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さくらもちの「無用日記」

実用じゃない楽しみが、いくつも

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2004-07-01 六月に見たもの
2004-06-14 眠れる森の美女を初台で
2004-05-24 妹背山婦女庭訓
2004-05-21 細道男伊達
2004-05-12 しばらくぶりに
2004-04-28 びっくりシャリアピン
2004-04-13 BSで便利にミュージカル
2004-04-04 犬神家の一族
2004-03-26 Wish upon a suspected star
2004-03-21 レオナルド・ダ・ヴィンチの番組


2004-07-01 六月に見たもの

INTO THE WOODS
 新国立劇場中劇場にて。ソンドハイムのミュージカルを宮本安門が演出、登場人物が多くてみんなクセのある性格で歌が超難しくて、日本じゃ無理かと思っていたけどよかったなー。子供のできないパン屋の夫婦が、隣の魔女からこれだけ集めてきたら呪いを解いてやる、といわれて、「森の中へ」探しに行くのが、赤い頭巾、金色の靴、トウモロコシ色の髪、ミルクのように白い牛。で、あかずきんちゃんとシンデレラとラプンツェルとジャックから該当の品をかっぱらってくる、という話である。そこで終わらないで後半は意外な展開から感動のラスト、になるわけですが。音も芝居も笑いも、細かくスキマのない舞台で楽しくて、嬉し涙にくれました。オペラ劇場でやっていた「眠りの森の美女」と上演期間が一時だぶっていたので、赤ずきんちゃんとかシンデレラとか、眠りの森の美女(ミュージカルにも最後に出てくる)が初台にいっぱいいたのかと思うとおかしい。

六月大歌舞伎
 「睨んでご覧にいれますー」を見たのだった。仁左衛門・勘九郎・玉三郎の寺子屋もお目当てのひとつで、期待にたがわぬ面白い芝居だった。前半の松王丸で悪の美学を発揮して凄みのある仁左衛門だったが、口上ではただただへらへらしていて信じられない程であった。襲名披露の海老蔵は「鏡獅子」だったのだけどお小姓弥生がとにかく巨大で、目にやきついて離れません。女形として作ってるひとじゃないから踊りのすべては仕方ないのでありましょうか、ただ、ひとつひとつの音にとても丁寧に反応しているのが、見ていて飽きない踊りではありました。毛ふりはあんまりキレイじゃないような気がしたなあ、アナニアシヴィリのフェッテみたいだったよ。

宝塚歌劇雪組公演
 ここまでずっと当たり舞台できてたのが、「スサノオ」でやられました。いや、一般的には意欲作と評判いいらしいんですけれども、私は「暴力はむなしいー」とか「戦争はいやだー」とか歌いあげるのは好きじゃないです。コロスのつもりか、舞台にずうっと百人以上あがりっぱなしで「人大杉」のまま工夫もなく右むいたり左むいたりしてるし、ぐったり疲れました。レビュー「タカラヅカ・グローリー」は楽しかったです。最近宝塚を見にいくと、こんなに長身のキレイなお姉さんがそろって出てくる集団は他にあるまいなあと、初歩的なとこで感心してしまうのでありました。170センチクラスの美女が何十人といるわけですからね、結構なもんだ。雪組はトップの朝海ひかるがダンサーなので、踊りが全体にちゃんとしていて、見ていて気持ちがいいのだった。宝塚はみんな訓練していて踊れるはずなんだけど、ヘタも沢山いるわけで、真ん中にヘタが来ると、振り付けがあわせて単純化してとってもつまらなくなってしまう。でもダンサーのトップってのは滅多に出てこないので、ショー好きとしては朝海さんにはがんばってもらいたいものであります。

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松竹座で口上と「にらみ」体験してきましたー。仁左さまがイヨーなほど早口だったのですが、いつもあんな?話したいことがいっぱいあったからなのでしょうか?ちょっと驚きました。 / かねちゃん ( 2004-07-20 23:47 )
俳優祭みました、やっぱり宝塚ネタに一番ウケてしまいましたでした / さくらもち ( 2004-07-06 20:27 )
結局、東京では睨んでいただけずー…夏の大阪で体験してきます。こないだの『俳優祭』中継はご覧になりました? / かねちゃん ( 2004-07-01 22:53 )

2004-06-14 眠れる森の美女を初台で

 6月12日の土曜日、新国立劇場で「眠れる森の美女」を観る。マリインスキー劇場、セルゲイエフ版の眠り・・は踊りが音楽的に一番納得だし、人の出し入れとか舞台運びが老練に巧いところと、あとアホな話を大真面目に大らかにとりくんで見せてくれるところが伝統芸能っぽくて、やっぱり一番好きであります。久しぶりの新国立劇場バレエでしたけれど、この大作に取り組んで質量ともにアッパレな、お上のバレエ団てのはこうなってくるんだなあという舞台を観たのでありました。

 この日のオーロラは厚木三杏、スター・ダンサーズ・バレエ団でずっと追いかけていた人。マクミランやロビンスで圧倒的な名演を見てきた、主役でなくても出れば舞台をさらう、だから観客が一生懸命拍手を送って応援してきた、そんなバレリーナなのだ。新国立劇場に移ったと思ったらいきなりオーロラでびっくり、どちらかというとミルタやリラの精が似合うクール・ビューティーで、友人と口々に「夢にも思わなかった」といいつつ客席につく。初オーロラは緊張していて、はっきりいって二幕までは不調、まあしょうがないかなと(勝手に身内を応援する気分なのである)迎えた終幕、やっと本来の踊りを見せてくれて、貫禄と気品あふれるパ・ド・ドゥだった。よかったー。彼女のようなタイプのバレリーナが中心になってくると、新国バレエの色合いも変わってきそうで楽しみです。

 ボリス・グルージン指揮の東フィルの演奏もよくて、群舞でもかなり複雑な動きがついているのにかまわず高速運行で(席が最前列だったので、ほとんどスポーツの離れ業を見るかのスリルさえあった)、ヘタにやるとかったるい大作になる眠りだけど、どんどん盛り上がりまくって幕になった。待ち合わせをしていたので、出てくるお客さんを眺めていたら、皆とても幸せそうににこにこしていて、「おめでとうございますっ」気分一杯の一日でありました。楽しかったわー。

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りりさまどうもです。香港にはそんないいシステムがあるんですか。日本は公立のバレエ団がスタートしたばかりでこれから色々変わってくるかもと思いますが、でも各バレリーナにスポンサーっていうのはなさそうだなあ・・ 公のタニマチ、みたいなもんですよねえ、面白いわあ / さくらもち ( 2004-06-14 22:09 )
前の方でバレエを観ると、ほんと迫力がありますね。バレリーナの肉体美にいつも憧れます。香港のバレエ団だと企業のスポンサーが各バレリーナに付くのですが、日本では応援システム(というのも変な言葉ですけれど)どうなっているのでしょうか? / りり ( 2004-06-14 17:29 )

2004-05-24 妹背山婦女庭訓

 古典芸能づいていて(だれかさんの舞台がないからかも)、昨日は国立小劇場で、文楽の「妹背山婦女庭訓」の千秋楽へ行ってきた。文楽は数えるほどしか見たことなくて、しかもすごーく久しぶり。昨今、文楽の東京公演は大人気で切符が全然無くて、ちょっと行こうと思ってもなかなか大変なのである。

 行く前に、文楽フリークの知人に教えてもらったサイトから床本のテキストをダウンロードして、予習する。蘇我蝦夷に入鹿、天智天皇が出てくる話なんだけど、こんな展開だったのかいなと驚く(笑) たまたま近々奈良へ行く予定があって、興福寺とか猿沢池とか(有名すぎるところを今さら)予習していたのだけど、このだしものってあのへんのご当地ものだったのですねえ、背景に興福寺と猿沢池、という奈良の絵葉書みたいな場面がありました。衣装その他例によって時代考証ナシ、なのだけど、なぜか古代ロマンの香りが馥郁という作品で、いいなあーとあらためて思う。やっぱりいきなり生で太夫さんの語りを聞いても聞き取れないので、文字を読んでから行ったのが正解だった。劇場へ行ってみたら、プログラムにも付録で床本がついていたのだけれど。

 両床を使う演目というのは「山の段」だけだそうで、舞台面も華やかだし、左右のかけあいも凄い迫力で、震えて涙がこぼれそうになる。客席も熱気があって、舞台と一体という感じで盛り上がっていた。浄瑠璃版ロミオとジュリエットの若い恋人の悲劇より、「ほんに背丈延た者を、いつ迄も子供の様に、思ふてくらすは親のならひ。」なんて言葉に「ほほう」と感心する自分がさびしい。昔歌舞伎で見たときには「互いにあいやけ同士」というセリフを覚えて帰った。夫と妻の、それぞれの親どうしの間柄をそう云うらしい。「ご両家」っていうと結婚式場みたいだし、あいやけ同士って使えたらなかなか便利な言葉だと思うんだけど、全然聞きませんですね。代わる言い方もないし、普及しないかしら(しないって)。

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幸田文の娘さんの披露宴についてのエッセイに、「あいおや」同士という言葉がありました。お江戸言葉かと思っていたのですが、どうなのでしょう。 / えりちん ( 2004-05-28 15:25 )
数ある義太夫の中でも『山の段』はホントに一、二を争うくらいの難曲で、それだけ位も高いものらしいですね。歌舞伎でしか観たことないんですけど。 / かねちゃん@恥ずかしながら文楽未経験 ( 2004-05-24 23:02 )

2004-05-21 細道男伊達

 四月から始まった「吾郎の細道」なんですが、私は関東なので水曜日の深夜、楽しみに見ているわけです。最初のうちはなかなか色っぽい会話もあったりして、家族が寝静まった暗闇で、ひとり見ているのがとても後ろめたい気分になったりもしたのですが、ここのところ違う面白さに展開してきていて、ワタクシ的にはやっぱりお芝居をしている吾郎さんが一番と主張しながらも、心が弱く傾いてしまうのでした。この水曜日に放送された分では、トマトが育っていたりするお家へ行って、掃除機を使ったり料理をしたりするという状況で、なぜかこまこまと生活の知恵を述べる語り口のおかしさと、のれんに腕おしの奥様の組み合わせがおかしくて、その上おひげのある吾郎さんの姿が、なんかすごくゴージャスで場にまったくそぐわない、と、テンポと違和感の相乗効果でたまらない面白さでございました。

「忘文」もそうですけど、最近の吾郎さんの番組は、一人で一般の人を相手にするシチュエーション。「忘文」の、手紙の相手に話し掛ける折り目正しい姿も好もしいし、「吾郎の細道」でソフトで意地悪な風情もとてもいい。この人のお芝居のどこが好きって、とくに舞台だと明らかなんですが、芝居の相手にも、劇場の空気にも不定型のように沿っていける、反応の速さと柔軟さなんですが、番組でいろいろな人と話す姿を見ていると、根は共通した資質なのかなと思うのでした。

 しかし美男のひげっていうのは不思議な効果があるもので、玉ねぎ刻むんでうつむく姿がなんともいえない艶めく風情。立ち姿のラインもいつのまにか変化してきましたよね。この立ち姿、舞台で穴のあくほど眺めたいんですが。

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台所でのシャツ姿の広い背中が際立っていた回でしたね。あの後ろ姿をまた舞台で拝みたいものです。 / えりちん ( 2004-05-28 15:23 )
特に最後の1行、100回繰り返したくなるほど禿同です。 / サイトー ( 2004-05-23 09:27 )
先週、今週とどーいうわけか『地元シリーズ』でして、テレビ見ながら「うわーここは!」「きゃーあそこは!」と叫んでおります。思わず深夜に「タウンページ」めくったりして。 / かねちゃん@湘南の住人 ( 2004-05-21 21:51 )

2004-05-12 しばらくぶりに

 NHKハイビジョンで海老蔵襲名の特集番組をやっていたのだが、いきなり「暫」の舞台中継がはじまった。そのつもりでなく見ていた(いわゆる襲名ドキュメント、だけかと思ってた)ので得した気分。テレビで見ても目出度さ満載でこういう舞台ってなかなか出会える機会がないから、劇場にいらした方がうらやましい。鎌倉権五郎は少年なんだよ、と解説されてもピンとこないもんだったけれど(だってあの姿だ)、今の新海老蔵だと納得がいく。あと時蔵がとてもよくて、最近見るのがいつも楽しみな女形さんなのだった。
 遠ざかっていた歌舞伎座に、最近またちょこちょこ行くようになったけれど、なんというか二十年ぶりに見ます、なのである。役者の二十年たった姿をなにごともなかったように見られるっていう歌舞伎の凄さをあらためて感じるのであった。で、二十年たたないとできなかった芸っていうのがあるんだなあ、というのも感じるのであった。六十近くなってかもし出されてくる芸っていうのは、若い役者の花よりも「見逃しちゃいけない」とわけもなく気持ちが焦る五月なのだった。

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平日でも難しいですか?うーん…どうしたもんか。 / かねちゃん ( 2004-05-21 21:52 )
イベント参加したいなー・・ / さくらもち@6月はさらに激戦だとか ( 2004-05-21 14:30 )
十八番の演目がずらりと並び、さすが歌舞伎界一大イベントだとワクワクします。団十郎さんは心配ながら、歌舞伎界全体で支えてくださってる感が染みます。 / まゆみ ( 2004-05-14 00:00 )
歌舞伎観劇1年生、御年80歳になりなんとする方が「やっと芸事のなんたるかがわかってまいりました」っておっしゃるのを聞いてなんつー世界なんだ!と身震い。海老様には微力ながら客席から熱い声援を送って後押しできればいいなと思っております・・・その前にチケット取りがえらいことになりそうな気もしますが@松竹座(^^;) / よこ! ( 2004-05-13 23:06 )
初日があいた後でせめてもでしたけど、長い長い襲名興行ははじまったばかりですもんね。ホントに驚きました。 / さくらもち ( 2004-05-13 20:52 )
心躍る襲名月が一転、なんだか心騒ぐことになってしまいまして…関係者各位、なによりご本人と海老蔵くんにいっぱい掛け声をかけたい気分なのでした。 / かねちゃん@未ログイン ( 2004-05-12 22:27 )

2004-04-28 びっくりシャリアピン

 昨日の午後NHKBSでやっていた映画「ドン・キホーテ」1933年製の仏映画で、主演はフョードル・シャリアピンだった。シャリアピンの名前は知ってたけど、シャリアピン・ステーキの名前のもとで、ロシアのバス・バリトンの歌手とて、丸々と福々しい巨漢タイプだとばっかり思っていたのに、画面のシャリアピンは、ドン・キホーテにふさわしい、鶴のような長身痩躯の姿で、ほんとにあのシャリアピンなのか、たしかに歌も歌っているけど・・と半信半疑になってしまった。しかも芝居が凄くうまいし。どことなく歌舞伎役者のような味わいで、名優の風格なのである。

 で、調べてみたところ、ホントにそのシャリアピンだった。彼の演技力の素晴らしさはつとに知られたものだったそうで、彼自身も演技についてはなみなみならぬ自負と情熱を持っていたらしい。ロシア・オペラはもちろんだけど、他にはグノー、ボーイト両方の作品のメフィストフェレスが当たり役だったそうで、写真を見るだけでも舞台やキャラクターのイメージがどんどん伝わってくるカッコよさである。思いがけず、こんな素敵なお方の存在を知ることができて幸せな気分であった。珍しい映画をやってくれてありがとうである。往年の名歌手ってステキだったのね。

 往年ってほど昔ではないけど、舞台はもう退いていて、一度聞いてみたかったなーと思っているのはニコライ・ゲッダ。この人を知った動機は非常に不純でして、吾郎さんが明智小五郎をやったテレビ朝日のドラマ「陰獣」のとき、テレビ誌にのった佐藤嗣麻子監督の「音楽はホフマン物語」という一言にのって、オペラの全曲版を買ったのだった。で、ちょこっと以前のなんでお安いし、指揮もクリュイタンスだしで選んだ、そのCDのタイトル・ロールを歌っていたのがニコライ・ゲッダで、スタイリッシュな正統派で、でもちょっと小粋な歌声にとても惹かれたのである。↑関連で「ファウスト」も当たり役だったみたい。世代が違うので、シャリアピンのメフィストフェレスとの共演はもちろんないですが。

 吾郎さんでホフマンみたいな役っていうのは見てみたいかもですね。美形メフィストフェレスなんてのも捨てがたいけれど。

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先日モイラ・シアラーの「ホフマン物語」@BSを観たのに、すっかり「陰獣」のことを忘れておりましたわ(汗)。ホフマンも狂言回し的ですね。そして嗣麻子さんの「八つ墓村」にも期待です。 / えりちん@おひさしぶりです ( 2004-05-28 15:19 )
「ひっぷほっぷ」とかに広がられるとちょっと困るんですけど、わりと守備範囲の方向を保ってくださってるんで嬉しいですわ。というか年々クラシカル度(いろんな面で)が高くなってて嬉。 / さくらもち ( 2004-05-13 20:54 )
不純な動機(!)でいろいろ視野や趣味が広がるのは楽しいですよね。いろいろ新しい発見もあるし。 / サイトー ( 2004-04-30 21:27 )

2004-04-13 BSで便利にミュージカル

 家の高校生、学年はじめの音楽の時間で、先生が見たことある人〜という挙手アンケート(?)をとったという。「ウェストサイド物語」「マイ・フェア・レディ」「ジーザス・クライスト・スーパースター」と、「ボレロ」ちょっとネタが古いんじゃないかと思うのだが、案の定ほとんど手があがらず、一人で三度も手をあげた彼女だけが悪目立ちしたらしい。ジーザス・・は最近WOWOWで舞台版の中継が、ウェストサイド・・はNHKのBSで放送されて、たまたまどっちも録画して、皆で見たのだった。「ボレロ」は、レーザーディスクで見ました、レーザーディスクどうしてくれよう、家にまともなDVDプレーヤーがないのは、LDのトラウマをひきずっているせいである。ついでにベータのビデオもある。ボレロといえば、パトリック・デュポンが東京バレエ団と共演したのと、ショナ・ミルクが五反田ゆうぽうとで踊ったのをベータで持っているのだ。超貴重。あのころはNHKもほいほいとバレエ中継をやってくれて便利な時代だったなあ。

「ウェスト・サイド物語」はいつ見てもトニーのリチャード・ベイマーが間抜けで、改めてソンドハイムの歌詞がいい。あとダンスがですね、細かいポイントまで「こう」なんだろうなと、やっぱり振付の細かいニュアンスを伝えていくのって難しいらしくて、「FOSSE」も、見る人が見ると、フォッシー存命中と全然違う、踊り方が!ということになるそうだ。ジェローム・ロビンスっていうとなぜかショパンで作った作品を一番見ているかも・・。オトナなダンサーが踊ると本当に素敵なのだ。

「マイ・フェア・レディ」は吹き替えオードリーっていうのがひっかかるし、そのせいか音楽ワクワク感がなんだか欠ける。ジェレミー・ブレット様の若き姿が見られるのが面白いんですが、こういうテレっとしたタイプの二枚目がああいうホームズ役者になっていくかと感慨深いものがあります。

 ミュージカルとか音楽の映画ってノリの悪い監督さんが作るととてもイカンなものができてしまうのだった。「ホシに願いを」の吉川ディレクターはなぜかそのへんのノリが凄くよかったのが驚きだったのですが、普通のドラマやらせておくのがもったいないです。

 

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と、とおいっ!つながりだけど、そうかあ〜〜 そいでもって稲垣吾郎とウエストサイド物語の世界って衣装的には一番遠いけど、今回見直してシェイクスピアの移し変え的にも上手な作品だなーと思ったのでそこんとこは近づいてほしいかも / さくらもち ( 2004-04-17 18:14 )
「ウエストサイド物語」歌は決して上手いとは思わないけど、音楽は大好きなんです。時折サントラ聞いたりしてます。WSSを見てジャニーさんは芸能へ進出した訳で、その結果役者稲垣吾郎がいるという(かなり無理な)繋がりも感じますし。 / まゆみ ( 2004-04-14 23:42 )

2004-04-04 犬神家の一族

 稲垣吾郎の金田一耕助と聞いて、横溝作品をはじめて読んだ。淡々とした品のいい文体で、なにか明白な雰囲気に、今まで映画や周辺から抱いていたイメージと大分違うなと軽く驚く。昨日やっと放送された「犬神家の一族」まさに文庫のページをめくっていたときと同じ感触があって、たしかに原作に丁寧によりそって、丁寧に作っていった作品で、そういう清々しさみたいなのが非常に印象に残った。ただ、丁寧なだけじゃなくて、全体をひっぱるドライヴ感が心地よく、行き届いて勢いもあるという、作り手がいいときに作ったいい作品というのは、なんともいいもんであります。

 時代の色あいのある作品は、美術や衣装だけでもごちそうでとりあえず楽しいのだけど、日本のテレビドラマだと中々無理かなあと諦めていたところが、今回これだけのものが見られるとは。町並みや家屋敷を探すのも大変だろうけど、セットや衣装もよかった。三姉妹の着物、ああいう羽織と着物の色の組み合わせは今では見られないし、三人それぞれの個性が色合いでわかって並んでいるシーンは倍面白い。着付けも、今の着方よりゆったりめに着付けていたのではないだろうか。洋装の男性陣も、背広の線などちゃんと昔ふう。犬神家のセットは、市川監督の映画版のより居心地がよさそうで(映画のはいかにも陰惨寒そうだった)、建具など凝ってましたねえ、松子夫人の居間もとってもコージー。

 小説を読んだ金田一のイメージは、繊細で奇矯な人。いきなり吾郎さんのイメージで読んでいた不埒な私、唯一不安はハカマさばきとシャツでしたが、流石上手く作って出てきた。終戦直後の設定だけど、マントをひるがえして歩く姿は大正幻影、探偵のロマンチック・アゴニーが似会う俳優。見たい吾郎さんがそこにいて、至福の三時間。贅沢をいたしました。

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メイキングなど見るといろいろ試行錯誤もあったみたいで、まさに誕生と申せますでしょう>よこさま / さくらもち ( 2004-04-09 20:51 )
ファズさま 衣装や美術にばっかりまず目が行くみたいなのですよね。だから「登場人物の心象風景」とか全然どうでもよかったりする私です / さくらもち ( 2004-04-09 20:47 )
日々の雑用もようやく落ち着き、どっぷりと稲垣金田一にはまっております(人、それを猿リピートという!) まさに独特のスタイルを持った稀有な金田一役者の誕生見届けさせていただきました、みたいな。ああ、秋までがまた長い。 / よこ! ( 2004-04-09 05:34 )
美しいものは細部にまでこだわる事で生まれることを、画面を通してひしひしと感じました。もちこ様の日記、衣装のことなど勉強になります。ああいった空間にしっくりはまってしまう吾郎さんの存在感、稀有な人だと改めて思いました。 / ファズ ( 2004-04-08 01:06 )
まゆみさま アメリカ編は上手い導入だったと私も思います。すべてにおいて、テレビドラマ基準を大きく超えて目の娯楽でもありました / さくらもち ( 2004-04-07 09:10 )
サイトーさまどうもです。ウヒョウヒョしながら3時間がすぎてしまいましたね。今回パソコンに録画したので、わたくしも色々未来がひらけております(間違えてつっこみしなおしで、順番が前後してしまいました。早々のつっこみ恐縮です) / さくらもち ( 2004-04-07 09:03 )
あっという間の3時間。家も町並みも衣装も佇まいも、妥協の無い贅沢さが嬉しくって。アメリカ編も金田一の人となりを理解するのに上手に作ってありました。いとおしいわー耕さん。 / まゆみ@待ったね ( 2004-04-06 23:32 )
作り手のこだわりとともに、これからの金田一をどうするか、という点がとてもエライと思いました。古いものを再現して、それが新しさにつながるんですよね>おととさま / さくらもち ( 2004-04-06 20:13 )
わたゆきさまはじめまして。物語の世界からして吾郎さんがいるべき風情でしたね。そのうえ面白かったです / さくらもち ( 2004-04-06 20:11 )
半襟なんかも美しくしかもこっていて作り手のこだわりというものが感じられました。本当にうつくしい趣のあるたたずまいが印象的な作品となりましたね。うまく21世紀型金田一として立ち上げたなあと思いました。 / おとと@しかし待ったわ〜〜 ( 2004-04-05 21:09 )
面白い作品でした。私の中では間違いなく稲垣吾郎の代表作になりました。見たい吾郎さんにしっかり会えました。 / わたゆき@はじめまして ( 2004-04-05 16:52 )
本当に原作を大切にして作っていて驚きました。おっしゃるとおりまさに至福の3時間でしたね。またお宝が増えました。コウも耕助も愛しいです。 / サイトー ( 2004-04-05 09:07 )

2004-03-26 Wish upon a suspected star

 本日NHK総合で放送。見直してみて、やっぱり「私の好きなもの」のシーンが最強に好きかと。大江千里・熊倉一雄もったいない豪華キャストその2コンビ(その1は松金よね子・笹野高史コンビ)がほっこりと歌う後ろに、骨格標本とか構造不明の包帯まいた足とかが通過していたり、パパイヤ氏の頭上に咲く黄色い花とか、細かい遊びごころが一杯の上、画面と音楽のタイミングがなんとも絶妙。このシーンに限らず、「ミュージック in」としてはどの場面も凄く成功していてホントに楽しかった。

 オチの、思い出の謎のメロディーが「スターダストのヴァースの部分だった」というのも激ウケ、本体は何度も何度も聞いてるのに、ヴァースは知りませんでしたってのはいかにもありそうだー。あ、しかし「スターダストのヴァースの部分」については、その昔「シャボン玉ホリデー」でハナ肇が歌っていたかも、説があって気になってるんですが関係あり? 「謎のメロディー」に関しては、冒頭で「この曲じゃないか」と出てきたのが「死ぬのは奴らだ」で、これがはじめて見たボンド映画だったんですよワタシ、サントラ買いましたもん。嬉。

 鈴木聡脚本は、言葉づかいがすっきりさりげないけど、紋切り型をすすっと避けているところが好き。吾郎さんの岡本捜査官は「クール」の役どころで大きな振幅はないけど、吾郎さん独特の、素早くトーンの変わる間のよさを楽しめる展開が随所にあって、脚本家わかってるなあ感がありました。人情家の刑事さんに苛立っていて、でも表面そういう顔をしてはいけないわけで、でもやっぱりむっと来てる感じをさりげなく細かく芝居して見せたりするところが、やっぱりいいですねー。スーツ姿もほっそりと美しかった。姿勢がキレイでしたね、立ち方がちょっと変わったのかなあ・・。

先頭 表紙

「目」ってお芝居のポイントでごまかしが利かないですもんね。黙って目を使ってるお芝居を見るのが好き / さくらもち ( 2004-03-30 07:40 )
改めてゆっくり見まして今回『警視庁』くんの目の利かせ方がよいなーとすごく思ったです。 / かねちゃん ( 2004-03-27 23:06 )

2004-03-21 レオナルド・ダ・ヴィンチの番組

 2時間以上の大作ドキュメンタリーとて期待しておりましたんですが、なんだか「お母さん」と「モナリザ」で結論がついてしまって、主題がはっきりしてわかりやすかったともいえますけど、せっかく長時間やるならメディチの美形ジュリアーノとか人気のチェーザレ・ボルジアとか、そういうネタも扱ってもらえたら嬉しかったのにという番組でした。あとレオナルド自身の美形ぶりも楽しみたかったんですが、ちょっと違ったですね。

 ということでイタリアめぐりの吾郎さんについては、古都の雰囲気をまとってますますよろしかったです。コートの立ち姿を満喫いたしました。ただもうちょっと、レオナルドの絵と吾郎さんと入れ替わり立ち代わりな画面、というのが見たかった。優男の彼とレオナルドの描く中性的な人物と、絵的にとても相性がいいんじゃないかと思うのですよね、そこんとこが非常に心残りでございます。

「なんで冒頭プロコフィエフなんだ?」とか「結局ディスカバリー・チャンネルですか?」とか言ったりもしておりましたが、こういう番組はまた見たい。今回予習にと田中英道「レオナルド・ダ・ヴィンチ 芸術と生涯」(講談社学術文庫)を買ったのですが、これが超オモシロの名著で、「ごろちゃんのレオナルド」がなきゃあ知らなかったはずの本、出会えて非常によかったでした。  

先頭 表紙

森村泰昌『踏みはずす美術史』はお読みになりましたか?(講談社現代新書)けっこう面白いですよ。今回の番組、争えないもんですごく『特命』の匂いがしました…ショパンのフランス、レオナルドダヴィンチのイタリアときて第3弾はフェルメールのオランダですかね? / かねちゃん ( 2004-03-25 23:38 )

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