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庭の門

ディックの庭。彼の小宇宙。
彼はその門に立っている。
彼自身の内部と外部の境い目に。
ぷぷっ(←?)

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2001-09-18 テクノポップの魅力(前半)
2001-09-18 ディックのテクノポップガイド 3
2001-08-09 ディックのテクノポップガイド 2
2001-08-06 ディックのテクノポップ・ガイド
2001-07-29 ディックとテクノポップ
2001-07-26 『千と千尋の神隠し』を見て
2001-07-23 発表後の生活 小花柄・アニエス腕時計・「ニューオーダー入ります!」
2001-07-23 修論発表会終わる!!
2001-07-12 [思索] シリーズ言葉 【間違い 嘘 フィクション】 プロローグ
2001-07-10 [思索] シリーズ「言葉」 Tなぜ思索するのか(前回の続き)


2001-09-18 テクノポップの魅力(前半)

 トレバー・ホーンとエイドリアン・シャーウッドという二人のプロデューサーを取りあげたかったのだが、ますますマニアックになってしまうことが避けられなさそうなので、これにて「テクノポップガイド」は終了。
 テクノポップガイドと言いながら、YMO、クラフトワーク、ディーヴォの御三家についてほとんど言及していないのもリアルタイムの経験者からすると物足りないところだろうと思われるのだが、この3ユニットに関してはマニアックなサイトが山ほどあるし、あくまで僕の個人的な好みによるチョイスと言うことでお許しを。。。
 
 今回の企画に当たり、かなりたくさんの作品を押入から引っぱり出してきて聞いたのだが、今聞いても全然古くさくない作品が多く、新たな発見も多かった。ゲイリー・ニューマンとか驚くほどダサくてびっくりしたが(高校生の時、熱心に聞いていた)。。。

 気付いたのは70年代末から80年代初頭はシンセの音が魅力的なのだが、80年代末から90年代のシンセの音はほどんど魅力がない。僕は後者の年代に中高生だったのだが、だからこそ前者の年代のテクノポップに衝撃を受けたのだと思う。のちに、シンセの音のこの違いはアナログシンセとデジタルシンセの違いだということが分かった。例えば、コニー・プランクのあの独特のシンセ音はMinimoogでしか出せない音だ(最近はやりのヴァーチャルアナログシンセならMinimoogなど代表的なアナログシンセに近い音が出せるが)。

 漫画を読んで真っ先に眼に飛び込んでくるもの、直接感覚されるものは様々な線である。ストーリーやキャラはその線を通じて理解されるものであって、直接的に感覚されるものではない。そして漫画の魅力にとって、ストーリーやキャラが重要なファクターであることが認められいるのと同様に、線も漫画の魅力の一つであることも広く認められていると思う。漫画を読んで、「ストーリーは面白くないけど、線は好きだな」と感じたことがある人は少なくないだろう。(僕の場合、松本大洋とか)。
 
 ところが、「この曲の(このアーティストの)音が好き」っていう人は少ない。一般的にメロディーが最も重視されている気がする(特に歌メロ)。メロディーはもちろん曲の魅力の一つだが、音楽の数ある魅力の内の一つではないだろうか。同じメロディーが様々な音で表現されうる(オーケストラから着メロまで)ことから分かるように、メロディーは、特定の音に拘束されない形式である。その形式は様々な実質(特定の音)に結び付くことによって、現れる。音は直接的に感覚されるが、メロディーはその音を通じて理解される(低次の理解だろうが)。
 漫画における線の魅力に気づかされるのは、自分の好きな線の書かれた作品にで出会うことによってであろう。同じように音の魅力も自分の好きな音に出会うことで初めて気付かされる。僕にとって、テクノポップが<音の魅力との最初の出会い>だったということに改めて気付かされた。

 音の質感や音のチョイスに決定的な役割を果たすのがのがプロデューサー&エンジニアである。今回、プロデューサーごとに作品を整理した理由はここにある。
 

先頭 表紙

その箇所に興味を持ってくれる方がいて下さって良かったです(笑)。抽象的過ぎて誰にも理解されないかもと思っていたもので。。形式と実質の問題は面白い問題なのですが、プラトンから現代思想、記号論に到るまでさんざん議論されてきた問題で、踏み込むと超ヤヤコシイんですよね。いつの日か、分かりやすく、面白く説明できたらと思っているのですが。。 / ディック ( 2001-09-28 21:22 )
最後の3パラグラフ、面白いですね。これはもっと深く考察する価値があると思います。構造主義的な視点から見る(線条構造の超越という言語レベルの関心ながら、ソシュールも関心を寄せていたし、晩年の丸山圭三郎のカラオケ狂いもこれと無関係ではなさそう)とか、ダンスフロアで、イントロだけで盛り上がるのはなぜかとか(例えば、ベースの音一つだけで)、僕も考えてみたいですね。必ずしも同じ結論にたどり着くかは分かりませんが / 404 Not Found ( 2001-09-20 10:32 )

2001-09-18 ディックのテクノポップガイド 3

Giorgio Moroder
 
 この人もテクノ、テクノポップを語る上で避けては通れないプロデューサー。四つ打ちのキックに二拍四拍のスネア、十六分シーケンスという黄金律を確立し、「ディスコ」のイメージを決定づけた。
 とにかく踊らす音楽、踊りださずにはいられないリズムを作る職人といった感じの人で、フロアーでの機能性を追求したプロデューサーだと言える。芸術的な美しさもあるんだけど、機能性を追求した結果としての美しさ(レーシングカーのフォルムみたいな)という感じ。シンセの音のクオリティーも高い。快楽志向でノリノリなんだけど、緻密に作り込まれていてすごくクール。
 
 代表作としては、ドナ・サマーの“Love to love you baby"(Casablanca/1975)が挙げられる。このアルバムの中の“I feel love"という曲は90年代に入ってシカゴやデトロイトのDJによってさんざん使い倒され、テクノファンの間では有名な曲。
 他に有名な(?)ところでは、ブロンディーの「コール・ミー」、ジャパンの「ライフ・イン・トーキョー」といったシングル曲やジグジグ・スプートニクのアルバム“Flaunt it"(London/1986)等々。
 
 僕が一番はまったのはスパークスの「ナンバーワン・イン・へブン」(Virgin/1979)、「ターミナル・ジャイブ」(同)の二作品。これは強烈。男か女か分からないようなオペラ調のボーカルに、あっと驚く曲展開。しかも異様に気持ちいいダンスビート。ロック的な要素もありつつもディスコ(ターミナル・ジャイブ」には「Rock'nRoll people in a disco world」という曲が入っているが、まさにそんな感じ)。

 直接ジョルジオ・モロダーが関わっていないが、YMO(の初期)やMなんかも、もろに影響を受けた曲を作ってたり、ニュー・オーダーがダンスビートを導入するきっかけもドナ・サマーだったりする(今月号の雑誌「スタジオヴォイス」参照)。当時のニュー・ウェーブ、テクノポップに与えた影響がいかに大きかったか分かる。
 

先頭 表紙

確かに洒落にならないタイトルですね(笑)。って、ここで笑ってはいけないのかな?何処まで冗談にしていいのか、どの辺からシリアスにならなければならないか、確かに境界線は曖昧ですよね(ただ、境界線の辺りが曖昧なだけで、明らかに冗談にしてはならない領域もあると思うのですが)。←うーん抽象的になってしまいました。テロに関する404様の最初のリアクションを読んで感じたことなのですが。。 / ディック ( 2001-09-28 21:37 )
いやあ、今回も詳しいですね。"Rock'nRoll people in a disco world" なんか本当にリアルタイムで聞いてましたからねえ。そのとき、Jeff Wayne--The War Of The Worlds の"Eve Of The War" もヒットしていてセットで聞いていたような。しかし、洒落にならないタイトルです。 / 404 Not Found ( 2001-09-20 10:31 )
あけ様、初めまして。「ネバーエンディングストーリー」のさんとらもそうでしたっけ?調べてみます。映画「ミッドナイト・エキスプレス」「フラッシュダンス」「キャットピープル」のサントラを手がけていたのは確かだと思うのですが。。 / ディック ( 2001-09-19 16:49 )
初めまして。リマールの例のサントラ「never ending story」もそうですよね・・? / あけ ( 2001-09-18 21:49 )

2001-08-09 ディックのテクノポップガイド 2

(前回からの続き)

Conny Plank
 この人は、まずジャーマンニューウェーブ・ジャーマンプログレのプロデューサーとして有名。ノイ!ラ・デュッセルドルフ、グルグル、クラスター、それから『アウトバーン』までのクラフトワークなど。
 この人が関わった作品にはテクノ的な観点からだけではなく、ロック的な観点からも大きな評価を得ている作品が多い。その中でもお勧めは、ウルトラボックスの『システムズ オブ ロマンス』(アイランド/78)『ヴィエナ』(クリサリス/80)『レイジ イン エデン』(クリサリス/81)。ジョン・フォックスやミッジユーロの曲自体もすごくかっこいいんだけど、それとコニープランクのクールなシンセサウンドが絶妙に絡み合ってる。ちなみに『システムズ・オブ・ロマンス』の二曲目はノイ!にそっくり。
 ユーリズミックスの『スウィートドリームス』もコニーのプロデュース。しかもDAFのロベルト・ゲ−ルがドラムで参加。この頃のロベルトのソロにはアニー・レノックスがボーカルで参加している。2人は当時付き合ってたらしい。この作品でも、いかにもコニーって感じのソリッドで緊張感溢れるサウンドが聞ける。
 しかし、なんといってもコニーらしさが前回なのはDAFの作品群だ。特にミュートから出てる『Die Kleinen und Die Bosen』(1980)とバージンから出てる『Alles ist gut』(1981)『Gold und Liebe』(1981)『Fur immer』(1982)はすごい。呪術的に繰り返すシンセが跳ね回り、スカスカの生ドラムに絡み、喘ぎ声のようなボーカルがあおり、異様な空気感をかもし出す。
 コニー関連の作品のベストは、メビウス/プランク/ノイマイヤー名義の『ゼロ・セット』(Sky,1984)だ。発狂したDAFって感じの音。カテゴライズ不可能。

先頭 表紙

ご期待にそえるかどうか分かりませんが、早めに完結させるつもりです。それにしても音楽の魅力について説明するのは難しいですね。曲単位で解説を加えればよかったと思ったりもします。  / ディック ( 2001-09-19 00:13 )
わお。ときどき覗きにきてた甲斐もあったというものです。(せかすわけではありませんが)楽しみにお待ちしております。 / 烏丸 ( 2001-09-18 01:20 )
烏丸様、お返事&更新が遅れてしまって申し訳ありません。急にネットに入れない状況に追い込まれてしまって。。これから続きを書きます。 / ディック ( 2001-09-17 23:20 )
ディックさんお忙しいのかな? 石丸のCD割引券片手に続きを待ってる者もおりますので,ひとつよしなに。 / 烏丸 ( 2001-08-31 17:29 )
マニアックな修正。「『システムズ・オブ・ロマンス』の一曲目は・・」と書いていましたが二曲目の間違いでした。 / ディック ( 2001-08-18 06:10 )

2001-08-06 ディックのテクノポップ・ガイド

 最近のテクノ系のパーティーやイベントでは実によく昔のニューウェーブやテクノポップがかかる。僕より若い世代の人たちでもこの辺の音楽に興味を持っている人は少なくない。クラフトワークの「ツールドフランス」や坂本龍一の「ライオット イン ラゴス」がかかったりすると、まだ10代のクラバーの友達(最近のテクノにとても詳しい)に、よく、「この曲なに?」って聞かれたりする。そこで、<電子音が気持ちいいポップミュージック>という観点から、僕の好みにしたがって、テクノポップを簡単に整理してみたい。(以上、マニアックトークをするための口実)

 レーベルや年度ごとに作品を整理するというやり方がよくなされるが、僕は重要プロデューサーをピックアップして作品を整理するというやり方を採ります.

Daniel Miller
ミュートレーベルのオーナーでもある(ミュート設立前はラフトレードの社員)。自身のソロユニット、ザ・ノーマルは多くのテクノ系アーティストに影響を与えている。特に「Warm leatherlette」(78年)はテクノクラシックの呼び声が高い。ダニエルは、他には、ロバートレンタルと組んでシリコンティーンズという子供っぽい電子ポップをやったり(「ミュージックフォーパーティー」80年はお勧め)、ワイアーのメンバーとデュエット・エモやドームという実験的エレクトロユニットを組んだりもしてる。他にはデペッシュ・モードの「スピーク アンド スペル」(81年)、「ア ブロークンフレーム」(82年)、ヤズーの「アップステアーズ アット エリック」(82年)等にプロデューサーやエンジニアとして参加している。
 この人の関わった80年前後の作品群はどれも、シンセの音が同じような感じなんだけど、どれもが傑作。石野卓球が「レゴみたいな音」って表現してたけど、まさに言い得て妙。すごく立体的で表面がつるつるピカピカでカラフルな音。子供っぽくて単純なところも「レゴ」っぽい。とにかく子供心がわくわくさせられるような電子音ポップが多い。
 興味のある方は、その石野卓球がコンパイルしている「Early mute selection」(会社名とか忘れちゃった。後で追加します)をおすすめします。80年前後のミュートのアーティスト(ほとんどダニエルミラーが関わってる)のおいしいとこ取りで、DAFまで入ってます。そうそう、先日のつっこみで404 not found様がとりあげてくださった「Mit dir」も収録されてます(しかしこの曲をピックアップした卓球と404様のセンスはすごい。DAF関連の曲の中では地味目なんだけど、聞けば聞くほど味が出てくる名曲)。

先頭 表紙

404様、返事遅れてすいません。ロベルト・ゲールは最近までソロ作品を出してて、最近の作品は現役バリバリのミニマルテクノで圧倒されました。ですが最近交通事故で片足を失い、音楽活動をやめ、インドへ修行に出かけてしまったそうです。 / ディック ( 2001-09-17 23:12 )
調べてみたら、僕のもってるMit DirはDAFとしてではなく、ロベルト・ゲール名義のでしたね。 / 404@お褒め頂き恐縮です。 ( 2001-09-03 12:33 )
『Early mute selection』は98年にミュートからリリース。 / ディック ( 2001-08-18 06:15 )

2001-07-29 ディックとテクノポップ

 ブリグリのボーカルの人のソロプロジェクト、Tommy February6は、もろ80's風エレポップ。かなり、胸キュン。インタビューを聞いてたら、なんとストロベリースウィッチブレッドをコピーしたくてこのプロジェクトを始めたらしい。この娘、僕と同い年ぐらいのはずだけど、何でストロベリースィッチブレッドなんか知ってるんだろ?ニューウェーブ・リバイバルってほんとに起きてるのかな?本当だとしてもあんまり盛り上がらなさそうだし、すぐ収まっちゃうだろうけど。

 音楽の話はこの日記でなるべくしないようにしようと思っていた。自分の趣味がちょっとマイナーだと思っていたからだ。でも、最近、ひまじんには結構80ニューウェーブ、エレ・ポップ、テクノポップが好きな人が居ることが分かり、この辺の音楽について書きたくなった。っていうか、書きます。

 僕が中学・高校の時は80年代末から90年代で、パンクムーブメントやニューウェーブ、YMOブームも終わっていた。バンドブームとかが起こっていたけど、当事の音楽は僕にはほとんど面白くなかった。そんな僕だったが、深夜FMでたまたま聞いた『ジャーマンニューウェーブ特集』でブッ飛ばされた。
 単純なシンセのフレーズとすごくソリッドなドラムがひたすら繰り返される。メロディーも無ければ、何の展開もない曲。でも聞いてるうちに、音の世界に引っ張り込まれてトランス状態に陥った。それにシンセの音が恐ろしく生々しい(立体的で手触りすら感じられそう)だった。「何だ、この音楽は!?」衝撃を受けた少年ディックは、それ以来、ラジオやテレビの音楽番組を片っ端からチェックしたが、似たような曲は流れてなかった。

 そこで洋楽ロック雑誌を隅々までチェックしていると広告の頁に次のような文句があるのを見つけた。「覚醒を促す反復デジタルビート」。これだ!!あの曲を言葉で表現するとまさしくこんな感じだ!!と僕は思った。それはイギリスのインディー・レーベルミュートレコードの広告であり、そのキャッチコピーは「ニッツァーエブ」というユニットにつけられていた。早速入手して聞いていみるとあの時ラジオで聞いたのとはちょっと違ったけど、同じジャンルであることは間違いないように思われた。(ニッツァーエブは一日三回は聞いてた)
 それからミュートレーベルのものを片っ端から聞いていき、ライナーノーツも隅から隅まで読んでいろんなことが分かってきた。≪どうやら、今から10年位前に、パンクムーブメントというものがあったらしい・・その後にニューウェーブとかニューロマとかエレポップとかそんなジャンルが発生したらしい・・≫。

 ミュートレーベルをあさっているうちにあの時ラジオで聞いた曲の正体も分かった。DAFというバンドの「デア ムッソリーニ」という曲だ(DAFは僕の音楽人生のなかで最も好きなバンドの一つ。ミュートからは1980にDie kleinen und die Bosenというアルバムを出している)。ノイズ・インダストリアル系のものにも、ミュートをきっかけにしてはまっていった。スロッビング・グリッスル、キャバレーヴォルテール、SPK、ノイバウテンらが当事ミュートから再販されていた。
 インダストリアル系やボディ系と同時に夢中になったのが、デペッシュモードやヤズーといったエレクトリックなポップスだった。シンセの音、リズムボックスの音が今聞いてもメチャクチャ気持ちいい(歌詞は単純なラブソングだったりするんだけど)。

 と、ここまで書いてびっくり。マニアック、しかも、なげぇー。次回やっとエレポップ・テクノポップについて簡単に触れます。

先頭 表紙

404様。タイトルが「千」つながりになっているのは意識的にやってそうな感じがしますね。浅田彰の作品に関しては、高校生の時、「ヘルメスの音楽」の中のF.ベーコン論が大好きでした。 / ディック ( 2001-08-18 05:52 )
404様。ご返答ありがとうございます。テクノカットは82年になるともう恥ずかしいって感じだったのですか。80年代中盤まで流行ってたのかと思ってました(もちろん東京と地方では差があったんでしょうけど)。ちなみにテクノカットに「構造と力」というステレオタイプは三、四年前(記憶が定かでないのですが)に読んだ『クロスビート』というロック雑誌にイラストつきで掲載されていたものです。 / ディック ( 2001-08-18 05:42 )
(下のの続き)ただ、一般の人の受け止め方は違うかもしれません。浅田彰が『中央公論』に「千の否のあと大学の可能性を問う」を寄稿したのが1981年だから、これなら釣り合うか。でも、僕は注目してたけど(再び自慢モード)回りは気づかなかった。ところで、これってドゥルーズ=ガタリの『千のプラトー』とか坂本龍一の『千のナイフ』を連想させるタイトルですね。 / 404 Not Found ( 2001-08-09 17:50 )
(最後の質問の回答)それは時代考証的にどうかな。テクノカットって82年に入るともう恥ずかしいって感じになってて(自慢するわけではないけど当時は超最先端にいました)、83年の『構造と力』とでは釣り合わないですね。 / 404 Not Found ( 2001-08-09 17:49 )
404様。(返事の順序がめちゃくちゃですいません)。僕はリアルタイムでニューウェーブを体験してないので、「詳しい」としてもあまり「本質的な」理解には達していないかもしれません。単に、かっこいい電子音、気持ちいい電子音を求めて、中途半端に過去の音楽に行き着いたのです。ですから404様の80`s企画は勉強(?)になります。当時の雰囲気が伝わってくる感じで。ところで、当時のテクノポップ好きな青年はみんなテクノカットで、小脇に浅田彰の『構造と力』を抱えてたっていうのは本当ですか?(本当なわけないか・・) / ディック ( 2001-08-08 21:45 )
404 state様。DAFは最近のテクノとも意外とミックスしやすいかもしれません。二年位前にケンイシイのDJを聞きにいったとき、デトロイトテクノやアシッドハウスに交えてDAFがかけられていたのですが、驚くほどスムーズにつながっていて、しかもフロアは大盛り上がりだったのには驚かされました。MIT DIRについては次回の日記でちょっと触れます。 / ディック ( 2001-08-08 21:34 )
リリ様。ポールウェラーが?!・・知りませんでした。ジャムもスタイルカウンシルも好きでした(といっても五年前くらいに聴いてたんですが)。Don‘t go はいかにもディスコ受けしそうな曲ですよね。今クラブでかかってもおかしくないんじゃないか、と思います。ドナ・サマーとかもさんざんテクノ系のパーティーで使われてますし。 / ディック ( 2001-08-05 16:05 )
404様。新企画も楽しく読ませて頂いています。僕も初期(セカンドまで)のデペッシュモードが好きです。特にファースト(このアルバムだけ後にヤズーやイレイジャーを結成するヴィンスクラークが作曲している)はシンセの音が最高!!歌メロ的にはセカンドのsee you やphotograph of youが大好きです。ヤバイ、また長くなってきた・・。くわしくは次回の日記で・・ということで今回は失礼致します。デペッシュやDAFについてももうちょっと詳しく触れます。 / ディック ( 2001-08-05 15:56 )
(下の)「便り」じゃなくて「頼り」ですね。まあ週一だし、実際そんな感じもあったが(笑)/"Since Yesterday" 聴いてみたけど 結構似せてると思いました。/ ありがとう。これ読んでて、自分のレコード棚をきちんと整理する気になった。DAF(=Deutsch-Amerikanische Freundschaft 綴り自信なし)の中ではちょっと異色かもしれないけど、"MIT DIR"が好きです。か弱くて切なくて...。聴いてて思ったんだけどDAFって意外にに他の曲とMIXしやすそう。当時はそう思わなかったんだけど、時代が変わったのでしょうか。 / 404 Not Found ( 2001-08-01 12:50 )
下のの続きです。当時は情報源が限られてて「全英TOP20」とか「週刊FM」とかのヒットチャートが便りだったんです。実に隔世の感がありますね。それで前者の中で教養のないイギリス人(笑?)の読み上げる発音が標準になるような感じもあって...。他にも「キャバレーボルタイア」とか。ちなみにDepeche mode は雑誌の名前です。版元が変わったみたいだけどまだ存在してました。http://www.excelsior.fr/_mags/depeche.php3 / 404 Not Found ( 2001-08-01 12:48 )
Tommy February6、絶対聞かなきゃ〜。Strawberryって、ポールウェラーが傘下に引きこもうとしてたのよね。Don’t Go もSee Youもなつかしい…。続き楽しみにしてます。 / りり ( 2001-07-29 18:18 )
く、くわしい...。僕よりよく知っているのでは? 昨日はDAFの12inch聴いて踊ってました。Don't Goは1982秋のディスコ・メガヒットだったと思う。今までこういうジャンルで踊らないような人も踊りはじめたという意味で印象に残ってます。デパーチェモード(当時わざと英語風に発音していた人多し。僕も)は初期の青春歌謡風の物が好きですね。"See You"あたり。 / 404@当時の青年 ( 2001-07-29 11:17 )

2001-07-26 『千と千尋の神隠し』を見て

 『ラピュタ』みたいな冒険スペクタクルものに戻った、という評判を聞いて期待一杯で見に行ったのだが・・。

 うーん、何だろう?この物足りなさ。映像はすごく綺麗(特に、花の茂みを主人公達が駆け抜けてていくシーンは圧倒されるし、アジアっぽいオリエンタルな雰囲気の建物もディテールまで作りこまれている)。でも何かが足りない気がするのだ。

 そこで、僕が好きな過去の宮崎作品と比較してみたら、理由らしきものの一つが見えてきた。

 いやな悪役(敵)がいない。このことがストーリーの盛り上がりや緊迫感を減らしている原因ではないだろうか。例えば『コナン』や『カリオストロの城』や『ラピュタ』では、すごく嫌な感じのする<悪者>がいた。そのような悪役からヒロインを救い出す主人公というのは三作品に共通しているところだが、そういう嫌な<悪者>がいないのだ。『千と千尋・・』および最近の宮崎作品では、主人公にとって障害となるキャラは登場するが、それらのキャラは、たいてい根はいい奴である。「湯ばーば」というキャラは最初は主人公を豚にしてしまおうとしたりするのだが、主人公の熱意に負けて、自分の風呂屋の従業員として雇うことになるし、「銭ばーば」も主人公がその家に乗り込んでみると意外にも親切にもてなしてくれたりする。

 他方、『カリオストロ』の伯爵や『ラピュタ』の眼鏡の奴は徹底して<悪者>として描かれていた。熱意が伝わればやさしくしてくれるような奴ではなく、むしろ、私利私欲のために自分以外の人間は平気で踏み台にして使い捨てたり出来る奴らだった。あまり指摘されていないことかもしれないが、宮崎監督の、それらの作品での悪役の描き方はかなり見事だったと思う。「ほんとにイヤーな奴だな〜」と思わせるような悪役だった。

 そのような嫌な悪者がいたからこそ、危機感や緊迫感がリアルに感じられたし、危機からの脱出の際には大きな開放感(カタルシス)が得られたのではないだろうか?もちろんそれだけが理由というわけではないだろうが。

 他方、『千と千尋』では、「結局は助かるだろう」という安心感がほとんど揺るがされないままエンディングを迎えてしまう。特に、電車に乗って「銭ばーば」のところへ尋ねていくシーンでは「これからどんなに大きな困難が待ち受けているのだろう」と思わせるのに、拍子抜けするほど簡単にたどり着き、主人公の要求は難なく叶えられる。悪役っぽく登場した「銭ばーば」が意外に親切に協力してくれたからだ。

≪人間であれ、自然であれ、単純に「善いもん」と「悪者」に分けらるものではない≫という宮崎監督のメッセージが最近の作品には表れているのかもしれない。それに対して、僕は痛快でスリリングなエンターテイメントを宮崎監督に求めてしまうので、満足できないのかもしれない。

 もはや言う必要はないかもしれないけど、以上は僕の好みから見た『千と千尋』の評価である。たぶん、『トトロ』や『魔女の宅急便』が好きな人はこの作品も気に入るんじゃないかな。

先頭 表紙

lim様、お久しぶり&ツッコミありがとうございます。いつぞやはお世話になりました。博士の入試、がんばってください。 / ディック ( 2001-09-17 23:30 )
今日は、お久しぶりです。C大の...でわかるかな?『千と千尋』これから観に行こうと思っているのです。楽しみだな。修論発表お疲れさまでした。私はもうすぐ博士の入試です〜 / lim. ( 2001-07-27 07:10 )

2001-07-23 発表後の生活 小花柄・アニエス腕時計・「ニューオーダー入ります!」

 そんなこんなで何とか修論発表を乗り越えたので遊ぶしかないとばかり、遊んでます。久しぶりに彼女とも会って、ご飯を食べに行ったり、買い物をしたり。

最近、僕の好きな小花柄のシャツをいろんなブランドが出していて、嬉しい。大柄の花柄のシャツ(アロハシャツでよくあるようなやつ)は今までもあったけど小さい花がたくさんあしらわれているシャツってここ2、3年のうちに出てきた気がする(男ものでは)。昔から、女の子がきてるのを見て、「いいなぁー、僕もあんなの欲しいな」と思ってました。最近はよく見るよね。
小花柄のシャツの好きなところはフェミニンでかわいいんだけど上品でもあるとことかな。僕は三着ぐらい持ってます。R.ニューボールドで買ったのが一番お気に入り。

 彼女が腕時計をプレゼントしてくれた。アニエスから最近(?)出た白い文字盤のクロノグラフ。これもすごくフェミニンなかわいさがあって、しかも品がある、という僕の最近の好みに的中!!って感じのもの。サンキュー!!&ラヴュー!! 

 ニューオーダーの新曲も聞いた。思ったより良かった!最近出たキュアーとデペッシュモードの新作が僕的にはガッカリの出来だったのでなにやら嬉しい。それにしてもやっぱ、新曲と一緒に収録されてる「トゥルーフェイス」や「テンプテイション」の方がいい・・と感じてしまう僕。「アイソレイション」は微妙。リズムが途中までドラムンベースなのが、ちょっと曲とあってないような気が・・。原曲に思い入れがあり過ぎるのかもしれないけど。そんでもって、J.D.の「クローサー」久しぶりに聞きなおしてしまった。今聞いてもほんとにすごい。人間の絶望がここまで冷徹な感性で表現されうるとは・・。サウンド的にも、今聞いても全然古臭くない。シンセストリングスの使い方とか、デトロイトテクノを通過した耳で聞いてもすごくクール(しかもエモーショナル)。

 J.D.を聞いて、自分が高校生の時に抱いてた混乱がまだ僕の中に残っていたということに気づかされた。あんまり成長してないのかな。

 ところで、僕がよく行くトンカツ屋では、料理を注文すると、店員さんが「ニューオーダー入りまーす!!」と厨房に向かって叫びます。そのたびに僕はドキッとします。「ラストオーダーの時間なんですが・・」って言われることはよくあるけど・・、「ニューオーダー入ります」もよくある表現なんでしょうか?でも、怖いですよね、注文するたびにバーナード・サムナー達が入ってきたら(なんのこっちゃ?)

先頭 表紙

それでは、お言葉に甘えて、時々、彼女ネタもやらせてもらいます。でも自分で読み返した時、恥ずかしいんですよね、文章が(苦笑い)。 / ディック ( 2001-08-08 21:54 )
お洒落なヒトのお洒落話大好きよ♪そしてそんなお二人も。のろけ?OKOKOK!!!うっとりしたいわ。 / しっぽな ( 2001-08-02 14:50 )
Afro Celt...?知りませんでした。豪華な顔ぶれですね。でも、実は、僕、ジェネシスもツェッペリンもまともに聞いたことないんす。プログレには興味があるんですけど、何から入ればいいのか分かんなくて。ジャーマンプログレ(タンジェリンドリームとかアシュ・ラ・テンペルとか)は好きで、昔よく聞いてたんですが。 / ディック ( 2001-07-28 23:21 )
↓ な,なんか照れてしまいますね。それはともかく,昼飯のついでに新譜を探しにいったのですが,あいにく見つかりませんでした。その代わりAfro Celt Sound Systemなんちゃらとかいうのを買ってしまいました。ヴォーカルにピーター・ガブリエルやロバート・プラントを,なんだそうです。 / 烏丸 ( 2001-07-27 16:09 )
おおっ、烏丸様だっ!驚き!烏丸様の日記は毎回楽しく読ませていただいております。でも、僕のところに突っ込みをいただけるとは予想していなかった・・。不思議な気分・・(もちろん、嬉しくもあります)。 / ネット初心者のディック ( 2001-07-26 23:22 )
しっぽな様。ばってん、その店では確かに「ニューオーダーは入りまーす」でした。やっぱり、あまり聞かない言い方ですよね。彼女の話は、禁じ手の『のろけ』になっちゃうので、しないようにしてたのですが、興味を持ってくれる方がいてくれてなんだか嬉しいです。 / ディック ( 2001-07-26 23:03 )
こんにちは,ニューオーダーの新譜,出ているのですか! 怠慢で知りませんでした。さっそく注文しなくっちゃ。キュアー,デペッシュ・モードは,確かにちょっとでろりんというか……。 / 烏丸@着メロは1963 ( 2001-07-26 13:46 )
「ニューオーダーでーす」 もしくは 「オーダー入りまーす」 なのでは??小花シャツ、上手に着こなせてるのですね♪羨ましいわ!彼女さんもセンスありそう。並んでおられる所を拝見したいな! / しっぽな ( 2001-07-26 12:31 )
りり様。確かに小花柄は合わせるのが難しい面もあります。N.O.復活しました。最近出たシングルはいかにもN.O.って感じの曲です。 / ディック ( 2001-07-26 10:49 )
マッキー様。アニエスの腕時計はシンプルでかわいいものが多いですよね。そんなに高くないですし。 / ディック ( 2001-07-24 16:18 )
小花柄のシャツを男の人が着こなしているのを見るのは好きです。でも難しそう。アニエスからはいい年して、まだ抜けられません…。N.O.再結成したんですね。 / りり ( 2001-07-24 00:33 )
アニエスの、バックがシルバーのクロノを持ってます。シルバーは日本にはなくて輸入品らしいんですけど、ホントかどうか。。1万くらいで買ったんですけど。シンプルなデザインだから、どんな服にも合うからいいですよね。 / マッキ〜 ( 2001-07-23 23:51 )

2001-07-23 修論発表会終わる!!

 修論発表会終わる!!この「!!」は疑いなく大きな開放感をあらわしてる。論文を書いてる時は気楽に楽しくやってるつもりだったんだけど、発表が終わって、この大きな開放感を味わうと、自分がいかに切羽詰ってたかということが分かる。

 高校の時とか、大して試験勉強してないくせに、試験が終わるとすごく開放感を感じてたのとも似てる。

 前々回くらいの日記で先生や学生達との議論でジレンマを感じると書いたけど、やっぱり、すごく勉強にもなる。自分の言いたいことがうまく相手に伝わることもあるし、誤解されたり、反論されたりすることもある。重要なのは失敗から学ぶことだということを今回は(も)感じた。誤解されることによって、もっとうまい言い方、誤解を避けるような言い回しを考えようとするようになるし、有効な反論・批判によって自分の間違いに気づくわけだから。まぁ、言ってみれば当たり前のことなんだけど。

 自分の議論全体を覆すかもしれないような批判や反論を受けると、不安になったり混乱したりする。こういう場合、批判・反論されたポイントを考えないようにする(もしくは別の議論にする)ことによって、不安と混乱から逃れたいという気持ちが僕には生じることがある。
 でも、問題が複雑化し、頭が混乱し、自分自身の考える力に自信がなくなっても、それでも自分の理論の急所とそこに突き刺さった批判の矢についてとことん考え抜きたい。それは何度も自分のだめなところを見つめなおす作業だから、きつい作業、しんどい作業でもある。

 なんてね。上のワンブロックの文章は自分への戒め。要するに今まで僕が未熟者なりに一生懸命考えてたことの根本的欠陥が指摘されたわけです。でも、わずかな希望がないわけではない。12月に再び行なわれる発表に向けて、死ぬ気で(っていうのは大袈裟か)頑張りたい。

 

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だ、誰っすか?…失礼、知り合いかと思ったらそうじゃなかったもんで。別に名乗る必要はないんですが。 / ディック ( 2001-07-24 16:15 )
お疲れ様です!きっと発表の度にどんどんいいものになっていっているはずです。修士論文、大変そうですが、頑張ってください! / 夏も本番〜 ( 2001-07-23 21:47 )

2001-07-12 [思索] シリーズ言葉 【間違い 嘘 フィクション】 プロローグ

 前回、前々回の日記で書いた。正確に語ること・本当のことをあるがままに語ることとは、具体的にはどういう風に語ることだろうか。

 本当のことをあるがままに語るとは(内面的な気持ちや思いについてであれ、外的な出来事についてであれ)、嘘や間違いを語らないということだ、と言えるだろう。前回の日記でも「嘘・間違いではなく、本当のことを語ろうとするならば・・」と書いた。この場合、嘘や間違いを語るとはどういうことかがある程度、明確にならないと、<ほんとのことをあるがままに語るということ>がどういうことかは分からないことになる。正確に語るということも、それが嘘・間違いを含まないように語るということを意味していると言える。従って、嘘と間違いがどういうものかはっきりしないと、「正確に語る」という事がどういう事なのかも明確にならない。

 ところで、嘘や間違いだけでなく、フィクション(として書かれたもの)も事実とは異なるを語っている。つまり、フィクションも、ほんとのことをあるがままに語っているわけではない(だからと言って、もちろん、悪いことをしているわけではないけど)。だから、フィクションについて考えるのも、<ほんとのことをあるがままに語る>とはどういうことかを明らかにするのに役立つだろう。

 というわけで、間違いと嘘、フィクション(できたら、あわせて冗談も)がどういうものか、考えてみたいと思う。
 
 今回は、ちょっと実験的に、対話形式で話を進めたい(分かりやすさが増すかもしれないから)。登場人物(?)は、ディックとカッパ君とコビトさんの予定。

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しばらく、思索はお休みさせて下さいね。修論で頭を酷使しすぎたもんで。 / ディック ( 2001-07-24 16:37 )
カッパくんとコビトさんのお話、楽しみ。 / トッコ ( 2001-07-12 19:05 )

2001-07-10 [思索] シリーズ「言葉」 Tなぜ思索するのか(前回の続き)

(前回の続き)
2)「考える」と称して、実際には単に「思いつき」や「感じたこと」を語っているだけの人が多いから。僕らは日々いろんなことを思いつき、感じる。他人の考えや常識などに対して違和感や反発を感じることもある。しかし何かを思いついた(感じた)からといって、そこでの思いつき(感じられたこと)が正しいとは限らない。他人の考えやある常識に<強い違和感>を感じたとしても、そのように違和感を感じる自分が間違っているのかもしれない。
 
 だからどんなに強い確信や違和感も一度は徹底的に疑い、批判的に検討することが必要なのだ。ここでいう「疑い、批判する」ことは「否定してしまう」ことではない。想定される疑いや批判をくぐり抜けられるような<感じられたこと>なら、とりあえずの「真実(正しいこと)」と認めてもよいからだ。例えば、無批判に(=考えられる反論や疑問に徹底的に向き合うことなしに)「僕は、人殺しは許されない、という常識に違和感を感じる」と言ったところで、「感じる僕」のほうが間違っていると言われてもしょうがない。想定される反論をきちんと論駁できないのなら「感じられたこと」を修正するなり、撤回するなりしないといけない。

 「でも、そのような違和感を感じたということは事実ではないか、違和感が生じたということは疑えないのでは?」と言われるかもしれない。それはそうだろう。ある常識に違和感を感じる、とA氏が言うのなら、僕にはその言葉を疑う理由は特にない。だが、この場合、事実(真実)だと言えるのは、せいぜい<違和感が生じたということ>だけであって、<ある常識がいくらかおかしい>ということではない。
 
つまり徹底した自己批判がない限り、例えば、「言葉は無力だと感じる(思う)」と書き記したところで、確かなのはせいぜいその「感じ(思い)」だけである。「感じられたこと」の記述、つまり、「言葉は無力だ」という記述は,単に一連の言葉が並べられているということに過ぎない。言葉や、その無力さについては何も<正確なこと>は述べられていないし、正確さに向けた第一歩もまだ踏み出されていない。言葉について、嘘や間違いではなく、あるがままに本当のことを語ろうとするのなら、「感じられたこと」を批判的に吟味する必要があるということ。また、上の例の場合だと、「無力だ」というのがもっと具体的には何を意味しているのかを明確にしておくのも重要だろう。書き記されたことの意味が、ある程度明確にわからないと、それが正しいかどうか検討することもできないからだ。

 1)2)をまとめると要するに、他人の哲学(哲学者の考え)であろうと、自分に感じられたことであろうとそれを批判的に吟味することをしなければ、「考えた」ことにはならないし、「あるがまま」や「本当のこと」に少しでも近づいたことにはならないということ。全面的な誤謬かもしれないような言葉をただ並べたところで、考えたことにはならないということ。誤謬ではない、と言うのなら、批判的吟味をしっかりとやって根拠づけることが必要であること。要するに論理的に考えるということ。

 大学の中で<論理的に考えること>がなされる機会は少ない。それが僕にとってはフラストレーションだ。だから、この日記の中の[思索]を通じて、少しでも、<論理的に考えること>を実行したい。

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きっと誰しもモテたいと思っているはずです。これは何歳になっても変わらないことなのかもしれないですね。でもおそらく好きな人に好かれれば、それでいいはず。気にならない人に好かれても苦痛なんじゃないかしら。私もモテたい願望者なので、よくわかりませんが。 / 再びマーラでした ( 2001-07-17 01:51 )
マーラ様。自分では気づかないうちにモテてたら、それは幸せなことなのかなー?モテないよりはいいことなのかな?っていうか、いい年こいて、いまだモテたいと思う煩悩を何とかしたいです。でも、モテてぇ〜(本音&劣情まる出し)。 / ディック ( 2001-07-12 19:06 )
すごくストイックですよね。、、、私はあまあまだから、ちょっと感心。、、、だけど、もてる、もてないっていうのは、自分ではわからないことなはずだから、真実かどうかはわからないはず!意外に知らないところでもててるかも、ね。 / マーラ ( 2001-07-12 13:07 )
自分の信念や感じたこと徹底的に自己批判しようとすることでプライドが傷つけられる場合もあるだろう(自分が全面的に間違っている可能性も考慮しなければならないのだから)。でも、嘘偽りではなく、あるがままを追求するのならそんなプライドは捨て去るべきだ。例えば「自分は今のところ女の子にもてない」ということは僕にとってプライドを傷つけることだが、真実だ。プライドが傷つけられるかどうかということは真実であるかどうかとは関係ない。 / ディック ( 2001-07-10 10:34 )
<論理的に考えること>が必要不可欠なのは、「本当のこと」をあるがままに語ることを目指す場合だけだと思っています。でも、日常生活の多くの場面では別に「本当のこと」を追求しなくてもいい・・「楽しいこと」や「気持ちいいこと」を追求してもいいわけだから、そういう場面では「感じたままに」語るのは悪くないと思いますよ。 / ディック ( 2001-07-10 10:21 )
うっ・・・ 耳が痛いです。。私はいつも「感じた」ことを述べているにすぎず、全く「考える」ことはしていないことを気付かされました。反省。。。 / マーラ ( 2001-07-10 10:12 )

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