のれんの向こうにモニターがあり、黒っぽい画面に黒い丸い影が映っています。
「これがね、筋腫です。」
「大きいんですか?」エコー画像を見ること自体初めてなので、どこをどう判断すればいいものか。
「大きいね。自覚症状無かったの?」
「いえ、全然。」
11歳で初潮を迎えてからこっち、生理の周期は26日から29日で律義に来てるし、出血も生理痛も苦痛を覚えるレベルになったことがない。
学生の頃から、生理痛で薬を飲むとか貧血だとかいう話を聞いても同情する側でした。
心あたりといえば、生理の出血のときにレバーっぽいものが出るのと、この1、2年お手洗いが近くなった気がするくらいで、今日知らなかったら後何年でも気付かなかったかもしれない。
あらまー、そうですか。
台から降りて、ドクターから説明を受けました。
「子宮筋腫というのは、子宮にくっついて出来てるコブのような物で、これが原因で死ぬことはありません。
悪性ではないということです。
ただし、ほっといて自然に治るということもありません。
生理を起こすホルモンで成長するので、閉経期までは少しづつ大きくなります。
だから閉経後はそれ以上大きくならないし、逆に小さくなることもある。
でも、あなたの場合は閉経まで20年は見なくてはいけないし、妊娠を望んでるんなら早く対策を考えなければいけませんね。」
「妊娠を望む場合はどういう対策があるんですか?」
「まだほかの検査がすんでない段階で断言は出来ないが、筋腫が不妊の原因になってる可能性が大きいので、筋腫部分だけ切除する手術が必要だね。
ただ、そうするんならうちではなくて、不妊治療に実績のある大病院で、切除手術の経験が豊富な医師の複数いるところに行った方がいい。
なぜなら、開腹手術はそれ自体不妊の原因になる可能性もあるし、切除後の子宮を管理したり、妊娠したあとも出産の段階で問題が無いとは限らない。
あなたの場合は、高度医療の受けられる場所でやったほうが良い。」
「では妊娠を希望しない場合は?」
「さっきも言ったとおり、筋腫で死ぬ人というのはいないんだから、自覚症状がないんなら急ぐ必要は無いんですよ。
ただ、おなかの中に大きな塊を抱えていると、便秘、頻尿、腰痛とか不都合が出てくる。出来た場所によって生理の出血が激しい人もいる。
そういう不都合が大きくなって、生活に支障がでた段階で切除するのが一般的ですね。」
「それは子宮ごと取るということですか?」
「そうなる場合が多いね」
とにかくちょっと考えなくてはいけなくなりました。 |