雪ふりつもり、足跡みなかげをもてり。
いそぎ給はで、雪はしづかにふみ給へ。
この詩を某書道展で見て、ネットでも検索したが、たいした情報は無く。足で探した探した。結局「三好達治全集 第一巻」(筑摩書房)の「測量船拾遺」の部で見つけた。
しかしこの詩は、再刊された「測量船」を底本とする出版物にも掲載されていないことが多い。何故だろう。
題は「雪」。
有名な、"太郎をねむらせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。〜" というのもまた「雪」であるので、ここでは第二「雪」と呼ぶことにしよう。
4/16再調査
拾遺といっても複雑で、その経緯を上記の全集の解説によってまとめると
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昭和5年12月 第一書房「測量船」 発行数1000部!
39詩篇、のちに38詩篇に再構成※
"太郎を眠らせ・・"で有名な「雪」はこの時点で収録されている
昭和22年1月 南北書園「測量船」
拾遺詩15篇追補収録
昭和39年 筑摩書房「定本三好達治全詩集」
拾遺22篇追加
昭和39年5月 冬至書房「定本測量船」
拾遺2篇追加
昭和39年10月 筑摩書房「三好達治全集第一巻」
拾遺詩等15篇を追加。
ここで初めて第二の「雪」(初出雑誌「青空」昭2.3月)が収録される。
"等"というのは散文(詩?)も含まれるからか。
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※最初の「測量船」ではのちに二篇をまとめて一篇の詩にしたため
しかし時系列から整理して測量船に入れたんだろうけど、ずいぶん拾遺したもんだ。もとが38篇、プラス拾遺54篇で計93篇だ。測量船沈まないか心配。
ともかく、第二「雪」はこの筑摩書房の全集第一巻を底本としない限り含まれないということになる(「青空」は当時の雑誌だからあまり直接参照されることはないだろうし)。探索者泣かせである。
しかし筑摩書房はなんでまた昭和39年(1964)に全詩集だ全集だとカブって出版したのか。そりゃこの年は三好が亡くなった年だけど、死んだからといって即出せるようなものでもないし、関係あるのだろうか。
有名じゃないほうの「雪」が、なんか、自分好み。
(コナペチ2より転載2007.7) |