2002-02-18 卵を投げる。
2002-02-17 岩に貼りつく。
2002-02-15 つかんだもの その２。
2002-02-15 つかんだもの その１。
2002-02-11 プチ家出。
2002-02-07 月の細い夜に その２。
2002-02-07 月の細い夜に その１。
2002-02-02 ディフェンス。
2002-01-30 証拠がない。
2002-01-28 じゃがいも餅。

物理の宿題をやりに、学校に赴く。金曜日に、出張中のトマト君からも、電話があったようだ。

お客様が月曜日にいらっしゃるから、ラボを片づけておけ。特にしゃどう。今、おまえの部屋、ぐっちゃぐっちゃだろう！

・・・よくご存知で。

それはともあれ、慣れない物理のテキストを開く。第一章、読む。

「世界には二つの力がある。ひとつは愛、もうひとつは憎しみ。愛は引き合う力、憎しみは反発する力、のことである。」

と、いうでだし。紀元前４５０年まで、物理はそういうモノだったらしい。ちょっとした論理を証明するのが今回の宿題なのだけど、なにせ、バックグラウンドが薄いので、難しい。ひとやすみついでに廊下を歩いていたら、なにやら、教室からバコバコ、と、破壊音。なんだろうって、覗いてみたら、クラスメイトがなにか作って遊んでいる。

「玉子落としコンテストだよ！」

話によると、建物の４階から、玉子を割れないように落とすコンテストらしい。プロテクションの道具は、日常にある、柔らかいものなら、なんでもよし。ただ、割れないようにするだけでなく、落ちる速さ、標準落下点からの距離、全体の重さ、なども加点されて、最終的な順位を決める。一位には、なんと賞金＄３００！

「しゃどうちゃん、やる？」

「・・・やる！（あぁ、宿題が・・・）」

ラボからいろいろと道具を引っ張り出して、細工する。加速度を弱めるか、それともクッションで保護するか、重さ、速さ、体積、密度、これらが綿密に計算されてこそ、よい結果が生まれるというもの。なにせ、わたしのメジャーは素材工学！ なんていっても、もちろん、計算なんてしてません。適当に材料を拾い集めて、巻き付けて、んー、完成？

建物の屋上に登って、地面に向かって、玉子を投げつける！ あぁ、なんて背徳感。なんていけない事をしているんだろう。一人は、地上で、他の人（ポリス？）が来ないように見張り。ひとーつ、ふたーつ、みーっつ、地面に叩き付けたあと、そうっと包みをあけて、玉子の様子を見る・・・んふっ！ 無事！！！

来週のコンテストが楽しみだわ。ちなみに、二位は＄２００、三位は＄１００の賞金。１〜３位を独占して＄６００。高いレストランに行って、豪快に飲み食いするのだ！ というのが、目下の野望である。

しゃどう。

＃＃夕食は、冷凍の焼き鳥と、雑煮（急に食いたくなった）と、トマト。しゃどう猫はツナ猫まんま。やっと帰ってきて、幸せそうに眠っています。あたま、すりすりしてる、可愛い・・・。

先頭 表紙

突然だけど、ロッククライミングを始めてみた。といっても、いきなり山に行くわけではない。まずは、ロッククライミング用のジムでトレーニングから。アリゾナは、世界的にもいいロックが、ごろごろしているので有名だ。今までやってみたいな、と、ちらりと思う事はあっても、あれは筋力に溢れた、逞しい男の人でないと無理、という先入観が強かったのだ。わたしは、脚力はそこそこ強いのだけど、未だに腕の筋肉が弱く、ぶらさがってから、腕の力だけで体をぐいっと持ち上げる事はできない。握力も弱い。瓶の蓋があかなくて、右往左往と、筋肉さがしてフロアを歩き回る事も多い。でも、いかにも苦手そうなことに挑戦してみるのも面白そうだ。なにより、岩の隙間を見つけながら、からだひとつで山に登って見るなんて、格好よくて、素敵。

まず、靴と道具を受け付けで貸してもらい、紐の結び方をならう。当然、落ちても平気なように命綱をつけるのだけど、ジムの場合は、天井付近に繋ぎがあり、パートナーが下で綱を手繰り寄せながら体全体で支えることになる。まずは、一番簡単そうな壁に挑戦してみたところ、猫のように、さくさくさくっと、昇れてしまった。はじめのうち、ちょっと怖いのは、降りるために、体重の重心をを綱に掛けるとき。なかなか、自分からバランスを崩すのって、勇気がいるもの。でも、えいやっと、離れてみたら、なんのことはない。ぶらぶら、と、宙に浮いているのだ。高いところってやっぱり気持ちいい。そのまま、綱を緩めてもらって、後は重力に従って降りていった。

難易度をあげて、いろんな壁に挑戦してみた。何度か繰り返しているうちに、腕と手の筋肉がすっかり疲れてしまう。中腹まで登って、あと少しで届きそうなのに、もう、すぐに力が入らなくなってしまうのだ。やっぱり、日頃の運動不足はたたる。でも、やっぱり、女の意地をみせなきゃね、ってことで、少しずつ位置を変えながら、壁を這い登って行く。汗は掻くし、心臓はどきどきするし、ちょっと怖い。だけど、めちゃめちゃ気持ちいいのだ。何度も失敗して、落ちて宙づりになってぶらぶら〜っと、浮いてたりするんだけど、その合間の高揚感というか、爽快感、っていうのが、たまらなく気持ちいい！

見た目、美しいもんじゃないけど、癖になる人の気持ちがわかるような気がしました。わたしも、もっともっとトレーニングしようっと。

上手い人も何人か来ていてました。観察していると、動きがすごくしなやか。体の重心を線上に移動させて、リズムをつけて、するっ、するっと、移動していく感じ。無駄な動きがないのです。筋力もそれなりにあるのだろうけど、力を使ってる！っていう力みが全然ない。バランスなんだなぁ、と、思います。

しゃどう。

＃＃当日の夕食は、サンドウィッチでした。しゃどう猫は外泊（癖になっている）。

先頭 表紙

つづき。

・・・どれがどれだか、わからん。

個人のお店を少し大きくした程度の、ややマニアックなお店で、たまに、他の店では手に入らない希少なパーツが、いつでも常備してあるので、何回か来た事がある程度なのだ。怖そうなおっさん客が多いので、わたしが入ると、とりあえず、じろーっと、注目を集めてしまうのだ。内面はともあれ、外見だけは、大人しそうな女の子に見えるらしい。

え〜と、とりあえず、あのごついおっさんにきいてみよう。すみませーん、これ、どこにあるんですかぁ？ おじさん、無愛想に、教えてくれました。次の奴、これもわからん、すみませーん、これは？ ちゃんと教えてくれました。えーと、じゃあ、次はぁ・・・おじさん、我慢できずに、にやり、と、笑って、リスト見せてごらん、持ってきてあげるから。っと、手際よく集めてくれたのでした。会計の時に、これが、これでぇ、っと、いろいろと、とても親切に教えてもらったのでした。

翌日、買ってきた部品を半田。日本を発つ前に、「日本人」として、化学実験用のガラス細工と、半田のやり方だけは、しっかり、マスターしてきたのだ。手先の器用さは、誇れる文化だしね。横についてもらって、指差し確認しながら、溶接していった。この出来栄えだけは、「うーん、素晴らしい」と、お褒めの言葉をいただきました。やったね！ その間にも、ちょっとしたトリックや、コツなど、職人技を惜しみなく教えてくれた。気分はすっかり、お父さんに工作を習う娘。こんな小さなサーキットでも、こんなに学ぶ事があるんだなぁ、と、ひとしきり感動した。

不幸にも、オシロスコープが壊れていたため、完成を待たずしておじさんは、帰途の足。

「いっしょに働けて楽しかったよ、またいつか会えるといいね。」

っと、言ってくれたので、なんだか嬉しくなってしまった。こちらこそ、いろいろ教えていただけて、感謝しています。ありがとうございました。

というわけで、やっと研究が始められるのでした・・・あぁ、先は長い。

しゃどう。

＃＃夕食はミートソース、コーンスープ、トマト。デザートは桃のババロア。古くはなっていないようだ。まだまだいける。しゃどう猫はビーフ味猫まんま。今日も寝てばっかり。

先頭 表紙

わたしが、帰ってくると、まず、脱ぎたての靴下をキャッチしにくるしゃどう猫。洗濯籠に投げ込むつもりでいても、横から走ってきて、華麗に掴んでしまうのだ。捕まえた靴下は、噛み付いたり、匂いを嗅いだり、蹴っ飛ばしたり。飽きたら、今度は靴の中に顔を突っ込んで、くんくん、なんだか恍惚としている。ちょっと疲れた時の香りが、好きなんだって。ここまで惚れられると、まんざらでもありません。

外はいい陽気になってきた。朝晩は、ひんやりと冷え込んではいるものの、外はすっかり初夏。キャンパスの芝生には、学生が達がワサワサワサっと、転がっていて、愛の語らいをしていたり、寝ていたり、食べていたり、勉強していたり。わたしも、今日は外でお昼を食べたのですが、頭の後ろが、じりじり、じりじり、っとやけてきて、暑かった。もう、夏はそこまでやってきているようだ。今年も、コートを買わずに終ってしまった冬。

先月から組み立てていた装置がある程度ちゃんと動くようになりました。市販のモノを組み合わせて使う予定だったのですが、どうしてもうまくいかない。そこで、回路に詳しい人を雇って、新しい回路をデザインしてもらうことになった。セロリ先生が、大体はアレンジしてくれたのですが、先先週、「しばらく留守にするけど、いい機会だからちゃんと習って、自分で組み立ててみなさい。」っと。しゃどうは、一応、エンジニアですが、電子回路には詳しくない。小学生くらいのとき、市販の４石ラジオキットを、説明書とくびっぴきで作って遊んで以来で、後は、学部生の時に、電気学の授業をとったのですが、つまらなくて途中で放り出してしまい、最後の成績、１３点だけ頂いて単位を落とした。

「また、面白い冗談を・・・」とは思ったのですが、本当に冗談を言っているわけではなさそうなので、関連した論文等を読みながら、少し緊張気味にエレクトリックエンジニアに会った。白い髭を顔半分にたたえた、お洒落な紳士だった。ニューヨークから、わざわざやってきたという。（もちろん、他の用事もあったらしい。）うわー、なんか緊張するなぁ、って思いながら、ミーティングを始めたのですが、少し時間が経って打ち解けてくると、気さくで優しいおじさんでした。おじさんも、人見知りするタイプだったよう。

正直に、ほとんど経験がない事をつげると、んじゃ、サーキットのテスト段階までは、一緒にやろう、ってことで、教えてもらえることになった。パーツリストを作って、このパーツは、こういう形をしているんだよ、なんて、ところから始まって、テストサーキットボードの使い方を説明しながら、ある程度動く事を確認したところで、初日は終了。

「じゃあ、残りのパーツは次までに全部揃えてくるから！」って、意気込んで次の日の朝、電気パーツ店へ。えーと、レジスターは縞縞のあれでぇ、なんて考えながら、店内を一周した。

つづく。

先頭 表紙

プチ家出をして一晩帰ってこなかったしゃどう猫ですが、今朝、玄関を開けた瞬間、茂みのなかから、うにゃにゃ〜！っと、絶叫しながら走り込んできました。箱入り息子なので、無断外泊はこれが初めて。夜中に何度、呼んでも答えなかったしゃどう猫。どこでホットな夜を過ごしていたのかしら？ いつものように後をついてまわるのですが、ときどき、電池が切れたように座り込んでそのまま寝ています。触っても起きないの。デジカメが手元にないので、大昔の寝顔を。日記デビューの時にも使ったんだけど、覚えている人はいるかな？

今は、半分うとうとしながら、膝の上でまどろんでいます。と思ったら、頭を膝にぐいっと押し付けて、居眠りしはじめました。暖かいやら、重いやら。

ちょっと落ち込む事があったので、気分一新して、部屋の掃除を始めた。買物に出掛けて、前から欲しかった文房具やら、なんやらを買ってきて、キッチンには薔薇を飾った。花の薫りって、なぜか顔がほころぶ。先週、友達の誕生日に作ったオレンジムースが好評だったので、昨日は、桃のババロアを作った。今回は、大量に作って、独り占めするつもりだ。オーブンを利用して、夕飯には鱈のオーブン焼。白ワインとレモン汁、塩こしょうで最初に蒸すように火を通し、生クリームを流し込んで焦げ目がつくまで焼く。魚とレモンの相性って、不思議。凝ったソースを作らなくても、レモンのシャキッとした酸味が、口の中を引き締めるというか、体の中まで綺麗にしてくれるような、新鮮さ。

映画を見ながら、ソファーの上で、ぬくぬくと、食べた。

お楽しみのババロアは、砂糖の分量を少なく間違えたおかげで、ヨーグルトの酸味が強かった。例によって古い生クリームを使ったのが原因かな、と思ったけど、残りの分量の砂糖を、上からパラパラとかけて、しばらく放置。今朝はホットケーキを焼いた。コーヒーはもちろんコナ。バターとメープルシロップをかけて、ホクホクの柔らかいホットケーキを口に頬張ると、バターの冷たさ、シロップの甘さ、スポンジがじわじわと口の中で溶けてきて、体の緊張も解けていくようなきがした。

もう一度、ババロアの味見をしてみる。今度は、甘くてしっとりしていて、美味。上にかけただけの砂糖だけど、水分中にいったん溶けて、じわじわと下の方まで甘さがちゃんと拡散していた。

そう言えば、私の修士論文のテーマは、電気で動くジェリー。とりあえず、動く所まではいったんだけど、実用化は難しいんで、今のテーマに変ったのよね。でも、それでも、並行して少しずつ研究を続けていくつもりだったのに、いつも時間が足りなくて、後回しになって、今ではジェリー達も、ラボの片隅のサンプル瓶の中で水に浸かって、そのまま藻が生えたりしていて。あんなに愛していたのに、こんなに移り気で、なんだか申し訳なくなった。落ち込んでいる場合じゃないんだろうな、って思えるようになったから、きっと、明日からはまた、元気になれるような気がしてきた。今日でラスト、外にでないで、家で宿題でもしながら大人しくしていようと思う。

しゃどう。

＃＃夕飯、なんにしようかな？

先頭 表紙

つづき。

場所は横断歩道の手前、向こう岸にはコンビニ。男の人が二人、雑談しているのが見えた。で、この変な男の横を通らないと、しゃどう車には、たどりつけない。どうしようかな、と、不安な気持ちだったのだけど、きっと、疲れていたのでしょう、次第に、腹が立ってきました。私はこんな遅くまで働いるのに、私は少なくとも真剣に生きていこうとしているのに、少なくとも他人には迷惑を掛けないように心がけているのに。なんだ、この男は！ なにもせずに、夜中にぶらぶらして、若い女の子（しゃどう）に嫌な思いをさせるくらいしか思い付かないのか！ けしからん！ もともと、怒りっぽい私は、眠さも手伝って、不機嫌の頂に達していた。

歩るく速度を変えず、距離を保ちながら、いつでも走り出せるように、目と体で相手の気配と、呼吸を読みながら、何事もないような顔をして、通り過ぎようとした。でも、やっぱり、予想通り、男はこちらに向きを変えて近づいてきて、しゃどうに何か早口で話しかけようとしてきた！ 余計に腹が立ってきたので、男が何かを言った瞬間に、大きく息を吸い込んで、ギロッと、相手の目を睨み付け、鼻の穴を膨らましてみせた。髪の毛はボサボサ、としていたし、目は眠気で赤くなっていたことでしょう。そしたら、男は、ビクッとして、くるっと突然向きを変え、そのまま違う方向に早足で去っていった。私も、少し駆け足でしゃどう車に乗り込み、深いため息をつきました。

奴が、へなちょこだったから、良かったものの、そうじゃなかったら、どうする？

って思って、それ以来、更に用心を重ねているのです。子どもだまし程度の護身術は身につけているけれど、咄嗟の時に、役に立つかどうかなんて、まったくわからないし。

なのに・・・はぁ。実験パートナーがいたのだけど、数時間先に、さっさと帰っちゃったのだ。仕方ない、歩くか。一応、気配は伺いながら・・・って、後ろから足音が。そうっと、振り返って見る。ひょろ長い体つき、長髪で、なんだか嫌な雰囲気をした薄汚い男が、少し離れて歩いていた。こいつ、やばそうっ！って、なんとなく思ったので、気付かれないように、忍者のような駆け足でとりあえず逃げてみた。人通りの多い所まできたら、奴は私にはまったく気にも掛けずに、そのまままっすぐ歩いていってしまった。ただの、通りすがりの人だったのだろうか？ でも、ちょっと怖かった。

夜は気をつけましょう。

＃しゃどうの夕食は、ピッザ２枚。NO ANCHOVIESという、洒落たお店で、カリカリですっきりとしたピッザを売っている。今日は、ほうれん草とトマトとチーズのピッザ、と、ペパロニとパイナップルとチーズのピッザを２枚。アイスティーと共に。しゃどう猫は、ビーフ系の猫まんまを、ぺろり。膝の上でまどろんでいたので、その隙に爪を切ってあげました。

しゃどう。

先頭 表紙

またやっちゃった・・・っと思いながら建物を出た。今日は、授業のため、実験室を１８時〜２３時で予約していたのだ。今、原子間力顕微鏡の使い方をマスターしようと、四苦八苦しているところなのだ。小さなカンティレバーを、サンプルの上に直接乗せ、表面のでこぼこをナノ単位で検出する、のが基本。（ちなみに、分子／原子同士の距離は、１ナノメートルの半分くらいです。）なのだが、机の上で習うのと、実際に使ってみるのは全然違う。コツというか、勘というか、それを養うために、時間を掛けてトレーニングしないと身につかないのだ。物質は分子と分子が結合して、大きな塊を作っている、のは、よく知られていることですが、実際に、どんな格子で繋がっているのか、どんな風になっているのか。先週、六角形の連続のイメージが、ボボボンと、とれたときには、素直に感動した。

で、話は変りますが、今日は何も壊していませんよ。車を建物の遠くに停めたままだったのです。１８時くらいに建物の近くに駐車しようと車を一旦移動したものの、どこも満車で、しかたなく、歩いて５分くらいの距離の、ちょっと人気のないところに停めた。２０時くらいにまた取りに行こうと思っていたのだけど、ついつい、忘れてしまっていた。

「５分の夜道」、たかが５分、されど５分。最近、大学のキャンパス周辺は物騒になっており、去年は連続レイプ魔や、殺人事件なども起こっていた。ちなみに、犯人はまだ捕まっていない。なんとなく気味が悪いのは、スタジアムの近くと、工事現場の近く。

私は夜遅くまで実験している事が多いから、車は必ず建物のドアの真ん前か、ケージの中に駐車するようにしています。夜といっても、２２時くらいまでは、まだ平気。ちょっと恐いのは日付が変った辺りからでしょうか。なんとなく、歩いている人達の気配が、嫌な感じに変ります。歩いているより、ふらついている、って感じかな。

以前、一度だけ、結局は何も起こらなかったけど、肝が冷えるような経験をしたことがあったので、殊更気をつけてはいたのですが。それは去年の秋頃だったかな？ 学会の準備と、授業の中間試験が重なって、勉強しながら、実験をしながら、頭から青白い炎をゆらゆらさせながら、夕ご飯を食べるのも忘れて、当然車の事など頭から消えていて、一段落ついたときには、夜中の１時をまわっていたのだ。半ばボーっとしながら、それでもある程度の気配は気にかけながら歩いていると、前方に、なんだか所在なさそうな、薄汚い格好で、気の弱そうな男が、立っていてこちらの様子をそれとなく伺っているのに気がついた。

つづく。

先頭 表紙

スピナッチ君が、今日の夕方、ph.D の Final Defenceを終えました！ 後は、ごちゃごちゃっとした事務的な手続きは必要だけど、これで彼も晴れて、ドクター・スピナッチと呼ばれるようになる。彼はしゃどうの兄貴分にあたる。世界一のスーパーナイスガイで、働き者、人が良すぎて損ばかりしているけど、でも、それでも、やっぱり人が良くって、頭が良い。ドクターの研究を進めていくうちに、新しい薄膜のコーティング方法を開発してしまい、それに関する特許を２つも申請、研究に関する装置も、教授に研究資金がなかったから、自分で買ってきて、一から組み立てた。そして、それをもとに起業をして、研究所を一から作っている。若社長さんでもある。

「会社を起こす」って、華やかで聞こえはいいんだけど、身近で見ているだけでも、ほんとう、胃が痛くなりそうなくらい大変。まず、特許を申請するために、何千ドル、っていうお金を払わなきゃいけない。申請するためには、審査官と、何度も衝突しながら、何回も、何回も、必要な書類を提出しなければならない。装置を買うためにも、やっぱり、千ドル、万ドル単位での資金が必要。まだ、人を雇うほどの余裕もないから、なんでも、自分で遣らなきゃいけない。仕事をとる、仕事をする、お金をきっちり受け取るための手続き。生活のためにも、会社を続けるためにも、お金が必要だから、小さな仕事でも引き受けて、資金をためる。シングルファーザーなので、離れて暮らす息子のためにも、養育費を送らなきゃいけない。学位をとるために、大学にもお金を払わなきゃ行けない、学位を終らせるために、論文を書いたり、研究も続けなきゃいけない。

毎日、夜中の２時まで働いても、週に７日働いても、働いても、時間が足りない。ずる賢く振る舞えば、もう少しお金も融通できるのだろうに、そういうのに慣れていないから、やっぱり、誠実に、生きてしまっていて。ビジネスは、口が旨くて、要領がよくて、嘘が上手につける人の方が、成功しやすいのです。

私にも何か、手伝える事はないかって、いつも考えていた。でも、壁にペンキを塗るとか、話をきくとか、そういう些細な事でしか手を貸せなくて、それどころか、自分の悩み事とか、相談事ばっかり、話してしまって、かえって頼ってしまっている事の方が多かった。だから、少しは頼りになれるように、とにかく、学べる事はいつでも、貪欲に吸収して、何か新しいアイデアがひねり出せるように、勉強して、何かあったときには、いつでも手を貸せるように、って、頑張ってみているんだけど、やっぱり、まだまだ全然追いつけません。

でも、そんなスピナッチ君も、やっとのことで時間を作り、論文を仕上げ、今日、とうとう、最終試験を終えた。疲れてふにゃふにゃした顔をしていたけど、嬉しそうだった。私も何だか嬉しくて、嬉しくて。それから半日、なんだか、にこにこ顔で過ごしてしまって、トマト先生に、気持ち悪がられてしまいました。スピナッチ、本当におめでとう！

しゃどう。

先頭 表紙

風邪を引いた。トマトの風邪が移ったのだ。怪獣並みに頑丈なトマトに取り付くのだから、そうとう強力な奴なのでしょう。トマトが、咳をひとつ、もすれば、もともと免疫系の弱いしゃどう、あっという間に風邪を頂いても、不思議はない。久しぶりに会ったので、数十分くらい話していたかな？ でも、移されないようにかなり距離を置いていたのに。でも、私だけでなく、建物内の人、みんなゴホゴホいいはじめた。いずれは大学中、州中、全米、いや、世界中に広がっていくに違いない。喉にくる奴です、気をつけましょう。

研究のプロポーザルを完成させるために、頼まれたファイルを送った後（注、ガラガラ声で緊急なの！と、死にそうな声で頼まれたから、日が暮れてからわざわざ作りに出向いたのだ）オフィスを覗きに行ったら、喉飴をひとつくれました。でも、なんとなく、いじわるしたくなったので、中身を抜き取った後、机の上に包み紙をポイっと投げてやりました。

「あんたのが移ったのよ！」 っと、苦情を言ったのですが、
「俺のせいじゃないぞ。それから、教授はもうちょっと丁寧に扱え！」 と、

にやにや笑っておりました。確かに証拠はない。んぶー。。。

というわけで、風邪にはビタミンＣと、緑茶、が、効くようです。

今日の夕食は、カレーライスと、いも餅でした。トマト（本物）も、生でバリバリ食ってやった。しゃどう猫は、ビーフ味の猫まんまです。

先頭 表紙

芋餅、なるものを作ってみた。大学時代に友達と北海道に旅行したとき、どこかの食堂で食べた芋餅の味が忘れられず、札幌にすむ友達の親戚のおばちゃんに、頼んで教えてもらったのだ。北海道の食べ物は、最高に美味しい。北海道で育つ紅いもは、ふかしただけでも、ほくほくして、ほんのり甘い。塩でもバターでもいいのだけれど、舌の先で、じゃがいもの滑らかなほくほくが、ほのの〜んと、溶けていくのだ。東京にいた頃は、毎年、季節が来ると大量に注文していたものですが、今はかなわず、懐かしい味、になってしまった。

北海道の再東にあるという寿司屋にも入った。お昼時にお腹が空いて、なんでもいいから、寿司を食べよう！って見つけたお寿司屋さん。海の側にひっそりと小さく建っていて、地元の漁師さんがたくさんいたっけ。料金がびっくりするほど安かったので、あまり期待せずに注文したのですが、もう、んも〜！ ってくらい美味しいの。鮭もまぐろも、口の中に入れただけで、じゅわ〜って溶けてきて、噛むのがもったいないくらい。喉を通りぬけた後も、言葉がでない、ただただ、余韻を楽しんでいました。また行きたいなぁ。

で、芋餅ですが、仕掛けは簡単。ジャガイモをたっぷり茹でる。熱いうちに潰して、塩、胡椒。小麦粉をばさばさっと入れて、丸いお餅の形を作ればいい。バターでこんがり焼いて、砂糖醤油でいただきます。少し冷めてきてからの方が、より美味しいです。残った分は、冷凍庫で寝かします。次に料理するときは、そのままフライパンに放り込めばＯＫ。寝かした後の方が、モチモチ感がでます。今日は、ブロッコリーも一緒に混ぜてみた。緑色の不思議な芋餅、に仕上がりました。青菜が不足しがちだったのでついつい。味は上出来！

昨日は、「秘密の峡谷を見せてあげるよ」と、いうお誘いを受けたので、ハイキングシューズにソックス、水もたくさんリュックに詰めてキャニオンへ。静かな峡谷で、風の音も止まっている。自分達の息遣いしか聞こえない。夏には水が流れるという滝や川も、今の時期は水がなくて干上がっている。川の底を、じゃり、じゃり、って歩いたり、岩にへばりつくようにキャニオンを登ったり、いろいろお喋りしたり、空を眺めたりしながら、五感を取り戻していくのはとても気持ちが良かった。夏が来て、モンスーンが来たら、またここに泳ぎにこよう。

しゃどう。

先頭 表紙