トイレ(toilet)
私はトイレが遠い。もうむちゃくちゃ遠い。沖あい5キロってなくらい遠い。(なんのこっちゃ)少ないときは朝、夕、帰宅後の三回くらいである。こういうときは大抵、よく知らないところに仕事ややむを得ない事情で出かけたときにこうなる。安心感がないと出ないのである。引っ越したときはしばらく家ですらなかなか出なかった。嫁入り前の乙女の書くことではないが文字通り「出ない」のである。便秘ではない「液体」がでないのである。
もう「出そう」と思えば思うほど緊張してどこかへ行ってしまうのだ。今から思えば子供の頃からそうだった。風邪などで病院に行くと大抵「検尿」がある。名前の入った紙コップを持って母が言う「あやちゃん。お願いやから今日ははよしてやぁ」この言葉は大体裏切った。母は私にリンゴジュースの紙パックを持たせ目から「飲め〜飲め〜、出せ〜出せ〜」光線を出していた。その光線を浴び二本目のジュースを飲みきって頃になってようやく私はトイレに向かうのだ。しかしここで安心してはいけない、最後の難関が待っているのだ。トイレに他の人が居ると「出ない」のである。隣の個室に人が入ってしまうともうダメだ、気が散って「出ない」さんになってしまうのだ。
そんなこんなで検尿だけに一時間半から二時間もかかってしまっていた。大人になってからは「今は無理です」と断るか病院に行く前からトイレを我慢しておきいつでも出るようにしておくようにしている。
この「出ない」さんはなにも病院に限ったことではない。先日ドライブの途中でどうしてもトイレに行きたくなりコンビニに寄ってもらった。トイレのドアには「トイレはレジに一声おかけください」という張り紙がしてあった。私はここで店内をぐるりと見回した。店員さんチェックである。もし店員さんが全員男の人ならばもうそのトイレでは「出ない」。ぐるりと見回すと店員さんは女の人が二人、ビンゴである。レジに一人とお菓子売り場に一人、ちなみにお客さんは男の人ばかり7、8人。レジに行こうとしたがお客さん(男)が並んだのでお菓子売り場の店員さん(18才くらい)にコソコソと「あのぉ、トイレ借りてもいいですか?」と聞いた。するとその店員さんはなんとレジに向かって大声で「トイレお願いしまーす」と言ったのだ。どうやらレジにトイレのドアを遠隔操作する鍵があるらしい。しかしレジの人は接客中で聞こえないらしい、お菓子売り場の店員さんはさらに大きな声で「トイレお願いしま〜す!!!」といった。レジの人が鍵を開けてくれるとその店員さんは事もあろうに私に向かって「トイレどうぞ」と言ってくれた。
もちろん私が「出ない」さんになってしまったことは書くまでもない。
コンビニの店員さんよもうちっと気を使ってね。
何でもないトイレの話である。 |