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揚水の「人生薔薇色計画」

僕のハンドルは「ようすい」ではなく「あげみ」と読みます。表記はaghemiとしています。

妻の海月は「くらげ」と読みます。



ふりぃのかうんた

yesterday ふりぃのかうんた today ふりぃのかうんた


自分が何者であるか今よりももっとわからず身悶えしていた学生の頃、何をしたらいいのかについて友達と話しに話した。
結論は出なかった。どころか何をしてもいいんだということにすらなった。
ただし、本当に何をしてもいいというのではなかった。
一つだけ基準がある。
それは俺の、俺たちの、ひいてはほかの人たちの人生を薔薇色にするか、その一点。
時々それを思い出しては行動する。
それが僕たちの人生薔薇色計画。



    よそいき仕事日記   

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2005-02-11 がらん
2005-02-09 1710kg
2005-02-08 ちょっこらちょいと今晩
2005-02-04 発掘
2005-02-03 くるくる
2005-01-25 レッツ・スタート・フィッシング
2005-01-20 酒宴に斯様な仔細もあって然り
2005-01-19
2005-01-12 ノイノ・アニョン
2005-01-11 杯を乾せ!


2005-02-11 がらん

村の家を空にすることができました。

もう、行かなくていいのです。
行こうと思えば、行ける、のですけれど。

すっきりしました。
ここで暮らした日々、過ごした時間。
ここで暮らさなかった、過ごさなかった、日々、時間。
なにもなくなった家の中を眺めてそれらのことを思い起こそうとしたもののまだ実感がなく、友人の家に頼まれて買って持っていく約束をしていた米10キロのことを気にしている自分が妙に可笑しかった。
そこで夕飯をご馳走になって自分の家に帰ってきてから、じんわりと思いがこみ上げつつあります。
そこの友人の家にもしばらくはこんなにまとまって行く機会ももうないでしょう。

仕事しなきゃ。
近江の家が見つかるまでのこちら尾張での暮らしと自身の引っ越し費用、向こうに移ってから当地で仕事を見つけるまでの生活費の足し、稼いどかなくてはなりません。

ひょっとしたらだめかもな、と思いつつも当てにしていた知り合いの左官屋さんに電話したところ、今はちょうど仕事の切れ間で手は要らないようです。
うわあ困った。
宅配便の仕分けか引越屋のアシスタントにでも電話してみっかな。
まあなんとかなるでしょう。じゃなくてなんとかしなくては。

今までお世話になった家のがらん、とした様子を思い返しながら、自分のこれまでとこれからを思っています。

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どうなったんでしょう? コクゾウムシやネズミの備蓄米として活躍しているんでしょうか? / 揚水 ( 2005-02-15 20:40 )
そいえば、去年引っ越した時に流し台の下に置いといて忘れた5`の米はどうなったんだろう・・・思い出した。 / ねんねこ先生 ( 2005-02-15 10:34 )

2005-02-09 1710kg

実際そこに住んでいない場所というのはなかなか片付けられないものです。しかも勤めていた職場が、朝六時から夜は十一時十二時まで、休みは月に二度あればいい方、だいたいふた月に二回というのであればなおさらでした。

僕は滋賀に行きたいんです。仕事も辞めたことですし、いつまでも前の大家さんに甘えているわけにもいきませんから村の家を片付けなければなりません。

前の職場にいた間も少しずつ暇をみては不用品を処分したり要るものをまとめたりはしていました。ですから村の家には大きな工具類や電動工具以外の要るものはあまり残してはいませんでした。つまりほとんど不用品ということになります。

その不用品の、処分場に持ち込まなければならないものが、やっと、昨日すべて片付きました。あとは掃除と、残った木材を友人宅に運んで、晴れてさようならできそうです。
可燃物はkgあたり12円のところに120kg、残りはkgあたり6円のところに持ち込みました。不燃物はkgあたり3円でした。自分で車で何回にも分けて運びました。
可燃物が740kg、不燃物は970kg、しめて8070円掛かりました。
あと、木材は前述の友人宅、薪ストーブのある友人宅に引き取ってもらいました。だいたい軽のワンボックスに三台分くらいだったでしょうか。古雑誌古新聞ダンボールは古紙再生業者へ。これらはお金は掛かっていません。
金額はともかく、結構出たもんです。

なんせ1.71トンですからねえ。お金払った分だけで。

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2005-02-08 ちょっこらちょいと今晩

近江まで。

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帰ってまいりました。 / 揚水 ( 2005-02-09 23:55 )
うふふ、いってらっしゃい♪ まだそちらなのかしら? / パンドラ ( 2005-02-09 21:01 )

2005-02-04 発掘

村に残していたものの中には恐ろしいものが埋まっている。

たとえば古雑誌。

飯島直子のTバック、村上里佳子のヌード、17〜18歳の雛形あき子と鈴木紗理奈それぞれの初々しい水着姿。そんなグラビアの数々(敬称略)。

今じゃあ絶対お目にかかれないんだろうなあ。

なんてことを考えながら紐で縛って古紙再生業者に持ち込んで、おしまい。

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時代です・・・ / 揚水 ( 2005-02-12 00:36 )
時代だ・・・ / ゆず ( 2005-02-10 00:05 )
イメージぶち壊しってなもんで。一時代越して見ると熱かったんですねえ、週間プレイボーイ。あ、飯島さんと村上さんは月刊の方だ。はい、捨てましたさ(笑)。 / 揚水 ( 2005-02-08 10:19 )
あは、あははは。デッサンする図のイメージが。。。で、捨てちゃったのね〜^^; / みるにゃ ( 2005-02-04 15:13 )

2005-02-03 くるくる

全国的に大雪となった一昨日の夕方、村の家の片付けにキリをつけ、片付けで出た焚き物にするための木々とその昔取り壊す中学校から貰った技術科室の作業机を、同じ村の友人宅に運んで貰っていただくためにその家に向かいました。

雪はもう積もっています。
早く今の町中の家に帰らないと脱出できなくなる。
僕の車はスタッドレスですが二輪駆動。今は車検に出ています。
代車は四駆ですがいかんせんノーマルタイヤ。

薪はともかく机がまたえらく重い。
小学生と中学生のそこんちの息子二人に手伝ってもらって、ああ、こいつらがこんなこと手伝ってくれるくらい大きくなったんだなあと感動しながら、でも、早く帰らないと脱出できなくなる。
雪はざんざかざんざか降りしきっています。

「じゃ」

机を下ろし別れを告げて慎重に車を進めます。
この地に住むようになる前から、この地を訪れるようになった頃から冬場はスタッドレスタイヤを履いていましたから、降り積もった雪道にノーマルタイヤというのは、ここまで積もったケースは初めてでした。

いつも一番凍結していつまでも雪の残るということのわかっている場所を過ぎて数分。
もう少しで国道、というところまで来て。

ずり。

油断したのでしょうか。いきなり車のコントロールを失い、あっち向いてこっち向いてあっち向いて、やっと軌道を修正できました。
逆ハン切ってまた逆ハン切ってまた逆ハン切っている間、ケンシロウのように「ほあたたたたたたたたたたた」と奇声を挙げ続けました。
怖かった。
もう少しでくるくるくるくる回って、反対っこ向くとこでした。

ガードレールにキスもしなかったし山際の土手にしりもちをつくこともなく、何とか切り抜けられたのです。

何が怖いって、別に死んだり怪我したりするほどのスピンじゃなかったんです。
今車検に出してる車の代金も待ってもらってるのに、仕事辞める時に給料未払いの造園屋から逆に金巻き上げられてもいるのに、この上借金を重ねるのか、この車はおいお前人のもんだぞ、そういう、まあ割りと牧歌的な恐怖だったのですが、その時はそれどころじゃない、必死です。

ああ怖かった。

国道を数十分南下していったところ、あさっての場所にあさってのほうを向いて停まってる車がいました。
幸いどこもぶつかってる風ではありませんでしたが、大渋滞を引き起こしていました。

あれも怖かっただろうなあ。

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2005-01-25 レッツ・スタート・フィッシング

僕は1990年の4月から愛知県に住んでいます。
19の歳まで住んだ故郷長崎を離れて、もうまもなくこの地で15年を過ごそうかという勘定になるのですね。早いものです。

海が近くにある風景を当たり前に幼少期を過ごしたので、子供の遊びとしての釣りくらいならやりました。育った町内には汽水湖が、湖というよりは池で、実際名前も「大池」というのですが、とにかく汽水の池があって、それ故の面白い生態系も見受けられるようです。がしかし、同年代の男子小中学生の一部はそこに棲む魚を釣ることに熱中していましたっけ。僕は特に興味も持ちませんでした。ルアーフィッシングはお金も掛かりますからね。

その魚というのはブラックバスとブルーギルです。

5月に施行予定の「特定外来生物被害防止法」における「特定外来生物」の指定リストにオオクチバスを入れる入れないで関係する方々の議論はそこそこ喧しいようです。
論戦の一方は自説の根拠のひとつに「釣りは青少年の健全な育成に役立つ」という言葉を使っていますが、釣りが不健全な子供を育むことも路地裏にたむろすることで立派な青年になることだって等しく可能性を持つでしょうから、そういう語り口はちょっと乱暴な気もします。喩えて言うなら僕の仮説の可能性と同じくらい乱暴なような気がします。

ニュースの中でブラックバスの一種としてオオクチバス、ほかにコグチバス、ブルーギルと挙げてあったようなので、ひょっとすると「ブラックバスとブルーギル」と並べて呼ぶのは本来間違いなのかもしれません。うろ覚えなので確証はありません。

縁あって故あって、今年の夏頃までには滋賀県に移り住む予定です。

彼の地に移ればやりたいと思うことのひとつが、何を隠そう「バスフィッシング」なのですね。

長浜市の琵琶湖湖畔には釣った外来魚を回収する「回収ボックス」が設えられていました。長浜だったか他の自治体だったか、そこに魚を投入すると地域通貨券にも似たものを受け取ることができて地元の商店街で買い物ができる制度が立ち上げられる予定なのか既に存在するのか、そういった話を聞きました。

僕がバス釣りを始めたのなら、釣果はなるべく喰らおうと思っています。キャッチ&イートで。地域通貨もなるほど魅力ですが、相手は生き物で、その生き物を殺すのであれば、やはり食べることが僕の考えでは最善ではないかと思います。バスが固有在来種を駆逐するといっても、彼の魚に本来何の罪もないでしょうから。
殺すくらいなら放す、という考えには与しません。殺すのがいやだというのであれば、それならば釣らなければいいのですから。僕は殺すために釣りを始めようと思っているのです。ですから釣った魚を放してしまっては、元来の目的を果たせないのです。何の罪もないと言った同じ口がそう言うのは矛盾しているかもしれませんね。
なんにせよただ離れた場所で頭に思い描いているだけですから、実際移り住んで僕がバス釣りを始めるかどうかはその時にならないとわかりません。

今は名古屋の隣の隣の市に住んでいます。造園屋を辞めて次のとりあえずの仕事につくまでの間、借りたままで荷物を置きっぱなしにしていた村の家を片付けています。
早くそれを済ませて滋賀に行きたいと思っています。
今日も村へ片付けに行ってきました。その帰り、獣が道を横切って山に消えました。

タヌキかなと思ってよく見てみると、それは一匹のアライグマでした。
アライグマも外来種に違いありません。

自分がアライグマを殺そうと思う日が来るのか、今の僕にはそれはよくわかりません。

先頭 表紙

どうやらブルーギルとブラックバスは別もののようですね。それから、アライグマは特定外来生物指定の第一次リストにしっかり載せられているようです。 / 揚水 ( 2005-02-04 23:13 )
今はその準備中です。お三方ともありがとうございます。 / 揚水 ( 2005-01-26 23:37 )
まー!ウレシイな♪ よかったね、カンパイ!♪♪ / パンドラ ( 2005-01-26 19:39 )
おめでとう。一人より二人がいいのだ。 / 夢樂堂 ( 2005-01-26 11:35 )
Σ( ̄ロ ̄lll) そうだったか! やったね! / みるにゃ ( 2005-01-26 10:55 )
ちゃいますちゃいます。逆でんねん。「今」が離れ離れ、一緒に住むために滋賀に行くのです。 / 揚水 ( 2005-01-26 02:48 )
もし食べられる以上に釣ってしまったら鮒寿司ならぬバス寿司でも作りましょうか(笑)。そしてもちろんそれは全部人の口に。食います。 / 揚水 ( 2005-01-26 02:46 )
おお〜〜滋賀に行くのね。海月さんと離ればなれになっちゃうの? / みるにゃ ( 2005-01-25 13:22 )
そうですね。理想的には自分が食べる分だけを釣る。30年前、バックパッキングをしていた時は釣り嫌いの夢樂堂は自分が食べる分だけ釣っていました。 / 夢樂堂 ( 2005-01-25 12:54 )

2005-01-20 酒宴に斯様な仔細もあって然り

辞めた会社の事務の女の子に酒飯を奢っていただきました。
就職祝いならぬ離職祝いに。

朝は六時半から夜中十二時まで働いて休みも月に二回あればいい方で大抵はふた月に二回、実際施工した顧客で揉め事クレームのないところは皆無と言ってよく、そのクレームは基本的に相手が本当に痺れを切らすまで放りっぱなし、大体において設計も見積もりもお任せの現場合わせという言葉で誤魔化した泥仕立てのどんぶり勘定、施主の希望など端から聞く気もない、つまらないことで若い衆を殴る蹴る、なんにもできねえできねえ奴は辞めてしまえと吠えまくるくせに、いざ辞めると口にすればうちでは持たない根性無しみたいに貶しまくられ、僕が辞めるにあたってもぎゃーすかぴーすか大騒ぎしてその上乞食じゃねえんだから金は払う、もって帰れと言ったにも関わらずちょっと行き違いがあって不足のまま、つまり給料の未払いはあるわ、些細なことで人の利き手蹴っ飛ばして一生残る障碍を負わせながら、蹴られるようなことをする方が悪いと謂わんばかり、なんの保障も慰謝もないしのとんでもないところでしたが、この際それは不問としましょう。
辞められたんですから。
奴隷みたいなもんでした。
ですから今は開放された奴隷みたいな気分です。しかもなんとか自分から抜け出した。

「俺が白いっつったら黒いもんでも白いんだよ!」
普通逆じゃねえか? 白いもんも黒いんじゃねえの?
ってのか、赤いもんはやっぱ赤いだろ?

そんな頭の悪そうなこと言ってる人の下にいた自分が、なかなか辞められずにいた自分が情けなくて惨めでなりませんでした。
いくら筋が通っていようが何か言えば「理屈を言うな!」とどやされ、親方に逆らうもんじゃないともっともらしいことを言われます。間違いを正しても怒鳴られるのならばと黙っていて、何かあれば今度は「なんで教えねえ!」となります。その筋の通らなさといったらまさに常軌を逸しています。そういう人物に「常識で考えろ!」などと理不尽に怒りまくられることの惨めさといったらありません。自意識などは認められず挙句には「プライドが邪魔をするお前なんかには修行はできない」ときます。あれが修行だとすればそんなものは実話系の雑誌ででも好んで取り上げるように偏って美化されたヤクザの部屋住みみたいなものでしょうか。

友人たちに仕事上の話をすれば、決まって不思議そうに「なんでそんなところにいるの? なんで辞めないの?」と訊かれたものです。自分でもいやでした、辞めたかった。
詐欺の片棒担いででもいるようで、そこから抜け得ない自分も同じ穴のムジナだと思うと気が重くなりました。今もそう考えれば、関わった業者、顧客の方々に対して申し訳なく、気が重くなります。
一年三ヶ月もそこにいました。

んまかった。

そこの会長は未だに僕に電話を掛けてきます。
女の子によれば辞めさせたのを後悔して戻ってもらいたいと漏らしているようです。
ちゃんちゃら可笑しくて臍が茶を沸かします。

どの口が言う?

うっかり着信拒否のセットを忘れている時にも掛かってきて、出ませんでした。留守電に録音されているのに気付いた時はしまったというよりああ鬱陶しいなと思いました。
その録音の内容が振るっています。

「おう川内、用があるからちょっと電話しろ」
この期に及んでまだ命令できると思ってるんですね。

どの口が言う?

もちろん僕は電話なんか掛けません。
そんなこと言われる筋合いもする義理もありませんから。

んまかった。
だからもういいんです。
あとは彼女が辞められるよう祈るばかりです。

先頭 表紙

ゆずさんも、ありがとうございます。もめるにはもめたんですよ。まああそこにすれば確かにきれいに辞められた方かも(笑)。確かに、次へ、です。 / 揚水 ( 2005-01-25 01:31 )
みるさん、ありがとうございます。頑張りますね。 / 揚水 ( 2005-01-25 01:29 )
まずはキレイに辞められてよかったですな。一息ついたら次へ。 / ゆず ( 2005-01-25 00:02 )
私も混ぜてね、乾杯! 頑張れ。 / みるにゃ ( 2005-01-24 10:47 )
ありがとうございます。なかなかふらふらするのが止みませんがいないほうがいい場所というのもあるなあ、と。自分の弱さと相手の理不尽を秤にかけて、今までは弱さに傾いていたんだなあと逆に思ったりもしました。 / 揚水 ( 2005-01-23 20:52 )
まずは、自分の気が済むことが大事。承伏できる理不尽、承伏できない理不尽。それなら、信じることが出来る理不尽さにかけたい。 / 夢樂堂@おめでとう。 ( 2005-01-23 15:29 )
ありがとうございます。素直にそう言っていただけると本当に嬉しいですね。 / 揚水 ( 2005-01-23 11:49 )
離職祝い、私もカンパイを。春が楽しみ。 / パンドラ ( 2005-01-23 00:38 )

2005-01-19 鳥

陸丸と散歩していて、彼は近所の犬と吠え合っていた。

その声に驚いて。
川岸の草叢から一羽の雄雉が飛び立つ。
向こう岸まで飛び去った。

いるんだなあ、瀬戸の町中でも。

先頭 表紙

そういや僕の通った大学も野趣溢れるとこでした。 / 揚水 ( 2005-01-22 14:46 )
夢さまのところでカモメ見てきました^^ 雉、最近見なくなりましたね。田舎の学生時代良く見たんだけどな。 / みるにゃ ( 2005-01-19 22:48 )

2005-01-12 ノイノ・アニョン

「スビーサ」ってなんだろう?
電車の窓から見えるトラックの横に「スビーサ本山」とだけ大書してある。
外にいれば空気の冷たい日だったけれど、電車の中は暖房が効いていたし天気がとても良かったので、風も入らない車内は陽射しでよく暖められていて暑いくらいだった。
居眠りする、というほどではなかったにしろ、暖かさに当てられて少しぼんやりしていたのかもしれない。

何の会社だろう? 「スビーサ」ってなんだろう?
それを考えることでなんとか気を紛らわせようとしていたのかもしれない。
けれどそれはうまくいかなかったようで、わたしはいつのまにか本当にうとうとしてしまったらしい。

降りる駅の直前で目が覚めて、わたしは慌てて席を立ち、その拍子に膝の上の書類を落としそうになった。誰か見ていなかったかと恥ずかしくなったけれど、冬の昼下がりの電車の中はとても平和で、同じ車両に数人しかいない乗客は目を開いている閉じているに関わらず、みなまどろんでいるかのようだった。
自分の自意識過剰に苦笑しながら、目の端にうっすら涙が滲んでいることに気が付いた。

外は寒かった。

短いまどろみの間に、夢を見ていた。
言葉の細部までは思い出せないけれど、夢の中で彼は冷たい態度で何かを言っていた。詰るでなく、責めるでなく、あくまでも冷静に。
それは夢の中だけのことではなく、このところ会う度にわたしと彼との間で繰り返される現実のことでもあった。
現実のわたしはけして涙を見せることはなかったのに、夢の中では涙を流していたようだ。

夢の中の方がよっぽど正直だわ。

自虐的な気分になりそうだったので、直接帰社せずに外で少し遅い昼食を摂ってから帰ることにした。

行きつけというほどではないけれど結構よく行く「オニオン」という洋食店に入ってランチを頼んだ。
カフェと呼ぶほど気取ってなくて、こういう言い方は失礼だけれどもその辺の食堂と呼ぶほど小汚くはない、ちょうどその中間から少し食堂寄りの、洋食屋よりは少し洒落っ気のあるその店の雰囲気がわたしは好きだった。
料理が来るまでの間書類を開いて目を通しながら、わたしは手慰みに箸袋を弄んでいた。

「ノイノ」ってなんだろう?
箸袋の「NOINO」という印刷をわたしは「ノイノ」と読んで不思議に思った。ここでも同じくぼんやりしていたらしい。
あ、「スビーサ」じゃないんだ。
「ノイノ」の謎が解けると同時に「スビーサ」への疑問も解けた。
あれは「スビーサ本山」ではなくて、「山本サ−ビス」だったんだわ。
わたしはボールペンで箸袋の「NOINO」のあとに「ONION」と書き加えてみた。
ひっくり返しても、どちらからも「ノイノ・オニオン」と読める。「ノイノ」は意味がわからなくとも、「オニオン」ならわかる。

さかさまだったんだわ。

そう思ったら、不意に彼の冷たい態度や言動が、どう考えてもわからなかった彼の行動が、すんなり理解できるような気がした。
わからなかったんじゃない、わかろうとしなかったんだ。
わたしは彼がわたしのためを思ってしてくれたこと、言ってくれたことを、そうと認めたくなかった。頑なになって彼を受け入れようとしなかった。それで彼のことが理解できる訳がない。
物事は同じ方から見ていてばかりではわからない事も、違う方から眺めてみると途端に見えてくることの方が多い。

さかさまだったのは、わたしだ。

料理が運ばれてきた。
明日彼に会おう。会ってまず謝ろう。
わたしは溢れそうになる涙を堪えながら食事をした。

ランチは美味しかった。

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了承いたしました。いままで、お世話になりました。 / ちづぞー。<(_ _)>。。 ( 2005-01-15 02:28 )
これもちづぞーさんへです。けれど、書くべきかどうか迷ったのですが、自分が一連の騒動、と呼んでいいのかどうか判らないながら、それに巻き込まれることも他の方を巻き込むのも本意ではありませんが、今後僕はあなたの下さる言葉に対して受け答えしかねます。 / 揚水 ( 2005-01-15 00:46 )
それと、これもちづぞーさんへです。最近ほかの方のページにお邪魔することがほとんどなかったのですが、久し振りであちこちのぞかせてもらいました。ちづぞーさんのページに伺ったところ「掲示板で呼び出し」のくだりがよく判りませんでした。それで掲示板を見てきました。ご主人のページにも伺いました。僕のページに対してちづぞーさんは悪意の入った言葉は一切使われませんでした。僕も他意なく受け答えさせてもらってきました。 / 揚水 ( 2005-01-15 00:42 )
すみません、ちづぞーさん、「思い出だけではつらすぎる」も「柴崎コウ」もよく知りません。 / 揚水 ( 2005-01-15 00:37 )
まこちんさん、はじめまして。作者が僕、川内揚水であることが判るようにしていただきさえすれば構わないですよ。失礼ながらあなたは僕のよく知ってる「オバチュー」の「まこちん」さんですか? 違ってたらごめんなさい。 / 揚水 ( 2005-01-14 23:30 )
昔、揚水さんが作った「みけねこのみけ」フリーページにのっけてしまいました  よかったですか? / まこちん ( 2005-01-14 20:50 )
なぜやら。この文章をよむと。“思いでだけではつらすぎる:柴崎コウヴァージョン”を口ずさみたくなるわたしです。 / ちづぞー@難しい言葉で貴方の居場所を ( 2005-01-13 09:20 )

2005-01-11 杯を乾せ!

祝杯を掲げろ!
杯を乾せ!

この度目出度くも解雇を受けました。一人杯を傾けます。

杯を乾せ。

先頭 表紙

あっ、すみません、危うく見落とすところでした。「おめでとう」と言ってくださって結構ですよ。ってのか、ありがとうございます。「止められるもんなら」って枕がつきませんか(笑)? / 揚水 ( 2005-01-15 01:18 )
おめでとうございます♪と言っていいのかどうなのか・・・  私も疲れるだけの闘争はもう止めにしようかと(笑) / kotarou(♀) ( 2005-01-13 23:05 )

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