一年ぶりじゃないですか(すいません)
PARCO劇場で5月12日、最後列で初日を見ました。いろんな言葉がみっしりと綾織になってて、綾織が波になって、波に乗ってををを!と終幕に着いてしまうような芝居でした。ご贔屓役者が出ているというのとまた別に、この先どうなるんだと舞台にひきずりこまれていけるというのはもう、言うことないです。
ご贔屓についてですが、吾郎さんが舞台に立つとき、タッパもあるし、身体のバランスも最上だし、顔はもちろんだしで、二枚目としてまず見た目に問題がないという長所があるわけですが、彼の最大の武器はあの「声」です。高めに響いて甘さがあって、声が見た目どおりのキャラクターであるというのはまっこと得がたい長所ではないでしょうか。その「出し方」については、昨年の「ヴァージニア・ウルフなんか怖くない」のとき、舞台が客席に囲まれた特殊なスタイルだったという条件がより一層、そういう印象を抱かせたと思うのですが、声がのどにはねかえるのでなく、キレイに頭を抜けて、劇場中央の天井から反って来ていたんですよね。こういう声がもう出ちゃってんのか、こりゃすごいとちょっとショックを受けたほどでした。今回のパーカーはセリフも多くて(「ウルフ」のニックはあんまりしゃべってなかったし)、美声の快感だけでもおつりがきそう。映像ならではのキメの細かい芝居も最高と思うものですが、こんなよい声は、電子機器を通すと消えてしまう、声の外側のなにかわからない周波数みたいなものを持ってるものなんだそうで、劇場に行って、客席で、ナマで耳にする、という意味はすごくすごくあるわけなのです。
「さよなら五つのカプチーノ」「謎の下宿人」「ホシに願いを」と、映像と舞台と交互に4作目となった鈴木聡作品で、まあ、今回が集大成かなあと思うところもあったのですが、「パーカー」には、こういう役を書くのかと驚きました。まだまだいろんな可能性がありそうですね、うーん深い。
ベージュのトレンチコートに黒いソフト帽の姿、ベルトをぎゅっと絞ったラインはボガートみたいな再現ぶりで、そのあと着る黒のコートよりも大好き。純白のスーツに純白のソフト帽もホントかよというカッコよさでしたね。頭の小さい人なので、今まであまりうまく帽子をかぶったのを見たことなかったんですが、今回はとてもキレイにかぶってましたです。帽子のあれこれ(ツバの返り具合とか)ペン先みたいに微調整したのかしらん。 |