2002-10-27 飛行機から飛び降りる。
2002-10-24 花を愛でる心。
2002-10-20 甘いな。
2002-10-19 雲があるから。
2002-10-13 構って欲しい。
2002-10-11 心の目でみる。
2002-10-10 ねぇ、誉めて、誉めて。
2002-10-10 ねぇ、誉めて。
2002-10-07 なんにも無いところで、その２。
2002-10-07 なんにも無いところで、その１。

雨交じりの冷たい風に吹き付けられながら、開け放たれた小さな飛行機の扉から、下を眺めていた。ごごーっ、ばたばた、という轟音。遥か下に道路が見えた。家も車も玩具みたいに小さかった。気がついた時には、もう空の上にいた。怖がる暇なんてなかった。

まず、ひたすら落ちていくのを感じていた。重力を感じるというよりは、無重力だった。雨粒が、顔に当たって、風がゴーグルを叩き付けるように。少しずつ、近くなっていく地上を眺めながら、ふっと力を抜いて両手を広げてみた。気持ちよかった。自分も風のひとつになったみたい。なんていう開放感。

そして、インストラクターがパラシュートを広げた。浮力が、どどっと、ひとしきり体にかかったあと、するするっと、また空の上に向かって引き戻されていった。


音のない、静かな、静かな世界。


ふわふわ、ふわふわ、と空中を漂っている。すこしずつ、すこしずつ、地面の位置は近くなっていくのだけど、玩具の箱庭みたいになった街並みと、点みたいな車が動くのをボーっと眺めながら、頭を空っぽにしてみた。体の重さを感じない。頭はびっくりするくらいすっきりしていて、気分はこれまでに経験したことがないほど爽快で。まるで、自分の体がなくなってしまって、ただ、目と、思考だけが、空中の上をふわふわと、漂っているみたいだ。

高揚感を、ひしひしと味わっていたら、インストラクターのお兄さんがサービスで、ゆーっくりと、ぐるぐる旋回しながら、時間を掛けて降りてくれた。

“気分はどう？”

“これまでにないくらい、最高の気分よ。” って、空の上で叫びながら。


そして、しばらく飛んだ後、くしゃり、と、しなやかに地面に到着した。

芝生の上にひっくり返って、今、降りてきた空を眺めた。


薄く曇った空の隙間から、太陽光が差し込んできていた。目を細めながら、きらきらと雲に反射していく光の行き先を追っていた。まだまだ、見果てぬ世界があるのだな、と、思ったら、ますます嬉しくなってきた。



３９ 　　何を食べてお腹を壊したりしますか？

たいていは食べ過ぎが原因なんだよ。だから、今、しゃどう猫は、節食中なの。


しゃどう。

先頭 表紙

ある美しい日曜日の午後、しゃどうは大きな garden のお店に行ってきました。うちの中を少し華やかにしよう、と、散歩がてら、草木の匂いを感じ、鉢植えの中に収まった何千もある花々のなかから、気に入ったものを探すのを楽しんでいたのです。

ハイビスカスの鉢の前で、足が止まった。豪快で真っ赤な花弁が大きく開き、柔らかい匂いにうっとりと、しながら、どの鉢を連れてかえろうか、じーっと眺めていた。


ふと、後ろに気配を感じた。


聞きなれた音に、顔を上げると、なんだか退屈そうなトマトが、笑っていた。

“こんなところで、なにをやっているんだ”

それは、しゃどうが先に言おうと思っていた台詞だった。

ひととき、仕事を忘れ、自然に身をおき、リラックスを楽しんでいたのに。

なぜに、貴方はそこにいるの？ あぁ、奥様の付き添いね。しかも飽きちゃったのね。そうね、見るからに花を観賞して喜ぶようなタイプじゃないし。退屈しのぎに、いいものを見つけた！ とばかりに、嬉しそうに世間話もそこそこに、しゃどうと仕事の話をはじめた。

しばらくして、奥様があらわれ、買う予定の花を見せに、トマトを連れていこうとした。

しぶしぶ、ついていくことになったトマト。仕事ぉ、仕事ぉ。と、呟いている。

日曜日の美しい午後と、お花よりも、仕事を愛しているようだ。



突然、トマト、しゃどうが家に連れて帰ろうと思っていたハイビスカスの花を見て呟く。

“こういう大きな花、摘んで中の蜜を吸うと旨いんだぞ。”

本当だってばっ！ ほら、ほら、と、真剣にしゃどうの目を見ながら、花を摘もうとする。しかも食べようとしている。わたしの花になにをするのよっ、静かにみてなさいよ、もう、あっちいってよ。っと、怒るしゃどう。やっとのことで追い払う。

結局、悩んだ末、まだつぼみの沢山ついているハイビスカスと、シクラメンの鉢植えを買うことにした。家に帰って、しゃどう猫を牽制しながら、うっとりと観賞する・・・

はずだった・・・のに。


数日経って、次々と、新しいつぼみが花を開いていく。そして、ついつい、思ってしまうのだ。沸き上がる想いを振り払うことができないのだ。

“甘いのかな、美味しいのかな”・・・って。

しゃどうが幼い頃、住んでいたマンションの近くには、沢山の椿が植えてあった。春になると桃色の花を沢山、咲かす。近所の悪がき達と、誰も見ていない隙を狙っては、花を摘んで、蜜を吸っていた。都会の椿は、少しひんやりとしていて、柔らかくて甘い。

・・・純粋に花を愛でる心。・・・食べれるかな？ ・・・わたしの心は、もう純粋ではないの？ わたしの心に影を残した。あなたは、とっても罪な人。

と、しゃどうは呟いている。



３８ 　　虫などを捕って食べてしまうことはありますか？

食っちゃわるいのか？


しゃどう猫。

先頭 表紙

猫ようブランケットを、

買ってもらった。

とりあえず、寝心地を、

試してやることにした。



３７ こっそり猫さんの

お気に入りのおやつは？


秘密を喋ったら、

秘密じゃなくなっちゃうからな。

教えてやんない。


しゃどう猫。


＃＃しゃどう猫の夕食は、カリカリのみっ！ （節食中） しゃどうは、お呼ばれして、蕩けるように美味しい手作りの蒸しサーモンと、ドイチュのワインをいただいてきました。オードブルにかりかりに焼けたブレッドと、ダックのペーストとキャビアまで。うむー！！！

先頭 表紙

風邪とともに、最近、身の回りに張り付いていた「憂うつ雲」が、去っていったようだ。体の調子がよくなかったから憂うつだったのか、憂うつだったから、調子がよくなかったのかは分からないけど、すごく気分が晴れやかなのだ。いいことだ。

しゃどう猫も、ちょっと調子がよくなかった。というのも、お腹を壊したみたいで、アレが柔らかい日が続いていたの。見るからに調子が悪いって感じじゃなかったんだけど、とりあえずご飯の量を減らしてみたら、少しずつよくなってきました。どうやら、こちらは「食べ過ぎ」が原因だったようです。なんでも腹八分目っていうしね。


机に張り付いて勉強しないと、というのも、これから、大きなテストが、どどどん、と、やってくる。まず、一番近いのが、「ダイオードレーザーと光電気学」のクラスの中間試験。光の波関数を使った応用理論系のクラスだ。ちょっと落ち零れ気味なので、しっかりと、復習しないと・・・で、ある。要は、光の中から、自分の好きな波長（色）を選び出して、増幅させたり、閉じ込めたり、道を作って上げたりしながら、光と遊ぼう、というのがコンセプトなのだけど、ややこしい人の名前のついたギリシャ文字たっぷりの式、とも、どっぷり付き合わなければいけない。

もうひとつは、プレリム試験、という学位をとれる最終審査を受けるために、受ける試験。普通は、プログラムに入ってから、３学期目で受けます。だから、ちょうど今。口頭と筆記と、あるのだけど、今受けているもうひとつのクラス、「研究提案書の書き方」が、筆記試験にあたる。これは、実際に存在する national science foundation (NSF)という機関にむけてプロポーザルを書き、研究資金をハンティングするのだ。

新しい研究を始めるための、アイデアの出し方、文献の調べかた、その研究が実際の企業や政府の研究機関と関連してどんな風に役に立つのか、他の研究分野の人達とどのように関わっていくのか、そして、実際に提案書を書いて、必要な資金の見積もりを出して、と結構本格的。わたしが狙っているのは、processing and manufacturing のセクション。せっかくだから、かなり思い切っておもしろい事を提案してみようと思っている。目指せ、ミリオングラント！ でも、内容は、もちろん、秘密、です。（企業スパイが読んでいるかもしれないしぃ〜）

さーて、頑張ろうっと。



３６ 　　ずばり猫さんのお気に入りのご飯は？

蟹、海苔、猫缶・・・なんだよね。


しゃどう＠写真は、懐かしのアラスカから。夕日の傍で借りたコテージ。敷地内で、その日の客はわたしだけ。見渡す限りの海も、山も、夕日も、崖も、ポツリポツリと生えている木も、小屋の大きな窓から、ひとりじめ、して眺めることができた。


＃＃しゃどうの夕ご飯は、スパゲッティミートソースと、生サラダ。しゃどう猫は、かりかり、だけ、です。節食中。

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どうも風邪に負け気味。金曜日の昼間に服用した風邪薬。夜用風邪薬だった。きちんと確かめていなかったのだ。一時間も経たないうちに、びっくりするほど眠くなった。幸い、危ない実験ではなかったのだけど、実験室で寝るのもなんだし、オフィスに移動しようかなんて、考えているうちに、気がついたら寝てしまっていたらしい。固い椅子の上で寝ていたので、起きたら、足がしびれて立てなかった。でも、喉の痛みが軽減していた。さすが、風邪薬、寝ている隙に治すとは効率的。

とはいえ、完全に治ったわけではないので、早めに家に帰って、ガーリック、パセリ、とバターたっぷりのほたての貝柱ソテーを作って食べたのでした。

今日も、まだまだ調子が悪い。学校は１５分くらいで終りにして、家に帰った。今度は昼間用の風邪薬を買ってきて飲んだのですが、またしても眠くなり、ガーガーとソファーベッドの上で気持ち良く昼寝をしてしまった。おかげで、喉もかなり楽になりました。いっそ、熱でもガーッと出てくれた方が、スッキリ治る気もするのだけど。風邪の症状は、全部、出ているのにね。

というわけで、体調の悪いときほど、美味しいものが食べたくなる。今日は、ヨーグルトレアケーキを作ってみた。ヨーグルトにバター、砂糖に生クリーム、絞ったオレンジ汁（レモンがなかった）とワインにビスケットの下地。混ぜて固めて、ブルーベリージャムとワインのソースで。果汁を大量にいれたおかげか、さっぱりと仕上りました。

栄養価たっぷり！ だけど、食欲のない時は、こうやって上手く摂取しないと早く治らないのよ。ちなみに、晩御飯は、かに玉と、ご飯とトマトでした。しゃどう猫は、鮭猫まんま。


やや、遅れがちな研究。というのも、新しいプロジェクト、テーマが難しいのだ。理論的には簡単にできそうなんだけど、実際にやってみるとなかなかものができない。割りと大きなプロジェクトなので、企業の研究みたいに、タイムラインがあって、二ヶ月おきにレポート書いて、と、大変らしい。が、締め切りを作られても、全力を尽くしても、できないときは、できない。これが、"research" なのだ。もともと不可能だったことを可能にしようとしているのだ。とくに、ファブリケーション系の研究は、"searching, searching, searching, and searching. so called re-search."

とまぁ、できなかった時は、なぜ、できなくて、これからどうするつもりか、というのをレポートにまとめるんだけど、あんまり面白い作業じゃない。


collaborator（共同研究者）の白菜君。テキサスから、毎週、メイルを送ってくる。

"any news?"

愛するセロリ教授、ニューメキシコから、毎週、メイルを送ってくる。

"what's going on?"

愛しのトマト教授、出張先から電話を掛けてきます。

"what's up? what's new? what's going on in the lab???"


・・・いやね、こんなにも気にかけてくれて、しゃどう、愛されてるって実感、たっぷり、湧いてきます。そんな、決して、うるさいなぁ、なんて、思っていませんよ。これっぽちも。構ってくれて感謝の気持ちでいっぱいです。・・・ほんとうだってば。

・・・あぁ、幸せすぎて熱がでそう・・・。じゃなかった、早く風邪なおそうっと。



３５ 　　吐いてしまう食べ物はありましたか？

食べ過ぎると、戻してしまうことはありますが、特定の食べ物では、ないです。外で草を食べて、毛玉を出していることはあるけどね。


しゃどう＠写真は、北の果て、カナダのユコン州のガソリンスタンドから。給油のポンプが、レトロでいかしているでしょう？

先頭 表紙

ただいま、大流行中の風邪をうつされたようだ。

流行には敏感なわたし。

でも、流行に流されるのはいやなわたし。

そんな時は、お部屋を暖かくして、ビタミンＣを大量に摂取して、風邪ぐすりを飲んで、猫を従えてさっさと寝るのです。まだまだ、喉にきて、少しだるい程度。猫も応援するように膝の上に乗り、キーボードを打つ手にのしかかって、ごろごろ、すりすり。撫でてやると、恍惚な表情で、ごろごろ音を大きくしています。

かと、思ったら、今、走っていった。どうやら、虫が飛んでるのを見つけたらしい。

最近、我が家のまわりに、かの毒蜘蛛、 Black Willow も訪れたらしい。

日が落ちてからは涼しくなったものの、まだまだ、夏日の続くありぞなは虫天国！


実験室で、新入生の子達２人と写真を撮った（というか、撮らされた）。グループ紹介に使うそうな。いろいろな角度から、三人で写るようにセルフタイマーで写真を撮って遊んでいたのだけど、パソコンに取り込んでみて思った。で、自分で見てちょっとショックだったことに、ショックを受けた。

わたしって思ったよりも小さい・・・。


というのも、一緒に写真を撮ったのが、アメリカンのスタンダードサイズの男の子達。まぁ、でかいといえばでかいんだけど、わたしの気持ちの中では、同じくらいか、彼らの方がちょっと大きいくらいか、と、思っていたのよ。でもね、あらためて並んでみてびっくり、子どもと大人くらい、大きさが違うじゃない！

ってね、ちょっと考えれば当たり前のことなんだけど、

でも、その時にびっくりしたのがね、

その瞬間にね、あぁ、なんか、悔しい、と、ちょっぴり思ってしまったの。

大事なのは、体の大きさではなくて、心の広さなのにね。

んじゃなくて、なんでそんな馬鹿なことで対抗してるんだろうって。

でかきゃいいってもんじゃないでしょう。

というより、なんでそんな事にこだわるの？

（・・・それどころか、自分より小さい人すらいないのに）

負けず嫌い万歳！？

・・・カヨワキ乙女・・・いや、わたしって、ばか、かもって本気で思った。



３４ 　　猫さんの食卓で工夫していることはありますか？

・・・ないです。お皿は清潔に、を心がけているくらいかな。



しゃどう。


写真は、偽大学紹介シリーズ第３弾。実験室の装置。このひだひだの間に汚れが溜まりやすいので、細めにメインテナンスをしないと、すぐに壊れてしまうのです。

先頭 表紙

つづき。


思うこと。

やる気は、引き出される、のではなく、自分から持ってきてもらいたい。それを潰さないようにするのが、私たちの責任。相手を尊敬しあい、上手に誉めて、彼らのもともと持っているセンスを伸ばし、能力を起こすキッカケをあげられれば、後は自力でも走れるようになるだろう、と、思う。間違いを指摘するときは、なるべく自分から気がつくまで待るように、気長に、ね。

そんなに長く触れたわけじゃないけど、アメリカでの教育の、一番優れている点、は、やっぱり、「誉めること」を非常に大事にしていること、だと思う。ひとつひとつの到達のステップを大事にする、そして、達成したら少々大袈裟なくらいに誉める。相手の良い点を、丁寧にすくい上げ、それをきちんと本人に伝える。

この、誉められる、認められる、っていう事、なんでもないことのようなんだけど、一度でもやられてみるとわかる、すっごく嬉しい。それ以来、わたしも学生のトレーニングをするたびに、なるべく、なるべく誉めるようにしてきた。どんな人でも、いくつになっても、やっぱり顔をくしゃくしゃにして素直に喜んでくれる。相手が喜んでくれると、こちらも、嬉しくなる。誉める、誉められる、というのは、当たり前のことなんだけど、最大の encouragementなんだな、と、今更ながら思う。でも、もちろん、厳しさもきちっと備えつけていないと、単なる甘やかしになっちゃうけどね。


なんて、なかなか、わたしもむら多きカヨワキ人間。現実はやっぱり、思うようにはいかないこともたくさんある。それでも、理想は理想。また誰かを教えている最中に、ニャロメっ！ なんて思ったときには、これを思い出して、背筋を伸ばすことにしましょう。



３ 　　お皿はどんなものを使ってますか？

カリカリ用のお皿は、緑色のプラスティックの深皿。いつも山盛り。缶詰のお皿は、猫猫猫って感じの柄の立派なお皿を使っていたのですが、しゃどう猫が騒いで割ったしまったので、いまは、フルーツ用の取り皿を使っています。紫色のブドウの絵書いてある上品なやつです。


しゃどう＠写真は、研究所のロビーから。こんなところで働いているのよ（大嘘）。

先頭 表紙

すること多すぎやねん・・・と、ずーっと文句を言い続けていたおかげで、近いうちにアシスタントを雇ってもらえることになりました。ボスにお金が入ったので、粋のいい学生を２〜３人。うふふ。

これでも、結構頑張ってはいたんだけど、やっぱ、体はひとつ、一日は２４時間。軌道に乗ってきたからって、なんでも自分でやるわけにもいかず、やりたいことはたくさんあるのに、全然、はかどらなくって、ストレスになったり、していたのだ。

この前、数えてみたら、学会での発表件数、招待講演も含めてドクターに入ってから約一年で１５件（ほとんどはボスが発表しているけどね）。関連した仕事で、研究費や共同研究の話なんかも、やっと、ポンポンと入るようになってきたらしい。これは有難いこと。


まだまだ、ぶつぶつと文句言うことは多いと思うけれど、それでも、流れは上向きに向かっていると思いたい。


大学院も合計で４年目、そろそろ古い学生の部類に入ってきちゃいました。入ったばっかりの頃は、キャンパスやラボを歩き回る学生達が、すごく大人びてそら恐ろしく感じていた。それが今では、研究室のシニア（boss kitty!）になってしまった。

あぁ、時間が過ぎるのは早いなぁ、と、思う反面、だんだん、教えてもらう立場から、教える側に立場が移動していき、行動や言動が、相手に与える影響が大きくなってきてしまっている。

まず、気をつけているのは、「あぁはなりたくないな」というような悪い見本にならないことから。たまに荒れることはあっても、研究を愛し、大変だけど、いや、大変だからこそ、ほんとに魅力的な仕事をしているんだって、思ってもらいたいのだ（というか、わたしも思いたいし）。

つづく。


３２ 　　飽きてしまった時はどうしますか？

お気に入りのご飯と交互にあげたりして、頑張って食べてもらいますっ！ んー、それにしても今日も可愛い寝顔。お腹の毛が少し乱れているのがセクシー。ほれぼれやわぁ〜。


しゃどう＠写真は、研究所の入り口。こんなところで働いているのよ（嘘）。

先頭 表紙

つづき。

というのも、少し、考えていた事があった。

その二週間前、６月の終わりくらいだっただろうか？ 同じフロアで働いていた ph.D コースの学生が、suicide した。突然、メイリングリストで、理由は明らかにされないまま、亡くなった、とだけ伝わってきた。でも、噂が広まるのはもっと早い。

直接、話したことはないけれど、すごくshyで、hard working、その教授のグループの業績は、最近はほとんど彼が出しているというほど。ラボに篭りがちになるタイプだったので、ドア二つしか離れていないところで働いていたにも関わらず、わたしは、顔すら、見たことがなかった。


なんだかやるせない気持ちだった。なんとなく、境遇が似ていたのでちょっと心配になったのか、道中の車の中でも、「おまえ、そういう気持ちになったことあるか？」と、何気なくきかれた。「いやだぁ、そんなわけないじゃない」と、答えられれば、なにも問題はなかったんだろうけど、つい、「真剣に考えたことはないけど、でも、そういう気持ちは、ちょっとわかるような気がする」と、思わず答えてしまったので、そこから長い口論に発展してしまった。

内戦経験が長く、物心がつくかつかないかのうちから、何度も実際に死を目の当たりにし、自分もなんども危険に晒されていたトマトは、そんなこと、ただの一度も考えたことがない、と、強く断言している。それがどういうことか、芯から理解している人の強さ、なんだとおもう。

理不尽な死、というものを身近で見たことがない、大変、大変、と、思いながらも、のほほんと暮らしてきたわたしには、やっぱり、遠い世界で、全然実感がわかない。少し仕事が辛かったり、人間関係に思い悩んだり、忙しさと背中合わせの寂しさ、なんか、が、重なると、「わたし、こんなところでなにをやっているんだろう？」なんて、なんとなく憂うつな気分に浸ってしまう。ストレスが溜り過ぎると、ひどく投げやりで、めちゃくちゃに壊してしまいたいような気分になる。

本当のストレスって、恐ろしいもの。ストレスが〜っ！ なんて、他人に向かって大騒ぎできるうちは、まだまだ、余裕がある状態。そうすることで、どこかで楽しんでいる自分がいるし、同情を得ることで、少しだけ解消できるから。でも、ひどいときは、自分でも気がつかないうちに、溜まっていき、体調を崩したり、心の安定を崩したりする。これは、人間としての強さ、弱さ、に関わらず、誰でも陥る可能性のあること。

バランスが崩れた時、近くにいてくれる親しい人の存在、や、全然知らない人からの思いがけない親切、なんか、で、ふっと、我にかえることもある。けど、それとは別に、そういう時には、勝手に、びっくりするくらいの量の涙が溢れてくることもある。なにが悲しい、とか、理由もなく、まるで化学反応みたいに。前にテレビで見たのだけど、涙には、ストレスを流す成分が含まれている、らしい。だから、思いっきり泣いた後には、すっきりする。そして疲れて眠くなる。眠れば少しは快復する。そう考えれば、人間の体は合理的にできているのだ。

人前ですぐに涙を流すのはどうかと思うけど、きちんと泣ける人、眠れる人、は、強い。だから、わたしは、すぐに感情的になったり、泣いたりできる人をみると、うるさいな、とは思うものの、なんとなく安心できる。格好は悪くても、思うままに生きれた方がいい。



３１ 　　猫さんはご飯に飽きっぽいですか？

そうなのよ。この前、セール品で大きなカリカリの袋を買ってしまったときは、飽きた〜、と、わめかれて大変だったのよっ！



しゃどう。

先頭 表紙

７月のシアトルからの帰り道のこと。アイダホ州からユタ州の北に入り、ソルトレイクへ向かう道筋。運転手（トマト）との会話も途切れがちに、ただ、なんにもない退屈なフリーウェイを、ボーっと眺めていた。

"wach out"

とトマトがいうので、なんだろうと、道路に目をやると、反対側の車線でふらふらと不安定に走る車がいた。かなりのスピードを出している、なにを馬鹿なことして遊んでいるんだろう？ と、いぶかしげに眺めているうちに、車は中間帯に真横に突っ込み、そのまま私たちのいる車線を横切って、小高くなっている路肩の横壁に激突して止まった。

砂埃が舞い上がり、視界が利かなくなる。それからしばらくは、なんの音も聞こえず、私たちは少しはなれたところに車を停め、トマトは「中にいなさい」と、携帯電話に手を掛けながら、ゆっくりと外に出た。

その途端、で、ある。その車のフロントの両サイドのドアがバタッと開き、まるで、今、目が覚めたてたかのようにびっくりとした表情の男性が二人、飛び出してきた。完全に無傷、のようだ。

でも、車は無事ではないだろう。動かすのに手を貸そうと、わたしも車を降りようとしたとき、ぶるるん、と、エンジン音を吹き轟かせ、車はバックでもとの道に戻ってきた。砂埃で車の色は変っているものの、エンジンどころか、車のフロント部分まで無傷である。

声を掛けに車を降りた。彼らは、アラビアンとアジアンの妙な組み合わせにまたしても驚いていたようだ。疲れて眠ってしまったのだろう。しかし、エアバッグさえ開かなかった、といっていた。

あれだけ派手にぶつかっておいて、である。そこそこに頻繁な交通のある、フリーウェイ、少しでもタイミングが悪ければ、対向車と正面衝突（この場合、私たちの車・・・よね）、だろう。反対側が崖だったら、そのまま、落ちていっただろうし、もっと固い山側の崖だったら、中間帯でスピードを殺していなかったら、衝突の衝撃は、ものすごいものになるだろう。思い出すだけでも、怖いくらいに、完璧なタイミング、だった。

あんまり疲れていたようなので、クーラーボックスの中から、１ガロンの水のボトルを手渡した。なにがあるかはわからない。長旅には、over preparedくらいで、ちょうどいい。

つづく。



３０ 　　ごはんの時間は決まっていますか？

決まっていません。お気に入りの缶詰ご飯は、しゃどうが帰ってきたとき、か、朝、か。お互いの気分次第。カリカリは、小腹がすいたときに、適当に齧っているようです。


しゃどう。

先頭 表紙