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セブン○レブン物語

バイトの話しを書いていこうと思ってます。
でもその前に書きかけのお話しを終わらせないと。。。(怒濤の汗)

目次 (総目次)   [最新の10件を表示]   表紙

2001-04-29 伝承異譚  −−封印の扉−− 後編
2001-04-27 伝承異譚 ーー封印の扉ーー前編
2001-04-23 伝承異譚    扉の向こう側・・。
2001-04-22 伝承異譚  孤独の狼・・。 
2001-04-21 伝承異譚   −−伝説へのエピローグ−−   
2001-04-20 伝承異譚   −−安息と渇き−−   
2001-04-19 伝承異譚  −−決意−−
2001-04-18 伝承異譚  −−秘密−−
2001-04-16 伝承異譚 −−−−発端−−−−


2001-04-29 伝承異譚  −−封印の扉−− 後編

(−−開け放たれたもの−−)




長い眠りだった。
木の上にいる私は生を感じている。
ここちよい風が私を刺激する。
眼下に居る人間たちには、強い憤りを感じているが、
もはや、私にはどうでもいい事。

この身が滅する事が出来ないと言うことならば、
生きていくしか、あるまい。

今、彼の瞳に、一人の人間が映っていた。
まだ、年若い男。
何もしゃべらず、黙々と働いている。
真剣な面もちで、額に汗を流し、
一心に働いている。





私は、戻ろう。
自然の懐の中に。
森を、
深い森を探せばいい事なのだから。
ただ、それだけの事だ。
そこで、静かに暮らせばいい。

其処に生きる、動物たちと・・・。

木の上で葉が弧を描くように舞う。
一瞬、ざわざわと音をたてる。
狼だった身体は霧に姿を変え、
深い森のある方へ消えていった。

さらに、何十年後、彼は赤子を拾う。
安息を得るだろう。
たとえ、つかの間であっても、
彼にとっては至福の時。

人間の一生なんて、彼にとっては、
つかの間の・・・

ほんの一瞬なのかも知れない。

先頭 表紙

かれにとって〜人間は〜一瞬なんですね〜♪ 赤子を〜失うことは〜永遠〜☆ / 仙川 ( 2001-04-29 22:31 )

2001-04-27 伝承異譚 ーー封印の扉ーー前編

これは、初恋の少女を失った悲しみと、
我が身を固く、封印してしまった、
バンパイヤのお話し。
彼の犯してしまった悲しみは、
どこへ向かうのであろうか・・・。

−−−−−−−−−−−−−


彼は深い眠りよりこの世に戻された。
先程から、耳を刺激する不快音。
甲高い音、そして、唸るような機械音。

我の眠りをさまたげる者は誰!!
眠りの中でしか魂の安息はないというのに。
この混沌としか夢の中にこそ彼の平安はあった。
もう、誰も傷つけることなくと自らを封印した者。
そう、彼はバンパイヤ
この世と相反するもの、相異なる者。
秩序を乱すもの。

「な!!」

突然、パラパラと砂煙が舞い落ちてくる。
石片が降り掛かる。
そして、崩れ落ちようとする壁。
地震のように地から鳴り響く音が彼を包む。

彼の頭上に落ちてこようとする石像。
まさに直撃を受けるだろうとするその一瞬、
時は止まる。
時計の針が止まるように。

静寂・・。

全ての物が止まる。

彼は全身を横に跳ね起きる。

生への執着

死を望みながらも、

生を・・・生きることを望むというのか・・。


轟音と共に彼の回りの全ての物が砂煙と共に、
ただの哀れな残骸となる。

足元に、人間の声がする。
彼は生い茂る木の中に潜んでいた。
崩れ落ちる城からの脱出。
狼となった彼は誰にも気づかれることなく駆け抜けてきた・・。

そして、今、人間達を見下ろしている。

「やれやれ、
やっと片付いたぜ、ここにゴルフ場を作るんだってな。」
「よくやるよな、おえらいさん方も。いい気なもんだぜ。」

彼はゆっくりと回りを見渡す。
眼前に広がるものは、あの豊かな命溢れる森ではなく、
無惨にも切り落とされた木々であった。

風が彼の艶やかな銀の毛並みを輝かせていた・・・。久し振りの外界の風だった。



「さてと、あとこの木を切れば終わりだ。そしたら、呑みにでも行こうぜ!」





つづきはまた・・・。

先頭 表紙

おや〜?風邪ですか〜?すいません〜急かしてしまって〜★ソ〜リ〜★ / 仙川 ( 2001-04-30 03:04 )
ありがと〜☆彡・・はっはっくっしょん!ぐずっ / 星くず ( 2001-04-29 06:58 )
ん〜♪現代風に〜アレンジされて〜いますね〜♪続きが〜とても〜楽しみです〜♪復活〜狼〜☆ / 仙川 ( 2001-04-27 02:36 )

2001-04-23 伝承異譚    扉の向こう側・・。

深い、誰も近づくことのない森の中、
彼は、森と共に生きていました。

自分の寝床である廃屋になった城に。
そして、広い庭の片隅の楡の木の下に少女の墓。

激情に捕らわれた彼は、幾十人もの命を殺めてしまった。
狩ってしまった・・・とも言うのでしょうか。
彼はバンパイヤだから・・・・。

彼は自分自身を酷くさいなまれていました。
人間として生きて来たのです。
そして、これからも生きていくはずだったのです。
それなのに、同胞とまで思ってきた人間たちを・・・・。

血に塗れた両腕。
冷ややかだった彼女の唇。

すべてが彼にとっての悪夢−−。

自分自身を抹消してしまいたいほどの憔悴ぶりでした。
気も狂わんばかりの彼の受けた苦しみ。

−−だけど、彼は死ぬ事は出来ない。
死の天使さえ、彼を見放してしまったのです。

いったい彼に、どれほどの傷とどれほどの罪を負わすのでしょう。
そして、いかばかりの償いが彼に出来るというのでしょう・・。

彼は眠る。
死のような眠りこそが彼にはふさわしい。

永遠と言えるほどの眠りを我に。


扉を固く閉じます。

もう、誰も、誰さえも、訪れて来ぬように・・。


固く、・・・・・固く。

先頭 表紙

あら〜。忘れてましたぁ。ありがと〜(^^ゞ / 星くず ( 2001-04-27 02:22 )
そろそろ〜続きを〜♪パワ〜を〜くだされ〜♪ / 仙川 ( 2001-04-27 02:08 )
おはよっていうか・・寝てないんじゃ・・(^_^;) / 星くず ( 2001-04-24 09:20 )
心の扉〜開けるには〜隙間から〜差し込む〜光というなの〜希望〜♪ / 仙川 ( 2001-04-24 04:05 )

2001-04-22 伝承異譚  孤独の狼・・。 

深い森に生きる者
彼はバンパイア
森の仲間にエナジーを分けて貰い、永遠を生きる者
その彼がまだ人間社会に生きていた頃のお話し・・

まだ、彼は少年でした。
まだバンパイアに成り立てで淋しさを埋めるため、町中で暮らしていたのでした。
彼の仕事は靴みがき。
お金を頂くときに触れた指先から、生気を少しばかり頂いていました。
彼はこの生活に満足していました。
誰も傷つける事なく平和に暮らしていたから。
ところが運命の日が訪れたのです。
その日は突然とやってきました。

ガラガラ!
暴走した馬車が突っ込んで来ました。
彼の目の前に今にも踏み付けられんとする少女。
とっさに彼は両腕で少女を抱え込んで石畳を転がり、彼女を救う事が出来ました。

「つっ・・」
彼の指先に痛みが走りました。
少女は思わず彼の指を口に含みます。
しばし、茫然としていた彼だったが、はたと事の重大さに気付きます。
彼の血を含んだのです。
何もあるはずはありませんでした。
しかし彼にとって初恋でした。
その恋心が彼を盲目にしていました。


幾日かの彼女との逢瀬が続いた日の事です。
彼女は魔女刈りに捕まりました。
理由は、傷がすぐに癒える事からの嫌疑でした。
たとえ、怪我をしても翌日には傷痕が消えてしまうのです。
回りで気が付かないはずはありませんでした。
彼女には軽い治癒能力が備わっていたのでした。

処刑の前夜でした。
彼は夜の闇の中を走ります。
初めて、霧に姿を変えて。
彼女の捕われている牢獄に向かいました。
彼は看守から鍵を奪い、彼女を抱き抱えます。
だけど、彼女との逃亡には限界がありました。
彼はまだ若いバンパイア。
あっという間に四方に追い付かれました。
身体が激しく消耗していました。

「魔女の仲間を呼び寄せたぞ!!」
兵士の一人が歓喜の声をあげます。

そして、彼に槍が向けられまさに突かれる断末の刹那、
少女は彼の前に盾となります。
ゆっくりと崩れ落ちる彼女の身体。
息は・・無りません。
彼女の身体から、一切の生気は、抜け落ちていました。

彼は一声、咆哮をあげました。
悲しみと怒りに満ちた魂の叫び。
彼は狼に姿を変え、兵士たちの喉元を狙います。
・・数十人いた兵士たちは誰一人として生きてる者はありませんでした。
我に帰った少年は人間の姿に戻りました。
そして、おびただしい死体の中の彼女を見付け、
冷たくなった彼女にくちづけをする。


そしてふたたび狼に姿を変えると、少女の骸を背中に乗せ、闇の中へ消えて行きました。
もう、人間社会には戻るまいと、心に誓って・・。

先頭 表紙

何が彼を癒してくれるかな〜。ん〜。 / 星くず ( 2001-04-23 15:16 )
いつか〜癒される〜自分と〜民衆を〜想い〜去っていく〜♪ / 仙川 ( 2001-04-23 03:22 )

2001-04-21 伝承異譚   −−伝説へのエピローグ−−   

では、続きです。
どきどき?

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−






「・・や・・やめ・ろ。」
私は、その冷たいものを振り払った。
残された力を振り絞り、それを押しのけた。
見えないものへの・・。
恐怖がへばりついていた。

それは、部屋の隅に投げ出される形で、いた。
次第に闇の中に浮かび上がってくるシルエット。
闇に目が慣れてくる。

息を呑む刹那

!!!


紛れもない彼なのだ!!
私の愛しい者。

目の前の彼はおびえた小動物のように震えていた・・。
瞳には動揺があった。
唖然とする表情。
まるで、記憶喪失にでもなったかのような・・。
なにをしていたか憶えていないような。


高鳴っていた心臓は次第に平静を取り戻していた。
頭の中で混乱と思考が渦巻いている。
どういうことなんだ。
さっきのものは、彼なのか!




彼の瞳の色が変わる。
蒼白い瞳から漆黒の瞳に。
そして、なにか、意を決したように。
深い哀しみをたたえた紫に変わる・・。

少年の黒髪が逆立つ

燃え立つ炎のように。

黒髪が・・銀に変わる。

耳の形が変化する。

彼の透き通る肌はやがて内面から生えでるように、毛に覆われる。

・・銀の狼・・・・

・・・・化身。

私は声にならない声をあげた。

だが、恐怖はなかった。

彼からは悲しみが見える。
まるでオーラがでているように。

昼間の・・小鳥にパンをあげる彼が重なって見えた。

彼は、いや、狼は、私に一瞥を送ると窓を破って闇の街の中へ消えていった。

哀しみと惜別。
そして、私との決別。
深い深い哀しみをたたえた瞳の彼と私の・・・・・。


窓の下には割れたガラスと彼の血が、散乱していた。
血痕は窓の、
彼の飛び降りた地点から、わずかながら続いていた。




−−−−−−−

今、思うと彼はあの時、初めて認識したのだ。
自分自身を。

彼が今、どこにいるかはわからない。
森に帰っていったのか、
どこか、街の雑踏で暮らして居るのか・・。

これだけはいえる。
彼は再び、私の元に帰って来ることはないだろう。

私はこの絵を描き上げよう。
私の愛を込めて。
いつか、この絵が私からのメッセージになるように。

絵の題名は・・・


「闇の天使に愛を込めて」

先頭 表紙

有り難うございますぅ。来て貰えるなんて、う・嬉しい(T.T) / 星くず ( 2001-04-22 20:51 )
一気に読みました。。おもしろいです。。 / ASATO@はじめまして ( 2001-04-22 14:34 )
素晴らしい!どんどん書いてほしいです〜♪ / ふみふみ。@はじめまして〜♪ ( 2001-04-22 11:55 )
はじめましてー!最初から一気に読んでしまいましたー!面白いっ!!私も昔小説とか童話とか書いてたので懐かしくなりました…綺麗なお話ですね♪ / 咲良 ( 2001-04-21 22:08 )
私は〜堕天使です〜♪ 書き上げる絵は〜大きくはばたく〜白い翼〜♪ / 仙川 ( 2001-04-21 22:07 )
有り難うございます。ここは現実とかけ離れた世界ゆえ・・。 / 星くず ( 2001-04-21 18:00 )
はじめまして、これを読むとなぜHNが星くずという名前かわかるようなきがする。 / 夢楽堂 ( 2001-04-21 16:16 )

2001-04-20 伝承異譚   −−安息と渇き−−   

「よし、そのまま動かないで。」
「表情はそれでいい。」

ここは、町の一室。
安アパートの中。
青年は一筆一筆、丹念に少年を追う。
少年は、退屈な時間てはあったが、
この時間が好きだった。
青年の静かなまなざしが、包み込む優しいまなざしが好きだった。
少年にとって訳の分からない感情も生まれていた。
それは、父への思慕に似たものかは解らない。
でも、その感情は、ますます彼を魅力的にも、していた。

青年もまた、日々変わっていく少年の表情に惹かれていた。
自分を乞ような真っ直ぐな、そのまなざしがいっそう彼を掻き立てていた。
時には時間を忘れるくらい激しく、
時にはさざ波のように、静かに、
熱心に絵を描かせていた。
気が付くともう、ずいぶん時間が経ってしまっていた。

「よし、休憩だ。お昼にしよう。」
と、ふと、時間に気付いた彼は言った。

一切れのパンとミルクが彼らの食事だった。
画家とはいえ、まだ無名に等しかった彼には、これが精一杯の食事だった。

窓の外では、待ちかねたように数羽の小鳥が入ってきた。
その、僅かな食事を与えてしまうその姿はまるで天使のよう。
青年は、彼がとても愛しくなった。
でも、同時に不可侵な意識も生まれていた。
誰も、この少年を汚してはならない。

絵は完成間近だった。
少年の表情は僅かながら、かげりを持たせ始める。
最初は疲れのせいだと思っていた。
白い透き通る肌は青白くなっていった。

少年は、渇きを憶えていた。
「食事」をもう、ずいぶん、とっていなかった。
乾きはもう、限界に近かった。





深夜だった。
青年は、息苦しさと共に目が覚める。
意識は朦朧としていた。

首にかけられたこの冷たいものはなんだ・・・。
この脱力感はなんだ・・。
重くなった瞼を開ける。

それは・・・・。
暗闇の中に光る双眸だった。
二つの双眸は蒼白い光を放ちながら、
私を見据えていた。



つづきはまた・・。

先頭 表紙

ありがとうございます。お風邪なんじゃ?(^^ゞ / 星くず ( 2001-04-21 12:19 )
その目は〜穏やかに〜優しく〜☆自然の行動のだった〜☆  はらはらする〜お話ですな〜☆ / 仙川 ( 2001-04-20 21:42 )

2001-04-19 伝承異譚  −−決意−−

或る日のことでした。
激しい風雨の吹き付ける夜でした。
やがて一人の若者が、城にたどり着きました。
雷に追われるように、屋敷に入ってきました。

バタン!!

しばらく振りの訪問者でした。
屋敷に入ると正面に階段が見えました。
古びては居ましたが、高価な調度類が目に入りました。
そして、階段から、一人の少年が下りてきました。
年の頃なら、17,18頃でしょうか。
あどけない顔の下には、大人の顔が潜んでいるような、
そんな少年に思われました。

女性と見まごうくらいの長いまつげ、艶やかな白い肌、
そして、肩程までの漆黒の髪、そして、黒真珠にも似た瞳。
こんな、へんぴなところには、およそ似つかわしくない、
そんな少年に、一目で若者は心を捕らわれました。

「・・君は、一人なの?」
こんな広い屋敷に、他に人の気配が無いことに気づいた若者は尋ねます。

「うん。今は、・・・僕だけです。」
少しずつではあるけれど、少年は戸惑いながら、
話し出しました。
少年の瞳は潤んでいました。
本当に人と会ったのは久しくありませんでしたから。
そして、この人の良さそうな青年は包み込むように、
暖かな眼差しで僕を見つめてくれている・・。
孤独を知らなかった少年は、
このとき、初めて、孤独を知りました。

青年は、一緒に町に出ることを熱心に勧めました。
こんなところに一人ではいるべきではないこと。


翌日の事です。

「行かないで・・。
僕を一人にしないで・・。」
少年は、青年を引き留めます。
外にでるのは、怖いけど、
一人は、もっと、耐えられない・・。

少年は一緒に行くことを決意しました。


まだ・・・・・・



自分が何者であるか知らないうちに・・・・・。





つづきはまた・・・。

先頭 表紙

存在理由・・必要としてくれている人がいるかと言うことかな・・(^^ゞ / 星くず ( 2001-04-20 14:41 )
あ!私も〜自分の〜存在〜謎〜♪ / 仙川 ( 2001-04-20 00:13 )
自分の〜存在理由〜意味をしるのかな〜♪ / 仙川 ( 2001-04-19 19:00 )

2001-04-18 伝承異譚  −−秘密−−

幾日かたったある日の事です。
少年は、以前よりも生き生きと生気に満ち溢れていました。
そう、生を取り戻す以前より。
そして、不思議なことに、彼の回りには、いつも動物たちが集まるようになりました。


ただ、少年は、時々貧血を起こすようになりました。
すると、きまって彼は、ふらふらと森に入って行きます。
そして、一匹の子鹿に近づいくと、
「ごめんね。」
彼は手を子鹿の頭に触れます。
指先はしなやかに子鹿をなでます。

すると彼は、みるみるうちに生気を帯び、
生き生きと蘇るのです。
生気の溢れた匂い立つ薔薇のように・・。
彼は、こうすることで生を保つ事が出来ました。

何度も、こういったことが続きました。
次第に奉公人の間にも噂が立ち始めます。
あの子は、何かおかしいと・・・。

伯爵は、次第に奉公人を減らしていきました。
大事な息子を守る為に。
これが「副作用」なのかも知れないと
心に警鐘を鳴らしていました。
忍び寄る悪夢の始まりだと・・。

伯爵は、再び、例の薬をくれた女に会いに行きました。
この心の暗闇を消したかった。
私の愛する息子がもはや人間と違う者になってしまったとは思いたくなかった。

女は、変わっていました。
老女だったはずのこの女は、若い匂い立つような女になって。

「そう。
あれを受け入れる事ができたのね。」
女は満足そうな笑みを口元に浮かべ、
さらに言葉を続けます。

「あの薬の事を聞きたいというのね。
・・・。
いいわ。
そんなに訊きたいなら教えてあげる。
あれは、私。
私の中を流れるもの。
そして、永遠・・・。

この世を見定めるもの・・・。
悪魔であり、天使であるものに変えたの。
ふ・・・・そんな顔をするものではないわ。

貴方の息子さんは選ばれたの。
永遠を手に入れたのよ。
まあ、それが不幸ともいえなくはないけど。
多くのものは効かなかった。
死を迎えた奴らばかりだったわ。

ま・・あなたには、理解不能ね。
私には楽しみが出来たというもの。
いつか、貴方の息子さんに逢えるわ。

この退屈な時間は永遠なのだから。
あはははははは・・。」

伯爵が剣を振るう前に、女は霧になり、
かき消えていた・・・・。


さらに、数年後。
彼の成長はとても緩やかなものに変わっていきました。
同じ年頃の子が青年になっても、
彼は、いつまでも、少年のよう。
彼だけが時に取り残されていくようでした。
いつしか、奉公人はたったひとりだけに。
城のにぎわいはなくなり、
少年の友だちは森の動物たちだけになりました。

数年、数十年と、時は経っていきました。
年老いた伯爵は既にこの世になく、
母も後を追うように亡くなりました。
少年の秘密を抱いたまま・・。



少年はたった一人になりました。
この頃には人々たちとの交流もすっかり途絶えてしまっていました。


つづきはまた・・・。

先頭 表紙

ありがとうございます。嬉しいです〜♪ / 星くず ( 2001-04-19 18:03 )
続きが気になります。。。うずうず。。 / おりと ( 2001-04-18 02:09 )
読み物には〜目が無いのです〜♪続き〜楽しみで〜す☆ / 仙川 ( 2001-04-18 01:55 )
こんばんわ〜。2回目の訪問、ありがとうございます〜 ☆彡 / 星くず ( 2001-04-18 01:39 )
私は〜名も無き〜堕天使〜♪寂しい物語も〜ラストには〜どうなる〜? / 仙川 ( 2001-04-18 01:36 )

2001-04-16 伝承異譚 −−−−発端−−−−

深い森を背景に城が建っていた。
何代も続く名主がこの城の持ち主。
住んでいたのは跡継ぎに恵まれない、年老いた伯爵だった。
暖かな春風の吹く頃、
若い奥方に赤子が授かった。
伯爵のよろこびようといったらなく、
城は、明るい笑いに包まれるようになった。

寒さの厳しい冬。
暖炉の前で伯爵は赤子を上に放り上げてあやしている。
「おお!笑った、笑った!」
「ほらほら、そんなに振り上げたら危ないわよ。」

赤子はきゃっきやっと愛らしく声を立てる。
まさに目に入れても痛くないと言うほどのかわいがりようであった。

数年、経った頃・・
赤子は成長し、端正な顔立ちと愛らしい笑顔を備え持つ子供になった。
城はますます、栄え、賑やかなものになっていった。

蒸し暑い夏のことだった・・

「おや、どうしたのだ!?」
伯爵は、心配そうに尋ねる。
「ごめんなさい。引っかかれたの・・。」
と少年は痛そうに指を抑えながら答える。
森に遊びに行っては行けないと、
危ないからと言われていた少年は、
怒られると思い、傷を隠していた。

「見せてごらん。」

「何に引っかかれたのだ?」

「白くて、綺麗な小猿がいたの。・・・ずっと森の奥に・・。」

少年の透き通るような白い指先は、
既に赤黒く変色しており、ただのひっかき傷ではないとすぐに見て取れた。
医者を呼び、薬を処方して貰い、
治るかのように思われた。

だが、傷跡は広がり、両手の指先も数日経つうちに、にわかに紫に、
足の先端部分も変色していった。
そして、秋になり冬が近づく頃、全身にも、まるで毒でも回るように広がっていく。
やがては、歯茎からの出血、そして、鼻血の出血、耳からも・・・。
身体中の粘膜という粘膜からの出血は止まらず、
既に少年の顔には死の色が浮かんでいった。
医者からは、諦めるようにと・・。

伯爵は、魔女とも、賢者とも、呼ばれる老女の話しを思い出す。
以前、旅人から聞いて話。
どんな病気も治せると・・。
すぐに伯爵は旅立った。
風の強い吹雪の中を。
誰にも場所は告げずに、
すぐ、戻るとだけ告げて・・・。

−−数日後、伯爵はやっと帰って来た。
赤い液体の入った
小さな小瓶を持って・・。

伯爵は迷う。
この小瓶は、副作用があるという・・。
もし、身体にあわなければ、即座に命を落としてしまうと告げられていた。
でも、もはや、一刻の猶予もなく、
少年の息は、絶え絶えにとてもか細いもので、
生きているのが不思議なくらいの有様なのだ。

婦人の見守る中、
かすかに開いた少年の唇に、
一滴、一滴、注ぎました。

少年は、僅かにひきつったかと思うと、
呼吸は止まり、
心音は消えてしまった。

伯爵は大急ぎで息子を抱き、名前を呼ぶ。
でも、返事があるわけもなく・・、

伯爵は、大声をあげ、泣く。
母親は、泣く力もなく・・。

数分経った頃だった。
伯爵の抱く我が子から、かすかな寝息が漏れてくる。

やがて、それはしっかりした呼吸に変わっていく。
驚いた伯爵は少年を見つめる。
先程まで、死の影を落としていた紫色の顔は、うっすらとピンクに、
色を失った唇は花びらのように艶やかに。

「おお!!
神はお見捨てにはならなかった。」

彼の喜びはいかほどだったのか。
最愛の者を死の淵から呼び出す事が出来たのだから。

でも、
これが全ての始まり・・。


つづきはまた・・。

先頭 表紙

ありがとうございます。嬉しいです〜♪ / 星くず ( 2001-04-18 01:22 )
これからたのしみにしまぁ〜す / お@はじめまして ( 2001-04-17 06:08 )
初めてのお客様、ありがとうございます〜(^^ゞ / 星くず ( 2001-04-16 23:40 )
星くずさま、いらっしゃいませ。システム管理者です。今後とも宜しくお願いいたします。 / システム管理者5号 ( 2001-04-16 23:37 )
↓とても〜良いのです〜♪ / 仙川@はじめまして〜♪ ( 2001-04-16 23:03 )
こんなの書いて良かったかしら・・(^_^;) / 星くず ( 2001-04-16 11:24 )

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