2002-05-27 けだもの、その１。
2002-05-25 狼、その２。
2002-05-25 狼、その１。
2002-05-24 響く。
2002-05-19 ますます熱して。
2002-05-16 惑わされたい、その２。
2002-05-16 惑わされたい、その１。
2002-05-12 すこし前進。
2002-05-10 隠れているわけではない。
2002-05-08 どうしても勝てないもの、後編。

しゃどう猫が、戸棚の開け方を覚えた。両開きでマグネットどめしてある台所の物入れ。中には、あまり使わない料理用具や、猫の缶詰、猫のカリカリ等が保管してある。しゃどう猫のお皿には、いつもカリカリが山積みにしてあるにも関わらず、彼は新品のカリカリ袋を突き破って、ずたずたにするのが大好き。狩猟本能か？


狩猟本能といえば、人間の男女差、の、基本だ、と、思っている。社会的な役割印象から、男性的な性格、女性的な性格、と、微妙にわけられているのは周知のこと。たとえば、身近な例で言えば、トマト君、れっきとした男性だけど、意外にきめ細やかで、細かいことに気がつく、世話好きで心づかいも暖かい、人である。たとえば、レストランにいったときなんかのさりげない面倒見のよさは、「きめ細やかな女性らしさ」を思わせるほど。世間話が上手で、噂ずきである。しかも、時々、童心に返ってはしゃいでいるのをみると、ついつい、可愛いなぁ、なんて思ってしまう。

同僚のゴボウ君、オトコマエの面で髭もしゃ、髪もしゃ。彼は、争いを好まず、いつも、笑顔をたやさない。さらに、にっこりと目を見て微笑みながら、爽やかなトーンで頼みごとをされると、つい、こちらも笑顔になって引き受けてしまうほど、可愛い。

後輩のキャロット君、細身で甘え上手。まだまだ子ども心が抜けないのか、身をくねらせながら、ねぇねぇ、お願いぃ！っと、擦り寄ってきます。実は、低い声でキャピキャピっとされると、少し気持ちが悪いんだけど、無理をして可愛いといえば、可愛いかもしれない。

かくいう私は、グループの中でも、お母さん系、お姉さん系、妹系の役割をすべて男性に奪われ（だって、私より可愛らしいんだもん）た。根が無愛想なので、あまり親しくない人には、なるべく挨拶の時には、スマイル、くらいは心がけているけど、基本的に、可愛らしい性格とは言い難いと思う。

人に物を頼むのも下手。世間話をするのも、気が向いた時じゃないと、面倒くさいと思う。親しい人といても、ボーっとしてリラックスしているのが好き。特に、仕事中は、雑談をしていると、必ず、なにか間違える、考え事を中断されるのは嫌い、と、結構気難しくなってしまうので、別室をもらって、ひとりで作業している。以前流行っていたゲーム、「地図は読めるけど、人の話は聞かない」という典型である。だから、自然と、兄貴的役割を押し付けられてしまうのだ。勝手な分析だけど。


しかしだな、この、本当の意味での男らしさ、というのは、あまり歓迎されない進入者、虫、や、小動物、を見た時に、発揮されるのだ。

つづく。

写真は、オアフとうから見た、海、再び。

先頭 表紙

つづき。

写真は、オアフ島（ハワイ）からみた海。


プチトマトちゃんの美しいこと。彫りの深い顔立ち、神秘的で済んだ目、しなやかな髪の毛、しかも素直で、シャイで、純情で、ちょっぴり気が強くて、世間知らずな、これはもう、誰が見ても、「守ってあげなくてはいけない」と、思わせるほど。怪獣系（この表現に、悪気はないんだけど）のトマトの妹だとは、到底思えない。きっと、お母さんが、美しい人なんだろうなぁ。当然のことですが、トマトの過保護ぶり、溺愛ぶりは、奥様もご立腹になるくらい、です。

渡米したての頃は、大学の建物から建物に移動する時でさえ、心配で見にいってしまうくらいの、過保護ぶりだった。今でも、夕方、日が落ちてから、歩いて家に帰った時なんかは、叫びださんばかりに心配しているらしい。（本人はうるさがっているらしいけど）

だから、昨年は、当然、どんなに忙しい時でも、プチトマトちゃんが夕方過ぎに家路に向かう時には、ちゃんとエスコートして一緒に帰っていた。

ある日、いつものように実験していたら、夕方頃、トマトが、ちょっとだけ、にやにやしながら、ドアを開けた。

「これから、プチトマトを家に送ってくるけど、すぐ帰ってくるから。日が暮れてからの夜道は危ないからね、もう、女の子は手間が掛かって大変大変・・・あっ」

でも、ちょっと嬉しそう、でも、あっ、て何？ あっ、って。まぁ、いいや。はいはい、でもそのまま家にいたら？ あんまり家に帰らないと、また奥さんに叱られるよって、返事しようと顔をあげたら、トマトが、何か、気まずそうな顔をしている。

「・・・あっ、そういえばしゃどうも・・・」

・・・ってなにさ、って思っていると、「車はどこに停めている！？」と、急に詰問しだした。いつも、ちょっと離れた所に停めてるけど、、乗りたいのかしら？ と、怪訝な顔をしていたら、急に怒り出した。

「って、おまえも人ごとみたいな顔をしているけど、注意しなきゃ駄目だっ！ 車は今すぐ建物の入り口の目の前に移動しなさいっ！ ちょっとでも離れた所は駄目っ！ 危ないっ！ キャンパスには悪い男がいっぱいいるんだっ！」

「なに生返事してるんだっ！ 今すぐ外にいって、車を動かして来いっ！」 っと。

どうやら、普段から忘れっぽいトマトは、しゃどうの性別まで、忘れてしまっていたようだ。確かに、外見はともかく、あんまり女の子っぽく振る舞っていないからね。でも、これって、忘れるものなのかしら？ でも、それ以来、トマトは、呪文のように、毎晩、遅くなるたびに、車はどこに停めたかぁ、気をつけて帰れっ！ と、注意してくれるようになった。この日を境に・・・。


今日も、はいはい、っていいながら、

「来週から、mace（胡椒入りのスプレー）を持ち歩くよ」っといったら、

「そんなん、十分じゃない、効かない奴には、無駄っ！」

「いつも、ポケットにアーミーナイフ持ってるし、ほらっ」っと出そうとしたら、

「動きが遅い、そんなんじゃ間にあわねぇよっ！」

「んじゃ、蹴りいれてやる」ってドアを蹴る振りしたら、満足そうに微笑んでいた。

ん、試してみる？


しゃどう

＃＃夕食は食べ忘れたので、夜食に、クスクスとハーゲンダッツのアイスクリーム。しゃどう猫とアラモは、今日もビーフと肝臓の猫まんま。

先頭 表紙

縞猫（アラモ）ちゃんは、テレビの下の机の上でぐっすり、しゃどう猫も、白い夏椅子の前でぐっすり、眠っている。まだまだ、近くによっては、びぎゃー、みぎゃーっと、喧嘩をしているけれど、縞猫チャン、毎晩、通ってきては、飯を食らい、トイレを使い、昼寝をして、目が覚めると、外に遊びに行ってしまいます。ドアを開けると、頭でこじ開けるような猛烈アタックで進入、可愛い上目遣いでおねだり、無防備な寝顔、ついつい、好きなようにさせてしまう、猫に甘いしゃどう、である。

今日は、久しぶりに早く帰れるかなっと思ったものの、終ったのは、２２時のちょっと前。それでも、まだ、早い方だし、と思って、帰る前にトマトのオフィスに声を掛けにいった。明日から、フィンランド（北の国）に出張してしまうのだ。嵐の過ぎ去ったあとのように散らかった部屋の中で、データのバックアップをしながら、「あれも見つからない」、「これも見つからない」と、ブツブツつぶやいていた。

バックアップしている最中で手持ちぶたさだった様なので、しばらく世間話をしたり、人生について語り合っていた。そしたら、また、あっという間に、時間が過ぎて、また、いつもの遅い時間になってしまった。しかも、夕ご飯を食べるのも忘れた。

「俺がいない間は、部屋に鍵を掛けるのを忘れないで、ノートやサンプルをその辺に散らばせたりしないで、秘密の実験は、誰にも見られないように気をつけ、それから夜遅くなる時は、必ず、車は建物の目の前に停めて、外に出る時は誰かいないか確認して・・・」

と、心配性のトマトがいつものセリフを語りだすと、必ず思い出すことがある。


トマトの、可愛い最年少の妹、プチトマトちゃん（１９歳）、が、昨年夏、渡米してきた。８人兄弟の次男、トマト（本当は１３人兄弟だったのだけど、幼い頃に病気や戦争で、亡くなってしまったと聞きました）、２０歳前半の頃に内戦が勃発して、大学が閉鎖されてしまった。たまたま、家庭教師をしていた子の母親が、アメリカの大学で教鞭を取っていて、ビサを送ってくれたのがきっかけで、渡米することになった。（話が長くなるので、中略、気が向いたら、トマト物語り編、書くかもしれません）

若くして教授職を得たトマトは、稼いだお金で、次々に兄弟達にアメリカの教育を受けさせた。そのなかでも、３人は既に卒業し、バリバリと、職についているようだ。そして、少し前に弟（２０歳）を呼び、そして、ついに、小さかったプチトマトちゃんが大きくなり、大学に入れる年齢になった。


つづく。

写真は、ハワイ島から見た夕日。

先頭 表紙

「おっぉれぇ〜！ ああおおおぉ〜！ （推定、スペイン語）」

学校のパソコンで、真夜中近くに、データ解析をしていた。慣れないソフトウェアだったので、試行錯誤で余計なファイルを作ってしまったり、エラーを起こしたりで、少々いらついていた。強制終了を何回かさせられた後、何気なくファイルをクリックしたら、突然、データファイルが歌いだしたのだ。

・・・頭がおかしくなったのかなぁ？ っと、あまりに大音響だったので、一度は消したものの、再度クリックしてみたら、やっぱり、同じような叫び声が。ファイル名も、どうみても、自分で作ったもの。原因はよくわからないけど、数字が並んでいるだけのファイルが、どこかの音楽ファイルにリンクされてしまったようだった。

私のくる１年前にいた、ドクターの学生がメキシカンだったらしい。きっと彼のコレクションなんだろう。疲れてくると、自分の国の言葉が聞こえるラジオ音楽を聴きたくなるのは、やっぱり、共通しているらしい。アメリカの大学院、特にサイエンス系は、外国人が多い。正確にはしらないけど、半分以上だと思う。私のいるグループ、レバニーズのトマトを筆頭として、ロシアン、インドネシアン、チャイニーズ、ジャーマン、アメリカン、隣りのラボを覗くと、メキシカン、フレンチ、フィンランド、インディアン（インド）、コリアン、とまぁ、さまざまな国から来た、我の強い人達が、上手く折り合っていたり、喧嘩をしたりしながら、暮らしているわけである。ちなみに、セロリは、イングリッシュ、です。


昔、グループのメンバーと、雑談をしていた時、

トマトが、ロシアンのアシスタント（２１歳）、キュウリ君に、

「こいつ、今まで、一度も銃で狙い撃ったことないんだよ」

と、話したら、キュウリ君、心底、驚いた顔していたっけ・・・。



「わたし、今まで一度も、銃も撃ったことがないし、葉っぱもやったことない。」

と、生い立ちを話したら、場が凍った。

一瞬、止まって、まじまじと、顔を覗き込まれた。

そんなに驚くなよ。


ただ、なんとなくアメリカに渡ってきた人。異文化を見たくて、渡ってきた人。内戦から逃れてきた人。アメリカに住み着いて、チャンスをつかもうと、渡ってきた人。アメリカで受けた教育を生かして、祖国を発展させようと渡ってきた人。とにかく、金が稼ぎたくて、渡ってきた人。金金金、ゆめゆめゆめ、金金金、ゆめゆめゆめ。でも、やっぱり、金金金。

・・・なんて考えながら、伸びやかで、したたかなメキシカンサウンド。なにを歌っているのかはまったく分からないけど、フロア中に響き渡るくらいの大音響で聴いていたら、なんだか愉快な気分になってきた。

しゃどう＠写真は、ニューメキシコの、ホワイトサンドパーク（冬）です。

＃＃夕食は、外食で、ワンタンエッグヌードル（ベトナム料理）でした。スープに、たっぷりのガーリックエキス。疲れている時には、よく効きます。しゃどう猫は、ビーフ猫まんま。まだ、縞猫とは仲良くしたくないらしい。

先頭 表紙

土曜日の午後の、お散歩タイム。気もそぞろに飛び出したしゃどう猫、やっぱり、たまらず、口を半開きにしたまま、戻ってきました。縞猫チャン（お隣りさんの猫でした、本名はアラモちゃん）も、だるそうに、目で、入れろ、っといいながら、家の中に駆け込んできました。キッチンのタイルに倒れこむ猫達、外の気温は、ついに１０９Ｆ（４２．８Ｃ）にまで達しました。そりゃあ、あっついよねぇ。

ボスのセロリ教授、今日から、サバティカルに入ります。サバティカルというのは、俗にいう教授の長期有給休暇、７年に１回、の割合でまわってきます。額は半給、なんだけど、教授としての仕事はしなくてもいい、１５ヶ月間の休暇、です。何をしていてもいいそうですが、大抵の教授は、他の大学や政府の施設、もしくは企業に共同研究にいったり、して、普段と違う環境で、頭と気分をリフレッシュしてきます。セロリも、今年は、ニューメキシコに、オーストラリア、ヨーッロッパ、と、大陸をまたに駆けて活躍してくるのだそう。羨まし。

実験室の一部を、車に積んで行くというので、しゃどうもお手伝い。ペンネロープ（機械）の複製も依頼されていたので、昨晩は、まにあわね〜っと、焦りながらも、朝の２時半まで、お篭りしました。おかげで、今日は、満身の笑顔で、はいっ、とお土産とともに、見送ることができました。

元々、セロリの研究室に憧れて、飛び出してきた。大学３年生の時、研究室に所属しようと学科の教授を訪問してまわったけど、どうも、ピン、とくるひとに巡り合えず、ささやかな縁があって、大好きだったアリゾナにある大学で、面白い研究をやっている人はいないか、と、インターネットで調べていたのがきっかけ。

そこで興味をもったのが、セロリの研究室。返事がくるかなっ？ くらいの気持ちで、メイルを送ったのがきっかけだ。どきどきしながら、面接（といっても、顔見せ程度だったけど）に行って、大学を見てまわった。４年生になる前の春。英語は、本当にわからなかったけど、なんとなく、この人だっ、と、思ったので、あっさり決めてしまった。あれから、４年も経ってしまったけど、今も、その想いは変っていない。更に強くなっているくらい。educationとは、与えるものではなく、個人の中から引き出すもの。私の中で眠っていた能力に気がついて、引っ張り出してくれた。自信の核を作るきっかけをくれた。すごく感謝している。

ドクターの２年目で、アドバイザーがいなくなってしまうというのは、困る。というのと、もっと広い世界を見てこいっといわれて、昨年からトマト教授のところでも研究を開始したのだ。全く違う、強烈タイプの教授だったので、圧倒されがちだったけど、トマトもまた、私の中で眠っていた山猫を、叩き起こしてくれた。

彼らと出会うきっかけがなかったら、全く、違う人間になっていたと思う。そして、今まで、散々、人間関係でいろんな想いを抱えてきたから、ありがたみがわかるのだろう。

なんてね、最近、語り傾向に入ってきたわ。

しゃどう＠写真は、ニューメキシコの夕暮れ。地平線、見渡す限り、まっすぐ。

＃＃しゃどうの夕食は、手作りのミートソース。挽肉のつもりで買った、ステーキキューブ、お肉が、全部繋がっていてショックでした。仕方ないので、千切っていれた。来年の夏あたりに卒業できるかもしれません。（結構早い？）前祝いです。しゃどう猫は、ターキー猫まんま。

先頭 表紙

なんか、

忘れているような気がするんだけど。

まっ、いっか。


しゃどう猫。



つづき。

ほとんど人が来なくなったラボ、壊れたマシン、金の心とともに移ろいゆく人の心。それでも、まだまだ、一時的なものだから、と、衰えないトマトの野心と強気、が、しゃどうの負けん気に火を灯したのかもしれない。仕事が面白かったのもあるけど、それだけだったら、無茶はしない。研究費がないと、卒業できないかもしれないから、自分の為でもある、当然。レタスの仕事もしながら、もちろん、授業も一人前にこなして、空いた時間はトマトの研究に費やして、とにかく、数人分の仕事はこなしたと思う。

仕事に没頭するのって、楽しそうで、没頭しすぎると楽しくない。追いつめられた気分、心底リラックス、するって事がない。いつも、なにかしなきゃ、少しでも空いた時間は論文を読んだり、宿題をしたり、実験も二つ以上、いっぺんにしながら、なるべく気分をハイに保とうとするので、落ち込む時は、どーっと落ち込んでしまう。

ピリピリした気分で、トマトも、気分の浮き沈みの激しい人、だったので、片方だけが落ち込んでいる時は、encourageしあって、浮き上がらせたり、いい関係を保てるのですが、両方とも沈んでいる時は、些細なことで、大口論になります。目っ茶嫌な態度を取ってしまったり、取られたり、で。自己嫌悪したり。トマトは、私とは、正反対の性格の人なので、相手がなかなかつかみきれず、結構、不安定な時期が長かったかもしれない。最大の共通点が、筋金入りで頑固なところ。私も、目上の人には余り遠慮しないし、トマトも、手加減をしない。激しい性格同士、激しくぶつかり合った。でも、一年立って、やっと、相手の人間性がいい点、良くない点含めて、魅力あるものになり、本音で話せる友達みたいな存在になりました。才能と、あの根性の強さ（怪獣なみ）に惚れている、ってとこも大きいかもしれない。

一番、辛い時期は超えたのかもしれない、でも、これから、また更に大きな波がやってくるのかもしれない。それでも、最悪の（と思う）時期に見える本当のモノ、その中でもまだ光っているもの、それを見つけ出せるだけの強さを、いつでも秘めていたい、と、思えるようになった。追いつめられて、自分を失ってもいいんだ。簡単に見失いそうで、絶対になくならないのが、自分、なのだ、と。

長くなりました。今日は、もう寝ます。

もちろん、しゃどう猫と一緒。

しゃどう。

先頭 表紙

あれっ？ 俺、なにやってたんだっけ？

しゃどう猫。


先学期は、本当にきつかった。結構ギリギリまで、頑張っていたらしい。少しの空き時間も、無駄にできないような、張り詰めた生活で（それでも、やらねばならぬのだっ）と、割り切っていたのだけど、夏休みが始まって、はじめての週末。なんの心配もなく、買物に出かけたり、掃除をしたり、料理をしたり、ボーっとしたり。当たり前の生活が、こんなにも気持ちのよくて、楽しいものだって、思い出した。

心配していたトマトボスのファンディング、数ヶ月待たされていたミリオンクラスのグラントがやっと降りてきた。実は、トマトラボ、５年前に、１０ミリオングラントを勝ち取っていた。年間に使える研究費は、１−２ミリオン。それこそ湯水のようにお金を使っていた。そのファンディングがちょうど終わる数ヶ月前に、私はグループに入ったのでした。

夏の終わり、ファンディングの終わり、「さぁ、これから金がなくなるから、欲しいもの、今のうちにバンバン買っておきなさい」って言われて、まさか、とは思っていたのだけど、ポスドクも、でていき、他の院生のファンディングもバンバン止められた。自分の論文のためでしょう？ って言われても、現金なアメリカン学生達、給料がでないなら、実験なんて、やろうともしない。さっさと逃げていく。あぁ〜、ひでぇなぁ、と、想いながらも、私は運よく、セロリボスからのサポートがあったので、実験を続けて行くことができた。

ちなみに、サポートを受けられないと、留学生の場合、授業料も免除じゃなくなるので、年間百万円近く＋生活費まるまる負担、ひぇ〜、多額の出費になります。（当然、払えないので、たいていの人はその代わりに、ＴＡ（ティーチング アシスタント）をやって、サポートをうけますが。）

なんとしても、研究費が必要なので、ボスは旅に出る。しかも不景気。研究費を得るためには、それだけの結果と、それに見合う可能性（プレリザルト）が必要。でも、金がないと、それを生み出すはずの学生達が、みんな逃げてしまう。外出が多いので、やる気のある学生指導もろくにできない、面倒を見れるポスドクも雇えない、という悪循環に陥ってしまう。しかも、肝心な機械や、システムも、ここぞっ、とばかりにボンボン、壊れていく。こういうの四面楚歌、というのか、そうとうなストレスだったと思う。

つづく。

しゃどう。

先頭 表紙

ほーんの少しだけ、匍匐（ほふく）前進。

しゃどう猫。

昼下がりに、しゃどうの制止を振り切って外に飛び出したしゃどう猫。３０分後に、出かけようと外に出たら、口を開け、鳴きながら、息を切らせて家の中に飛び込んできた。はぁはぁ、いいながら、台所のタイルの上に、倒れこむ。まだまだ、外は９６Ｆ（３５．６Ｃ）、まだまだ、これから暑くなるのに。もう、だめ？ 家の有難さが、わかったかな？

今日は、レイジーデイ、取り戻したウィークエンド、です。自宅の近くに植えるつもりで、サボテンと、スカーレットを、買ってきました。夕方、伸びすぎた木の枝をバッサバッサ切っていたら、近所の子ども達がやってきて、枝運びを手伝ってくれました。物珍しかったのかな？


しゃどう。

＃＃今日の夕食は、お好み焼きを暖めたもの。冷えているお好み焼きを、レンジで１分、チンしました。出来上がりは、ふっくら、味は再現。おたふくのお好み焼きソースと、マヨネーズでいただきました。ここ地元では、Japanese Pizzaと呼ばれているようです。しゃどう猫は、prime entree猫まんま、いったい、何が入っているのでしょう？

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だから、隠れているわけじゃないって。

覗いてるだけなの。

ただ、みてるだけ。

しゃどう猫。


エアコン点検の人が、来たんです。チャイムの音が、ビビーッと響いた途端、偵察体制に入りました。いかした番猫です。今日も、縞猫チャンは遊びに来ました。最近は、しゃどう猫の方が、ちょっと馴れ馴れしげに近づいて顔を覗き込んだりしているのですが、縞猫チャン、うぅ〜っと唸って、相手にしません。人のうちで、なかなかいい度胸です。やっぱり、長居はせずに帰ってしまいます。

今日で、やっと今学期、授業関係、すべて終了しました。今日は試験期間を利用して、顕微鏡のクラスのプレゼンがありました。ちょうど昼をまたいでの１１時〜１３時。先生が気を利かして宅配ピッザを注文してくれたので、ほんと、お腹が空く事もなく、のほほ〜んムードで発表することができました。

昨日の晩、準備をしようとしたのですが、なんとなく気分が悪くて集中できず。いっそのこと、朝早く起きてやるか〜っと、床に就いて朝日とともにスライドづくりを再開したのですが、プリントアウトが終った頃には出かける時間の数分前だった。一昔前、少なくとも昨年までは、文字どおり、"Don't work until the last minutes!" タイプだったのに、今じゃ、すっかり、"Use until the last minutes!"タイプに変ってしまいました。これも、トレーニングの成果でしょうか？

でも、これで暦の上では正式な夏休み。大手を振るって洞窟篭り、ができます。とりあえず、時間に追われる生活、から、時間を追いかける生活、に、変えることぐらいはできるから、夏休みって大好き。アシスタントの仕事も、週２０時間契約から、４０時間契約に代わるから、夏休みって大好き（収入、倍、むふっ）。大学の駐車場が空いているから、夏休みって大好き。まずは、体調を整え直そうっと。憧れの規則正しい生活を目指して。

しゃどう＠今日は、かなりご機嫌。

＃＃しゃどうの夕食は、お好み焼きでした。作りすぎたのだけど、あれって、保存は利くのかしら。キャベツと、豚肉と、ふわふわの生地が柔らかくて美味でした。しゃどう猫は、海鮮白身魚の猫まんま。ちょっと甘ったれ気分で、膝の上で居眠りしていたので、爪を切ってあげました。

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つづき。 （写真は、目が蕩けそうなしゃどう猫。）

という感覚が蘇ってきたのも、日暮れ頃に建物の外に出た時。ちょうど昨年の今ごろと同じように、不思議な楽器（パイプ系なのだけど、もっと複雑ででかい）の練習を外でしている人達を見た時。きっと、ちょうど昨年、新しい楽器を手に入れたばかりなのだろう。誰もが、プヨーっ、とか、ブヘーっ、ボヨーっ、と、わけの分からない音出しの練習をしているところで、最初のうちは「なんじゃこりゃ？」と、苦笑いして通っていたものだ。

二ヶ月くらい、して、少しは音楽っぽい音を奏でるようになったので、へ〜、上手くなったなぁ、なんて思っていた。そして、今日、なにも考えずに横を通ったんだけど、ちょうどその時、リーダー格の人が、打楽器でリズムを取り始めた。それと同時に、その不思議な楽器を持つ人々が、一斉に音を出し始めた。

複雑な旋律の協和音、繊細に、大胆に、音が重なり合っていた。耳から心に抜け落ちてくるような音、に、鳥肌が立った。これが、あの、やかましかったブーブー君達（変なあだ名つけてました）なんだろうか？

一年って、何でもないように過ぎていくけど、その密度は、当然のように、人によって変っていく。どう過ごしても平等に過ぎていく。優雅に、仕事もそこそこにたしなんで、人生を楽しむのもよいと思う。けど、こうやって、形に見えなくても、伝わってくる懸命さ、高まっていこう、それでも続けていこうっていう、心は、見ず知らずの人まで感動させてしまう、なにかがあるのだな、と。短い期間で見れば、ただ辛くて、ストレスばっかりで、テレビを見たり、映画を観る時間だってあんまりないかもしれない。友達と遊びにいく時間も少ない。ソファに座って、ぼわわ〜ん、と、する時間さえ、少ないかも知れない。たまに、「働きすぎだよ」なんて冷やかされたりして。本当、懸命に生きている人ほど、損してるんじゃないか、って、癪に触る事がある。だって、適当に生きていたって、そこそこにやっていけるんだもん。

でもね、そうじゃないんだよね。それだけじゃ、ないんだよね。

なんか、当たり前の事なんだけど、なんで忘れてたんだろう、なに文句ばっかり、言っているんだろう？ って、思い直した。だって、昨年から蒔きはじめた種は、どんどん育ちはじめている、更なるケアが必要で、更に仕事が増えたって、なんら不思議じゃない。嬉しくて、しようがないはずでしょう？

と、半眠り中のしゃどう猫が、呟いたような気がした。

しゃどう。

＃＃しゃどうの夕食は、この前の残りのグラタンと、生野菜。しゃどう猫の夕食は、海鮮白身魚の猫まんま、でした。

先頭 表紙