義父のガン病巣部はキレイに取れた。
しかし、血液検査では転移しているようだ。
どこに転移しているかはまだ分からない、との事。
大手術を終え頑張った義父を励ましたくて、私は
「ガン、全部きれいに先生が取って下さったよ。良かったね。頑張ったね」
と、転移については義父に話さないでおいた。
退院までの間、私と義姉が数日ずつ交代で見舞いに行く事にした。
24時間看護だが、やはり寂しいだろうし心細いだろうし、
洗濯物も思った以上にあるのだ。
数日が経つとだんだん義姉に腹がたってきた。
義姉は本当に「見舞い」にしか来ないらしい。
洗濯物は一応持って帰って洗濯してきてくれるのだが、
寝間着もT字帯もクシャクシャで丸まったまま紙袋に入れて持って来た上、
その紙袋のまま病室に放置してある。
義父のコップも洗ってあげてない。
サイドテーブルやテレビの上がホコリだらけなのに放ったまま。
新聞も雑誌も数日分が積み上がってるのに捨ててない。
など、まだまだ身体の不自由な義父のために、せっかく見舞いに来ているのだから、
義父が快適に過ごせるように気を使ってあげられないのだろうか。
洗濯物はアイロンをかけてパリっとしている物を身につけると気持ち良いし、
義父や看護婦さんが見つけて使いやすいように
クロゼットの引き出しに入れてあげるのが普通でしょ。
コップも1日中ほうじ茶などが入っていれば、茶渋でいっぱいだ。
寝ているすぐ鼻の先のテーブルがホコリだらけなんて可哀想でしょ。
まぁテーブルはともかくも、お風呂に入れない義父の顔や身体を
拭いてあげようとは思いもしないのだろう。
ゴミ箱だって、収集に来る前に捨ててあげれば義父も快適なのに。
とにかく、彼女は何をしにきているつもりだろうか。ムカムカ。
病院の食事に付いてくる夏みかんを、義父は大好きなのに、
むくのが面倒だと言って冷蔵庫に貯めていた。
それを聞いたら普通は義父にむいて食べさせてあげるでしょ。
でも義姉は自分でむいて自分で食べたと聞き本当に呆れた。
私がむいてあげると、義父は嬉しそうに全部一気に食べたのだ。
食べたいのに、まだその体力すらなかった義父。可哀想に・・・
ところが、そんな私のムカムカもすぐに治まった。
2週間ほど経つと、義姉は「風邪をひいて具合が悪い」と言って、
見舞いすらも来なくなったからだ。
何もしないなら来ない方がまだマシだ!やれやれ。
でも、そんな義姉でも、義父にとっては可愛い娘。
義父は私の前でもずっと義姉の話ばかりする。
義姉の事が心配で心配でたまらないのだ。
そして私には「まぁまぁ良い嫁だな」と言った。ムカムカ。
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