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parkの「親には言えないけどね」

10代の子供たちに関わって10年以上。彼らの親には言えないホンネ、そして実態・・・

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2004-06-22 労働の対価
2004-06-15 好機
2004-06-02 F君のことなどなど
2004-05-31 修学旅行について
2004-04-27 扉の向こう
2004-04-12 退院そして・・・
2004-03-21 D子のこと再び
2004-03-19 本当の卒業
2004-03-14 卒業式の後と無関心な親
2004-03-02 桜は咲いたか


2004-06-22 労働の対価

この塾は雑居ビルの中にあるので、いくつか店舗や事務所が入っている。
その中に、塾としてはアリガタイ本屋の倉庫がある。利用もよくさせてもらう。
ここが、毎年この時期ビル清掃の期間に棚卸のようなことをするので
そこに頼んで「体験」ということで、中学生たちに仕事を手伝わせて
もらうことにした。

そうはいっても、邪魔にならない程度の仕事しかないわけだが、
午前中、約2時間、冷房のない部屋で飲まず食わずで私語もなく、
言われた事をやるだけの作業時間は、彼らにとって、こちらが予想した以上に
苦痛だったらしい。
そこの事務員さんとは顔なじみなので、ちょっと演技もしてもらった。
「体験」後、ジュースをもらいながら、額に汗をかく彼らに
事務員さん:「今日のお仕事で普通は時給800円がもらえます」
彼ら:「おぉ〜 じゃ、オレラ1600円もらえる?」
事務員さん:「皆さんはお仕事が出来る年齢ではないので、参考までに、ですが
今日の労働はタダです。」
彼ら:「えーっ!?」「なんでだーっ」(きょとんとしながらブーイング)
事務員さん:「見習期間だからですね。普通見習期間でもお給料がでるわけですが、
それは見習い期間中ずっと仕事をしている場合です」
彼ら:「ずっと、ってどのくらい?」
事務員さん:「会社にもよりますが、ずっと、とは普通は最低1ヶ月です。その間は好きな時に休むことは出来ません。会社の決めた休みの時だけ休めるのです。うちの会社では3ヶ月が見習い期間なので、その間にやめてしまうと、とっても低いお給料しかもらえません」
彼ら:「・・・こんなこと1ヶ月とか3ヶ月もするの?」
事務員さん:(にっこり笑って)「はい。でもその後はお給料は上がりますが、こういう仕事を最低でも3年はしないと、他の仕事にはつけません」
彼ら:「おれ、本屋にはならないぞー」「おれもー」「あたしもー」等々
その後も事務員さんと彼らは質問のやりとりをしていた。

そうこうしながら塾へ戻った。
「君タチが万引きした金額は、自己申告を平均すると、800円位だ。」
「えぇ〜 じゃぁ、丁度時給ってカンジ?」
「そうだよ。働きもしないで、800円のものを取るってどうだ?」
「・・・」
「自分たちが3時間働いて、1時間分、タダにしてやってもいいか?」
「ぜってーやだ」等々
「でも、君タチの万引きは、誰かの時給を取ったのと同じことになるやろ?」

それから、お金のしくみを話した。
お金は払ったら終わりじゃない。
世の中をぐるぐると回っていくものだということ。
今日払ったジュース代が、誰かのお父さんのお給料になっているかもしれないこと。
それを、払わないでみんなが万引きするようになったら、
お父さんのお給料がなくなることだってある、というちょっと強引なハナシもした。

こんな「体験」で万引きをもうしないか、といえば、それはわからない。
万引きは泥棒と同じコトだという理屈、それは、もう知っているはずのことなのだから。

そういえば、万引きをしたことがある、ということを親にはナイショにしてくれ、
という子もいたが、中には、親には話しても別に怒られない、という子もいた。
万引きだけでも、これだ。
根は深いね。
こんなに非力な自分だ。
だまって勉強だけを教えていりゃーいいんだろーけどね。

帰ればニュースでは税金の無駄遣いやら、着服やら。
自分のお金はダメで人の金ならいい、っていう見本を大人が示してどーなる???

さて、やっぱりビールかな・・・

先頭 表紙

いや、まったく。 その後F君の感覚は見た目では一般的な感覚になってきたような気もしますが、本質的にはわかりません。 / park ( 2004-07-07 02:05 )
夜遊び、援助に万引き、かっぱらい。一昔前なら世間に知れたらもうその町では暮らしていけないほど恥ずかしく罪深いことだったのに。。。。子供達は無垢なままで生まれてきているはずだから育つ過程で何かが間違っているんだと思います。はい。 / kotarou子 ( 2004-06-23 02:14 )

2004-06-15 好機

F君のことは意外にも早くその所業を振りかえらせる好機がきた。
忘れ物を取りに帰るというので、ついでに、と買い物を頼んだ。
勿論再びそういう場面を狙っていたのだが、アクシデントで
頼んだものの値段を勘違いし、彼は今回自腹でその不足分を補ったというのだ。
「先生、足りなかったよ」
「いくら?」
「えーと、・・・」
レシートを出して計算している。
「274円足したんだよ、オレ」
「ありがとう」
「・・・」
そうだ、と思い、そのまま授業を続けた。
帰りにF君が、「先生、オレのお金返してよ」
というので、内心ニヤリとしたことはいうまでもない。
この前と全く同じ会話を逆の立場で言ってやったのだ。
F君はちょっと顔を赤くしながら、抗議していた。
そのうち、クラスの誰かが「Fだって、この前先生のお金返さなかっただろ」と
言い出した。

続けてF君のいない間に借りた消しゴムや筆記用具も、教師の箱に入れるのを
F君はまたもや赤い顔で「それ、オレの」と抗議してきた。
「パクリはしても、パクられるのはイヤなんて、随分勝手なハナシだね」と
笑いながら言うと、「あたりまえだろ」と、むっとしている。
「万引きならもうしてないし」とも。
「でも、万引きなんていつでも出来るわけだろ?」とつっこむと
「バレたら高校行けないからもうしないって」と言う。
「バレなきゃいいじゃないか。274円なんてセコイこと言わなくたって、
Fならすぐ元とれるだろう」
F君は意外そうな目で見上げて「先生がそんなこと言っていいのか?」と聞く。
「どうして先生はダメで君はいいんだ?」
そのうち周りのコたちが騒ぎ出した。
F君の万引きを知っていて声を出さなかったコたちだ。
「ヒトのものとるのは泥棒だぞー」「働いて返せー」などなどね。

そのうち誰々だってやった、だの、誰かのを見た、だのの声。
そこで、時間をとって、紙に今まで万引きをした店や品物や、見た時何を取っていたか
書かせて見た。 とりあえず匿名だが、字を見れば誰が書いたかすぐわかる。
まぁ、そんなこと言われてすぐに書くところがまだ中学生だとも思うが。。。

内容は予想していたものの、やはり唖然だ。
え?と思うような子までやっていたり、一緒にいた友人がやっていた、ともある。
(これの方が多いが、果たして???だなぁ)
どこまで本当のことを書いたかはわからないが、週末、補習ということで
生徒たちを呼ぶことにした。 ある計画を実行するために。

先頭 表紙

2004-06-02 F君のことなどなど

小6の少女の事件が生々しく報じられている。
詳細がわかるほどに、大人の常識では考えられないことがでてくる。

F君は見た目に本当に好男子な印象。
キリっとした目元、整った目鼻立ち。
派手な顔ではないが、誠実そうな眼差し。
優しく、分け隔てなく級友にも接するので人望も厚い。
当然、学校の先生の信頼も厚く、ちょっとやそっと、点数が落ちても
評価が下がらないほどだ。
言葉遣いも礼儀正しく、たまに冗談を言ったりして周りを笑わせる術ももっている。
まだ馴染みの浅い自分(parkね)には、距離を置いて話すが、それでも
自然となついてくる感じは、悪くないな、カワイイ生徒だ、と思わせる。
塾の他の女性の先生などは、かわいがりたくて?補習に呼ぶ位、人気者なのだ。
が、コイツ(!)が曲者だったのだ。

些細なことでそれは露見した。
休みの日の補習中、
彼にみんなの分のジュースを買ってきてもらったときだ。
お金を渡したところ、お釣りがない。
「お釣りは?」
「え?返すんですか?」
「!?」
「そのくらいいいじゃないですか」
「・・・」
周りのコたちは、ずるいぞー、だの、ネコババだの騒いでいたが
結局授業になってそれきり、になってしまった。
印象と違う発言にとまどったのは言うまでもない。

その後、わかったことがあった。
彼と、もう1人、つまり2人で買い物に行かせたのだが、
その彼が言うには、「あいつ、お金使ってないぜ」
「どういうこと?」
「だって、預かったお金、山分けしようって言ったもん」
つまりこうだ。
1000円渡して、6人分×140〜150円の飲み物を、彼は買わずに
1000円は懐に入れたのだ。
では、飲み物はどうやって手に入れたか?
<万引き>である。
同行したもう1人は現場を見ていない。
だが、”その事実”は明らかだ。
同行した彼は、当然その1000円は先生に返したと思っていた、と言っていた。

いやはや、したたか、な、F君のやりように、あんぐり、といった感だった。
授業でさりげなく聞いてみると、彼はちょっと得意らしい。
あの店でもやった、この店でもやった、とね。
驚いたのは他の生徒たちだ。
一時教室は騒然。
さすがにF君もコトの大きさにマズイ、と思ったか、
「最近はもうやってないよ。むかーし(っていつだ!?)、ちょっとだけ」
と言っていた。
それで、周りがナットクしてしまうほど、F君というコは、
正義の風すら感じるような風貌なのだ。

F君の家は自営業で、昼間は家に誰もいないことが多い。
おこづかいはお母さんのお財布からとっていく、という習慣が(これは親の指示)
彼の金銭に対する感覚を麻痺させていったのか、と想像してみる。
5000円、1万円、に対してより、中学生位だと
500円、1000円に敏感になるものだが、彼は「お金」全般に対して
恐ろしく「鈍感」なのだ。
「万引き」=「悪いコト」という教えは彼の心には留まるまい。
どうしたものか、と、思案に暮れるこの頃であった。

先頭 表紙

kotarouさん、大丈夫、伝わっているつもりですぞ。いつも貴重なつっこみをありがたく / park ( 2004-06-15 00:18 )
ごめんなさい。私の真意が伝わっていればいいのですが。以前子供の小学校の校長先生は「共働きをしている家庭の子供は」とか「子供を放置して働きにでるような母親」というような表現を平然とする人で随分顰蹙を買っていましたねぇ。なんだったんだろう、あの先生は。今、その方教育委員会にご栄転になられましたけど。 / kotarou ( 2004-06-09 02:29 )
kotarouさん、↓そうなんですな。自営や留守がちな親御さんのお宅が問題なのではなく。ただ、F君のおかれた状況を説明するとこういう感じ、というわけです。急ぎ足の説明でしたが、家庭環境はその子の動向に大きく影響はすると確信はあります。ただどのような場合も画一的なものではないとも確信しています。たとえ朝〜晩まで親が側にいたとしても、起こり得ることは全方位にわたっていることも。書き方がムズカシイですな。 / park ( 2004-06-04 18:07 )
parkさんが、そういう家庭に対して偏見を持っているという意味ではないのですが、自営→留守勝ち→お金の管理に問題あり という一つの図式のようなものを感じます。自営で留守が多いことが問題なのではなく、親の手で直接お金を渡すことがない、というのがこの場合問題ですね。 / kotarou ( 2004-06-03 01:00 )
コトの次第を飲み込むのに数回読み返しました。つまり、そのもう一人も「万引き」したとわかっていて黙っていたということですね。万引きする子もそうと知っていて黙っている子も。。。。あと、後半の「F君の家は・・」以降は、共働きであったり自営であることが場合によっては子供の育成にマイナスであるという印象を与えかねないと思いました。 / kotarou ( 2004-06-03 00:57 )

2004-05-31 修学旅行について

うーん、日記には程遠い日付。
いやー 忙しかった、なんて、自分の日記にイイワケしてね。
ごめんごめん、このところ残業が多くてさ、って飽きてきたコイビトにでも
言うような気持ちかな。(言いませんよ、実際は)

この期間、修学旅行やら中1は中学に入って初めてのお泊り体験やら
初めての定期テスト等々行事が目白押し。

中学生が中学の時期に行く修学旅行先、これは全く彼らの意向を無視しているから
「友達と泊まりに行ける」のが楽しいのであって、本来大人が期待する意味合いは
近頃特にムリなハナシとなっていることを感じるね。

しかも、かなり旅行会社の言いナリ。
今時この合計金額なら、もっと旅行の仕方もあるだろう、と、言いたいけど
親たちはどうなんだろうか。
日々のお金には細かいけど、こういうことには案外無頓着なんだなぁ。

学校とはそもそも特別区的な経済の扱いをされているが、これはもっと
学校自体もお金の使い方、あり方に神経を尖らせるべきだよね。
税金だからさ、なんでも。
でも、そういう他人のお金じゃ、アリガタミがない。
センセイにアリガタミがないから、子供タチはもっとアリガタミを感じないんだな。
だから校舎や備品も粗末にする。
センセイたちはそれを「いけない行為」として指導するけど、
そもそもこれは君タチの親のお金が使われているんだ、
位の指導をしてもいいんじゃないかな。現実的にさ。

ちょっとハナシがそれたけど、修学旅行。
金銭的なことはさておいて、最近の旅行はすごいよ。
ジャンボタクシー貸し切りで回ったり、泊まるのもホテル。
2人部屋(ツインってやつね)でシャワー付き、勿論トイレも。
至れり尽くせり、の感。聞けばそれなりの理由もあるが、どうよ?
学校側の一番の理由は他校との摩擦を避けたいとか。
まぁ、総じて優雅な旅行なわけだ。子供タチには不自由させませんよ、みたいな。

やっぱり金銭的なコトになるけど、
このお金の使い方を中学生に当たり前と感じさせることはどうなんだろう。
お小遣いは時代と共に勿論増えてしかりだが、それに何も貧乏旅行をしろ、とは
言わないが、自分たちで工夫して交通費を節約したり、効率の良い観光をしたり、
なんていうワザも知恵も磨かせることなく、(あえて磨かせない。面倒だからだ)
お仕着せの旅行が無事終わることだけを、目的としているように感じるんだなぁ。

帰ってきた子供タチの感想のほとんどが
「夜更かしが面白かった」だからね。
ま、子供タチが楽しければいいんだけど、何万も使うんだからさ、
もうちょっと使い方があってもいいかな、なんて思うわけでした。

うーん、青汁が効くな〜。
最近義理で始めた青汁。これ、案外いいかもな。
一時ケール100%じゃありませんでした、なんていうことで落ちこんだらしいけど
まぁ、草の汁にはかわりないしね。しかも自分じゃそんなに野菜も採れないしさ。
二日酔いにも良さそうだ。。。

今日も明日も補習。
中1君たちの初テストはいかに・・・だね。

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実際のところ、センセイ方もコトナカレが一番、なんでしょうな。子供というのは常に大人の都合の犠牲になりやすい存在なんだということの典型が学校であっていいのか???と思います。 / park ( 2004-06-02 22:27 )
金額に見合う「ココロのお土産」「知識のお土産」「感動のお土産」は皆無ですね。うちの子たちの中学でも班行動の時間はPHS持たせタクシー利用だというので冗談じゃないとクレームつけたけど「もう決まったことですから」って。あんな旅行の為に大枚八万円払ったかと思うと今でもムカッ腹( ̄‥ ̄)=3 / kotarou ( 2004-05-31 01:08 )

2004-04-27 扉の向こう

春のバタバタがようやく一段落。
5月以降は中間、期末テストを受験生は修学旅行などの行事の合間に
乗りきらねばならない。
普段やっている子とそうでない子の差がつくのはまさしくこれからだ。

D子のいる場所へは車で行った。
大体の見当はつけていったつもりだが、やはりトチカンのない場所で
かなり時間がかかった。そもそも病院とつく建物ではないのだから。
受け付けのテキパキとした明るい応対はこの建物を訪れる側に安心感を
おそらくもたらす。
「右の扉からお入り下さい。」そう言われて左にも扉があることに気づく。
右の扉を開けながらふと、左の扉を振り向くと、おそらく男性の
大きな体がそのドアにぶつかって大声をあげているのが見えた。
かなり重いガラスのドアなのか、何か特殊な素材なのか、曇りガラスのような
その半透明の見た目から透けて、ドアを叩く姿が見える。
そういうことか、と思いながらも右に進む。
全体に明るい、まるでオフィスのような中。
D子の部屋もすぐにわかった。
2人で食堂へ行く。

彼女は以前より格段に明るい印象になっていた。
今は月1回の外出も出来るそうで、ほとんど日常に制限はないという。
しかもこの「右側」の棟は男女の部屋も出入りが自由で楽しいという。
色々な人に出会ったことが彼女の印象を変えたのだろうか。
「みんな普通じゃないんですよ」
D子が嬉しそうに言う。
「聞いたら普通の人は驚いちゃうでしょうね」
連帯感とも違うだろうが、本人が思う心の傷を話し合う場として
D子には居心地が良いものらしいことはわかった。

実は頼まれた本は持っていかなかった。
おそらく自分の持っている程度の本はD子は読んでいるはずだから。
それをD子に告げ、かわりに問題集を見せた。
D子は笑った。
「勉強なんかしてもナンにもならないですよ」
まぁね、と言って「たまには頭の体操にさ」と手渡した。
この問題集は塾のものとは違う。
密かな目論見もあるのだ。
D子の心に響いてもらえたら、と思う文章などが載っている。
数学も彼女の好きな関数系。
歴史はヨーロッパの難しくかなり細かい問題。
ページをめくってくれるかどうかは、わからない。
知識を習得することに喜びを見出せる彼女の知的好奇心に届くかどうか、
これくらいしか今自分に出来ることはないのだと思っている。

先頭 表紙

そうですー^^ちょっと事情がありまして、ハンドルネーム変えてみましたw / amyamy ( 2004-05-01 18:43 )
ですねぇ。ケアというほどのものはしていないので、なんとも、ですが、向こうから連絡をとる限りこちらもつきあおうか、というスタンスです。ところで、ミニ戸・・・というのが気になっていたのですが、もしや以前のmakicooさん???違ってたら失礼! / park ( 2004-04-30 01:48 )
いい気分転換になるとよいなぁ、、それにしてもここまでケアしてくれる人がいてD子さんも幸せですな^^ / amyamy ( 2004-04-27 21:43 )

2004-04-12 退院そして・・・

D子から連絡があったのはもう、こちらの記憶も薄れそうなタイミングだった。
春は何かと忙しい。
教材の手配やら新しい塾生への補習やら、受験が終わっても
やれやれ、とするのは3月の半ば1週間位。
春期講習など、大手はタダだったりするのだが、
こちらはそうもいかないので、中身で頑張ることにしているのだ。

D子は公衆電話からだと言った。
「足は?」
「もういいんです。でも今連絡がとりにくくてすみません」
「いいんだよ、学校は?」
「行ってません。っていうかまた入院しているんです」
「???」
公衆電話の向こうでもごもごした声のD子は以前より弱々しい感じだ。

D子の話はこうだった。
足が松葉杖をついて通院できるようになった頃から、
母親が読んだ本に載っていた何かのセミナーのようなものに行き始め、
その著者の面談にもこぎつけ、何やら紹介状を得て
現在とある病院にいる、というのだ。

名前はごく普通の名前の病院だ。
ところが、その場所を説明できないD子に疑問をもった。
どのへんなのか、それすら知らないという。
知らないのか、理解していないのか、こちらも推し量りかねた。
とにかく病院の名前を調べて見舞いに行くことにした。
D子の自宅から車で1時間半ほど、ということ。
回りの景色からは都会ではない、ということ、なんだか暖かい(?)を頼りに。
地図でみると病院と似たような地名はあるが、病院があるとは書いていない。
本当に病院なのか?
そんな疑問もかすめる。
面会時間を聞くと、いつでも構わないという。
大抵の病院は午後からなはずだから、
午後行くと約束した。
持ってきて欲しいモノがあると頼まれた。
太宰の本と三島の本が読みたいと。
家にあるものでよければ、ということでそれも約束した。

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初めましてamyamyさん!鬱々・・・まさしく、青空を求める気持ちとは違う方向ですな。。。 / park ( 2004-04-27 14:25 )
太宰と三島か><やっぱり鬱々としたものにひかれるんですな。。それにしてもやっぱり重い問題ですね。。 / amyamy@元ミニ戸日記の人です^^; ( 2004-04-14 20:43 )
YINさんは優しい方なんですな。専門としていないので、そういう分野での立場ということはわかりませんが、この話しが本当かどうか、D子が実在するかどうかもそれは読む方の自由な判断です。プライバシー保護という観点から問題があるなら、その大前提が成立するか否かですな。事実は必ずしも一つではない、ということもね。が、これはふざけて書いているのではなく、このような返答しかできない、ということもご理解いただきたい。parkの身まで案じてもらってありがとうですぞ。 / park ( 2004-04-13 19:06 )
少なくとも私たちの分野では、オープンな場所に本人の承諾を得ないでこのようなことを掲載することは禁忌です。理由のひとつは個人のプライバシー保護の問題があります。もうひとつは、この件を抱えきれないから、書きたくなる…ということが考えられます。だとしたら、その事もまた、この件にかかわる上での問題になるでしょう。parkさんはこの方の件を重荷に思われていらっしゃるのでしょうか?書かずに済ますことができないと感じていることがあるのでしょうか? / YIN ( 2004-04-13 11:40 )

2004-03-21 D子のこと再び

あれからD子はどうなったか。
自宅の2階から飛び降りて、軽傷ではあるが、足を骨折した。
ココロなしか明るい母親の声。
入院=家に彼女がいなくなる、これが母親の心情を明るいものに
しているのだということは察しがつく。
入院先を聞いて、お見舞いに行くことを約束した。

全治2週間という日数は彼女にとってなんでもない長さだ。
普通の子なら、思いきり退屈してしまうだろうが、
彼女にとってだって家から出て外泊するのは初めてのことで
母親の明るい表情のことも気にならない様子だった。

見舞いに行くと丁度母親が来ていて話をした。
「正直、こういうことでもあってアノ子がいないと家の中も
明るくなります」
「いつもは暗いんですか?」(愚問か?)
「暗い、というか、みんなビクビクしていて、機嫌を損ねるのが
恐いんです」
「でも暴力を振るったりするわけじゃないですよね?」
「それはありませんが、もう何回も手首を切って救急車騒ぎになって
いるものですから、目も離せません」
そういえば・・・と思い返した。
夏でも彼女は寒がりだといって長袖を着ている。
おきまりのリストバンドはそのためだったのか、と合点がいく。

病室では彼女が荷物の整理をしているところだった。
パジャマ姿ではさすがにリストバンドは出来ない。
リストカットの跡を見たことはあるが、
これほどたくさんの跡をつけたのは見たことがなかった。
ためらい傷も含めて大小、無数といっていいほどだ。
「まだありますよ」
彼女は足や腕をめくってみせた。
自損障害だ。
自分を傷つけることによって精神の安定を求める。
死にたい願望はまた二次的なものだ。
「ここでは皆を驚かせちゃいけないよ」
彼女は笑って言った。
「そうなんですよ、だから早く違う病院に移して欲しくて」

違う病院、という場所がどこだかはすぐには理解できなかった。
頭のどこかで、まだ、既成の概念をもって接しているからだろう。
出来るだけ早く退院したいはずだ、そういう思い込みが
通用しない相手であることを、忘れる程、
彼女の話し方は自然で、落ち着いているのだ。

2週間後、家の近くまで行ったので、寄ってみた。
母親が出かけるところだった。
「いかがですか?」
「えぇ、お蔭様でよくなりまして」こちらの目を見ないで答える。
そのヨソヨソシイ態度が気になって、
「今は家に?」と聞くと
「えぇ、まぁ」とあいまいな答えを残し、車で出かけてしまった。
まさか、死んだりはしないだろうな、そんな不安がよぎった。
生きていれば、退院したことくらい、連絡をよこすだろう。
あの様子では母親はこちらと接触をしたくないらしい。
彼女からの連絡を待つことにした。

先頭 表紙

kotarouさんも幅広いですな。(?)自損、というコトバはあるのですが、障害がくっつくコトバはないような気がします。どうなんだろうか??? / park ( 2004-03-22 17:55 )
娘の同級生でもいましたね。どうしちゃったの?子供をどこへやったの?と詰め寄りたくなるようなご家庭が。まぁ事情はそれぞれの家庭にあるもんだけど。「自損」という言葉は造語ですか?私は普通に使ってましたけど。 / kotarou ( 2004-03-22 09:02 )
YINさん初めまして、でしょうか。そうです、これは仲間内の勝手な造語です。ニュアンスとしては自損行為(平たくいえば自殺)を未遂ながらも常習してしまう、というつもりのコトバです。自傷行為ですね、普通は。さっきちらりとYINさんのページへ。専門家に感想をお聞きしたい、そんな子供の事例です。。。足跡は近日残させていただきますぞ。 / park ( 2004-03-22 00:39 )
「自損障害」という言葉、ここで初めて目にしました。これは普通「自傷行為」と表現しているものと同じと考えて差し支えないでしょうか? / YIN ( 2004-03-21 05:06 )

2004-03-19 本当の卒業

前々回、働くことになったという子供のことを書いた。
実際には職のアテはなかったらしく、自分で見つけるということだった。

ここまでの道のりは今日は省略するが、彼は決して頭の出来が悪いわけではない。
横道にそれたタイムロスが悔やまれるが、それも今は彼自身が心から後悔している
ことで今後に光明が見出せる。
結局彼を立ち直させたのは友達の存在だった。
横道にそれたのも友達の存在が大きいが、戻ってこれたのも友達のお陰だ。

昨日、夕方突然彼がうちへ来た。
8時から6時まで作業所で働くことになったが、塾に通うという。
もう一度受験して、友達と一緒に高校へ通いたいのだという。
携帯番号とメアドを交換してわかれたが、
彼は一時の様子からは考えられないほど穏やかな表情になっていた。
やるべきことがはっきりしたからだろう。
しっかりした足取りで帰る彼の背中に
心の中でエールをおくった。

必ず来い、と念を押した。
彼の本当の卒業は自身の進路を決めた、その日だったと思っている。
流されるままに卒業するのも責めることは出来ないが、
考えて、失敗して、考えて、それでも失敗して、そして辿りついた結論に
どうか女神がいるなら微笑んで欲しいと願う。

先頭 表紙

まさしく、その戻る力があるかないかで人生の行く末が決まっていくというのが実感です。そしてどんなに回り道をしても、自分で答えを出すことだと。生きる力というものが枠の中でしか育っていない子が多いこと、それを助長する大人社会であること、おかしな仲間意識だけがはびこって異分子を認めたくない社会であることに危機感を覚えますね。 / park ( 2004-03-21 01:01 )
人として成長の過程で、横道に逸れたり足踏みしたりすることも大切なこと。むしろそれでこそ健全だと。そしてそこから戻る力を自分で身に付け、背中をポンと押してやれる大人がいるかいないかで違いが現れると思います。大人しく成績もよく、それでいて友達もそこそこいて、親にも逆らわず・・そんな子がイイ子の基準なら10年後20年後のこの国を私は見たくありませぬ。 / kotarou ( 2004-03-19 09:33 )

2004-03-14 卒業式の後と無関心な親

受験も終わり、関わった子供タチはひとまず進路先が決まった。
私立を併願せず、公立を落ちた子供は土建会社への就職が決まった。

卒業式の後、のことを書いてみたい。

子供タチは打ち上げと称してファミレスやカラオケボックスに
はた迷惑も考えず大騒ぎをして盛りあがる。
その後、のことだ。
大抵は公園などに散らばって、おにごっこやらなにやら
楽しくしているのだが、こういう場面に必ず大人ぶったり
盛りあがりを勘違いさせるヤツがいる。
まずタバコ。
そしてアルコール。
飲めない男子もカッコつけにこのときばかりは口をつけたりする。
あおる女子もいけないが、これが毎年まちがいなく繰り返されている。
タチが悪いやつがいると、そのアルコールですら
24時間やってたりするスーパーからの万引きだ。
これらは事後に聞いた話ではあるが、
ばからしくて帰る子もいれば、結局夜中公園にいて、
その後どこかの家に集まって泊まり、朝帰りということもある。
この家でもアルコールが持ちこまれたり。これってその家の親はどうなんだ?

まだ10代のうちはお酒に対する知識も半端で、アルコールを分解できるカラダに
なっていない、なんて言ってもダメなんだなぁ。
タバコもそうだが、アルコールも、もっと厳しく買う時は未成年には
買わせないようにしないとね。
そもそもスーパーやコンビニのレジが
遅い時間だと若者になっていて、彼らに未成年者への取り締まりを
期待することにムリがある。
未成年かどうかを棚から商品を出す時チェックする位じゃないとさ。

万引きも然り、だが、サミシイ子供タチは
どこか社会に隙があるとそこに入りこむ。

卒業式があっても、無関心な親もいる。
我が子の卒業式すらね。
入学式がいつかも知らないで仕事を入れるなと言いたい。
仕事はしていても、
少なくとも、高校を卒業するまでくらいは、子供の動向を把握する気配だけは
保って欲しい。子供の根っこは親だという自覚を欲しいね。

社会の仕組みがどうのこうのというよりも、
このあたりが一番の諸悪の根源だと思わされるのが
受験から卒業あたりの
シーズンなんだなぁ。。。

先頭 表紙

オッケーです!(笑)ざけんなよぉ〜なんていう上品なコトバもここでは平気でしょう、きっと(爆) / park ( 2004-03-21 00:56 )
人の情け・・・。そう思って行動して石を投げられたことが何度か・・・(笑)情けのわからないやつ、情けを勘違いしてるやつ、そういうやつらは皆そこに並べっ!!!っと、導入部分はこんなカンジでいいでしょうか。 / kotarou ( 2004-03-19 09:29 )
やりましたか!(笑)どうも拝察するに、そちらのセンセイ方と父兄方はイマイチなセンスの持ち主たちらしいですな。言ってやるのが人の情けというものですぞ。ガツンと言ってやってスッキリした方が良いですな。たーんと語って下さい、なんならここの日記を代行で(爆) / park ( 2004-03-19 03:35 )
う〜ん、語りたいことがた〜んと。。。本日担任と教頭相手に演説ブッコいてきました。えぇもう人質もいないことだし、ってなわけでもないですが(笑) / kotarou ( 2004-03-17 00:46 )

2004-03-02 桜は咲いたか

心配な2人を除いては、本人たちの実力より希望を下げていたので予想通り合格。
結果、その2人ともダメだった。ヒトリはすべり止めの私立に決まり、
もうヒトリは私立を受けていなかったので、そのまま職につくことになる。

前者の私立に決まった彼は生まれた時から障害者すれすれ、
という鑑定をうけての今日。
難産だったことが災いしたらしいのだが、
どこが、といえば知的障害という部類だ。
説明は省くが、とにかく本人は何も知らず普通に過ごしている。

そんな彼の成績は10段階でオール2から、だんだんと3が増え、ついには数学が
4!にまでなった。これはもう、本当に画期的で、学校のセンセイも
真面目な面を考慮してくれてのことだっただろう。
が、これが落とし穴だったのだ。
本来の学習能力はそれほど向上していない。
しかし、親も本人も学校の評価を次第に本気で受けとめはじめていた。
それはごく当たり前のことなのだが、模擬テストを何回受けても
志望校を考え直しましょう、と出ることには目をつむっていることは明らかだった。

結局、本人の希望を通して、学区内の公立を受験することに。
そこは彼と唯一仲良しな幼なじみも希望しているところだ。
レベル的には10のうち、彼本来のレベルを2としたら、その希望は5か6に相当する。
予想としては、5教科250点満点中、おそらく50点位とれただろうか。

他の子が、午前中に全員連絡をよこしたものの、
彼からの連絡は昼間とうとうなかった。
ダメだった事は他の子から聞いて知っていたのだが。。。

夜になって彼からメールが入った。
「不だったよ。でもオレの心の中で桜は咲いてるよ。他の人はどうだった?」
優しい彼の性格を思った。
合否発表後学校に戻るのだから、こんな時間になって
他の子の動向を我々が知らないはずはない。

受験前夜、最後の授業の後、皆が帰った後で、
「オレがこの高校を受けられるようになったのは塾のお陰だよ。」と
言ってきた。内心動揺した。 
それでも彼の顔は満足げで、自分は「うん、ガンバリな!」と
笑顔で答えるしかなかった。
「落ちても怒らないでね」
「怒ったりしないよ。頑張った結果落ちたって悔いちゃだめさ」
「うん、オレ頑張ったと思ってるから」
「そうだよ、○○は頑張ってたよ。」
それから、センセイにはどうでもいいかもしれないけど、といって
彼の家のハムスターが死んでしまったことも話した。
お墓をどんな風に作ったかも説明していた。
こんなに長く彼と話したことは正直、この3年間でなかったと思う。
いつも彼が話し始めると、他の子供タチがつっこんできて、の繰り返しで。

まだ彼の顔は見ていない。
幸い彼の行く私立は堅実な校風で偏差値こそ低いものの
地元での評判は良い。
彼の良さに気づいてくれる良い友達が出来るといいな、と今はそれを願う。

でも。とも思う。
彼は家庭的に私立には行ける。
もうヒトリはそれもかなわなかった。
家庭の事情がからむにせよ、警察沙汰にもなり、学校の扱いもひどかった。
塾も休みがちではあったが、
やはり前日塾に来て、社会が50点満点中何点とれたらOKか?といってきたので
15点をラインにしたら、18点取れた彼は思わず涙ぐんだ。
赤い顔をしながら、その後5枚もプリントをやって帰った。日頃の倍以上だ。
他にも私立を希望しても家庭の事情で公立にさせられた子供もいる。
勉強さえしていれば良い、というわけではない現実もあることを
15の子供タチは知る。

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↓そうなんですよ。これは本人の持って生まれた感性と親御さんが育んだ感受性のなせる賜物かと思うわけです。 / park ( 2004-03-12 22:22 )
「でもオレの心の中で桜は咲いてるよ」この言葉に思わず涙が・・・。いい子ですねぇ。えてして社会的に疎まれたり問題があると言われがちな子の心にこういう素晴らしい原石があったりすることを見落としがちで、つい学力や家庭環境、通う学校のレベルで計りがち。全ての子に幸あれっ! / kotarou ( 2004-03-03 09:17 )

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