか、細かい道のひとつひとつまでちゃんと覚えていて、急に違和感が消えた。

短い滞在だったのと、あんまり時間がとれないのもあったので、多くの人とは連絡を取らず、どうしても会っておきたいな、と、思える古い友達にだけ、こっそり連絡した。お酒を飲みながら、美味しいものを食べながら、ゆっくり話ができる距離感、というと、一度にひとりかふたり、がいい感じかな、と思い、そんな感じでポツポツ、会っていた。

どんな風になっているかな？ かわっちゃったかな？ なんて、少しドキドキしながらの待ち合わせ。もう、お互いにすっかり環境が変って４年以上も経っているから、最初はよそよそしくなってしまうものかしら、なんて思っていたんだけど、顔を見た途端、不安はふっとび、一緒に過ごしていたあの時間がパッと蘇る。

ほんと、そのまんまだった。昔の話、今の話、先の話、話したい事がいっぱいあって、彼らも、彼女らも、面白いくらいそのまんまの雰囲気を持ち歩きながら生きていて、今は違う場所でお互いに違う道を進んでいるけれど、わたしが、いかに、そこで過ごしていた時間が大好きで、イトオシイものだったか、その頃は素直に認められないで、その時に足りなかった事、ばっかり考えて目を曇らせていたのか。思い出した。

たぶん、面白くないこともたくさんあったんだろうけど、大好きだった大学生活。最後の一年間は、毎日が楽しくて楽しくて、なんて時期もあった。でも、そんな事を友達と話しながら気がついたのは、本当に楽しい時間、っていうのは、いずれなくなってしまうものだから、そう思うから時間そのものが大事に思えるし、限りがあるから、楽しいんだよって。別に今が楽しくないわけじゃないけれど、あの時期独特の、楽しさ、嬉しさ、っていうのは、もう手に入れようとしても、絶対に戻ってこないもの。

たまに会って、大騒ぎして、すこしだけ時間が戻ったように感じても、翌日からまた別々の世界に戻っていく。徹夜明けに眠い目をこすりながら歩いた道、あたりまえのように隣りにいる友人、なんてことのない会話。

こうして何年たっていても、同じように受け入れてくれる人達がわたしには、まだまだ、なんにんもいて、薄れていく記憶があっても、わたし達は、しっかりここに存在している。なんで忘れていたんだろう？ なんて、感傷的に思ったり、そんな風に思えるようになった自分、そんな風に思わせてくれる人達に出会えたことを思うと、わたしは幸運な人生を過ごしているんだなぁ、と思う。


そして、それでも、今、わたしの帰る場所、いるべき場所は、今いる場所、だ。と、改めて思う。飛行機から降りて、あまりの暑さ（４０ ℃）に、一瞬、うんざりとしてしまったけれども、抜けるような青空、山のような仕事と、うるさい、じゃなかった愛しいボスや同僚、友達が、帰りを待っている。

玄関のドアを開けると、しゃどう猫が声を嗄らして走ってきて、頭突きなみに豪快なスリスリで迎えてくれた。


気が向いたら、滞在小話も、そのうちにね。



しゃどう。

先頭 表紙

つづき。

ここ ＵＳ文化。おそらく、実際のところ、どこの世界に行っても、いろんな人はいるんだろうけど、どうも、口ばっかりで、表面的にはとても調子がいいんだけど、実際の所、責任感をあまり持たない人が多いような気がする。というか、自分のいったこと、全然覚えていないというか、気にしていないというか。

まぁ、学生はもとより（無責任は学生の特権なのか？）、事務系でも、教授でも、なんでもかんでも。


だから、そんな時、いちいち腹を立てるのではなく、相手に非があると思ったのならなおさら（もちろん、わかっていても認めたがらないから、かえって攻撃的に反応してくるのです）、静かに諭すように話し掛けるようにしている。


なんでこんな事、急に思い出したかというと、我が最愛のトマトボス、とにかく調子が良くて、忘れっぽくて、思いついた事をそのまま口にした上に、後で都合が悪くなると、怖い顔して、すぐに屁理屈で言いくるめようとする、ちょっと困った癖がある。（ちなみに、こういう症状は、professor症候群・・・と、誰かが名づけています。）


トマトは見掛けが、パッと見が怖いのだ。アラブのギャングみたい。一度、黒っぽいスーツを着て、黒いスーツケース（ＰＣが入っている）、に真っ黒なサングラスでキャンパスを颯爽とあるいているのを見た時には、声をかけるのを躊躇したほど。目に力があるので、ギョロッと睨みを利かして、声を荒げると、馴れてない人は余りの怖さに、しどろもどろになってしまう。そんなわたしも、例にもれず、はじめのうちは、半泣きになりそうになっていたのだけど・・・そのうち、慣れてなんとも思わなくなってしまった。伝えたいことは、logicで、黙って目をみて、静かにいいたいことを、ぶつぶつ、ぶつぶつ、ぶつぶつ、ぶつぶつ・・・屁理屈には理屈で応対。


いいトレーニングに・・・？


もちろん、ものすごく反論するけど、トマトはわたしが伝えたいこと、いいたいこと、をちゃんと聞き取ってくれるし、わたしが間違っている時も、激しく忠告してくれるから（さりげなく言ってくれればもっといいのに、と、たまに思うけど・・・）、安心して話ができる。たぶん、根は素直でいい人なんだと、思う。



また、話題がすっかりずれたけど。先日、Martial Art のクラスの男の子に、"１５歳くらいだと思ってた・・・"と言われた。見掛け年齢が、最近、どんどん若返っていく。２０歳くらいまでは、ちょっと嬉しかったけど、ここまで来ると、なにか、不安になってくる。

・・・うーん、服装代えて、化粧、塗ったくったら年相応に・・・？


でも、みなの反応が面白いので、しばらく若返り、を楽しんでおくことにします。



８９ 　　人には分かってもらえないだろうけど、これが可愛い！　と思うのは？

しゃどうにだけ、特別に懐いていることかな？ 名前を呼ぶと、蕩けそうな顔で返事をするのが可愛くてたまらない。



しゃどう＠ 写真は、Muir Woods の苔。


＃＃久しぶりに今日の晩御飯。鶏のもも肉、と、砂肝、に玉ねぎとマッシュルームと海老を混ぜて、照焼きソースにからめて焼いてみた。１５分くらいかけてゆっくり火を通すと、砂肝が、コリコリ、しゃくしゃく、と柔らかくかつ、歯ごたえよく、美味しくなります。しゃどう猫は、鶏系の猫まんま。

先頭 表紙

夏になったせいか、豪快に抜けはじめる、しゃどう猫の毛。こんなに抜けて、ハゲになったら、どうしよう・・・なんて余計な心配もよそに、夜遊びから帰ってきた猫は、お気に入りのブランケットの上で、ぐっすり丸くなって眠っている。

だから、久しぶりに、本格的に掃除をした。ペーパータオル、フル活動、である。あちらこちらから出てくる、紙束の山。せっかく集めたリファレンス論文も、読まなかったら、ただの紙である。数年前に、オンラインジャーナル制度が始まって、たいていの論文は、図書館までいかなくても、自分のオフィスからダウンロードできるようになった。便利、便利、すっごく便利なんだけど、調子にのって、とにかく気になる論文をどんどん、ダウンロードしてしまう。おかげで、悲鳴がでそうなくらいの量が、手元にある。

大学のラボも、更に綺麗にした。後輩のひとりが、インターンシップでしばらく、いなくなってしまう。あぁ、ちょっと寂しくなるな、と、思いつつも、「とりあえず」片付いた実験室をボーっと眺めていたのだけれど、やっぱり我慢できなくなって、ふんふんとはな歌を歌いながら、「とっても綺麗」に掃除しなおしてしまった。

というのも、昔、あまりブツブツ文句をいっていたら、"you are like mother,,,"と、言われただけではなく、“なんか、だんだんトマトに似てきたね”と言われて、少しだけショックを受けていたのだ。いやね、仕事中に散らかしまくるのはしょうがないとして（わたしもひどいもんだし）、共通の場所くらいは、使ったものくらい元の場所に戻せ、というか、こぼした液体くらい拭いとけ、とか、半田ごてを熱いままで振り回すな（だって、３５０Ｃもあるんだよ、危ないじゃん）とか・・・あぁ、若いって・・・。

それはともあれ、こちらに来たばかりの頃、言葉の壁もあったけれど、こっちにいる学生、みんななんか態度がでかくて怖そうで、いいたいこともろくにいえなかった。少し経ってから、やっとのことでいろいろ言えるようになりはじめた頃、それがなんだか成長したみたいで嬉しくて、“こんなこと言ってやったよ”なんて、ちょっと得意げに友達に話していたりしていた。


その当時、少し年上の友達が、言ってくれたこと。

"しゃどう、なにか不満をいいたいときや、反論を行うときに、それが、どんな相手であっても、声を荒げたり、激しい口調（とか、口汚い言葉）を使うのはなるべく避けた方がいい。確かにその方が楽だし、とりあえず、相手は聞き入れるかもしれないけれど、あんまり知的じゃないし、そういうのが癖になると、なにかあった時に、相手を威嚇するしかできない人間になってしまう。しゃどうにそういう人間になって欲しくない。"

"じゃあ、どうしたらいいの？"

"Use logic!"


つづく。



８８ 　　猫さんの重さを教えてください。

９パウンドです。♂猫にしては中型だけど、長時間、腕に体重をずっしりかけられると、感覚がなくなるほどしびれます。ほんとに甘えっこなのです。


しゃどう＠写真は、Muir Woods National Monument @ San Francisco の近く。

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満月の夜。外に出たら、月には、半分以上、不思議な影がかかっていた。

怪しく白く輝く月に、映し出される地球の影。そういえば、月食だと、騒いでいたけれど、何時ごろ見られるのか、まったく気にせずにいた。


不意と見上げた夜空の月に映る影が、神秘的な速度で、ゆっくり、ゆっくり、ずれていく。あまりの突然の贈り物に、ただ、車に寄りかかり、何も遮るもののない空を見上げながら、ぼぅっと、見とれていた。


写真を撮ろうと、カメラを取り出した時にはもう、ほとんど月食は終わりに近づいていたけれど。ぶれないように、そうっと、記念に。月が元の形に戻る頃、しゃどう猫が、家に帰るよっ！ と、大声で鳴いた。外遊びから帰ってきたしゃどう猫も、しばし、見とれていたのだろうか？ （月食は昨日）



で、話は変って。夏の計画を考えていた。休暇も、もちろん必要だけど、今年の夏は、バリバリに稼げそうだ。と、いうのも、先月の口頭試験をパスしたので、Research Assistant から、Research Associateに昇格したのだ。なにが違うのかというと、時給が違う。しかも夏休み。再来週から、週に４０時間働けるようになるので（働けるように、じゃなくて請求できるようになるので）、手取りも二倍以上。いつも、振り込まれると、駆け足で逃げていくわたしのペイメント達、これからは、もう少し一緒にいられるんだね！ 嬉しい。


期末試験が終った大学からは、嵐のように、爽やかに、学生が飛びだっていく。ある人は、巣立ち、ある人は、とどまり。今学期は授業をとっていなかったから、まったく感慨はわかないけれど、この晴れやかな気持ちだけは、便乗しておくことにした。あと、もう少しだから、もう少しだけじっくりと、踏ん張って、焦らずに終らせていこうと思う。



夕方過ぎ、トマトが自分のオフィスで、ホームページに載せる写真を吟味していた。妙なところでシャイなのか、トマトは写真うつりがあまりよくない。何枚かブロマイドを見せられているうちに、反射的に笑いが込み上げてきた。すごく失礼なのは承知なのだけど、どうしても止まらないのだ。しかもいっかい笑い出すと、笑い上戸なので、笑いがとまらなくなる。もう、こうなると、笑っている自分がおかしくて、笑っているのだ。理由なんてない。スイッチが切れたように、息もできないほど廊下に静かに座り込んで、気付かれないように声を出さないように笑い続けていたのだけど、結局ばれて、オフィスから追い出されてしまった。



なにはともあれ、妙な爽快感が・・・明日もよい日でありますように。




８７ 　　猫さんの手触りを教えてください。

背中は滑らかで艶々。顎の下と、耳の付け根はふさふさ。お腹の毛は柔らかめ。しっぽはとろとろ。鼻の上は冷たくてごわごわしていて、ひげはちくちくします。目とはなの付け根を撫ぜると、くるごわっと、した感じ。肉球はぷよぷよ、肉球の傍の毛は、特にふさふさ。しゃどう猫は、どの部分でも、触ると、もっと撫でて〜っと、すりすりしてくれます。




しゃどう。

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先週、ボスのトマトと（また）口論をした。口論というよりは、わたしの方が、ずーっと文句ぶつぶつ攻撃をしかけていたんだけど。猫のように耳を伏せて知らん振りしているトマトを見ているうちに、ますます頭にきていた。けど、数時間もしたら、面倒くさくなって忘れてしまっていた。

そして週末が来たので、特に忙しくもないし、疲れもたまっていたので、土日は、のんびりと家で過ごしていた。

案の定、月曜病にかかり、学校にいくのがちょっと面倒くさくなった。ので、午後から出勤した。コーヒーを飲みながら、ダルダル気分で論文の文献検索をしていたり、部屋を片づけたり（しゃどうオフィスエリア、拡大しました！）していたのだけど、ある拍子に、おもしろい投稿論文をみつけたので、トマトに転送しておくことにした。

数分後、トマトから、メイルの返事が来た。「しゃどう、今日を含めて、昨日、一昨日の二日間、どこへいっていた？ どこに消えていた？」と、なぜかえらくご心配の様子。登校拒否でも起こしたと思っていたのだろうか？ わたしはそんなに繊細じゃないぞ。「週末の定義を教えて差し上げましょうか？」と、タイプして送り返しておいた。



我がトマトボス、もちろん根は悪い人ではないし、頭のよい人なんだけど、その一方で頑固で忘れっぽくて、調子がいい。前にいたトマトの一代目の学生は、トマトより幾つか年上で穏やかな人で、仲良くやっていたようだ。二代目学生しゃどう、なにかと衝突してしまう。もともとの専門分野（と性格？）が離れている、のと、年が中途半端に近いのと、とがあるんだろう。


何事にかけても、彼は常に挑戦的で、対抗的なのだ・・・


例えば、わたしが空手をはじめた話をすると、あぁ、俺は茶帯までいったんだけど、上級生をぶんなぐっちゃって道場を追い出されたんだ・・・と武勇伝を語りはじめる。昔の話でしょう？ 今は、もう無理でしょう？ と、相づちをうつと、いきつく先は、スパリングでいつか勝負をつけてやるっ！

昔、わたしが花火で危ない楽しみ方をしていた、と、懐かしげに話すと、あぁ、俺なんか、小さい頃は不発弾拾い集めて、爆弾作って遊んでたよ（内戦の激しい土地に生まれ育ったのだ）。そんなの目じゃねぇよ。と・・・（しゃどう絶句）。

昔、わたしが痴漢（ナンパ？）まがいの男を追い払った話をすると、俺はなぁ、ボストンで学生をしていた時に、ダウンタウンで道に迷って交差点でとろとろしていたら、後ろからチンピラにクラクションを鳴らされたんだ。頭に来たので、中指を立ててやったら、大怒りで、車から降りてきたんだ。だから、喧嘩する気満々で俺も車を降りたんだけど、奴、俺の顔みて、出身国を聞いたら、慌てて逃げて行きやがった、あははぁ〜凄いだろう！ ・・・（今でもやってるんじゃないでしょうね？）

わたし、猫並に夜目が効くんだよ。と、自慢気に話すと、俺はなぁ、内戦時代に物品運搬の拙攻をやっていたから、動体視力も抜群だ。なにしろ、ばんばん撃ってくるしな。ほら、そこに十字架、そこにも十字架、気をつけて運転しろよぉ、と、夜のハイウェイを８０マイルで飛ばしながら、道端に目をやりながら、数を数える。（動物以上？）

挙げ句の果てには、学会に行った時、いいかぁ、俺の方がお前なんかよりずっと、有名で偉いんだぞ！ と、帰りの車の中で威張りだしたり・・・とか。（当たり前やん！）


改めて書き並べてみると・・・おもしろい奴だ。なにかもっと難しげに語るつもりだったんだけど、また話がずれてしまった。


また、気が向いたら書くことにしましょう。


しゃどう。

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