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揚水の「人生薔薇色計画」

僕のハンドルは「ようすい」ではなく「あげみ」と読みます。表記はaghemiとしています。

妻の海月は「くらげ」と読みます。



ふりぃのかうんた

yesterday ふりぃのかうんた today ふりぃのかうんた


自分が何者であるか今よりももっとわからず身悶えしていた学生の頃、何をしたらいいのかについて友達と話しに話した。
結論は出なかった。どころか何をしてもいいんだということにすらなった。
ただし、本当に何をしてもいいというのではなかった。
一つだけ基準がある。
それは俺の、俺たちの、ひいてはほかの人たちの人生を薔薇色にするか、その一点。
時々それを思い出しては行動する。
それが僕たちの人生薔薇色計画。



    よそいき仕事日記   

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2003-03-26 とても大切なことをいまさらのように思い出す
2003-03-25 それでも君を抱く
2003-03-22 やはり人が死んでゆく
2003-03-22 村に帰ります
2003-03-22 愛すべき茶色い物体
2003-03-21 異を唱えることは簡単だ
2003-03-21 転載  新世紀へようこそ 097 「戦争が始まった」 2
2003-03-21 転載  新世紀へようこそ 097 「戦争が始まった」 1
2003-03-20 わたしは戦争に反対します
2003-03-20 敵の敵は味方とは限らないが、敵の味方は敵だ


2003-03-26 とても大切なことをいまさらのように思い出す

捨てる、ということは、これは当たり前のことだけれど、そのものが必要でなくなったから、捨てる。
日々出るゴミも、想い出も。

他人を殺す人間はその人間が不要になったから殺すのだろうか。
それは違う。
憎いと思い込んでしまうか、初めから必要としていないから、殺人者は他人を殺すのだ。

本を拾った。

17時から翌5時までの勤務があがり、まだ薄暗い街を地下鉄めざして歩いていた。
僕の会社のある地域は資源ゴミの回収日に当たるようで、容器ゴミや古新聞、雑誌や本が捨てられてあった。
子供向けの図鑑も捨ててあった。

みな不要になってしまったものたち。

おじさんがアルミ缶を集めて歩いていた。
人が不要と捨てたものでもそれを生計にする人もいる。

図鑑を拾いそうになった自分を戒めてふと他の本の山に目をやると、ある山の一番上に「星の王子さま」がくくられていた。
迷わず持ち帰ろうと抜き取った。

想像するに、「星の王子さま」という本は人が自分のためにあがなう本ではない。
本屋で人がこの本を手に取る時、きっとその人は贈るべき誰かのことを思い浮かべながら手に取るのに違いない。
奥付を見ると果たしてそうした意味の言葉が万年筆で書かれてあった。
「To my sweetheart,」そして男の人の名前。
何か自分がとても卑しいことをしている気にもなったけれど、かまわず持ち帰ることにした。

帰りの地下鉄の中、わずか10駅余りの道中、4分の3は読んでしまった。
乗り換えは上手くいったけれど降りるべき駅で乗り過ごし、逆方向の電車に乗り直して帰ってきた。
王子さまが「ぼく」の汲み上げた水を美味しそうに大事に飲んだところまで読んだ。

僕はこの本を一度学生の頃友人に借りて読んでいた。
けれどすっかり内容を忘れていた。
読めばすぐに以前読んで知ったことだったと思い出しはしたけれど。

忘れきってしまえばそれは捨ててしまったと同じ事。
僕は何か恥ずかしかった。

捨ててしまった人は王子さまと「ぼく」のことが不要になったから捨ててしまったのか。
僕は違うと思う。
不要になったとすればそれはかたちあるものとしての本で、読んだ本としてのそれは消えない。

かつて恋人からもらったもので今は妻となったか別れてしまったか、そうして時は過ぎ今の暮らしには必要がなくなったか。
あるいは誰か家を出た、あるいは亡くなった人の持ち物を残った家族が処分したものか。
何も考えずに捨てたか、後から捨ててしまったことを後悔するか。
もらったときだけ目を通してろくに読んではいなかったかもしれない。
何度も何度も繰り返し読んだものだったかもしれない。
そんなこと何の関わりのない僕に知る由もない。

けれどそんなことはどうでもいい。
かつてその本を贈り贈られた人の心にはなにものか優しいものが生まれ、残っているに違いない。
それは不要になったからといって捨てられるものではないと思う。
その僕が拾った本がどういった経緯で捨てられたものか僕は知らないし、そんなことはどうでもいい。

かたちあるものはいつか滅び無くなるし、かんじんなことは、目には見えないものらしいから。

先頭 表紙

もげんぴさん、ふふふふふ。 / 揚水 ( 2003-03-31 12:10 )
目にはみえないものを大切にできる人になりたいね。本物のダイヤモンドなんかより、いつも心の中にダイヤモンドをもっていられますように。 / もげんぴ ( 2003-03-30 22:50 )
夢樂堂さん、愛読書ですか。単純なコトバなのに美しく、そして深い本ですものね。 / 揚水 ( 2003-03-30 16:43 )
長松も、彼を刺し殺す役人も指図する偉いさんも。それを眺める群集も。多分。 / 揚水 ( 2003-03-30 16:41 )
星の王子さま、夢樂堂の愛読書です。読むたびに何かを感じる。戦争が起こった今、改めて読みたい。 / 夢樂堂@まだバリ気分 ( 2003-03-28 22:31 )
こんにちは そうですね。あのころはだたかわいそうな話しとしか思わなかったけど・・今思い返すともっといろんな意味がありましたよね。今 この世界にもたくさんの「ベロだしちょんま」 いると思います。 / jinko ( 2003-03-28 11:03 )
んですねえ、ほ肝さん。単純な言葉でもってあの奥行きが出せるのはすばらしいですね。僕はフランス語読めませんので、ひいては訳者の方にも感謝せねば。 / 揚水 ( 2003-03-28 06:49 )
にくいあんちきしょう<母 ですね。本を忍ばせるなんてかっちょいいじゃないですか。横レス歓迎。僕んとこに来てくださる方は少ないのでチャットとまではいかずせいぜい時間差チャットもどきですが。他の方同士がやりとりするのはおもろいですよ。謝ってくださる必要ナシ。 / 揚水 ( 2003-03-28 06:46 )
おかえんなさいまし、みるさん。ピッピ、探してみようっと。暇をみながら気長にですが。読んでみて「あ、俺これ知ってる」とかなったりして。 / 揚水 ( 2003-03-28 06:42 )
道徳…。そういえば僕もそうだったかも。はじめましてjinkoさん。道徳の時間であの話を題材に取り上げて扱いきれていたのかなあ。先生も子供も。 / 揚水 ( 2003-03-28 06:39 )
星の王子様って・・本当に奥が深い読み物だと思いますね。大人の童話って感じですかね。そういえば・・エンデの「モモ」も奥深いものを感じたなぁ〜・・・・。そうそう「かんじんなことは、目にはみえないんだよ」って言葉・・好きで・・今でもおぼえている。何故か原書のLE PETIT PRINCEってのも我が家にあるのだ。 / ほ肝 ( 2003-03-26 23:16 )
↓みるみるさん。私、今でも「ピッピ」読んでます(笑)娘等三人にもそれぞれ一冊ずつ。嫁入り道具に忍ばせるつもり(笑)揚水さん、ごめんなさいね、人様のツッコミで。 / kotarou ( 2003-03-26 22:25 )
戻りました〜! ↓長靴下のピッピ、懐かしいなぁ!子供の頃よく読んでいました。この日記で子供の頃読んだ本をまた読みたくなりました。ほんと、今の自分にどう響くのか。 / みるみる@Atelier ( 2003-03-26 20:05 )
はじめまして ベロ出しちょんま に反応してしまいました。子供の頃に一番心に残ったお話です。たしか道徳の本で読みました。 / jinko ( 2003-03-26 11:32 )
「ピッピ」は読んでいないのです。名前を知っているだけです。大人になった今、「ベロ出しチョンマ」を再読したいです。泣けて怖かったあのお話が今の自分にどう響くのか。 / 揚水 ( 2003-03-26 10:09 )
「星の王子様」はなにかと話題に出される一冊ですが、果たして本当にそうなのか、どこまで心に染み入って語られているのか疑問を持っています。わたし的には子供に読ませたい本は「長靴下のピッピ」だなぁ。「星の王子様」は大人になってから読んで欲しい一冊かなぁ。 / kotarou ( 2003-03-26 09:35 )

2003-03-25 それでも君を抱く

世の中には悲しいことがたくさんある。
自身経験してきた。
けれど僕の経験した悲しみなんか、ものの数には入らないのだろう。
僕には想像もつかないような悲しいことが、きっと今日も何処かで起こっている。
それでも君を抱く。
いや、だから君を抱く。
抱きしめる。

僕たちはこうして逢うことが出来た。逢うことが出来る。
だから君を抱く。
抱きしめる。

嬉しいのか悲しいのかわからない。

きっと僕は馬鹿だ。
だから君を抱く。

大好きな人たちと別れると悲しい。嫌いな人に会うのはいやだ。
それでも君を抱く。

先頭 表紙

ふむ、うれしいご回答です。そうですね、抱かれなくても当然アリですよね。 / 揚水 ( 2003-03-26 09:34 )
アリです>抱かれなくて・・・。どっちでもいいのです。気持ちがいいことなら(笑)あっ、この場合の気持ちよさというのは心の快楽という意味です(ё.ё)b / kotarou ( 2003-03-26 09:30 )
えーと、かなり違うと思います。でも根っこは一緒。違う、一緒、どっちだ? ぶっちゃけ一緒、かな。ご飯が食べられるのは生きる力はたんと残っている証拠でしょうし。ではやはりビミョーに違うのか? 混乱。 / 揚水 ( 2003-03-26 09:19 )
失恋中でもご飯を食べるのと似てるでしょうか?え?ビミョ〜にちがう? / プリン ( 2003-03-26 08:48 )
そうですね、サスケさん。素敵です。なにが素敵かって素敵だなんてそんなこっ恥ずかしいことが平気で言えるくらい素敵です。 / 揚水 ( 2003-03-26 07:35 )
「抱かれなくてなにがおとこ、抱いてこそおんな」というのもアリでしょうか、ねんねこさん、kotarouさん(笑)。茶化されません、真に受けてたちます(笑)。最初は僕の大切な海月を思い浮かべながら書き始めましたが、そのうちしまいには僕がかつて居候していた家の男の子二人女の子一人、僕の義理の兄弟のようなこの子達、陸丸、僕の姪、色んな人たちや動物や思い浮かべたりして。だからといってけして僕が飼い犬の陸丸に襲いかかる訳ではなくてやはり僕が襲いかかるのはくら……。…以下自粛。 / 揚水 ( 2003-03-26 07:34 )
愛する人がいるというのは素敵なことですよね。その想いだけで辛いことも乗り越えたりできる気がします。 / サスケ ( 2003-03-25 21:25 )
いやいや、「抱いてこそ おとこ」というのもありまっせ。すんません、チャカしてるわけでは・・・ / kotarou ( 2003-03-25 10:30 )
「抱かれなくてなにが おんな」そんなフレーズがありましたね。 / ねんねこ ( 2003-03-25 09:31 )

2003-03-22 やはり人が死んでゆく

当然イラク側に死者は出ているでしょう。
アメリカ兵にも死者が出ているとか。
死ぬ人に大切な人がいて、死ぬ人を大切と思っている人がいる。

僕には大切な人がいて、僕を大切と思ってくれる人もいます。
我々の住むこの国が関わる戦争が起これば、またこの国でも人が死ぬのでしょう。
ですが今はそれは架空の話。

今、人が、戦争で死んでいるのに、僕は日常を生きています。

覚王山日泰寺の周りで、普段より人出がありました。
忘れていましたが、お彼岸です。

先頭 表紙

今の僕の暮らしにはテレビというものが無く、溢れる情報の中新聞から(寡聞が過ぎて書かれているのを見落としている可能性は高いのですが)拾い上げる限り、あからさまに「ヒロシマ効果」と書かれた記事は減っているように思います。日本のジャーナリズムは、もしアメリカの軍事の専門家がそうした言葉を未だ使っているのであれば、もっと大っぴらに書くべきです。使っていないのであればそれまでですが。 / 揚水 ( 2003-03-25 06:51 )
戦争に反対だと表明する以外に何が出来るのか考えます。なんらスペシャリストではあり得ない僕は、そこからしか始められませんし。 / 揚水 ( 2003-03-25 06:47 )
まとめてレスでごめんなさい。本当に何も出来ない、しないなあ、と自分を振り返って思います。今も仕事、夜勤から帰ってきたところです。日常は大切だと思います、間違いなく。日々暮らしていけることはとても恵まれたことなんだと不謹慎にも思います。平和平和と唱えるだけでは平和にはならない。けれどだからと言って、実際に戦争に荷担もとどめる行動もとれない人間は戦争に反対することを言うのはおこがましい、止める、という理由にはならない。おこがましいには違いありませんが。 / 揚水 ( 2003-03-25 06:46 )
ホント、今の自分の生活では、実感がないですよね。よくニュースで「○人の死者がでた」と言っている。でも、問題は何人死んだかではなく、人間がこの戦争で人間によって殺されたという事実。きちんとこの胸で受け止めなくちゃいけないなと思います。 / カバチタレ ( 2003-03-23 21:28 )
戦争始まっちゃったね。ほんとにほんとに悲しい。傷つく人がいて、そのことでまた悲しい思いをする人がいる。そんなひとがこれ以上増えないように、一日も早く戦争が終わることを願っています。 / もげんぴ ( 2003-03-22 22:37 )

2003-03-22 村に帰ります

今回ようやく休みを合わせて、今夜久し振りに消防団の班の夜回りに出ます。

借家とはいえ、会社の寮にばかりいて開けっぱなしにしている家の片付けをしていなかったのも気掛かりです。
少しは片付けよう。

それでもって夜回りに出ます。
火の用心。

先頭 表紙

お帰りなさい。生まれて初めての宮勤め(?)で以前ほど自由に動くこと叶わず、さすがに東京までは出掛けられませんでした。残念です。大盛況ですか。行きたかったなあ。 / 揚水 ( 2003-03-25 06:40 )
ただいまー。さっき東京から帰ってきました。展覧会は大盛況のうちに幕をとじたよ。 / もげんぴ ( 2003-03-22 22:31 )
ですから数日間ネット環境を離れます。 / 揚水 ( 2003-03-22 14:02 )

2003-03-22 愛すべき茶色い物体

僕の飼っていた犬陸丸は、黄土色した雑種の犬で靴下を履いたように4本の足先が白いのです。
僕が会社の寮に入るに際して海月の実家でお世話になっています。
海月はご両親に会いに実家に帰っています。
陸丸くんにも会ってくるそうです。いいなあ。

海月のご両親は長男夫婦と孫娘と一緒に暮らしていましたが、今回長男一家は仕事の都合で引っ越すことになりました。
陸丸くんは老夫婦お二人と一緒に暮らすことになります。
陸丸のお世話を頼んだときから可愛いと言ってくれていましたが、最近では海月のお父さんは「あの犬は面白い」と言ってもいるようです。

散歩の際ものすごい勢いで走り出したかと思えば、牝の雉を追っていたり、ゆれる木橋の上で怯えてがたがたぶるぶる震えていたり。

海月が「そのうち雉捕ってくるかもしれないよ」と言うと、
「いや、その技術は無い」と一言だとか。
また突然ものすごい勢いで走っていく姿にすわまた雉かと思うと、猟犬に追いかけられ必死の形相で逃げ帰ってきたそうです。

僕がお邪魔するときなど、お母さんも可愛い可愛いと目を細めます。
ありがたいことに、愛されてるなあ。

ありがたいことです。

先頭 表紙

あらら、僕も陸もそう見られているのですね、もげんぴさん。否定できませんが(笑)。実家の犬、元気になってよかったですね。 / 揚水 ( 2003-03-25 06:38 )
プリンさん、はじめまして。もう随分僕は陸丸に会っていません。帰ってきた海月に寄れば、僕が以前乗っていたのと同じ軽トラを見て物狂おしくなっていた模様。早く海月と陸丸と暮らせるように二人と犬とで住める環境をつくりたいと思いました。でもそうなったら海月のご両親が今度は寂しがるのかと思うと切ないですね。僕よか余程愛情を注いでくださっているみたいなのに。 / 揚水 ( 2003-03-25 06:36 )
陸ちゃんおもしろいよね。何事にも一生懸命な性格と、わかりにくい行動。ほんと飼い主にそっくり。ぶぶ。うちの実家のわんこは、もう16歳、先日、寝たきりになってしまい、ご飯も一切食べず、もうだめかと思っていたら16日後にいきなり復活しご飯をがつがつ食べ元気になったよ。 / もげんぴ ( 2003-03-22 22:29 )
うちのわんこは食いしん坊でかなりおマヌケですが、何より愛しい存在です。(人間と違ってウソつかないし) 犬は飼い主を選べないんだから、飼う以上はできるだけの愛情をもって育てたいですよね。 陸丸くんも素敵なお父さん、お母さんに出会えて、幸せですね。 / プリン@はじめまして ( 2003-03-22 14:03 )
はい。僕の替わりに陸丸の面倒を見てくださって、その上愛してくださって、感謝しています。 / 揚水 ( 2003-03-22 12:33 )
愛はすばらしいですな。 / KJ@おかあさんに逢いたい ( 2003-03-22 06:07 )

2003-03-21 異を唱えることは簡単だ

ここのところ、それまで滞りがちだった僕の記事を書き込む頻度が上がっています。
言うまでもなく、戦争に反対する記事を多く書いたからです。

それには一つ理由があると思います。もちろんその一つだけが理由ではありませんが。

誰かの何かの行動に対して、事物事象に対して異を唱え反論することはたやすい。
自分の思うところを人に伝えようと、何もないところから初めて自分の言葉で語ることに較べて、実に容易です。

テーゼにアンチを立てるばかりでなく、どんなにつまらないことであったとしても、自らテーゼを立てたい。
テーゼなどと大袈裟なことでなくていいんです。
おこがましいのですが、僕は僕で世界に向き合っていたい。

そう思います。

先頭 表紙

代案は、僕も持っていません。 / 揚水 ( 2003-03-22 12:21 )
日本はほんと批評家だらけだ。反論だけはたやすい。しっかりした代案なしに反論は書きたくない。でも黙ってられない。戦争は絶対反対! / KJ@理屈じゃない。 ( 2003-03-22 06:06 )

2003-03-21 転載  新世紀へようこそ 097 「戦争が始まった」 2

イラクの人々をサダム・フセインの圧制から解放するための戦争であるとアメリカは言いはじめました。

たしかに、ある国で一部の国民が極端に不当な扱いを受けたり、つぎつぎに虐殺されたりしている時、国際社会はそこに介入すべきだという説があります。旧ユーゴスラビアの内戦の時はこの理由によって国連軍が武力を
行使しました。

しかしそのためにはどの段階で介入すべきか周到な議論が必要ですし、現実にはそれでもなかなかうまくいかないようです。まだ歴史が浅いし、試行錯誤が必要なのでしょう。

この問題については最上敏樹氏の『人道的介入』(岩波新書)が詳しいので読んでください。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/400430752X/impala-22

いちばん大事なところを引用します――「もし加害者への攻撃が許されるとすれば、それは現に虐殺がおき(ようとし)ており、かつ、加害者に攻撃を加える以外に手段がない場合に限られる。それも国々が勝手な判断でおこなうのではなく、国連のような世界的機関の集団的な判断に基づく、集団的な措置でなければならない」。
 
いずれにしても今のイラクは「人道的介入」を必要とするような事態ではありません。それが必要なのはイスラエルの方です。

まして、国連がそれを認めていないのにアメリカが勝手に他国の国民を「解放」するのは、武力による内政干渉すなわち侵略です。

メディアに言いたいことがあります。

アメリカ軍の動きを報道することを控えてください。飛び出すミサイルや、離陸してゆく戦闘機、したり顔で成果を説明する司令官、これらは戦争ではありません。

戦争とは破壊される建物であり、炎上する発電所であり、殺された人々、血まみれバラバラになった子供の死体です。水の出ない水道、空っぽの薬箱、売るもののないマーケット、飢えて泣く赤ん坊、それが戦争の本当の姿です。そちらを映すことができないのなら、戦争を報道することなど最初から諦めてください。

今の段階で攻撃側の動きばかり伝えるのは、この道義なき戦争に加担することです。

政治家でも軍人でもないぼくたちは、この戦争がイラクの普通の人々にとってどういう現実であるか、それを想像してみなければいけないと思います。

戦争が始まりました。

戦争に反対しましょう。

池澤夏樹 2003−03−20)


# 引用・転送は自由です。

先頭 表紙

遅きに失したとしても、だから戦争に反対します。日々の暮らしに汲々としながら。 / 揚水 ( 2003-03-22 12:30 )
日々の暮らしに汲々とすることが、これは負け惜しみでなく、悪いことだとは思いません。しあわせなことだと思います。それに感謝するなどと言えば僕はなんだかいい人のようですが、そんなもんでもありません。他人との関わりでよく腹も立てれば人に嫌われることもたくさんしています、多分。感情だけで戦争反対を言うのは愚かなことかもしれませんが、現実に止めるには理が必要だとも思いますが、爆撃で亡くなる人、逃げる人がいるのは、どんなにそれが現実なくなっていなくてもいやだと今回気付かされたのです。 / 揚水 ( 2003-03-22 12:28 )
池澤さんの最後の言葉にあるように、政治家でも軍人でもない僕たちに出来ること、しなければならないことはそうしたことから始まるのではないかと思います。特別の技術を、知識を持って戦争を早く終わらせるために活動できる人或いは戦後の復興に寄与できる人、すでに活動している人もいらっしゃるのでしょう。僕は何も出来ない。戦争に反対する人ばかりでなく賛成する人ももちろんいるでしょう。そうした中、戦争に反対の意を持つ僕に出来ることは、まず戦争に反対すること、それだけしかありません。 / 揚水 ( 2003-03-22 12:19 )
世界は確かに交通手段、情報の点で狭くなっています。それでも人は自分の手足の届く範囲で生きていることもまた事実ですね。行けるところにしか行けないし、出来ることしか出来ない。遠くの戦争より明日の糧、今日の仕事、日々の暮らし、です。それでもあなたがおっしゃるように、やはり世界は狭くなっている。僕たちは好むと好まざるとに関わらず、遠く離れた国のことも知ることが出来るからです。そうした「自由」を僕たちの親の世代に教えたのもまたアメリカであったりします。 / 揚水 ( 2003-03-22 12:11 )
現実に自分が火の粉を被るか被らないかでいえばもちろん今回の戦争(僕に限って言えば生まれてから世界で起こった戦争全て或いは「戦後」生まれの日本人全て、その他の国々でもそうした人は沢山いるでしょう)は自分に関わるものではありませんね。当事者に言わせればそうしたものが言うことは軽く映るのはある意味当たり前ですが、それと当事者でない人間が戦争に反対することはまた違ったところがあるのもまた事実でしょう。 / 揚水 ( 2003-03-22 12:05 )
ゲームじゃないんだよね。世界はどんどん狭くなって、これは近所でおきてる問題なんだよね。 / KJ ( 2003-03-22 06:10 )
田中宇さん「田中宇の国際ニュース解説:3月18日付け:イラク侵攻のリスク」 / 揚水 ( 2003-03-21 07:15 )

2003-03-21 転載  新世紀へようこそ 097 「戦争が始まった」 1

戦争が始まりました。

ぼくたちは長い間、希望をもって戦争を始めさせないよう運動をしてきましたが、開戦は止められなかった。

戦争はなかなか正当化できないものですが、しかしこれほど明快に理不尽な戦争もありません。

国連は認めていないし、アメリカとイギリスの政府に賛同する国はごく少ない。アメリカを除くどこの国でも反対派の国民の方が圧倒的に多い。

査察は続いていたし、イラク側は協力的だった。ブリックス氏はまだまだ査察を続けるべきだと言っていた。

こうならないよう動いてきた世界中の人々が落胆し、憤慨していることでしょう。ぼくもその一人です。

しかし、戦争が始まったからと言って、戦争に反対する理由がなくなったわけではありません。むしろ逆なのです。これから本当にたくさんの人が死にます。早く止めさせるにはやはり戦争反対の意思表示をしてゆくしかない。

今まで以上に力を出さなければならない。
 
なぜこうなってしまったのか、国連のことを少し考えてみます。

アメリカは、フランスが拒否権を行使すると言っているから決議案を撤回したと言っています。まるで言うことをきかないフランスが悪いみたい。

国連ができた時、一国の勝手な欲望から戦争が始められないよう、安全保障理事会という制度が作られました。主だった国の合意のもとに国際社会を運営してゆく。拒否権というのはそのための最後の歯止めであり、合意がないことの表明です。

今回のイラク攻撃を国連は認めなかった。安保理の中間派6か国、いわゆるミドル・シックスはさまざまな圧力を受けながら、よく踏みとどまりました。フランスが拒否権を使う場面はたぶんなかったでしょう。

だからアメリカは国連を回避した。あるいは無視した。

そして戦争を始めた。

つまり、アメリカは世界を私物化した。

日本政府はたぶん困っています。国連重視とアメリカとの協力の二本を外交の柱にしてきたのに、その二つが分裂してしまった。国連を捨てるというのは外交方針の重大な転換です。本来ならばたくさんの論議が必要なはずですが、小泉首相が口にしているのはすり替えロジックばかりで、まともな説明になっていない。

経済的に多くをアメリカに負っているトルコやメキシコでさえ賛成しなかったのに、日本はアメリカを支援している。これは自主性を欠くだけでなく、非常に危険なことだと思います。

先頭 表紙

ですが事が起こるまでは何もしていない。今回多くの日本人、いや日本人以外の紛争に関わらない人々ももちろん、戦争反対、と思ったことでしょう。そう思うことの方が普通で多数だと思います。ですが、戦争を起こすことを望む人がいて、多くの人が反対するにも関わらず、戦争は起こった。喉元過ぎた時、その時にどれだけ関心を持続するか、でしょうか。 / 揚水 ( 2003-03-22 12:00 )
そうですね。そして僕もやはりどうしたって自分も日本人だと思うのです。この期に及んでやっと声高に「戦争反対」を唱えている訳ですし。今まで何もしていなかったことも踏まえて、自戒します。特に直接戦争反対、ということでなくとも、これまでの記事でそれに連なるようなことを考え書いてきたとは思っています。日々暮らす中で自分が他人に抱いた悪意を自分でおちょくり(時に他人もおちょくっていますが)、喜ばしいことを書いてきたとは思っています。 / 揚水 ( 2003-03-22 12:00 )
お人よしな日本。このままじゃいつまでたっても、豊かになれないね。平和憲法/非核三原則だなんて胸張って言えないな〜。 / KJ ( 2003-03-22 06:12 )

2003-03-20 わたしは戦争に反対します

わたしは戦争に反対します

人という生き物が戦争を起こすことが避けられない事実なのだとしても
わたしは戦争に反対します

人という生き物は争いを好まない生き物であることもまた事実だと信じるからこそ
わたしは戦争に反対します

人が戦争を起こす生き物だからといって
それが仮にもうどうしようも仕方のないことだとしても
それでもそのことが戦争に反対することを無意味にする理由にはならないと思うから
わたしは戦争に反対します

日々の暮らしで小さな敵を作り人から敵とみなされても
滅ぼさねばならない敵はつくりません
わたしは戦争に反対します

戦争に反対すると言葉を綴っただけでは殺されることがない環境にいるからこそ
そうした甘ったれたことが言えるのだとしても
わたしに大切な人がいるようにわたしが人を憎んだとしてその人にも大切な人がいることを考えると
憎しみとは別にまた切ないから
殺されたくもないし殺したくもないから

わたしは戦争に反対します

先頭 表紙

はじめまして、KJさん。正味な話矛盾しますが、僕はそこまで強くなれる自信はないんです。ここでもまだ自分は安全なところでいてキレイ事を言っていると思うんです。自分が直面したときに戦争反対と言えるのかどうか、正直なところ判らない。多分紛争が現実に起きている現場をよく知る人に言わせれば、僕の言うことはちゃんちゃらおかしいと思います。それでも今現在、戦争に反対しているのです。弱く、矛盾していますが。 / 揚水 ( 2003-03-22 11:44 )
↓戦わないでください。戦わないと言いきっちゃってください。ニューヨークで起きたテロ被害者の肉親のように・・・ / KJ ( 2003-03-22 06:15 )
ですが今このぬるい場所から僕が反戦を唱えることはきっと容易なことでもあるのでしょう。自分が殺される場に直面したら? 自分の大切なものが殺されようとしたら? 僕はそれでも戦わずに死んでいくことが出来るでしょうか。 / 揚水 ( 2003-03-21 04:28 )
僕は人間という愛すべき猿が愚行を繰り返しつつ滅びに向かう種だとは思いたくはありません。 / 揚水 ( 2003-03-21 04:14 )
戦争が起きて、起こしてしまった以上次に何をするかなのは間違いないでしょう。でも「和平」という言葉がこんなに悲しい言葉だったなんて。争いの後に和平があるのですね。和平を望みますが、それが戦争を仕掛けた方の都合で争いとワンセットになった力で抑え付けるものにならないようでないと和平とは言えませんね。未来の歴史に今回の戦争はどのように書かれるのでしょう。愚行か栄光か。ですがベトナムもソマリアも愚行であったはずなのです。 / 揚水 ( 2003-03-21 04:12 )
人が人を殺す、そんな野蛮な行為は悲しすぎます。戦争はNO、アメリカもイラクも和平に向けて一歩進んで欲しい。 / 夢樂堂 ( 2003-03-20 16:31 )

2003-03-20 敵の敵は味方とは限らないが、敵の味方は敵だ

共通の敵を持つ者同士がまた反目し合うことはよくあることです。
敵の敵は味方とは限らない。

しかしたいていの人にとって自分に敵対するものに味方するものは、これはすなわち敵です。

国としての日本は今回明確にイスラムの敵となりました。
たとえ直接に武力を行使せずとも、それをいくら言い募っても、そんなものは詭弁に過ぎない。
「同盟国」であること、武力の行使を「支持」するということはそういうことです。
そこを考えずに同盟や支持を強調するのはあまりにおめでたい。

けれどしかし、今このままの状況でイラクというアメリカの敵に味方をすれば、アメリカは即日本を敵とみなすことも間違いないでしょう。
別にイラクの味方をする必要はないのだけれど。
イラクに味方をすることと開戦に反対することは、別です。

だけれども、僕は今恐ろしいことを考えています。
日本の政府がいくら国際協調という美名の下アメリカとのべたべたの関係を続けることに固執し安保の重要性を強調し、それが為に今回のような行動をとったという事を正当化しようとしても、そんなことは多分間違っていて無駄になるでしょう。

今回国連や独仏中露などの言葉を無視して武力行使に踏み切ったアメリカの姿勢は、アメリカという国が何かきっかけがあれば日米安保など簡単に踏みにじって日本にミサイルを向ける国でもある、非常に判りやすい証明になると思います。
日本に以後落とされるミサイルは、北朝鮮からではなく韓国やアメリカ本土から発せられたものではないと言い切れるでしょうか。

この先どれだけアメリカに向かって、イラクという共通の敵を持つ日本はあなた方の敵ではありませんと媚を売ったところで、アメリカは自身が欲すれば日本に爆撃することになんら躊躇いを持たないでしょう。
これまではたまたまアメリカが日本に武力攻撃をする必要を持たなかっただけなのかもしれません。安保を結んだ同盟国だから攻撃しなかったというのは物事の一面に過ぎないかもしれない。
今回日本は国としての立場で、アメリカに、全世界に向かって日本はイラクに敵対すると意思表示してしまった。
アメリカに自分が敵ではない、アメリカの敵であるイラクは日本の敵だと言うことが同盟国のつとめである、ただそれだけのことが言いたかっただけなのに、周りが見えずについでにそうしたことも言って「しまった」。

けれど敵の敵は味方とは限らない。
イラクの敵の日本がアメリカの味方とみなされることは、甘い期待かもしれない。

次の標的は僕たちの街かもしれません。

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簡潔に言い当ててくださって感謝します。 / 揚水 ( 2003-03-20 15:21 )
ホントは日本がイスラムと欧米諸国の緩衝材的な役割を果たすのが理想なんだけどな。こちらはイスラムの敵だと思っていないけど、今度は違うと思うよ。 / 夢樂堂 ( 2003-03-20 15:09 )

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