お墓参りに行ってきた。
年末に行くはずが体調が整わず気が付けば1月も中旬に。
その日はお天気も良かったので、帰りに、昔住んでいた場所を見に行こうと思っていた。
まず、お墓を磨いて、綺麗な花を挿し、お線香を…。
あれ?ない。
そう言えば、出がけに鞄をリュックに変えて、入れ忘れたのだった。
お線香、向こう10年分あるのに…。なんかとても損した気分。
それに、この墓地、とにかく広い。門からお墓まで徒歩10分。
すごすごと入口に戻り、100円でお線香購入。
そしてまたお墓に。
「アイが心身ともに万全の体調で受験に望めますように。」
それだけを祈って、墓地を出た。
足はもうかなり疲れていたけれど、ここでくじけては良くないような気がして。
初志貫徹。徒歩20分くらいで行けるはずの生家に向かってみた。
こんな時の私は最悪の方向音痴。
途中で「何かが違う。」と気が付き、1回だけスマホの地図を見ると、目的地よりかなり西に向かっていた。
高い高い歩道橋を渡り、進路修正。
知らない道を延々と行く。見たことのないような景色が続く。
曲がろうかな。曲がりたいという誘惑に打ち勝ち、ひたすら直進。
するとはるか前方に雑木林が見えてきた。
小さい頃、宝探しをした雑木林にそっくりな。
とりあえず、そこに向かって、歩き続けると。
まさに、その雑木林だった。木自体はかなりな高木になっていたが。
40年前とまったく同じさびれた光景。
そこを曲がると、すぐに見慣れた景色。
いや、家々はまったく違う建物に変わっていたけれど、まさに生家があったその場所だった。
今の家を買うために、私が売っぱらってしまった生家。
庭にあった大きなミカンの木は切られ、50坪の土地には小洒落た2軒の家が建っていた。
目をつぶればいつでも思い出せる、私が生まれ育った家。
その間取りも家具の配置も。
昨日のことのように目に浮かぶ。
でも、私が父から相続したそのおうちは、もうどこにもない。
と、ほんの少しの感傷に浸りながらバス停まで歩いていった。
過去よりも今が。
そして娘達の未来が大事と、大人になった私はわかっている。
帰宅後。万歩計が示した数字。13819歩。
剥けたばかりの足の裏がひりひりしていた。
痛みで。過去に飛んでいた意識が、すっかり現実に戻される。
※ボクはお留守番。寂しかった。 |